(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017885
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】携帯用清浄空気供給装置及び携帯用感染防止ユニット
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A62B18/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120715
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】394002936
【氏名又は名称】ヨコオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】横尾 栄一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA02
2E185CA03
2E185CB07
2E185CB09
2E185CC16
(57)【要約】
【課題】フェイスシールド内部に清浄な空気を供給するものとして様々な状況に適用可能としながら、低コストで優れた感染防止機能を発揮できるようにする。
【解決手段】本体ケース10内にモータ7とファン8からなる電動ファンとバッテリ5,5を備え、首掛け紐60により使用者の顎の下方で胸の前面側に吊り下げられた状態にて使用され、電動ファンで送気することで装着したフェイスシールドの内側空間を陽圧に維持する携帯用の清浄空気供給装置1であって、本体ケース10の吸気口12には本体ケース10内に導入する外気を濾過して清浄化するためのフィルタ40が配設され、本体ケース10上部側に配置された送気口16が、フェイスシールド下端側でその内側空間が開放している部分に向かうように上向きに開口しており、清浄化した空気をフェイスシールドの内側空間に下側から連続的に供給することを特徴とするものとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に電動ファンとバッテリを備え、所定の首掛け具により使用者の顎の下方で胸の前面側に吊り下げられた状態にて使用され、前記電動ファンで送気することで装着したフェイスシールドの内側空間を陽圧に維持する携帯用の清浄空気供給装置であって、前記本体ケースの吸気口には前記本体ケース内に導入する外気を濾過して清浄化するためのフィルタが配設され、前記本体ケース上部側に配置された送気口は、前記フェイスシールド下端側で前記内側空間が開放している部分に向かうように上向きに開口しており、清浄化した空気を前記内側空間に下側から連続的に供給する、ことを特徴とする携帯用清浄空気供給装置。
【請求項2】
前記本体ケースの裏面側には、使用状態でその上端側を前方に傾けた位置で支持させるための脚が、先端側を開閉可能かつ開位置で固定可能な状態で設けられており、上向きの前記送気口を前方側に傾けながら支持可能なものとして、送気方向を斜め上方に向かう角度に調整可能とされている、ことを特徴した請求項1に記載した携帯用清浄空気供給装置。
【請求項3】
前記送気口には上向きの延長ノズルが着脱自在な状態で接続されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載した携帯用清浄空気供給装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載した携帯用清浄空気供給装置と前記フェイスシールドを組合せてなる携帯用感染防止ユニットであって、前記フェイスシールドは、使用者の左右側頭部から後頭部を総て覆う覆い布がその左右両端側をシールドの左右両端側に各々接続されて使用者の頭部外周面を総て覆う筒状体を形成してなるものであり、前記携帯用清浄空気供給装置で清浄化した空気を前記シールド内に供給することで、前記シールド及び前記覆い布による筒状体の内周面と前記頭部外周面との間に形成された環状の空間が陽圧になる、ことを特徴とする携帯用感染防止ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用の清浄空気供給装置及び携帯用の感染防止ユニットに関し、殊に、感染防止目的で使用しているフェイスシールドの内側空間にフィルタで濾過した清浄な空気を連続的に供給する携帯用清浄空気供給装置及びその携帯用清浄空気供給装置とフェイスシールドを組合せた携帯用感染防止ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型のインフルエンザウイルスやコロナウイルス等による感染症の流行が社会的な問題となっているが、感染を防御したり病原体が広く拡散するのを防止したりする目的で、従来から使用されているマスクの使用とともに、或いはマスクの使用に代えて、使用者の顔面前方を透明な樹脂カバーで覆うフェイスシールドが多用されるようになった。
