(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178729
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 39/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B65G39/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085729
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】大西 正洋
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033GA06
3F033GB08
(57)【要約】
【課題】搬送対象物を自動的に搬送して送り出すのに適した搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置10は、搬送対象物30を搬送して送り出す搬送装置10であって、筒状に形成されるとともに互いに平行に配設されて、搬送対象物30を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送可能である一対のローラ12a,12bと、一対のローラ12a,12bを同一方向に回転駆動させるローラ駆動装置13a,13bと、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送して送り出す搬送装置であって、
筒状に形成されるとともに互いに平行に配設されて、前記搬送対象物を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送可能である一対のローラと、
前記一対のローラを同一方向に回転駆動させる駆動装置と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記ローラの先端に前記ローラの径方向外側に向けて凸状に設けられ、前記搬送対象物の前面周縁の一部に接触可能である突出部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
円筒状に形成されて、前記ローラの先端部の上方に前記ローラと立体的に交差するように回転可能に設けられる回転部材であって、回転中の前記回転部材の下端部が前記搬送対象物の上端部に接触可能である回転部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記回転部材の回転方向は、前記搬送対象物との接触点において前記搬送対象物を搬送すべき搬送方向とは逆方向の力が前記搬送対象物に付与される回転方向であることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
筒状に形成されるとともに前記ローラに平行に配設されて、前記搬送対象物の上部を支持しながら案内する上側ガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
筒状に形成されるとともに前記ローラに平行に配設されて、前記搬送対象物の下部を支持しながら案内する下側ガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1~請求項5の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
搬送中の前記搬送対象物の背面を支持する背面支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1~請求項6の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送対象物は、前記搬送対象物の搬送方向に沿った断面形状が非対称となるように形成されていることを特徴とする請求項1~請求項7の何れか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送対象物として、特許文献1には、平板状に形成された自動車用プラグホールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されている自動車用プラグホールにおいては、この自動車用プラグホールは多数生産され、生産された複数の自動車用プラグホールが重なり塊となって一ブロックが形成される場合がある。その場合、自動車用プラグホールの一ブロックを自動車用プラグホール一つ一つにばらす必要がある。このばらし工程においては、ばらし作業を、作業者の手作業でなく、自動的に行うことができる装置が要請されている。