(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178747
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電子楽器、電子楽器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/18 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G10H1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085771
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 健
(72)【発明者】
【氏名】小西 友美
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478DB03
5D478DC04
5D478MM00
(57)【要約】
【課題】演奏が阻害される可能性を抑制しつつ、演奏者の操作負担を軽減することができる電子楽器、電子楽器の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】電子鍵盤楽器100は、演奏者による操作を受け付ける、スイッチ処理が対応付けられた少なくとも1つの第1操作スイッチと、演奏が行われているか否かを判定する演奏判定部15と、第1操作スイッチに対する操作に応じて、第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行するスイッチ処理実行部16と、を備えている。スイッチ処理実行部16は、第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定したとき、第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行し、第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると演奏判定部15が判定したとき、第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子と、
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定手段と、
前記機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
前記処理実行手段は、
演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定してから、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定することなく基準時間が経過する以前のタイミングで前記機能操作子に対して操作が行われた場合、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行せず、
演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定してから、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定することなく前記基準時間が経過した後のタイミングで前記機能操作子に対して操作が行われた場合、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
【請求項3】
楽音を表す楽音信号を生成する音源と、
前記楽音信号に応じて楽音を出力する楽音出力手段と、
をさらに備え、
前記音源は、
波形信号を生成する複数の波形ジェネレータを備え、
前記複数の波形ジェネレータが生成した波形信号に応じて前記楽音信号を生成し、
前記演奏判定手段は、前記複数の波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器。
【請求項4】
演奏者による演奏操作を受け付ける複数の演奏操作子をさらに備え、
前記複数の波形ジェネレータは、少なくとも1つの第1波形ジェネレータと、少なくとも1つの第2波形ジェネレータと、を含み、
前記第1波形ジェネレータは、
前記複数の演奏操作子に対する演奏操作に応じて、波形信号を生成し、
前記複数の演奏操作子の何れに対しても演奏操作が行われていない場合、波形信号を生成せず、
前記第2波形ジェネレータは、前記複数の演奏操作子に対する前記演奏操作とは異なる要因に応じて、波形信号を生成し、
前記演奏判定手段は、前記第2波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かに関わらず、前記第1波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子楽器。
【請求項5】
演奏者による演奏操作を受け付ける複数の演奏操作子をさらに備え、
前記演奏判定手段は、前記複数の演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器。
【請求項6】
前記複数の演奏操作子は、複数の鍵と、少なくとも1つのペダルと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子楽器。
【請求項7】
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定ステップと、
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行ステップと、
を含み、
前記処理実行ステップでは、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定ステップで判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定ステップで判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とする電子楽器の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定手段と、
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行手段と、
として機能させ、
前記処理実行手段は、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器、電子楽器の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
演奏操作子に対する演奏者による演奏操作に応じて楽音を発音すると共に、演奏操作子と異なる操作子に対する演奏者による操作に応じて楽音の発音以外の処理を実行する電子楽器が知られている。例えば、特許文献1は、演奏操作子が備える鍵盤に対する演奏者による演奏操作に応じて楽音を発音すると共に、設定操作部が備える操作スイッチに対する演奏者による操作に応じて、楽音の発音以外の処理である音量の調整を実行する電子音楽装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
演奏者が特許文献1に記載された電子音楽装置を用いて演奏を行っているときに、演奏者の意図に反して操作スイッチに対する操作が行われてしまう場合がある。例えば、演奏者が、電子音楽装置を用いた演奏の途中、楽譜立てに立てられた楽譜をめくるために楽譜へ手をのばしたときに、演奏者の身体又は衣服が操作スイッチに偶然接触し、演奏者の意図に反して操作スイッチに対する操作が行われてしまう場合がある。演奏中に演奏者の意図に反して操作スイッチに対する操作が行われた場合、当該操作に応じて演奏者の意図に反して楽音の発音以外の処理が実行されることにより演奏が阻害されてしまう虞がある。
【0005】
電子音楽装置の状態を、操作スイッチに対する操作が有効な有効状態と、操作スイッチに対する操作が無効な無効状態と、のうち何れかに、電子音楽装置に設けられた設定スイッチを操作することにより設定できるように構成し、演奏を行う際、電子音楽装置の状態を無効状態に設定すれば、演奏中、演奏者の意図に反して操作スイッチに対する操作が行われても、当該操作が無効であるため、当該操作に応じて楽音の発音以外の処理が実行されることはない。このような構成によれば、演奏中に演奏者の意図に反して楽音の発音以外の処理が実行されてしまうことにより演奏が阻害される可能性を抑制できる。
【0006】
しかしながら、この場合、演奏者は、演奏を行うたびに、設定スイッチを操作し、電子音楽装置の状態を無効状態に設定する煩雑な操作を行わなければならない。さらに、演奏者は、演奏を中断して楽音の発音以外の処理を電子音楽装置に実行させることを所望する場合、設定スイッチを操作し、電子音楽装置の状態を有効状態に設定してから操作スイッチを操作するという煩雑な操作を行わなければならない。このため、演奏中に演奏者の意図に反して楽音の発音以外の処理が実行されてしまうことにより演奏が阻害される可能性を抑制しつつ、演奏者の操作負担を軽減することが求められていた。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、演奏が阻害される可能性を抑制しつつ、演奏者の操作負担を軽減することができる電子楽器、電子楽器の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子楽器は、
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子と、
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定手段と、
前記機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、演奏が阻害される可能性を抑制しつつ、演奏者の操作負担を軽減することができる電子楽器、電子楽器の制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電子鍵盤楽器の外観を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電子鍵盤楽器の電気的構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る音源LSI(Large Scale Integration)の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る電子鍵盤楽器の機能的構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る電子鍵盤楽器が実行するメインルーチン処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る電子鍵盤楽器が実行するスイッチ制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る電子鍵盤楽器が実行するスイッチ制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子鍵盤楽器について、図面を参照しながら説明する。図中、互いに同一又は同等の構成には、互いに同一の符号を付す。
