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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178795
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】蓋体成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/58 20060101AFI20221125BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20221125BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20221125BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
B29C44/58
B29C44/00 G
B29C44/02
B29K105:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085843
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000140074
【氏名又は名称】株式会社羽根
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】森 健剛
【テーマコード(参考)】
4F214
【Fターム(参考)】
4F214AC01
4F214AG06
4F214AG20
4F214AH56
4F214AJ08
4F214UA21
4F214UB01
4F214UD13
4F214UD15
4F214UD17
4F214UK31
4F214UQ02
4F214UQ06
4F214UQ08
4F214UQ10
(57)【要約】
【課題】発泡容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙を設けることができる蓋体を、製造コストが増大することなく効率的に成形できる蓋体成形用金型を提供する。
【解決手段】蓋体と本体からなる発泡容器の前記蓋体の成形に用いる、凸型2及び凹型3からなる蓋体成形用金型1である。前記発泡容器は、前記蓋体の嵌合部と前記本体の嵌合部とが嵌合する。凸型2は、基体4と、基体4に対して着脱可能な、前記蓋体の前記嵌合部を成形する箇所に配置される、前記発泡容器の内外に連通する間隙を設ける形状の第1金型片Aとからなる。第1金型片Aとして、前記発泡容器に設ける前記間隙の大きさや長さが異なる複数の形状のものを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体と本体からなる発泡容器の前記蓋体の成形に用いる、凸型及び凹型からなる蓋体成形用金型であって、
前記発泡容器は、前記蓋体の嵌合部と前記本体の嵌合部とが嵌合し、
前記凸型は、
基体と、
前記基体に対して着脱可能な、前記蓋体の前記嵌合部を成形する箇所に配置される、前記発泡容器の内外に連通する間隙を設ける形状の第1金型片と
からなり、
前記第1金型片として、
前記発泡容器に設ける前記間隙の大きさや長さが異なる複数の形状のものを備える、
蓋体成形用金型。
【請求項2】
前記発泡容器は、平面視矩形状であり、
前記第1金型片は、
前記蓋体の二組の対辺に位置する辺部金型片、及び/又は、
前記蓋体の二組の対角に位置する角部金型片
である、
請求項1に記載の蓋体成形用金型。
【請求項3】
前記凹型は、
前記凸型の前記第1金型片の外方に位置する内面に、前記蓋体の側面に凹部を形成する凸部を有する、
請求項2に記載の蓋体成形用金型。
【請求項4】
前記凸型は、
前記第1金型片と置換可能な、前記発泡容器の内外に連通する間隙を設けない形状の第2金型片をさらに備える、
請求項1~3の何れかに記載の蓋体成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体と本体とからなる発泡容器における前記蓋体を成形する金型に関する。
【背景技術】
【0002】
青果、鮮魚、精肉などの生鮮食品の輸送には、軽量であるとともに断熱性に優れた、蓋体と本体とからなる発泡容器が広く用いられている。
【0003】
