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  • 特開-木質系撥水ペレットの製造方法 図1
  • 特開-木質系撥水ペレットの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178849
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】木質系撥水ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20221125BHJP
   B27L 11/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C10L5/44
B27L11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085940
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】521080521
【氏名又は名称】細川 豪邦
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】細川 豪邦
【テーマコード(参考)】
2B241
4H015
【Fターム(参考)】
2B241DA12
2B241DA13
2B241DB05
2B241DB30
4H015AA13
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA06
4H015BA07
4H015BA09
4H015BA13
4H015BB02
4H015BB03
4H015BB04
4H015BB05
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】単位重量当たりの燃焼発熱量の向上を図ることは無論のこと、愛玩動物用のトイレ敷床材としても有用な木質系撥水ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】予熱されたホワイトペレット1を加熱用アルミ製鍋6に投入して攪拌しながら加熱を続け(ステップS3)、ガスの発生が激しくなった時点で加熱を止め、乾燥・焙煎工程を終了する(ステップS4)。焙煎工程(ステップS4)終了後すぐにステンレス製ザル8に移し換え、予め沸騰した熱湯を入れた冷却用アルミ製鍋9に焙煎したホワイトペレット1を瞬時に沈降させて冷却し、数秒間漬浸して引き上げる(ステップS6)。引き上げたホワイトペレット1はその残熱によって自然乾燥しながら表面に付着した水分が乾燥・冷却される(ステップS7)。こうして本発明の成果物である撥水ペレット10を得た。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット状の木質原料を焙煎してなることを特徴とする木質系撥水ペレットの製造方法。
【請求項2】
ペレット状の木質原料を予熱する工程、予熱した木質原料を焙煎処理する工程、焙煎処理した木質原料を熱湯に浸漬して瞬間冷却する工程、瞬間冷却した木質原料を自然冷却する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の木質系撥水ペレットの製造方法。
【請求項3】
木質原料が、樹皮、端材、間伐材、剪定材、鋸屑、建築廃材、梱包廃材、パレット廃材、籾殻及び竹類から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の木質系撥水ペレットの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を原料とする木質ペレット、とくに、撥水性・疎水性・脱臭性を備えた撥水ペレットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質ペレットは、主として燃料とする目的で製造されている。一般的には、乾燥した木材を細粉し、直径6mm~8mm、長さ10mm~25mm程度に圧縮成形した固形燃料であり、他のバイオマス資源を利用した燃料に比べて取り扱いが簡便であり、長距離輸送にも適している。また、加熱処理され含水量も少ないため、長期間の貯蔵も可能である。
