IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178865
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20221125BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301W
H01L29/44 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085964
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104BB40
4M104CC05
4M104DD43
4M104EE02
4M104EE16
4M104FF07
4M104FF10
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH20
5F140AA23
5F140AA24
5F140AC21
5F140BA01
5F140BD01
5F140BD05
5F140BD11
5F140BD13
5F140BF04
5F140BF42
5F140BH18
5F140CC02
(57)【要約】
【課題】LDMOSFETを含む半導体装置の性能を向上する。
【解決手段】 半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1上に形成されたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12の上方に形成されたゲート電極16と、ゲート電極16と一体的に形成されたフィールドプレート部15と、フィールドプレート部15と接するステップ絶縁膜14と、ステップ絶縁膜14と接し、かつ、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜30と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上方に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極と一体的に形成されたフィールドプレート部と、
前記フィールドプレート部と接するステップ絶縁膜と、
前記ステップ絶縁膜と接し、かつ、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高誘電率膜は、前記ステップ絶縁膜の下方に位置する前記半導体基板の表面におけるフェルミレベルをシフトさせることにより、前記表面にポテンシャルバリアを形成する機能を有する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高誘電率膜を構成する材料は、HfSiO、HfSiON、HfAlON、Y、Alのいずれかを含む、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高誘電率膜は、
前記ゲート絶縁膜と前記ゲート電極の間に挟まれた第1部位と、
前記ステップ絶縁膜と前記ゲート絶縁膜の間に挟まれた第2部位と、
を含む、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高誘電率膜は、前記ステップ絶縁膜と前記ゲート絶縁膜の間に挟まれた部位から構成されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高誘電率膜は、前記ゲート電極、前記フィールドプレート部および前記ステップ絶縁膜を覆う膜である、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記ステップ絶縁膜は、
前記フィールドプレート部と接する接触部位と、
前記フィールドプレート部から突出する非接触部位と、
を有し、
前記非接触部位は、
凹部が形成された薄膜部と、
前記薄膜部よりも膜厚の厚い厚膜部と、
を含む、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記薄膜部の膜厚は、前記ゲート絶縁膜の膜厚と等しい、半導体装置。
【請求項9】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上方に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極と一体的に形成されたフィールドプレート部と、
前記フィールドプレート部と接するステップ絶縁膜と、
前記ステップ絶縁膜と接し、かつ、前記ステップ絶縁膜の下方に位置する前記半導体基板の表面にポテンシャルバリアを形成するポテンシャル制御膜と、
を備える、半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記ポテンシャル制御膜は、前記ステップ絶縁膜の下方に位置する前記半導体基板の前記表面におけるフェルミレベルをシフトさせることにより、前記表面に前記ポテンシャルバリアを形成する膜である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、横方向拡散MOSFET(LDMOSFET:Lateral Defused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を含む半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、ステップ絶縁膜(Step-OX)を採用したLDMOSFETによれば、消費電力の増加や回路動作の不具合を引き起こすホットキャリア注入に起因するオフリーク電流の増加を抑制できることが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Keita Takahashi, Kanako Komatsu, Toshihiro Sakamoto,Koji Kimura and Fumitomo Matsuoka “Hot-carrier Induced Off-state Leakage CurrentIncrease of LDMOS and Approach to Overcome the Phenomenon”, Proceedings of the 30th International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs May 13-17, 2018, Chicago, USA
