(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178705
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221125BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221125BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G06F3/041 420
G06F3/044 127
G06F3/044 122
G06F3/041 660
H05K1/03 610
H05K1/03 670
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085678
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺屋 さとみ
(57)【要約】
【課題】金属細線が視認されることを抑制した導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法を提供する
【解決手段】導電シート1は、透明基材3と、透明基材3の第1面に形成された第1導電パターン10を備える。第1導電パターン10は、第1方向d1に延び第2方向d2に並んで配置された複数の第1金属細線11と、第2方向d2に延び第1方向d1に並んで配置された複数の第2金属細線12を含む。第1方向d1に延びる第1金属細線11と第2方向d2に延びる第2金属細線12とは、各々が交差する箇所に共通の第1屈曲線13が形成されている。第1金属細線11と第2金属細線12によって第1鈍角部θが形成される。第1屈曲線13は、第1鈍角部θ同士を接続するように形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、
前記透明基材の一方の面に、第1方向に延びる複数の第1金属細線と、その第1金属細線と交差するように第2方向に延びる複数の第2金属細線によって、複数の第1開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成された第1導電パターンと、を備え、
前記第1金属細線と前記第2金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第1屈曲線を含み、
前記第1屈曲線は、前記第1金属細線と前記第2金属細線によって形成された、対向する第1鈍角部同士を接続する、導電シート。
【請求項2】
前記第1屈曲線から次の第1屈曲線まで延びる前記第1金属細線及び第2金属細線をそれぞれ第1金属辺及び第2金属辺とすると、前記第1屈曲線を挟んで対向する前記第1金属辺と前記第2金属辺は、長さが等しくなるように構成された、請求項1に記載の導電シート。
【請求項3】
前記第1金属辺又は前記第2金属辺の両端にある前記第1屈曲線は、平行である、請求項1又は請求項2に記載の導電シート。
【請求項4】
前記透明基材の他方の面に、前記第1金属細線と重ならないように第1方向に延びる複数の第3金属細線と、その第3金属細線と交差し且つ前記第2金属細線と重ならないように第2方向に延びる複数の第4金属細線によって、複数の第2開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成された第2導電パターンを更に備え、
前記第3金属細線と前記第4金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第2屈曲線を含み、
前記第2屈曲線は、前記第3金属細線と前記第4金属細線によって形成された、対向する第2鈍角部同士を接続する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の導電シート。
【請求項5】
前記第2屈曲線から次の第2屈曲線まで延びる前記第3金属細線及び第4金属細線をそれぞれ第3金属辺及び第4金属辺とすると、前記第2屈曲線を挟んで対向する前記第3金属辺と前記第4金属辺は、長さが等しくなるように構成された、請求項4に記載の導電シート。
【請求項6】
前記第3金属辺又は前記第4金属辺の両端にある前記第2屈曲線は、平行である、請求項4又は請求項5に記載の導電シート。
【請求項7】
前記第2屈曲線は、前記第1開口部の中心に位置する、請求項4から請求項6のいずれかに記載の導電シート。
【請求項8】
前記第2金属細線は、前記第1屈曲線から次の第1屈曲線の間に金属細線が形成されていない第1断線部を含み、
前記第3金属細線は、前記第2屈曲線から次の第2屈曲線の間に金属細線が形成されていない第2断線部を含み、
前記第1断線部と前記第2断線部とは、交差しない、請求項4から請求項7のいずれかに記載の導電シート。
【請求項9】
前記第2金属細線は、前記第2金属辺と前記第1断線部とが交互に配置され、
前記第3金属細線は、前記第3金属辺と前記第2断線部とが交互に配置された、請求項8に記載の導電シート。
【請求項10】
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンが複数の第1電極及び複数の第2電極をそれぞれ構成し、その複数の第1電極及び複数の第2電極の端部にそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有する請求項4に記載の導電シートと、
外部配線と接続される端子部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部と前記端子部とを接続する引回し配線と、を備えたタッチセンサ。
【請求項11】
透明基材の両面に第1黒化膜層と金属膜層と第2黒化膜層とを順次形成する工程と、
前記透明基材の第1面に第1導電パターンで構成された複数の第1電極と、その複数
の第1電極の端部にそれぞれ形成された第1接続部と、外部配線と接続される第1端子部と、前記第1接続部と前記第1端子部とを接続する第1引回し配線とを、前記透明基材の第2面に第2導電パターンで構成された複数の第2電極と、その複数の第2電極の端部にそれぞれ形成された第2接続部と、外部配線と接続される第2端子部と、前記第2接続部と前記第2端子部とを接続する第2引回し配線とを、同時にそれぞれ形成する工程と、を備え、
前記第1導電パターンは、第1方向に延びる複数の第1金属細線と、その第1金属細線と交差するように第2方向に延びる複数の第2金属細線によって、複数の第1開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成され、
前記第2導電パターンは、前記第1金属細線と重ならないように第1方向に延びる複数の第3金属細線と、その第3金属細線と交差し且つ前記第2金属細線と重ならないように第2方向に延びる複数の第4金属細線によって、複数の第2開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成され、
前記第1金属細線と前記第2金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第1屈曲線を含み、