【0003】
近年、地球温暖化を阻止するべく、世界的に大気中への二酸化炭素の排出量の抑制削減を図るため、再生可能エネルギー源となるバイオマス資源を利用した燃料が種々研究開発されている。そのバイオマス燃料の中でも、とくに、従来は単に焼却処分されていた産業廃棄物である間伐材等を原料とする木質燃料は石油や石炭等の化石燃料の代替燃料として注目が集まり、単位重量あたりの発熱量の向上に対する改良に期待が高じている。
【0004】
代替化石燃料として、とくに注目されているのは、ホワイトペレット(樹皮を除いた木材のみを原料とするもの)とバークペレット(樹皮のみを原料とするもの;例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)と全木ペレットである。こうした木質ペレットは、間伐材や製材工程で発生する樹皮、鋸屑、端材の粉砕物を圧縮加工して粒状に成形したものである。木材の成分であるリグニンを熱で融解し固着させることでペレット状に形成される(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
しかしながら、これら木質ペレットは、化石燃料と比較すると下記のような問題点を擁している。
(1)単位重量当たりの燃焼発熱量が低い。
(2)製造工程が複雑であるためコストが嵩む。
(3)水に接触すると膨張して形状が崩れるため、石炭のような屋外での保管が困難である。
【0006】
そこで、例えば、木質ペレット用のオガ粉と粉炭用のオガ粉、すなわち木炭を含有させて発熱量の向上を図る方法(特許文献4参照。)。パーム油等の植物油脂や、牛脂、豚脂由来の脂肪酸又はそのエステルを含有させてコーティングして耐水性を向上させたもの(特許文献5参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-266546号公報
【特許文献2】特開2008-297532号公報
【特許文献3】特開2007-40542号公報
【特許文献4】特開2008-303305号公報
【特許文献5】特開2008-7711号公報
【0008】
しかし、水分を吸収して形状が崩れて粉状になる性状があるため、屋根壁を備えた倉庫での保管が必要であり、石炭のように屋外保管可能な燃料に席巻され、燃料としての木質ペレットは主にペレットストーブ等の一般家庭用として用途が限られ、ごく一部は愛玩動物のトイレ用敷床材としても需要があり市販されている。
【0009】
木質ペレットは、上述したように、愛玩動物用のトイレ用敷床材にも適している。とくに、近年では高齢者施設や世帯においてバイオセラピー(癒し)の効果を求めて屋内飼育される犬や猫が増加しており、そのトイレ用トレーに敷き詰めて、し尿処理する用途で、し尿の飛散防止、高い撥水性・疎水性、消臭性といった機能を持ち、かつ安全で安価なものが要望されている。このため、木質ペレットにも高い撥水性・疎水性といった機能の改良が求められている。
【0010】
現在、愛玩動物用のトイレ敷床材として使用されているものは大別して下記タイプに分類され、その種別ごとにそれぞれ特徴・長所及び短所を有する。
(1)ゼオライト・シリカゲル・砂等を原料として粒状に加工し、消臭剤・香料を浸透させたタイプ。
長所:し尿の水分を吸収するので、トイレの底部に敷いた吸収シートに尿が達する量を削減し、吸収シートの消費を抑えることができる。また、消臭効果が高いので、その効果が持続する間は屋内に設置しても問題はない。
短所:し尿が付着・吸着した部分の除去と除去した部分への敷床材の補充作業が日課となる。この清掃作業を怠ると、消臭効果限度を過ぎて臭気が屋内に充満する。また、トイレ用トレーの設置個所近辺が非衛生的環境になる。さらに、一般廃棄物処理上、燃えないゴミとして処分する必要があることと、処分の際にゴミ集積場所に持ち込む際に処理物が水分を吸っているため重量があり、運搬者が高齢者の場合にはかなりの労力負担となる。また、原料が高価で製造工程も複雑であるためコストが嵩む。
(2)天然の針葉樹を粉砕しペレット状に加工して撥水剤・抗菌剤・香料を浸透させたタイプ。
長所:水分である尿を吸収しないので、糞(固形物)を除去するだけで良く、消臭効果が薄まるまで使用でき、月一回程度の取り替えで済む。廃棄物処理上は燃えるゴミで処分できる。処分の際にゴミ集積場所に持ち込む際に処理物が水分を吸っていないため軽量で、運搬労力の負担は軽減される。
