(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178701
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20221125BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085667
(22)【出願日】2021-05-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋康
(72)【発明者】
【氏名】久保 敦
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129DD03
2F129EE43
2F129EE70
2F129EE78
2F129EE80
2F129EE90
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2F129GG17
2F129HH02
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH22
5H181AA01
5H181FF06
5H181FF12
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】案内地点において、より分かりやすい案内を行うことができる。
【解決手段】 車両前方方向の撮像画像を用いた画像認識により、案内地点の目印となる案内オブジェクトの状態を解析する画像認識部と、前記解析の結果に応じて、前記案内オブジェクトの前記状態に関する補足説明を含む案内情報を生成する案内情報生成部と、前記案内情報を出力する出力処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方方向の撮像画像を用いた画像認識により、案内地点の目印となる案内オブジェクトの状態を解析する画像認識部と、
前記解析の結果に応じて、前記案内オブジェクトの前記状態に関する補足説明を含む案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記案内情報を出力する出力処理部と、を備える
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、
前記案内地点における前記案内オブジェクトが所定の施設の場合であって、前記解析の結果、前記撮像画像から当該施設のロゴタイプまたは名称を示す文字が検出されない場合、前記案内オブジェクトが視認できない状態である可能性を伝える前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、
前記案内地点における前記案内オブジェクトが所定の標識の場合であって、前記解析の結果、前記撮像画像から当該標識の名称を示す文字が検出されない場合、前記案内オブジェクトが視認できない状態である可能性を伝える前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、
前記案内地点における前記案内オブジェクトが所定の施設の場合であって、前記解析の結果、前記撮像画像に写り込んでいる当該施設のロゴタイプまたは名称を示す文字を含む所定領域の輝度が所定未満の場合、前記案内オブジェクトが見え難い状態である可能性を伝える前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、
前記案内地点における前記案内オブジェクトが所定の標識の場合であって、前記解析の結果、前記撮像画像に写り込んでいる当該標識の輝度が所定未満の場合、前記案内オブジェクトが見え難い状態である可能性を伝える前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、
前記案内地点における前記案内オブジェクトが所定の施設の場合であって、前記解析の結果、前記撮像画像に写り込んでいる当該施設のロゴタイプまたは名称を示す文字の大きさが所定未満の場合、前記案内オブジェクトが見え難い状態である可能性を伝える前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、
前記案内地点における前記案内オブジェクトが所定の標識の場合であって、前記解析の結果、前記撮像画像に写り込んでいる当該標識の名称を示す文字の大きさが所定未満の場合、前記案内オブジェクトが見え難い状態である可能性を伝える前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記画像認識部は、前記撮像画像を用いて、前記案内オブジェクトに対する複数の異なる観点からの解析を行い、