ばらし作業を自動的に行うことができる装置の実現のためには、自動車用プラグホールの一ブロック(搬送対象物)を自動的に搬送して送り出す搬送装置が必要となる。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、搬送対象物を自動的に搬送して送り出すのに適した搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る搬送装置は、搬送対象物を搬送して送り出す搬送装置であって、筒状に形成されるとともに互いに平行に配設されて、前記搬送対象物を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送可能である一対のローラと、前記一対のローラを同一方向に回転駆動させる駆動装置と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る搬送装置によれば、一対のローラが駆動装置によって同一方向に回転駆動されることにより、搬送対象物を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送することが可能となる。よって、搬送装置は、搬送対象物を自動的に搬送して送り出すことが可能となる。その結果、搬送対象物を自動的に搬送して送り出すのに適した搬送装置を提供することが可能となる。
【0008】
本発明による搬送装置においては、前記ローラの先端に前記ローラの径方向外側に向けて凸状に設けられ、前記搬送対象物の前面周縁の一部に接触可能である突出部をさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物のブロックを突出部によって確実にばらすことが可能となる。
【0009】
本発明による搬送装置においては、筒状に形成されて、前記ローラの先端部の上方に前記ローラと立体的に交差するように回転可能に設けられる回転部材であって、回転中の前記回転部材の下端部が前記搬送対象物の上端部に接触可能である回転部材をさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物のブロックを回転部材によって確実にばらすことが可能となる。
【0010】
本発明による搬送装置においては、前記回転部材の回転方向は、前記搬送対象物との接触点において前記搬送対象物を搬送すべき搬送方向とは逆方向の力が前記搬送対象物に付与される回転方向であることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物のブロックを回転部材によって確実にばらすことが可能となる。
【0011】
本発明による搬送装置においては、筒状に形成されるとともに前記ローラに平行に配設されて、前記搬送対象物の上部を支持しながら案内する上側ガイド部材をさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物のブロックを上側ガイド部材によって確実にガイドすることが可能となる。
【0012】
本発明による搬送装置においては、筒状に形成されるとともに前記ローラに平行に配設されて、前記搬送対象物の下部を支持しながら案内する下側ガイド部材をさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物のブロックを下側ガイド部材によって確実にガイドすることが可能となる。
【0013】
本発明による搬送装置においては、搬送中の前記搬送対象物の背面を支持する背面支持部材をさらに備えることが好ましい。これによれば、多数の搬送対象物を背面支持部材によって確実にまとめて搬送することが可能となる。
【0014】
本発明による搬送装置においては、前記搬送対象物は、前記搬送対象物の搬送方向に沿った断面形状が非対称となるように形成されていることが好ましい。これによれば、搬送対象物を搬送方向に向けて搬送することが可能となり、ひいては多数の搬送対象物を確実に搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、搬送対象物を自動的に搬送して送り出すのに適した搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による搬送装置10の一実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す搬送装置10を示すII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示す搬送装置10の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す搬送装置10の内部構造を示す正面図である。