前記第1屈曲線は、前記第1金属細線と前記第2金属細線によって形成された、対向する第1鈍角部同士を接続し、
前記第3金属細線と前記第4金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第2屈曲線を含み、
前記第2屈曲線は、前記第3金属細線と前記第4金属細線によって形成された、対向する第2鈍角部同士を接続する、タッチセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法に関し、特にメッシュ状の金属細線を含む導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチセンサの電極等に用いられる導電シートとして、透明基材にメッシュ状の金属細線を形成したものが使用されている。メッシュのパターン形状としては、例えば菱形や六角形等の多角形を敷き詰めた格子形状が一般的に用いられる。このようなメッシュ形状の金属細線を形成するには、導電インキをパターンに従って印刷する方法や、金属箔をエッチングすることでパターニングする方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属細線が交差する角度が鋭角である場合、印刷時に鋭角部分で導電インキが滲む、あるいはエッチング液が鋭角部分に十分到達しないなどの理由により、金属細線の交点部分の面積が大きくなってしまい、金属細線が視認されるおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、金属細線が視認されることを抑制した導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、透明基材と、透明基材の一方の面に、第1方向に延びる複数の第1金属細線と、その第1金属細線と交差するように第2方向に延びる複数の第2金属細線によって、複数の第1開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成された第1導電パターンと、を備え、第1金属細線と第2金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第1屈曲線を含み、第1屈曲線は、第1金属細線と第2金属細線によって形成された、対向する第1鈍角部同士を接続する、導電シートである。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、第1屈曲線から次の第1屈曲線まで延びる第1金属細線及び第2金属細線をそれぞれ第1金属辺及び第2金属辺とすると、第1屈曲線を挟んで対向する第1金属辺と第2金属辺は、長さが等しくなるように構成された、導電シートである。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において第1金属辺又は第2金属辺の両端にある第1屈曲線は、平行である、導電シートである。
【0009】
このように構成すると、第1屈曲線が対向する第1鈍角部同士を接続することにより、第1金属細線と第2金属細線で形成される角度を大きくすることができる。よって、金属細線が交差する箇所で正確にパターニングすることができ、金属細線が視認されにくい導電シートを得ることができる。
【0010】
第4の発明は、第1から第3の発明において、透明基材の他方の面に、第1金属細線と重ならないように第1方向に延びる複数の第3金属細線と、その第3金属細線と交差し且つ第2金属細線と重ならないように第2方向に延びる複数の第4金属細線によって、複数の第2開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成された第2導電パターンを更に備え、第3金属細線と第4金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第2屈曲線を含み、第2屈曲線は、第3金属細線と第4金属細線によって形成された、対向する第2鈍角部同士を接続する、導電シートである。
【0011】
第5の発明は、第4の発明において、第2屈曲線から次の第2屈曲線まで延びる第3金属細線及び第4金属細線をそれぞれ第3金属辺及び第4金属辺とすると、第2屈曲線を挟んで対向する第3金属辺と第4金属辺は、長さが等しくなるように構成された、導電シートである。
【0012】
第6の発明は、第4又は第5の発明において、第3金属辺又は第4金属辺の両端にある第2屈曲線は、平行である、導電シートである。
【0013】
このように構成すると、透明基材の両面において金属細線が交差する箇所で金属の面積が大きくなることを抑制し、金属細線が視認されにくい導電シートを得ることができる。
【0014】
第7の発明は、第4から第6の発明において、第2屈曲線は、第1開口部の中心に位置する、導電シートである。
【0015】
このように構成すると、第1導電パターンと第2導電パターンが密集して配置されることがないので、金属細線の疎密の差によって金属細線が視認されるのを防止することができる。
【0016】
第8の発明は、第4から第7の発明において、第2金属細線は、第1屈曲線から次の第1屈曲線の間に金属細線が形成されていない第1断線部を含み、第3金属細線は、第2屈曲線から次の第2屈曲線の間に金属細線が形成されていない第2断線部を含み、第1断線部と第2断線部とは、交差しない、導電シートである。
【0017】
第9の発明は、第8の発明において、第2金属細線は、第2金属辺と第1断線部とが交互に配置され、第3金属細線は、第3金属辺と第2断線部とが交互に配置された、導電シートである。
【0018】
このように構成すると、第1断線部及び第2断線部を設けることにより金属細線の疎密の偏りを起こすことなくパターンに変化を持たせることができ、金属細線のパターン見えとモアレの発生を抑制することができる。
【0019】
第10の発明は、第4の発明において、第1導電パターン及び第2導電パターンが複数の第1電極及び複数の第2電極をそれぞれ構成し、その複数の第1電極及び複数の第2電極の端部にそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有する導電シートと、外部配線と接続される端子部と、第1接続部及び第2接続部と端子部とを接続する引回し配線と、を備えたタッチセンサである。
【0020】
このように構成すると、金属細線が視認されにくい第1導電パターン及び第2導電パターンを第1電極及び第2電極に用いるので、金属細線が視認されにくいタッチセンサを得ることができる。
【0021】