前記発泡容器において、蓋体と本体との嵌合部に、発泡容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙(特許文献1の開口部5,5a,5b、特許文献2の通気用連通部6)を設けたものがある(例えば、特許文献1及び2参照)。前記間隙を設けることにより、予冷する前記生鮮食品を入れて閉蓋した状態のまま、真空予冷可能とするとともに、真空予冷後に容器内を大気圧に戻しても、前記開口部を閉鎖することなく保冷効果を維持するようにしている。
【0004】
前記蓋体及び前記本体は、凸型(コア型)及び凹型(キャビティ型)からなる成形用金型を用いてビーズ法発泡性合成樹脂成形を行うことで製造される(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭63-616号公報
【特許文献2】特開平4-352673号公報
【特許文献3】特開2019-193984号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】永田雅靖、山下市二、壇和弘、「嫌気条件下におけるブロッコリーからの含硫揮発性成分の発生(研究)」、[online]、農研機構、研究成果情報、1998、[令和3年5月10日検索]、インターネット<URL:https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018041>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のとおり、発泡容器の蓋体と本体との嵌合部に、発泡容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙を設けるニーズがある。
【0008】
一方、前記生鮮食品であるブロッコリーを発泡容器内に収容して密閉状態にした場合、メタンチオールやジメチルジスルフィド等の含硫揮発性成分により異臭が発生することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。したがって、ブロッコリー等の嫌気条件下で異臭を発生する生鮮食品を発泡容器に入れて輸送する場合においても、輸送後に蓋体を開けた際における異臭による不快感を無くすために、容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙を設けるのが好ましい。
【0009】
発泡容器の内外に連通する間隙は、本体は通常の形状として蓋体の嵌合部に設けるのが効率的である。そして、前記間隙は、要求仕様に合わせるべく様々な大きさや長さにする必要がある。蓋体を成形するための凸型を要求仕様に合わせて多数備えると、製造コストが増大してしまう。
【0010】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、常圧下や減圧下でどのように通気させたいかを考慮し、発泡容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙を設けることができる蓋体を、製造コストが増大することなく効率的に成形できる蓋体成形用金型を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る蓋体成形用金型は、前記課題解決のため、蓋体と本体からなる発泡容器の前記蓋体の成形に用いる、凸型及び凹型からなる蓋体成形用金型であって、
前記発泡容器は、前記蓋体の嵌合部と前記本体の嵌合部とが嵌合し、
前記凸型は、
基体と、
前記基体に対して着脱可能な、前記蓋体の前記嵌合部を成形する箇所に配置される、前記発泡容器の内外に連通する間隙を設ける形状の第1金型片と
からなり、
前記第1金型片として、
前記発泡容器に設ける前記間隙の大きさや長さが異なる複数の形状のものを備える。
【0012】
このような構成によれば、蓋体成形用金型の凸型は、基体と、基体に対して着脱可能な第1金型片からなる。第1金型片として、発泡容器に設ける間隙の大きさや長さが異なる複数の形状のものを備えている。
【0013】
前記複数の形状のものから選択した第1金型片を基体に取り付けた凸型を用いて成形した蓋体を本体に装着した発泡容器における内外に連通する間隙と、前記複数の形状のものから選択した別の形状の第1金型片を基体に取り付けた凸型を用いて成形した蓋体を本体に装着した発泡容器における内外に連通する間隙とは大きさや長さが異なる。
