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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178684
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20221125BHJP
   F04D 29/24 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F04D29/58 F
F04D29/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085646
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA04
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC17
3H130BA31A
3H130BA31C
3H130BA33A
3H130BA97A
3H130CA05
3H130CB09
3H130DA02Z
3H130DC12X
3H130DD01Z
3H130DD09Z
3H130EB02C
3H130EC18C
(57)【要約】
【課題】ポンプ装置の回転シャフトの軸線方向における長さを小さなものにできるとともに、ポンプ装置の信頼性の低下を抑制できるポンプ装置を提供する。
【解決手段】ポンプ装置の回転体は、複数の遠心ポンプ翼と、複数の遠心ポンプ翼の先端に接続するように周方向に沿って形成された環状のシュラウド壁部と、シュラウド壁部の外周面から回転体の径方向における外側に突出するように周方向に沿って形成された環状のディスク部と、ディスク部の外周面に周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼と、を備え、ディスク部の他方側端面とケーシングとの軸方向の隙間である他方側隙間をシールする第1シール部が設けられ、ディスク部には、第1シール部よりも径方向における内側に、軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成される。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、前記回転体を収容するケーシングと、を備えるポンプ装置であって、
前記回転体は、
ハブ部と、
前記ハブ部の外周面に前記回転体の周方向に間隔をあけて設けられた複数の遠心ポンプ翼と、
前記複数の遠心ポンプ翼の先端に接続するように前記周方向に沿って形成された環状のシュラウド壁部と、
前記シュラウド壁部の外周面から前記回転体の径方向における外側に突出するように前記周方向に沿って形成された環状のディスク部と、
前記ディスク部の外周面に前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼と、
を備え、
前記シュラウド壁部の内周側には、前記回転体の軸方向における一方側から他方側に向かって流れる液体が前記遠心ポンプ翼に流入する液体流路が形成され、
前記ディスク部の外周側には、前記他方側から前記一方側に向かって流れる気体が前記軸流タービン翼を通過する気体流路が形成され、
前記シュラウド壁部は、前記ディスク部よりも前記軸方向における前記他方側に、前記ケーシングの内周面に対して第1隙間を介して対向する他方側外周面を含み、
前記ディスク部は、前記軸方向における前記一方側の端面である一方側端面と、前記軸方向における他方側の端面である他方側端面とを含み、
前記第1隙間よりも前記径方向における外側に、前記ディスク部の前記他方側端面と前記ケーシングとの前記軸方向の隙間である他方側隙間をシールする第1シール部が設けられ、
前記ディスク部には、前記第1シール部よりも前記径方向における内側に、前記軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成された、ポンプ装置。
【請求項2】
前記ディスク部の前記一方側端面と前記ケーシングとの前記軸方向の隙間である一方側隙間をシールする第2シール部が設けられた、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記ディスク部よりも前記軸方向における前記一方側に、前記シュラウド壁部の外周面と前記ケーシングの内周面との前記径方向の隙間をシールする第3シール部が設けられた、請求項1又は2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記第1シール部及び前記第2シール部の少なくとも一方は、前記径方向に間隔を空けて設けられた複数のフィンを含むフィンセットを備える、請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記フィンセットは、前記ケーシングに設けられた、請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記フィンセットは、前記ディスク部に設けられた、請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記一方側隙間及び前記他方側隙間の少なくとも一方を塞ぐように配置された蝋を更に備える、請求項4乃至6の何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記複数のフィンの先端に形成されたアブレーダブルコーティング層を更に備える、請求項4乃至6の何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記ディスク部の外面は、前記軸方向における前記他方側を向く他方側側面を含み、
前記軸方向に沿った断面において、前記ディスク部の外面は、前記回転体の径方向における前記貫通孔よりも内側に、前記他方側側面から前記軸方向に沿って前記他方側に延在して前記シュラウド壁部の外周縁部に接続する他方側延在部と、を含む、請求項1乃至8の何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記ディスク部の外面は、前記軸方向における前記一方側を向く一方側側面を含み、
前記軸方向に沿った断面において、前記ディスク部の外面は、前記回転体の径方向において前記貫通孔よりも内側に、前記一方側側面から前記軸方向に沿って前記一方側に延在する一方側延在部と、前記軸方向における前記一方側延在部の前記一方側の端から前記径方向における内側に延在して前記シュラウド壁部の外周面に接続する段差部と、を含む、請求項1乃至9の何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記ディスク部は、前記貫通孔とは別に、少なくとも1つの中空部を含む、請求項1乃至10の何れか1項に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中空部は、前記周方向において前記貫通孔とは異なる位置に、前記回転体の径方向において前記貫通孔よりも内側の位置から前記貫通孔よりも外側の位置まで形成された中空部を含む、請求項11に記載のポンプ装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの中空部は、格子状に構成された中空部を含む、請求項11に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体を送るためのポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ポンプなどの液体ポンプをタービンにより駆動するターボ機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、駆動軸の一方側に燃料ポンプが接続され、駆動軸の他方側にタービンが接続されたターボ機械であって、駆動軸の中央に発電機が取り付けられたターボ機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-205353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような、駆動軸の一方側に燃料ポンプが接続され、駆動軸の他方側にタービンが接続されたターボ機械は、その駆動軸の軸線方向の長さが大きなものになるため、その大型化や重量化を招く虞がある。このようなターボ機械は、発電機のような動力(駆動軸の回転力)を回収する装置、又は電動機のような動力(駆動軸の回転力)を付与する装置が駆動軸に取り付ける構成にした場合には、その駆動軸の軸線方向の長さが大きなものになるとともに、駆動軸に取り付けられる軸受やシールが多くなりやすい。