【0012】
図1に示す電子鍵盤楽器100は、電子鍵盤楽器100を用いて演奏を行うユーザである演奏者による演奏操作を受け付ける複数の演奏操作子を備え、演奏操作子に対する演奏操作に応じて楽音を出力する。電子鍵盤楽器100は、電子楽器の一例である。電子鍵盤楽器100は、
図1に示すように、鍵盤101と、ペダルユニット102と、ディスプレイ103と、第1操作スイッチ群104と、第2操作スイッチ群105と、を備えている。
【0013】
鍵盤101は、押鍵操作、離鍵操作等の演奏者による手の指を用いた演奏操作を受け付ける演奏操作子である88個の鍵を備えている。電子鍵盤楽器100は、鍵盤101が備える鍵に対する押鍵操作に応じて楽音を出力する。なお、演奏者は、肘、足等の手の指以外の身体の一部を用いて鍵に対する演奏操作を行ってもよい。
【0014】
ペダルユニット102は、演奏者による足を用いた演奏操作、すなわち足で踏む演奏操作を受け付ける演奏操作子である3本のペダルを備えている。具体的に、ペダルユニット102は、ソフトペダル102aと、ソステヌートペダル102bと、ダンパーペダル102cと、を備えている。ソフトペダル102a、ソステヌートペダル102b及びダンパーペダル102cには、それぞれ、演奏者が、アコースティックピアノが備えるソフトペダル、ソステヌートペダル及びダンパーペダルを踏んだ状態で、アコースティックピアノが備える鍵に対して押鍵操作を行った場合にアコースティックピアノが発音する楽音に付加される音響効果が対応付けられている。すなわち、ソフトペダル102aには、楽音の音色を柔らかくする音響効果が対応付けられている。ソステヌートペダル102bには、演奏者がソステヌートペダル102bを踏み込んだ時点で押鍵操作が行われていた鍵に対して押鍵操作が行われたことに応じて発音された楽音の発音時間を延ばす音響効果が対応付けられている。ダンパーペダル102cには、楽音の発音時間を延ばす音響効果が対応付けられている。演奏者が、ソフトペダル102a、ソステヌートペダル102b又はダンパーペダル102cを踏んだ状態で、鍵盤101が備える鍵に対して押鍵操作を行った場合、電子鍵盤楽器100は、踏まれているペダルに対応付けられた音響効果を付加した楽音を出力する。ペダルユニット102は、接続ケーブル102dを介して後述する入出力インタフェース108に接続されている。
【0015】
ディスプレイ103は、後述するディスプレイ制御回路109による制御に応じて、操作画面、警告画面等の各種画像を表示する。
【0016】
第1操作スイッチ群104及び第2操作スイッチ群105は、それぞれ、演奏操作子と異なる、演奏者による操作を受け付ける複数の操作スイッチで構成されている。各操作スイッチは、互いに異なるスイッチ処理に予め対応付けられており、演奏者による操作に応じて、対応付けられたスイッチ処理の実行指示を受け付ける。スイッチ処理は、楽音の発音以外の処理である。以下、理解を容易にするため、第1操作スイッチ群104を構成する操作スイッチを「第1操作スイッチ」と称し、第2操作スイッチ群105を構成する操作スイッチを「第2操作スイッチ」と称する。第1操作スイッチは、機能操作子の一例であり、第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理は、機能操作子に対応付けられた処理の一例である。
【0017】
第1操作スイッチ群104は、音量調整スイッチ104aと、音高調整スイッチ104bと、音色選択スイッチ104cと、で構成されている。音量調整スイッチ104aは、楽音の音量を調整するスイッチ処理が対応付けられた第1操作スイッチである。音高調整スイッチ104bは、楽音の音高を調整するスイッチ処理が対応付けられた第1操作スイッチである。音色選択スイッチ104cは、楽音の音色を選択するスイッチ処理が対応付けられた第1操作スイッチである。電子鍵盤楽器100は、アコースティックピアノ、オルガン、サクソフォン等の複数種類の楽器の音色で楽音を出力することが可能であり、演奏者は、音色選択スイッチ104cを操作することにより、電子鍵盤楽器100が何れの楽器の音色で楽音を出力するかを指定することができる。なお、第1操作スイッチ群104は、音量調整スイッチ104a~音色選択スイッチ104cに加えて、或いは、音量調整スイッチ104a~音色選択スイッチ104cに代えて、任意のスイッチ処理が対応付けられた操作スイッチを含んでよい。
【0018】
第2操作スイッチ群105は、電源スイッチ105aと、モード選択スイッチ105bと、で構成されている。電源スイッチ105aは、電子鍵盤楽器100の電源のON/OFFを切り替えるスイッチ処理に対応付けられた第2操作スイッチである。モード選択スイッチ105bは、電子鍵盤楽器100の制御モードを選択するスイッチ処理に対応付けられた第2操作スイッチである。電子鍵盤楽器100は、何れも後述する操作ロックOFFモードと、操作ロックONモードと、操作ロックAUTOモードと、のうち何れかの制御モードで動作する。演奏者は、モード選択スイッチ105bを操作することにより、電子鍵盤楽器100が何れの制御モードで動作するかを指定することができる。
【0019】
電子鍵盤楽器100は、上述した各構成に加えて、
図2に示すように、鍵盤インタフェース106と、ペダルインタフェース107と、入出力インタフェース108と、ディスプレイ制御回路109と、操作スイッチインタフェース110と、CPU(Central Processing Unit)111と、記憶部112と、音源LSI113と、サウンドシステム114と、システムバス115と、を備えている。
【0020】
鍵盤インタフェース106は、図示しない複数の鍵センサを備え、鍵盤101が備える各鍵に対する演奏操作を当該鍵センサにより検出し、検出結果に応じた鍵操作情報を生成し、生成した鍵操作情報をCPU111へ出力する。具体的に、鍵盤インタフェース106は、鍵に対する押鍵操作を検出した場合、押鍵操作の速度に対応する押鍵時のベロシティを検出し、押鍵操作が行われた鍵のキーナンバーと、検出した押鍵時のベロシティと、を示す鍵操作情報を生成してCPU111へ出力する。鍵盤インタフェース106は、鍵に対する離鍵操作を検出した場合、離鍵操作の速度に対応する離鍵時のベロシティを検出し、離鍵操作が行われた鍵のキーナンバーと、検出した離鍵時のベロシティと、を示す鍵操作情報を生成してCPU111へ出力する。
【0021】
ペダルインタフェース107は、図示しない複数のペダルセンサを備え、ペダルユニット102が備える各ペダルに対する演奏操作を当該ペダルセンサにより検出し、検出結果に応じたペダル操作情報を生成し、生成したペダル操作情報をCPU111へ出力する。具体的に、ペダルインタフェース107は、ペダルに対する演奏操作を検出した場合、ペダルに対する演奏操作の操作量に対応する踏み込みに応じたペダルの変位量を検出し、何れのペダルに対して演奏操作が行われたかと、検出したペダルの変位量と、を示すペダル操作情報を生成してCPU111へ出力する。ペダルインタフェース107は、ペダルユニット102に設けられており、接続ケーブル102dを介して入出力インタフェース108に接続されている。ペダルインタフェース107は、ペダル操作情報を、接続ケーブル102dを介した有線通信を行うことによって入出力インタフェース108へ出力し、入出力インタフェース108を介してCPU111へ出力する。
【0022】
入出力インタフェース108は、何れも図示しない無線通信モジュール及び有線通信モジュールを備え、電子鍵盤楽器100の外部の装置との間で無線通信又は有線通信を行うことにより、データをやり取りする。入出力インタフェース108は、接続ケーブル102dが接続される図示しない接続ポートを備え、ペダルインタフェース107から接続ケーブル102dを介した有線通信により入力された上述のペダル操作情報を、CPU111へ出力する。
【0023】
ディスプレイ制御回路109は、CPU111による制御に応じてディスプレイ103を制御し、ディスプレイ103に各種画像を表示させる。
【0024】
操作スイッチインタフェース110は、図示しない複数の操作スイッチセンサを備え、第1操作スイッチ群104を構成する各第1操作スイッチに対する操作と、第2操作スイッチ群105を構成する各第2操作スイッチに対する操作と、を当該操作スイッチセンサにより検出し、検出結果を示すスイッチ操作情報を生成し、生成したスイッチ操作情報をCPU111へ出力する。
【0025】
CPU111は、記憶部112に記憶されたプログラム及びデータに従い、電子鍵盤楽器100の各部を制御する。
【0026】
記憶部112は、ROM(Read Only Memory)112aと、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等のデータ書き込み可能な不揮発性メモリ112bと、を備え、CPU111が各種処理を実行するために用いるプログラム及びデータを不揮発的に記憶する。ROM112aには、上述した複数種類の楽器それぞれの楽音の音声波形を示す音声波形データが予め記憶されている。後述するように、ROM112aに記憶された音声波形データは、音源LSI113によって、楽音を表す楽音信号の生成に用いられる。記憶部112は、ROM112a及び不揮発性メモリ112bに加えて、CPU111のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)112cを備えている。
【0027】
音源LSI113は、CPU111による制御に応じて、楽音を表す楽音信号を生成し、生成した楽音信号をサウンドシステム114へ出力する。楽音信号は、楽音の音声波形を表すデジタル音声信号である。音源LSI113は、音源の一例である。音源LSI113による楽音信号の生成の詳細については、後述する。
【0028】
サウンドシステム114は、音源LSI113から入力された楽音信号に応じて楽音を出力する。サウンドシステム114は、楽音出力手段の一例である。具体的に、サウンドシステム114は、何れも図示しないDAC(Digital to Analog Converter)、アンプ及びスピーカを備え、音源LSI113から入力された楽音信号をDACによりアナログ音声信号へ変換し、当該アナログ音声信号をアンプにより増幅し、増幅後のアナログ音声信号をスピーカにより発音する。なお、サウンドシステム114は、アンプにより増幅されたアナログ信号を、スピーカにより発音する代わりに、図示しない出力端子を介してヘッドフォン等の外部の機器へ出力してもよい。
【0029】
