(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178730
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】尿吸収パッドホルダー
(51)【国際特許分類】
A61F 13/64 20060101AFI20221125BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20221125BHJP
A61F 13/74 20060101ALI20221125BHJP
A61F 13/505 20060101ALI20221125BHJP
A61F 13/491 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61F13/64
A61F5/44 H
A61F13/74
A61F13/505 100
A61F13/491 100
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085731
(22)【出願日】2021-05-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】505051758
【氏名又は名称】樋口 由文
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】樋口 由文
【テーマコード(参考)】
3B200
4C098
【Fターム(参考)】
3B200AA14
3B200DE04
4C098AA09
4C098CC02
4C098CC14
4C098CC38
4C098CE04
4C098CE12
(57)【要約】
【課題】屈伸等の動作を行っても陰茎が尿吸収パッドから抜け難く、尿吸収パッドの交換もスムーズに行え、また、男性用小便器で立って用をたす際にパンツを降ろさずに陰茎を露出して用をたすことができる尿吸収パッドホルダーを提供する。
【解決手段】陰茎を差し込んで使用する袋状の尿吸収パッド(3)を下腹部に密着・固定するための尿吸収パッドホルダー(50)であって、尿吸収パッド(3)を把持するパッド留め具部(1)と、パッド留め具部(1)を下腹部に密着させるホールド部(2)と、ホールド部(2)の前側と後側を股下を経てつなぎ下腹部に安定して固定するためのサポート部(4)と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰茎を差し込んで使用する袋状の尿吸収パッドを下腹部に密着・固定するための尿吸収パッドホルダーであって、
前記尿吸収パッドを把持するパッド留め具部と、
前記パッド留め具部を下腹部の恥骨結合部に密着させるホールド部と、
前記ホールド部の前側と後側を股下を経てつなぐことで該ホールド部を下腹部に安定して固定するためのサポート部と、を備える
ことを特徴とする尿吸収パッドホルダー。
【請求項2】
使用者が着用するパンツ状の本体部を備え、
前記ホールド部は、前記本体部における下腹部と腰回りを囲む部分であり、
前記サポート部は、前記本体部における前記ホールド部の前側と後側をつなぐ股下部分であり、
前記パッド留め具部は、前記本体部における下腹部の恥骨結合部を覆う部分に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の尿吸収パッドホルダー。
【請求項3】
前記本体部の前身頃上端から股下にかかる部分に、前記パッド留め具部及び該パッド留め具部に把持した前記尿吸収パッドを覆うパッド収納カバーを備え、
前記パッド収納カバーの中央付近に該パッド収納カバーを左右に開くための開閉部を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の尿吸収パッドホルダー。
【請求項4】
前記パッド留め具部は、
弾性部材からなる帯状のベース部と、
一端が前記ベース部の一端に固定され、他端に備えた係止具が前記ベース部の他端に設けた被係止具で係止される帯状のベルト部と、から成る
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の尿吸収パッドホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰茎を差し込んで使用する袋状の尿吸収パッドを下腹部に密着・固定させた状態で装着するための尿吸収パッドホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
