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特開2022-178706インシュレータ、ステータ及びステータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178706
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】インシュレータ、ステータ及びステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20221125BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20221125BHJP
   H02K 15/10 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H02K3/34 B
H02K15/085
H02K15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085679
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水野 良輔
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA01
5H604AA08
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604PB03
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP01
5H615PP12
5H615QQ08
5H615QQ19
5H615RR01
(57)【要約】
【課題】ステータの製造工数の増大を抑制しつつコイルの巻き終わりの端末線を保持できるインシュレータを提供する。
【解決手段】インシュレータ71は、内側面63を有するバックヨーク部64と内側面63から基準軸と直交する方向に突出するティース65とを有し基準軸を中心とする環状に配置されてステータコアを構成する複数の分割コア62の各々に装着される。インシュレータ71は、ティース65の少なくとも一部を覆うティース被覆部72と、内側面63の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部73と、ヨーク被覆部73から突出する規制突起74とを備える。規制突起74は、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときにティース65の基端から先端に向かう方向R2にヨーク被覆部73から突出する。かつ、規制突起74は、ティース65の先端から基端に向かう方向R1に見てコイル81と周方向C1に隣り合う位置にある。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面(63)を有するバックヨーク部(64)と前記内側面から基準軸(L1)と直交する方向に突出するティース(65)とを有し前記基準軸を中心とする環状に配置されてステータコア(61)を構成する複数の分割コア(62)の各々に装着され、前記分割コアと前記ティースに巻回されるコイル(81)とを電気的に絶縁するためのインシュレータであって、
前記ティースの少なくとも一部を覆うティース被覆部(72)と、前記内側面の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部(73)と、前記ヨーク被覆部から突出する規制突起(74,74A,74B,74C,74D)とを有し、
前記規制突起は、当該インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記ティースの基端から先端に向かう方向(R2)に前記ヨーク被覆部から突出し、かつ、前記ティースの先端から基端に向かう方向(R1)に見て前記ティースに巻回される前記コイルと前記基準軸回りの周方向(C1)に隣り合う位置にあるインシュレータ。
【請求項2】
当該インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記基準軸に沿った方向から見て前記周方向における前記規制突起の両端のうち前記ティース被覆部から遠い方の端を第1端(92a)、前記ティース被覆部に近い方の端を第2端(92b)とすると、前記規制突起は、前記規制突起における前記第1端を含む端部領域に、前記周方向に沿って前記第1端から前記第2端に近づくにつれて前記ヨーク被覆部からの突出量が徐々に多くなる傾斜部(93,93A)を有する請求項1に記載のインシュレータ。
【請求項3】
前記規制突起は、当該インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記基準軸に沿った方向から見て、前記周方向における前記規制突起の両端のうち前記ティース被覆部に近い方の端に、前記ヨーク被覆部における前記規制突起が突出している表面に対して鋭角をなす傾斜面(95)を有する請求項1または請求項2に記載のインシュレータ。
【請求項4】
前記規制突起は、当該インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記基準軸と垂直な断面形状が一定である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインシュレータ。
【請求項5】
当該インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記基準軸に沿った方向から見て、前記周方向における前記ティース被覆部の両側に前記規制突起をそれぞれ有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインシュレータ。
【請求項6】
内側面(63)を有するバックヨーク部(64)と前記内側面から基準軸(L1)と直交する方向に突出するティース(65)とをそれぞれ有する複数の分割コア(62)を有するステータコア(61)と、
前記分割コアにそれぞれ装着される複数のインシュレータ(71)と、
前記インシュレータを介して前記ティースにそれぞれ巻回される複数のコイル(81)と
を備えるステータであって、
複数の前記分割コアは、前記基準軸を中心とする環状に配置されており、
前記コイルの各々は、巻き始めの端部である第1端末線(83)と、巻き終わりの端部である第2端末線(84)とを有し、
前記インシュレータの各々は、前記ティースの少なくとも一部を覆うティース被覆部(72)と、前記内側面の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部(73)と、前記ティースの基端から先端に向かう方向(R2)に前記ヨーク被覆部から突出する規制突起(74,74A,74B,74C,74D)とを有し、
各前記インシュレータにおける前記規制突起は、前記ティースの先端から基端に向かう方向(R1)に見て前記ティースに巻回される前記コイルと前記基準軸回りの周方向(C1)に隣り合う位置にあり、かつ、前記周方向における前記ティースの両側のうち前記第1端末線が配置された側と反対側に位置するステータ。
【請求項7】
各前記インシュレータにおける前記規制突起は、前記第2端末線と前記周方向に重なる部分を有する請求項6に記載のステータ。
【請求項8】
各前記コイルを構成する巻線(82)は、横断面形状が円形状であり、
各前記インシュレータにおける前記規制突起は、前記ティースの基端から先端に向かう方向における前記ヨーク被覆部からの突出高さが、前記巻線の半径(Ra1)よりも高い請求項6または請求項7に記載のステータ。
【請求項9】
前記コイルの各々は、前記ティースの基端から先端に向かう方向に前記第2端末線と隣り合って並ぶ並列線(86)を有し、
前記第2端末線は、前記ティースの基端から先端に向かう方向における前記ヨーク被覆部と前記並列線との間に位置し、
前記基準軸に沿った方向から見て、前記並列線と前記規制突起との間の隙間(G1)の幅(W)は、前記コイルを構成する巻線(82)の外径(D1)よりも小さい請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項10】
前記規制突起は、前記第2端末線が前記ヨーク被覆部と前記並列線との間に向かって前記規制突起と前記並列線との間を通り抜けるときには、前記第2端末線から加えられる外力によって、前記基準軸に沿った方向から見て前記規制突起と前記並列線との間の前記隙間の幅が前記巻線の外径よりも小さい第1の幅(W1)になる第1状態から、前記基準軸に沿った方向から見て前記規制突起と前記並列線との間の前記隙間の幅が前記第1の幅よりも大きい第2の幅(W2)になる第2状態に弾性変形し、前記第2端末線が前記規制突起と前記並列線との間を通り抜けた後には前記第1状態に復帰する請求項9に記載のステータ。
【請求項11】
前記分割コアの各々は、前記ティースの先端から基端に向かう方向に見て前記規制突起と重なる範囲を含む範囲に、前記内側面に開口する凹部(67)を有し、
前記インシュレータの各々における前記ヨーク被覆部は、前記ティースの先端から基端に向かう方向に見て前記凹部と重なる位置に、前記ティースの先端から基端に向かう方向に弾性変形可能な弾性片(78)を有し、
前記規制突起は、前記弾性片から突出しており、
前記弾性片は、前記第2端末線が前記ヨーク被覆部と前記並列線との間に向かって前記規制突起と前記並列線との間を通り抜けるときには、前記規制突起を介して前記弾性片に加えられる前記第2端末線からの外力によって、前記基準軸に沿った方向から見て前記規制突起と前記並列線との間の前記隙間の幅が前記巻線の外径よりも小さい第1の幅(W1)になる第1位置に前記規制突起を配置する通常状態から、前記基準軸に沿った方向から見て前記規制突起と前記並列線との間の前記隙間の幅が前記第1の幅よりも大きい第2の幅(W2)になる第2位置に前記規制突起を配置する変形状態に弾性変形し、前記第2端末線が前記規制突起と前記並列線との間を通り抜けた後には前記通常状態に復帰する請求項9に記載のステータ。
【請求項12】
各前記インシュレータにおける前記規制突起は、前記第2端末線が前記ヨーク被覆部と前記並列線との間に向かって前記規制突起と前記並列線との間を通り抜けるときに、前記第2端末線から加えられる外力によって前記周方向に沿って伸びるように弾性変形することにより、前記ティースの基端から先端に向かう方向における前記ヨーク被覆部からの突出高さが低くなることで、前記第1状態から前記第2状態になる請求項10に記載のステータ。
【請求項13】
前記第2端末線は、前記ヨーク被覆部に接触し、かつ、前記基準軸と直交する外向きの半径方向成分(Fr1)を含む力(F1)で前記ヨーク被覆部を押している請求項6から請求項12のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項14】