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した非特許文献に記載されているように、ステップ絶縁膜を採用したLDMOSFETは、STI構造をステップ絶縁膜に替えることによって、STI構造を採用したLDMOSFETに比べて、オフリーク電流の増加を抑制することができる。
【0005】
ただし、ステップ絶縁膜を採用したLDMOSFETにおいても、ステップ絶縁膜へのホットキャリア注入を充分に抑制できないことから、LDMOSFETを含む半導体装置の性能を向上する観点から改善の余地が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態における半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上方に形成されたゲート電極と、ゲート電極と一体的に形成されたフィールドプレート部と、フィールドプレート部と接するステップ絶縁膜と、ステップ絶縁膜と接し、かつ、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一実施の形態によれば、LDMOSFETを含む半導体装置の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ステップ絶縁膜にホットキャリアが注入されると、LDMOSFETのオン抵抗が増加するメカニズムを説明するためのフローチャートである。
図2】実施の形態における基本思想を説明する図である。
図3】ポテンシャル制御膜が存在しないLDMOSFETにおいて電子が流れる様子を模式的に示す図である。
図4】ポテンシャル制御膜を設けるという基本思想が具現化されたLDMOSFETにおいて、電子が流れる様子を模式的に示す図である。
図5】実施の形態におけるLDMOSFETのデバイス構造を示す断面図である。
図6】(a)は、n型リサーフ層上に、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜を形成した場合のn型リサーフ層の表面でのバンド構造を模式的に示す図であり、(b)は、n型リサーフ層上に、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜と高誘電率膜を形成した場合において、n型リサーフ層の表面でのバンド構造を模式的に示す図である。
図7】(a)および(b)は、図6(a)および図6(b)のフェルミレベルを同じエネルギーレベルに合わせたバンド構造を模式的に示す図である。
図8】実施の形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図12】変形例1におけるLDMOSFETのデバイス構造を示す断面図である。
図13】変形例1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図15】変形例2におけるLDMOSFETのデバイス構造を示す断面図である。
図16】変形例2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図19】変形例3におけるLDMOSFETのデバイス構造を示す断面図である。
図20】変形例3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図21図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図22図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図23】変形例4におけるLDMOSFETのデバイス構造を示す断面図である。
図24】変形例3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図25図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図26図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0010】
<改善の検討>
本発明者は、ステップ絶縁膜を採用したLDMOSFETにおいては、ステップ絶縁膜にホットキャリアが注入されることによって、オン抵抗が増加するという改善の余地を新規に見出した。そこで、ステップ絶縁膜にホットキャリアが注入されると、LDMOSFETのオン抵抗が増加するメカニズムについて説明する。
【0011】
図1は、ステップ絶縁膜にホットキャリアが注入されると、LDMOSFETのオン抵抗が増加するメカニズムを説明するためのフローチャートである。
【0012】
図1において、まず、LDMOSFETのソースとドレインとの間に高電圧を印加した状態で、ゲート電極にしきい値以上のゲート電圧を印加することにより、LDMOSFETをオン状態にする(S101)。これにより、ソースからチャネルを通ってドレインに電子が流れる。このとき、ソースとドレインとの間に印加した高電圧によって電子は加速される結果、ホットキャリアが発生する(S102)。特に、ステップ絶縁膜の角部近傍は高電界となるため、この高電界で加速されて生成されたホットキャリアがステップ絶縁膜によるポテンシャル障壁を乗り越えて、ステップ絶縁膜に注入される(S103)。これにより、ステップ絶縁膜に固定電荷(負電荷)がトラップされる(S104)。この結果、ステップ絶縁膜が負(マイナス)に帯電するため、ステップ絶縁膜と接するn型リサーフ層の表面に空乏化現象が生じる(S105)。そして、この空乏化領域は絶縁領域として機能することから、ソースからチャネルを通ってドレインに流れる電子は、n型リサーフ層の表面に形成された空乏化領域を避けるように迂回することになる(S106)。