【
図5A】
図1に示す搬送装置10によって搬送される搬送対象物30の正面図である。
【
図5C】
図5Aに示す搬送対象物30を示す5c-5c線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による搬送装置の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0018】
搬送装置10は、搬送対象物30を搬送して送り出す装置である。搬送装置10は、
図1~
図4に示すように、ハウジング11、一対のローラ12a,12b、ローラ駆動装置13a,13b、突出部14a,14b、背面支持部材15、背面支持部材駆動装置16、回転部材17、回転部材駆動装置18、上側ガイド部材21a,21b、及び下側ガイド部材22を備えている。尚、
図1にて紙面左右方向を搬送装置10の前後方向とし、紙面上下方向を搬送装置10の左右方向とする。また、
図2にて紙面左右方向を搬送装置10の前後方向とし、紙面上下方向を搬送装置10の上下方向とする。
【0019】
ハウジング11は、方形板状に形成された底部11a、及び平面視U字状の壁部11bを備えた有底箱状に形成されている。壁部11bは、前側に向けて開口するU字状に形成されており、左右側壁部11b1,11b2、及び後側壁部11b3を備えている。左側壁部11b1は、底部11aの左端部に一体的に設けられ、右側壁部11b2は、底部11aの右端部に一体的に設けられ、後側壁部11b3は、底部11aの後端部に一体的に設けられている。さらに、ハウジング11は、上側に向けて開口する上部開口部11c及び前側に向けて開口する前部開口部11dを有している。
【0020】
尚、上部開口部11cは、搬送対象物30をハウジング11内に投入するための投入開口部として機能する。また、前部開口部11dは、ハウジング11内を搬送された搬送対象物30を外部に搬出するための搬出開口部として機能する。
【0021】
ハウジング11内には、一対のローラ12a,12bが設けられている。ローラ12a,12bは、筒状(本実施形態では、円筒形状)に形成されるとともに互いに平行かつ水平に配設されて、搬送対象物30を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送可能である。一対のローラ12a,12bは搬送対象物30を支持する機能を有するため、ローラ12aとローラ12bとの間隔は、搬送対象物30の直径(最大幅)より小さい値に設定するのが好ましい。
【0022】
尚、一対のローラ12a,12bは、円筒形状に形成したが、筒状であればよく、円筒状に限定されず、搬送対象物30を回転可能に支持することができる形状であれば他の形状(例えば多角形など)に形成してもよい。また、一対のローラ12a,12bは、水平でなく、上下方向に傾けて配設してもよい。
【0023】
ローラ12aは、ローラ駆動装置(駆動装置)13aに回転可能に支持されている。ローラ駆動装置13aは、ローラ12aの一端部(基端部)を回転可能に支持する軸受け部(不図示)を内蔵しており、ローラ12aは、ローラ12aの一端部がローラ駆動装置13a(軸受け部)によって支持され他端部が自由である、片持ち構造である。ローラ駆動装置13aは、出力軸(回転軸;不図示)を回転駆動するための電動式駆動源(例えば電動モータ)を内蔵しており、駆動源を駆動させて出力軸を回転駆動する。ローラ12aの一端部は、出力軸に接続されており、ローラ12aは、ローラ駆動装置13aによって軸回りに回転駆動される。尚、ローラ駆動装置13aは、駆動源の駆動力を減速する減速機構を内蔵してもよく、駆動源として電動式駆動源以外の他の駆動源(例えば、エア式駆動源)を採用するようにしてもよい。
【0024】
また、ローラ12bは、ローラ12aと同様にローラ駆動装置13bに回転可能に支持されている。ローラ12bは、ローラ駆動装置13bによって軸回りに回転駆動される。ローラ駆動装置13a,13bは、ローラ12a,12bをそれぞれ同一方向(同一回転方向)に回転駆動させる。
【0025】
同一方向に回転されるローラ12a,12bに搬送対象物30を載置した場合、搬送対象物30がローラ12a,12bを回転しながらローラ12a,12bの軸線方向に沿って搬送されることを、本発明者は見出した。例えば、
図4にて、ローラ12a及びローラ12bがそれぞれ時計回り方向に回転されると、その上に接触して配置されている搬送対象物30は、その接触点において反時計回り方向に回転する回転力が付与されるとともに、搬送方向(前方向)向きの推進力が付与される。すなわち、搬送対象物30は、一対のローラ12a,12bの回転によって回転しながら搬送方向に沿って搬送される。