内側面(63)を有するバックヨーク部(64)と前記内側面から基準軸(L1)と直交する方向に突出するティース(65)とをそれぞれ有する複数の分割コア(62)を有するステータコア(61)と、前記分割コアにそれぞれ装着される複数のインシュレータ(71)と、前記インシュレータを介して前記ティースにそれぞれ巻回される複数のコイル(81)とを備えるステータの製造方法であって、
前記インシュレータの各々は、前記ティースの少なくとも一部を覆うティース被覆部(72)と、前記内側面の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部(73)と、前記ヨーク被覆部から突出する規制突起(74)とを備え、
前記規制突起は、前記インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記ティースの基端から先端に向かう方向(R2)に前記ヨーク被覆部から突出し、かつ、前記ティースの先端から基端に向かう方向(R1)に見て前記ティースに巻回される前記コイルと前記基準軸回りの周方向に隣り合う位置に位置するものであり、
前記分割コアの各々に前記インシュレータを装着する装着工程と、
前記装着工程よりも後に、各前記ティースに巻線(82)を巻回することにより、巻き始めの端部である第1端末線(83)と巻き終わりの端部である第2端末線(84)とを有する前記コイルを形成する巻回工程と、
前記巻回工程よりも後に、前記第2端末線を、前記基準軸と直交する内向きの半径方向成分(Fr2)を含む力(F2)で引っ張る引っ張り工程と、
複数の前記分割コアを、前記基準軸を中心とする環状に配置する配置工程と
を備え、
前記巻回工程では、前記第2端末線を、前記コイルにおける前記ティースに巻き付けられた部分と前記規制突起との間に配置するステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インシュレータ、ステータ及びステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに備えられるステータには、例えば特許文献1に記載されているように、それぞれティースを有する複数の分割コアを有する環状のステータコアと、各ティースに巻回されたコイルとを備えるものがある。複数の分割コアは、各ティースが径方向に延びる状態となるように周方向に並ぶ。各分割コアには、インシュレータが装着される。各コイルは、インシュレータを介してティースに巻回される。コイルの各々は、自身の巻き始めの端部である巻き始めの端末線と、自身の巻き終わりの端部である巻き終わりの端末線とを有する。
【0003】
特許文献1に記載されたステータにおいては、各インシュレータは、端末線を仮保持するための溝を有する。溝は、径方向に延びるとともに、軸方向の一方側に開口する。更に、各インシュレータは、溝の内壁面から突出する一対の係止突起を有する。一対の係止突起は、互いに周方向に対向している。インシュレータを介してティースにコイルが巻回された後、端末線は、対をなす係止突起の間から、係止突起と溝の底面との間に押し込まれる。これにより、端末線は、溝内に仮固定される。そして、端末線が溝内に仮固定された状態で、複数の分割コアは環状に配置される。このため、複数の分割コアを環状に配置する工程が行われている間に、巻き終わりの端末線が溝から外れてコイルが崩れることが抑制される。端末線は、複数の分割コアが環状に配置された後に、溝から外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-195647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているように、係止突起と溝の底面との間に端末線を仮固定する場合、対をなす係止突起の間を通り抜けるように端末線を溝の底面に向けてある程度の力を加えて押し込むことになる。そのため、ティースにコイルを巻回した後、複数の分割コアを環状に配置する工程を行う前に、係止突起と溝の底面との間に端末線を押し込む工程が追加される。更に、複数の分割コアを環状に配置する工程を行った後に、係止突起と溝の底面との間から端末線を取り外す工程を行うことになる。そのため、ステータの製造工数が増大することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ステータの製造工数の増大を抑制しつつコイルの巻き終わりの端末線を保持できるインシュレータ、ステータ及びステータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するインシュレータは、内側面(63)を有するバックヨーク部(64)と前記内側面から基準軸(L1)と直交する方向に突出するティース(65)とを有し前記基準軸を中心とする環状に配置されてステータコア(61)を構成する複数の分割コア(62)の各々に装着され、前記分割コアと前記ティースに巻回されるコイル(81)とを電気的に絶縁するためのインシュレータであって、前記ティースの少なくとも一部を覆うティース被覆部(72)と、前記内側面の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部(73)と、前記ヨーク被覆部から突出する規制突起(74,74A,74B,74C,74D)とを有し、前記規制突起は、当該インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記ティースの基端から先端に向かう方向(R2)に前記ヨーク被覆部から突出し、かつ、前記ティースの先端から基端に向かう方向(R1)に見て前記ティースに巻回される前記コイルと前記基準軸回りの周方向(C1)に隣り合う位置にあるインシュレータである。
【0008】
上記態様によれば、インシュレータを介してティースにコイルが巻回された状態において、規制突起は、ティースの先端から基端に向かう方向に見て当該ティースに巻回されたコイルと基準軸回りの周方向に隣り合う位置にある。そのため、ティースにコイルを巻回する際、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に、第2端末線を容易に配置できる。例えば、巻線機でティースにコイルを巻回する動作の延長で、当該巻線機により第2端末線をコイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に配置することが可能である。そして、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に配置された第2端末線は、コイルにおけるティースに巻回された部分から離れるように移動することが規制突起によって抑制される。従って、従来のように第2端末線を保持するために当該第2端末線を溝に押し込む工程を設けなくとも、第2端末線を保持できる。これらのことから、当該インシュレータを備えるステータの製造工数の増大を抑制しつつコイルの巻き終わりの第2端末線を保持できる。
【0009】
上記課題を解決するステータは、内側面(63)を有するバックヨーク部(64)と前記内側面から基準軸(L1)と直交する方向に突出するティース(65)とをそれぞれ有する複数の分割コア(62)を有するステータコア(61)と、前記分割コアにそれぞれ装着される複数のインシュレータ(71)と、前記インシュレータを介して前記ティースにそれぞれ巻回される複数のコイル(81)とを備えるステータであって、複数の前記分割コアは、前記基準軸を中心とする環状に配置されており、前記コイルの各々は、巻き始めの端部である第1端末線(83)と、巻き終わりの端部である第2端末線(84)とを有し、前記インシュレータの各々は、前記ティースの少なくとも一部を覆うティース被覆部(72)と、前記内側面の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部(73)と、前記ティースの基端から先端に向かう方向(R2)に前記ヨーク被覆部から突出する規制突起(74,74A,74B,74C,74D)とを有し、各前記インシュレータにおける前記規制突起は、前記ティースの先端から基端に向かう方向(R1)に見て前記ティースに巻回される前記コイルと前記基準軸回りの周方向(C1)に隣り合う位置にあり、かつ、前記周方向における前記ティースの両側のうち前記第1端末線が配置された側と反対側に位置するステータである。
【0010】
上記態様によれば、インシュレータを介してティースにコイルが巻回された状態において、規制突起は、ティースの先端から基端に向かう方向に見て当該ティースに巻回されたコイルと基準軸回りの周方向に隣り合う位置にある。そのため、ティースにコイルを巻回する際、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に、第2端末線を容易に配置できる。例えば、巻線機でティースにコイルを巻回する動作の延長で、当該巻線機により第2端末線をコイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に配置することが可能である。そして、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に配置された第2端末線は、コイルにおけるティースに巻回された部分から離れるように移動することが規制突起によって抑制される。従って、従来のように第2端末線を保持するために当該第2端末線を溝に押し込む工程を設けなくとも、第2端末線を保持できる。これらのことから、ステータの製造工数の増大を抑制しつつコイルの巻き終わりの第2端末線を保持できる。
【0011】
また、一般的に、コイルにおいて、第2端末線は、基準軸回りの周方向におけるティースの両側のうち第1端末線が配置された側と反対側に位置することが多い。このため、上記態様によれば、基準軸回りの周方向におけるティースの両側のうち第2端末線が配置される側に、規制突起が位置しやすくなる。従って、コイルを巻回する際、第2端末線を、例えば基準軸回りの周方向におけるティースの両側のうち第1端末線が配置された側まで移動させなくとも、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に容易に保持できる。
【0012】
上記課題を解決するステータの製造方法は、内側面(63)を有するバックヨーク部(64)と前記内側面から基準軸(L1)と直交する方向に突出するティース(65)とをそれぞれ有する複数の分割コア(62)を有するステータコア(61)と、前記分割コアにそれぞれ装着される複数のインシュレータ(71)と、前記インシュレータを介して前記ティースにそれぞれ巻回される複数のコイル(81)とを備えるステータの製造方法であって、前記インシュレータの各々は、前記ティースの少なくとも一部を覆うティース被覆部(72)と、前記内側面の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部(73)と、前記ヨーク被覆部から突出する規制突起(74)とを備え、前記規制突起は、前記インシュレータが前記分割コアに装着された状態のときに前記ティースの基端から先端に向かう方向(R2)に前記ヨーク被覆部から突出し、かつ、前記ティースの先端から基端に向かう方向(R1)に見て前記ティースに巻回される前記コイルと前記基準軸回りの周方向に隣り合う位置に位置するものであり、前記分割コアの各々に前記インシュレータを装着する装着工程と、前記装着工程よりも後に、各前記ティースに巻線(82)を巻回することにより、巻き始めの端部である第1端末線(83)と巻き終わりの端部である第2端末線(84)とを有する前記コイルを形成する巻回工程と、前記巻回工程よりも後に、前記第2端末線を、前記基準軸と直交する内向きの半径方向成分(Fr2)を含む力(F2)で引っ張る引っ張り工程と、複数の前記分割コアを、前記基準軸を中心とする環状に配置する配置工程とを備え、前記巻回工程では、前記第2端末線を、前記コイルにおける前記ティースに巻き付けられた部分と前記規制突起との間に配置するステータの製造方法である。