【0013】
以上のようして、ホットキャリアがステップ絶縁膜に注入されることによって引き起こされるn型リサーフ層の空乏化という「要因1」と、電子が流れる経路が迂回経路となって距離が長くなるという「要因2」によって、LDMOSFETのオン抵抗が増加する(S107)。このようなメカニズムによって、ステップ絶縁膜を採用したLDMOSFETにおいては、ステップ絶縁膜にホットキャリアが注入されることによって、オン抵抗が増加するという改善の余地が顕在化するのである。
【0014】
そこで、本実施の形態では、上述したステップ絶縁膜を採用したLDMOFETに存在するオン抵抗の増加という改善の余地に対する工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明する。
【0015】
<実施の形態における基本思想>
本実施の形態における基本思想は、ステップ絶縁膜の下方に位置する半導体基板の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成するためのポテンシャル制御膜をLDMOSFETに設ける点にある。これにより、ステップ絶縁膜の下方に位置する半導体基板の表面に形成されたポテンシャルバリアによって、電子の流れる電流経路を「半導体基板の表面」から「半導体基板の内部(バルク内部)」にシフトさせることができる。すなわち、ポテンシャルバリアによって、半導体基板の表面から電子を遠ざける斥力が働くことから、電子の流れる電流経路が「半導体基板の表面」から「半導体基板の内部(バルク内部)」にシフトする。このことは、電子の流れる電流経路がステップ絶縁膜と半導体基板の界面から離れることを意味し、これによって、ホットキャリアのステップ絶縁膜への注入が抑制されることを意味する。この結果、基本思想によれば、ホットキャリアのステップ絶縁膜への注入に起因するLDMOSFETのオン抵抗の増加を抑制することができる。
【0016】
以下に、図面を使用して具体的に説明する。
【0017】
図2は、本実施の形態における基本思想を説明する図である。図2において、LDMOSFET100は、半導体基板1を有している。この半導体基板1には、p型リサーフ層10と、p型リサーフ層10上に形成されたn型リサーフ層11が形成されている。n型リサーフ層11は、n型ドリフト層とも呼ばれる。そして、半導体基板1の表面上には、ゲート絶縁膜12が形成されており、このゲート絶縁膜12上にポテンシャル制御膜13が形成されている。このポテンシャル制御膜13は、ステップ絶縁膜14と接触しており、ステップ絶縁膜14と接するフィールドプレート部15と、ポテンシャル制御膜13と接するゲート電極16とが一体的に形成されている。また、ステップ絶縁膜14と整合するように、n型リサーフ層11には、n型半導体領域からなるドレイン領域17が形成されている。さらに、半導体基板1には、p型ボディ領域18が形成されており、このp型ボディ領域18に内包されるように、n型半導体領域からなるソース領域と、p型半導体領域からなるボディコンタクト領域20が形成されている。
【0018】
本実施の形態における基本思想は、このように構成されているLDMOSFET100に設けられているポテンシャル制御膜13によって、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成する思想である。具体的には、図2の右部に示すように、ポテンシャル制御膜13の存在によって、半導体基板1の表面におけるポテンシャルを実線Aから破線Bにシフトさせる。この場合、半導体基板1の表面におけるポテンシャルは、電子から見てエネルギーが高い方向にシフトする。このことは、半導体基板1の表面においてエネルギーの高い方向にシフトしたポテンシャルから電子が受ける斥力が増加することを意味する。これにより、電子の流れる電流経路が「半導体基板1の表面」から「半導体基板1の内部(バルク内部)」にシフトする。このことは、電子の流れる電流経路がステップ絶縁膜と半導体基板の界面から離れることを意味し、これによって、ホットキャリアのステップ絶縁膜への注入が抑制される。
【0019】
例えば、図3は、ポテンシャル制御膜13が設けられていないLDMOSFETにおいて、電子が流れる様子を模式的に示す図である。
【0020】
図3に示すように、電子は、ソース領域19からp型ボディ領域18の表面に形成されるチャネルを通ってドレイン領域17に向かって流れる。このとき、図3に示すように、ドレイン領域17とソース領域19との間に印加される高電圧によって生成されたホットキャリアは、ステップ絶縁膜14の角部近傍での高電界によってステップ絶縁膜14に注入される。この結果、図3に示すLDMOSFETでは、ステップ絶縁膜14に注入されたホットキャリアに起因するオン抵抗の増加が引き起こされる。
【0021】
これに対し、図4は、ポテンシャル制御膜13を設けるという基本思想が具現化されたLDMOSFETにおいて、電子が流れる様子を模式的に示す図である。
【0022】
図4に示すように、電子は、ソース領域19からp型ボディ領域18の表面に形成されるチャネルを通ってドレイン領域17に向かって流れる。このとき、図4に示すLDMOSFETでは、ポテンシャル制御膜13によって、半導体基板1の表面に電子に対して斥力を及ぼすポテンシャルバリアPBが形成される。この結果、図4に示すように、電子の流れる電流経路が「半導体基板1の表面」から「半導体基板1の内部(バルク内部)」にシフトする。これにより、電子の流れる電流経路がステップ絶縁膜14と半導体基板1の界面から離れることになるため、ホットキャリアのステップ絶縁膜14への注入が抑制される。このため、図4に示すLDMOSFETでは、ステップ絶縁膜14へのホットキャリアの注入に起因するオン抵抗の増加を抑制することができることがわかる。
【0023】
以上のことから、ポテンシャル制御膜13によって、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアPBを形成するという基本思想は、オン抵抗を低減する観点から有効な技術的思想であることがわかる。そこで、以下では、この基本思想を具現化した具現化態様の一例について説明する。