前記案内情報生成部は、各々の前記観点による解析の結果に応じた各々の前記補足説明を含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、経路案内装置に関し、「案内交差点から所定距離L1mだけ手前から、車両前方の撮像を所定間隔で撮像し保存しておき、各撮像画像と案内交差点(分岐点)に対する目印標準テンプレートとを比較することで、画像認識を行い、一致率P(80%)を超える場合に認識できたものとする。一致率Pで画像認識できた場合、順次過去に遡った撮像画像を対象画像として、一致率Q(20%)での画像認識を行い、一致率Qで認識できる撮像画像の撮像地点のうち、案内交差点から最も離れた地点を視認可能距離とする。そして、案内交差点の交差点目印情報に視認可能距離が保存されていない場合(初回走行時)、距離と方向による通常の音声案内を行う。一方、視認可能距離が保存されている場合、案内交差点から視認可能距離を過ぎた際に、目印を用いた音声案内を行う。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交差点などの案内地点における進路方向(右左折等)を分かりやすく案内するために、案内地点に存在する目印を用いて案内する技術がある。しかしながら、目印となる施設等は、案内時点における状態によってユーザが確認し難い場合がある。そのため、目印を用いた案内が反って分かり難いものになってしまうという課題がある。
【0005】
特許文献1には、案内地点における目印対象に視認可能距離が存在する場合、視認可能距離に対応する地点の通過を条件に目印を用いた案内を行う技術が開示されている。しかしながら、目印の状態を考慮して分かりやすい案内を行うことについては記載がない。
【0006】
そこで、本発明は、案内地点において、より分かりやすい案内を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係るナビゲーション装置は、車両前方方向の撮像画像を用いた画像認識により、案内地点の目印となる案内オブジェクトの状態を解析する画像認識部と、前記解析の結果に応じて、前記案内オブジェクトの前記状態に関する補足説明を含む案内情報を生成する案内情報生成部と、前記案内情報を出力する出力処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、案内地点において、より分かりやすい案内を行うことができる。
【0009】
なお、上記以外の課題、構成および効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ナビゲーション装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
【
図4】案内情報生成処理の一例を示したフロー図である。
【
図5】案内オブジェクトの状態解析処理の一例を示したフロー図である。
【
図6】ナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置100の機能構成の一例を示したブロック図である。なお、ナビゲーション装置100は、例えば出発地(現在地も含む)と目的地とを結ぶ案内経路の探索および経路案内、案内経路を含む地図情報および道路交通情報の表示など、いわゆるナビゲーション機能に関する様々な処理を実行する車載器である。
【0013】
図示するように、ナビゲーション装置100は、処理部110と、記憶部120と、通信部130と、を有している。
【0014】
処理部110は、ナビゲーション装置100で実行される様々な演算処理を行う機能部である。具体的には、処理部110は、入力受付部111と、出力処理部112と、経路探索部113と、画像認識部114と、案内情報生成部115と、を有している。
【0015】
入力受付部111は、情報や指示の入力を受け付ける機能部である。具体的には、入力受付部111は、ナビゲーション装置100が有する入力装置を介してユーザからの指示や情報の入力を受け付ける。
【0016】
出力処理部112は、様々な種類の情報を出力する機能部である。具体的には、出力処理部112は、メニュー画面、設定情報の入力画面、地図情報、道路交通情報および案内経路などの表示画面を構成する画面情報を生成し、ナビゲーション装置100が有するディスプレイ(表示装置)に出力する。また、出力処理部112は、案内情報生成部115により生成された案内情報をナビゲーション装置100が備えるスピーカ(または車載スピーカ)に出力する。
【0017】
経路探索部113は、案内経路を探索する機能部である。具体的には、経路探索部113は、入力受付部111を介して取得した出発地および目的地と、地図情報と、道路交通情報と、を用いて、例えばダイクストラ法など所定の方法により、出発地から目的地までを結ぶ案内経路を探索する。なお、案内経路には、例えば右左折などの進路変更を伴う交差点等の案内地点と、かかる案内地点を示すノードのノードIDと、が含まれている。