短所:製造工程が複雑で高価である。また、化学合成した撥水剤を使用するため、動物及び人への安全性に対する不安が残る。
(3)通常は燃料として市販されているホワイトペレット・全木ペレット。
長所:し尿の水分を吸収するので、トイレの底部に敷いた吸収シートに尿が達する量を削減し、吸収シートの消費を抑えることができる。燃えるゴミで処分できる。安価である。
短所:し尿が付着・吸着した部分の除去と除去した部分への敷床材の補充作業が日課となる。この清掃作業を怠ると、消臭効果限度を過ぎて臭気が屋内に充満する。また、トイレ用トレーの設置個所近辺が非衛生的環境になる。さらに、処分の際にゴミ集積場所に持ち込む際に処理物が水分を吸っているため重量があり、運搬者が高齢者の場合にはかなりの労力負担となる。
(4)パルプを粉砕したものと砂を混合してペレット状に加工し、防臭剤・天然香料を浸透させたタイプ。
長所:し尿の水分を吸収するので、トイレの底部に敷いた吸収シートに尿が達する量を削減し、吸収シートの消費を抑えることができる。また、消臭効果が高い。
短所:し尿が付着・吸着した部分の除去と除去した部分への敷床材の補充作業が日課となる。さらに、一般廃棄物処理上、燃えないゴミとして処分する必要があることと、処分の際にゴミ集積場所に持ち込む際に処理物が水分を吸っているため重量があり、運搬者が高齢者の場合にはかなりの労力負担となる。また、原料が高価で製造工程も複雑であるためコストが嵩む。また、化学合成した撥水剤を使用するため、動物及び人への安全性に対する不安が残る。
【0011】
以上のように、現在市販されている愛玩動物用のトイレ敷床材は、各々が長所と短所を有しているが、各製品の長所のみを有する製品を開発すること、すなわち、経済的な製造工程で、かつ化学合成物質である撥水剤を使用することなく、耐水性・撥水性・脱臭性に優れたトイレ敷床材の開発が嘱望される。同時に、木質ペレットの本来の使用目的である燃料としても耐水性・撥水性に加えて単位重量当たりの高い発熱量(燃焼カロリー)を備えたものが嘱望される。
【0012】
上記した問題を解決するために、本発明者は、化学合成撥水剤を使用することなく、水分の吸収を抑制する木質ペレットを簡易な方法で効率的に製造するための技術開発と、同時に木質ペレットに高燃焼カロリー原料等を含浸させることなく、単位重量当たりの燃焼カロリーを簡易な方法で効率的に製造できる方法の開発を行った。
【0013】
また、本発明者は、例えば、焙煎したコーヒー豆は着火するとかなり強く燃焼すること、粉砕して熱水中に漬け込まないと水分を吸収しないという性状に着目し、鋭意研究の結果、本発明をするに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記のような従来技術の課題に鑑み、簡便且つ低コストで、単位重量当たりの燃焼発熱量の向上を図ることは無論のこと、愛玩動物用のトイレ敷床材としても有用な木質系撥水ペレットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで本発明の木質系撥水ペレットの製造方法は、ペレット状の木質原料を焙煎してなることを第1の特徴とする。また、ペレット状の木質原料を予熱する工程、予熱した木質原料を焙煎処理する工程、焙煎処理した木質原料を熱湯に浸漬して瞬間冷却する工程、瞬間冷却した木質原料を自然冷却する工程を含むことを第2の特徴とする。尚、木質原料は、樹皮、端材、間伐材、剪定材、鋸屑、建築廃材、梱包材廃材、パレット廃材、籾殻及び竹類から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、下記の優れた効果がある。
(1)水分を吸収しないため保形性が良好で、泥状に崩れることがないため、愛玩動物用のトイレ用敷床材として使用した場合、日課としては、その排泄物(し尿)の処理において糞(固形物)の除去を行う清掃作業のみを行えばよく、除去した敷床材の補充作業は要しない。
(2)水分を吸収しないため、製品を保管する屋根・壁を備えた倉庫を構える必要がなく、屋外保管が可能となるため、工場での保管、出荷時の積込作業が簡便かつ楽になる。
(3)簡易な方法で製造することができ、製造設備に要するコストを抑え経済的である。