第11の発明は、透明基材の両面に第1黒化膜層と金属膜層と第2黒化膜層とを順次形成する工程と、透明基材の第1面に第1導電パターンで構成された複数の第1電極と、その複数の第1電極の端部にそれぞれ形成された第1接続部と、外部配線と接続される第1端子部と、第1接続部と第1端子部とを接続する第1引回し配線とを、透明基材の第2面に第2導電パターンで構成された複数の第2電極と、その複数の第2電極の端部にそれぞれ形成された第2接続部と、外部配線と接続される第2端子部と、第2接続部と第2端子部とを接続する第2引回し配線とを、同時にそれぞれ形成する工程と、を備え、第1導電パターンは、第1方向に延びる複数の第1金属細線と、その第1金属細線と交差するように第2方向に延びる複数の第2金属細線によって、複数の第1開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成され、第2導電パターンは、第1金属細線と重ならないように第1方向に延びる複数の第3金属細線と、その第3金属細線と交差し且つ第2金属細線と重ならないように第2方向に延びる複数の第4金属細線によって、複数の第2開口部が第1方向及び第2方向に連続して配置されるようにメッシュ状に形成され、第1金属細線と第2金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第1屈曲線を含み、第1屈曲線は、第1金属細線と第2金属細線によって形成された、対向する第1鈍角部同士を接続し、第3金属細線と第4金属細線とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第2屈曲線を含み、第2屈曲線は、第3金属細線と第4金属細線によって形成された、対向する第2鈍角部同士を接続する、タッチセンサの製造方法である。
【0022】
このように構成すると、複数の電極と接続部と端子部と引回し配線を同時に形成するため、工程数を減らし、製造にかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、金属細線が視認されにくい導電シート、タッチセンサ及びタッチセンサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態による導電シート1の概略断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による導電シート1の概略平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による導電シート1の第1金属細線11の部分拡大断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による導電シート1の第1導電パターン10の部分拡大平面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態による導電シート100の概略断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による導電シート100の第1導電パターン110の部分拡大平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による導電シート100の第2導電パターン120の部分拡大平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による導電シート100の概略平面図である。
【
図9】第2実施形態の変形例Aによる導電シート100Aの(a)概略平面図、(b)第1金属辺114Aの部分拡大平面図である。
【
図10】第2実施形態の変形例Bによる導電シート100Bの概略平面図である。
【
図11】第2実施形態の変形例Cによる導電シート100Cの概略平面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態によるタッチセンサ500の概略平面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態によるタッチセンサ500の
図12における領域Kの部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1実施形態について、
図1から
図4を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
【0026】
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る導電シート1は、透明基材3と、透明基材3の第1面3aに形成された第1導電パターン10を備えている。第1導電パターン10は、第1面3a側からの平面視において、
図2のようなパターン形状である。第1導電パターン10は、第1方向d1に延び、第2方向d2に並んで配置された複数の第1金属細線11と、第2方向d2に延び、第1方向d1に並んで配置された複数の第2金属細線12を含む。第1金属細線11と第2金属細線12が交差することによって、透明基材3の第1面3a上には、複数の第1開口部Rが第1方向d1及び第2方向d2に連続して配置される。第1金属細線11と第2金属細線12は、各々が交差する箇所に形成された共通の第1屈曲線13を含む。
図3を参照して、第1金属細線11は、透明基材3の第1面3a側から第1黒化層11aと金属層11bと第2黒化層11cとが積層されている。第1黒化層11a及び第2黒化層11cは、第1金属細線11の反射率を低減させ、ぎらつきやパターン見えを抑制するための層である。第2金属細線12も同様に、第1黒化層、金属層、第2黒化層の3層構成である。
【0027】
透明基材3の材料は、フレキシブルなものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA、シクロオレフィンポリマー(COP)や環状オレフィン・コポリマー(COC)等のポリオレフィン類、ビニル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、アクリル樹脂(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリウレタン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等の樹脂フィルムを用いることができる。透明基材3の厚みは、5~500μmであり、好ましくは20~100μmである。
【0028】
透明基材3は単層のフィルムでもよいし、複数層を積層したフィルムであってもよい。透明基材3は、構成中に位相差フィルムを含んでいてもよい。
【0029】
金属層の材料としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等、又はこれらの合金を用いることができる。第1黒化層及び第2黒化層の材料としては、銅、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、チタン等の金属酸化物又は金属窒化物を用いることができる。
【0030】
第1金属細線11及び第2金属細線12の線幅は、例えば1~10μmであり、好ましくは1~5μmである。第1金属細線11及び第2金属細線12の膜厚は、例えば120nm~1.2μmである。第1黒化層及び第2黒化層の膜厚は、例えば10~100nmであり、金属層の膜厚は、例えば100nm~1μmである。第1金属細線11及び第2金属細線12の開口率は例えば90%以上、好ましくは95%以上である。
【0031】
以下、第1導電パターン10の詳細について説明する。