【0018】
画像認識部114は、画像認識処理を行う機能部である。具体的には、画像認識部114は、車載カメラ200で撮像された画像情報を用いて画像認識処理を行い、撮像画像に写り込んでいる他の車両や建物等のオブジェクトの中から案内地点の目印となる所定の案内オブジェクトの検出を試行する。なお、画像認識処理は、或る特定の手法に限定されるものではなく、他の画像との比較によるテンプレートマッチングやディープラーニングを利用したAI(Articial Intelligence)による公知の画像認識技術が用いられれば良い。
【0019】
案内情報生成部115は、案内情報を生成する機能部である。具体的には、案内情報生成部115は、画像認識部114による撮像画像の解析結果(画像認識処理の結果)に応じた案内情報を生成する。より具体的には、案内情報生成部115は、撮像画像の解析結果が「案内オブジェクトが視認できない場合」、「案内オブジェクトの輝度が所定未満の場合」および「案内オブジェクトの大きさが所定未満の場合」のいずれかに該当する場合、案内オブジェクトの状態に関する補足説明を加えた案内情報を生成する。
【0020】
記憶部120は、様々な情報を記憶する機能部である。具体的には、記憶部120は、地図情報121と、地図情報121に含まれるノード情報122と、パラメータ情報123と、案内文情報124と、を記憶している。
【0021】
地図情報121は、地図上の道路に関する情報である。具体的には、地図情報121は、地図上の領域を識別するメッシュ領域ごとに、各メッシュ領域が有する道路のリンク情報を有している。なお、リンク情報には、例えば道路の両端を示す開始ノードおよび終了ノードの地点座標および各ノードIDと、国道、有料道路、県道といった道路の種別を示す道路種別情報と、道路の名称を示す情報と、道路の長さを示すリンク長情報と、道路を通過するのに要する時間を示す旅行時間情報と、道路の開始ノードおよび終了ノードの各々に接続する他の道路のリンクIDが格納されている開始接続リンク/終了接続リンク情報と、が格納されている。
【0022】
図2は、ノード情報122の一例を示した図である。ノード情報122は、案内地点候補となり得る交差点などの分岐点に相当するノードの情報である。具体的には、ノード情報122は、ノードNo122aと、接続リンク122bと、名称、種別およびロゴタイプにより示される案内オブジェクト122cと、が対応付けられたレコードを有している。
【0023】
なお、ノードNo122aは、各々のノードを識別する情報である。接続リンク122bは、交差点などの分岐点に繋がっている道路すなわち各々のノードに接続しているリンクのリンクIDを示す情報である。
【0024】
案内オブジェクト122cは、各ノードの目印となる案内オブジェクトを示す情報である。具体的には、名称は、案内オブジェクトの種別が施設の場合には、その施設を運営する企業等の社名、店舗名あるいはサービスブランド名等であり、案内オブジェクトの種別が標識(例えば、信号標識)の場合には、その標識に付された地点名を示す情報である。種別は、案内オブジェクトの種別を示す情報であって、例えば施設や標識がある。ロゴタイプは、案内オブジェクトの種別が施設の場合、その施設や系列の施設であることを示すシンボルマークである。
【0025】
なお、ノード情報には、案内オブジェクトが対応付けられていないノードも含まれる。かかるノードに対応する案内オブジェクトの名称、種別およびロゴタイプには各々、「無し」が登録されている。
【0026】
パラメータ情報123は、画像認識処理に用いられる所定のパラメータ値が登録された情報である。具体的には、パラメータ情報123には、案内オブジェクトが見え難いか否かの明るさに関する判定基準である輝度のパラメータ値が登録されている。また、パラメータ情報123には、案内オブジェクトが見え難いか否かの大きさに関する判定基準となるパラメータ値が登録されている。
【0027】
図3は、案内文情報124の一例を示した図である。案内文情報124は、案内オブジェクトを含む案内情報の生成に用いられる案内文が登録された情報である。具体的には、案内文情報124は、フラグNo124aと、案内文の形態124bと、案内文124cと、が対応付けられたレコードを有している。
【0028】
なお、フラグNo124aは、撮像画像の解析結果として対応付けられたフラグNoを示す情報である。案内文の形態124bは、案内文の構成要素である基本文と、案内オブジェクト(施設)の補足説明と、案内オブジェクト(標識)の補足説明と、の組み合わせに係る案内文の形態を示している。
【0029】