【0005】
また、上記タービンの高温の作動流体により、駆動軸に取り付けられた軸受やシールが熱による劣化や性能低下を招く虞があり、駆動軸に取り付けられた軸受やシールを冷却するための冷却構造を設ける必要がある。このため、ターボ機械の大型化、重量化および部品点数が増加し、これによりターボ機械の信頼性が低下する虞がある。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、ポンプ装置の回転シャフトの軸線方向における長さを小さなものにできるとともに、ポンプ装置の信頼性の低下を抑制できるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るポンプ装置は、
回転体と、前記回転体を収容するケーシングと、を備えるポンプ装置であって、
前記回転体は、
ハブ部と、
前記ハブ部の外周面に前記回転体の周方向に間隔をあけて設けられた複数の遠心ポンプ翼と、
前記複数の遠心ポンプ翼の先端に接続するように前記周方向に沿って形成された環状のシュラウド壁部と、
前記シュラウド壁部の外周面から前記回転体の径方向における外側に突出するように前記周方向に沿って形成された環状のディスク部と、
前記ディスク部の外周面に前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼と、
を備え、
前記シュラウド壁部の内周側には、前記回転体の軸方向における一方側から他方側に向かって流れる液体が前記遠心ポンプ翼に流入する液体流路が形成され、
前記ディスク部の外周側には、前記他方側から前記一方側に向かって流れる気体が前記軸流タービン翼を通過する気体流路が形成され、
前記シュラウド壁部は、前記ディスク部よりも前記軸方向における前記他方側に、前記ケーシングの内周面に対して第1隙間を介して対向する他方側外周面を含み、
前記ディスク部は、前記軸方向における前記一方側の端面である一方側端面と、前記軸方向における他方側の端面である他方側端面とを含み、
前記第1隙間よりも前記径方向における外側に、前記ディスク部の前記他方側端面と前記ケーシングとの前記軸方向の隙間である他方側隙間をシールする第1シール部が設けられ、
前記ディスク部には、前記第1シール部よりも前記径方向における内側に、前記軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔が形成される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ポンプ装置の回転シャフトの軸線方向における長さを小さなものにできるとともに、ポンプ装置の信頼性の低下を抑制できるポンプ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態にかかるポンプ装置1を備えるポンプシステム10における回転軸線LAに沿った断面を模式的に示す概略断面図である。
図2図1に示したポンプ装置1の構成の一例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図3図2に示したポンプ装置1における各部の圧力を説明するための図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図4図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図5図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図6図4に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図7図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図8図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図9図4に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図10図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図11図4に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図12図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図13図4に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図14図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
図15図4に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
(ポンプシステムの全体構成)
図1は、本開示の一実施形態にかかるポンプ装置1を備えるポンプシステム10における回転軸線LAに沿った断面を模式的に示す概略断面図である。図2は、図1に示したポンプ装置1の構成の一例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
【0012】
例えば図1に示すように、ポンプシステム10は、少なくともポンプ装置1を備える。ポンプ装置1は、回転体25と、回転体25を収容するケーシング26とを備える。
【0013】
回転体25は、回転シャフト2と、回転シャフト2に設けられた環状のハブ部3と、ハブ部3の外周面31に周方向に間隔をあけて設けられた複数の遠心ポンプ翼4と、複数の遠心ポンプ翼4の先端41に接続するように回転体25の周方向に沿って形成された環状のシュラウド壁部34と、シュラウド壁部34の外周面36から回転体25の径方向における外側に突出するとともに回転体25の周方向に周方向に沿って形成された環状のディスク部35と、環状のディスク部35の外周面51に回転体25の周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼6と、を備える。
【0014】
ハブ部3の外周面31は、回転体25の回転軸線LAに沿った断面において凹状に湾曲した凹湾曲面31Aを含む。凹湾曲面31Aは、回転体25の軸方向における一方側端(前方側端)32から軸方向における他方側端(後方側端)33に向かうにつれて回転軸線LAからの距離が大きくなるように構成されている。
【0015】
以下では、回転体25の軸方向すなわち回転シャフト2の回転軸線(回転体25の回転軸線)LAの延在する方向を単に「軸方向」と記載し、回転体25の周方向すなわち回転シャフト2の周方向を単に「周方向」と記載し、回転体25の径方向すなわち回転シャフト2の径方向を単に「径方向」と記載する。
【0016】
また、軸方向における凹湾曲面31Aの後方側端33に対して前方側端32が位置する上記一方側(図中右側)を前方側と定義し、軸方向における前方側とは反対側(上記他方側、図中左側)を後方側と定義する。
【0017】
例えば図2に示されるように、ポンプ装置1は、シュラウド壁部34の内周面52に形成された凸湾曲面52Aとハブ部3の凹湾曲面31Aとにより形成された遠心流路11であって、軸方向に沿って導入された液体を径方向における外側に向かって流すための遠心流路11を有する。
【0018】
また、シュラウド壁部34の内周側には、軸方向における一方側(前方側)から他方側(後方側)に向かって流れる液体が遠心ポンプ翼4に流入する液体流路12が形成され、ディスク部35の外周側には、上記他方側(後方側)から上記一方側(前方側)に向かって流れる気体が軸流タービン翼6を通過する気体流路13が形成されている。
【0019】