【0013】
上記態様によれば、インシュレータを介してティースにコイルが巻回された状態において、規制突起は、ティースの先端から基端に向かう方向に見て当該ティースに巻回されたコイルと基準軸周りの周方向に隣り合う位置に位置するものである。そのため、巻回工程において、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に、第2端末線を容易に配置できる。そして、コイルにおけるティースに巻回された部分と規制突起との間に配置された第2端末線は、コイルにおけるティースに巻回された部分から離れるように移動することが規制突起によって抑制される。従って、従来のように第2端末線を保持するために当該第2端末線を溝に押し込む工程を行わなくとも、第2端末線を保持できる。これらのことから、ステータを製造する際における製造工数の増大を抑制しつつ第2端末線を保持できる。
【0014】
また、引っ張り工程を行うことにより、第2端末線は、巻線に生じるスプリングバックによって基準軸と直交する外向きの半径方向成分を含む力でヨーク被覆部を押すことができる。規制突起は、ヨーク被覆部から突出している。このため、第2端末線は、基準軸と直交する外向きの半径方向成分を含む力でヨーク被覆部を押していると、基準軸回りの周方向に規制突起と隣り合って並んだ状態に維持されやすくなる。更に、第2端末線は、ティースの基端から先端に向かう方向に移動し難くなる。従って、第2端末線が、ティースから離れる方向に規制突起を乗り越えて移動することをより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態におけるステータを備えるモータの模式図。
図2】一実施形態における分割コアに装着されたインシュレータの斜視図。
図3】一実施形態におけるインシュレータの斜視図。
図4】一実施形態におけるインシュレータの平面図。
図5】一実施形態におけるインシュレータの正面図。
図6】一実施形態におけるコイルが巻回された分割コアの平面図。
図7】一実施形態におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す平面図。
図8】一実施形態におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す正面図。
図9】一実施形態におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す平面図。
図10】一実施形態におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す平面図。
図11】変更例におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す断面図。
図12】変更例におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す断面図。
図13】変更例におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す断面図。
図14】変更例におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す断面図。
図15】変更例におけるインシュレータの平面図。
図16】変更例におけるインシュレータの一部を示す斜視図。
図17】変更例におけるインシュレータの一部を示す斜視図。
図18】変更例におけるインシュレータの一部を示す斜視図。
図19】変更例におけるインシュレータの一部を示す斜視図。
図20】変更例におけるコイルが巻回された分割コアの一部を示す平面図。
図21】変更例におけるコイルが巻回された分割コアの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、インシュレータ、ステータ及びステータ製造方法の一実施形態について説明する。なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。添付図面において、構成要素の寸法比率は、実際のものと、または別の図中のものと異なる場合がある。
【0017】
図1に示すように、モータ50は、ステータ51と、ロータ52とを備える。ステータ51は、円環状をなしている。ロータ52は、ステータ51の内側に配置される。ロータ52は、回転軸53を有する。
【0018】
(ステータ51の構成)
ステータ51は、ステータコア61と、インシュレータ71と、コイル81とを備える。
【0019】
図1及び図2に示すように、ステータコア61は、ステータ51の周方向に並ぶ複数の分割コア62を有する。ステータコア61は、例えば12個の分割コア62を有する。各分割コア62は、磁性金属材からなる。各分割コア62は、内側面63を有するバックヨーク部64と、内側面63から基準軸L1と直交する方向に突出するティース65とを有する。基準軸L1は、モータ50において回転軸53の回転中心に一致する。また、基準軸L1は、ステータコア61において当該ステータコア61の中心軸に一致する。なお、基準軸L1に沿った方向を「軸方向A1」とする。
【0020】
ステータコア61を構成する複数の分割コア62は、基準軸L1を中心とする環状に配置される。また、複数の分割コア62は、各分割コア62のバックヨーク部64が全体で円環状をなすように基準軸L1周りの周方向C1に配置される。なお、周方向C1は、ステータ51の周方向と同じ方向である。複数の分割コア62が周方向C1に並んでいる状態において、内側面63は、バックヨーク部64における半径方向内側の側面である。なお、「半径方向」は、基準軸L1と直交する方向である。また、半径方向は、周方向C1と直交する方向である。同状態においては、各ティース65は、各バックヨーク部64から半径方向内側に突出する。更に、同状態においては、各ティース65は、半径方向に沿って延びている。また、同状態において、各ティース65の先端は、各ティース65における半径方向内側の端である。更に、同状態において、各ティース65の基端は、各ティース65における半径方向外側の端である。
【0021】
(インシュレータ71の構成)
各分割コア62には、インシュレータ71が装着される。インシュレータ71は、分割コア62と当該分割コア62のティース65に巻回されるコイル81とを電気的に絶縁するためのものである。各インシュレータ71は、絶縁樹脂材からなる。例えば、各分割コア62には、軸方向A1の両側から2つのインシュレータ71が装着される。各分割コア62に装着される2つのインシュレータ71は、例えば同じ形状をなしている。
【0022】
図2図5に示すように、各インシュレータ71は、ティース65の少なくとも一部を覆うティース被覆部72と、内側面63の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部73と、ヨーク被覆部73から突出する規制突起74とを備える。ティース被覆部72、ヨーク被覆部73及び規制突起74は、一体成形品である。
【0023】
各インシュレータ71において、ティース被覆部72は、軸方向A1におけるティース65の両端面のうちの1つの端面と、当該ティース65における周方向C1の両端面とを覆う。
【0024】
各インシュレータ71において、ヨーク被覆部73は、バックヨーク部64における内側面63の一部を覆う。ヨーク被覆部73は、例えば、ティース被覆部72の基端から、即ちティース被覆部72の半径方向外側の端部から、周方向C1の両側及び軸方向A1の一方に延びている。インシュレータ71が分割コア62に装着された状態では、ヨーク被覆部73は、周方向C1におけるティース65の両側で内側面63を被覆する。
【0025】
ヨーク被覆部73は、軸方向A1におけるバックヨーク部64の両端面のうち1つの端面の少なくとも一部を覆う端面被覆部75を有していてもよい。端面被覆部75は、バックヨーク部64の端面上で軸方向A1に沿って延びる。端面被覆部75は、軸方向A1における当該端面被覆部75の両端に第1端75a及び第2端75bを有する。第2端75bは、軸方向A1におけるバックヨーク部64の端面に当接する。第1端75aは、軸方向A1における第2端75bと反対側の端面被覆部75の端である。
【0026】
端面被覆部75は、第1仮保持溝76aと第2仮保持溝76bとを有していてもよい。各インシュレータ71において、第1仮保持溝76aと第2仮保持溝76bとは周方向C1に離れている。第1仮保持溝76a及び第2仮保持溝76bの各々は、第1端75aから第2端75bに向かって軸方向A1に延びている。第1仮保持溝76a及び第2仮保持溝76bの各々は、端面被覆部75を半径方向に貫通している。第1仮保持溝76a及び第2仮保持溝76bの各々は、第1端75aにおいて軸方向A1に開口している。周方向C1における第1仮保持溝76aの幅及び周方向C1における第2仮保持溝76bの幅の各々は、後述する巻線82の外径D1と等しいか、同外径D1よりも若干大きい。
【0027】
図1及び図6に示すように、各分割コア62が有するティース65には、各分割コア62に装着されたインシュレータ71を介してコイル81が巻回される。各コイル81は巻線82からなる。巻線82は、例えば絶縁電線である。巻線82の横断面形状は、例えば円形状である。なお、巻線82の横断面形状は、円形状に限らず、多角形状、楕円形状、その他の任意の形状のいずれかの形状であってもよい。
【0028】
各コイル81は、第1端末線83と、第2端末線84とを有する。各コイル81において、第1端末線83は、巻き始めの端部である。各コイル81において、第2端末線84は、巻き終わりの端部である。また、各コイル81はコイル本体85を有する。各コイル81において、コイル本体85は、第1端末線83と第2端末線84の間の部分であって、ティース被覆部72の上からティース65に巻回される部分である。即ち、コイル本体85は、コイル81におけるティース65に巻回された部分である。
【0029】