男性の尿漏れに関する技術としては、漏れ出る尿の量が少ない場合は、尿吸収剤をパンツの布素材内に配した尿漏吸収パンツにより、漏れ出た尿を吸収剤に吸収するのが一般的である。漏れ出る尿の量が多い場合は、尿漏吸収パンツの内側に平面状の尿吸収パッドを陰茎の前面に配して尿を吸収するか、陰茎を差し込んで使用する袋状の尿吸収パッドに陰茎を差し込んだ状態で尿漏吸収パンツの内側に配して尿を吸収させている。しかしながら、これらの技術では、脚や腰の動きがある場合等に、尿をパンツの外に漏らしてしまう場合がある。
【0003】
図11及び
図12は、従来の尿吸収パッドの使用時の問題点を説明するための図で、尿吸収パッドに陰茎を差し込み、該尿吸収パッドをパンツ内の袋に納めた状態の腰部分を示す図で、
図11は、直立したときの様子を示す図、
図12は、腰を引いたときの様子を示す図である。これらの図に示すように、従来の尿吸収パッド103の使用では、腰を引くと陰茎Mは腰とともに後退するが、尿吸収パッド103は太腿に挟まれて元の位置に残るため、尿吸収パッド103から陰茎Mが抜けてしまう。
【0004】
上記のような問題に対処するため、例えば特許文献1、2に開示されたような、尿吸収パッドを装着するための尿吸収パッドホルダーを使用することが考えられる。特許文献1に開示の尿吸収パッドホルダーは、平面形の尿吸収パッドを収納部内で陰茎の尿道出口付近に配置して使用するものである。また、特許文献2に開示の尿吸収パッドホルダーは、主に女性用の平面形の尿吸収パッド用の技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4109036号公報
【特許文献2】特許第5492640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の尿吸収パッドホルダーでは、既述のように、平面形の尿吸収パッドを収納部内で陰茎の尿道出口付近に配置して使用するため、少量の尿漏れには対応できるが、通常量の尿を吸収することができない。また屈伸を伴う運動、腰を引く運動、および太ももの運動等を行ったときに尿吸収パッドを収納している収納部から陰茎が抜け易いという課題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示の尿吸収パッドホルダーは、主に女性用の平面形の尿吸収パッド用の技術であるが、これを陰茎を差し込んで使用する尿吸収パッド用の尿吸収パッドホルダーとして使用する場合は、陰茎を差し込んだ尿吸収パッドとともに尿道が圧迫されるため放尿しづらい。また、屈伸を伴う運動、腰を引く運動および太ももの運動等を行ったときに、パンツ内に配された尿吸収パッドが太ももに触れて動き、尿吸収パッドに差し込んだ陰茎が抜けるという課題がある。
【0008】
さらに、特許文献1及び特許文献2の技術では、男性用小便器で立って用を足す場合に、パンツ内に納めた尿吸収パッドを外すためにパンツを引き下ろす必要があり、手間と時間を要するとともに、人目が気になるという課題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、屈伸等の動作を行っても陰茎が尿吸収パッドから抜け難く、尿吸収パッドの交換もスムーズに行え、また、男性用小便器で立って用をたす際にパンツを降ろさずに陰茎を露出して用をたすことができる尿吸収パッドホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、陰茎(M)を差し込んで使用する袋状の尿吸収パッド(3)を下腹部に密着・固定するための尿吸収パッドホルダーであって、前記尿吸収パッド(3)を把持するパッド留め具部(1)と、前記パッド留め具部(1)を下腹部の恥骨結合部に密着させるホールド部(2)と、前記ホールド部(2)の前側と後側を股下を経てつなぎ下腹部に安定して固定するためのサポート部(4)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の尿吸収パッドホルダーによれば、陰茎(M)を差し込んだ袋状の尿吸収パッド(3)をパッド留め具部(1)で把持し、ホールド部(2)の伸縮力によって下腹部の恥骨結合部に密着・固定することができる。これにより、通常の生活における足腰の動きに対しても、尿吸収パッドを下腹部に密着・固定させた状態を維持できる。そのため、周囲にトイレが無い状況やトイレに行きにくい状況において尿意を催した時に、通常量の尿を尿吸収パッド(3)に吸収させることができる。
【0012】