液体流路12は、前方側から遠心流路11に繋がっている。液体流路12を後方側に向かって流れる液体は、遠心流路11に前方側から導入される。軸流タービン翼6は、後方側から前方側に向かって流れる気体が導入されて回転する。ハブ部3、遠心ポンプ翼4、シュラウド壁部34、ディスク部35及び軸流タービン翼6は、軸流タービン翼6の回転に伴い回転シャフト2とともに一体的に回転する。遠心ポンプ翼4が回転することにより発生した吸引力により、液体を液体流路12から遠心流路11に吸い込んで昇圧させるようになっている。
【0020】
例えば図1に示されるように、ケーシング26は、回転体25を収容する本体側ケーシング7と、本体側ケーシング7の前方側に締結される入口側ケーシング8と、を含む。入口側ケーシング8の内部には、遠心ポンプ翼4に液体を導入するための液体導入路81と、液体導入路81の外周側に形成された気体排出路82であって軸流タービン翼6を通過した気体を排出するための気体排出路82と、が形成されている。
【0021】
図示される実施形態では、液体流路12は、遠心流路11に繋がる本体側軸方向流路12Aと、本体側軸方向流路12Aに繋がる液体導入路81と、を含み、シュラウド壁部34の内周面52は、上述した凸湾曲面52Aと、凸湾曲面52Aの前方側端521よりも前方側に形成された案内面52Bと、を含む。案内面52Bは、軸方向に沿って延在する本体側軸方向流路12Aを形成する。液体導入路81は、入口側ケーシング8の後方側の端面83から軸方向に沿って前方側に延在する入口側軸方向流路81Aを含み、入口側ケーシング8における入口側軸方向流路81Aを形成する内面811の内側にシュラウド壁部34の前方側端部341が挿通されることで入口側軸方向流路81Aが本体側軸方向流路12Aに接続される。図示する例示的形態では、入口側ケーシング8の内面811は、シュラウド壁部34の前方側端部341の外周面と対向する内周面93と、入口側軸方向流路81Aの流路壁面810と、内周面93と流路壁面810とを接続する段差面812とを含み、案内面52Bと流路壁面810とは面一に形成されている。流路壁面810は内周面93よりも径方向における内側に形成されている。
【0022】
例えば図1に示されるように、入口側ケーシング8には、液体導入路81に液体を導入するための液体導入孔85が形成されている。液体導入孔85は、入口側ケーシング8における液体導入路81を形成する内面811に形成された内側開口端851と、入口側ケーシング8の外周面86に形成された外側開口端852と、を有する。内側開口端851は、シュラウド壁部34の前方側端部341よりも前方側に位置する。液体導入孔85と気体排出路82とは周方向において互いに異なる位置に形成されている。外側開口端852から導入された液体は、入口側軸方向流路81Aおよび本体側軸方向流路12Aを後方側に向かって流れて、遠心ポンプ翼4に導かれる。
【0023】
本体側ケーシング7の内部には、遠心ポンプ翼4を通過した液体を排出するための液体排出路71と、軸流タービン翼6に気体を導入するための気体導入路72と、が形成されている。本体側ケーシング7は、液体排出路71を形成する液体排出路形成部710と、気体導入路72を形成する気体導入路形成部720と、を含む。
【0024】
液体排出路71は、上述した遠心流路11の外周側にスクロール状に形成されたスクロール流路71Aを含む。液体排出路71は、本体側ケーシング7の外周面73に形成された液体排出口74を有する。液体排出口74は、径方向における外側に向かって開口している。遠心ポンプ翼4を通過した液体は、液体排出路71を流れた後に、液体排出口74から本体側ケーシング7の外部に排出される。
【0025】
上述した気体流路13は、気体導入路72と、気体排出路82と、を含む。本体側ケーシング7の気体導入口721から導入された気体は、気体導入路72を流れた後に、軸流タービン翼6に導かれる。軸流タービン翼6を通過した気体は、気体排出路82を流れた後に、不図示の気体排出口から排出される。
【0026】
図示される実施形態では、気体導入路72に軸流タービン10Aのノズル(静翼)14が設けられている。なお、軸流タービン10Aは、衝動タービン、反動タービン又は衝動反動タービンのうちの何れであってもよい。
【0027】
図示される実施形態では、入口側ケーシング8は、後方側における外周面86から径方向における外側に突出するフランジ部87を含む。入口側ケーシング8は、フランジ部87を周方向に間隔を空けて設けられた複数の締結部材15(図示例では締結ボルト)により本体側ケーシング7の前方側の端部76に締結することで、本体側ケーシング7に締結されている。
【0028】
このように、ポンプ装置1は、軸流タービン翼6を含む軸流タービン10Aと、遠心ポンプ翼4を含む遠心ポンプ10Bと、を備えており、軸流タービン10Aと遠心ポンプ10Bとが径方向に一体化されている。
【0029】
例えば図2に示されるように、シュラウド壁部34は、筒状に構成されており、回転軸線LAに沿った断面において凸状に湾曲した凸湾曲面52Aを含む内周面52を有する。凸湾曲面52Aは、軸方向における前方側端521から後方側端522に向かうにつれて回転軸線LAからの距離が大きくなるように構成されている。遠心ポンプ翼4は、その基端がハブ部3の凹湾曲面31Aに設けられ、上記基端とは反対側に位置する先端41が、シュラウド壁部34の凸湾曲面52Aに接続している。シュラウド壁部34の凸湾曲面52Aは、ハブ部3の凹湾曲面31Aよりも径方向における外側に位置し、凹湾曲面31Aとの間に隙間を有して配置されている。シュラウド壁部34は、ディスク部35よりも後方側に、本体側ケーシング7の内周面79に対して隙間22を介して対向する後方側外周面56を含む。
【0030】
環状のディスク部35は、外周面51と、軸方向における前方側(上記一方側)を向く前方側側面78(一方側側面)と、軸方向における後方側(上記他方側)を向く後方側側面80(他方側側面)とを含む。図示する例示的形態では、ディスク部35における後述の気体流路13に面する外周部65の軸方向の厚さは、ディスク部35におけるシュラウド壁部34に接続する内周部66の軸方向の厚さよりも大きくなっている。ディスク部35の外周部65と内周部66とはテーパ部67によって接続されており、軸方向におけるテーパ部67の厚さは、径方向における外側に向かうにつれて大きくなっている。
【0031】
環状のディスク部35の外周部65における前方側の端面である前方側端面(一方側端面)53と、ケーシング26における前方側端面53に対向する静止壁16との間には、軸方向の隙間である前方側隙間(一方側隙間)17が形成されている。
【0032】
図示される実施形態では、環状のディスク部35の前方側端面53は、軸流タービン翼6が取り付けられた外周面51の前方側端から径方向における内側に径方向に沿って延在している。静止壁16は、前方側端面53に対向して配置される入口側ケーシング8の後方側の端面83からなる。図示される実施形態では、前方側隙間17は、入口側ケーシング8の端面83とディスク部35の前方側端面53との間に形成されている。前方側隙間17は、気体流路13における軸流タービン翼6よりも前方側(下流側)、且つ気体排出路82よりも後方側(上流側)に繋がる。
【0033】
前方側空間20は、前方側隙間17の内周側で環状のディスク部35と入口側ケーシング8との間に形成された空間である。前方側空間20は、その内周側に形成された液体流路12に繋がる。
【0034】
環状のディスク部35の外周部65における後方側の端面である後方側端面(他方側端面)54と、ケーシング26における後方側端面54に対向する静止壁18との間には、軸方向の隙間である後方側隙間(他方側隙間)19が形成されている。後方側隙間19は、隙間22よりも径方向における外側に位置する。
【0035】
図示される実施形態では、環状のディスク部35の後方側端面54は、軸流タービン翼6が取り付けられた外周面51の後方端から径方向における内側に径方向に沿って延在している。静止壁18は、後方側端面54に対向して配置される本体側ケーシング7の前方側の端面77からなる。すなわち、図示される実施形態では、後方側隙間19は、ディスク部35の後方側端面54と本体側ケーシングの端面77との間に形成されている。後方側隙間19は、気体流路13におけるノズル14よりも前方側(下流側)、軸流タービン翼6よりも後方側(上流側)に繋がる。
【0036】