【0003】
このフェイスシールドで顔面の前方ほぼ総てを覆うことにより、目の粘膜や鼻・口を介した飛沫感染等の機会を低減できるとともに、マスクを使用していなくても使用者の口から出た微細な唾液等による飛沫が広範囲に拡散することを軽減することができる。そのため、感染機会の多い医療従事者が使用することに加え、ライブハウスやスポーツ観戦等、観客が密になって歓声を発しやすい状況での使用にも推奨されている。
【0004】
しかしながら、このようなフェイスシールドを装着すると、シールドの内側空間に使用者の呼気が滞留しやすくなるため、身体の動きを伴う活動等で息苦しさを感じたりシールド内面が曇ったりするという問題がある。また、気温の高い時期には、シールド内部の温度が極度に上がりやすくなるため、熱中症を引き起こす原因になる可能性も指摘されている。
【0005】
このような問題に対し、最近ではサンバイザー型フェイスシールドのバイザー部分に電動ファンを配置して、外部の空気をシールド内部に強制的に導入する方式が提案されており、シールド内部の暑さや蒸れを軽減可能としている。また、特開2007-275190号公報には、フェイスシールドと頭に被るフード部を組合せるとともに送気ユニットとフィルタを付設して、フィルタで濾過した清浄な空気を送気ユニットでフードの内側空間に供給しながら、フード内を陽圧に保つ方式も提案されており、内外の圧力差により外部の汚染された空気がフード内に侵入するのを防止可能としている。
【0006】
ところが、上述したサンバイザー型のものは、コンパクトで携帯性に優れているものの、電動ファンにフィルタが付設されていないため、大気中に拡散している病原体をフェイスシールド内に多量に導入してしまう畏れがある。また、バイザー部分に電動ファンが一体となった構造であることから、既存のフェイスシールドには適用できないことに加え使い捨てしにくいものであるため、長期間使用する場合はコスト高となりやすい。
【0007】
一方、上述したフード型のものは、外気をフィルタで濾過して清浄化した空気をシールド内部に供給できるが、フード部と送気ユニット及び電動ファンが一体となっており、シールドやフードの分離とその使い捨てが困難であることから、前述のバイザー式のものと同様に既存のフェイスシールドに適用できないことに加え、携帯に不便で高コストになりやすいため、特殊な状況における使用に限定されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、フェイスシールド内部に清浄な空気を供給するものとして様々な状況に適用可能としながら、低コストで優れた感染防止機能を発揮できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、本体ケース内に電動ファンとバッテリを備え、所定の首掛け具により使用者の顎の下方で胸の前面側に吊り下げられた状態にて使用され、電動ファンで送気することで装着したフェイスシールドの内側空間を陽圧に維持する携帯用の清浄空気供給装置であって、その本体ケースの吸気口には本体ケース内に導入する外気を濾過して清浄化するためのフィルタが配設され、本体ケース上部側に配置された送気口は、フェイスシールド下端側で前記内側空間が開放している部分に向かうように上向きに開口しており、清浄化した空気を前記内側空間に下側から連続的に供給する、ことを特徴とする携帯用清浄空気供給装置とした。
【0011】
このように、フェイスシールドの内側空間に空気を供給して陽圧に維持するための装置を、フェイスシールドとは別体の首掛け式にして携帯性に優れたものとしたことで、既存のフェイスシールドに容易に適用可能としながら様々な状況に対応して使用できるものとなり、且つ、フィルタで濾過した清浄な空気をシールド内に供給する方式としたことで、病原体を含む外気がシールド内に侵入するのを大幅に低減できるため、低コストで優れた感染防止機能を発揮するできるものとなる。