案内文124cは、案内情報として出力される文章モデルを示す情報である。案内文124cには、基本文単体または基本文と、案内オブジェクト(施設)の補足説明または案内オブジェクト(標識)の補足説明と、の組み合わせに係る文章モデルが登録されている。
【0030】
基本文は、例えば「(ノード情報に登録されている案内オブジェクトの名称)がある交差点を(案内方向に従った方向)です」といった内容の文章である。また、案内オブジェクト(施設)の補足説明は、対応付けられているフラグNoに応じて、例えば「建物が見え難い可能性があります」といった内容の文章である。また、案内オブジェクト(標識)の補足説明は、対応付けられているフラグNoに応じて、例えば「標識が見え難い可能性があります」といった内容の文章である。
【0031】
なお、案内文情報124は、案内情報生成部115が案内オブジェクトを含む案内情報を生成する際に用いられる。
【0032】
通信部130は、外部装置との間で情報通信を行う機能部である。具体的には、通信部130は、案内地点から所定距離手前の地点(例えば、案内地点の手前300m、100mおよび30mの各々の地点)で撮像された画像情報を車載カメラ200から取得する。
【0033】
以上、ナビゲーション装置100の機能構成の一例について説明した。
【0034】
[動作の説明]
図4は、案内情報生成処理の一例を示したフロー図である。案内情報生成処理は、経路探索部113により案内経路が探索された後に、入力受付部111を介して経路案内の開始指示をユーザから受け付けると開始される。
【0035】
処理が開始されると、案内情報生成部115は、直近の案内地点を特定する(ステップS001)。例えば、案内情報生成部115は、地図情報121を用いて、ナビゲーション装置100に搭載されているGPS(Global Positioning System)情報受信装置からの出力情報を用いて特定した自車位置(自車の現在位置)と、探索された案内経路に含まれる各案内地点と、の位置関係に基づいて直近の案内地点およびそのノードNoを特定する。
【0036】
次に、案内情報生成部115は、直近の案内地点に近づいたか否かを判定する(ステップS002)。例えば、案内情報生成部115は、自車位置が直近の案内地点から所定距離手前の各地点(例えば、案内地点の手前300m、100mおよび30mの各々の地点)に到達した場合、直近の案内地点に近づいたと判定する。
【0037】
そして、直近の案内地点に近づいたと判定した場合(ステップS002でYes)、案内情報生成部115は、処理をステップS003に移行する。一方で、直近の案内地点に近づいていないと判定した場合(ステップS002でNo)、案内情報生成部115は、再度ステップS002の処理を行う。
【0038】
ステップS003では、案内情報生成部115は、直近の案内地点に対応する案内オブジェクトがあるか否かを判定する。例えば、案内情報生成部115は、直近の案内地点となるノードのノードNoが対応付けられている案内オブジェクトがノード情報122に登録されている場合、直近の案内地点に対応する案内オブジェクトがあると判定する。
【0039】
そして、対応する案内オブジェクトがあると判定した場合(ステップS003でYes)、案内情報生成部115は、かかる案内オブジェクトの名称、種別およびロゴタイプをノード情報122から特定し、処理をステップS004に移行する。
【0040】
一方で、対応する案内オブジェクトがないと判定した場合(ステップS003でNo)、案内情報生成部115は、処理をステップS020に移行する。なお、ステップS020では、案内情報生成部115は、案内オブジェクトを含まない案内情報を生成する。例えば、案内情報生成部115は、「300m先(または100m先、またはこの先など)の交差点を左(右)です」といった案内オブジェクトに関する情報を含まない音声による案内情報を生成する。なお、かかる案内文の文章モデルは記憶部に記憶されていても良く、あるいは案内文情報124に登録されていても良い。また、案内情報生成部115は、案内情報を生成すると、処理をステップS007に移行する。
【0041】
次に、案内オブジェクトがあると判定した場合に移行するステップS004では、画像認識部114は、案内オブジェクトの状態解析処理を行う。
【0042】
図5は、案内オブジェクトの状態解析処理の一例を示したフロー図である。かかる処理が開始されると、画像認識部114は、車両前方方向の撮像画像を取得する(ステップS031)。具体的には、画像認識部114は、通信部130を介して、案内地点から所定距離手前の地点で撮像された車両前方方向の撮像画像を車載カメラ200から取得する。また、画像認識部114は、記憶部120からパラメータ情報123を取得する(ステップS032)。
【0043】
