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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178672
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】収容具
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/16 20060101AFI20221125BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20221125BHJP
   A45C 3/00 20060101ALI20221125BHJP
   A45C 5/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A47J36/16 Z
A47J41/00
A45C3/00 Z
A45C5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085634
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】503287155
【氏名又は名称】土橋 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】土橋 洋子
【テーマコード(参考)】
3B045
4B002
4B055
【Fターム(参考)】
3B045AA51
3B045CD01
3B045CD04
3B045DA41
3B045EA02
3B045EB03
3B045HA02
3B045HB01
4B002AA21
4B002CA31
4B002CA34
4B055AA50
4B055BA23
4B055BA35
4B055CA76
4B055CA83
4B055EA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】片手でも開閉操作が可能な収容具を提供する。
【解決手段】収容具は、土鍋等の調理器を収容するものであり、底10Bを有する円筒状の筒部10と、筒部10の外面10Gに設けられた2個のヒンジ片と、ヒンジ片を基準にして筒部10の開口を開閉可能な蓋片30と、蓋片30同士を締結するロック構造と、を備える。ヒンジ片は、基端(筒部10側)から先端(蓋片30側)まで所定の幅を持つ。ヒンジ片のうち幅方向中央部の先端に中央ヒンジ部21が設けられ、幅方向両端部の先端には、端ヒンジ部23が設けられる。端ヒンジ部23が中央ヒンジ部21よりも下側に突出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の筒部と、
前記筒部の開口を閉塞可能な蓋片と、
前記筒部に設けられ前記蓋片に連結するヒンジ片と、を備え、
前記蓋片は、
前記ヒンジ片側に位置する蓋本体部と、
前記蓋本体部の先端から延びる蓋先端部と、を備え、
前記筒部はシート材から形成され、
前記蓋本体部が前記筒部の外面に対し近接する程度に前記蓋片が開状態となった際、
前記蓋本体部と前記蓋先端部との境界が前記筒部の下端部に近接するとともに、前記蓋片は前記境界において折れ曲がることを特徴とする収容具。
【請求項2】
前記ヒンジ片は、
先端の幅方向両端に設けられた端ヒンジ部と、
先端の幅方向中途に設けられた中間ヒンジ部と、を備え、
前記端ヒンジ部は、前記中間ヒンジ部よりも先端側に突出することを特徴とする請求項1記載の収容具。
【請求項3】
前記筒部の上部は円筒状であることを特徴とする請求項1または2記載の収容具。
【請求項4】
前記筒部の開口の外形を半径R0の円C1とし、円C1に外接する円を外接円C2とし、外接円C2の半径をR1とし、円C0と外接円C1の接線をL3とした場合、
前記端ヒンジ部は、前記接線L3と前記外接円C1との間に位置し、
半径R1は半径R0よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の収容具。
【請求項5】
前記蓋本体部のうち幅方向中間部には、マチ部が形成され、
前記マチ部は、前記幅方向中間部の基部から先端部に掛けて延びることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の収容具。
【請求項6】
前記筒部の開口縁に設けられた補強部材を備え、
前記補強部材は、前記筒部の周方向において並ぶことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の収容具。