図6に示すコイル81は、基準軸L1と垂直な断面、即ち軸方向A1と垂直な断面で図示されている。なお、基準軸L1は、図1にのみ図示しているため、図6には図示していない。また、図6において軸方向A1は、紙面垂直方向に該当する。また、図6では、コイル81が断面であることを示すハッチングは省略している。また、図6においてコイル81の断面中に記載した「0」~「35」の参照番号は、コイル81を巻回する際に巻線82を配置する位置及び順序の一例を示している。即ち、各コイル81において、巻線82は、参照番号「1」~「35」の順にティース65に巻き付けられている。また、分割コア62をティース65の先端から基端に向かう方向に見て、巻線82は、ティース65に対して半時計方向に巻回されている。なお、以下、ティース65の先端から基端に向かう方向を、基端方向R1と記載する。
【0030】
第1端末線83は、例えば、ティース65の基端と周方向C1に隣り合う位置に配置される。例えば、第1端末線83は、コイル81における参照番号「0」の位置で軸方向A1に延びる部分である。また、第2端末線84は、例えば、ティース65の基端と周方向C1に隣り合う位置に配置される。また、第2端末線84は、例えば、周方向C1におけるティース65の両側のうち、第1端末線83が配置された側とは反対側に位置する。即ち、第1端末線83と第2端末線84との間にティース65が位置していてもよい。例えば、第2端末線84は、コイル81における参照番号「35」の位置で軸方向A1に延びる部分である。
【0031】
各コイル81は、ティース65の基端から先端に向かう方向に第2端末線84と隣り合って並ぶ並列線86を有していてもよい。なお、以下、ティース65の基端から先端に向かう方向を、先端方向R2と記載する。並列線86は、例えば、第2端末線84と半径方向に並ぶ。第2端末線84は、先端方向R2におけるヨーク被覆部73と並列線86との間に位置していてもよい。
【0032】
図2図8に示すように、各インシュレータ71における規制突起74は、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに先端方向R2にヨーク被覆部73から突出する。かつ、各インシュレータ71における規制突起74は、基端方向R1に見て当該ティース65に巻回されるコイル81と周方向C1に隣り合う位置にある。各インシュレータ71において、規制突起74は、例えば、基端方向R1に見てコイル81と周方向C1に隣接する位置にある。
【0033】
各インシュレータ71における規制突起74は、基端方向R1に見て当該ティース65に巻回されるコイル81よりも外周側に位置する。なお、この場合における「外周側」は、基端方向R1に見てティース65がコイル81の内周側にあるとした場合における、コイル81の外周側を意味する。即ち、この場合における「外周側」は、ステータ51におけるコイル81よりも半径方向外側の部分を意味しているわけではない。各インシュレータ71における規制突起74は、例えば、周方向C1におけるティース65の両側のうち第1端末線83が配置された側と反対側に位置する。また、各インシュレータ71における規制突起74は、例えば、周方向C1におけるティース65の両側のうち第2端末線84が配置された側と同じ側に位置する。
【0034】
規制突起74は、例えば、軸方向A1に沿って延びる柱状をなしている。また、規制突起74は、軸方向A1から見た形状が例えば半円状をなしている。そして、規制突起74は、例えば、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに基準軸L1と垂直な断面形状が一定である。規制突起74は、例えば、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに基準軸L1と垂直な断面形状が半円形状であるとともに当該断面形状が軸方向A1に沿って一定である。
【0035】
規制突起74は、軸方向A1における両端の端部領域にそれぞれ縮小部91を有していてもよい。各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて先端方向R2における突出量が少なくなる。即ち、各縮小部91は、周方向C1から見て、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて半径方向における高さが徐々に低くなる。また、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて周方向C1における幅が徐々に狭くなる。更に、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて基準軸L1と垂直な断面の断面積が徐々に小さくなる。各縮小部91は、例えば、基準軸L1と垂直な断面形状が半円状をなしている。そして、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて基準軸L1と垂直な断面における半径が徐々に小さくなる。このため、各縮小部91は、周方向C1から見た形状が例えば円の4分の1の扇形状をなしている。更に、各縮小部91は、例えば、規制突起74における2つの縮小部91の間の部分と半径が等しい4分の1の球体状をなしている。このため、各縮小部91の表面は球面状をなしている。なお、規制突起74における2つの縮小部91の間の部分は、軸方向A1と垂直な断面形状が一定である。
【0036】
ここで、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに軸方向A1から見て周方向C1における規制突起74の両端のうちティース被覆部72から遠い方の端を第1端92a、ティース被覆部72に近い方の端を第2端92bとする。規制突起74は、規制突起74における第1端92aを含む端部領域に、周方向C1に沿って第1端92aから第2端92bに近づくにつれてヨーク被覆部73からの突出量が徐々に多くなる傾斜部93を有していてもよい。規制突起74は、例えば、軸方向A1から見た形状が半円状をなすことにより傾斜部93を有している。
【0037】
図7に示すように、各インシュレータ71における規制突起74は、第2端末線84と周方向C1に重なる部分を有する。各インシュレータ71における規制突起74は、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが、例えば巻線82の半径Ra1よりも高い。例えば、先端方向R2における規制突起74のヨーク被覆部73からの突出高さは、巻線82の半径Ra1よりも高く、かつ、巻線82の外径D1よりも低い。
【0038】
軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74との間の隙間G1の幅Wは、巻線82の外径D1よりも小さくてもよい。ただし、幅Wは、ティース65にコイル81を巻回する際に、巻線機が巻線82にかける張力により、当該巻線82の一部である第2端末線84が、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって隙間G1を通り抜け可能な広さに設定されることが好ましい。
【0039】
図9に示すように、第2端末線84は、例えば、ヨーク被覆部73に接触し、かつ、ヨーク被覆部73を基準軸L1と直交する外向きの半径方向成分Fr1を含む力F1で押している。なお、図9には、基準軸L1は図示していないが、図9における紙面垂直方向は、基準軸L1と平行な方向である。基準軸L1と直交する外向きの半径方向成分Fr1における「外向き」は、各分割コア62における基端方向R1に沿った向きである。第2端末線84は、例えば、ヨーク被覆部73における半径方向内側の表面に接触する。力F1は、例えば、巻線82を曲げることによって生じるスプリングバックによる力である。力F1は、周方向成分Fc1を含んでいてもよい。周方向成分Fc1は、軸方向A1から見て、例えば、周方向C1に沿ってティース65の基端から規制突起74に向かう方向の成分である。第2端末線84は、周方向C1から規制突起74に接触していてもよい。第2端末線84は、例えば、ヨーク被覆部73及び規制突起74の両方を力F1で押す。
【0040】
(ステータ51の製造方法)
次に、ステータ51の製造方法について説明する。
まず、分割コア62の各々にインシュレータ71を装着する装着工程を行う。インシュレータ71は、射出成形などの樹脂成形によってあらかじめ形成されている。各分割コア62には、2つのインシュレータ71が軸方向A1の両側から装着される。装着工程が終了した状態では、分割コア62は、ティース65の少なくとも一部がティース被覆部72にて覆われるとともに、バックヨーク部64の内側面63の少なくとも一部がヨーク被覆部73にて覆われる。
【0041】
装着工程よりも後に、各ティース65に巻線82を巻回することにより、第1端末線83と第2端末線84とを有するコイル81を形成する巻回工程を行う。巻回工程は、例えば、装着工程の次に行われる。巻回工程では、巻線機によって巻線82をティース65にインシュレータ71を介して巻回する。巻線機は、例えばフライヤ式の巻線機である。なお、巻線機は、フライヤ式に限らず、例えばノズル式の巻線機であってもよい。
【0042】
図6に示すように、巻線機は、参照番号「1」~「35」の順にティース65に巻線82を巻き付けていく。巻線機は、まず、参照番号「1」の位置に巻線82を配置する、即ち、第1端末線83を配置する。その後、巻線機は、分割コア62を基端方向R1に見て、ティース65に対して例えば半時計方向に巻線82を巻回することにより、コイル本体85を形成する。このとき、巻線機は、参照番号「2」~「34」の位置に参照番号の順に巻線82を配置しながら巻線82をティース65に巻き付けていく。その後、巻線機は、参照番号「35」の位置に巻線82を配置する、即ち第2端末線84を配置する。
【0043】
図7に示すように、巻線機が第2端末線84を参照番号「35」の位置に配置するときには、参照番号「29」の位置に並列線86が配置されている。巻線機は、コイル本体85を形成するときに巻線82にかける張力と同程度の張力を巻線82にかけた状態で、第2端末線84を参照番号「35」の位置に配置する。即ち、第2端末線84は、巻線機によって巻線82にかけられた張力により、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74と並列線86との間の隙間G1を通り抜ける。このように、巻回工程では、第2端末線84を、コイル81におけるティース65に巻き付けられた部分と、即ちコイル本体85と、規制突起74との間に配置する。即ち、巻回工程では、コイル本体85を巻回した後、巻線機により連続して、基端方向R1に見てティース65を中心とした場合における規制突起74よりも内側となる位置に第2端末線84を配置する。第2端末線84が参照番号「35」の位置に配置されると、コイル81の巻回が終了する。
【0044】
巻回工程が終了した状態では、複数の分割コア62のティース65にそれぞれコイル81が巻回されている。各コイル81において、第1端末線83及び第2端末線84は、軸方向A1の一方に引き出されている。
【0045】