シュラウド壁部34は、軸流タービン翼6が取り付けられたディスク部35の外周面51よりも後方側、且つ外周面51よりも径方向における内側に位置する後方側外周面56と、軸方向における外周面51と後方側外周面56との間において、後方側外周面56よりも径方向における内側に凹む環状凹部57と、を有する。後方側空間21は、後方側隙間19の内周側に形成された空間であり、環状凹部57に面する空間を含む。後方側空間21は、隙間22を通じて遠心流路11の出口に連通している。内周面79は、上記端面77における径方向の内側端から後方側に軸方向に沿って延在している。
【0037】
(シール部)
ポンプ装置1は、隙間22よりも径方向における外側に、後方側隙間19をシールする第1シール部62を備える。第1シール部62は、フィンセット63を備えており、フィンセット63は、径方向に間隔を空けて設けられた複数のフィン64を含む。図示する例では、第1シール部62は、径方向に間隔を空けて設けられた2つのフィン64からなるフィンセット63を含む。フィン64の各々は、周方向に沿って環状に形成されている。また、フィン64の各々は、ケーシング26における静止壁18から前方側に向けて突出するように構成されている。このように、第1シール部62はラビリンスシールにより構成されている。
【0038】
ポンプ装置1は、隙間22よりも径方向における外側に、前方側隙間17をシールする第2シール部68を備える。第2シール部68は、フィンセット90を備えており、フィンセット90は、径方向に間隔を空けて設けられた複数のフィン91を含む。図示する例では、第2シール部68は、径方向に間隔を空けて設けられた2つのフィン91からなるフィンセット90を含む。フィン91の各々は、周方向に沿って環状に形成されている。また、フィン91の各々は、ケーシング26における静止壁16から後方側に向けて突出するように構成されている。このように、第2シール部68はラビリンスシールにより構成されている。
【0039】
ポンプ装置1は、ディスク部35よりも前方側に、シュラウド壁部34の外周面36と入口側ケーシング8の内周面93との径方向の隙間94をシールする第3シール部69を備えている。図示する例では、隙間94は、シュラウド壁部34の前方側端部341の外周面と入口側ケーシング8の内周面93と間に形成されている。第3シール部69は、フィンセット95を備えており、フィンセット95は、軸方向に間隔を空けて設けられた複数のフィン96を含む。図示する例では、第3シール部69は、軸方向に間隔を空けて設けられた3つのフィン96からなるフィンセット95を含む。フィン96の各々は、周方向に沿って環状に形成されている。フィン96の各々は、ディスク部35よりも前方に位置し、シュラウド壁部34の外周面36から径方向における外側に向けて突出するように構成されている。このように、第3シール部69はラビリンスシールにより構成されている。
【0040】
(貫通孔)
ディスク部35には、ディスク部35を軸方向に沿って貫通する複数の貫通孔55が形成されている。複数の貫通孔55は、第1シール部62よりも径方向における内側(フィンセット63よりも径方向における内側)に、周方向に間隔を空けて配置されている。貫通孔55の各々は、前方側隙間17又は前方側隙間17に繋がる前方側空間(一方側空間)20と、後方側隙間19又は後方側隙間19に繋がる後方側空間(他方側空間)21と、を連通している。図示する例では、貫通孔55の各々は、テーパ部67を軸方向に貫通するように構成されている。
【0041】
貫通孔55は、ディスク部35の前方側に形成された前方側開口端551と、ディスク部35の後方側に形成された後方側開口端552と、を有する。図示される実施形態では、前方側開口端551は、ディスク部35の前方側側面78における前方側端面53の内周側に連なる面58(図示する例ではテーパ部67における前方側の面58)に形成され、後方側開口端552は、ディスク部35の後方側側面80における後方側端面54の内周側に連なる面59(図示する例ではテーパ部67における後方側の面59)に形成されている。前方側開口端551は、前方側空間20に繋がり、後方側開口端552は、後方側空間21に繋がる。なお、他の幾つかの実施形態では、前方側開口端551が前方側端面53に形成されて前方側隙間17に繋がるようになっていてもよいし、後方側開口端552が後方側端面54に形成されて後方側隙間19に繋がるようになっていてもよい。図示される実施形態では、貫通孔55は、前方側開口端551の中心と回転軸線LAとの距離が、後方側開口端552の中心と回転軸線LAとの距離と同じになっている。
【0042】
上記の構成によれば、ポンプ装置1は、複数の遠心ポンプ翼4の先端41に接続するように周方向に沿って環状に形成されたシュラウド壁部34と、シュラウド壁部34の外周面36から径方向に突出するとともに周方向に沿って環状に形成されたディスク部35と、ディスク部35の外周面51に周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼6と、を備える。このようなポンプ装置1は、軸流タービン10Aおよび遠心ポンプ10Bを径方向に一体化させることで、その軸方向における長さを小さくすることができ、ポンプ装置1のコンパクト化及び小型軽量化が図れる。
【0043】
また、上記の構成によれば、ポンプ装置1は、シュラウド壁部34の内周側には、前方側から後方側に向かって流れる液体が遠心ポンプ翼4に流入する液体流路12が形成され、ディスク部35の外周側には、後方側から前方側に向かって流れる気体が軸流タービン翼6を通過する気体流路13が形成されている。この構成によれば、シュラウド壁部34、ディスク部35及び軸流タービン翼6は、液体流路12を流れて遠心ポンプ翼4を通過する液体により冷却されるため、その耐熱性を向上できる。また、気体流路13を流れる気体の熱は、液体流路12を流れて遠心ポンプ翼4を通過する液体により遮熱されるため、ディスク部35及びシュラウド壁部34を通じて、ハブ部3や回転シャフト2に伝達されるのを抑制できる。これにより、回転シャフト2に取り付けられた軸受やシールの熱による劣化や性能低下を抑制できる。したがって、ポンプ装置1は、回転シャフト2に取り付けられる軸受やシールを冷却するための冷却構造を不要化又は簡略化することができ、ポンプ装置1の大型化、重量化および部品点数の増加を抑制でき、ポンプ装置1の大型化、重量化および部品点数の増加に伴う信頼性の低下を抑制できる。
【0044】
また、上記の構成によれば、ポンプ装置1は、本体側ケーシング7および本体側ケーシング7の前方側に締結される入口側ケーシング8を備え、入口側ケーシング8の内部には、液体導入路81と、液体導入路81の外周側に形成された気体排出路82が形成されている。これにより、入口側ケーシング8の軸方向における長さを小さなものにでき、ひいてはポンプ装置1のコンパクト化や小型軽量化が図れる。
【0045】
上記の構成によれば、遠心ポンプ翼4を通過する液体は、ポンプ装置1の駆動により遠心力が付与されて昇圧する。この昇圧した液体の一部は、上記隙間22を介して後方側隙間19や後方側空間21に流入する。
【0046】
ここで、図3に示すように、液体流路12を流れる液体の圧力をP1(ポンプ入口圧力)、遠心ポンプ翼4を通過した液体の圧力をP2(ポンプ出口圧力)、軸流タービン翼6の入口における気体の圧力をP3(ノズル14と軸流タービン翼6との間の圧力)、後方側隙間19における2つのフィン64の間の圧力をP4(後方隙間圧力)、気体排出路82における気体の圧力(タービン出口圧力)をP5、前方側空間20の圧力をP6とすると、P1<P2>P3>P5>P1を満たすようなポンプ装置1の設計条件において、P2>P4>P3>P6を満たすような圧力P4(P2とP3の中間圧力)が得られる。このため、後方側隙間19や後方側空間21に流入した液体(ポンプリーク液)は、後方側隙間19を通って気体流路13へ流れることを第1シール部62によって抑制されるとともに、ポンプ装置1の駆動により貫通孔55を通過して前方側隙間17や前方側空間20に送られる。すなわち、後方側隙間19に第1シール部62が設けられるとともにディスク部35に貫通孔55が形成されているため、後方側隙間19や後方側空間21に流入した液体(ポンプリーク液)は、後方側隙間19を通って気体流路13へ流れることを第1シール部62によって抑制されるとともに、ポンプ装置1の駆動により貫通孔55を通過して前方側隙間17や前方側空間20に送られる。この液体により、軸流タービン翼6、環状のディスク部35、入口側ケーシング8及びシュラウド壁部34の前方側の部分を冷却できる。