【0014】
このように形状の異なる第1金型片を基体に付け替えた凸型で蓋体を成形するだけで、発泡容器の内外に連通する間隙の大きさや長さを容易に変更できる。それにより、真空予冷や異臭発生防止のための通気用として発泡容器に設ける間隙を、要求仕様に合わせた大きさや長さに容易に設定できる。したがって、発泡容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙を設けることができる蓋体を、製造コストが増大することなく効率的に成形できる。
【0015】
ここで、前記発泡容器は、平面視矩形状であり、
前記第1金型片は、
前記蓋体の二組の対辺に位置する辺部金型片、及び/又は、
前記蓋体の二組の対角に位置する角部金型片
であるのが好ましい実施態様である。
【0016】
このような構成によれば、平面視矩形状の発泡容器において、平面視矩形状の蓋体の二組の対辺、及び/又は前記蓋体の二組の対角に、内外に連通する間隙が形成されるので、真空予冷や異臭発生防止のための通気をバランス良く効率的に行うことができる。
【0017】
さらに、前記凹型は、
前記凸型の前記第1金型片の外方に位置する内面に、前記蓋体の側面に凹部を形成する凸部を有するのがより好ましい実施態様である。
【0018】
このような構成によれば、平面視矩形状の発泡容器を密接させても隣接する前記発泡容器の側面で間隙が塞がれることなく前記凹部から通気できるので、積載量を増やすことが可能となり輸送効率が向上する。
【0019】
さらに、前記凸型は、前記第1金型片と置換可能な、前記発泡容器の内外に連通する間隙を設けない形状の第2金型片をさらに備えるのがより一層好ましい実施態様である。
【0020】
このような構成によれば、基体に取り付けてある第1金型片を第2金型片に置き換えた凸型を用いてビーズ法発泡性合成樹脂成形を行うことにより、内外に連通する間隙がない通常の発泡容器に用いる蓋体を製造できる。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり、本発明の蓋体成形用金型によれば、発泡容器の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙を設けることができる蓋体を、製造コストが増大することなく効率的に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る蓋体成形用金型の凸型の斜視図、及び凹型の縦断面斜視図である。
図2】蓋体成形用金型を閉じて蓋体を成形した状態を示す、凸型が図1の矢視X1-X1断面である断面図である。
図3図1の凸型の分解斜視図である。
図4】凸型の基体に対して第1金型片を皿ねじで取り付けた状態を示す要部拡大縦断面図である。
図5】反転させて成形面側から見た凹型の斜視図である。
図6A図1及び図3の蓋体成形用金型で成形した蓋体を本体に装着した発泡容器の斜視図である。
図6B図6Aの発泡容器の分解斜視図である。
図7】発泡容器に内外に連通する間隙を設ける、蓋体の溝部まわりを示す、図6Bの矢視X4-X4断面の要部拡大斜視図である。
図8】(a)は図6Aの矢視X2-X2断面図、(b)は図6Aの矢視X3-X3断面図である。
図9】発泡容器に内外に連通する間隙を設ける、蓋体の溝部まわりを示す、図6Bの矢視R1-R1断面の要部拡大斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係る蓋体成形用金型の凸型の斜視図、及び凹型の縦断面斜視図であり、発泡容器の内外に連通する間隙の大きさや長さが異なる別の第1金型片に置き換えた状態を示している。
図11】蓋体成形用金型を閉じて蓋体を成形した状態を示す、凸型が図10の矢視X5-X5断面である断面図である。
図12図10の凸型の分解斜視図である。
図13A図10及び図11の蓋体成形用金型で成形した蓋体を本体に装着した発泡容器の斜視図である。
図13B図13Aの発泡容器の分解斜視図である。
図14】発泡容器に内外に連通する間隙を設ける蓋体の溝部まわりを示す、図13Bの矢視X7-X7断面の要部拡大斜視図である。
図15図13Aの矢視X6-X6断面図である。
図16】発泡容器に内外に連通する間隙を設ける蓋体の溝部まわりを示す、図13Bの矢視R2-R2断面の要部拡大斜視図である。