【0024】
<LDMOSFETのデバイス構造>
図5は、LDMOSFET100Aの模式的なデバイス構造を示す断面図である。
【0025】
図5において、LDMOSFETは、例えば、シリコンからなる半導体基板1を有している。この半導体基板1は、p型リサーフ層10と、p型リサーフ層10上に形成されたn型リサーフ層11(n型ドリフト層)を有している。そして、半導体基板1上には、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12が形成されている。
【0026】
ゲート絶縁膜12の上方には、例えば、n型ポリシリコン膜からなるゲート電極16が形成されている。ここで、ゲート絶縁膜12の「上方」に形成されたゲート電極16とは、ゲート絶縁膜12の直上に形成されたゲート電極16という構成だけでなく、例えば、図5に示すように、ゲート絶縁膜12上に高誘電率膜30が形成されており、この高誘電率膜30上に形成されたゲート電極16という構成も含む広い意図で使用している。
【0027】
具体的に、図5においては、ゲート絶縁膜12上に高誘電率膜30が形成されており、この高誘電率膜30上にゲート電極16が形成されている。
【0028】
ここで、本明細書でいう「高誘電率膜30」とは、シリコンよりも誘電率の高い膜として定義される。なお、本実施の形態において、高誘電率膜30は、図5に示すように、ゲート絶縁膜12とゲート電極16の間に挟まれた「第1部位」と、ステップ絶縁膜14とゲート絶縁膜12の間に挟まれた「第2部位」とを含んでいる。
【0029】
次に、LDMOSFET100Aにおいては、ゲート電極16と一体的に形成されたフィールドプレート部15と、このフィールドプレート部15と接するステップ絶縁膜14を有している。ステップ絶縁膜14は、例えば、酸化シリコン膜から構成されている。そして、高誘電率膜30は、ステップ絶縁膜14と接している。
【0030】
続いて、図5に示すように、n型リサーフ層11には、ステップ絶縁膜14に整合するn型半導体領域からなるドレイン領域17が形成されている。さらに、半導体基板1には、p型半導体領域からなるp型ボディ領域18が形成されており、このp型ボディ領域18には、n型半導体領域であるソース領域19と、p型半導体領域であるボディコンタクト領域20が形成されている。ソース領域19とボディコンタクト領域20は、電気的に接続されており、例えば、グランド電位(0V)が供給される。これにより、ボディコンタクト領域20と電気的に接続されているp型ボディ領域18にもグランド電位が供給される。一方、ドレイン領域17には、正電位が供給される。
【0031】
ここで、図5に示す高誘電率膜30は、図2に示すポテンシャル制御膜13の一例である。すなわち、高誘電率膜30は、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成するためのポテンシャル制御膜13として機能する。具体的には、後述するが、高誘電率膜30は、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面におけるフェルミレベルをシフトさせることにより、表面にポテンシャルバリアを形成する機能を有する。このような機能を有する高誘電率膜30は、例えば、HfSiO、HfSiON、HfAlON、Y、Alのいずれかを含む。
【0032】
以上のようにして、LDMOSFET100Aが構成されている。
【0033】
<LDMOSFETの動作>
次に、LDMOSFET100Aの動作について説明する。
【0034】
まず、LDMOSFET100Aのオン動作について説明する。図5において、ソース領域19にグランド電位を供給するとともに、ドレイン領域17に正電位を供給した状態で、ゲート電極16にしきい値以上のゲート電圧を印加する。すると、ゲート電極16の下方に位置するp型ボディ領域18の表面にチャネル層となる反転層(n型層)が形成される。これにより、ソース領域19→チャネル層(反転層)→n型リサーフ層11→ドレイン領域17の経路で電子が流れる。このようにして、LDMOSFET100Aがオン動作することになる。
【0035】
続いて,LDMOSFET100Aのオフ動作について説明する。LDMOSFET100Aのオン状態において、ゲート電極16にしきい値電圧よりも小さなゲート電圧(例えば、0V)を印加する。すると、p型ボディ領域18の表面に形成されている反転層が消滅する。この結果、ソース領域19からドレイン領域17に至る電子の流れる経路が遮断される。このようにして、LDMOSFET100Aがオフ動作する。
【0036】
<実施の形態における特徴>
続いて、本実施の形態における特徴点について説明する。
【0037】
本実施の形態における特徴点は、例えば、図5に示すように、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成するためのポテンシャル制御膜13として高誘電率膜30を採用する点にある。つまり、本実施の形態における特徴点は、高誘電率膜30によってステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面にポテンシャルバリアを形成し、このポテンシャルバリアによって電子の流れる電流経路を「半導体基板の表面」から「半導体基板の内部(バルク内部)」にシフトさせる点にある。これにより、本実施の形態によれば、電子の流れる経路をステップ絶縁膜14と半導体基板1の界面から離すことができ、これによって、ホットキャリアのステップ絶縁膜14への注入を抑制することができる。この結果、本実施の形態によれば、、ホットキャリアのステップ絶縁膜14への注入に起因するLDMOSFETのオン抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
【0038】
以下では、高誘電率膜30がポテンシャル制御膜13として機能することを説明する。
【0039】