【0012】
また、この携帯用清浄空気供給装置において、その本体ケースの裏面側には、使用状態でその上端側を前方に傾けた位置で支持させるための脚が、先端側を開閉可能かつ開位置で固定可能な状態で設けられており、上向きの送気口を前方側に傾けながら支持可能なものとして、送気方向を斜め上方に向かう角度に調整可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、供給する空気が使用者の顎の下面に当たるのを回避又は軽減しながらシールド内の奥側まで到達しやすい状態を確保することができる。
【0013】
さらに、上述した携帯用清浄空気供給装置において、その送気口には上向きの延長ノズルが着脱自在な状態で接続されている、ことを特徴としたものとすれば、携帯用清浄空気供給装置を装着した後で延長ノズルを接続することにより、使用者への装置の装着性を低下させることなく、シールド内に清浄な空気を効率的に供給しやすいものとなる。
【0014】
さらにまた、上述した携帯用清浄空気供給装置とフェイスシールドを組合せてなる携帯用感染防止ユニットであって、そのフェイスシールドは、使用者の左右側頭部から後頭部を総て覆う覆い布がその左右両端側をシールド左右両端側に各々接続されて使用者の頭部外周面を総て覆う筒状体を形成してなるものであり、前記携帯用清浄空気供給装置で清浄化した空気をシールド内に供給することで、シールド及び覆い布による筒状体の内周面と前記頭部外周面との間に形成された環状の空間が陽圧になる、ことを特徴としたものとすれば、使用者の顔面だけでなくその両側頭部と後頭部についても、汚染された外気が触れにくい状態を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
空気供給装置をフェイスシールドとは別体の首掛け式としてフィルタで清浄化した空気を供給する方式とした本発明によると、フェイスシールド内部に清浄な空気を供給するものとして様々な状況に適用可能としながら、低コストで優れた感染防止機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は本発明の実施の形態である携帯用清浄空気供給装置の平面図、(B)は(A)の側面図である。
【
図2】
図1(A)の携帯用清浄空気供給装置でフィルタを固定する外枠とフィルタを外した状態を示す平面図である。
【
図3】
図1の携帯用清浄空気供給装置とフェイスシールドを組合せた携帯用感染防止ユニットにして使用者に適用した状態を示す側面図である。
【
図4】
図1の携帯用清浄空気供給装置とフェイスシールドを組合せた携帯用感染防止ユニットにして使用者に適用した他の状態を示す側面図である。
【
図5】(A)は、
図1(A)の携帯用清浄空気供給装置に延長ノズルを接続した状態の平面図、(B)は(A)の側面図、(C)は(A)の延長ノズルとそれに接続する2種類の延長ノズルを示す平面図である。
【
図6】
図3の携帯用清浄空気供給装置に、
図5(A)の延長ノズルを接続した状態を示す側面図である。
【
図7】
図4の携帯用清浄空気供給装置に、
図5(A)、(C)の延長ノズルを接続した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0018】
図1(A)は、本実施の形態である携帯用清浄空気供給装置1を平面図で示し、図(B)はその側面図を示している。この携帯用清浄空気供給装置1はシールド内に清浄な空気を供給するための携帯式の装置であり、使用者が装着した図示しないフェイスシールドと組合せて使用されることで、一つの携帯用感染防止ユニットを構成するものである。
【0019】
本実施の形態の携帯用清浄空気供給装置1は、本体ケース10内にモータ7とその駆動軸に軸着されたファン8からなる電動ファンと、モータ7に電力を供給するバッテリ5,5を備え、首掛け紐60等により使用者の顎の下方で胸の前面側に吊り下げられた状態にて使用され、本体ケース10側面に配置した電源スイッチ13をONにすることでモータ7を駆動させて回転動作するファン8で送気することにより、フェイスシールドの内側空間を陽圧に維持させる携帯用の装置である。
【0020】
その本体ケース10上面(使用状態で前面)側に開口した吸気口12の上方において、