システムバス115は、データ及びコマンドの伝送経路であり、鍵盤インタフェース106、入出力インタフェース108、ディスプレイ制御回路109、操作スイッチインタフェース110、CPU111、記憶部112及び音源LSI113を相互に接続している。
【0030】
以下、音源LSI113による楽音信号の生成の詳細について、
図3を参照して説明する。音源LSI113は、
図3に示すように、256基の波形ジェネレータ113dを有する波形発生装置113aと、DSP(Digital Signal Processor)113bと、バスインタフェース113cと、を備えている。波形発生装置113a及びDSP113bは、バスインタフェース113cを介してシステムバス115に接続され、バスインタフェース113c及びシステムバス115を介して、CPU111及びROM112aを含む電子鍵盤楽器100の各部との間でデータをやり取りする。
【0031】
波形発生装置113aが備える各波形ジェネレータ113dは、CPU111による制御に応じて、ROM112aに記憶された波形データを読み出し、読み出した波形データに応じて音声波形を表す波形信号を生成する。各波形ジェネレータ113dは、生成した波形信号を、互いに異なるチャンネル113eを介してDSP113bへ出力する。256基の波形ジェネレータ113dには、それぞれ、「0」~「255」の何れかの番号が識別子として一意的に予め対応付けられている。波形発生装置113aは、各波形ジェネレータ113dが波形信号を生成しているか否かを示すジェネレータ動作情報を生成し、生成したジェネレータ動作情報をCPU111へ出力する。
【0032】
DSP113bは、波形ジェネレータ113dから入力された波形信号に応じて楽音信号を生成する。すなわち、DSP113bは、CPU111による制御に応じて、各波形ジェネレータ113dから入力された波形信号に信号処理を施し、信号処理を施した波形信号を互いに混合することにより楽音信号を生成する。具体的に、DSP113bは、各波形ジェネレータ113dから入力された波形信号に対し、波形信号が表す音声波形を、CPU111から入力された、楽音のパラメータを指定する楽音パラメータ情報が示すパラメータに応じて変化させる信号処理を施す。また、DSP113bは、各波形ジェネレータ113dから入力された波形信号に対し、CPU111から入力された、楽音に付加される音響効果を指定するエフェクト情報が示す音響効果を楽音に付加する信号処理を施す。DSP113bは、生成した楽音信号を、サウンドシステム114へ出力する。
【0033】
上述した物理的構成を備える電子鍵盤楽器100は、機能的に、
図4に示すように、鍵操作情報取得部10と、ペダル操作情報取得部11と、スイッチ操作情報取得部12と、ジェネレータ動作情報取得部13と、楽音出力制御部14と、演奏判定部15と、スイッチ処理実行部16と、を備えている。鍵操作情報取得部10~スイッチ処理実行部16は、CPU111により実現される。すなわち、CPU111は、ROM112aに記憶されたプログラムを実行して電子鍵盤楽器100の各部を制御することにより、鍵操作情報取得部10~スイッチ処理実行部16として機能する。
【0034】
鍵操作情報取得部10は、鍵盤インタフェース106から上述した鍵操作情報を取得する。ペダル操作情報取得部11は、ペダルインタフェース107から上述したペダル操作情報を取得する。スイッチ操作情報取得部12は、操作スイッチインタフェース110から上述したスイッチ操作情報を取得する。ジェネレータ動作情報取得部13は、音源LSI113の波形発生装置113aから上述したジェネレータ動作情報を取得する。
【0035】
楽音出力制御部14は、楽音出力手段であるサウンドシステム114に、演奏操作子である鍵及びペダルに対する演奏者による演奏操作に応じた楽音を出力させる。具体的に、楽音出力制御部14は、音源LSI113に、鍵操作情報取得部10により取得された鍵操作情報と、ペダル操作情報取得部11により取得されたペダル操作情報と、に応じて楽音信号を生成させ、生成した楽音信号をサウンドシステム114へ出力させ、サウンドシステム114に、音源LSI113から入力された楽音信号に応じて楽音を出力させる。より具体的に、楽音出力制御部14は、鍵操作情報に応じて楽音の音高、音量及び音色を決定し、決定した音高、音量及び音色に応じて楽音のパラメータを決定し、決定した楽音のパラメータを示す楽音パラメータ情報を音源LSI113のDSP113bへ出力する。DSP113bは、音源LSI113の波形発生装置113aが備える各波形ジェネレータ113dから入力された波形信号に対し、波形信号が表す音声波形を、CPU111から入力された楽音パラメータ情報が示すパラメータに応じて変化させる信号処理を施し、当該信号処理を施した波形信号を互いに混合することにより、CPU111により決定された音高、音量及び音色を有する楽音を表す楽音信号を生成する。また、楽音出力制御部14は、ペダル操作情報に応じて楽音に付加する音響効果を決定し、決定した音響効果を示すエフェクト情報をDSP113bへ出力する。DSP113bは、各波形ジェネレータ113dから入力された波形信号に対し、CPU111から入力されたエフェクト情報が示す音響効果を楽音に付加する信号処理を施し、当該信号処理を施した波形信号を互いに混合することにより、CPU111により決定された音響効果が付加された楽音を表す楽音信号を生成する。
【0036】
演奏判定部15は、演奏者による電子鍵盤楽器100を用いた演奏が行われているか否かを判定する。演奏判定部15は、演奏判定手段の一例である。具体的に、演奏判定部15は、音源LSI113の波形発生装置113aが備える256基の波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに応じて、演奏が行われているか否かを判定する。すなわち、演奏判定部15は、256基の波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を生成している場合、演奏者による演奏が行われていると判定する。一方、演奏判定部15は、256基の波形ジェネレータ113dの何れも波形信号を生成していない場合、演奏者による演奏が行われていないと判定する。演奏判定部15は、ジェネレータ動作情報取得部13により取得されたジェネレータ動作情報に基づいて、各波形ジェネレータ113dが波形信号を生成しているか否かを判定する。
【0037】
スイッチ処理実行部16は、上述した第1操作スイッチ又は第2操作スイッチに対して操作が行われたことに応じて、操作された操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。スイッチ処理実行部16は、処理実行手段の一例である。スイッチ処理実行部16は、スイッチ操作情報取得部12により取得されたスイッチ操作情報に基づいて、第1操作スイッチ又は第2操作スイッチに対する操作を検出する。
【0038】
スイッチ処理実行部16は、第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードに応じてスイッチ処理の実行を制御する。具体的に、第1操作スイッチに対する操作が有効な操作ロックOFFモードで電子鍵盤楽器100が動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、スイッチ処理実行部16は、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。第1操作スイッチに対する操作が無効な操作ロックONモードで電子鍵盤楽器100が動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、スイッチ処理実行部16は、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【0039】
電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、スイッチ処理実行部16は、演奏判定部15による判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御する。すなわち、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏者による演奏が行われていないと演奏判定部15が判定したとき、スイッチ処理実行部16は、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。一方、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏者による演奏が行われていると演奏判定部15が判定したとき、スイッチ処理実行部16は、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【0040】
このような構成によれば、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において、演奏者が、演奏を中断して第1操作スイッチを操作した場合、スイッチ処理が実行される一方、演奏中に、演奏者の身体又は衣服が第1操作スイッチに偶然接触し、演奏者の意図に反して第1操作スイッチに対する操作が行われた場合、スイッチ処理は実行されない。従って、このような構成によれば、演奏中に演奏者の意図に反して楽音の発音以外の処理であるスイッチ処理が実行されることにより演奏が阻害される可能性を抑制することができる。また、このような構成によれば、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している場合、演奏判定部15による判定の結果に応じて、第1操作スイッチが操作された際のスイッチ処理の実行有無が切り替えられる。このため、このような構成によれば、演奏者が、モード選択スイッチ105bを操作して電子鍵盤楽器100の制御モードを切り替えることによりスイッチ処理の実行有無を切り替える場合に比べて、演奏者の操作負担を軽減することができる。
【0041】
上述したように、演奏判定部15は、音源LSI113が備える波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定し、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している場合、演奏判定部15による判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御する。このような構成によれば、波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに基づいて演奏者による演奏が行われているか否かを好適に判定し、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を好適に制御することができる。