また、パッド留め具部(1)は陰茎(M)の付け根上側の恥骨結合部に密着・固定されているため、尿道が圧迫されることは無く、スムーズに排尿できる。
【0013】
さらに、尿吸収パッド(3)を把持したパッド留め具部(1)はホールド部(2)の伸縮力により恥骨結合部に密着・固定されているため、屈伸を伴う運動や腰を引く運動、および太ももを上げる運動等を行った際にも、パッド留め具部(1)と鼠径部の密着性は保たれる。その結果、尿吸収パッド(3)と陰茎(M)の根元との隙間は狭く保たれるため、陰茎(M)が尿吸収パッド(3)から抜け難くなる。
【0014】
また、本発明の尿吸収パッドホルダーは、上記構成に加えて、使用者が腰回り及び下腹部に着用するパンツ状の本体部(5)を備え、前記ホールド部(2)は、前記本体部(5)における下腹部と腰回りを囲む部分であり、前記サポート部(4)は、前記本体部(5)における前記ホールド部(2)の前側と後側をつなぐ股下部分であり、前記パッド留め具部(1)は、前記本体部(5)が下腹部の恥骨結合部を覆う部分に設けられていてもよい。
【0015】
また、本発明の尿吸収パッドホルダーは、上記構成に加えて、前記本体部(5)の前身頃上端(7a)から股下にかかる部分に、前記パッド留め具部(1)及び前記パッド留め具部(1)に把持した前記尿吸収パッド(3)を覆うパッド収納カバー(8)を備え、前記パッド収納カバー(8)の中央付近に該パッド収納カバー(8)を左右に開くための開閉部(9)を備えていてもよい。
【0016】
上記構成のように、本発明の尿吸収パッドホルダーがパンツ状の本体部(5)及びパッド収納カバー(8)を備える場合、男性用小便器で立って用をたす際には、パッド収納カバー(8)を開閉部(9)によって左右に開き、パッド留め具部(1)の係止を外すことで、容易に陰茎(M)を尿吸収パッド(3)から抜き出して通常の姿勢で用をたすことができる。このため、排尿時にパンツをずり下げたり、脱いだり、大便用トイレを使ったりする必要が無くなり、また、周囲を気にすることが無くなるとともに、尿吸収パッド(3)の交換もスムーズに行うことができる。
【0017】
また、パッド収納カバー(8)は、パッド留め具部(1)に把持した尿吸収パッド(3)を外側から押さえるため、尿吸収パッド(3)の膨らみを抑え、外観上、膨らみを見え難くする効果もある。
【0018】
また、本発明の尿吸収パッドホルダーは、上記構成に加えて、前記パッド留め具部(1)は、弾性部材からなる帯状のベース部(1a)と、一端が前記ベース部(1a)の一端に固定され、他端に備えた係止具(1ba)が前記ベース部(1a)の他端に設けた被係止具(1ab)で係止される帯状のベルト部(1b)と、から成るものであってもよい。
【0019】
この構成によれば、ベース部(1a)とベルト部(1b)の間に尿吸収パッド(3)を挟み、被係止具(1ab)と係止具(1ba)を係止することで、ベース部(1a)の素材の復元力とベルト部(1b)の張力によって尿吸収パッド(3)をしっかり把持することができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における対応する構成要素の図面参照番号を参考のために示すものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の尿吸収パッドホルダーによれば、下記の効果を奏することができる。
〔1〕通常量の尿を周囲に漏らすことなく尿吸収パッドに吸収できる。
〔2〕パッド留め具部を陰茎の上側で下腹部の恥骨結合部に密着固定しているため、尿道が圧迫されずスムーズに排尿できる。
〔3〕パッド留め具部に尿吸収パッドをしっかり把持できるので、屈伸等を行っても陰茎が尿吸収パッドから抜け難い。
〔4〕男性用小便器で立って用をたす際に、パッド収納カバーの開閉部を開くことで、パンツを降ろさずに、陰茎を露出でき、迅速に、目立たずに排尿できる。
〔5〕尿吸収パッドの交換もスムーズに行える。
〔6〕パッド収納カバーが尿吸収パッドを外側から抑えることで、外観上の尿吸収パッドの膨らみを目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第一実施形態にかかる尿吸収パッドホルダーを示す図である。
【
図2】尿吸収パッドホルダーのパッド留め具部の構成を示す図である。
【
図4】尿吸収パッドホルダーのパッド留め具部に尿吸収パッドを装着する手順を説明するための図である。
【
図5】尿吸収パッドホルダーの使用状態を示す図である。
【