【請求項7】
前記筒部の開口縁に設けられた補強部材を備え、
前記補強部材は、前記筒部の全周方向において設けられ、
前記補強部材には、切り込みが周方向において並ぶことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の収容具。
【請求項8】
前記蓋本体部のうち幅方向両端部には、ギャザー又はタックが形成されることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
調理器を収容する収容具として、四角形の底面部と、底面部から延設される二等辺三角形の側面部と、側面部同士を着脱するファスナーと、を備える調理機用保温・保冷カバーが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-022134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の収容具は、ファスナーの開閉操作において、一方の手は、ファスナーを持ち、もう一方の手はファスナーのレール側を持つ必要があるため、両手がふさがってしまう。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、片手でも開閉操作が可能な収容具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収容具は、有底の筒部と、前記筒部の開口を閉塞可能な蓋片と、前記筒部に設けられ前記蓋片に連結するヒンジ片と、を備え、前記蓋片は、前記ヒンジ片側に位置する蓋本体部と、前記蓋本体部の先端から延びる蓋先端部と、を備え、前記筒部はシート材から形成され、前記蓋本体部が前記筒部の外面に対し近接する程度に前記蓋片が開状態となった際、前記蓋本体部と前記蓋先端部との境界が前記筒部の下端部に近接するとともに、前記蓋片は前記境界において折れ曲がることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、片手でも開閉操作が可能な収容具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は、開状態の収容具の概要を示す斜視図である。(B)は、閉状態の収容具の概要を示す斜視図である。
図2】収容具の構成部品の概要を示す斜視図である。
図3】開状態の収容具の寸法を模式的に示す説明図である。
図4】(A)は、開状態の収容具の概要を示す断面図である。(B)は、載置面の概要を示す平面図である。
図5】開状態の収容具(変形例)の概要を示す斜視図である。
図6】開状態の収容具(変形例)の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~2に示すように、収容具2は、土鍋D等の調理器を収容するものであり、底を有する円筒状の筒部10と、筒部10の外面10Gに設けられた2個のヒンジ片20と、ヒンジ片20を基準にして筒部10の開口10Xを開閉可能な蓋片30と、蓋片30同士を締結するロック構造50と、筒部10に収容される断熱保護シート70と、を備える。
【0010】
筒部10、ヒンジ片20及び蓋片30は、軟性のシート材から形成される。筒部10及びヒンジ片20は縫合によって固着される。蓋片30は、ヒンジ片20と一体となっている。軟性のシート材としては、金属に比べ熱伝導率が低いものであることが好ましい。軟性のシート材としては、例えば、布、キルティング生地などがある。
【0011】
筒部10は、1枚の筒部形成片を環状としてもよいし、複数の筒部形成片を連ねて環状としてもよい。図1に示すように、複数の筒部形成片10Aを連ねて筒部10を形成する場合、隣り合う筒部形成片10Aの端部を重ね縫合させてもよい。このとき、重なり部分10Pは筒部10の高さ方向に延びることが好ましい。
【0012】
ヒンジ片20は、筒部10の外面10Gに対して固着される。2個のヒンジ片20は、筒部10を介して向き合うように配される。2個のヒンジ片20は、それぞれ、外面10Gのうち開口縁部に設けられることが好ましい。
【0013】
図2に示すように、蓋片30は、ヒンジ片20の先端から延びるものであり、ヒンジ片20に対して屈曲可能となっている。このため、蓋片30は、筒部10の開口10Xが閉塞された閉状態(図1(B))と、筒部10の開口10Xが外部空間に解放された開状態(図1(A))と、の間で切り替え自在となっている。図示するように、蓋片30は、ヒンジ片20を基準にして、約270度の開閉動作が可能となっている。