【0047】
したがって、ポンプ装置1の保管中にシュラウド壁部34の内周側からディスク部35の外周側へ液体がリークすることを抑制してポンプ装置1の起動時の消費動力を低減することを抑制しつつ、貫通孔55を通った液体によってタービン出口側(ディスク部35及びディスク部35よりも前方側)を効果的に冷却することができる。よって、ポンプ効率の低下を抑制しつつ、タービン出口側に要求される耐熱性のレベルを下げて各種部品の材料コストを低減することができる。なお、仮に上記隙間22にラビリンスシールを設けた場合、隙間22からタービン側にリークする液体が少なくなるため、貫通孔55を通る液体によるタービン出口側の冷却効果が限定的となる。このため、上記実施形態では、隙間22ではなく前方側隙間17を第1シール部62によってシールすることにより、タービン出口側を効果的に冷却することができる。
【0048】
また、貫通孔55を設けることにより、ディスク部35における前後差圧を小さくすることができ、回転体25を回転可能に支持する不図示の軸受に作用するスラスト荷重を低減することができるため、ポンプ装置1の信頼性を高めることができる。
【0049】
また、上記の構成によれば、前方側隙間17や前方側空間20には、貫通孔55を通じて後方側隙間19や後方側空間21に存在する流体が流入するため、貫通孔55が形成されていない場合に比べて、前方側隙間17や前方側空間20の圧力を高められる。また、前方側隙間17に第2シール部68が設けられているため、上記圧力P1~P6に関してP5>P1を満たす上記設計条件において、P5>P6>P1を満たすような圧力P6(P1とP5の中間圧力)が得られるため、第2シール部68が無い場合と比較して、軸流タービン翼6を通過した気体が前方側隙間17や前方側空間20を通過して液体流路12に流入することを抑制できる。軸流タービン翼6を通過した気体の液体流路12への流入を抑制することで、液体流路12又は遠心流路11におけるキャビテーションの発生を抑制できる。
【0050】
また、上記径方向の隙間94をシールする第3シール部69が設けられているため、第3シール部69が無い場合と比較して、軸流タービン翼6を通過した気体がディスク部35の前方側側面78と入口側ケーシング8との間の空間(上記前方側隙間17や前方側空間20)を通過して液体流路12に流入することを抑制できる。軸流タービン翼6を通過した気体の液体流路12への流入を抑制することで、液体流路12におけるキャビテーションの発生を抑制できる。
【0051】
(ポンプ装置の変形例)
次に、図1に示したポンプ装置1について、幾つかの他の実施形態を説明する。以下で説明する幾つかの実施形態において、上述のポンプ装置1の各構成と共通の符号は、特記しない限り上述のポンプ装置1の各構成と同様の構成を示すものとし、説明を省略する。
【0052】
図4は、図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
幾つかの実施形態では、例えば図4に示すように、第1シール部62のフィンセット63は、ディスク部35に設けられていてもよい。図4に示す構成では、フィンセット63のフィン64の各々は、ディスク部35の後方側端面54から後方側に向けて(静止壁18に向けて)突出するように構成されている。
【0053】
これにより、図2及び図3に示した構成と同様に、シュラウド壁部34の内周側からディスク部35の外周側へ液体がリークすることを抑制しつつ、貫通孔55を通った液体によってタービン出口側(ディスク部35及びディスク部35よりも前方側)を効果的に冷却することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、例えば図4に示すように、第2シール部68のフィンセット90は、ディスク部35に設けられていてもよい。図4に示す構成では、フィンセット90のフィン91の各々は、ディスク部35の前方側端面53から前方側に向けて(静止壁16に向けて)突出するように構成されている。
【0055】
これにより、図2及び図3に示した構成と同様に、第2シール部68が無い場合と比較して、軸流タービン翼6を通過した気体が前方側隙間17や前方側空間20を通過して液体流路12に流入することを抑制できる。軸流タービン翼6を通過した気体の液体流路12への流入を抑制することで、液体流路12又は遠心流路11におけるキャビテーションの発生を抑制できる。
【0056】
図5は、図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。図6は、図4に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
【0057】
幾つかの実施形態では、例えば図5及び図6に示すように、ポンプ装置1は、後方側隙間19を塞ぐように配置された蝋88を含む。例えば図5に示す構成では、蝋88は、複数のフィン64の間に埋め込まれるとともに複数のフィン64とディスク部35の後方側端面54との間にも埋め込まれている。例えば図6に示す構成では、蝋88は、複数のフィン64の間に埋め込まれるとともに複数のフィン64と本体側ケーシング7の端面77(静止壁18)との間にも埋め込まれている。
【0058】
かかる構成では、ポンプ装置1の静止時(ポンプ装置1の新品時)には後方側隙間19が蝋によってシールされており、ポンプ装置1の起動時には、矢印a1に示すように回転体25の遠心力で蝋88が気体流路13側へ押し出されるか、矢印a2に示すように気体流路13を流れる高温の気体の熱によって蝋88が溶けることによって、第1シール部62のフィン64とディスク部35又は本体側ケーシング7との間に適切なクリアランスが形成される。これにより、ポンプ装置1の静止時にシュラウド壁部34の内周側からディスク部35の外周側へ液体がリークすることを抑制することができるため、ポンプ装置1の起動時に気体流路13側に液体が溜まることに起因する軸流タービン10A側で消費される動力を低減することができる。また、ポンプ装置1の起動後には第1シール部62のフィン64とディスク部35又は本体側ケーシング7との間に適切なクリアランスが形成されるため、回転体25の回転を許容しつつ、貫通孔55を通った液体によってタービン出口側を効果的に冷却することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、例えば図5及び図6に示すように、ポンプ装置1は、前方側隙間17を塞ぐように配置された蝋89を含む。例えば図5に示す構成では、蝋89は、複数のフィン91の間に埋め込まれるとともに複数のフィン91とディスク部35の前方側端面53との間にも埋め込まれている。例えば図6に示す構成では、蝋89は、複数のフィン91の間に埋め込まれるとともに複数のフィン91と入口側ケーシング8の端面83(静止壁16)との間にも埋め込まれている。
【0060】
かかる構成では、ポンプ装置1の静止時(ポンプ装置1の新品時)には前方側隙間17が蝋89によってシールされており、ポンプ装置1の起動時には、矢印a3に示すように回転体25の遠心力で蝋89が気体流路13側へ押し出されるか、矢印a4に示すように気体流路13を流れる高温の気体の熱によって蝋89が溶けることによって、第2シール部68のフィン91とディスク部35又は入口側ケーシング8との間に適切なクリアランスが形成される。これにより、ポンプ装置1の静止時にシュラウド壁部34の内周側からディスク部35の外周側へ液体がリークすることを抑制することができるため、ポンプ装置1の起動時に気体流路13側に液体が溜まることに起因する軸流タービン10A側で消費される動力を低減することができる。また、ポンプ装置1の起動後には第2シール部68のフィン91とディスク部35又は入口側ケーシング8との間に適切なクリアランスが形成されるため、回転体25の回転を許容しつつ、貫通孔55を通った液体によってタービン出口側を効果的に冷却することができる。
【0061】
図7は、図2及び図3に示したポンプ装置1の変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