図4は、導電シート1を透明基材3の第1面3a側から観察した場合の、第1導電パターン10の一部を部分的に抜き出して拡大した平面図である。第1方向d1に延びる第1金属細線11と第2方向d2に延びる第2金属細線12とは、各々が交差する箇所に形成された共通の第1屈曲線13を含む。第1金属細線11と第2金属細線12とは、各々が交差する箇所において、1本の第1屈曲線13を共有している。第1金属細線11と第2金属細線12によって第1鈍角部θが形成される。第1屈曲線13は、第1鈍角部θ同士を接続するように形成されている。
【0032】
図4を参照して、第1金属細線11のうち、第1屈曲線13から次の第1屈曲線13まで延びる金属細線が第1金属辺14である。同様に、第2金属細線12のうち、第1屈曲線13から次の第1屈曲線13まで延びる金属細線が第2金属辺15である。第1金属辺14及び第2金属辺15の両端には、第1屈曲線13が接続されている。第1金属辺14と第2金属辺15によって第1鈍角部θが形成される。第1金属辺14と第2金属辺15が交わる点を交点Sとすると、第1鈍角部θは、交点Sを中心として第1金属辺14と第2金属辺15によって形成される角度である。2本の第1屈曲線13、2本の第1金属辺14、及び2本の第2金属辺15によって囲まれる領域が第1開口部Rである。第1開口部Rは、第1方向及び第2方向に連続して配置され、透明基材3の第1面3a上に敷き詰められる。1つの第1開口部Rの中に2つの第1鈍角部θが存在し、その2つの第1鈍角部θを通るように交点Sを結んだ仮想線を中心線Lとする。
【0033】
第1屈曲線13を挟んで対向する第1金属辺14と第1金属辺15の長さは等しい。つまり、第1鈍角部θを形成する第1金属辺14と第2金属辺15の長さは等しい。よって、透明基材3の第1面3a上の第1金属辺14と第2金属辺15の長さは全て等しい。第1開口部Rを形成する2本の第1金属辺14及び2本の第2金属辺15は等しい長さである。
【0034】
第1金属辺14の両端に接続されている2本の第1屈曲線13は平行である。同様に、第2金属辺15の両端に接続されている2本の第1屈曲線13は平行である。1つの第1開口部Rを形成する2本の第1屈曲線13は平行である。第1導電パターン10の各々の第1屈曲線13は等しい長さである。第1金属辺14及び第2金属辺15のうち交点Sとは反対側の終点を結んだ線分は、中心線Lと直交する。第1屈曲線13は、対向する第1鈍角部θ同士を接続することで第1開口部R同士を接続し、第1中心線L同士を接続している。第1屈曲線13は、第1中心線Lの延長線上に配置される。第1開口部Rは、中心線Lを中心として線対称となる図形である。第1金属辺14及び第2金属辺15と第1屈曲線13で形成する角度は、それぞれ直角又は鈍角となる。
【0035】
第1金属辺14及び第2金属辺15の長さは、導電シート1の用途や必要とされる抵抗値、透明基材3の大きさに応じて設定することができ、例えば300~1300μmとすることができる。屈曲線13の長さは、8~20μmであることが好ましい。屈曲線13の長さが8μm以上であれば、金属細線のパターニング時にエッチング液が到達しないなどの理由により、除去されるべき金属が残って交点部分の面積が大きくなる現象を防ぐことができる。20μm以下であれば、例えば表示装置のブラックマトリクスとの干渉等による、モアレの発生を抑制することができる。更に好ましい屈曲線13の長さは、8~14μmである。鈍角部θは90°以上180°未満に設定できる。
【0036】
導電シート1は、導電性インキを透明基材3上にパターン印刷する方法や、透明基材3上にスパッタリング法や金属箔転写により黒化層を含む金属膜を形成し、露光・エッチングによりパターニングを行う方法によって、製造することができる。露光・エッチングによりパターニングを行う場合は、透明基材3の両面に黒化層を含む金属膜を形成し、両面同時にパターニングを行うことができる。
【0037】
以上から、第1実施形態による導電シート1では、第1屈曲線13が対向する第1鈍角部θ同士を接続する。そのため、第1金属細線11と第2金属細線12が屈曲線を形成することなく交差して鋭角を形成する場合に比べて、第1金属辺14及び第2金属辺15と第1屈曲線13とでより大きい角度を形成することができる。よって、金属細線のパターニング時にエッチング液が行き渡らず、交点部分の金属がパターン通りにエッチングされずに残り交点部分の金属面積が大きくなる現象を抑制することができる。したがって、第1金属細線11と第2金属細線12の交差する箇所において金属細線が視認されにくい導電シート1を得ることができる。
【0038】
第1開口部Rを形成する第1金属辺14同士及び第2金属辺15同士の長さは等しく、第1金属辺14と第2金属辺15の長さも等しいので、透明基材3の第1面3a上において金属細線が均等に配置される。よって、金属細線が疎らに形成される箇所と密集して形成される箇所との差による金属細線のパターン見えを防ぐことができる。
【0039】
全ての金属辺の長さが等しいことに加えて、第1金属辺14又は第2金属辺15の両端に接続された第1屈曲線13は平行であり且つ長さが等しい。このようにすると、全ての第1開口部Rは同じ形状になるため、第1導電パターン10の設計負荷をより低減することができる。更に、各々の長さが等しい第1屈曲線13が、第1開口部Rの第1中心線Lの延長線上に形成されており、第1金属辺14及び第2金属辺15と屈曲線13とで形成される角度が全て直角又は鈍角になる。第1金属細線11と第2金属細線12との交差する箇所において金属細線が鋭角を形成しないので、交点部分の金属面積が大きくなる現象をより効果的に抑制することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態について、
図5から
図7を参照しながら説明する。
<第2実施形態>
【0041】
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る導電シート100は、透明基材130と、透明基材130の第1面130aに形成された第1導電パターン110と、透明基材130の第2面130bに形成された第2導電パターン120とを備えている。第1導電パターン110及び第2導電パターン120は、第1面130a側からの平面視において、
図8のようなパターン形状である。
図8では、第1面130a側の第1導電パターン110を実線で、第2面130b側の第2導電パターン120を破線で表している。
【0042】
図6及び
図7を参照して、第1導電パターン110及び第2導電パターン120について説明する。
図6は、透明基材130の第1面130a側から観察した場合の、第1導電パターン110の一部を部分的に抜き出して拡大した平面図である。第1方向d1に延びる第1金属細線111と第2方向d2に延びる第2金属細線112とは、各々が交差する箇所に共通の第1屈曲線113が形成されている。第1金属細線111と第2金属細線112とは、各々が交差する箇所において、1本の第1屈曲線113を共有している。第1金属細線111と第2金属細線112によって第1鈍角部θ1が形成される。第1屈曲線113は、第1鈍角部θ1同士を接続するように形成されている。