【0014】
次に各部の詳細を説明する。ヒンジ片20は、基端(筒部10側)から先端(蓋片30側)まで所定の幅を持つ。ヒンジ片20の幅は、基端から先端に向けて、次第に広くなっている。ヒンジ片20の基端は、筒部10の外面10Gに対して縫合される。ヒンジ片20の先端のうち幅方向中央部には中央ヒンジ部21が設けられ、幅方向両端部には端ヒンジ部23が設けられる。中央ヒンジ部21及び端ヒンジ部23は、筒部10の外面10Gに対して縫合される。これにより、蓋片30の開閉動作が可能となる。なお、ヒンジ片20の先端において、中央ヒンジ部21から端ヒンジ部23の間は筒部10に対して縫合されていてもよい。
【0015】
端ヒンジ部23は中央ヒンジ部21よりも下側に突出することが好ましい。これにより、蓋片30が閉状態(図1(B))となった場合、開口10Xにおいて隙間が形成されにくくなる。
【0016】
筒部10の開口10Xの外径を円C0(半径R0)とし、円C0に外接する円を外接円C1(半径R1)とし、円C0と外接円C1の接線をL3とした場合、垂直軸を有する筒部10と、水平面上にのばされたヒンジ片20との位置関係(図3)において、外接円C1及び接線L3の交点が中央ヒンジ部21となる。ここで、端ヒンジ部23は、外接円C1と接線L3との間に位置することが好ましい。もちろん、端ヒンジ部23は、外接円C1の上にあってもよいが、接線L3の上からは外れる必要がある。半径R1は、半径R0よりも大きいことが好ましい。R1/R0は、例えば、1より大きく1.2以下であることが好ましく、1より大きく1.1以下であることがより好ましい。
【0017】
蓋片30は、基端(ヒンジ片20側)から先端まで所定の幅を持つ。蓋片30の幅は、基端から先端に向けて、次第に広くなることが好ましい。蓋片30は、ヒンジ片20側に位置する蓋本体部31と、蓋本体部31の先端から延びる蓋先端部33と、を備える。蓋本体部31と蓋先端部33とは、その境界32において屈曲する状態(図4(A))と、平坦な状態と、の間で切り替え自在となっている。
【0018】
ここで、収容具2が載置される載置面SB(図4)において、筒部10の底10Bが載置されている円形状の部分を載置部SB1と、載置部SB1の外側に隣接する円環状の部分を周縁部SB2と、定義する(図4(B))。蓋本体部31が筒部10の外面10Gに対し近接する程度に蓋片30が開状態となった際(図4(A))、蓋片30は、境界32において外側へ折れ曲がった姿勢となる。このとき、蓋本体部31の先端(境界32)は筒部10の外面下端部10Uに近接するとともに、蓋先端部33は周縁部SB2に載置される。なお、ヒンジ片20の基端部から筒部10の外面下端部10Uまでの長さL1は、蓋本体部31における基端(ヒンジ片20側の端)から蓋先端部33側の端部(境界32)までの長さに等しいことが好ましい。
【0019】
図2に示すように、蓋本体部31のうち幅方向中央部には、マチ部31Mが形成されることが好ましい。マチ部31Mは、蓋本体部31の基端から先端に向かってのびる。マチ部31Mにより、2つの端ヒンジ部23の間隔が増大可能となるため、蓋片30の開閉操作がスムーズになる。この作用は、ヒンジ片20が取り付けられる外面10Gが湾曲している場合にはよく発揮される。なお、幅方向におけるマチ部31Mの長さは、蓋片30の開閉操作が可能な程度に設定されていればよい。例えば、両側の端ヒンジ部23の直線距離をL1とし、ヒンジ片20の基端側の外形の長さL2とし、マチ部31Mの形成によって端ヒンジ部23の直線距離が増大する寸法をΔLとした場合、L2<L1+ΔLとなることが好ましい(図3)。
【0020】
筒部10の開口縁部の剛性を高めたい場合、別途の補強部材10Hを開口縁部に設けることが好ましい。補強部材10Hとしては、例えば、耐熱テープがある。補強部材10Hは、筒部10と同様に、軟性のシート材から形成されるものである。図4に示すように、補強部材10Hは、筒部10の内面10N側から外面10G側に掛けて折り返されるように設けられる。補強部材10Hは、開口縁部の全周に渡って設けられる。
【0021】
なお、補強部材10Hは、ヒンジ片20を覆うように設けられることが好ましい。かかる場合、補強部材10Hは、筒部10の内面10Nからヒンジ片20の内面20Nに掛けて折り返されるように設けられるとともに、内面10N及び内面20Nに対し固着される。
【0022】