【0026】
また、例えば、
図4にて、ローラ12a及びローラ12bがそれぞれ反時計回り方向に回転されると、その上に接触して配置されている搬送対象物30は、その接触点において時計回り方向に回転する回転力が付与されるとともに、搬送方向(前方向)向きの推進力が付与される。すなわち、搬送対象物30は、一対のローラ12a,12bの回転によって回転しながら搬送方向に沿って搬送される。
【0027】
尚、例えば、
図4にて、ローラ12aが時計回り方向に、ローラ12bが反時計回り方向に、それぞれ逆方向に回転されると、その上に接触して配置されている搬送対象物30は、ローラ12aとの接触点において反時計回り方向に、ローラ12bとの接触点において時計回り方向に回転する回転力がそれぞれ付与される。そのため、2つの接触点にて搬送対象物30に作用する力の合力は下向きであり、その合力によって、搬送対象物30は、一対のローラ12a,12bの間に引き込まれ、搬送方向に搬送されることはない。また、例えば、
図4にて、ローラ12aが反時計回り方向に、ローラ12bが時計回り方向に、それぞれ逆方向に回転されると、その上に接触して配置されている搬送対象物30は、ローラ12aとの接触点において時計回り方向に、ローラ12bとの接触点において反時計回り方向に回転する回転力がそれぞれ付与される。そのため、2つの接触点にて搬送対象物30に作用する力の合力は上向きであり、その合力によって、搬送対象物30は、一対のローラ12a,12bに弾かれ、搬送方向に搬送されることはない。
【0028】
ローラ12aの他端部(先端部)には、突出部14aが設けられている。突出部14aは、ローラ12aの先端にローラ12aの径方向外側に向けて凸状に設けられ、搬送対象物30の前面周縁の一部に接触可能である(
図3,
図4参照)。本実施形態では、突出部14aとして、円形板状部材14a1(例えば、ワッシャ)を採用している。円形板状部材14a1は、ローラ12aと同軸にローラ12aの先端にねじ止めなどにより固定されている。円形板状部材14a1のローラ12aからの突出量(突出部14aの突出量)は、搬送対象物30が乗り越え可能な値に設定されるのが好ましい。尚、突出部14aの突出方向は、ローラ12aの中心からローラ12aと搬送対象物30との接触部に向かう径方向が含まれているのが好ましい。また、突出部14bは、突出部14aと同様に、ローラ12bの他端部(先端部)に設けられている。突出部14bとして、円形板状部材14b1(例えば、ワッシャ)を採用している。
【0029】
突出部14a,14bは、ローラ12a,12bの先端まで搬送された先頭の搬送対象物30の前面周縁の一部(本実施形態では、左下部,右下部)が接触すると、先頭の搬送対象物30の移動を規制する。一方で、先頭の搬送対象物30は後続の搬送対象物30から押されるため、前方向に力が付与される。したがって、先頭の搬送対象物30は、突出部14a,14bとの接触点を支点にして後続の搬送対象物30からの前方向の力が作用するため、前方向に倒れ易くなっている。その結果、連続して送られてきた搬送対象物30は、突出部14a,14bに接触し、前方に倒れることにより、一つ一つ容易にばらすことが可能となる。
【0030】
尚、突出部14a,14bは、円形板状部材に限定されず、楕円形板状部材、多角形板状部材などを採用してもよい。また、円形板状部材を、ローラ12aと同軸でなく偏心して設けるようにしてもよい。この場合、偏心させる方向は、ローラ12aの中心からローラ12aと搬送対象物30との接触部に向かう径方向であることが好ましい。
【0031】
背面支持部材15は、搬送中の搬送対象物30の背面を支持する部材である。背面支持部材15は、搬送対象物30の背面の少なくとも下半分を支持可能な大きさに設定されるのが好ましい。これによれば、搬送対象物30に後方に傾く力が作用した場合(例えば回転部材17により搬送対象物30の上端部が後方向に押された場合)、搬送対象物30が後方に倒れるのを確実に抑制することが可能となる。背面支持部材15は、背面支持部材駆動装置16によって搬送対象物30の搬送方向に沿って往復動(直動)される。
【0032】
背面支持部材駆動装置16は、駆動装置本体16a、出力ロッド16b1、及び連結部16b2を備えている。駆動装置本体16aは、出力ロッド16b1を駆動するためのエア式駆動源を内蔵しており、エア式駆動源へのエアの供給によって出力ロッド16b1を駆動(直動)する。出力ロッド16b1の先端部には、背面支持部材15に連結された連結部16b2が接続されている。
【0033】