【0043】
第1金属細線111のうち、第1屈曲線113から次の第1屈曲線113まで延びる金属細線が第1金属辺114である。第2金属細線112のうち、第1屈曲線113から次の第1屈曲線113まで延びる金属細線が第2金属辺115である。第1金属辺114及び第2金属辺115の両端には、第1屈曲線113が接続されている。第1金属辺114と第2金属辺115によって第1鈍角部θ1が形成される。第1金属辺114と第2金属辺115が交わる点を交点S1とすると、第1鈍角部θ1は、交点S1を中心として第1金属辺114と第2金属辺115によって形成される角度である。2本の第1屈曲線113、2本の第1金属辺114、及び2本の第2金属辺115によって囲まれる領域が第1開口部R1である。第1開口部R1は、第1方向d1及び第2方向d2に連続して配置され、透明基材130の第1面130a上に敷き詰められる。1つの第1開口部R1の中に2つの第1鈍角部θ1が存在し、その2つの第1鈍角部θ1を通るように第1交点S1を結んだ仮想線が第1中心線L1である。
【0044】
第1屈曲線113を挟んで対向する第1金属辺114と第2金属辺115の長さは等しい。第1開口部R1を形成する2本の第1金属辺114及び2本の第2金属辺115は全て等しい長さである。第1金属辺114の両端に接続されている2本の第1屈曲線113は平行であり、第2金属辺115の両端に接続されている2本の第1屈曲線113は平行である。1つの第1開口部R1を形成する2本の第1屈曲線113は平行である。第1金属辺114及び第2金属辺115のうち交点S1とは反対側の終点を結んだ線分は、第1中心線L1と直交する。第1屈曲線113は、第1中心線L1同士を接続しており、第1中心線L1の延長線上に配置される。第1開口部R1は、第1中心線L1を中心として線対称となる図形である。第1金属辺114及び第2金属辺115と第1屈曲線113で形成する角度は、それぞれ直角又は鈍角となる。
【0045】
図7は、導電シート100を透明基材130の第1面130a側から観察した場合の、第2導電パターン120の一部を部分的に抜き出して拡大した平面図である。第2導電パターン120は、第1方向d1に延び、第2方向d2に並んで配置された複数の第3金属細線121と、第2方向d2に延び、第1方向d1に並んで配置された複数の第4金属細線122を含む。第3金属細線121と第4金属細線122が交差することによって、透明基材130の第2面130b上には、複数の第2開口部R2が第1方向d1及び第2方向d2に連続して配置される。
【0046】
第1方向d1に延びる第3金属細線121と第2方向d2に延びる第4金属細線122とは、各々が交差する箇所に共通の第2屈曲線123が形成されている。第3金属細線121と第4金属細線122とは、各々が交差する箇所において、1本の第2屈曲線123を共有している。第3金属細線121と第4金属細線122によって第2鈍角部θ2が形成される。第2屈曲線123は、第2鈍角部θ2同士を接続するように形成されている。
【0047】
第3金属細線121のうち、第2屈曲線123から次の第2屈曲線123まで延びる金属細線が第3金属辺124である。第4金属細線122のうち、第2屈曲線123から次の第2屈曲線123まで延びる金属細線が第4金属辺125である。第3金属辺124及び第4金属辺125の両端には、第2屈曲線123が接続されている。第3金属辺124と第4金属辺125によって第2鈍角部θ2が形成される。第3金属辺124と第4金属辺125が交わる点を交点S2とすると、第2鈍角部θ2は、交点S2を中心として第3金属辺124と第4金属辺125によって形成される角度である。2本の第2屈曲線123、2本の第3金属辺124、及び2本の第4金属辺125によって囲まれる領域が第2開口部R2である。第2開口部R2は、第1方向及び第2方向に連続して配置され、透明基材130の第2面130b上に敷き詰められる。1つの第2開口部R2の中に2つの第2鈍角部θ2が存在し、その2つの第2鈍角部θ2を通るように交点S2を結んだ仮想線が第2中心線L2である。
【0048】
第1屈曲線123を挟んで対向する第3金属辺124と第4金属辺125の長さは等しい。第2開口部R2を形成する2本の第3金属辺124及び2本の第4金属辺125は全て等しい長さである。第3金属辺124の両端に接続されている2本の第2屈曲線123は平行であり、第4金属辺125の両端に接続されている2本の第2屈曲線123は平行である。1つの第2開口部R2を形成する2本の第2屈曲線123は平行である。第3金属辺124及び第4金属辺125のうち交点S2とは反対側の終点を結んだ線分は、第2中心線L2と直交する。第2屈曲線123は、第2中心線L2同士を接続しており、第2中心線L2の延長線上に配置される。第2開口部R2は、第2中心線L2を中心として線対称となる図形である。第3金属辺124及び第4金属辺125と第2屈曲線123で形成する角度は、それぞれ直角又は鈍角となる。
【0049】
第1金属辺114及び第2金属辺115と第3金属辺124及び第4金属辺125の長さは等しい。第1屈曲線113と第2屈曲線123の長さも等しい。第1鈍角部θ1と第2鈍角部θ2の大きさも等しい。よって、第1開口部R1と第2開口部R2の開口面積は等しい。金属辺及び屈曲線の長さ、鈍角部の角度は、第1実施形態と同じように設定できる。
【0050】
図8を参照して、第1導電パターン110と第2導電パターン120の重ね方について説明する。
第2導電パターン120を構成する第3金属細線121は、第1金属細線111と重ならないように第2方向d2に複数並んで配置される。同様に、第4金属細線122は、第2金属細線112と重ならないように、第1方向d1に複数並んで配置される。第1金属細線111と第3金属細線121は共に第1方向d1に延びている。第2金属細線112と第4金属細線122は共に第2方向d2に延びている。
【0051】
第1導電パターン110及び第2導電パターン120は、第2導電パターン120の第2屈曲線123が、第1導電パターン110の第1開口部R1の中心に位置するように配置されている。第1開口部R1の中心に位置する第2屈曲線123は、その第1開口部R1の第1中心線L1の中心に、第1中心線L1と重なるように配置される。
【0052】
第1開口部R1と第2開口部R2の開口面積は等しいので、第1屈曲線113についても同様となる。第1導電パターン110の第1屈曲線113は、第2導電パターン120の第2開口部R2の中心に位置するように配置される。第2開口部R2の中心に位置する第1屈曲線113は、その第2開口部R2の第2中心線L2の中心に、第2中心線L2と重なるように配置される。
【0053】
以上から、第2実施形態による導電シート100では、第2屈曲線123が対向する第2鈍角部θ2同士を接続する。そのため、第3金属細線121と第4金属細線122が屈曲線を形成することなく交差する場合に比べて、第3金属辺124及び第4金属辺125と第2屈曲線123とでより大きい角度を形成することができる。よって、金属細線のパターニング時にエッチング液が行き渡らず交点部分の金属がパターン通りにエッチングされずに残り交点部分の金属の面積が大きくなる現象を抑制することができる。したがって、透明基材130の第1面130aだけでなく第2面130bにおいても、金属細線の交点部分が視認されにくい導電シートを形成することができる。