次に、画像認識部114は、案内オブジェクトが視認可能か否かを判定する(ステップS033)。例えば、画像認識部114は、取得した撮像画像を用いて画像認識処理を行い、かかる画像に写り込んでいる他の車両、人物、建物および標識等のオブジェクトの中から案内オブジェクトを検出できた場合、案内オブジェクトが視認可能と判定する。
【0044】
具体的には、直近の案内地点における案内オブジェクトの種別が施設の場合、画像認識部114は、かかる施設のロゴタイプまたは名称を示す文字が撮像画像から検出できた場合、案内オブジェクトが視認可能と判定する。また、直近の案内地点における案内オブジェクトの種別が標識の場合、画像認識部114は、かかる標識の名称を示す文字が撮像画像から検出できた場合、案内オブジェクトが視認可能と判定する。
【0045】
そして、案内オブジェクトが視認可能と判定した場合(ステップS033でYes)、画像認識部114は、処理をステップS035に移行する。
【0046】
一方で、案内オブジェクトが視認可能ではないと判定した場合(ステップS033でNo)、例えば前方車両の存在によって案内オブジェクトが撮像画像に写り込んでいない場合等、撮像画像から案内オブジェクトを検出できない場合、画像認識部114は、処理をステップS034に移行する。なお、ステップS034では、画像認識部114は、案内オブジェクトを視認できない場合に対応するフラグ情報(本例では、フラグ1)を状態解析結果として対応付け、処理をステップS005に移行する。
【0047】
次に、案内オブジェクトが視認可能と判定した場合(ステップS033でYes)に移行するステップS035では、画像認識部114は、案内オブジェクトの輝度が所定以上か否かを判定する。例えば、画像認識部114は、撮像画像に写り込んでいる案内オブジェクトの輝度が所定のパラメータ値以上の場合、案内オブジェクトの輝度が所定以上と判定する。
【0048】
具体的には、直近の案内地点における案内オブジェクトの種別が施設の場合、画像認識部114は、かかる施設のロゴタイプまたは名称を示す文字を含む所定領域(例えば、施設のロゴタイプや名称を示す文字が付されている看板など)の輝度が所定のパラメータ値以上の場合、案内オブジェクトの輝度が所定値以上と判定する。また、直近の案内地点における案内オブジェクトの種別が標識の場合、画像認識部114は、かかる標識の輝度が所定のパラメータ値以上の場合、案内オブジェクトの輝度が所定値以上と判定する。
【0049】
そして、案内オブジェクトの輝度が所定以上と判定した場合(ステップS035でYes)、画像認識部114は、処理をステップS037に移行する。
【0050】
一方で、案内オブジェクトの輝度が所定以上ではないと判定した場合(ステップS035でNo)、例えば営業時間が終了した夜間の時間帯に案内オブジェクトのロゴタイプや名称を付した看板の明かりが消灯している等の場合、画像認識部114は、処理をステップS036に移行する。なお、ステップS036では、画像認識部114は、案内オブジェクトの輝度が所定未満の場合に対応するフラグ情報(本例では、フラグ2)を状態解析結果として対応付け、処理をステップS005に移行する。
【0051】
次に、案内オブジェクトの輝度が所定以上と判定した場合(ステップS035でYes)に移行するステップS037では、画像認識部114は、案内オブジェクトの大きさが所定以上か否かを判定する。例えば、画像認識部114は、撮像画像に写り込んでいる案内オブジェクトの大きさが所定のパラメータ値以上の場合、案内オブジェクトの大きさが所定以上と判定する。
【0052】
具体的には、直近の案内地点における案内オブジェクトの種別が施設の場合、画像認識部114は、かかる施設のロゴタイプまたは名称を示す文字の大きさが所定のパラメータ値以上の場合、案内オブジェクトの大きさが所定値以上と判定する。また、直近の案内地点における案内オブジェクトの種別が標識の場合、画像認識部114は、かかる標識の名称を示す文字の大きさが所定のパラメータ値以上の場合、案内オブジェクトの大きさが所定値以上と判定する。
【0053】
そして、案内オブジェクトの大きさが所定以上と判定した場合(ステップS037でYes)、画像認識部114は、処理をステップS039に移行する。なお、ステップS039では、画像認識部114は、案内オブジェクトが視認可能であって、案内オブジェクトの輝度が所定以上かつ案内オブジェクトの大きさが所定以上の場合に対応するフラグ情報(本例では、フラグ4)を状態解析結果として対応付け、処理をステップS005に移行する。
【0054】
一方で、案内オブジェクトの大きさが所定以上ではないと判定した場合(ステップS037でNo)、例えば案内オブジェクトのロゴタイプや名称を示す文字あるいは標識の名称を示す文字の大きさが非常に小さい場合、画像認識部114は、処理をステップS038に移行する。なお、ステップS038では、画像認識部114は、案内オブジェクトの大きさが所定未満の場合に対応するフラグ情報(本例では、フラグ3)を状態解析結果として対応付け、処理をステップS005に移行する。