図10に示すように、巻回工程よりも後に、第2端末線84を、基準軸L1と直交する内向きの半径方向成分Fr2を含む力F2で引っ張る引っ張り工程を行う。なお、図10には、基準軸L1は図示していないが、図10における紙面垂直方向は、基準軸L1と平行な方向である。基準軸L1と直交する内向きの半径方向成分Fr2における「内向き」は、各分割コア62における先端方向R2に沿った向きである。引っ張り工程は、例えば、巻線工程の次に行われる。引っ張り工程では、第2端末線84におけるコイル本体85よりも軸方向A1の一方側に突出している部分に力F2を加えて引っ張る。なお、力F2は、半径方向成分Fr2に加えて、周方向成分Fc2を含んでいてもよい。周方向成分Fc2は、軸方向A1から見て、周方向C1に沿って規制突起74からティース65の基端に向かう方向の成分である。
【0046】
第2端末線84に力F2を加えて引っ張ると、巻線82における第2端末線84とコイル本体85との境界もしくは当該境界付近で巻線82が力F2に応じた方向に屈曲される。なお、図10において、巻線82における第2端末線84とコイル本体85との境界は、参照番号「35」の位置に位置する第2端末線84における紙面奥側の端である。例えば、巻線82は、第2端末線84が並列線86及び参照番号「27」の位置に位置する巻線82に近づくように、巻線82における第2端末線84とコイル本体85との境界もしくは当該境界付近で屈曲される。巻線82における第2端末線84とコイル本体85との境界もしくは当該境界付近で当該巻線82が屈曲された後、第2端末線84に力F2を加えるのをやめる。これにより、引っ張り工程が終了する。
【0047】
図9に示すように、引っ張り工程が終了した状態では、第2端末線84は、スプリングバックによってヨーク被覆部73を外向きの半径方向成分Fr1を含む力F1で押す。第2端末線84は、例えば、ヨーク被覆部73に接触し、かつ、ヨーク被覆部73を力F1で押す。更に、第2端末線84は、同スプリングバックによって規制突起74を押してもよい。第2端末線84は、例えば、周方向C1に沿ってティース65の基端から規制突起74に向かう方向の周方向成分Fc1を含む力F1で規制突起74を押す。そして、当該第2端末線84は、規制突起74と周方向C1に隣り合う。更に、規制突起74は、第2端末線84と周方向C1に重なる部分を有する状態になる。
【0048】
また、複数の分割コア62を、基準軸L1を中心とする環状に配置する配置工程を行う。配置工程は、例えば、引っ張り工程の後に行われる。配置工程を行うときには、第1端末線83は、第1仮保持溝76aを基端方向R1に横切るように同第1仮保持溝76aに挿入されていることが好ましい。また、第2端末線84は、第2仮保持溝76bを基端方向R1に横切るように同第2仮保持溝76bに挿入されていることが好ましい。第1端末線83及び第2端末線84がそれぞれ第1仮保持溝76a及び第2仮保持溝76bに挿入されていると、コイル81が巻回された分割コア62の取り扱いが容易になる。
【0049】
配置工程では、例えば12個の分割コア62が、各分割コア62のバックヨーク部64が全体で円環状をなすように周方向C1に配置される。このとき、各分割コア62は、各分割コア62においてティース65が、バックヨーク部64から半径方向内側に突出した状態になるように配置される。配置工程が終了すると、複数の分割コア62からなる環状のステータコア61が完成する。
【0050】
上記したように、装着工程、巻回工程、引っ張り工程及び配置工程を行うと、ステータ51が完成する。完成したステータ51においては、第1端末線83及び第2端末線84は、それぞれ第1仮保持溝76a及び第2仮保持溝76bから取り出されていてもよい。
【0051】
(実施形態の作用)
本実施形態の作用について説明する。
インシュレータ71が分割コア62に装着された状態において、規制突起74は、基端方向R1に見て当該分割コア62のティース65に巻回されるコイル81と周方向C1に隣り合う位置にある。そのため、ティース65にコイル81を巻回する際、巻線機が巻線82にかける張力により、第2端末線84をコイル本体85と規制突起74との間に配置することが可能である。従って、第1端末線83をティース65に対して配置してから、コイル本体85を巻回し、更に第2端末線84をコイル本体85と規制突起74との間に配置するまでの過程を、巻線機により連続して行うことができる。
【0052】
そして、第2端末線84を、コイル本体85と規制突起74との間で当該規制突起74と周方向C1に隣り合わせて配置することができる。従って、周方向C1に沿ってティース65から遠ざかる方向における第2端末線84の移動を、規制突起74によって規制できる。例えば、巻線82に生じるスプリングバックにより第2端末線84がコイル本体85から周方向C1に離れようとした場合、第2端末線84は周方向C1から規制突起74に接触する。このため、周方向C1に沿ってコイル本体85から離れる方向へ第2端末線84が移動することは、規制突起74によって抑制される。従って、第2端末線84は、コイル本体85と規制突起74との間に保持される。
【0053】
本実施形態の効果について説明する。
(1)インシュレータ71は、内側面63を有するバックヨーク部64と内側面63から基準軸L1と直交する方向に突出するティース65とを有し基準軸L1を中心とする環状に配置されてステータコア61を構成する複数の分割コア62の各々に装着される。インシュレータ71は、分割コア62とティース65に巻回されるコイル81とを電気的に絶縁するためのものである。インシュレータ71は、ティース65の少なくとも一部を覆うティース被覆部72と、内側面63の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部73と、ヨーク被覆部73から突出する規制突起74とを有する。規制突起74は、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに先端方向R2にヨーク被覆部73から突出し、かつ、基端方向R1に見てティース65に巻回されるコイル81と周方向C1に隣り合う位置にある。
【0054】
上記態様によれば、インシュレータ71を介してティース65にコイル81が巻回された状態において、規制突起74は、基端方向R1に見て当該ティース65に巻回されるコイル81と周方向C1に隣り合う位置にある。そのため、ティース65にコイル81を巻回する際、コイル81におけるティース65に巻回された部分と規制突起74との間に、第2端末線84を容易に配置できる。即ち、コイル本体85と規制突起74との間に、第2端末線84を容易に保持させることができる。例えば、巻線機でティース65にコイル81を巻回するときに巻線機が巻線82にかける張力により、第2端末線84をコイル本体85と規制突起74との間に配置することが可能である。そして、コイル本体85と規制突起74との間に配置された第2端末線84は、コイル本体85から離れるように移動することが規制突起74によって抑制される。従って、従来のように第2端末線84を保持するために当該第2端末線84を溝に押し込む工程を設けなくとも、第2端末線84を保持できる。これらのことから、ステータ51を製造する際における製造工数の増大を抑制しつつ第2端末線84を保持できる。
【0055】
また、ティース65にコイル81が巻回されると、第2端末線84は、コイル本体85と規制突起74との間に保持されることになる。そのため、例えば、ティース65にコイル81を巻回した後に複数の分割コア62を環状に配置する場合、分割コア62を環状に配置する工程の途中でコイル81が崩れることが抑制される。従って、分割コア62を環状に配置する工程を行いやすくなる。更に、第2端末線84は、コイル本体85と規制突起74との間に一時的に保持されるわけではない。そのため、第2端末線84をコイル本体85と規制突起74との間から外す工程を行わなくてもよい。これらのことから、インシュレータ71を備えるステータ51の生産性を向上できる。
【0056】
また、ステータ51が完成した後も、第2端末線84は、コイル本体85と規制突起74との間に保持される。従って、当該ステータ51を備えるモータ50が振動した場合に、コイル81が崩れることを抑制できる。
【0057】
(2)インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに基準軸L1に沿った方向から見て周方向C1における規制突起74の両端のうちティース被覆部72から遠い方の端を第1端92a、ティース被覆部72に近い方の端を第2端92bとする。規制突起74は、規制突起74における第1端92aを含む端部領域に、周方向C1に沿って第1端92aから第2端92bに近づくにつれてヨーク被覆部73からの突出量が徐々に多くなる傾斜部93を有する。
【0058】
上記態様によれば、ティース65にコイル81を巻回する際、ティース65に巻回される巻線82が規制突起74にひっかかることを抑制できる。従って、インシュレータ71が規制突起74を有していても、ティース65に巻線82を巻回しやすい。
【0059】
(3)規制突起74は、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに基準軸L1と垂直な断面形状が一定である。
上記態様によれば、樹脂成形によりインシュレータ71を製造する場合において、基準軸L1に沿った方向に分割される2つの成形型により、規制突起74を有するインシュレータ71を製造可能になる。即ち、スライド型などの複雑な成形型を使用しなくとも、規制突起74を有するインシュレータ71を製造可能になる。従って、インシュレータ71の生産性の低下を抑制できる。また、インシュレータ71の製造コストの増大を抑制できる。
【0060】
なお、本実施形態においては、規制突起74は、軸方向A1における両端の端部領域にそれぞれ縮小部91を有する。そして、規制突起74における2つの縮小部91の間の部分は、軸方向A1と垂直な断面形状が一定である。各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて先端方向R2における突出量が少なくなる。また、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて周方向C1における幅が徐々に狭くなる。更に、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて基準軸L1と垂直な断面の断面積が徐々に小さくなる。これらのことから、インシュレータ71が成形型から取り出される際、各縮小部91は、基準軸L1に沿った方向に分割される2つの成形型が基準軸L1に沿って互いに離れるように相対的に移動することを阻害しない。従って、規制突起74が縮小部91を有していても、基準軸L1に沿った方向に分割される2つの成形型によりインシュレータ71を製造可能である。
【0061】