図1(B)に示すように空気の流通経路を確保するための空間100を下方に有しながら内枠11の開口部を覆うように配置された格子110の上面側には、本体ケース10内に導入する外気を濾過して清浄化するためのフィルタ40が配設されており、外枠12を内枠11外周部に嵌め込むことで長方形のフィルタ40の外縁側が挟み込まれた状態で固定されている。
【0021】
また、本体ケース10の左側面(使用状態で上面)に形成された送気口16は、フェイスシールドを装着した状態においてその下端側でシールドの内側空間が開放している部分に向かって上向きに開口する向きとされており、フィルタ40で濾過して清浄化した空気を、シールド内部に下側から連続的に供給するようになっている。
【0022】
このように、フェイスシールドの内側空間に空気を供給しながら陽圧状態を維持するための装置を、フェイスシールドとは別体にするとともに首掛け式にして携帯性を高めたことにより、様々な態様の既存のフェイスシールドに容易に適用することが可能となり、且つ、様々な状況に適用しながら使用できるものとなる。また、フィルタ40で濾過した清浄な空気をシールド内に供給する方式としたことで、病原体を含む汚染された外気がシールド内に侵入するのを大幅に低減できるため、低コストでも優れた感染防止機能を発揮可能なものとなる。
【0023】
さらに、本体ケース10の裏面側には、本実施の形態の携帯用清浄空気供給装置1を首掛け紐60等で首に掛けて使用する際に、その上端側を前方に傾斜した状態で支持させるための脚14が、先端側を開閉可能かつ開位置で固定可能な状態で設けられており、上向きの送気口16を前方側に所定角度傾けた状態で支持可能として、送気方向を斜め上向きの角度に調整できるようになっている。これにより、供給する空気が使用者の顎の下面に当たるのを回避又は軽減しながら、シールド内の奥側まで到達しやすい状態を確保することができる。
【0024】
図3は、上述した携帯用清浄空気供給装置1を、フェイスシールド2を装着した使用者に適用して組合せることで、一つの携帯用感染防止ユニットとした一例を示しており、この例で適用しているフェイスシールド2は、本実施の形態の携帯用清浄空気供給装置1の適用対象として、その機能を充分に発揮させる観点でベストモードと考えられる。
【0025】
即ち、そのフェイスシールド2は、使用者の頭部外周面のうち左右側頭部から後頭部を総て覆うためのメッシュ地等からなる覆い布22が、その左右両端側をシールド20左右両端側に面状ファスナ等で各々接続されたことで全体として筒状に形成されてなるものであり、携帯用清浄空気供給装置1のフィルタ40で清浄化した空気を、送気口16からシールド20内部に下側から供給することで、シールド20及び覆い布22による筒状体の内周面と使用者の頭部外周面との間に形成された環状の空間が、陽圧に維持される点を特徴としている。
【0026】
そのため、使用者の顔面だけでなく両側頭部と後頭部についても、汚染された外気が触れにくい状態を確保することができる。尚、このフェイスシールド2は、透明の樹脂板からなるシールド20を頭部外周に巻き付けたヘッドバンド21の前面側に取り付ける方式としているが、このヘッドバンド21を図示しない帽子の外周側に被せて装着すれば、頭頂部も含む総ての面をカバーすることができ、夏の炎天下であっても、頭頂部を保護しながら比較的涼しい状態を確保することができる。
【0027】
また、使用者の呼気は、シールド20の内周面に一端当たって下向きに方向転換し、口から噴出した塗抹はシールド20の内周面に付着するか下向きに方向転換されるため、使用者が感染者である場合に病原体が周囲に拡散するのを大きく低減できるが、下向きに放出されてシールド20の下方に存在している呼気と塗抹は、携帯用清浄空気供給装置1がフィルタ40を介して吸引することで、その一部が清浄化又は捕捉されるため、病原体拡散の低減効果が一層高められることになる。
【0028】
図4は、フェイスシールド3に携帯用清浄空気供給装置1を組合せた携帯用感染防止ユニットにおいて、携帯用清浄空気供給装置1の裏面側に設けた脚14を開いて本体ケース10の上端側を斜め前方に傾けた状態にて支持した例を示している。この場合、使用者が襟付きのシャツを着ている状況では、携帯用清浄空気供給装置1を首掛け紐60でそのまま吊り下げると、送気口16から送出された空気が襟に衝突して、シールド内に到達しにくくなってしまう。
【0029】