【0055】
次に、ステップS005(
図4に示す)では、案内情報生成部115は、案内オブジェクトの状態に関する補足説明が必要か否かを判定する。例えば、案内情報生成部115は、ステップS004における状態解析結果としてフラグ1~3のいずれかが対応付けられている場合、かかる補足説明が必要と判定する。
【0056】
そして、補足説明が必要と判定した場合(ステップS005でYes)、案内情報生成部115は、処理をステップS006に移行する。
【0057】
一方で、補足説明が必要ではないと判定した場合(ステップS005でNo)、すなわち状態解析結果としてフラグNo「4」が対応付けられている場合、案内情報生成部115は、処理をステップS010に移行する。なお、ステップS010では、案内情報生成部115は、案内オブジェクトの補足説明を含まない案内情報を生成する。
【0058】
具体的には、案内情報生成部115は、案内文情報124を用いて案内情報を生成する。より具体的には、案内情報生成部115は、フラグNo「4」が対応付けられているレコードを案内文情報124から特定する。
【0059】
また、案内情報生成部115は、特定したレコードの案内文を用いて案内情報を生成する。例えば、案内オブジェクトの種別が「施設」の場合には、案内情報生成部115は、「(ノード情報に登録されている案内オブジェクトの名称)がある交差点を(案内経路に従った方向)です」という基本文に従った、案内オブジェクトの補足説明を含まない音声による案内情報を生成する。
【0060】
また、例えば、案内オブジェクトの種別が「標識」の場合には、案内情報生成部115は、「(ノード情報に登録されている案内オブジェクトの名称)の標識がある交差点を(案内経路に従った方向)です」という基本文に従った、案内オブジェクトの補足説明を含まない音声による案内情報を生成する。
【0061】
なお、基本文における「ノード情報に登録されている案内オブジェクトの名称」は、直近の案内地点の案内オブジェクトについてノード情報122に登録されている案内オブジェクトの名称である。また、「案内方向に従った方向」は、案内経路に従った右左折等の進路を示す方向である。
【0062】
また、案内情報生成部115は、案内情報を生成すると、処理をステップS007に移行する。
【0063】
次に、補足説明が必要と判定した場合(ステップS005でYes)に移行するステップS006では、案内情報生成部115は、案内オブジェクトの補足説明を含む案内情報を生成する。具体的には、案内情報生成部115は、案内文情報124を用いて案内情報を生成する。
【0064】
より具体的には、案内情報生成部115は、状態解析結果に対応付けられているフラグNo(フラグ1~3のいずれか)を特定し、かかるフラグNoと、案内オブジェクトの対応する種別(施設または標識)の案内文の形態と、が対応付けられているレコードを案内文情報124から特定する。
【0065】
また、案内情報生成部115は、特定したレコードの案内文を用いて案内情報を生成する。例えば、状態解析結果を示すフラグNoが「1」であり、案内オブジェクトの種別が「施設」の場合には、案内情報生成部115は、「建物が見え難い可能性があります」という案内オブジェクトの補足説明を基本文に加えた音声による案内情報を生成する。
【0066】
また、例えば、状態解析結果を示すフラグNoが「1」であり、案内オブジェクトの種別が「標識」の場合には、案内情報生成部115は、「標識が見え難い可能性があります」という案内オブジェクトの補足説明を基本文に加えた音声による案内情報を生成する。
【0067】
また、例えば、状態解析結果を示すフラグNoが「2」であり、案内オブジェクトの種別が「施設」の場合には、案内情報生成部115は、「建物が暗く、見え難い可能性があります」という案内オブジェクトの補足説明を基本文に加えた音声による案内情報を生成する。
【0068】
また、例えば、状態解析結果を示すフラグNoが「2」であり、案内オブジェクトの種別が「標識」の場合には、案内情報生成部115は、「標識が暗く、見え難い可能性があります」という案内オブジェクトの補足説明を基本文に加えた音声による案内情報を生成する。
【0069】
また、例えば、状態解析結果を示すフラグNoが「3」であり、案内オブジェクトの種別が「施設」の場合には、案内情報生成部115は、「建物の文字やロゴタイプが小さく、見え難い可能性があります」という案内オブジェクトの補足説明を基本文に加えた音声による案内情報を生成する。
【0070】