(4)ステータ51は、内側面63を有するバックヨーク部64と内側面63から基準軸L1と直交する方向に突出するティース65とをそれぞれ有する複数の分割コア62を有するステータコア61を備える。また、ステータ51は、分割コア62にそれぞれ装着される複数のインシュレータ71と、インシュレータ71を介してティース65にそれぞれ巻回される複数のコイル81とを備える。複数の分割コア62は、基準軸L1を中心とする環状に配置されている。コイル81の各々は、巻き始めの端部である第1端末線83と、巻き終わりの端部である第2端末線84とを有する。インシュレータ71の各々は、ティース65の少なくとも一部を覆うティース被覆部72と、内側面63の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部73と、先端方向R2にヨーク被覆部73から突出する規制突起74とを有する。各インシュレータ71における規制突起74は、基端方向R1に見てティース65に巻回されるコイル81と周方向C1に隣り合う位置にある。かつ、各インシュレータ71における規制突起74は、周方向C1におけるティース65の両側のうち第1端末線83が配置された側と反対側に位置する。
【0062】
一般的に、コイル81において、第2端末線84は、周方向C1におけるティース65の両側のうち第1端末線83が配置された側と反対側に位置することが多い。このため、上記態様によれば、周方向C1におけるティース65の両側のうち第2端末線84が配置される側に、規制突起74が位置しやすくなる。従って、コイル81を巻回する際、コイル本体85を巻回した後に、第2端末線84を、例えば周方向C1におけるティース65の両側のうち第1端末線83が配置された側まで移動させなくとも、コイル本体85と規制突起74との間に容易に保持できる。
【0063】
(5)各インシュレータ71における規制突起74は、第2端末線84と周方向C1に重なる部分を有する。
上記態様によれば、周方向C1に沿ってティース65から離れる方向における第2端末線84の移動を規制突起74によって抑制しやすい。
【0064】
(6)各コイル81を構成する巻線82は、横断面形状が円形状である。各インシュレータ71における規制突起74は、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが、巻線82の半径Ra1よりも高い。
【0065】
上記態様によれば、第2端末線84は、周方向C1に沿ってティース65から遠ざかる方向に規制突起74を乗り越えて移動し難くなる。従って、第2端末線84が周方向C1に沿ってティース65から遠ざかる方向に移動することをより抑制できる。その結果、第2端末線84をコイル本体85と規制突起74との間により保持しやすくなる。従って、コイル81が崩れることをより抑制しやすくなる。
【0066】
(7)コイル81の各々は、先端方向R2に第2端末線84と隣り合って並ぶ並列線86を有する。第2端末線84は、先端方向R2におけるヨーク被覆部73と並列線86との間に位置する。軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74との間の隙間G1の幅Wは、コイル81を構成する巻線82の外径D1よりも小さい。
【0067】
上記態様によれば、並列線86によって、先端方向R2における第2端末線84の移動が規制される。また、軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74との間の隙間G1の幅Wは、巻線82の外径D1よりも小さい。そのため、第2端末線84が隙間G1を通ってティース65から離れる方向に移動することを抑制できる。従って、第2端末線84を、ヨーク被覆部73と並列線86との間、かつ、コイル本体85と規制突起74との間に保持しやすくなる。その結果、コイル81が崩れることを更に抑制できる。
【0068】
(8)第2端末線84は、ヨーク被覆部73に接触し、かつ、基準軸L1と直交する外向きの半径方向成分Fr1を含む力F1でヨーク被覆部73を押している。
上記態様によれば、規制突起74は、ヨーク被覆部73から先端方向R2に突出しているため、第2端末線84は、規制突起74と周方向C1に隣り合って並びやすくなる。更に、第2端末線84は、先端方向R2に移動し難くなる。従って、第2端末線84が、ティース65から離れる方向に規制突起74を乗り越えて移動することをより抑制できる。
【0069】
(9)ステータ51の製造方法であって、ステータ51は、内側面63を有するバックヨーク部64と内側面63から基準軸L1と直交する方向に突出するティース65とをそれぞれ有する複数の分割コア62を有するステータコア61を備える。更に、ステータ51は、分割コア62にそれぞれ装着される複数のインシュレータ71と、インシュレータ71を介してティース65にそれぞれ巻回されるコイル81とを備える。インシュレータ71の各々は、ティース65の少なくとも一部を覆うティース被覆部72と、内側面63の少なくとも一部を覆うヨーク被覆部73と、ヨーク被覆部73から突出する規制突起74とを備える。規制突起74は、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに先端方向R2にヨーク被覆部73から突出する。かつ、規制突起74は、同状態のときに基端方向R1に見てティース65に巻回されるコイル81と周方向C1に隣り合う位置にあるものである。ステータ51の製造方法は、分割コア62の各々にインシュレータ71を装着する装着工程を備える。また、当該製造方法は、装着工程よりも後に、各ティース65に巻線82を巻回することにより、巻き始めの端部である第1端末線83と巻き終わりの端部である第2端末線84とを有するコイル81を形成する巻回工程を備える。更に、当該製造方法は、巻回工程よりも後に、第2端末線84を、基準軸L1と直交する内向きの半径方向成分Fr2を含む力F2で引っ張る引っ張り工程を備える。更に、当該製造方法は、複数の分割コア62を、基準軸L1を中心とする環状に配置する配置工程とを備える。巻回工程では、第2端末線84を、コイル81におけるティース65に巻き付けられた部分と規制突起74との間に配置する。
【0070】
上記態様によれば、インシュレータ71を介してティース65にコイル81が巻回された状態において、規制突起74は、基端方向R1に見て当該ティース65に巻回されたコイル81と周方向C1に隣り合う位置に位置するものである。そのため、巻回工程において、コイル81におけるティース65に巻回された部分と規制突起74との間に、第2端末線84を容易に配置できる。即ち、コイル本体85と規制突起74との間に、第2端末線84を容易に保持させることができる。そして、コイル本体85と規制突起74との間に配置された第2端末線84は、コイル本体85から離れるように移動することが規制突起74によって抑制される。従って、従来のように第2端末線84を保持するために当該第2端末線84を溝に押し込む工程を行わなくとも、第2端末線84を保持できる。これらのことから、ステータ51を製造する際における製造工数の増大を抑制しつつ第2端末線84を保持できる。
【0071】
また、引っ張り工程を行うことにより、第2端末線84は、巻線82に生じるスプリングバックによって外向きの半径方向成分Fr1を含む力F1でヨーク被覆部73を押すことができる。規制突起74は、ヨーク被覆部73から突出している。このため、第2端末線84は、外向きの半径方向成分Fr1を含む力F1でヨーク被覆部73を押していると、周方向C1に規制突起74と隣り合って並んだ状態に維持されやすくなる。更に、第2端末線84は、先端方向R2に移動し難くなる。従って、第2端末線84が、ティース65から離れる方向に規制突起74を乗り越えて移動することをより抑制できる。
【0072】
(10)規制突起74は、軸方向A1における両端の端部領域にそれぞれ縮小部91を有する。各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて先端方向R2における突出量が少なくなる。また、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて周方向C1における幅が徐々に狭くなる。更に、各縮小部91は、軸方向A1における規制突起74の中央から軸方向A1に沿って遠ざかるにつれて基準軸L1と垂直な断面の断面積が徐々に小さくなる。
【0073】
上記態様によれば、ティース65にコイル81を巻回する際、軸方向A1における規制突起74の両端に巻線82がひっかかり難くなる。従って、規制突起74によって巻線82が損傷することを抑制できる。更に、本実施形態においては、各縮小部91の表面は球面状をなしている。そのため、規制突起74により巻線82がひっかかり難くなる。従って、規制突起74によって巻線82が損傷することをより抑制できる。
【0074】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。なお、以下の変更例の説明で使用する図中では、本実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付している。
【0075】
・上記実施形態では、ステータ51を製造する際、装着工程、巻線工程、引っ張り工程、配置工程の順に各工程を行う。しかしながら、各工程の順序はこれに限らない。巻回工程は、装着工程よりも後に行われればよい。また、引っ張り工程は、巻回工程よりも後に行われればよい。配置工程は、装着工程、巻線工程及び引っ張り工程のうちいずれの工程の前もしくは後であっても行うことが可能である。例えば、配置工程は、引っ張り工程の前に行われてもよい。
【0076】
・第2端末線84は、半径方向成分Fr1を含む力F1でヨーク被覆部73を押していなくてもよい。また、第2端末線84は、ヨーク被覆部73に接触していなくてもよい。即ち、各コイル81において、第2端末線84をヨーク被覆部73に押しつけるスプリングバックが巻線82に生じていなくてもよい。この場合、ステータ51の製造方法において、引っ張り工程を備えなくてもよい。
【0077】
図11に示すように、インシュレータ71は、上記実施形態の規制突起74に代えて規制突起74Aを有していてもよい。図11では、紙面垂直方向が軸方向A1に該当する。規制突起74Aは、軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74Aとの間の隙間G1を大きくするように弾性変形可能である。規制突起74Aは、例えば、当該規制突起74Aの先端が半径方向外側に移動するように、かつ、当該規制突起74Aの先端がヨーク被覆部73における半径方向内側の表面に近づくように弾性変形可能である。
【0078】
規制突起74Aは、軸方向A1から見て規制突起74Aと並列線86との間の隙間G1の幅Wが巻線82の外径D1よりも小さい第1の幅W1になる第1状態になることができる。なお、図11では、第1状態にある規制突起74Aを実線で図示している。また、規制突起74Aは、弾性変形することにより、軸方向A1から見て規制突起74Aと並列線86との間の隙間G1の幅Wが第1の幅W1よりも大きい第2の幅W2になる第2状態になることができる。なお、図11では、第2状態にある規制突起74Aを二点鎖線で図示している。第2の幅W2は、例えば、巻線82の外径D1と等しい大きさである。
【0079】