幾つかの実施形態では、ポンプ装置1は、例えば図7に示すように、複数のフィン64の先端に形成されたアブレーダブルコーティング層641と、複数のフィン91の先端に形成されたアブレーダブルコーティング層911とを備えていてもよい。図示する構成では、アブレーダブルコーティング層641は、ディスク部35の後方側端面54に当接しており、複数のフィン64とディスク部35との間を塞いでいる。また、アブレーダブルコーティング層911は、ディスク部35の前方側端面53に当接しており、複数のフィン91とディスク部35との間を塞いでいる。
【0062】
かかる構成では、ポンプ装置1の静止時には前方側隙間17がアブレーダブルコーティング層911によってシールされており、ポンプ装置1の起動時には、回転体25の回転に伴いアブレーダブルコーティング層911が摩擦で削れることによって、第2シール部68のフィン91とディスク部35との間に適切なクリアランスが形成される。また、ポンプ装置1の静止時には後方側隙間19がアブレーダブルコーティング層641によってシールされており、ポンプ装置1の起動時には、回転体25の回転に伴いアブレーダブルコーティング層641が摩擦で削れることによって、第1シール部62のフィン64とディスク部35との間に適切なクリアランスが形成される。
【0063】
これにより、ポンプ装置1の静止時にシュラウド壁部34の内周側からディスク部35の外周側へ液体がリークすることを抑制することができるため、ポンプ装置1の起動時に気体流路13側に液体が溜まることに起因する軸流タービン10A側で消費される動力を低減することができる。また、シュラウド壁部34の内周側からディスク部35の外周側へ液体がリークすることを抑制しつつ、貫通孔55を通った液体によってタービン出口側を効果的に冷却することができる。
【0064】
なお、他の実施形態では、例えば図4に示した構成において、ポンプ装置1は、複数のフィン64の先端に形成されたアブレーダブルコーティング層(不図示)と、複数のフィン91の先端に形成されたアブレーダブルコーティング層(不図示)とを備えていてもよい。この場合、ポンプ装置1の静止時において、複数のフィン64の先端に形成されたアブレーダブルコーティング層は、複数のフィン64と本体側ケーシング7の端面77との間を塞ぐように本体側ケーシング7の端面77に当接し、複数のフィン91の先端に形成されたアブレーダブルコーティング層は、複数のフィン91と入口側ケーシング8の端面83との間を塞ぐように入口側ケーシング8の端面83に当接する。この場合も、図7に示した構成と同様の効果を得ることができる。
【0065】
図8図10図12及び図14は、図2及び図3に示したポンプ装置1の幾つかの変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。図9図11図13及び図15は、図4に示したポンプ装置1の幾つかの変形例を示す図であり、ポンプ装置1における回転軸線LAに沿った断面を拡大した概略断面図である。
【0066】
図8図10図12及び図14に示す幾つかの実施形態では、図2及び図3に示したポンプ装置1と同様に、第1シール部62のフィンセット63及び第2シール部68のフィンセット90はケーシング26に設けられている。図9図11図13及び図15に示す幾つかの実施形態では、図4に示したポンプ装置1と同様に、第1シール部62のフィンセット63及び第2シール部68のフィンセット90は、ディスク部35に設けられている。
【0067】
幾つかの実施形態では、例えば図8図15に示すように、軸方向に沿った断面において、ディスク部35の外面351は、径方向における貫通孔55よりも内側に、後方側側面80から軸方向に沿って後方側に延在してシュラウド壁部34に接続する後方側延在部352を含む。図示する例では、後方側延在部352は、上記後方側外周面56と面一に形成されている。
【0068】
かかる構成によれば、環状凹部57が形成された図2に示す構成と比較して、ポンプ装置1の保管時に液体燃料で満たされる体積を低減することにより、ポンプ装置1の起動時の液だまりに起因する損失を低減することが可能となる。
【0069】
幾つかの実施形態では、例えば図10図15に示すように、軸方向に沿った断面において、ディスク部35の外面351は、径方向において貫通孔55よりも内側に、一方側側面78から軸方向に沿って前方側に延在する前方側延在部353と、軸方向における前方側延在部353の前方側の端から径方向における内側に延在してシュラウド壁部34の外周面36に接続する段差部354と、を含む。
【0070】
かかる構成によれば、前方側延在部353が設けられていない図2に示す構成と比較して、ポンプ装置1の保管時に液体燃料で満たされる体積を低減することにより、ポンプ装置1の起動時の液だまりに起因する損失を低減することが可能となる。
【0071】
幾つかの実施形態では、例えば図10図15に示すように、ディスク部35は、貫通孔55とは別に、少なくとも1つの中空部451を含む。
【0072】
かかる構成によれば、ディスク部35の一部を中空にすることによって、回転体25の重量を低減し、軸振動及び消費動力を低減することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、例えば図12及び図13に示すように、ディスク部35の上記少なくとも1つの中空部451は、周方向において貫通孔55とは異なる位置に、径方向に置いて貫通孔55よりも内側の位置から貫通孔よりも外側の位置まで形成された中空部451を含む。この場合、ディスク部35には、周方向において貫通孔55とは異なる位置に、周方向に間隔を空けて複数の中空部451が設けられていてもよい。
【0074】
かかる構成によれば、図10及び図11に示す構成と比較して、中空部451が形成される範囲を径方向に拡大することによって、回転体25の重量をさらに低減し、軸振動及び消費動力の低減効果を高めることができる。また、中空部451と貫通孔55とを周方向において互いに異なる位置に配置することにより、ポンプ側からのリーク液が貫通孔55から中空部451に流入することを防ぐことができるため、ポンプの起動時における消費動力を低減することができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、例えば図14及び図15に示すように、上記少なくとも1つの中空部451は、格子状に構成された中空部451を含む。
【0076】
かかる構成によれば、中空部451を格子状に構成することによって、ディスク部35の強度を高めることができ、高速回転により応力の観点で厳しい運転条件であってもポンプ装置1を使用することが可能となる。
【0077】
(回転力回収装置又は回転力付与装置)
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、ポンプシステム10は、ポンプ装置1と、回転シャフト2の回転力を回収するように構成された回転力回収装置96、又は、回転シャフト2に回転力を付与するように構成された回転力付与装置98、の何れか一方と、を備える。回転力回収装置96又は回転力付与装置98は、回転シャフト2に取り付けられる。回転力回収装置96は例えば発電機であってもよく、回転力付与装置98は、例えば電動モータであってもよい。
【0078】
かかる構成によれば、ポンプシステム10が回転力回収装置96を備える場合には回転シャフト2の回転力を回収することができ、ポンプシステム10が回転力付与装置98を備える場合には回転シャフト2の回転をアシストすることができる。
【0079】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0080】
例えば、上述したディスク部35には、周方向に間隔を空けて複数の貫通孔55が形成されていたが、ディスク部35の貫通孔55の数は限定されず、例えば1つであってもよいし、環状のディスク部35における内周面60よりも径方向外側には貫通孔が設けられていなくともよい。
【0081】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0082】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るポンプ装置(例えば上述のポンプ装置1)は、
回転体(例えば上述の回転体25)と、前記回転体を収容するケーシング(例えば上述のケーシング26)と、を備えるポンプ装置であって、