図17】本発明の実施の形態に係る蓋体成形用金型の凸型の斜視図、及び凹型の縦断面斜視図であり、発泡容器の内外に連通する間隙を設けない形状の第2金型片に置き換えた状態を示している。
図18図17の凸型の分解斜視図である。
図19A図17の蓋体成形用金型で成形した蓋体を本体に装着した発泡容器の斜視図である。
図19B図19Aの発泡容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、蓋体成形用金型の図面において、外部から成形空間内への蒸気の供給、及び成形空間内からの外部への蒸気の排出をするために必要な金型の内外に連通する蒸気孔、原料充填口、及び離型ピン用開口等は省略している。
【0024】
<蓋体成形用金型、及びビーズ法発泡性合成樹脂成形>
図1の斜視図に示すように、本発明の実施の形態に係る蓋体成形用金型1は、矩形状であり、コア型である凸型2、及びキャビティ型である凹型3からなる。図2の断面図に示すように、蓋体成形用金型1を閉じた状態で、ビーズ法発泡性合成樹脂成形により蓋体12を製造する。すなわち、凸型2及び凹型3により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して発泡性合成樹脂の成形品である蓋体12を得る。
【0025】
<凸型>
図1の斜視図、及び図3の分解斜視図に示すように、凸型2は、矩形状の基体4と、基体4に対して着脱可能な第1金型片Aとからなる。第1金型片Aは、二組の対辺(短辺部D1,D1及び長辺部E1,E1)に位置する辺部金型片5、及び、二組の対角(角部C1,C1,…)に位置する角部金型片8からなる。
【0026】
図3の分解斜視図、及び図4の要部拡大縦断面図に示すように、辺部金型片5は、皿穴5A及び通し穴5Bに皿ねじ16を通し、皿ねじ16を基体4のねじ穴4Aにねじ込むことで基体4に固定する。同様に図3の分解斜視図に示すように、角部金型片8は、皿穴8A及び通し穴8Bに皿ねじ16を通し、皿ねじ16を基体4のねじ穴4Aにねじ込むことで基体4に固定する。
【0027】
第1金型片Aは、図6Bに示す蓋体12の嵌合部12Aを成形する箇所に配置される。第1金型片Aは、図8(a)及び図8(b)に示す発泡容器11の内外に連通する間隙Gを設けるように蓋体12を成形する形状を有する。
【0028】
<凹型>
図1の斜視図、及び反転させて成形面側から見た図5の斜視図に示すように、凹型3は、矩形状であり、短辺部及び長辺部の内面に凸部F1があり、隅部の内面に凸部F2がある。凸部F1,F2は、凸型2の第1金型片Aの外方に位置する。
【0029】
<発泡容器>
図6Aの斜視図、及び図6Bの分解斜視図に示すように、発泡容器11は、平面視矩形状であり、蓋体12及び本体13からなる。蓋体12の嵌合部12Aと本体13の嵌合部13Aとが嵌合する。
【0030】
発泡容器11には、蓋体12の嵌合部12Aと本体13の嵌合部13Aとが嵌合した図6Aに示す状態で、図1に示す凸型2の第1金型片A(辺部金型片5、角部金型片8)により、図8(a)及び図8(b)に示す内外に連通する間隙Gが設けられる。また、図6A及び図6Bに示す蓋体12の側面には、図1及び図5に示す凹型3の凸部F1,F2により、凹部14,15が形成される。
【0031】
蓋体12及び本体13は、軽量であるとともに断熱性に優れた、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等の発泡合成樹脂製であり、主にコスト面から発泡ポリスチレンが好ましい。
【0032】
<発泡容器に内外に連通する間隙を設ける、蓋体の溝部>
図7に示す図6Bの矢視X4-X4断面の要部拡大斜視図のように、蓋体12の長辺部E2及び短辺部D2には、溝部H1及びH2、並びに二箇所の溝部H3及びH4がある。それにより、図8(a)に示す図6Aの矢視X2-X2断面図、及び図8(b)に示す図6Aの矢視X3-X3断面図のように、本体13に蓋体12を装着した状態で、発泡容器11には、内外に連通する間隙Gが設けられる。
【0033】
同様に、図9に示す図6Bの矢視R1-R1断面の斜視図のように、蓋体12の角部C2にある溝部I1及びI2、並びに二箇所の溝部I3及びI4により、本体13に蓋体12を装着した状態で、発泡容器11には、内外に連通する間隙Gが設けられる。
【0034】
<凸型の第1金型片を別の第1金型片に置換>