図6】尿吸収パッドホルダーの使用状態を説明するための図(直立状態の模式図)である。
【
図7】尿吸収パッドホルダーの使用状態を説明するための図(腰を引いた状態の模式図)である。
【
図8】本発明の第二実施形態にかかる尿吸収パッドホルダーを示す図である。
【
図9】第二実施形態の尿吸収パッドホルダーに尿吸収パッドを取り付けた状態の図である。
【
図10】本発明の第三実施形態にかかる尿吸収パッドホルダーを示す図である。
【
図11】従来の尿吸収パッドの使用時の問題点を説明するための図(直立状態の模式図)である。
【
図12】従来の尿吸収パッドの使用時の問題点を説明するための図(腰を引いた状態の模式図)である。
【
図13】人体の腰回りの各部の名称を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、
図13は、人体の腰回りの各部の名称を示す図である。本明細書においては、下腹部、鼠径部、恥骨結合部など人体の部位を示す用語を用いているが、これら下腹部、鼠径部、恥骨結合部それぞれの用語が指し示す部位は、
図13に示すような部位である。
【0023】
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態にかかる尿吸収パッドホルダーを示す図である。同図に示す尿吸収パッドホルダー50は、陰茎Mを差し込んで使用する袋状の尿吸収パッド3(
図3参照)を把持して下腹部に密着・固定するための尿吸収パッドホルダーであって、尿吸収パッド3を把持するパッド留め具部1と、パッド留め具部1を下腹部の恥骨結合部に密着させるホールド部2と、ホールド部2の前側と後側を股下を経てつなぐことで該ホールド部2を下腹部に安定して固定するためのサポート部4とを備えて構成されている。
【0024】
ホールド部2は、伸縮性のある素材で構成され、使用者の鼠径部と腰回りを囲む構造で、ホールド部2の一部分にパッド留め具部1を備える構造である。ホールド部2の伸縮性素材は、一例として、数センチ幅のパンツ用の伸縮性のあるゴム等の素材とすることができる。ホールド部2の素材の伸縮力はホールド部2に配したパッド留め具部1を下腹部の恥骨結合部に密着・固定させるに充分な張力で、かつ、腹部を過度に締め付けない程度の収縮力とする。
【0025】
サポート部4は、ホールド部2の前側と後側を股下を経てつなぐ帯状の部材であって、ホールド部2及びパッド留め具部1が下腹部から上方に滑りあがらないよう安定させる機能を有する。サポート部4の素材は伸縮性のある素材で、一例として、数センチ幅のパンツ用の伸縮性のあるゴム等の素材を用いることができる。
【0026】
図2は、パッド留め具部1の構成を示す図である。パッド留め具部1は、弾性部材からなる帯状のベース部1aと、一端がベース部1aの一端に固定され、他端に備えた係止具1baがベース部1aの他端に設けた被係止具1abで係止される帯状のベルト部1bとからなる。ベース部1aの素材の例としては、適度な硬さと弾力性を有する樹脂素材で、ベルト部1bの素材例としては布製ベルトがある。パッド留め具部1の係止具1ba及び被係止具1abとしては、面ファスナ、ボタン、スナップ、フック等を用いることができる。
【0027】
ベース部1aは、長さが16~18cm程度、幅が3~4cm程度で、鼠径部にはさまれた下腹部に収まる大きさとし、パンツの前身頃7aが恥骨結合部を覆う部分に配置される。この位置に配置することで、太ももが動いた時に太腿が尿吸収パッド3に直接触れることが少なくなり、陰茎Mを差し込んでいた尿吸収パッド3が外れる可能性が低くなる。
【0028】
図3は、陰茎Mを差し込んで使用する袋状の尿吸収パッドの概略図で、同図(a)、同図(c)は、平形状の尿吸収パッドを陰茎Mを差し込んで使用できるようにした尿吸収パッドの例を示す図、同図(b)は、袋状の尿吸収パッドを示す図である。同図に示す尿吸収パッド3は、男性器の陰茎Mを
図3(a)~(c)に示す矢印の方向に差込み、袋内の尿吸収素材に尿を吸収・蓄積することで、通常量の尿を吸収する機能を有している。
【0029】
次に、上記構成の尿吸収パッドホルダーの使用方法を説明する。
図4は、尿吸収パッドホルダーに尿吸収パッドを取り付ける手順を説明するための図である。尿吸収パッドホルダー50に尿吸収パッド3を取り付けるには、まず、尿吸収パッドホルダー50を腰に装着し、その状態で陰茎Mを尿吸収パッド3に差し込み、尿吸収パッド3上端部近傍をパッド留め具部1のベース部1aとベルト部1bの間に挟み、被係止具1abと係止具1baを係止する。これにより、ベース部1a素材の復元力とベルト部1bの張力によって尿吸収パッド3をしっかり把持することができる。また、パッド留め具部1はホールド部2の腰回りを囲う伸縮性素材の張力により恥骨結合部に密着する。したがって、椅子に座ろうとしたり、屈んだりするときに腰を引いてもパッド留め具部1と恥骨結合部の皮膚との間に隙間を生じさせないことが可能となり、陰茎Mが尿吸収パッド3から抜け難くなる。