【0042】
以上説明したように、スイッチ処理実行部16は、第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードと、演奏判定部15による判定の結果と、に応じて、スイッチ処理の実行有無を制御する。これに対し、スイッチ処理実行部16は、第2操作スイッチに対して操作が行われた場合、電子鍵盤楽器100が操作ロックOFFモード、操作ロックONモード及び操作ロックAUTOモードのうち何れの制御モードで動作している場合でも、演奏判定部15による判定の結果に関わらず、操作された第2操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。換言すれば、第2操作スイッチが操作された場合、操作された第2操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理が必ず実行される。
【0043】
以下、上述した物理的・機能的構成を備える電子鍵盤楽器100が実行するメインルーチン処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。演奏者が、電源スイッチ105aを操作することにより電子鍵盤楽器100の電源をONにすると、CPU111が、
図5のフローチャートに示すメインルーチン処理を開始する。
【0044】
メインルーチン処理を開始すると、まず、CPU111は、電子鍵盤楽器100の各種設定を初期化する初期化処理を実行する(ステップS101)。ステップS101の初期化処理では、電子鍵盤楽器100の制御モードが、デフォルトの制御モードである操作ロックAUTOモードに設定される。本実施形態では、RAM112cの記憶領域に、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードを示す制御モードフラグが設けられている。制御モードフラグの値は、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードに応じて、「0」~「2」の何れかの値に設定される。具体的に、制御モードフラグの値は、電子鍵盤楽器100の制御モードが操作ロックAUTOモードである場合は「0」に、制御モードが操作ロックOFFモードである場合は「1」に、制御モードが操作ロックONモードである場合は「2」に、それぞれ設定される。ステップS101の初期化処理では、電子鍵盤楽器100の制御モードが操作ロックAUTOモードに設定されると共に、制御モードフラグの値が、操作ロックAUTOモードに対応する値である「0」に設定される。
【0045】
ステップS101の初期化処理の実行後、鍵操作情報取得部10が、鍵盤インタフェース106から鍵操作情報を取得する(ステップS102)。ステップS102の処理の実行後、ペダル操作情報取得部11が、ペダルインタフェース107からペダル操作情報を取得する(ステップS103)。
【0046】
ステップS103の処理の実行後、楽音出力制御部14が、サウンドシステム114による楽音の出力を制御する楽音出力制御処理を実行する(ステップS104)。ステップS104の楽音出力制御処理において、楽音出力制御部14は、ステップS102で取得された鍵操作情報に応じて楽音の音高、音量及び音色を決定すると共に、ステップS103で取得されたペダル操作情報に応じて楽音に付加する音響効果を決定する。その後、楽音出力制御部14は、音源LSI113に、決定された音高、音量及び音色を有し、決定された音響効果が付加された楽音を表す楽音信号を生成させ、サウンドシステム114に、音源LSI113により生成された楽音信号に応じて楽音を出力させる。なお、楽音出力制御部14は、楽音出力制御処理において、鍵に対して離鍵操作が行われたことを鍵操作情報に基づいて検出した場合、出力中の楽音の音量を減衰させる弱音化処理を実行する。弱音化処理には、楽音の出力を終了する消音処理が含まれている。
【0047】
ステップS104の楽音出力制御処理の実行後、CPU111は、スイッチ処理の実行を制御するスイッチ制御処理を実行する(ステップS105)。ステップS105のスイッチ制御処理の詳細については、後述する。ステップS105のスイッチ制御処理の実行後、CPU111は、電子鍵盤楽器100の電源がOFFにされたか否かを判定する(ステップS106)。電源がOFFにされていないと判定された場合(ステップS106;No)、処理はステップS102へ戻る。このような構成により、CPU111は、電子鍵盤楽器100の電源がOFFにされるまで、ステップS102~ステップS106の処理を繰り返し実行する。ステップS106において、電源がOFFにされたと判定した場合(ステップS106;Yes)、CPU111は、メインルーチン処理を終了する。
【0048】
以下、上述したメインルーチン処理のステップS105で実行されるスイッチ制御処理の詳細について説明する。ステップS105において、CPU111は、
図6のフローチャートに示すスイッチ制御処理を実行する。
【0049】
スイッチ制御処理が開始されると、まず、スイッチ操作情報取得部12が、操作スイッチインタフェース110からスイッチ操作情報を取得する(ステップS201)。ステップS201の処理の実行後、スイッチ処理実行部16が、ステップS201で取得されたスイッチ操作情報に基づいて、第2操作スイッチ群105を構成する複数の第2操作スイッチ、すなわち電源スイッチ105a及びモード選択スイッチ105bのうち何れかに対して操作が行われたか否かを判定する(ステップS202)。
【0050】
ステップS202において、何れの第2操作スイッチに対しても操作が行われていないと判定された場合(ステップS202;No)、処理はステップS204へ移る。一方、何れかの第2操作スイッチに対して操作が行われたと判定した場合(ステップS202;Yes)、スイッチ処理実行部16は、操作された第2操作スイッチをステップS201で取得されたスイッチ操作情報に基づいて特定し、特定された第2操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する(ステップS203)。具体的に、ステップS203において、スイッチ処理実行部16は、電源スイッチ105aに対して操作が行われた場合、電子鍵盤楽器100の電源のON/OFFを切り替えるスイッチ処理を実行する。また、ステップS203において、スイッチ処理実行部16は、モード選択スイッチ105bに対して操作が行われた場合、電子鍵盤楽器100の制御モードを切り替えるスイッチ処理を実行する。スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100の制御モードを切り替えるスイッチ処理を実行した場合、上述した制御モードフラグの値を、切り替え後の制御モードに応じた値へ変更する処理を実行する。
【0051】
このように、
図6のフローチャートに示すスイッチ制御処理では、何れかの第2操作スイッチに対して操作が行われたと判定された場合(ステップS202;Yes)、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードを参酌することなく、ステップS203の処理が実行される。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックOFFモード、操作ロックONモード及び操作ロックAUTOモードの何れで動作している場合でも、第2操作スイッチに対して操作が行われたときに、操作された第2操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。
【0052】
ステップS203の処理の実行後、処理はステップS204へ移る。ステップS204において、スイッチ処理実行部16は、ステップS201で取得されたスイッチ操作情報に基づいて、第1操作スイッチ群104を構成する複数の第1操作スイッチ、すなわち、音量調整スイッチ104a、音高調整スイッチ104b及び音色選択スイッチ104cのうち何れかに対して操作が行われたか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204において、何れの第1操作スイッチに対しても操作が行われていないと判定した場合(ステップS204;No)、スイッチ処理実行部16は、スイッチ制御処理を終了する。一方、何れかの第1操作スイッチに対して操作が行われたと判定した場合(ステップS204;Yes)、スイッチ処理実行部16は、制御モードフラグの値が操作ロックONモードに対応する値である「2」であるか否かを判定することにより、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードが操作ロックONモードであるか否かを判定する(ステップS205)。制御モードが操作ロックONモードではないと判定した場合(ステップS205;No)、スイッチ処理実行部16は、制御モードフラグの値が操作ロックAUTOモードに対応する値である「0」であるか否かを判定することにより、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードが操作ロックAUTOモードであるか否かを判定する(ステップS206)。
【0053】
ステップS206において、制御モードが操作ロックAUTOモードであると判定された場合(ステップS206;Yes)、ジェネレータ動作情報取得部13が、音源LSI113の波形発生装置113aからジェネレータ動作情報を取得する(ステップS207)。上述したように、波形発生装置113aが備える256基の波形ジェネレータ113dには、それぞれ、「0」~「255」の何れかの番号が識別子として一意的に予め対応付けられている。ステップS207の処理の実行後、演奏判定部15が、第1処理番号を、各波形ジェネレータ113dに識別子として対応付けられた番号のうち最も小さい番号、すなわち「0」に設定する(ステップS208)。ステップS208の処理の実行後、演奏判定部15は、ステップS207で取得されたジェネレータ動作情報に基づいて、波形発生装置113aが備える波形ジェネレータ113dのうち現在設定されている第1処理番号が識別子として対応付けられた波形ジェネレータ113dが波形信号を生成しているか否かを判定する(ステップS209)。例えば、現在設定されている第1処理番号が「0」である場合、演奏判定部15は、番号「0」が識別子として対応付けられた波形ジェネレータ113dが波形信号を発生しているか否かを判定する。
【0054】