ロック構造50は、一方の蓋片30に設けられるベルト51と、他方の蓋片30に設けられる留金具52と、を備える。ベルト51には、留金具52が挿入可能な孔が形成される。ベルト51の孔に留金具52を挿入することにより、ベルト51は留金具52に対して係止する。これにより、ロック構造50は、ロック状態となる。また、ベルト51の孔から留金具52を外すことにより、ロック構造50は、ロック状態から退避する。
【0023】
断熱保護シート70は、筒部10の底10Bに配される中敷きとして機能する。
【0024】
次に、収容具2の使用方法について説明する。
【0025】
蓋片30が開状態となっている収容具2(図4(A))に対し、土鍋Dを収容する(図1(A))。このとき、土鍋Dの円錐状の蓋部分は、筒部10から突出する。次に、蓋片30が土鍋Dの蓋部分を覆うように、ヒンジ片20を基準に蓋片30を動かす(図1(B))。そして、ロック構造50をロック状態にすると、2つの蓋片30が連結される。これによって、蓋片30は、開状態とならずに済む。
【0026】
次に、ロック構造50がロック状態から退避すると、2つの蓋片30の開閉操作が可能となる。そして、蓋片30を動かすことにより、蓋片30は開状態となる(図4(A))。このとき、蓋本体部31が筒部10の外面10Gに対し近接する程度となっている。さらに、蓋片30では、境界32が筒部10の外面下端部10Uに近接するとともに、境界32において折れ曲がる。結果、蓋先端部33は周縁部SB2に載置される。これにより、蓋片30が載置面SBから受ける力のうち筒部10に向かう成分は小さくなる。結果、筒部10の形状が崩れにくくなる。よって、土鍋Dを筒部10に対し再度収納する際、開状態の筒部10を手で支える必要がなくなる。このため、土鍋Dの収納操作がスムーズとなる。また、収容具2では、端ヒンジ部23は中央ヒンジ部21よりも下側に位置し、蓋本体部31はマチ部31Mを有する。よって、蓋片30の開閉操作がスムーズとなるとともに、閉状態において隙間が形成されにくい。
【0027】
このように、収容具2は、収容具2への土鍋Dの収容作業や取出作業を行う際、収容具2から手を離すことができる。したがって、片手で土鍋を持つ場合に比べて安全である。閉状態において隙間が形成されにいため、保温性や断熱性も向上するとともに、火傷等の発生を抑えることができる。
【0028】
なお、図2に示すように、蓋片30が閉状態(図1(B))となっているとき、土鍋Dの形状にフィットさせるため、蓋片30は平面ではなく曲面となることが好ましい。このため、蓋本体部31のうち幅方向両端部には、ギャザー31Gが形成されることが好ましい。ギャザー31Gにより、蓋片30が閉状態(図1(B))となった場合、隙間が形成されにくくなる。なお、ギャザー31Gの代わりにタック等を設けてもよい。
【0029】
上記実施形態では、補強部材10Hを開口縁部の全周に渡って設けたが、本発明はこれに限られない。図5に示すように、補強部材10Hに切り込み10HKを形成してもよい。切り込み10HKは、筒部10の内面から外面10Gに掛けて延びる。切り込み10HKは、所定の間隔をあけて配置されることが好ましい。また、図6に示すように、補強部材10Hを開口縁部において、所定の間隔をあけて配置してもよい。また、ヒンジ片20は、2つの補強部材10Hの間隔を覆うように設けられていることが好ましい。このようにすることで、開口縁部のうち、ヒンジ片20が設けられる部分と、それ以外の部分とにおいて剛性の差を小さくすることができるため、筒部10の開口は元の形状(円形状)を維持しやすくなる。
【0030】
上記実施形態では、ヒンジ片20の幅は、次第に広くなるとしたが、本発明はこれに限られず、ヒンジ片20の幅は、次第に狭くなっていてもよいし、一定でもよい。また、ヒンジ片20全体が筒部10に対して縫合されていてもよい。
【0031】
上記実施形態では、収容具2が筒部10を備えたが、本発明はこれに限られず、三角筒や四角筒などの筒部であってもよい。
【0032】
上記実施形態では、ヒンジ片20は、筒部10に対して縫合によって固着したが、本発明はこれに限られず、接着等でもよい。
【0033】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
2 収容具
10 筒部
10HK 切り込み
10A 筒部形成片
10B 底
20 ヒンジ片
21 中央ヒンジ部
23 端ヒンジ部
30 蓋片
31 蓋本体部
31G ギャザー
31M マチ部
32 境界
33 蓋先端部
50 バンド機構
50 ロック構造
51 ベルト
52 留金具
70 断熱保護シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6