ティース65にコイル81を巻回する際、並列線86が配置された後であって、周方向C1におけるティース65と規制突起74Aとの間に第2端末線84が配置される前の状態のときには、規制突起74Aは第1状態にある。そして、第2端末線84がヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Aと並列線86との間を通り抜けるときには、第2端末線84は、規制突起74Aに接触して当該規制突起74Aをヨーク被覆部73と並列線86との間に向けて押す。なお、図11には、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Aと並列線86との間を通り抜ける最中の第2端末線84を二点鎖線で図示している。第2端末線84が規制突起74Aを押す力は、巻線機が巻線82にかける張力によるものである。このように、規制突起74Aには、第2端末線84から外力が加えられる。規制突起74Aは、第2端末線84から加えられる当該外力によって、第1状態から、第2状態に弾性変形する。規制突起74Aは、第2端末線84が規制突起74Aと並列線86との間を通り抜けた後には第1状態に復帰する。即ち、規制突起74Aは、基端方向R1に見て第2端末線84がコイル本体85と規制突起74Aとの間に配置されると、第1状態に復帰する。
【0080】
このようにすると、ティース65にコイル81を巻回する際、規制突起74Aが第2状態になるために、第2端末線84は、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Aと並列線86との間を容易に通り抜けることができる。そして、第2端末線84が規制突起74Aと並列線86との間を通り抜けた後には、規制突起74Aは、第1状態に復帰する。そのため、第2端末線84が規制突起74Aと並列線86との間を通り抜けた後には、同第2端末線84が隙間G1を通ってティース65から遠ざかる方向に移動することを抑制できる。従って、第2端末線84を、ヨーク被覆部73と並列線86との間、かつ、コイル本体85と規制突起74Aとの間に保持しやすくなる。その結果、コイル81が崩れることを更に抑制できる。
【0081】
また、第2端末線84がヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Aと並列線86との間を通り抜けるときに第2端末線84が規制突起74Aを第1状態から第2状態に弾性変形させる力は、巻線機が巻線82にかける張力によるものである。このため、規制突起74Aを第1状態から第2状態にするために別途工程を追加しなくてもよい。
【0082】
なお、規制突起74Aは、規制突起74Aにおける第1端92aを含む端部領域に、周方向C1に沿って第1端92aから第2端92bに近づくにつれてヨーク被覆部73からの突出量が徐々に多くなる傾斜部93Aを有していてもよい。このようにすると、上記実施形態の(2)と同様の効果を奏することができる。
【0083】
また、規制突起74Aは、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに軸方向A1から見て、周方向C1における規制突起74Aの両端のうちティース被覆部72に近い方の端に、傾斜面95を有していてもよい。傾斜面95は、ヨーク被覆部73における規制突起74Aが突出している表面に対して鋭角をなす。この場合、第2端末線84が傾斜面95に接触すると、傾斜面95から第2端末線84に反力が作用する。この反力には、半径方向外向きの成分と、規制突起74Aからティース65に向かう方向の周方向成分とが含まれる。従って、第2端末線84は、周方向C1に沿ってティース65から遠ざかる方向に規制突起74Aを乗り越えることがより困難になる。その結果、第2端末線84をコイル本体85と規制突起74Aとの間により保持しやすくなる。従って、コイル81が崩れることをより抑制しやすくなる。
【0084】
図12に示すように、インシュレータ71は、上記実施形態の規制突起74に代えて規制突起74Bを有していてもよい。図12では、紙面垂直方向が軸方向A1に該当する。分割コア62の各々は、例えば、基端方向R1に見て規制突起74Bと重なる範囲を含む範囲に、内側面63に開口する凹部67を有する。即ち、凹部67は、バックヨーク部64における、半径方向に規制突起74Bと重なる範囲を含む範囲にある。そして、インシュレータ71の各々におけるヨーク被覆部73は、例えば、基端方向R1に見て凹部67と重なる位置に、基端方向R1に弾性変形可能な弾性片78を有する。規制突起74Bは、弾性片78から先端方向R2に突出する。
【0085】
規制突起74Bは、例えば、軸方向A1から見た形状が三角形状をなしている。規制突起74Bは、規制突起74Bにおける第1端92aを含む端部領域に、周方向C1に沿って第1端92aから第2端92bに近づくにつれてヨーク被覆部73からの突出量が徐々に多くなる傾斜部93Aを有していてもよい。規制突起74Bが傾斜部93Aを有すると、上記実施形態の(2)と同様の効果を奏することができる。なお、規制突起74Bにおける第2端92bは、軸方向A1から見て、先端方向R2と平行な平面状をなしている。
【0086】
弾性片78は、例えば、当該弾性片78の基端から先端まで周方向C1に沿って延びている。例えば、弾性片78の先端は、同弾性片78の基端よりも周方向C1に沿ってティース65から離れた位置にある。なお、弾性片78は、当該弾性片78の基端から先端まで基準軸L1に沿って延びていてもよい。
【0087】
弾性片78は、軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74Bとの間の隙間G1を大きくするように弾性変形可能である。具体的には、弾性片78は、同弾性片78の基端に対して同弾性片78の先端が基端方向R1にずれるように弾性変形可能である。即ち、弾性片78は、同弾性片78の基端に対して同弾性片78の先端が半径方向外側にずれるように弾性変形可能である。なお、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに、弾性片78が上記のように弾性変形すると、弾性片78における当該弾性片78の先端を含む一部が凹部67に入る。このように、弾性片78における当該弾性片78の先端を含む一部が凹部67に入ることにより、弾性片78の基端に対して同弾性片78の先端が半径方向外側にずれるように弾性片78が弾性変形することが許容される。
【0088】
弾性片78は、軸方向A1から見て規制突起74Bと並列線86との間の隙間G1の幅Wが巻線82の外径D1よりも小さい第1の幅W1になる第1位置に規制突起74Bを配置する通常状態になることができる。なお、図12では、通常状態の弾性片78を実線で図示している。更に、図12では、第1位置に配置された規制突起74Bを実線で図示している。また、弾性片78は、弾性変形することにより、軸方向A1から見て規制突起74Bと並列線86との間の隙間G1の幅Wが第1の幅W1よりも大きい第2の幅W2になる第2位置に規制突起74Bを配置する変形状態になることができる。なお、図12では、変形状態の弾性片78を二点鎖線で図示している。更に、図12では、第2位置に配置された規制突起74Bを二点鎖線で図示している。
【0089】
ティース65にコイル81を巻回する際、並列線86が配置された後であって、周方向C1におけるティース65と規制突起74Bとの間に第2端末線84が配置される前の状態のときには、弾性片78は通常状態にある。このため、規制突起74Bは、第1位置に配置されている。そして、第2端末線84がヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Bと並列線86との間を通り抜けるときには、第2端末線84は、規制突起74Bに接触して当該規制突起74Bを、隙間G1を広げるように押す。なお、図12には、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Bと並列線86との間を通り抜ける最中の第2端末線84を二点鎖線で図示している。第2端末線84が規制突起74Bを押す力は、巻線機が巻線82にかける張力によるものである。このため、規制突起74Bには、第2端末線84から外力が加えられる。弾性片78は、規制突起74Bを介して弾性片78に加えられる第2端末線84からの外力によって、通常状態から変形状態に弾性変形する。弾性片78は、第2端末線84が規制突起74Bと並列線86との間を通り抜けた後には通常状態に復帰する。即ち、弾性片78は、基端方向R1に見て第2端末線84がコイル本体85と規制突起74Bとの間に配置されると、通常状態に復帰する。
【0090】
このようにすると、ティース65にコイル81を巻回する際、弾性片78が変形状態になるために、第2端末線84は、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Bと並列線86との間を容易に通り抜けることができる。そして、第2端末線84が規制突起74Bと並列線86との間を通り抜けた後には、弾性片78は、通常状態に復帰する。そのため、第2端末線84が規制突起74Bと並列線86との間を通り抜けた後には、同第2端末線84が隙間G1を通ってティース65から遠ざかる方向に移動することを抑制できる。従って、第2端末線84を、ヨーク被覆部73と並列線86との間、かつ、コイル本体85と規制突起74Bとの間に保持しやすくなる。その結果、コイル81が崩れることを更に抑制できる。
【0091】
また、第2端末線84がヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Bと並列線86との間を通り抜けるときに第2端末線84が弾性片78を通常状態から変形状態に弾性変形させる力は、巻線機が巻線82にかける張力によるものである。このため、弾性片78を通常状態から変形状態にするために別途工程を追加しなくてもよい。
【0092】
なお、図12に示す例において、規制突起74Bの形状はこれに限らない。例えば、インシュレータ71は、弾性片78の先端部に上記実施形態の規制突起74を有していてもよい。
【0093】
図13に示すように、インシュレータ71は、上記実施形態の規制突起74に代えて規制突起74Cを有していても良い。図13では、紙面垂直方向が軸方向A1に該当する。規制突起74Cは、軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74Cとの間の隙間G1を大きくするように弾性変形可能である。規制突起74Cは、軸方向A1から見て、例えば円弧状に湾曲した板状をなしている。なお、規制突起74Cは、先端方向R2に突出するように円弧状に湾曲している。規制突起74Cは、上記実施形態の傾斜部93を有していてもよい。規制突起74Cが傾斜部93を有すると、上記実施形態の(2)と同様の効果を奏することができる。
【0094】