ステップS209において、第1処理番号が対応付けられた波形ジェネレータ113dが波形信号を生成していないと判定した場合(ステップS209;No)、演奏判定部15は、現在設定されている第1処理番号が、各波形ジェネレータ113dに識別子として対応付けられた番号のうち最も大きい番号、すなわち「255」であるか否かを判定する(ステップS211)。ステップS211において、現在設定されている第1処理番号が「255」ではないと判定した場合(ステップS211;No)、演奏判定部15は、第1処理番号を1だけインクリメントし(ステップS210)、処理はステップS209へ戻る。演奏判定部15は、第1処理番号を1ずつインクリメントしながら(ステップS210)、ステップS209の判定を繰り返し実行することにより、音源LSI113が備える各波形ジェネレータ113dが波形信号を生成しているか否かを判定する。ステップS211において、現在設定されている第1処理番号が「255」であると判定した場合(ステップS211;Yes)、演奏判定部15は、演奏が行われていないと判定する(ステップS212)。このような構成により、演奏判定部15は、音源LSI113が備える波形ジェネレータ113dの何れも波形信号を発生していない場合、演奏が行われていないと判定する。
【0055】
ステップS212の処理の実行後、処理はステップS214へ移る。ステップS214において、スイッチ処理実行部16が、演奏者により操作された第1操作スイッチをステップS201で取得されたスイッチ操作情報に基づいて特定し、特定された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する(ステップS214)。具体的に、ステップS214において、スイッチ処理実行部16は、音量調整スイッチ104aに対して操作が行われた場合、楽音の音量を変更するスイッチ処理を実行する。また、ステップS214において、スイッチ処理実行部16は、音高調整スイッチ104bに対して操作が行われた場合、楽音の音高を変更するスイッチ処理を実行する。また、ステップS214において、スイッチ処理実行部16は、音色選択スイッチ104cに対して操作が行われた場合、楽音の音色を切り替えるスイッチ処理を実行する。ステップS214の処理の実行後、スイッチ処理実行部16は、スイッチ制御処理を終了する。
【0056】
上述したように、第1操作スイッチに対して操作が行われたと判定され(ステップS204;Yes)、かつ、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作していると判定された場合(ステップS206;Yes)に、演奏が行われていないと判定されたとき(ステップS212)、ステップS214の処理が実行される。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定したとき、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。
【0057】
ステップS204で第1操作スイッチに対して操作が行われたと判定された場合(ステップS204;Yes)に実行されるステップS205の処理において、制御モードが操作ロックONモードであると判定したとき(ステップS205;Yes)、スイッチ処理実行部16は、ステップS214の処理を実行することなく、スイッチ制御処理を終了する。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックONモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【0058】
電子鍵盤楽器100は、操作ロックOFFモード、操作ロックONモード及び操作ロックAUTOモードのうち何れかの制御モードで動作する。このため、ステップS205で電子鍵盤楽器100の現在の制御モードが操作ロックONモードではないと判定された場合(ステップS205;No)に実行されるステップS206の処理において、制御モードが操作ロックAUTOモードではないと判定されること(ステップS206;No)は、制御モードが操作ロックOFFモードであると判定されることに相当する。ステップS206において、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードが操作ロックAUTOモードではないと判定された場合(ステップS206;No)、すなわち制御モードが操作ロックOFFモードであると判定された場合、スイッチ処理実行部16は、ステップS214の処理を実行する。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックOFFモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。
【0059】
ステップS209において、第1処理番号が対応付けられた波形ジェネレータ113dが波形信号を生成していると判定した場合(ステップS209;Yes)、演奏判定部15は、演奏者による演奏が行われていると判定する(ステップS213)。このような構成により、演奏判定部15は、音源LSI113が備える波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を発生している場合、演奏が行われていると判定する。ステップS213の処理の実行後、スイッチ処理実行部16が、ステップS214の処理を実行することなく、スイッチ制御処理を終了する。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると演奏判定部15が判定したとき、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【0060】
以上説明したように、電子鍵盤楽器100は、演奏者による操作を受け付ける機能操作子の一例である複数の第1操作スイッチと、演奏が行われているか否かを判定する演奏判定部15と、第1操作スイッチに対する操作に応じて、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行するスイッチ処理実行部16と、を備えている。スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定したとき、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると演奏判定部15が判定したとき、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。このような構成によれば、演奏が阻害される可能性を抑制しつつ、演奏者の操作負担を軽減することができる。
【0061】
また、電子鍵盤楽器100は、楽音を表す楽音信号を生成する音源LSI113と、楽音信号に応じて楽音を出力するサウンドシステム114と、を備えている。音源LSI113は、波形信号を生成する複数の波形ジェネレータ113dを備え、当該複数の波形ジェネレータ113dが生成した波形信号に応じて楽音信号を生成する。演奏判定部15は、波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する。このような構成によれば、スイッチ処理の実行を好適に制御することができる。
【0062】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、電子鍵盤楽器100が、音源LSI113が備える波形ジェネレータ113dのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定し、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御するものとして説明した。しかしながら、これは一例に過ぎず、電子鍵盤楽器100は、任意の方法により演奏が行われているか否かを判定し、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御することができる。以下、複数の演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定し、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御する本発明の第2実施形態に係る電子鍵盤楽器100について説明する。
【0063】
本実施形態に係る電子鍵盤楽器100は、第1実施形態に係る電子鍵盤楽器100と概ね同一の物理的・機能的構成を備えている。しかしながら、本実施形態に係る電子鍵盤楽器100の演奏判定部15の機能は、第1実施形態に係る電子鍵盤楽器100の演奏判定部15の機能と一部異なっている。以下、本実施形態に係る電子鍵盤楽器100が備える演奏判定部15の機能について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0064】
本実施形態において、演奏判定部15は、電子鍵盤楽器100が備える複数の演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏者により演奏操作が行われているか否かに応じて、演奏が行われているか否かを判定する。電子鍵盤楽器100は、第1実施形態と同様に、鍵盤101に設けられた88個の鍵と、ペダルユニット102に設けられた3本のペダルと、を演奏操作子として備えている。演奏判定部15は、演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われている場合、すなわち88個の鍵及び3本のペダルのうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われている場合、演奏者による演奏が行われていると判定する。一方、演奏判定部15は、演奏操作子の何れに対しても演奏操作が行われていない場合、すなわち88個の鍵及び3本のペダルの何れに対しても演奏操作が行われていない場合、演奏者による演奏が行われていないと判定する。演奏判定部15は、鍵操作情報取得部10により取得された鍵操作情報に基づいて、各鍵に対して演奏操作が行われているか否かを判定し、ペダル操作情報取得部11により取得されたペダル操作情報に基づいて、各ペダルに対して演奏操作が行われているか否かを判定する。
【0065】
本実施形態において、スイッチ処理実行部16は、第1実施形態と同様に、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、演奏判定部15による判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御する。すなわち、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、スイッチ処理実行部16は、演奏が行われていないと演奏判定部15により判定されたときは、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行し、演奏が行われていると演奏判定部15により判定されたときは、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【0066】