そこで、
図4に示したように、本体ケース10の裏面側に配設した脚14を上向きに開いた状態で固定することで、その使用時に本体ケース10が上端側を前方に傾けて支持されることから、送気口16から送出される空気流の方向が襟の前方側に角度調整されてシールド30の内周面側に向かうため、清浄な空気がフェイスシールド3の内側空間の奥まで供給されやすい状態を確保することができる。
【0030】
尚、使用者が襟のない服を着ている場合であっても、送出された空気が顎の下面に当たってシールド30内に供給されにくくなるケースもあるところ、この場合も脚14を開いて使用することで、上記同様の機能を発揮させることができる。また、首掛け紐60の両端側は、本体ケース10側面の上端部よりもやや下側の位置に接続するようにすれば、脚14の突出量に応じて傾きやすい状態にバランスをとることができる。
【0031】
図5(A)は、上述した帯用清浄空気供給装置1の送気口16に延長ノズル90を接続した状態の平面図であり、図(B)は図(A)の側面図であるが、左右幅の大きな長方形で上向きに開口した送気口16に対し、上向きの延長ノズル90を着脱自在に接続した状態となっている。即ち、送気口16からフェイスシールド下端側の内側空間開放部までの距離が長い場合は、送出された空気がシールド内に充分に供給されにくくなるため、接続した延長ノズル90のジェット作用により噴出速度を高めながら到達距離を延長させようとしたものである。
【0032】
また、本体ケース10に当初から延長ノズル90を固定した状態では、使用者がフェイスシールドを付けた状態で携帯用清浄空気供給装置1を装着しにくくなってしまうため、延長ノズル90の着脱操作を自在なものとしている。これにより、携帯用清浄空気供給装置1を装着した後で延長ノズル90を接続することにより、使用者への装置の装着性を低下させることなくシールド内に清浄な空気を効率的に供給しやすいものとすることができる。
【0033】
この延長ノズル90は、
図5(B)に示すように、携帯用清浄空気供給装置1を首掛け紐60等で吊り下げて使用者に装着した状態において、その先端側がやや前方に傾く形状となっており、
図6に示すように、使用者の顎の先端側を回避しながらシールド20の内周面に向かって空気を送出可能な状態を確保することができる。
【0034】
一方、
図5(C)は、接続した延長ノズル90に対し、さらに接続して延長するための2種類の延長ノズル91,92を示している。その延長ノズル91は、直線型でシールド内部のさらに奥側まで空気が届きやすくする機能を発揮するものであり、その延長ノズル92は、先端側が2又に分かれた分岐型で、
図7に示すようにその先端側が使用者の顎の先端を回避しながら、送出した空気流が鼻の左右側を通るため、シールド内部のさらに奥側まで届きやすいものとなっている。
【0035】
尚、本発明の携帯用清浄空気供給装置において使用するフィルタ40は、装着状態から外枠12を外すことで容易に交換できるものであるが、そのフィルタ性能としては、使用目的に応じたものを選んで使用すれば良く、例えば医療機関等で感染者を扱うような状況では、米国N-95規格に適合したマスクに使用されるような高機能の濾過材を使用することが推奨される。
【0036】
上述したように、本発明による携帯用清浄空気供給装置は、軽量かつコンパクトな装置であり、これとフェイスシールドを組合せた携帯用感染防止ユニットも同様であるため、いずれも携帯性に優れるとともに使用者が装着した状態で嵩張らないものであることから、電車・バス・飛行機等の乗物全般を利用する際に、優れた使用性と良好な感染防止機能を発揮することができる。また、スポーツ観戦やライブ鑑賞など、観客が密な状態で歓声を上げて熱気を帯びやすい状況において、その感染防止機能がさらに有効に発揮されるものである。
【0037】
以上、述べたように、フェイスシールドを使用する場面において、本発明により、シールド内に清浄な空気を供給可能としながら様々な状況に適用可能なものとして、低コストで優れた感染防止機能を発揮できるようになった。
【符号の説明】
【0038】
1 携帯用清浄空気供給装置、2,3 フェイスシールド、5 バッテリ、7 モータ、8 ファン、10 本体ケース、11 内枠、12 外枠、14 脚、16 送気口、20,30 シールド、22 覆い布、40 フィルタ、60 首掛け紐、90,91,92 延長ノズル、110 格子