回転部材17は、筒状に形成されて、ローラ12a,12bの先端部の上方位置にローラ12a,12bと立体的に交差するように回転可能に設けられている。回転部材17は、回転中の回転部材17の下端部が搬送対象物30の上端部に接触可能である。回転部材17は、筒状(本実施形態では、円筒状)に形成された本体部17aと、本体部17aの中心軸に同軸に、かつ本体部17aに一体的に設けられた軸部17bとを備えている。
【0034】
本体部17aは、弾性を有する材料(弾性材)で筒状に形成されている。尚、弾性とは、力が加えられると変形し、その力を取り除くと元の形に戻る性質である。本実施形態では、本体部17aは、筒形ブラシ状に形成されており、本体部17aの中心軸から径方向外側に向けて設けられている多数の毛を備えている。毛の材質としては、植物性、動物性、金属性、合成繊維などがある。尚、本体部17aは、スポンジ材、ゴム材などの弾性材で筒状に形成されるようにしてもよい。また、本体部17aは、筒状であればよく、円筒状に限定されず、多角形など他の形状に形成されてもよい。
【0035】
本体部17aを筒形ブラシ状に形成する場合には、搬送対象物30と接触する際の接触時間(接触負荷)を低減することができるので、本体部17aの耐摩耗性を向上させることが可能となる。一方、本体部17aを弾性材で筒状に形成する場合には、搬送対象物30と接触する際の接触時間(接触負荷)を増大することができるので、搬送対象物30の上部により確実に力を付与することが可能となる。
【0036】
本体部17aの半径及び軸部17bの配置場所は、回転中の本体部17aの下端部が搬送中の搬送対象物30の上端部に接触するように設定されるのが好ましい。これによれば、本体部17aは、回転中の本体部17aの下端部が搬送中の搬送対象物30の上端部に確実に接触するように配置される。尚、搬送対象物30の径方向における接触量は、突出部14aの突出量以下の値に設定されるのが好ましい。
【0037】
軸部17bの左右両端部は、壁部11bの左右側壁部11b1,11b2にそれぞれ回転可能に支持されている。軸部17bは、ローラ12a,12bの先端部の上方位置にローラ12a,12bと立体的に交差するように(ねじれの位置関係)配置されている。軸部17bは、左右側壁部11b1,11b2の何れかに取り付けられた回転部材駆動装置18によって回転駆動される。本実施形態では、回転部材駆動装置18は左側壁部11b1に取り付けられている。
【0038】
回転部材駆動装置18は、出力軸(回転軸;不図示)を回転駆動させる電動式駆動源(例えば、電動モータ)を内蔵しており、駆動源を駆動させて出力軸を回転駆動する。軸部17bの左右両端部の何れか一方は、出力軸に接続されており、軸部17bは、回転部材駆動装置18によって軸回りに回転駆動される。尚、回転部材駆動装置18は、駆動源の駆動力を減速する減速機構を内蔵してもよく、駆動源として電動式駆動源以外の他の駆動源(例えばエア式駆動源)を採用するようにしてもよい。
【0039】
回転部材17の回転方向は、搬送対象物30との接触点において搬送対象物30を搬送すべき搬送方向とは逆方向の力が搬送対象物30に付与される回転方向であることが好ましい。本実施形態では、搬送対象物30の搬送方向は前方向であり、回転部材17ひいては本体部17aの回転方向は
図2にて反時計回り方向である。回転部材17が反時計回り方向に回転すると、搬送対象物30の接触点すなわち上側部においては、搬送方向とは逆方向(後方向)の力が付与される。一方で、搬送対象物30の下側部においては、ローラ12a,12bの回転によって搬送方向(前方向)の力が付与されている。このように、互いに逆方向の2つの力が搬送対象物30に作用することにより、搬送対象物30は時計回り(
図2にて)の回転動作をしようとする。その結果、先頭に位置する搬送対象物30の下側部が浮き上がり、先頭から2番目に位置する搬送対象物30から容易に引き離すことができる。さらには、搬送対象物30が突出部14a,14bを容易に乗り越えることが可能となる。
【0040】
上側ガイド部材21a,21bは、筒状に形成されるとともにローラ12a,12bに平行に配設されて、搬送対象物30の上部を支持しながら案内する。本実施形態では、上側ガイド部材21a,21bは、円筒状に形成されるのが好ましく、さらには、回転可能に支持されるのがより好ましい。回転しながら搬送される搬送対象物30をその回転を維持しながら確実に案内することが可能となる。尚、上側ガイド部材21a,21bは、ブラケット(不図示)を介してハウジング11に取り付けられている。
【0041】
一対の上側ガイド部材21a,21bは、搬送中の搬送対象物30がローラ12a,12bから外れるのを抑制するために搬送対象物30を左右上部から押さえることができる位置に配置されるのが好ましい。また、上側ガイド部材21a,21bの軸方向長さは、搬送対象物30の送り出し位置(ローラ12a,12bの先端位置)に近接する搬送対象物30を搬送方向に対して鉛直状態にて整列させるために必要な値に設定されるのが好ましい。