前記のとおり、凸型2の第1金型片Aは基体4に対して着脱可能である。すなわち、皿ねじ16を緩めることにより、第1金型片Aである辺部金型片5及び角部金型片8を基体4から取り外すことができる。
【0035】
その後、発泡容器11に設ける内外に連通する間隙Gの大きさや長さが辺部金型片5及び角部金型片8とは異なる別の第1金型片Aを、基体4に取り付けることができる。例えば図10の斜視図、及び図12の分解斜視図のように、第1金型片Aである辺部金型片6及び角部金型片9を、基体4に対して皿ねじ16で固定する。
【0036】
すなわち、辺部金型片6は、皿穴6A及び通し穴6Bに皿ねじ16を通し、皿ねじ16を基体4のねじ穴4Aにねじ込むことで基体4に固定する。角部金型片9は、皿穴9A及び通し穴9Bに皿ねじ16を通し、皿ねじ16を基体4のねじ穴4Aにねじ込むことで基体4に固定する。
【0037】
<ビーズ法発泡性合成樹脂成形>
図11の断面図に示すように、蓋体成形用金型1を閉じた状態で、ビーズ法発泡性合成樹脂成形により蓋体12を製造する。すなわち、凸型2及び凹型3により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して発泡性合成樹脂の成形品である蓋体12を得る。
【0038】
<発泡容器>
図13Aの斜視図、及び図13Bの分解斜視図に示すように、発泡容器11は、蓋体12及び本体13からなり、蓋体12の嵌合部12Aと本体13の嵌合部13Aとが嵌合する。
【0039】
発泡容器11には、蓋体12の嵌合部12Aと本体13の嵌合部13Aとが嵌合した図13Aに示す状態で、図10に示す凸型2の第1金型片A(辺部金型片6、角部金型片9)により、図15に示す内外に連通する間隙Gが設けられる。また、図13A及び図13Bに示す蓋体12の側面には、図5及び図10に示す凹型3の凸部F1,F2により、凹部14,15が形成される。
【0040】
<発泡容器に内外に連通する間隙を設ける、蓋体の溝部>
図14に示す図13Bの矢視X7-X7断面の要部拡大斜視図のように、蓋体12の長辺部E2及び短辺部D2には、溝部J1、J2、J3がある。それにより、図15に示す図13Aの矢視X6-X6断面図のように、本体13に蓋体12を装着した状態で、発泡容器11には、内外に連通する間隙Gが設けられる。図15の間隙Gは、図8(a)及び(b)の間隙Gよりも小さい。
【0041】
同様に、図16に示す図13Bの矢視R2-R2断面の斜視図のように、蓋体12の角部C2にある溝部K1、K2、K3により、本体13に蓋体12を装着した状態で、発泡容器11には、内外に連通する間隙Gが設けられる。図16の溝部K1、K2、K3により設けられる前記間隙Gは、図7の溝部H1及びH2、並びに二箇所の溝部H3及びH4により設けられる前記間隙Gよりも小さい。
【0042】
<第1金型片の種類>
基体4に対して着脱可能な第1金型片Aとして、辺部金型片5及び角部金型片8と、辺部金型片6及び角部金型片9の二組だけでなく、発泡容器11に設ける内外に連通する間隙Gの大きさや長さが異なる三組以上の形状のものを備えてもよい。また、基体4に対して辺部金型片5と角部金型片9を取り付けてもよく、基体4に対して辺部金型片6と角部金型片8を取り付けてもよい。
【0043】
<凸型の第1金型片を第2金型片に置換>
前記のとおり、凸型2の第1金型片Aは基体4に対して着脱可能であるので、皿ねじ16を緩めて第1金型片Aを取り外す。次に、図17の斜視図、及び図18の分解斜視図に示すように、第2金型片Bである辺部金型片7及び角部金型片10を、基体4に対して皿ねじ16で取り付ける。
【0044】
すなわち、辺部金型片7は、皿穴7A及び通し穴7Bに皿ねじ16を通し、皿ねじ16を基体4のねじ穴4Aにねじ込むことで基体4に固定する。角部金型片10は、皿穴10A及び通し穴10Bに皿ねじ16を通し、皿ねじ16を基体4のねじ穴4Aにねじ込むことで基体4に固定する。
【0045】
図17のように基体4に第2金型片Bを装着した凸型2は、内外に連通する間隙がない発泡容器における一般的な形状の蓋体を成形する凸型と略同じ形状である。すなわち、第2金型片Bは、発泡容器11の内外に連通する間隙を設けない蓋体12を成形する形状を有する。
【0046】
<凹型>
図17の凹型3は、図1図5及び図10の凹型3における凸部F1,F2をなくしたものである。図17の凹型に替えて凸部F1,F2がある凹型を用いてもよい。