また、例えば、状態解析結果を示すフラグNoが「3」であり、案内オブジェクトの種別が「標識」の場合には、案内情報生成部115は、「標識の文字が小さく、見え難い可能性があります」という案内オブジェクトの補足説明を基本文に加えた音声による案内情報を生成する。
【0071】
また、案内情報生成部115は、案内情報を生成すると、処理をステップS007に移行する。
【0072】
次に、ステップS007では、出力処理部112は、生成した案内情報を出力する。具体的には、案内情報生成部115は、ナビゲーション装置100が備えるスピーカ342あるいはナビゲーション装置100と通信可能に接続されている車載スピーカに案内情報を出力する。
【0073】
次に、案内情報生成部115は、車両が目的地に到着したか否かを判定する(ステップS008)。具体的には、案内情報生成部115は、案内経路と自車位置とに基づいて車両が目的地に到着したか否かを判定する。そして、到着したと判定した場合(ステップS008でYes)、案内情報生成部115は、本フローの処理を終了する。一方で、到着していないと判定した場合(ステップS008でNo)、案内情報生成部115は、処理をステップS001に戻す。
【0074】
以上、案内情報生成処理について説明した。
【0075】
このようなナビゲーション装置によれば、案内地点において、より分かりやすい音声案内を行うことができる。特に、ナビゲーション装置は、案内地点の目印となる施設や標識が見え難い場合、その状態に関する補足説明を含む案内情報を出力する。そのため、ユーザは、目印となる案内オブジェクトが見え難い可能性があること、および、どのように見え難いのかという案内オブジェクトの状態を事前に認識することができる。これにより、ユーザは、案内情報を参考にして、案内地点で慌てることなく運転することができる。
【0076】
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、同一の発明概念の範囲内において様々な変形が可能である。例えば、ナビゲーション装置100は、案内オブジェクトに対する異なる観点からの解析結果に応じた各々の補足説明を含む案内文を案内情報として生成しても良い。
【0077】
具体的には、画像認識部114は、前述のステップS035で案内オブジェクトの輝度が所定未満の場合にも、ステップS037の処理を行い、案内オブジェクトの輝度および大きさといった異なる観点からの解析について解析結果を得る。また、案内情報生成部115は、各解析結果に対応する補足説明を含む案内文の案内情報を生成する。
【0078】
例えば、案内オブジェクトの輝度が所定未満であり、かつ、大きさが所定未満の場合には、案内情報生成部115は、基本文に加えて、「建物が暗く、見え難い可能性があります」という補足説明と、「建物の文字やロゴタイプが小さく、見え難い可能性があります」という補足説明の両方を含む案内文の案内情報を生成する。
【0079】
このような変形例に係るナビゲーション装置によっても、案内地点において、より分かりやすい音声案内を行うことができる。特に、ナビゲーション装置は、異なる観点からの解析に対する各々の解析結果に応じた各々の補足説明を含む案内情報を生成することで、どのように見え難いのかという案内オブジェクトの状態をより詳細に案内することができる。
【0080】
また、
図3に示す案内文情報124の文章モデルは一例であって、同じ趣旨の内容であれば、どのような文章であっても良い。また、かかる案内文の文章モデルをユーザが編集できるようにしても良い。
【0081】
次に、ナビゲーション装置100のハードウェア構成について説明する。
【0082】
図6は、ナビゲーション装置100のハードウェア構成の一例を示した図である。図示するように、ナビゲーション装置100は、処理装置310と、表示装置(ディスプレイ)320と、記憶装置330と、音声入出力装置340と、入力装置350と、ROM装置360と、車速センサ370と、ジャイロセンサ380と、GPS情報受信装置390と、VICS情報受信装置400と、通信装置410と、を有している。
【0083】
処理装置310は、演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)311と、記憶装置330あるいはROM装置360から読み出した各種情報を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)312と、CPU311で実行されるプログラムなどを格納するROM(Read Only Memory)313と、処理装置310に各種ハードウェアを接続するためのI/F(インターフェイス)314と、これらを相互に接続するバス315と、を有している。
【0084】