【0042】
下側ガイド部材22は、筒状に形成されるとともにローラ12a,12bに平行に配設されて、搬送対象物30の下部を支持しながら案内する。本実施形態では、下側ガイド部材22は、円筒状に形成されるのが好ましく、さらには、回転可能に支持されるのがより好ましい。回転しながら搬送される搬送対象物30をその回転を維持しながら確実に案内することが可能となる。尚、下側ガイド部材22は、ブラケット(不図示)を介してハウジング11に取り付けられている。
【0043】
また、下側ガイド部材22の軸方向長さは、回転中の回転部材17との接触によって下向きの力が搬送対象物30に付与される場合に、搬送対象物30が下方に向けて押下げられる可能性がある範囲となるように設定されるのが好ましい。これによれば、回転中の回転部材17との接触によって下向きの力が搬送対象物30に付与される場合であっても、搬送対象物30が押下げられるのを抑制することが可能となる。
【0044】
搬送対象物30は、弾性材(例えば、ゴム材、合成樹脂材など)で盤状に形成されている。本実施形態では、搬送対象物30は、円盤状に形成されているが、円盤状に限定されず、多角形盤状に形成されてもよい。
【0045】
搬送対象物30は、
図5A~
図5Cに示すように、有底筒状の本体31及びフランジ部32を備えている。本体31は円筒状に形成されている。本体31は、円状に形成された底部31aと、底部31aの周縁部に接続されている円筒状の壁面部31bと、を備えている。底部31aの中央部には、凸部31cが形成されている。フランジ部32は、壁面部31bの先端部から径方向外側に向けて延設されている。フランジ部32は、円環状に形成されており、フランジ部32の内周縁部が壁面部31bの先端部に一体的に接続されている。フランジ部32は円錐状に形成されるのが好ましい。このように、フランジ部32は、円錐上側部分と下側部分に荷重を加え、高さを低くする方向にたわませることでばね作用が得られるとともに、径方向内側方向に荷重を加えたわませることでばね作用が得られる。
【0046】
図5Cから明らかなように、搬送対象物30は、搬送対象物30の搬送方向に沿った断面形状が非対称となるように形成されている。詳細には、底部31a、壁面部31b及びフランジ部32のうち、底部31aが最も厚く、次に壁面部31bが厚く、フランジ部32が最も薄い。底部31aのうち凸部31cが最も厚い。よって、
図5Cにおいて、搬送対象物30の重心は、底部31a内にあり、搬送対象物30のローラ12a,12bとの接触点であるフランジ部32の周縁端より
図5Cにて右側に位置する。尚、本実施形態では、搬送対象物30を断面形状が非対称となるように形成したが、断面形状が対象となるように形成してもよい。この場合、断面形状が楕円状でもよく、多角形状でもよい。
【0047】
ハウジング11の上部開口部11cには、作業者が搬送対象物30を投入するのを検出可能なセンサ11eが設けられている。例えば、センサ11eとしては、測定対象までの距離を測定する距離センサが採用できる。センサ11eによる測定結果が所定値より小さい場合に、搬送対象物30が投入中であると判定でき、その場合には、搬送装置10は、搬送に係る動作を規制する。一方、センサ11eによる測定結果が所定値より大きい場合に、搬送対象物30が投入中でないと判定でき、その場合には、搬送装置10は、搬送に係る動作を許可する。
【0048】
さらに、上述した搬送装置10の作動について説明する。最初に、搬送対象物30が多数まとめられたブロック30Aが作業者によってハウジング11内に投入され、1対のローラ12a,12b上に載置される。
【0049】
ローラ12a,12bがローラ駆動装置13a,13bによってそれぞれ同一方向(同一回転方向)に回転駆動されると、搬送対象物30のブロック30Aがローラ12a,12bを回転しながらローラ12a,12bの軸線方向に沿って前方向に搬送される。搬送対象物30のブロック30Aは、上側ガイド部材21a,21bや下側ガイド部材22にガイドされながら突出部14a,14bに到達する。
【0050】
ローラ12a,12bの先端まで搬送された先頭の搬送対象物30は、突出部14a,14bによって移動が規制される。一方で、先頭の搬送対象物30は後続の搬送対象物30から押されるため、前方向に力が付与される。また、回転部材17の回転によって、先頭の搬送対象物30の上側部においては、搬送方向とは逆方向(後方向)の力が付与される。このように、互いに逆方向の2つの力が搬送対象物30に作用することにより、搬送対象物30は時計回り(