【0054】
第1金属辺114及び第2金属辺115と第3金属辺124及び第4金属辺125の長さが等しくなるように、第1屈曲線113と第2屈曲線123の長さが等しくなるようにそれぞれ構成されているので、第1開口部R1と第2開口部R2の開口面積は等しい。よって、透明基材130の両面で同じ導電パターンを使用できるため、導電パターンの設計負荷を軽減することができる。
【0055】
第2屈曲線123が第1開口部R1の中心に位置するように、言い換えると第1屈曲線113が第2開口部R2の中心に位置するように、第1導電パターン110と第2導電パターン120を配置するので、透明基材130の第1面130a側から見ると金属細線が均等に配置される。そのため、金属細線の疎密の差による金属細線のパターン見えを防止することができる。
【0056】
上記第2実施形態では金属辺が直線であったが、金属辺の構成はこれに限られない。
図9から
図11を参照して、変形例AからCを説明する。尚、
図9から
図11では、透明基材の第1面側にある第1導電パターンを実線で、第2面側にある第2導電パターンを破線で、それぞれ表している。ここでは、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
<変形例A>
図9を参照して、変形例Aにかかる導電シート100Aを説明する。
導電シート100Aは、透明基材と、透明基材第1面に形成された第1導電パターン110Aと、透明基材第2面に形成された第2導電パターン120Aとを備える。第1導電パターン110A及び第2導電パターン120Aは、第1面側からの平面視において、
図9(a)のようなパターン形状である。
【0058】
変形例Aでは、金属辺が、山と谷が交互に形成されるように円弧を連続させた波線形状で構成されている。第1導電パターン110Aにおいて、1本の金属辺は4つの円弧を山と谷が交互になるように連続させた形状である。円弧の山と谷が1つずつセットになったものを1周期とすると、第1金属辺114A及び第2金属辺115Aの波線の長さは2周期と表せる。第3金属辺124A及び第4金属辺125Aも同様である。
【0059】
変形例Aによる導電シート100Aでは、上記実施形態と同様に金属細線の交点部分の視認を防止できることに加えて、太陽光などの点光源から入射した光が金属細線によって回折することで起こる光芒を抑制することで、ぎらつきを抑えることができる。
【0060】
更に、
図9(b)を参照して、金属辺において1つの円弧の始点から終点まで直線(弦長)を引き、その直線から円弧の頂上までを矢高hとすると、円弧の半径rとの関係は0.07<h/r≦0.4であることが好ましい。h/rが0.4以下であれば金属細線の抵抗値が上がりすぎず良好な応答速度を保つことができ、0.07より大きければ、光芒をより効果的に抑制することができる。
【0061】
<変形例B>
図10を参照して、変形例Bにかかる導電シート100Bを説明する。
導電シート100Bは、透明基材と、透明基材第1面に形成された第1導電パターン110Bと、透明基材第2面に形成された第2導電パターン120Bとを備える。第1導電パターン110B及び第2導電パターン120Bは、第1面側からの平面視において、
図10のようなパターン形状である。
【0062】
第1導電パターン110Bは、複数の第1金属細線111Bと複数の第2金属細線112Bを含む。第1金属細線111Bと第2金属細線112Bとは、各々が交差する箇所に共通の第1屈曲線113Bが形成されている。第1金属細線111Bのうち、第1屈曲線113Bから次の第1屈曲線113Bまで延びる金属細線が第1金属辺114Bである。一方、第2金属細線112Bは、第1屈曲線113Bから次の第1屈曲線113Bまで延びる金属細線である第2金属辺115Bと、第1屈曲線113Bから次の第1屈曲線113Bの間に金属細線が形成されていない第1断線部116Bとを含む。第2金属細線112Bにおいて、第2金属辺115Bと第1断線部116Bとは交互に形成されている。
【0063】
第2導電パターン120Bは、複数の第3金属細線121Bと複数の第4金属細線122Bを含む。第3金属細線121Bと第4金属細線122Bとは、各々が交差する箇所に共通の第2屈曲線123Bが形成されている。第3金属細線121Bは、第2屈曲線123Bから次の第2屈曲線123Bまで延びる金属細線である第3金属辺124Bと、第2屈曲線123Bから次の第2屈曲線123Bの間に金属細線が形成されていない第2断線部126Bとを含む。第3金属辺124Bと第2断線部126Bとは交互に形成されている。第4金属細線122Bは、第2屈曲線123Bから次の第2屈曲線123Bまで延びる第4金属辺125Bを含む。第1断線部116Bと第2断線部126Bは交差しない。
【0064】
変形例Bによる導電シート100Bでは、第1断線部116Bと第2断線部126Bを形成することにより、金属細線の疎密の偏りを起こすことなくパターンに変化を持たせることができる。よって、金属細線の交点部分の視認防止に加えて、金属細線の疎密の差によるパターン見えを防止するとともに、タッチセンサの電極等に使用する際に、表示装置のブラックマトリクスとの干渉によって発生するモアレを抑制することができる。
【0065】
<変形例C>
図11を参照して、変形例Cにかかる導電シート100Cを説明する。
導電シート100Cは、透明基材と、透明基材第1面に形成された第1導電パターン110Cと、透明基材第2面に形成された第2導電パターン120Cとを備える。第1導電パターン110C及び第2導電パターン120Cは、第1面側からの平面視において、
図11のようなパターン形状である。
【0066】
変形例Cでは、金属辺が変形例Aと同様の波線で構成されている。第1導電パターン110Cにおいて、1本の金属辺は4つの円弧を山と谷が交互になるように連続させた形状である。円弧の山と谷が1つずつセットになったものを1周期とすると、第1金属辺114C及び第2金属辺115Cの波線の長さは2周期と表せる。第2導電パターン120Cも同様である。更に、変形例Bと同様に断線部が形成されている。第2金属細線112Cは、第2金属辺115Cと第1断線部116Cとを含み、第2金属辺115Cと第1断線部116Cとは交互に形成されている。第3金属細線121Cは、第3金属辺124Cと第2断線部126Cとを含み、第3金属辺124Cと第2断線部126Cとは交互に形成されている。
【0067】
変形例Cによる導電シート100Cでは、金属辺を波線にすることで光芒を抑制するとともに、断線部を形成することで金属細線の疎密の偏りを起こすことなくパターンに変化を持たせることができる。よって、金属細線交点の視認防止に加えて、金属細線のパターン見えとモアレ発生を抑制し、更に光芒によるぎらつきを抑制できる導電シートを得ることができる。
【0068】
次に、本発明の第3実施形態について、
図12及び
図13を参照しながら説明する。
<第3実施形態>
【0069】