また、表示装置320は、グラフィックス情報を表示するユニットであって、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。記憶装置330は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)あるいは不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体であって、様々な情報が格納されている。
【0085】
音声入出力装置340は、運転者や同乗者の発した音声を集音するマイクロフォン341と、運転者などへの音声案内を出力するスピーカ342と、を有する。なお、スピーカ342は、車両に搭載されている車載のスピーカであっても良い。
【0086】
入力装置350は、タッチパネル351やダイヤルスイッチ352などユーザからの指示入力を受け付ける装置である。ROM装置360は、CD-ROMやDVD-ROMあるいはIC(Integrated Circuit)カードなどの、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体である。
【0087】
車速センサ370、ジャイロセンサ380およびGPS情報受信装置390は、ナビゲーション装置100が搭載される車両の現在位置を検出するために使用される。車速センサ370は、車速の算出に用いられる情報を出力する。ジャイロセンサ380は、光ファイバジャイロや振動ジャイロなどで構成され、移動体の回転による角速度を検出する。GPS情報受信装置390は、GPS衛星からの信号を受信し、車両とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを所定数(例えば、4つ)の衛星に対して測定することで車両の現在地、進行速度および進行方位を測定する。
【0088】
VICS情報受信装置400は、渋滞や事故あるいは道路工事に関する道路交通情報(VICS情報)を受信する装置である。通信装置410は、例えば装置同士を直接接続する通信線またはCAN(Controller Area Network)を介して、外部装置(例えば、車載カメラ200)との間で情報通信を行う装置である。
【0089】
以上、ナビゲーション装置100の各ハードウェア構成について説明した。
【0090】
なお、ナビゲーション装置100の処理部110は、処理装置310のCPU311に処理を行わせるプログラムによって実現される。これらのプログラムは、例えば記憶装置330あるいはROM313に格納されており、実行にあたってRAM312上にロードされ、CPU311により実行される。また、記憶部120は、RAM312、ROM313および記憶装置330の組み合わせによって実現される。また、通信部130は、通信装置410によって実現される。
【0091】
また、ナビゲーション装置100の各機能ブロックは、本実施形態において実現される各機能を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。したがって、各機能の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。また、ナビゲーション装置100の各構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0092】
また、各機能部の全部または一部は、コンピュータに実装されるハードウェア(ASICといった集積回路など)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0093】
また、本発明は、上記の実施形態や変形例などに限られるものではなく、これら以外にも様々な実施形態および変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0094】
100・・・ナビゲーション装置、110・・・処理部、111・・・入力受付部、112・・・出力処理部、113・・・経路探索部、114・・・画像認識部、115・・・案内情報生成部、120・・・記憶部、121・・・地図情報、122・・・ノード情報、123・・・パラメータ情報、124・・・案内文情報、130・・・通信部、200・・・車載カメラ、310・・・処理装置、311・・・CPU、312・・・RAM、313・・・ROM、314・・・I/F、315・・・バス、320・・・表示装置(ディスプレイ)、330・・・記憶装置、340・・・音声入出力装置、341・・・マイクロフォン、342・・・スピーカ、350・・・入力装置、351・・・タッチパネル、352・・・ダイヤルスイッチ、360・・・ROM装置、370・・・車速センサ、380・・・ジャイロセンサ、390・・・GPS情報受信装置、400・・・VICS情報受信装置、410・・・通信装置