【0030】
図5は、尿吸収パッドホルダーの使用状態を示す図である。尿吸収パッド3に尿を吸収させる際は、尿吸収パッド3から陰茎Mが抜けていないことを確認した後に、通常の二倍程度の時間をかけゆっくり尿吸収パッド3内に尿を放出する。尿吸収パッド3が吸収する尿の量は、尿吸収パッド3の吸収性能で決まるが、市販の尿吸収パッド3を用いた場合、通常量の300cc程度に対応可能である。
【0031】
また、男性用小便器で立って用をたす場合は、パッド留め具部1の係止をはずし、尿吸収パッド3から陰茎Mを引き抜くがことで放尿可能である。再装着するには、逆の工程により行う。
【0032】
ここで、屈伸等で腰を引いた時の尿吸収パッド3と陰茎M根元との隙間の開き状況を、本実施形態の尿吸収パッドホルダーを用いる場合と用いない場合との比較で説明する。
図6及び
図7は、本実施形態の尿吸収パッドホルダーを使用した場合を示す図で、
図6は、尿吸収パッドホルダーのパッド留め具部1に陰茎Mを差し込んだ尿吸収パッド3を把持した状態で直立した際の腰部分を示す概略図、
図7は、同状態で腰を引いた際の腰部分を示す概略図である。なお、実際には、尿吸収パッドホルダー50の上にパンツなどの下着を穿いた状態で使用するが、
図6及び
図7ではパンツなどの下着の図示を省略している。
【0033】
先に説明した
図11及び
図12は、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50を用いない場合を示しており、本実施形態の尿吸収パッドホルダーを用いていない場合、
図12に示すように腰を引くと、陰茎Mは腰とともに後退するが、尿吸収パッド103は太腿に挟まれて元の位置に残るため、尿吸収パッド103から陰茎Mが容易に抜けてしまう。
【0034】
これに対して、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50を用いた場合には、
図7に示すように、腰を引いた際に、パッド留め具部1がホールド部2の伸縮力で下腹部の恥骨結合部に留まった状態で陰茎Mとともに後退するため、パッド留め具部1に把持した尿吸収パッド3から陰茎Mが抜け難くなっている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50では、陰茎Mを差し込んだ袋状の尿吸収パッド3をパッド留め具部1で把持し、ホールド部2の伸縮力によって下腹部に密着・固定することができる。これにより、通常の生活における足腰の動きに対しても、尿吸収パッド3を下腹部に密着・固定させた状態を維持できる。そのため、周囲にトイレが無い状況やトイレに行きにくい状況において尿意を催した時に、通常量の尿を尿吸収パッド3に吸収させることができる。
【0036】
また、尿吸収パッドホルダー50のパッド留め具部1は陰茎Mの付け根上側の恥骨結合部に密着・固定されているため、尿道が圧迫されることは無く、スムーズに排尿できる。
【0037】
さらに、尿吸収パッド3を把持したパッド留め具部1はホールド部2の伸縮力により恥骨結合部に密着・固定されているため、屈伸を伴う運動や腰を引く運動、および太ももを上げる運動等を行った際にも、パッド留め具部1と下腹部の密着性は保たれる。その結果、尿吸収パッド3と陰茎Mの根元との隙間は狭く保たれるため、陰茎Mが尿吸収パッド3から抜け難くなる。
【0038】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態の説明及び対応する図面においては、第一実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第一実施形態と同じである。この点は、第三実施形態以降についても同様である。
【0039】