図2にて)の回転動作をしようとする。その結果、先頭に位置する搬送対象物30の下側部が浮き上がり、先頭から2番目に位置する搬送対象物30から容易に引き離すことができる。さらには、搬送対象物30が突出部14a,14bを容易に乗り越えることが可能となる。その結果、連続して送られてきた搬送対象物30は、一つ一つ容易にばらすことが可能となる。
【0051】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る搬送装置10は、搬送対象物30を搬送して送り出す搬送装置10であって、筒状に形成されるとともに互いに平行に配設されて、搬送対象物30を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送可能である一対のローラ12a,12bと、一対のローラ12a,12bを同一方向に回転駆動させるローラ駆動装置13a,13bと、を備えている。
【0052】
この搬送装置10によれば、一対のローラ12a,12bがローラ駆動装置13a,13bによって同一方向に回転駆動されることにより、搬送対象物30を回転可能に支持しながら軸方向に沿って搬送することが可能となる。よって、搬送装置10は、搬送対象物30を自動的に搬送して送り出すことが可能となる。その結果、搬送対象物30を自動的に搬送して送り出すのに適した搬送装置10を提供することが可能となる。
【0053】
また、搬送装置10においては、ローラ12a,12bの先端にローラ12a,12bの径方向外側に向けて凸状に設けられ、搬送対象物30の前面周縁の一部に接触可能である突出部14a,14bをさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物30を1つにまとめたブロック30Aを突出部14a,14bによって確実にばらすことが可能となる。その結果、ブロック30Aを一つ一つの搬送対象物30にばらすばらし作業を自動的に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0054】
また、搬送装置10においては、筒状に形成されて、ローラ12a,12bの先端部の上方にローラ12a,12bと立体的に交差するように回転可能に設けられる回転部材17であって、回転中の回転部材17の下端部が搬送対象物30の上端部に接触可能である回転部材17をさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物30のブロック30Aを回転部材17によって確実にばらすことが可能となる。
【0055】
また、搬送装置10においては、回転部材17の回転方向は、搬送対象物30との接触点において搬送対象物30を搬送すべき搬送方向とは逆方向の力が搬送対象物30に付与される回転方向であることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物30のブロック30Aを回転部材17によって確実にばらすことが可能となる。
【0056】
また、搬送装置10においては、筒状に形成されるとともにローラ12a,12bに平行に配設されて、搬送対象物30の上部を支持しながら案内する上側ガイド部材21a,21bをさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物30のブロック30Aを上側ガイド部材21a,21bによって確実にガイドすることが可能となる。
【0057】
また、搬送装置10においては、筒状に形成されるとともにローラ12a,12bに平行に配設されて、搬送対象物30の下部を支持しながら案内する下側ガイド部材22をさらに備えることが好ましい。これによれば、搬送されてきた多数の搬送対象物30のブロック30Aを下側ガイド部材22によって確実にガイドすることが可能となる。
【0058】
また、搬送装置10においては、搬送中の搬送対象物30の背面を支持する背面支持部材15をさらに備えることが好ましい。これによれば、多数の搬送対象物30を背面支持部材15によって確実にまとめて搬送することが可能となる。
【0059】
また、搬送装置10においては、搬送対象物30は、搬送対象物30の搬送方向に沿った断面形状が非対称となるように形成されていることが好ましい。これによれば、搬送対象物30を搬送方向に向けて搬送することが可能となり、ひいては多数の搬送対象物30を確実に搬送することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
10…搬送装置、12a,12b…ローラ、13a,13b…ローラ駆動装置(駆動装置)、14a,14b…突出部、15…背面支持部材、17…回転部材、21a,21b…上側ガイド部材、22…下側ガイド部材、30…搬送対象物。