(4)木質であり、内部が半炭化した多孔性状を呈し、指定臭気の高い吸着効果があり、し尿の悪臭を抑制できる。このため、化学合成消臭剤の使用することなく、動物や人に対する安全性を確保できる。
(5)使用後の製品を廃棄処理する際に、含水していないので軽量で、ゴミ集積場まで運搬する者、とくに高齢者や女性の労力を軽減できる。
(6)製品価格が安価に設定でき低所得世帯や高齢者世帯の購入負担を軽減することができる。
(7)高い耐水性・撥水性・燃焼カロリーを呈するため、本来の石炭の代替燃料としての販売市場拡大に加え、愛玩動物用のトイレ敷床材としても販売市場の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1】本発明に係る木質系撥水ペレットの製造工程を示すフローチャートである。
図2】本発明に係る木質系撥水ペレットの製造装置構成の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
本発明に係る木質系撥水ペレットの製造方法を図1にしたがって説明する。木質原料としては、市販の木材のみを原料とするホワイトペレット1(都農ペレット製 商品名:ドラゴンペレット)を使用した。一般的な木質ペレットは製造工程での圧縮と温度上昇によるリグニン分解で結着して粒状に形成されるが、焙煎処理を付加することにより、ペレット原料は過乾燥で撥水性効果が現れること、高温加熱によりペレット表面及び内部での撥水性成分の合成やリグニン成分のさらなる分解で決着力が増加し、撥水性・疎水性・水中保形性が格段に向上することが期待された。その指標として6時間以上の水中保形性の確保を目標とした。
【0019】
先ず、プラスチック製密閉容器2に入れたホワイトペレット1を卓上式計量器3で200g計量して電子レンジ5を使用して600Wで1分間加熱してホワイトペレット1の温度を75℃近くまで上げて予熱した(ステップS1)。これは通常のペレット燃料を製造する工程でディスク回転圧縮押出式ディスクペレッタから排出されるときのペレットの温度である70℃~100℃を再現するためである。加熱用アルミ製鍋6をガスコンロ7で加熱し、鍋底の温度が非接触型温度計で計測して250℃~310℃の範囲になるよう火力を調整した。ホワイトペレット1の加工前の水分を計測するために卓上式グラインダーで粉砕して近赤外線水分計4で予め計量した。
【0020】
ステップS1で予熱されたホワイトペレット1を加熱されたアルミ製鍋6に投入して攪拌しながら加熱を続けると(ステップS3)、先ずホワイトペレット1に含まれる水分が蒸発する。一旦、鍋底の温度は200℃程度まで下がるが、温度域が250℃~280℃になるようにガスコンロ7の火力を調整しながら、蒸発する水分の泡の状況を確認した。投入当初は勢いよく蒸発湯気が発生するが、5分程度過ぎた頃から原料温度が150℃を超え、揮発性ガスの発生が始まる。徐々に原料の色が褐色を帯び始め、原料の温度が270℃になった時点でガスの発生が激しくなるので、そこでガスコンロ7の加熱を止め、乾燥・焙煎工程を終了した(ステップS4)。
【0021】
過乾燥と高温状態になっている焙煎したホワイトペレット1は、焙煎工程(ステップS4)終了後すぐにステンレス製ザル8に移し換えて計量器3と水分計4で重量と含水量を計測し(ステップS5)、空気との接触で自然発火することを防止するため、移したザル8を、予め沸騰した熱湯を入れた別の冷却用アルミ製鍋9に焙煎したホワイトペレット1がすべて浸かるように瞬時に沈降させて冷却し、品温が160℃以下になるまで数秒間漬浸して引き上げる(ステップS6)。熱湯から取り出した焙煎後のホワイトペレット1はその残熱によって自然乾燥しながら表面に付着した水分が乾燥・冷却される(ステップS7)。こうして本発明の成果物である撥水ペレット10が得られた。
【0022】
得られた撥水ペレット10を紙コップに移して、その重量を卓上式計測器で計量した。重量は、当初の200gが焙煎処理後は153gになっていた。水分の蒸発と揮発性物質が除去されたことによる重量減少である。また、得られた撥水ペレット7の水分を計測するために、卓上式グラインダーで粉砕し、近赤外線水分計で計測した。処理前のホワイトペレット1の含水率は7.4%であり、焙煎処理後は0.2%に下がっていた。熱湯により冷却した際の含水率は6.4%と増加していたが、重量は156gとなっていたことから水分の吸収はほとんどなかったことが分かった。その後、撥水ペレット10を紙コップの水中に10粒程度投入し、水中保形試験を行った。その結果、10日間程度漬け込んでも水がわずかに変色する程度でペレット形状にまったく変化は見られなかった。