図8は、本発明の第二実施形態にかかる尿吸収パッドホルダーを示す分解斜視図である。第一実施形態の尿吸収パッドホルダー50は、サポート部4がホールド部2の前側と後側を股下を経てつなぐ帯状の部材であったのに対して、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50-2は、サポート部4がパンツ状の本体部5の一部として構成されている。すなわち、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50-2は、使用者が腰回り及び下腹部に着用するパンツ状の本体部5を備えるパンツ型であって、当該本体部5における下腹部と腰回りを囲む部分が本発明のホールド部2であり、本体部5におけるホールド部2の前側と後側をつなぐ股下部分が本発明のサポート部4となるように構成されている。また、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50-2では、パッド留め具部1は、本体部5における下腹部の恥骨結合部を覆う部分に設けられている。
【0040】
本実施形態の尿吸収パッドホルダー50-2では、ホールド部2をパンツ状の本体部5の一部として配置する場合の取付け例として、本体部5が恥骨結合部を覆う部分にパッド留め具部1を配置し、ホールド部2を腰回りを覆う部分に縫い付けている。
【0041】
ホールド部2の伸縮性素材としては、数センチ幅のパンツ用の伸縮性のあるゴム等の素材を用いることができる。ホールド部2の素材の伸縮力はホールド部2に配したパッド留め具部1を下腹部の恥骨結合部に密着・固定させるに充分な張力で、かつ、腹部を過度に締め付けない程度の収縮力とする。
【0042】
このように、ホールド部2を鼠径部と腰回りを囲むように配することで、屈んだり腰を引いた際に、伸縮性素材が股関節の窪みに収まり上下に動きにくくなり、結果としてパッド留め具部1の上下動が減ることで、尿吸収パッド3から陰茎Mを抜け難くしている。
【0043】
パンツ状の本体部5は、伸縮性のある素材を用いた通常のブリーフやボクサー形パンツ等の形状で、胴部が通挿される上部の開口付近には、着用時に本体部5がずり落ちないよう伸縮性のあるベルトが付いている。
【0044】
パッド留め具部1を本体部5の外側に配する場合、パッド留め具部1に把持した尿吸収パッド3に陰茎Mを差し込むために、陰茎Mを通挿するための開口部6を設ける(
図8参照)。開口部6は、本体部5の前身頃7aが下腹部の恥骨結合部を覆う周辺に設け、その形状は水平方向の横長形状か良いが、円形や四角形でもよい。
【0045】
図8に示すように、パッド収納カバー8は、前身頃7aの上部から股下にかけた部分に配される。このパッド収納カバー8は、素材は伸縮性のある布素材で、その幅はパッド留め具部1の幅よりやや広く、パッド留め具部1及びそこに把持した尿吸収パッド3を覆う必要がある。パッド収納カバー8の左右の端辺は前身頃7aに縫い留められ、下端辺は前身頃7aと後身頃7bの接続部、ないしはそれより後方に縫い留められている。
【0046】
パッド収納カバー8の開閉部9は、パッド収納カバー8の中央縦方向に配し、左右に開く構造で、尿吸収パッド3を装着する時にパッド収納カバー8を左右に開くことで、開口部6から引き出した陰茎Mに尿吸収パッド3を被せ易くしている。また、男性用小便器で用を足す際に、パッド収納カバー8が左右に大きく開くため、尿吸収パッド3に差し込んだ陰茎Mを引き出し易く、気軽に男性用小便器で用を足すことができる。開閉部9の開閉機構としては、線ファスナーのほか、面ファスナー、ボタン等を用いてもよい。
【0047】
本実施形態のパンツ状の本体部5を備える尿吸収パッドホルダー50-2の使用方法を以下に述べる。
図9は、本実施形態の尿吸収パッドホルダーに尿吸収パッド3を取り付けた状態を説明するための図である。同図に示すように、尿吸収パッドホルダー50-2に尿吸収パッド3を装着するには、尿吸収パッドホルダー50-2のパンツ型の本体部5を穿いた状態で、パッド収納カバー8の開閉部9を開け、パッド収納カバー8を左右に開き、開口部6から陰茎Mを引き出し、陰茎Mを尿吸収パッド3に差し込み、尿吸収パッド3上部をベース部1aとベルト部1bの間に挟み、係止具1baと被係止具1abにより係止する。その後、尿吸収パッド3を前身頃7aの開口部6から股下にかけてあてがい、開閉部9を閉じる。
【0048】
これにより、パッド留め具部1はホールド部2の腰回りを囲う伸縮性素材の張力により下腹部の恥骨結合部に密着する。したがって、椅子に座ろうとしたり、屈んだりするときに腰を引いてもパッド留め具部1と恥骨結合部の皮膚との間に隙間を生じさせないことが可能となり、陰茎Mが尿吸収パッド3から抜け難くなる。
【0049】