図6(a)は、n型リサーフ層11上に、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12を形成した場合のn型リサーフ層11の表面でのバンド構造を模式的に示す図である。図6(a)に示すように、n型リサーフ層11は、n型半導体層であることから、フェルミレベルEfは、伝導帯下端の近傍に存在する。
【0040】
ところが、n型リサーフ層11上に、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12だけでなく、このゲート絶縁膜12に、例えば、HfSiO、HfSiON、HfAlON、Y、Alなどを構成材料に含み、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜30を形成すると、フェルミレベルEfが伝導帯下端から離れる、いわゆる「フェルミレベルピニング」と呼ばれる現象が生じる。具体的に、図6(b)は、n型リサーフ層11上に、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12と高誘電率膜30を形成した場合において、n型リサーフ層11の表面でのバンド構造を模式的に示す図である。図6(b)に示すように、n型リサーフ層11がn型半導体層にもかかわらず、高誘電率膜30の存在に起因する「フェルミレベルピニング」によって、フェルミレベルEfが伝導帯下端から離れる方向にシフトすることがわかる。本実施の形態では、この「フェルミレベルピニング」を利用して、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面にポテンシャルバリアを形成している。以下に、この点について説明する。
【0041】
図6(a)および図6(b)のフェルミレベルEfを同じエネルギーレベルに合わせると、図7(a)および図7(b)のようになる。図7(a)は、n型リサーフ層11上に、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12を形成した場合のn型リサーフ層11の表面でのバンド構造を模式的に示す図であり、図7(b)は、n型リサーフ層11上に、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12と高誘電率膜30を形成した場合において、n型リサーフ層11の表面でのバンド構造を模式的に示す図である。
【0042】
図7(a)および図7(b)から、n型リサーフ層11上に高誘電率膜30を形成すると、「フェルミレベルピニング」によって、n型リサーフ層11の表面でのバンド構造が電子的にエネルギーの高い方向にシフトすることがわかる。このことは、高誘電率膜30を設けることによって、n型リサーフ層11の表面のエネルギーレベルが電子的に上昇することを意味し、言い換えれば、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアが形成されることを意味する。このようなメカニズムによって、高誘電率膜30がポテンシャル制御膜13として機能することがわかる。
【0043】
以上のように、本実施の形態における特徴点は、高誘電率膜30に起因する「フェルミレベルピニング」という現象を利用して、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面にポテンシャルバリアを形成する点にあるといえる。この特徴点により、ポテンシャルバリアによる斥力によって、電子の流れる経路をステップ絶縁膜14と半導体基板1の界面から離すことができる。このことから、本実施の形態によれば、ホットキャリアのステップ絶縁膜14への注入を抑制することができる結果、ホットキャリアのステップ絶縁膜14への注入に起因するLDMOSFETのオン抵抗の増加を抑制できる。
【0044】
<LDMOSFETを含む半導体装置の製造方法>
次に、LDMOSFETを含む半導体装置の製造方法について説明する。
【0045】
まず、図8に示すように、例えば、シリコンからなる半導体基板1を用意する。そして、半導体基板1の表面に犠牲酸化シリコン膜35(スルー酸化膜)を形成した後、イオン注入法を使用することにより、半導体基板1にp型リサーフ層10とn型リサーフ層11を形成する。具体的に、p型リサーフ層10は、半導体基板1にp型不純物(アクセプタ)であるボロン(ホウ素)を注入することにより形成される。一方、n型リサーフ層11は、半導体基板1にn型不純物(ドナー)であるリン(P)を注入することにより形成される。
【0046】
続いて、図9に示すように、例えば、熱酸化法を使用することにより、半導体基板1の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜12を形成する。その後、ALD法(Atomic Layer Deposition)やCVD法(Chemical Vapor Deposition)を使用することにより、高誘電率膜30を形成する。高誘電率膜30としては、例えば、HfSiO膜、HfSiON膜、HfAlON膜、Y膜、Al膜を挙げることができる。そして、例えば、CVD法を使用することにより、高誘電率膜30上に酸化シリコン膜14aを形成する。
【0047】
続いて、図10に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、酸化シリコン膜14aをパターニングして、ステップ絶縁膜14を形成する。次に、例えば、CVD法を使用することにより、ステップ絶縁膜14を覆うように高誘電率膜30上にポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜からなるゲート電極16およびフィールドプレート部15を一体的に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、p型ボディ領域18を形成する。
【0048】
次に、図5に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にn型不純物であるリンを注入して、ドレイン領域17およびソース領域19を形成するとともに、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、ボディコンタクト領域20を形成する。その後、層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程および配線を形成する配線形成工程を経ることにより、LDMOSFET100Aを含む半導体装置を製造することができる。