図12を参照して、本発明の第3実施形態に係るタッチセンサ500は、透明基材600と、透明基材600の第1面に形成された複数の第1電極700と、複数の第1電極700の端部にそれぞれ形成された第1接続部710と、外部配線と接続される第1端子部720と、第1接続部710と第1端子部720とを接続する第1引回し配線730とを備える。さらに、タッチセンサ500は、透明基材600の第2面に形成された複数の第2電極800と、複数の第2電極800の端部にそれぞれ形成された第2接続部810と、外部配線と接続される第2端子部820と、第2接続部810と第2端子部820とを接続する第2引回し配線830とを備える。
図12において、透明基材600の第1面に形成された電極等を実線で、第2面に形成された電極等を破線で表している。
【0070】
透明基材600の第1面は、操作領域V1と周辺領域V2に区画されている。操作領域V1は、タッチセンサ500のうちユーザーによる入力操作が行われる領域であり、周辺領域V2は、組立て後にカバー基材の枠状の加飾層等で覆われる領域である。透明基材600の第1面の操作領域V1には複数の第1電極700と第1ダミー部740が、周辺領域V2には第1接続部710と第1端子部720と第1引回し配線730が、それぞれ形成されている。
【0071】
複数の第1電極700は、操作領域V1に形成されている。複数の第1電極700は、帯形状であり、透明基材600の第1面に、y軸方向に向かって延びx軸方向に4本並ぶように配置されている。複数の第1電極700は、第2実施形態で説明した第1導電パターン110で構成されている。これらの複数の第1電極700は、タッチセンサの電極を構成する。
【0072】
複数の第1電極700の大きさは、操作領域V1の大きさや解像度によって決定されるため特に限定されないが、第1導電パターン110を構成する第1開口部R1のピッチ(第1開口部R1を構成する第1屈曲線113同士を結びL1と直交する線分の長さ)をA、第1電極700の幅をW、第1ダミー部740の幅をXとすると、W/Aが2以上の整数であることが好ましい。このようにすれば、金属細線のどこか1箇所が断線してしまった場合であっても電極の導通を維持し、タッチセンサの動作を保つことができる。更に、複数の第1電極700のそれぞれの幅Wを同一にして、W/Aを2以上の整数とし、X/Aを0以上の整数とすることが好ましい。このようにすれば、1つの電極内に含まれる金属細線の面積が一定になるため、電極ごとに抵抗値がばらつかず良好に動作するタッチセンサを得ることができる。
【0073】
第1ダミー部740は、操作領域V1のうち複数の第1電極700が形成されていない領域に形成されている。第1電極700と第1ダミー部740とは、交互に配置されている。第1ダミー部740は、複数の第1電極700と同様に、第2実施形態で説明した第1導電パターン110で構成されている。
図13を参照して、
図12における領域Kを拡大すると、第1電極700と第1ダミー部740とは、第1境界部750によって電気的に接続しないように断線されている。第1境界部750は、第1電極700を構成する金属細線が一部断線することで形成されており、第1電極700と第1ダミー部740は第1境界部750によって隔てられる。第1電極700と第1ダミー部740の境界線上にある金属細線全てを断線させることで第1境界部750が形成される。第1境界部750はy方向に形成されている。第1境界部750の幅は、1~20μmであることが好ましい。第1境界部750の断線の幅をこの範囲にしておくと、金属細線の有無による第1電極と第1ダミー部の境界線見えを防止できる。第1境界部750の断線を形成する際は、断線している金属細線の端部が直角になるように断線させることが好ましい。斜め方向に延びる金属細線をy軸に平行に断線させると、断線させた金属細線の端部が鋭角になり、製造時のエッチング精度が悪化する場合があるためである。第1境界部750を構成する断線は、第1金属辺及び第2金属辺の中点に位置させることが好ましい。
【0074】
第1接続部710は、第1電極700と第1引回し配線730を接続するためのものである。第1接続部710によって、第1電極700を構成する第1導電パターン110をまとめて第1引回し配線730に接続することができる。第1接続部710は、矩形状であり、帯形状である第1電極700の長手方向の一端に形成されている。第1接続部710は、第1電極700を構成する第1導電パターン110の一部と重なるように、周辺領域V2に形成される。第1電極700は操作領域V1の境界線まで延びており、第1接続部710の矩形の一辺は、操作領域V1と周辺領域V2の境界線と重なっている。第1接続部710の幅は、第1電極700の幅と等しい。第1接続部710は、第1金属細線111や第2金属細線112と同様に、透明基材600側から第1黒化層、金属層、第2黒化層の順で積層された積層膜で構成されている。
【0075】
第1端子部720は、フレキシブル配線基板などの外部配線とタッチセンサ500を接続するためのものであり、透明基材600上の外縁付近に形成されている。第1引回し配線730は、第1電極700と第1端子部720とを接続するためのものであり、途中で折れ曲がり透明基材600外縁の中央付近に集まるようにして第1端子部720に接続されている。第1端子部720及び第1引回し配線730は、第1金属細線11や第2金属細線12と同様に、透明基材600側から第1黒化層、金属層、第2黒化層の順で積層されている。
【0076】
同様に、透明基材600の第2面の操作領域V1には複数の第2電極800と第2ダミー部840が、周辺領域V2には第2接続部810と第2端子部820と第2引回し配線830が、それぞれ形成されている。複数の第2電極800は、透明基材600の第2面に、x軸方向に向かって延びy軸方向に5本並ぶように配置されている。第2接続部810は、帯形状である複数の第2電極800の長手方向の一端に形成されている。複数の第2電極800は、第2実施形態で説明した第2導電パターン120で構成されている。これらの複数の第2電極800は、タッチセンサの電極を構成する。
【0077】
透明基材600の両面に形成された第1端子部720及び第2端子部820はフレキシブルプリント基板(図示せず)と接続される。フレキシブルプリント基板は、静電容量方式のタッチ検出を実現する制御部と接続されている。ユーザーの指やスタイラス等の導体が近接又は離間した際に、第1電極700及び第2電極800に生じる静電容量の変化に応じて流れる電流を制御部で検知することで、ユーザーによるタッチ操作及びタッチ位置を検出することができる。
【0078】
タッチセンサ500の製造方法を説明する。
まず、スパッタリング法や金属箔転写により、透明基材600の両面に第1黒化膜層・金属膜層・第2黒化膜層をこの順で形成する。更に、第2黒化膜層の上にレジスト層を形成し、パターンマスクを用いて露光・現像することによりレジスト層をパターニングする。その後、パターニングされたレジスト層をエッチングマスクとして、第1黒化膜層・金属膜層・第2黒化膜層のエッチングを行なうことで、透明基材600の両面に、導電パターンで構成された電極、ダミー部、接続部、端子部、引回し配線を同時に形成する。