このような構成によれば、演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われているか否かに基づいて演奏者による演奏が行われているか否かを好適に判定し、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を好適に制御することができる。
【0067】
上述したように、電子鍵盤楽器100が備える演奏操作子は、複数の鍵と、複数のペダルと、を含んでいる。このため、本実施形態の構成によれば、演奏者が鍵に対して演奏操作を行っている場合のみならず、演奏者が鍵に対して演奏操作を行っていないもののペダルに対して演奏操作を行っている場合にも、演奏が行われていることを検出し、スイッチ処理の実行を好適に制御することができる。
【0068】
以下、上述した物理的・機能的構成を備える本実施形態に係る電子鍵盤楽器100の動作について、第1実施形態に係る電子鍵盤楽器100の動作との相違点を中心に説明する。本実施形態に係る電子鍵盤楽器100は、
図5のフローチャートに示すメインルーチン処理のステップS105において、
図6のフローチャートに示すスイッチ制御処理の代わりに、
図7のフローチャートに示すスイッチ制御処理を実行する。
【0069】
図7のフローチャートに示すスイッチ制御処理が開始されると、まず、スイッチ操作情報取得部12が、操作スイッチインタフェース110からスイッチ操作情報を取得する(ステップS301)。ステップS301の処理の実行後、スイッチ処理実行部16が、ステップS301で取得されたスイッチ操作情報に基づいて、第2操作スイッチ群105を構成する複数の第2操作スイッチのうち何れかに対して操作が行われたか否かを判定する(ステップS302)。ステップS302において、何れの第2操作スイッチに対しても操作が行われていないと判定された場合(ステップS302;No)、処理はステップS304へ移る。一方、何れかの第2操作スイッチに対して操作が行われたと判定した場合(ステップS302;Yes)、スイッチ処理実行部16は、操作された第2操作スイッチをステップS301で取得されたスイッチ操作情報に基づいて特定し、特定された第2操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する(ステップS303)。
【0070】
ステップS303の処理の実行後、処理はステップS304へ移る。ステップS304において、スイッチ処理実行部16は、ステップS301で取得されたスイッチ操作情報に基づいて、第1操作スイッチ群104を構成する複数の第1操作スイッチのうち何れかに対して操作が行われたか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304において、何れの第1操作スイッチに対しても操作が行われていないと判定した場合(ステップS304;No)、スイッチ処理実行部16は、スイッチ制御処理を終了する。一方、何れかの第1操作スイッチに対して操作が行われたと判定した場合(ステップS304;Yes)、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードが操作ロックONモードであるか否かを判定する(ステップS305)。
【0071】
ステップS305において、制御モードが操作ロックONモードであると判定した場合(ステップS305;Yes)、スイッチ処理実行部16は、スイッチ制御処理を終了する。一方、制御モードが操作ロックONモードではないと判定した場合(ステップS305;No)、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100の現在の制御モードが操作ロックAUTOモードであるか否かを判定する(ステップS306)。ステップS306において、制御モードが操作ロックAUTOモードではないと判定された場合(ステップS306;No)、すなわち制御モードが操作ロックOFFモードであると判定された場合、処理はステップS314へ移る。一方、ステップS306において、制御モードが操作ロックAUTOモードであると判定された場合(ステップS306;Yes)、CPU111は、演奏操作子フラグの値を更新する演奏操作子フラグ更新処理を実行する(ステップS307)。以下、演奏操作子フラグ及び演奏操作子フラグ更新処理について説明する。
【0072】
電子鍵盤楽器100は、鍵盤101に設けられた88個の鍵と、ペダルユニット102に設けられた3本のペダルと、の合計91個の演奏操作子を備えている。本実施形態では、各演奏操作子に、「0」~「90」の何れかの番号が識別子として一意的に予め対応付けられている。具体的に、鍵盤101が備える88個の鍵には、それぞれ、「0」~「87」の何れかの番号が識別子として一意的に予め対応付けられている。また、ペダルユニット102が備える3本のペダル、すなわちソフトペダル102a、ソステヌートペダル102b及びダンパーペダル102cには、それぞれ、「88」~「90」の何れかの番号が識別子として一意的に予め対応付けられている。
【0073】
本実施形態では、RAM112cの記憶領域に、電子鍵盤楽器100が備える91個の演奏操作子それぞれに対して演奏操作が行われているか否かを示す91個の演奏操作子フラグが設けられている。各演奏操作子フラグには、「0」~「90」の何れかの番号が識別子として一意的に予め対応付けられている。各演奏操作子フラグの値は、各演奏操作子フラグに対応付けられた番号と同じ番号が対応付けられた演奏操作子に対して演奏操作が行われているか否かに応じて、「0」と「1」とのうち何れかに設定される。具体的に、各演奏操作子フラグの値は、対応する演奏操作子に対して演奏操作が行われていない場合は「0」に設定され、当該演奏操作子に対応する演奏操作子に対して演奏操作が行われている場合は「1」に設定される。例えば、番号「3」が対応付けられた演奏操作子フラグの値は、番号「3」が対応付けられた鍵に対して演奏操作が行われていない場合は「0」に設定され、当該鍵に対して演奏操作が行われている場合は「1」に設定される。
【0074】
本実施形態では、
図5のフローチャートに示すメインルーチン処理のステップS101で実行される初期化処理において、各演奏操作子フラグがクリアされ、何れの演奏操作子フラグの値も初期値である「0」に設定される。
【0075】
図7に戻り、ステップS307の演奏操作子フラグ更新処理において、CPU111は、メインルーチン処理のステップS102で取得された鍵操作情報と、メインルーチン処理のステップS103で取得されたペダル操作情報と、に応じて、各演奏操作子フラグの値を更新する。すなわち、CPU111は、鍵操作情報と、ペダル操作情報と、に基づいて、演奏操作が現在行われていない鍵及びペダルを特定し、特定された鍵及びペダルに対応する演奏操作子フラグの値を「0」に設定する。また、CPU111は、鍵操作情報と、ペダル操作情報と、に基づいて、演奏操作が現在行われている鍵及びペダルを特定し、特定された鍵及びペダルに対応する演奏操作子フラグの値を「1」に設定する。
【0076】
ステップS307の演奏操作子フラグ更新処理の実行後、演奏判定部15が、第2処理番号を、各演奏操作子に識別子として対応付けられた番号のうち最も小さい番号である「0」に設定する(ステップS308)。ステップS308の処理の実行後、演奏判定部15は、現在設定されている第2処理番号が識別子として対応付けられた演奏操作子フラグの値が「1」であるか否かを判定することにより、第2処理番号が識別子として対応付けられた演奏操作子に対して演奏操作が行われているか否かを判定する(ステップS309)。例えば、現在設定されている第2処理番号が「0」である場合、演奏判定部15は、番号「0」が対応付けられた演奏操作子フラグの値が「1」であるか否かを判定することにより、番号「0」が対応付けられた鍵に対して演奏操作が行われているか否かを判定する。
【0077】
ステップS309において、第2処理番号が対応付けられた演奏操作子に対して演奏操作が行われていないと判定した場合(ステップS309;No)、すなわち第2処理番号が対応付けられた演奏操作子フラグの値が「1」ではないと判定した場合、演奏判定部15は、現在設定されている第2処理番号が、各演奏操作子に識別子として対応付けられた番号のうち最も大きい番号、すなわち「90」であるか否かを判定する(ステップS311)。ステップS311において、現在設定されている第2処理番号が「90」ではないと判定した場合(ステップS311;No)、演奏判定部15は、第2処理番号を1だけインクリメントし(ステップS310)、処理はステップS309へ戻る。演奏判定部15は、第2処理番号を1ずつインクリメントしながら(ステップS310)、ステップS309の判定を繰り返し実行することにより、電子鍵盤楽器100が備える各演奏操作子に対して演奏操作が行われているか否かを判定する。
【0078】
ステップS311において、現在設定されている第2処理番号が「90」であると判定した場合(ステップS311;Yes)、演奏判定部15は、演奏が行われていないと判定する(ステップS312)。このような構成により、演奏判定部15は、電子鍵盤楽器100が備える演奏操作子の何れに対しても演奏操作が行われていない場合、演奏が行われていないと判定する。ステップS312の処理の実行後、処理はステップS314へ移る。ステップS314において、スイッチ処理実行部16が、演奏者により操作された第1操作スイッチをステップS301で取得されたスイッチ操作情報に基づいて特定し、特定された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する(ステップS314)。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定したとき、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。ステップS314の処理の実行後、スイッチ処理実行部16は、スイッチ制御処理を終了する。
【0079】