規制突起74Cは、周方向C1に沿って伸びるように弾性変形することにより、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが低くなる。換言すると、規制突起74Cは、周方向C1における規制突起74Cの両端が互いに離れるように弾性変形することにより、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが低くなる。そして、先端方向R2における規制突起74Cのヨーク被覆部73からの突出高さが低くなることにより、並列線86と規制突起74Cとの間の幅Wが大きくなる。
【0095】
各インシュレータ71における規制突起74Cは、軸方向A1から見て規制突起74Cと並列線86との間の隙間G1の幅Wが巻線82の外径D1よりも小さい第1の幅W1になる第1状態になることができる。なお、図13では、第1状態にある規制突起74Cを実線で図示している。また、規制突起74Cは、弾性変形することにより、軸方向A1から見て規制突起74Cと並列線86との間の隙間G1の幅Wが第1の幅W1よりも大きい第2の幅W2になる第2状態になることができる。なお、図13では、第2状態にある規制突起74Cを二点鎖線で図示している。
【0096】
ティース65にコイル81を巻回する際、並列線86が配置された後であって、周方向C1におけるティース65と規制突起74Cとの間に第2端末線84が配置される前の状態のときには、規制突起74Cは第1状態にある。そして、第2端末線84がヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Cと並列線86との間を通り抜けるときには、第2端末線84は、規制突起74Cに接触する。更に、第2端末線84は、巻線機が巻線82にかける張力によって、基端方向R1における当該規制突起74Cのヨーク被覆部73からの突出高さを低くするように当該規制突起74を押す。即ち、規制突起74Cには、第2端末線84から外力が加えられる。規制突起74Cは、第2端末線84から加えられる当該外力によって、周方向C1に沿って伸びるように弾性変形することにより、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが低くなる。これにより、規制突起74Cは、第1状態から第2状態になる。規制突起74Cは、第2端末線84が規制突起74Cと並列線86との間を通り抜けた後には第1状態に復帰する。即ち、規制突起74Cは、基端方向R1に見て第2端末線84がコイル本体85と規制突起74Cとの間に配置されると、第1状態に復帰する。
【0097】
このようにすると、ティース65にコイル81を巻回する際、規制突起74Cが第2状態になるために、第2端末線84は、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Cと並列線86との間を容易に通り抜けることができる。そして、第2端末線84が規制突起74Cと並列線86との間を通り抜けた後には、規制突起74Cは、第1状態に復帰する。そのため、第2端末線84が規制突起74Cと並列線86との間を通り抜けた後には、同第2端末線84が隙間G1を通ってティース65から遠ざかる方向に移動することを抑制できる。従って、第2端末線84を、ヨーク被覆部73と並列線86との間、かつ、コイル本体85と規制突起74Cとの間に保持しやすくなる。その結果、コイル81が崩れることを更に抑制できる。
【0098】
また、規制突起74Cは、周方向C1に伸びるように弾性変形することにより、第1状態から第2状態になる。そのため、分割コア62は、規制突起74Cの弾性変形を許容するための凹部を備えなくてもよい。従って、分割コア62の形状が複雑化されることを抑制しつつ、第2端末線84が隙間G1を通ってティース65から遠ざかる方向に移動することを抑制できる。
【0099】
また、第2端末線84がヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Cと並列線86との間を通り抜けるときに第2端末線84が規制突起74Cを第1状態から第2状態に弾性変形させる力は、巻線機が巻線82にかける張力によるものである。このため、規制突起74Cを第1状態から第2状態にするために別途工程を追加しなくてもよい。
【0100】
なお、図14に示すように、規制突起74Cは、軸方向A1から見た形状が先端方向R2に突出する山形状をなしていてもよい。例えば、規制突起74Cは、軸方向A1から見た形状が三角形状をなすように曲がった板状をなしていてもよい。そして、当該規制突起74Cは、傾斜部93Aを有していてもよい。なお、図14では、第1状態にある規制突起74Cを実線で図示している。更に、図14では、第2状態にある規制突起74Cを二点鎖線で図示している。また、図14には、ヨーク被覆部73と並列線86との間に向かって規制突起74Cと並列線86との間を通り抜ける最中の第2端末線84を二点鎖線で図示している。このようにしても、図13に示す例と同様の効果を奏することができる。
【0101】
・軸方向A1から見て、並列線86と規制突起74との間の隙間G1の幅Wは、巻線82の外径D1と等しくてもよい。また、隙間G1の幅Wは、巻線82の外径D1より大きくてもよい。
【0102】
・コイル81の各々は、並列線86を有していなくてもよい。
・各インシュレータ71における規制突起74は、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが、巻線82の半径Ra1と等しい、もしくは半径Ra1よりも低くてもよい。また、規制突起74は、先端方向R2におけるヨーク被覆部73からの突出高さが、例えば巻線82の外径D1以上の高さであってもよい。
【0103】
図15に示すように、インシュレータ71は、当該インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに軸方向A1から見て、周方向C1におけるティース被覆部72の両側に規制突起74をそれぞれ有していてもよい。このようにすると、周方向C1におけるティース被覆部72の両側のうちいずれの側に第2端末線84が配置されても、当該第2端末線84を規制突起74とコイル本体85との間に容易に保持できる。
【0104】
・巻線82は、横断面形状が円形状でなくてもよい。巻線82の横断面形状は、楕円状、レーストラック形状、多角形状、任意の形状などのいずれかの形状であってもよい。
図16に示すように、規制突起74は、縮小部91を有していなくてもよい。
【0105】
・規制突起74における基準軸L1と垂直な断面形状が軸方向A1に沿って一定である場合において、当該断面形状は半円形状に限らない。
例えば、図17に示すように、規制突起74は、基準軸L1と垂直な断面形状が四角形状であってもよい。
【0106】
また例えば、図18に示すように、規制突起74は、基準軸L1と垂直な断面形状が三角形状であってもよい。
また例えば、規制突起74は、基準軸L1と垂直な断面形状が台形状であってもよい。また例えば、規制突起74は、基準軸L1と垂直な断面形状が四角形状及び三角形状以外の多角形状であってもよい。また例えば、規制突起74は、基準軸L1と垂直な断面形状が4分の1の円形状、その他の任意な形状などのいずれかの形状であってもよい。このようにしても、上記実施形態の(3)と同様の効果を奏することができる。
【0107】
なお、例えば図19に示す例のように、規制突起74は、基準軸L1と垂直な断面形状が軸方向A1に沿って一定でなくてもよい。図19に示す規制突起74は、半球状をなしている。
【0108】
図20に示すように、インシュレータ71は、上記実施形態の規制突起74に代えて規制突起74Dを有していてもよい。図20では、紙面垂直方向が軸方向A1に該当する。規制突起74Dは、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに軸方向A1から見て、周方向C1における規制突起74Dの両端のうちティース被覆部72に近い方の端に、傾斜面95を有する。傾斜面95は、ヨーク被覆部73における規制突起74Dが突出している表面に対して鋭角をなす。また、規制突起74Dは、傾斜部93Aを有していてもよい。なお、規制突起74Dは、第2端末線84から加えられる外力によって弾性変形しない。
【0109】
この場合、第2端末線84が傾斜面95に接触すると、傾斜面95から第2端末線84に反力が作用する。この反力には、半径方向外向きの成分と、規制突起74Dからティース65に向かう方向の周方向成分とが含まれる。従って、第2端末線84は、周方向C1に沿ってティース65から遠ざかる方向に規制突起74Dを乗り越えることがより困難になる。その結果、第2端末線84をコイル本体85と規制突起74Dとの間により保持しやすくなる。従って、コイル81が崩れることをより抑制しやすくなる。
【0110】
・規制突起74は、傾斜部93を有していなくてもよい。
・コイル81を巻回する際にティース65に対して巻線82を配置する位置及び順序は、上記実施形態の位置及び順序に限らない。また、コイル81の巻数は、適宜変更してもよい。
【0111】
例えば、図21に示す参照番号「1」~「35」の順に、各コイル81において巻線82がティース65に巻き付けられていてもよい。因みに、図21に示す例では、分割コア62を基端方向R1に見て、巻線82は、ティース65に対して半時計方向に巻回されている。また、図21に示す例では、並列線86は、巻線82における参照番号「33」の位置に配置された部分である。
【0112】
・規制突起74は、インシュレータ71が分割コア62に装着された状態のときに先端方向R2にヨーク被覆部73から突出する形状であれば、上記実施形態の形状に限らない。また、基端方向R1に見てコイル81と周方向C1に隣り合うのであれば、インシュレータ71における規制突起74の位置は、上記実施形態の位置に限らない。
【0113】
・ティース被覆部72は、ティース65の少なくとも一部を覆う形状であれば、上記実施形態の形状に限らない。ヨーク被覆部73は、内側面63の少なくとも一部を覆う形状であれば、上記実施形態の形状に限らない。例えば、ヨーク被覆部73は、第1仮保持溝76a及び第2仮保持溝76bを有していなくてもよい。
【0114】
・ステータコア61を構成する分割コア62の数は、12個に限らず、複数であればよい。分割コア62の数応じて、ステータコア61に備えられるコイル81の数を変更してもよい。
【符号の説明】
【0115】
51 ステータ、61 ステータコア、62 分割コア、63 内側面、64 バックヨーク部、65 ティース、67 凹部、71 インシュレータ、72 ティース被覆部、73 ヨーク被覆部、74,74A,74B,74C,74D 規制突起、78 弾性片、81 コイル、82 巻線、83 第1端末線、84 第2端末線、86 並列線、92a 第1端、92b 第2端、93,93A 傾斜部、95 傾斜面、C1 周方向、D1 外径、F1 力、Fr1 半径方向成分、F2 力、Fr2 半径方向成分、G1 隙間、L1 基準軸、R1 ティースの先端から基端に向かう方向(基端方向)、R2 ティースの基端から先端に向かう方向(先端方向)、Ra1 半径、W 幅、W1 第1の幅、W2 第2の幅
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