【0047】
<ビーズ法発泡性合成樹脂成形>
図17の蓋体成形用金型1を用いてビーズ法発泡性合成樹脂成形を行うと、図19Aの斜視図、及び図19Bの分解斜視図に示す蓋体12が成形される。
【0048】
<発泡容器>
図19Aの斜視図、及び図19Bの分解斜視図に示すように、発泡容器11は、蓋体12及び本体13からなり、蓋体12の嵌合部12Aと本体13の嵌合部13Aとが嵌合する。図19Bの分解斜視図の状態から蓋体12の嵌合部12Aを本体13の嵌合部13Aに嵌合させた図19Aの斜視図の発泡容器11は、内外に連通する間隙がない。
【0049】
<第1金型片及び第1金型片の組合せ>
基体4に対して第1金型片A及び第2金型片Bのどちらかを取り付けるのではなく、例えば、辺部金型片を第1金型片Aとし、角部金型片を第2金型片Bとしてもよく、辺部金型片を第2金型片Bとし、角部金型片を第1金型片Aとしてもよい。
【0050】
<作用効果>
本発明の実施の形態に係る蓋体成形用金型1によれば、凸型2が、例えば、基体4と、基体4に対して着脱可能な第1金型片Aからなる。第1金型片Aとして、発泡容器11に設ける間隙Gの大きさや長さが異なる複数の形状のものを備えている。
【0051】
前記複数の形状のものから選択した第1金型片A(例えば、辺部金型片5及び角部金型片8)を基体4に取り付けた凸型2を用いて成形した蓋体12を本体13に装着した発泡容器11(例えば、図6Aの発泡容器11)における内外に連通する間隙Gと、前記複数の形状のものから選択した別の形状の第1金型片A(例えば、辺部金型片6及び角部金型片9)を基体4に取り付けた凸型2を用いて成形した蓋体12を本体13に装着した発泡容器11(例えば、図13Aの発泡容器11)における内外に連通する間隙Gとは大きさや長さが異なる。
【0052】
このように形状の異なる第1金型片Aを基体4に付け替えた凸型2で蓋体12を成形するだけで、発泡容器11の内外に連通する間隙Gの大きさや長さを容易に変更できる。それにより、真空予冷や異臭発生防止等のための通気用として、要求仕様に合わせた大きさや長さの間隙Gを発泡容器11に容易に設けることができる。したがって、発泡容器の11の内外に連通する所定の大きさや長さの間隙Gを設けることができる蓋体12を、製造コストが増大することなく効率的に成形できる。
【0053】
また、例えば図6A及び図13Aのような平面視矩形状の発泡容器11において、平面視矩形状の蓋体12の二組の対辺、及び/又は前記蓋体12の二組の対角に、内外に連通する間隙Gを形成することにより、真空予冷や異臭発生防止のための通気をバランス良く効率的に行うことができる。
【0054】
さらに、図1図5図10の凹型3のように、凸型2の第1金型片Aの外方に位置する内面に、凸部F1,F2を有し、それにより図6A及び図13Aのように蓋体12の側面に凹部14,15を形成すると、平面視矩形状の発泡容器11を互いに密接させても通気の阻害が生ずることがなく、凹部14,15から通気できるので、密に積載することが可能となり輸送効率が向上する。
【0055】
さらにまた、凸型2が、第1金型片Aと置換可能な、発泡容器11の内外に連通する間隙Gを設けない形状の第2金型片Bをさらに備えることにより、基体4に取り付けてある第1金型片Aを第2金型片Bに置き換えた、例えば図17に示す凸型2を用いてビーズ法発泡性合成樹脂成形を行うことにより、内外に連通する間隙Gがない図19Aの通常の発泡容器11に用いる蓋体12を製造できる。
【0056】
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 蓋体成形用金型
2 凸型
3 凹型
4 基体
4A ねじ穴
5,6,7 辺部金型片
5A,6A,7A 皿穴
5B,6B,7B 通し穴
8,9,10 角部金型片
8A,9A,10A 皿穴
8B,9B,10B 通し穴
11 発泡容器
12 蓋体
12A 嵌合部
13 本体
13A 嵌合部
14,15 凹部
16 皿ねじ
A 第1金型片
B 第2金型片
C1,C2 角部
D1,D2 短辺部
E1,E2 長辺部
F1,F2 凸部
G 内外に連通する間隙
H1~H4、I1~I4、J1~J3、K1~K3 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B