【0049】
<変形例1>
前記実施の形態において、例えば、図5に示すように、高誘電率膜30は、ゲート絶縁膜12とゲート電極16の間に挟まれた「第1部位」と、ステップ絶縁膜14とゲート絶縁膜12の間に挟まれた「第2部位」とを含んでいる。
【0050】
ここで、高誘電率膜30の「第2部位」は、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成する観点から重要である。一方、高誘電率膜30の「第1部位」は、ゲート絶縁膜12との積層膜を構成し、この積層膜が反転層を形成するためのしきい値電圧に影響を与える。つまり、高誘電率膜30の「第1部位」は、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成する観点から必須ではない。それよりも、高誘電率膜30の「第1部位」に起因する「フェルミレベルピニング」によって、反転層を形成するためのしきい値電圧が上昇するというデメリットがある。
【0051】
そこで、図12は、本変形例1におけるLDMOSFET100Bのデバイス構造を模式的に示す断面図である。図12に示すように、高誘電率膜30をステップ絶縁膜14とゲート絶縁膜12の間に挟まれた「第2部位」だけから構成している。これにより、本変形例1によれば、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成することができる一方で、反転層を形成するためのしきい値電圧が上昇するという副作用を抑制することができる。
【0052】
<<LDMOSFETを含む半導体装置の製造方法>>
本変形例1におけるLDMOSFETを含む半導体装置においても、図8および図9に示す工程は、前記実施の形態と同様である。次に、図13に示すように、エッチング技術を使用することにより、ステップ絶縁膜14から露出する高誘電率膜30を除去する。これにより、ステップ絶縁膜14とゲート絶縁膜12の間に挟まれた「第2部位」だけから構成される高誘電率膜30を形成することができる。
【0053】
続いて、例えば、CVD法を使用することにより、ステップ絶縁膜14を覆うようにゲート絶縁膜12上にポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜からなるゲート電極16およびフィールドプレート部15を一体的に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、p型ボディ領域18を形成する。
【0054】
次に、図12に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にn型不純物であるリンを注入して、ドレイン領域17およびソース領域19を形成するとともに、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、ボディコンタクト領域20を形成する。その後、層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程および配線を形成する配線形成工程を経ることにより、LDMOSFET100Bを含む半導体装置を製造することができる。
【0055】
<変形例2>
<<LDMOSFETのデバイス構造>>
図15は、本変形例2におけるLDMOSFET100Cのデバイス構造を模式的に示す断面図である。図15において、本変形例2の特徴点は、露出するゲート絶縁膜12上、ゲート電極16上、フィールドプレート部15上および露出するステップ絶縁膜14上にわたって高誘電率膜30が形成されている点にある。特に、本変形例2における高誘電率膜30の膜厚は、前記実施の形態や前記変形例1における高誘電率膜30の膜厚よりも厚くなっている。これは、本変形例2においては、高誘電率膜30がステップ絶縁膜14の下方ではなく上方に配置されている結果、半導体基板1の表面にポテンシャルバリアを形成する効果が薄れることを考慮して、高誘電率膜30の膜厚を厚くすることによりポテンシャルバリアを形成する効果を確保するためである。このようにして、本変形例2におけるLDMOSFET100Cが構成されている。
【0056】
<<LDMOSFETを含む半導体装置の製造方法>>
本変形例2におけるLDMOSFETを含む半導体装置においても、図8に示す工程は、前記実施の形態と同様である。次に、図16に示すように、例えば、CVD法を使用することにより、半導体基板1上に酸化シリコン膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、酸化シリコン膜をパターニングして、ステップ絶縁膜14を形成する。その後、図17に示すように、例えば、熱酸化法を使用することにより、露出する半導体基板1の表面にゲート絶縁膜12を形成する。
【0057】
続いて、図18に示すように、例えば、CVD法を使用することにより、ゲート絶縁膜12上およびステップ絶縁膜14上にポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜からなるゲート電極16およびフィールドプレート部15を一体的に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、p型ボディ領域18を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にn型不純物であるリンを注入して、ドレイン領域17およびソース領域19を形成するとともに、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、ボディコンタクト領域20を形成する。そして、図15に示すように、露出するゲート絶縁膜12、ゲート電極16、フィールドプレート部15および露出するステップ絶縁膜14を覆うように高誘電率膜30を形成する。その後、層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程および配線を形成する配線形成工程を経ることにより、LDMOSFET100Cを含む半導体装置を製造することができる。