尿吸収パッド3に尿を吸収させる時は、尿吸収パッド3から陰茎Mが抜けていないことを確認した後に、通常の二倍程度の時間をかけゆっくり尿吸収パッド3内に尿を放出する。尿吸収パッド3が吸収する尿の量は、尿吸収パッド3の吸収性能で決まるが、市販の尿吸収パッド3を用いた場合、通常量の300cc程度に対応可能である。
【0050】
男性用小便器で立って用をたす場合は、パッド収納カバー8の開閉部9を開き、パッド留め具部1の係止をはずし、尿吸収パッド3から陰茎Mを引き抜くがことで放尿可能である。再装着するには、逆の工程により行う。
【0051】
本実施形態のパンツ型の本体部5を備える尿吸収パッドホルダー50-2では、本体部5の股下の部分を覆う布素材がサポート部4の役割を担っている。このような構造によって、パッド留め具部1は常に使用者の下腹部の恥骨結合部に密着・固定されるので、上方にずれることが無くなる。その結果、パッド留め具部1に把持された尿吸収パッド3から陰茎Mが抜けるのをより効果的に防ぐことができる。
【0052】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図10は、本発明の第三実施形態にかかる尿吸収パッドホルダーを示す図である。第二実施形態の尿吸収パッドホルダー50-2では、ホールド部2を環状に形成して、鼠径部と腰回りの全周を囲むように配置していたのに対して、本実施形態の尿吸収パッドホルダー50-3では、
図10に示すように、ホールド部2を略C字状に形成して、パッド留め具部1から腰骨の横までの長さとなるように配置している。
【0053】
すなわち、ホールド部2の長さについては、パンツ状の本体部5の一部として配置する場合、
図8に示す第二実施形態の尿吸収パッドホルダー50-2のように、鼠径部と腰回りを囲む構成が一般的であるが、
図10に示す本実施形態の尿吸収パッドホルダー50-3のように、パッド留め具部1から腰骨の横までの長さとしてもよい。また、これ以外にも、図示及び詳細な説明は省略するが、ホールド部2の長さを調整することが可能な長さ調整機能を設けてもよい。
【0054】
なお、上記各実施形態の尿吸収パッドホルダーの使用場面としては、高速道路で運転中に渋滞に遭遇した場合や、ゴルフ、ハイキング、席を立ちにくいクラッシックコンサート、長時間の映画観賞、待ち時間の長いアトラクションやバーゲンセールへの整列、箱根駅伝やマラソンの応援、混雑した極寒の初詣等がある。また、電車・バス運転師・車掌、重要人物警護の警官、自衛官、アナウンサー、高所作業者、外で取材することが多い記者等、トイレに行き難い職業に就いている者による利用が考えられる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 パッド留め具部
1a ベース部
1ab 被係止具
1b ベルト部
1ba 係止具
2 ホールド部
3 尿吸収パッド
4 サポート部
5 本体部
6 開口部
7a 前身頃
7b 後身頃
8 パッド収納カバー
9 開閉部
50,50-2,50-3 尿吸収パッドホルダー
M 陰茎
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰茎を差し込んで使用する袋状の尿吸収パッドを下腹部に密着・固定するための尿吸収パッドホルダーであって、
前記尿吸収パッドを把持するパッド留め具部と、
前記パッド留め具部を下腹部に密着させるホールド部と、
前記ホールド部の前側と後側を股下を経てつなぐことで該ホールド部を下腹部に安定して固定するためのサポート部と、を備え、
前記パッド留め具部は、
弾性部材からなる帯状のベース部と、
一端が前記ベース部の一端に固定され、他端に備えた係止具が前記ベース部の他端に設けた被係止具で係止される帯状のベルト部と、から成る
ことを特徴とする尿吸収パッドホルダー。
【請求項2】
使用者が着用するパンツ状の本体部を備え、
前記ホールド部は、前記本体部における下腹部と腰回りを囲む部分であり、
前記サポート部は、前記本体部における前記ホールド部の前側と後側をつなぐ股下部分であり、
前記パッド留め具部は、前記本体部における下腹部の恥骨結合部を覆う部分に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の尿吸収パッドホルダー。
【請求項3】
前記本体部の前身頃上端から股下にかかる部分に、前記パッド留め具部及び該パッド留め具部に把持した前記尿吸収パッドを覆うパッド収納カバーを備え、
前記パッド収納カバーの中央付近に該パッド収納カバーを左右に開くための開閉部を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の尿吸収パッドホルダー。