ステップS309において、第2処理番号が対応付けられた演奏操作子に対して演奏操作が行われていると判定した場合(ステップS309;Yes)、すなわち第2処理番号が対応付けられた演奏操作子フラグの値が「1」であると判定した場合、演奏判定部15は、演奏者による演奏が行われていると判定する(ステップS313)。このような構成により、演奏判定部15は、電子鍵盤楽器100が備える演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われている場合、演奏が行われていると判定する。ステップS313の処理の実行後、スイッチ処理実行部16が、ステップS314の処理を実行することなく、スイッチ制御処理を終了する。このような構成により、スイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると演奏判定部15が判定したとき、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しない。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る電子鍵盤楽器100の演奏判定部15は、演奏者による演奏操作を受け付ける複数の演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われているか否かに応じて演奏操作が行われているか否かを判定する。本実施形態に係る電子鍵盤楽器100のスイッチ処理実行部16は、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、演奏判定部15による判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御する。このような構成によれば、スイッチ処理の実行を好適に制御することができる。
【0081】
また、上述したように、本実施形態に係る電子鍵盤楽器100が備える複数の演奏操作子は、複数の鍵と、複数のペダルと、を含んでいる。このような構成によれば、スイッチ処理の実行を好適に制御することができる。
【0082】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0083】
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態で、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定してから、演奏が行われていると演奏判定部15が判定することなく予め定められた基準時間(例えば、1秒)が経過する以前のタイミングで第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、スイッチ処理実行部16が、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行しないように構成してもよい。本変形例では、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定してから、演奏が行われていると演奏判定部15が判定することなく上述した基準時間が経過した後のタイミングで第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、スイッチ処理実行部16が、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理を実行する。
【0084】
具体的に、本変形例では、RAM112cの記憶領域に、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定してから経過した時間である非演奏時間を計測する非演奏時間タイマが設けられている。非演奏時間タイマは、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定したことに応じて非演奏時間の計測を開始する。演奏判定部15が、演奏が行われていると判定すると、非演奏時間タイマによる非演奏時間の計測が停止され、非演奏時間のタイマ値がクリアされる。スイッチ処理実行部16は、第1操作スイッチに対して操作が行われたタイミングにおける非演奏時間タイマのタイマ値が示す非演奏時間が基準時間以上であるか否かに応じて、当該タイミングが、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定してから、演奏が行われていると演奏判定部15が判定することなく基準時間が経過する以前のタイミングであるか否かを判定する。
【0085】
電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作しているとき、演奏中に演奏操作が一時的に途切れたことに応じて、演奏が行われていないと演奏判定部15が判定する場合がある。例えば、演奏中に、演奏者が楽譜をめくるために鍵から手を離したことにより演奏操作が一時的に途切れたときに、演奏が行われていないと判定される場合がある。本変形例の構成によれば、演奏操作が途切れたことに応じて演奏操作が行われていないと判定された後、演奏者の意図に反して第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、当該操作が行われたタイミングが、演奏操作が行われていないと判定されてから基準時間が経過する以前のタイミングであれば、スイッチ処理は実行されない。例えば、演奏者が楽譜をめくるために鍵から手を離したことで演奏操作が途切れたことに応じて演奏が行われていないと判定された後、楽譜をめくるために手をのばした演奏者の身体又は衣服が第1操作スイッチに偶然接触した場合、当該接触のタイミングが、演奏操作が行われていないと判定されてから基準時間が経過する以前のタイミングであれば、スイッチ処理は実行されない。従って、本変形例の構成によれば、演奏者の意図に反してスイッチ処理が実行されることにより演奏が阻害される可能性を抑制することができる。
【0086】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1操作スイッチに対して操作が行われたと判定された後に、電子鍵盤楽器100の制御モードの判定と、演奏が行われているか否かの判定と、が行われ、これらの判定の結果に応じてスイッチ処理の実行が制御されるものとして説明した。しかしながら、これは一例に過ぎず、電子鍵盤楽器100の制御モードの判定と、演奏が行われているか否かの判定とを、第1操作スイッチに対して操作が行われたか否かの判定に先だって実行してもよい。この変形例において、電子鍵盤楽器100の制御モードが操作ロックONモードであると判定された場合と、操作ロックAUTOモードであると判定され、かつ、演奏が行われていると判定された場合、第1操作スイッチに対して操作が行われたか否かの判定は行われない。これに対し、電子鍵盤楽器100の制御モードが操作ロックOFFモードであると判定された場合と、電子鍵盤楽器100の制御モードが操作ロックAUTOモードであると判定され、かつ、演奏が行われていないと判定された場合と、においては、第1操作スイッチに対して操作が行われたか否かの判定が行われ、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行が制御される。すなわち、第1操作スイッチに対して操作が行われたと判定された場合、操作された第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理が実行される一方、第1操作スイッチに対して操作が行われていないと判定された場合、スイッチ処理は実行されない。このような構成によれば、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作しており、かつ、演奏が行われている状態、すなわち、たとえ第1操作スイッチに対して操作が行われていたとしても当該第1操作スイッチに対応付けられたスイッチ処理が実行されない状態において、不必要な第1操作スイッチに対する操作の有無の判定を実行しないため、処理負荷を軽減することができる。
【0087】
上記第1実施形態では、演奏判定部15が、音源LSI113が備える全ての波形ジェネレータ113dに関して波形信号を生成しているか否かの判定を行い、当該判定の結果に応じて演奏が行われているか否かを判定するものとして説明した。しかしながら、これは一例に過ぎない。以下、演奏判定部15が、音源LSI113が備える一部の波形ジェネレータ113dに関して波形信号を生成しているか否かの判定を行い、当該判定の結果に応じて演奏が行われているか否かの判定を行う変形例について説明する。
【0088】
本変形例に係る電子鍵盤楽器100は、伴奏機能と、メトロノーム機能と、を備えている。伴奏機能がONである場合、電子鍵盤楽器100は、演奏者が演奏操作子に対して演奏操作を行っているか否かに関わらず、すなわち、演奏者が演奏操作子に対して演奏操作を行っているときと、演奏者が演奏操作子に対して演奏操作を行っていないときと、の何れにおいても、予め定められた伴奏音を発音する。メトロノーム機能がONである場合、電子鍵盤楽器100は、演奏者が演奏操作子に対して演奏操作を行っているか否かに関わらず、予め定められたメトロノーム音を発音する。具体的に、本変形例では、音源LSI113が、CPU111による制御に応じて、伴奏音を表す伴奏音信号と、メトロノーム音を表すメトロノーム音信号と、を生成してサウンドシステム114へ出力し、サウンドシステム114が、入力された伴奏音信号及びメトロノーム音信号に応じて伴奏音及びメトロノーム音を出力する。
【0089】
本変形例において、音源LSI113が備える各波形ジェネレータ113dは、第1波形ジェネレータ群と、第2波形ジェネレータ群と、のうち何れかに属している。第1波形ジェネレータ群及び第2波形ジェネレータ群は、それぞれ、少なくとも1つの波形ジェネレータ113dによって構成されている。以下、理解を容易にするため、第1波形ジェネレータ群を構成する波形ジェネレータ113dを「第1波形ジェネレータ」と称し、第2波形ジェネレータ群を構成する波形ジェネレータ113dを「第2波形ジェネレータ」と称する。
【0090】
第1波形ジェネレータ群を構成する各第1波形ジェネレータは、音源LSI113が楽音を表す楽音信号を生成するために用いる波形信号を生成する。すなわち、音源LSI113のDSP113bは、各第1波形ジェネレータから入力された波形信号に信号処理を施し、信号処理を施した波形信号を互いに混合することにより楽音信号を生成する。第2波形ジェネレータ群を構成する各第2波形ジェネレータは、音源LSI113が上述した伴奏音信号及びメトロノーム音信号を生成するために用いる波形信号を生成する。すなわち、DSP113bは、各第2波形ジェネレータから入力された波形信号を互いに混合することにより伴奏音信号及びメトロノーム音信号を生成する。
【0091】
各第1波形ジェネレータは、電子鍵盤楽器100が備える複数の演奏操作子、すなわち88個の鍵及び3本のペダルに対する演奏操作に応じて、波形信号を生成する。一方、各第1波形ジェネレータは、電子鍵盤楽器100が備える複数の演奏操作子の何れに対しても演奏操作が行われていない場合、波形信号を生成しない。これに対し、各第2波形ジェネレータは、伴奏機能又はメトロノーム機能がONであり、かつ伴奏音又はメトロノーム音を発音するタイミングであれば、演奏操作子に対して演奏操作が行われているか否かに関わらず、波形信号を生成する。すなわち、各第2波形ジェネレータは、演奏操作子に対する演奏操作とは異なる要因に応じて、波形信号を生成する。なお、伴奏機能又はメトロノーム機能がOFFである場合、各第2波形ジェネレータは、波形信号を生成しない。
【0092】