【0023】
[焙煎実験結果]
以上、実験の結果、以下の事実が明らかになった。
(1)ホワイトペレットを乾燥させ揮発性ガスを発生させながら原料温度が270℃になるまで焙煎処理した木質ペレットは1週間以上水中に漬け込んでも形状の変化は見られず、撥水性・疎水性に優れており、別途撥水剤を使用しなくてもよい。
(2)発熱量(燃焼カロリー)は、4200kcal/kgから5170kcal/kgにアップした。これは原料に含まれる水分が除去されたことに加え、揮発性ガスの発生で不燃性物質が除去され炭素率が上昇した結果である。これにより、同一燃焼熱量を得るための燃料保管場所の省スペース化を図ることができる。
(3)撥水性・疎水性に優れるため、屋外保管が可能で、トンバック(フレコンバック)に詰め込んで屋内保管するための巨大な倉庫が不要となること、さらに、現在の石炭の保管状況と同様に野積することが可能になること。
(4)製品自体の悪臭はほとんどなく、炭化成分に臭気除去効果があることが確認された。
(5)焙煎直後の自然発火を防止するために、高温原料を瞬間的に熱湯に漬けて冷却しても、原料の持つ高熱や内部の過乾燥状態で水分が内部に浸透することを阻み、製品の含水率は上昇しないことが分かった。すなわち、「木質ペレットの水浸冷却」が可能であり、水中保形性も十分に確保できることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0024】
[実用化するための装置]
図2に示すように、通常、木質ペレットを加工する装置構成は、ディスク回転圧縮押出式のディスクペレッタ10で加工する。加工後のペレットは、摩擦熱で70℃以上の高温になっている。この状態で製品バンカー12に保管すると、蒸発した水分が凝縮し、製品バンカー12内部にカビを発生させる悪影響を及ぼすため、カウンタークーラー11で冷却して製品バンカー12に搬送保管している。
【0025】
本発明では、上記の既存の装置構成中に連続式焙煎機若しくは連続式オーブン(過熱蒸気式を含む)13、連続式熱湯瞬間浸漬冷却機14を追加することで、撥水性・疎水性・脱臭性を備えた撥水ペレットを得ることができる。
【0026】
また、既存の装置の装置構成中に連続式焙煎機若しくは連続式オーブン(過熱蒸気式を含む)、振動式分離機15を設置するスペースが確保できず、木質ペレットを製造し、一時的に製品バンカー12(貯留ホッパ)に保管した場合でも製品バンカー12(貯留ホッパ)下部からディスチャージとペレット搬送コンベアーを使用して排出・搬送して連続式焙煎機若しくは連続式オーブン(過熱蒸気式を含む)、連続式熱湯瞬間浸漬冷却機14、カウンタークーラー11を追加することで撥水性・疎水性を備えた撥水ペレットを得ることができる。また、新規の防水性ペレット加工用の装置・工場を構成することで撥水性・疎水性・脱臭性を備えた撥水ペレットを得ることができる。
【0027】
少量の木質ペレットを焙煎処理する時には、加工処理する原料の量に応じたサイズの手動式の焙煎器若しくはオーブン(過熱蒸気式を含む)、水冷器を準備してバッチ式で加工することも可能である。尚、木質原料は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求範囲の要旨を逸脱しない限りであれば樹皮、端材、間伐材、剪定材、鋸屑、建築廃材、梱包材廃材、パレット廃材、籾殻及び竹類から選択される少なくとも一種であればよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ホワイトペレット(木質原料)
2 プラスチック製密閉容器
3 計量器
4 水分計
5 電子レンジ
6 加熱用アルミ製鍋
7 ガスコンロ
8 ステンレス製ザル
9 冷却用アルミ製鍋
10撥水ペレット
11カウンタークーラー
12製品バンカー
13連続式焙煎機(連続式オーブン)
14連続式熱湯瞬間浸漬冷却機
15振動式分離機

図1
図2