前記回転体は、
ハブ部(例えば上述のハブ部3)と、
前記ハブ部の外周面に前記回転体の周方向に間隔をあけて設けられた複数の遠心ポンプ翼(例えば上述の遠心ポンプ翼4)と、
前記複数の遠心ポンプ翼の先端に接続するように前記周方向に沿って形成された環状のシュラウド壁部(例えば上述のシュラウド壁部34)と、
前記シュラウド壁部の外周面から前記回転体の径方向における外側に突出するように前記周方向に沿って形成された環状のディスク部(例えば上述のディスク部35)と、
前記ディスク部の外周面に前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼(例えば上述の軸流タービン翼6)と、
を備え、
前記シュラウド壁部の内周側には、前記回転体の軸方向における一方側から他方側に向かって流れる液体が前記遠心ポンプ翼に流入する液体流路(例えば上述の液体流路12)が形成され、
前記ディスク部の外周側には、前記他方側から前記一方側に向かって流れる気体が前記軸流タービン翼を通過する気体流路(例えば上述の気体流路13)が形成され、
前記シュラウド壁部は、前記ディスク部よりも前記軸方向における前記他方側に、前記ケーシングの内周面に対して第1隙間(例えば上述の隙間22)を介して対向する他方側外周面(例えば上述の後方側外周面56)を含み、
前記ディスク部は、前記軸方向における前記一方側の端面である一方側端面(例えば上述の前方側端面53)と、前記軸方向における他方側の端面である他方側端面(例えば上述の後方側端面54)とを含み、
前記第1隙間よりも前記径方向における外側に、前記ディスク部の前記他方側端面と前記ケーシングとの前記軸方向の隙間である他方側隙間(例えば上述の後方側隙間19)をシールする第1シール部(例えば上述の第1シール部62)が設けられ、
前記ディスク部には、前記第1シール部よりも前記径方向における内側に、前記軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔(例えば上述の複数の貫通孔55)が形成される。
【0083】
上記(1)に記載のポンプ装置によれば、ポンプ装置の回転体は、複数の遠心ポンプ翼の先端に接続するように周方向に沿って形成された環状のシュラウド壁部と、シュラウド壁部の外周面に固定された環状のディスク部と、ディスク部の外周面に周方向に間隔を空けて設けられた複数の軸流タービン翼と、を備えている。すなわち、このようなポンプ装置は、軸流タービンの回転体と遠心ポンプの回転体とが径方向に一体化されている。このため、ポンプ装置の軸方向における長さを小さくすることができ、ポンプ装置のコンパクト化及び小型軽量化が図れる。
【0084】
また、シュラウド壁部の内周側には、一方側から他方側に向かって流れる液体が遠心ポンプ翼に流入する液体流路が形成され、ディスク部の外周側には、上記他方側から上記一方側に向かって流れる気体が軸流タービン翼を通過する気体流路が形成されている。この構成によれば、シュラウド壁部、ディスク部及び軸流タービン翼は、液体流路を流れて遠心ポンプ翼を通過する液体により冷却されるため、その耐熱性を向上できる。また、気体流路を流れる気体の熱は、液体流路を流れて遠心ポンプ翼を通過する液体により遮熱されるため、ディスク部及びシュラウド壁部を通じて、ハブ部に伝達されるのを抑制できる。これにより、軸受やシールの熱による劣化や性能低下を抑制できる。したがって、ポンプ装置は、軸受やシールを冷却するための冷却構造を不要化又は簡略化することができ、ポンプ装置の大型化、重量化および部品点数の増加を抑制でき、ポンプ装置の大型化、重量化および部品点数の増加に伴う信頼性の低下を抑制できる。
【0085】
また、遠心ポンプ翼を通過する液体は、ポンプ装置の駆動により遠心力が付与されて昇圧する。この昇圧した液体の一部は、上記第1隙間を介して軸方向におけるディスク部の他方側側面とケーシング又はシュラウド壁部との間の空間に流入する。そして、他方側隙間に第1シール部が設けられるとともにディスク部に貫通孔が形成されているため、ディスク部の他方側側面とケーシング又はシュラウド壁部との間の空間(例えば上記後方側隙間19や後方側空間21)に流入した液体(ポンプリーク液)は、上記他方側隙間を通って気体流路へ流れることを第1シール部によって抑制されるとともに、ポンプ装置の駆動により貫通孔を通過してディスク部の一方側側面とケーシングとの間の空間(例えば上記前方側隙間17や前方側空間20)に送られる。
この液体により、軸流タービン翼、環状のディスク部、ケーシング及びシュラウド壁部の上記一方側の部分を冷却できる。したがって、シュラウド壁部の内周側からディスク部の外周側へ液体がリークすることを抑制しつつ、貫通孔を通った液体によってタービン出口側(ディスク部及びディスク部の一方側)を効果的に冷却することができる。よって、ポンプ効率の低下を抑制しつつ、タービン出口側に要求される耐熱性のレベルを下げて各種部品の材料コストを低減することができる。
【0086】
また、貫通孔を設けることにより、ディスク部における前後差圧を小さくすることができ、回転体を回転可能に支持する不図示の軸受に作用するスラスト荷重を低減することができるため、ポンプ装置の信頼性を高めることができる。
【0087】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のポンプ装置において、
前記ディスク部の前記一方側端面と前記ケーシングとの前記軸方向の隙間である一方側隙間をシールする第2シール部(例えば上述の第2シール部68)が設けられる。
【0088】
上記(2)に記載のポンプ装置によれば、上記一方側隙間をシールする第2シール部が設けられているため、第2シール部が無い場合と比較して、軸流タービン翼を通過した気体がディスク部の一方側側面とケーシングとの間の空間(例えば上記前方側隙間17や前方側空間20)を通過して液体流路に流入することを抑制できる。軸流タービン翼を通過した気体の液体流路への流入を抑制することで、液体流路におけるキャビテーションの発生を抑制できる。
【0089】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のポンプ装置において、
前記ディスク部よりも前記軸方向における前記一方側に、前記シュラウド壁部の外周面と前記ケーシングの内周面との前記径方向の隙間をシールする第3シール部(例えば上述の第3シール部69)が設けられる。
【0090】
上記(3)に記載のポンプ装置によれば、上記径方向の隙間をシールする第3シール部が設けられているため、第3シール部が無い場合と比較して、軸流タービン翼を通過した気体がディスク部の一方側側面とケーシングとの間の空間(例えば上記前方側隙間17や前方側空間20)を通過して液体流路に流入することを抑制できる。軸流タービン翼を通過した気体の液体流路への流入を抑制することで、液体流路におけるキャビテーションの発生を抑制できる。
【0091】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のポンプ装置において、
前記第1シール部及び前記第2シール部の少なくとも一方は、前記径方向に間隔を空けて設けられた複数のフィン(例えば上述の複数のフィン64又は複数のフィン91)を含むフィンセット(例えば上述のフィンセット63又はフィンセット90)を備える。
【0092】
上記(4)に記載のポンプ装置によれば、一方側隙間及び他方側隙間の少なくとも一方に径方向の圧力勾配を形成し、複数のフィンの間の圧力を上記圧力勾配のある領域における中間圧力とすることができる。これにより、上記(1)又は(2)に記載の効果を高めることができる。
【0093】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載のポンプ装置において、
前記フィンセットは、前記ケーシングに設けられる。
【0094】
上記(5)に記載のポンプ装置によれば、ケーシングに設けられたフィンセットによって一方側隙間及び他方側隙間の少なくとも一方に径方向の圧力勾配を形成し、複数のフィンの間の圧力を上記圧力勾配のある領域における中間圧力とすることができる。これにより、上記(1)又は(2)に記載の効果を高めることができる。
【0095】
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載のポンプ装置において、