本変形例に係る演奏判定部15は、第2波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かに関わらず、第1波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かに応じて、演奏が行われているか否かを判定する。具体的に、演奏判定部15は、第1波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成している場合、第2波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているときと、何れの第2波形ジェネレータも波形信号を生成していないときと、の何れにおいても、演奏が行われていると判定する。一方、演奏判定部15は、何れの第1波形ジェネレータも波形信号を生成していない場合、第2波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているときと、何れの第2波形ジェネレータも波形信号を生成していないときと、の何れにおいても、演奏が行われていないと判定する。
【0093】
本変形例において、スイッチ処理実行部16は、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様に、電子鍵盤楽器100が操作ロックAUTOモードで動作している状態において第1操作スイッチに対して操作が行われた場合、演奏判定部15による判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を制御する。
【0094】
このような構成によれば、演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われている場合、たとえ何れの第2波形ジェネレータも波形信号を生成していなくても、第1波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成していることに基づいて、演奏が行われていると判定され、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行が制御される。また、演奏操作子の何れに対しても演奏操作が行われていない場合、たとえ第2波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成していても、何れの第1波形ジェネレータも波形信号を生成していないことに基づいて、演奏操作が行われていないと判定され、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行が制御される。すなわち、このような構成によれば、第1波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに基づいて演奏者による演奏が行われているか否かを好適に判定し、当該判定の結果に応じてスイッチ処理の実行を好適に制御することができる。さらに、このような構成によれば、第2波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かを参酌することなく演奏が行われているか否かの判定が行われるため、音源LSI113が備える全ての波形ジェネレータ113dに関して波形信号を生成しているか否かの判定を行う場合に比べて処理負荷を軽減することができる。
【0095】
なお、本発明に係る各機能を実現するための構成を予め備えた専用の電子楽器を本発明に係る電子楽器として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の電子楽器を、本発明に係る電子楽器として機能させることもできる。すなわち、本発明に係る電子楽器の各機能を実現させるためのプログラムを、既存の電子楽器を制御するCPU等のプロセッサが実行できるように適用することで、当該既存の電子楽器を本発明に係る電子楽器として機能させることができる。
【0096】
なお、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、メモリーカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネット等の通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0098】
(付記1)
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子と、
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定手段と、
前記機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とする電子楽器。
【0099】
(付記2)
前記処理実行手段は、
演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定してから、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定することなく基準時間が経過する以前のタイミングで前記機能操作子に対して操作が行われた場合、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行せず、
演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定してから、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定することなく前記基準時間が経過した後のタイミングで前記機能操作子に対して操作が行われた場合、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
【0100】
(付記3)
楽音を表す楽音信号を生成する音源と、
前記楽音信号に応じて楽音を出力する楽音出力手段と、
をさらに備え、
前記音源は、
波形信号を生成する複数の波形ジェネレータを備え、
前記複数の波形ジェネレータが生成した波形信号に応じて前記楽音信号を生成し、
前記演奏判定手段は、前記複数の波形ジェネレータのうち少なくとも1つが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の電子楽器。
【0101】
(付記4)
演奏者による演奏操作を受け付ける複数の演奏操作子をさらに備え、
前記複数の波形ジェネレータは、少なくとも1つの第1波形ジェネレータと、少なくとも1つの第2波形ジェネレータと、を含み、
前記第1波形ジェネレータは、
前記複数の演奏操作子に対する演奏操作に応じて、波形信号を生成し、
前記複数の演奏操作子の何れに対しても演奏操作が行われていない場合、波形信号を生成せず、
前記第2波形ジェネレータは、前記複数の演奏操作子に対する前記演奏操作とは異なる要因に応じて、波形信号を生成し、
前記演奏判定手段は、前記第2波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かに関わらず、前記第1波形ジェネレータが波形信号を生成しているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する、
ことを特徴とする付記3に記載の電子楽器。
【0102】
(付記5)
演奏者による演奏操作を受け付ける複数の演奏操作子をさらに備え、
前記演奏判定手段は、前記複数の演奏操作子のうち少なくとも1つに対して演奏操作が行われているか否かに応じて演奏が行われているか否かを判定する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の電子楽器。
【0103】
(付記6)
前記複数の演奏操作子は、複数の鍵と、少なくとも1つのペダルと、を含む、
ことを特徴とする付記5に記載の電子楽器。
【0104】
(付記7)
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定ステップと、
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行ステップと、
を含み、
前記処理実行ステップでは、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定ステップで判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定ステップで判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とする電子楽器の制御方法。
【0105】
(付記8)
コンピュータを、
演奏が行われているか否かを判定する演奏判定手段と、
演奏者による操作を受け付ける、処理が対応付けられた少なくとも1つの機能操作子に対する操作に応じて、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行する処理実行手段と、
として機能させ、
前記処理実行手段は、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていないと前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行し、
前記機能操作子に対して操作が行われた場合に、演奏が行われていると前記演奏判定手段が判定したとき、前記機能操作子に対応付けられた処理を実行しない、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0106】
10・・・鍵操作情報取得部、11・・・ペダル操作情報取得部、12・・・スイッチ操作情報取得部、13・・・ジェネレータ動作情報取得部、14・・・楽音出力制御部、15・・・演奏判定部、16・・・スイッチ処理実行部、100・・・電子鍵盤楽器、101・・・鍵盤、102・・・ペダルユニット、102a・・・ソフトペダル、102b・・・ソステヌートペダル、102c・・・ダンパーペダル、102d・・・接続ケーブル、103・・・ディスプレイ、104・・・第1操作スイッチ群、104a・・・音量調整スイッチ、104b・・・音高調整スイッチ、104c・・・音色選択スイッチ、105・・・第2操作スイッチ群、105a・・・電源スイッチ、105b・・・モード選択スイッチ、106・・・鍵盤インタフェース、107・・・ペダルインタフェース、108・・・入出力インタフェース、109・・・ディスプレイ制御回路、110・・・操作スイッチインタフェース、111・・・CPU、112・・・記憶部、112a・・・ROM、112b・・・不揮発性メモリ、112c・・・RAM、113・・・音源LSI、113a・・・波形発生装置、113b・・・DSP、113c・・・バスインタフェース、113d・・・波形ジェネレータ、113e・・・チャンネル、114・・・サウンドシステム、115・・・システムバス