【0079】
以上から、第3実施形態によるタッチセンサ500では、第1電極700及び第2電極800が第2実施形態に係る第1導電パターン及び第2導電パターンでそれぞれ構成されているため、金属細線の交点部分が視認されにくく、外観が良好なタッチセンサを得ることができる。
【0080】
また、操作領域V1では、電極が形成されていない箇所にダミー部が形成されているため、電極の有無に起因して電極パターンが操作者に観察されてしまう骨見え現象を抑制することができる。ダミー部は電極と同じく第2実施形態に係る第1導電パターン及び第2導電パターンで構成されているため、ダミー部と電極の両方において金属細線の交点部分のパターン見えを抑えられる。よって、タッチセンサ500の操作領域V1の外観を良好にすることができる。また、第3実施形態に係るタッチセンサ500の製造方法では、電極、ダミー部、接続部、端子部、引回し配線を透明基材600の両面に同時に形成できるため、製造工程が複雑化するのを防ぐことができる。
【0081】
尚、上記の実施形態では、第1金属辺と第2金属辺の長さが等しく構成されていたが、第1金属辺と第2金属辺の長さは異なっていてもよい。第1金属辺と第2金属辺の長さが異なることにより、開口部の大きさが異なっていてもよい。金属細線の疎密の差によるパターン見え防止のため、第1金属辺と第2金属辺の長さは、一方の辺が他方の辺の1倍~2倍になるように設定することが好ましい。第3金属辺と第4金属辺も同様である。
【0082】
更に、屈曲線を挟んで隣り合う第1金属辺同士の長さが異なっていてもよい。その場合も、一方の辺が他方の辺の1~2倍になるように設定すればよい。第2金属辺から第4金属辺も同様である。
【0083】
上記の実施形態では、第1屈曲線と第2屈曲線の長さは全て等しく構成されていたが、これらの長さは異なっていてもよい。第1屈曲線同士、又は第2屈曲線同士の長さが異なっていてもよい。
【0084】
上記の実施形態では、金属辺の両端に接続された屈曲線は平行であったが、これらの屈曲線は平行でなくてもよい。第1実施形態を例にとると、第1屈曲線13はL1の延長線上に形成されているが、d1方向又はd2方向に傾斜していてもよい。更に、第1屈曲線13は湾曲していてもよい。その際、エッチング液の未到達等による金属細線交点での金属面積増大を回避するために、第1屈曲線13と第1金属辺14又は第2金属辺15が形成する角度が90°以上であることが好ましい。他の実施形態でも同様である。
【0085】
上記の実施形態では、第1導電パターンと第2導電パターンが重なるときに屈曲線が開口部の中心に配置されるように構成されていたが、第1導電パターンと第2導電パターンの重ね方はこれに限られない。第1導電パターンと第2導電パターンを重ねることで第1導電パターンを構成する金属辺と第2導電パターンを構成する金属辺が交差する。このとき、金属辺と屈曲線が近すぎる、あるいは屈曲線同士が近すぎる配置を防ぐため、交差する金属辺同士は、一方の金属辺が他方の金属辺によって1:1~2:1に分割されるように交差することが好ましい。
【0086】
上記の実施形態では、金属細線は第1黒化層、金属層、第2黒化層の順に積層されていたが、金属細線の積層構成はこれに限られない。例えば、金属層のみとする構成や、透明基材側から金属層、黒化層の順に積層された構成としてもよいし、透明基材上に形成された金属層の上面と側面を覆うように黒化層を形成してもよい。更に、金属層の周囲を全て黒化層で覆う構成としてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、第2金属辺と第1断線部が交互に形成され、第3金属辺と第2断線部が交互に形成されていたが、断線部の形成位置はこれに限られない。金属細線の疎密の偏りを防ぐために、第1断線部と第2断線部が交差しないように断線部を形成すればよい。
【0088】
上記の実施形態では、金属辺は直線又は波線で構成されていたが、他の形状であってもよい。例えば、ジグザグ線や屈曲線を用いることができる。
【0089】
上記の実施形態では、電極は帯形状であったが、電極の形状はこれに限られない。電極の他の形状としては、例えば菱形形状が頂点同士を繋ぐように連なった形状や櫛歯形状とすることができる。また、電極の本数、引回し配線の位置、端子部の位置も特に制限されない。
【0090】
上記の実施形態では、ダミー部は第2実施形態に係る導電パターンによって構成されていたが、ダミー部の金属細線パターンはこれに限られない。ダミー部は、金属細線交点の視認を抑制できるような金属細線パターンで形成されることが好ましい。
【0091】
上記の実施形態では、タッチセンサ500の透明基材600の両面に電極が形成されていたが、タッチセンサの構成はこれに限られない。一方面に電極が形成された透明基材2枚を、透明基材の他方面が対向するように貼り合わせてもよいし、電極形成面同士が対向するように接着層を介して貼り合わせてもよい。又、一方の透明基材の電極形成面に他方の透明基材の電極非形成面を重ねるようにして貼り合わせてもよい。
【0092】
上記の実施形態では、電極の一方端に接続部が形成されていたが、電極の長手方向両端に接続部を形成してもよい。例えば、第2電極800の左側端部に第2接続部810が形成されているところ、更に第2電極800の右側端部に第2接続部810を形成してもよい。この場合、第1端子部720の右側にも第2端子部820が形成され、それぞれの第2引回し配線830が第2端子部820と接続される。端子部の位置や引回し配線の配置は特に限定されない。
【0093】
上記の実施形態では、複数の電極、ダミー部、接続部、端子部、引回し配線を同時に形成したが、タッチセンサ500の製造方法はこれに限られない。例えば、操作領域V1に第1実施形態による金属細線を形成した後に、レーザーで金属細線を断線させることにより境界部を形成し、複数の電極とダミー部を形成してもよい。また、複数の電極及びダミー部を操作領域V1に形成した後に、接続部、端子部、引回し配線を周辺領域V2に形成してもよい。また、透明基材600の両面に同時に形成するのではなく、片面ずつに形成してもよい。
【0094】
上記実施形態では、導電シートがタッチセンサの電極として用いられる場合について説明したが、導電シートの用途はタッチセンサに限定されない。例えば、アンテナ、ヒータなどにも本発明に係る導電シートを用いることができる。
【符号の説明】
【0095】
1,100 導電シート
3,130,600 透明基材
10,110 第1導電パターン
11,111 第1金属細線
12,112 第2金属細線
13,113 第1屈曲線
14,114 第1金属辺
15,115 第2金属辺
20,120 第2導電パターン
21,121 第3金属細線
22,122 第4金属細線
23,123 第2屈曲線
24,124 第3金属辺
25,125 第4金属辺
500 タッチセンサ
700 第1電極
800 第2電極
710 第1接続部
810 第2接続部
720 第1端子部
820 第2端子部
730 第1引回し配線
830 第2引回し配線
740 第1ダミー部
840 第2ダミー部