【0058】
<<変形例2の利点>>
本変形例2においても、膜厚の厚い高誘電率膜30によって、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成することができる一方で、ゲート電極16の下方に高誘電率膜30が存在しないことから、反転層を形成するためのしきい値電圧が上昇するという副作用を抑制することができる。
【0059】
特に、本変形例2では、前記変形例1のように高誘電率膜30をパターニングする工程が不要となることから、パターニング工程を追加することなく、ステップ絶縁膜14の下方に位置する半導体基板1の表面に電子に対するポテンシャルバリアを形成しながら、反転層を形成するためのしきい値電圧の上昇を抑制することができる。
【0060】
<変形例3>
<<LDMOSFETのデバイス構造>>
図19は、本変形例3におけるLDMOSFET100Dのデバイス構造を模式的に示す断面図である。図19において、本変形例3の特徴点は、ステップ絶縁膜14がフィールドプレート部15と接する「接触部位」と、フィールドプレート部15から突出する「非接触部位」を有することを前提として、「非接触部位」が、凹部が形成された「薄膜部」と、「薄膜部」よりも膜厚の厚い「厚膜部」から構成されており、露出するゲート絶縁膜12上、ゲート電極16上、フィールドプレート部15上および露出するステップ絶縁膜14上にわたって高誘電率膜30が形成されている点にある。このとき、「厚膜部」の膜厚を「t1」とし、「薄膜部」の膜厚を「t2」とすると、t2<t1の関係が成立する。
【0061】
<<LDMOSFETを含む半導体装置の製造方法>>
本変形例3におけるLDMOSFETを含む半導体装置においても、図16に示す工程までは、前記変形例2と同様である。その後、図20に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ステップ絶縁膜14に凹部40を形成する。そして、図21に示すように、例えば、熱酸化法を使用することにより、露出する半導体基板1の表面にゲート絶縁膜12を形成する。
【0062】
続いて、図22に示すように、例えば、CVD法を使用することにより、ゲート絶縁膜12上およびステップ絶縁膜14上にポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜からなるゲート電極16およびフィールドプレート部15を一体的に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、p型ボディ領域18を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にn型不純物であるリンを注入して、ドレイン領域17およびソース領域19を形成するとともに、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、ボディコンタクト領域20を形成する。そして、図19に示すように、露出するゲート絶縁膜12、ゲート電極16、フィールドプレート部15および露出するステップ絶縁膜14を覆うように高誘電率膜30を形成する。その後、層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程および配線を形成する配線形成工程を経ることにより、LDMOSFET100Dを含む半導体装置を製造することができる。
【0063】
<<変形例3の利点>>
本変形例3によれば、ステップ絶縁膜14に凹部が形成された「薄膜部」が形成されており、この「薄膜部」の凹部の内部にも高誘電率膜30が形成される。この点において、半導体基板1の表面にポテンシャルバリアを形成する効果を確保できることから、本変形例3では、前記変形例2よりも高誘電率膜30の膜厚を薄くできる利点が得られる。
【0064】
<変形例4>
<<LDMOSFETのデバイス構造>>
図23は、本変形例4におけるLDMOSFET100Eのデバイス構造を模式的に示す断面図である。図23において、本変形例4の特徴点は、ステップ絶縁膜14に設けられた凹部を含む「薄膜部」の膜厚「t2」がゲート絶縁膜12の膜厚と等しい点にある。
【0065】
<<LDMOSFETを含む半導体装置の製造方法>>
本変形例3におけるLDMOSFETを含む半導体装置においても、図16に示す工程までは、前記変形例2と同様である。その後、図24に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ステップ絶縁膜14に凹部40を形成する。このとき、凹部40は、凹部40の底部が半導体基板1の表面に達するように形成される。そして、図25に示すように、例えば、熱酸化法を使用することにより、露出する半導体基板1の表面にゲート絶縁膜12を形成する。ここで、凹部40の底部に露出する半導体基板1の表面にもゲート絶縁膜12が形成される。
【0066】
なお、凹部40の底部に形成されたゲート絶縁膜12の膜厚は、半導体基板1のその他の表面に形成されたゲート絶縁膜12の膜厚と等しくなる。
【0067】
続いて、図26に示すように、例えば、CVD法を使用することにより、ゲート絶縁膜12上およびステップ絶縁膜14上にポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜からなるゲート電極16およびフィールドプレート部15を一体的に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術および斜めイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、p型ボディ領域18を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1にn型不純物であるリンを注入して、ドレイン領域17およびソース領域19を形成するとともに、半導体基板1にp型不純物であるボロンを注入して、ボディコンタクト領域20を形成する。そして、図23に示すように、露出するゲート絶縁膜12、ゲート電極16、フィールドプレート部15および露出するステップ絶縁膜14を覆うように高誘電率膜30を形成する。その後、層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程および配線を形成する配線形成工程を経ることにより、LDMOSFET100Eを含む半導体装置を製造することができる。