前記フィンセットは、前記ディスク部に設けられる。
【0096】
上記(6)に記載のポンプ装置によれば、ディスク部に設けられたフィンセットによって一方側隙間及び他方側隙間の少なくとも一方に径方向の圧力勾配を形成し、複数のフィンの間の圧力を上記圧力勾配のある領域における中間圧力とすることができる。これにより、上記(1)又は(2)に記載の効果を高めることができる。
【0097】
(7)幾つかの実施形態では、上記(4)乃至(6)の何れかに記載のポンプ装置において、
前記一方側隙間及び前記他方側隙間の少なくとも一方を塞ぐように配置された蝋(例えば上述の蝋88又は蝋89)を更に備える。
【0098】
上記(7)に記載のポンプ装置によれば、ポンプ装置の静止時(ポンプ装置の新品時)には一方側隙間及び他方側隙間の少なくとも一方が蝋によって塞がれており、ポンプ装置の起動時には、回転体の遠心力で蝋が気体流路側へ押し出されるか、気体流路を流れる高温の気体の熱によって蝋が溶けることで、フィンとディスク部又はケーシングとの間に適切なクリアランスが形成される。これにより、ポンプ装置の静止時にシュラウド壁部の内周側からディスク部の外周側へ液体がリークすることを抑制することができるため、ポンプ装置の起動時に気体流路側に液体が溜まることに起因する軸流タービン側で消費される動力を低減することができる。また、ポンプ装置の起動後にはフィンとディスク部又はケーシングとの間に適切なクリアランスが形成されるため、回転体の回転を許容しつつ、貫通孔を通った液体によってタービン出口側を効果的に冷却することができる。
【0099】
(8)幾つかの実施形態では、上記(4)乃至(6)の何れかに記載のポンプ装置において、
前記複数のフィンの先端に形成されたアブレーダブルコーティング層(例えば上述のアブレーダブルコーティング層641又は911)を更に備える。
【0100】
上記(8)に記載のポンプ装置によれば、ポンプ装置の静止時に上記一方側隙間及び上記他方側隙間の少なくとも一方がアブレーダブルコーティング層によってシールされており、ポンプ装置の起動時には、回転体の回転に伴いアブレーダブルコーティング層が摩擦で削れることによって、フィンとディスク部との間に適切なクリアランスが形成される。
これにより、ポンプ装置の静止時にシュラウド壁部の内周側からディスク部の外周側へ液体がリークすることを抑制することができるため、ポンプ装置の起動時に気体流路側に液体が溜まることに起因する軸流タービン側で消費される動力を低減することができる。また、ポンプ装置の起動後にはフィンとディスク部又はケーシングとの間に適切なクリアランスが形成されるため、回転体の回転を許容しつつ、貫通孔を通った液体によってタービン出口側を効果的に冷却することができる。
【0101】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかに記載のポンプ装置において、
前記ディスク部の外面は、前記軸方向における前記他方側を向く他方側側面(例えば上述の後方側側面80)を含み、
前記軸方向に沿った断面において、前記ディスク部の外面は、前記回転体の径方向における前記貫通孔よりも内側に、前記他方側側面から前記軸方向に沿って前記他方側に延在して前記シュラウド壁部の外周縁部に接続する他方側延在部(例えば上述の後方側延在部352)と、を含む。
【0102】
上記(9)に記載のポンプ装置によれば、他方側延在部が設けられていない図2に示すような構成と比較して、ポンプ装置の保管時に液体燃料で満たされる体積を低減することにより、ポンプ装置の起動時の液だまりに起因する損失を低減することが可能となる。
【0103】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかに記載のポンプ装置において、
前記ディスク部の外面は、前記軸方向における前記一方側を向く一方側側面(例えば上述の前方側側面78)を含み、
前記軸方向に沿った断面において、前記ディスク部の外面は、前記回転体の径方向において前記貫通孔よりも内側に、前記一方側側面から前記軸方向に沿って前記一方側に延在する一方側延在部(例えば上述の前方側延在部353)と、前記軸方向における前記一方側延在部の前記一方側の端から前記径方向における内側に延在して前記シュラウド壁部の外周面に接続する段差部(例えば上述の段差部354)と、を含む。
【0104】
上記(10)に記載のポンプ装置によれば、一方側延在部が設けられていない図2に示すような構成と比較して、ポンプ装置の保管時に液体燃料で満たされる体積を低減することにより、ポンプ装置の起動時の液だまりに起因する損失を低減することが可能となる。
【0105】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかに記載のポンプ装置において、
前記ディスク部は、前記貫通孔とは別に、少なくとも1つの中空部(例えば上述の中空部451)を含む。
【0106】
上記(11)に記載のポンプ装置によれば、ディスク部の一部を中空にすることによって、回転体の重量を低減し、軸振動及び消費動力を低減することができる。
【0107】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載のポンプ装置において、
前記少なくとも1つの中空部は、前記周方向における前記貫通孔とは異なる位置に、前記回転体の径方向において前記貫通孔よりも内側の位置から前記貫通孔よりも外側の位置まで形成された中空部を含む。
【0108】
上記(12)に記載のポンプ装置によれば、中空部が形成される範囲を径方向に拡大することによって、回転体の重量をさらに低減し、軸振動及び消費動力の低減効果を高めることができる。また、中空部と貫通孔とを周方向において互いに異なる位置に配置することにより、ポンプ側からのリーク液が貫通孔から中空部に流入することを防ぐことができるため、消費動力を効果的に低減することができる。
【0109】
(13)幾つかの実施形態では、上記(11)の何れかに記載のポンプ装置において、
前記少なくとも1つの中空部は、格子状に構成された中空部を含む。
【0110】
上記(13)に記載のポンプ装置によれば、中空部を格子状に構成することによって、ディスク部の強度を高めることができ、高速回転により応力の観点で厳しい運転条件であってもポンプ装置を使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1 ポンプ装置
2 回転シャフト
3 ハブ部
4 遠心ポンプ翼
6 軸流タービン翼
7 本体側ケーシング
8 入口側ケーシング
10 ポンプシステム
10A 軸流タービン
10B 遠心ポンプ
11 遠心流路
12 液体流路
12A 本体側軸方向流路
13 気体流路
14 ノズル
15 締結部材
16,18 静止壁
17 前方側隙間
19 後方側隙間
20 前方側空間
21 後方側空間
22,94 隙間
25 回転体
26 ケーシング
31,36,51,73,86 外周面
31A 凹湾曲面
32 前方側端
33 後方側端
34 シュラウド壁部
35 ディスク部
41 先端
52,79,93 内周面
52A 凸湾曲面
52B 案内面
53 前方側端面
54 後方側端面
55 貫通孔
56 後方側外周面
57 環状凹部
58,59 面
62 第1シール部
63,90,95 フィンセット
64,91,96 フィン
65 外周部
66 内周部
67 テーパ部
68 第2シール部
69 第3シール部
71 液体排出路
71A スクロール流路
72 気体導入路
74 液体排出口
76 端部
77,83 端面
78 前方側側面
80 後方側側面
81 液体導入路
81A 入口側軸方向流路
82 気体排出路
85 液体導入孔
87 フランジ部
88,89 蝋
341 前方側端部
351 外面
352 後方側延在部
353 前方側延在部
354 段差部
451 中空部
521 前方側端
522 後方側端
551 前方側開口端
552 後方側開口端
641,911 アブレーダブルコーティング層
710 液体排出路形成部
720 気体導入路形成部
721 気体導入口
811 内面
851 内側開口端
852 外側開口端
LA 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15