【0068】
<<変形例4の利点>>
例えば、前記変形例3において、「薄膜部」の膜厚「t2」がゲート絶縁膜12の膜厚と異なることから、凹部40の形成工程において(図20参照)、凹部40のエッチング量を調整する必要がある。これに対し、本変形例4では、「薄膜部」の膜厚「t2」をゲート絶縁膜12の膜厚と等しくすることから、例えば、図24に示すように、凹部40の形成工程において、凹部40のエッチング量を微妙に調整することなく、凹部40の底部に半導体基板1が露出するように形成すればよい。このことは、「オーバーエッチング」も許容されることから、凹部40を形成するためのエッチング工程が容易となる利点が得られる。そして、本変形例4では、凹部40の底部から露出する半導体基板1の表面を含む半導体基板1の露出面全面に対して熱酸化法を適用することにより、凹部40の底部にもゲート絶縁膜12が形成されることから、自動的に「薄膜部」の膜厚「t2」をその他の領域のゲート絶縁膜12の膜厚と等しくすることができる。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0070】
前記実施の形態は、以下の形態を含む。
【0071】
(付記1):<実施の形態における半導体装置の製造方法>
(a)半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程、
(b)前記ゲート絶縁膜上にシリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜を形成する工程、
(c)前記高誘電率膜と接するステップ絶縁膜を形成する工程、
(d)前記高誘電率膜と接するゲート電極および前記ステップ絶縁膜と接するフィールドプレート部を一体的に形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【0072】
(付記2):<変形例1における半導体装置の製造方法>
(a)半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程、
(b)前記ゲート絶縁膜上にシリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜を形成する工程、
(c)前記高誘電率膜と接するステップ絶縁膜を形成する工程、
(d)前記ステップ絶縁膜から露出する前記高誘電率膜を除去する工程、
(e)前記ゲート絶縁膜と接するゲート電極および前記ステップ絶縁膜と接するフィールドプレート部を一体的に形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【0073】
(付記3):<変形例2における半導体装置の製造方法>
(a)半導体基板上にステップ絶縁膜を形成する工程、
(b)前記ステップ絶縁膜を除く前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程、
(c)前記ゲート絶縁膜と接するゲート電極および前記ステップ絶縁膜と接するフィールドプレート部を一体的に形成する工程、
(d)前記ゲート電極、前記フィールドプレート部および前記ステップ絶縁膜と接するように、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜を形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【0074】
(付記4):<変形例3における半導体装置の製造方法>
(a)半導体基板上にステップ絶縁膜を形成する工程、
(b)前記ステップ絶縁膜に凹部を形成する工程、
(c)前記ステップ絶縁膜を除く前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程、
(d)前記ゲート絶縁膜と接するゲート電極および前記ステップ絶縁膜と接する一方、
前記凹部と非接触のフィールドプレート部を一体的に形成する工程、
(e)前記ゲート電極、前記フィールドプレート部および前記ステップ絶縁膜と接するように、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜を形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【0075】
(付記5):<変形例4における半導体装置の製造方法>
(a)半導体基板上にステップ絶縁膜を形成する工程、
(b)前記ステップ絶縁膜に前記半導体基板に達する凹部を形成する工程、
(c)前記凹部の底部を含む前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程、
(d)前記ゲート絶縁膜と接するゲート電極および前記ステップ絶縁膜と接する一方、
前記凹部と非接触のフィールドプレート部を一体的に形成する工程、
(e)前記ゲート電極、前記フィールドプレート部、前記ステップ絶縁膜および前記凹部の内壁と接するように、シリコンよりも誘電率の高い高誘電率膜を形成する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0076】
1 半導体基板
10 p型リサーフ層
11 n型リサーフ層
12 ゲート絶縁膜
13 ポテンシャル制御膜
14 ステップ絶縁膜
15 フィールドプレート部
16 ゲート電極
17 ドレイン領域
18 p型ボディ領域
19 ソース領域
20 ボディコンタクト領域
30 高誘電率膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26