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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178887
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20221125BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L27/04 D
H01L21/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085994
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森本 康史
【テーマコード(参考)】
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5F038AC00
5F038BG02
5F038CA06
5F038DF01
5F064AA01
5F064BB22
5F064CC09
5F064EE03
5F064EE17
5F064EE18
(57)【要約】
【課題】発振回路に含まれ、かつ互いに同じ構成を有する第1素子と第2素子との特性のばらつきを抑制可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】発振回路HCに、互いに同じ構成を有するpMOSトランジスタTR1とpMOSトランジスタTR2とが含まれる。pMOSトランジスタTR1と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、pMOSトランジスタTR2と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じまたは互いに対称である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振回路に含まれる第1素子と、
前記発振回路に含まれ、前記第1素子と同じ構成を有する第2素子と、
前記第1素子および前記第2素子の上層に配置された最上層導電層と、を備え、
前記第1素子と前記最上層導電層のレイアウトとの平面視における重なりと、前記第2素子と前記最上層導電層のレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じまたは互いに対称である、半導体装置。
【請求項2】
前記発振回路は、前記第1素子と前記第2素子とにより構成されるカレントミラー回路を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記最上層導電層は、前記カレントミラー回路の真上領域全体を覆う、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記最上層導電層は、前記カレントミラー回路の真上領域にて、平面視において同じ形状が繰り返された繰り返しパターンを有する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記最上層導電層の前記繰り返しパターンは、平面視において残しパターンである、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記最上層導電層の前記残しパターンは、矩形および円形の少なくとも一方の形状が繰り返されたパターンである、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記最上層導電層の前記繰り返しパターンは、平面視において抜きパターンである、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記最上層導電層の前記抜きパターンは、矩形および円形の少なくとも一方の形状が抜かれたパターンである、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記最上層導電層の前記繰り返しパターンは、スリット形状、格子形状または市松模様形状である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記最上層導電層は、前記カレントミラー回路の真上領域を覆わないように配置されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記最上層導電層の厚みは、1.5μm以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記最上層導電層の下面と前記第1素子の上面との距離および前記最上層導電層の下面と前記第2素子の上面との距離の各々は、3.5μm以上4.0μm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体基板をさらに備え、
前記第1素子および前記第2素子の各々は、前記半導体基板上に配置された導電層を有し、
前記導電層の幅は、0.17μm以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記最上層導電層の上に配置されたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜の上面に接するように配置された封止樹脂と、をさらに備えた、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1素子および前記第2素子の上層であって、前記最上層導電層の下層に配置された中間導電層をさらに備え、
前記第1素子と前記第1素子の真上における前記中間導電層のレイアウトとの平面視における重なりと、前記第2素子と前記第2素子の真上における前記中間導電層のレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じまたは互いに対称である、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、たとえば、発振回路を有する半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、HOCO(High-speed On-Chip Oscillator)のような発振回路を有するマイクロコンピュータが知られている。発振回路を有するマイクロコンピュータは、たとえば特開2013-65190号公報(特許文献1)に開示されている。HOCOのような発振回路は、カレントミラー回路を有する。カレントミラー回路は、電流をミラーのようにコピーする回路であり、基本的には2つのトランジスタから構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-65190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような発振回路においては、発振回路におけるカレントミラー回路を構成する2つのトランジスタの特性がばらつくと発振特性が変動する。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付の図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、発振回路に、互いに同じ構成を有する第1素子と第2素子とが含まれる。第1素子と最上層導電層のレイアウトとの平面視における重なりと、第2素子と最上層導電層のレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じまたは互いに対称である。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施形態によれば、発振回路に含まれた、互いに同じ構成を有する第1素子と第2素子との特性のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る半導体装置のチップ状態における構成を示す平面図である。
図2】発振回路の一例を示す回路図である。
図3】発振回路におけるカレントミラー回路を構成するトランジスタの形成領域を示す平面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う概略断面図である。
図5図3のV-V線に沿う概略断面図である。
図6図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの一例を示す平面図である。
図7図6のVIIA-VIIA線に沿う概略断面図(A)および図6のVIIB-VIIB線に沿う概略断面図(B)である。
図8】最上層導電層が不均一に配置された場合に下層に作用する応力が異なることを説明するための図である。
図9図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例1を示す平面図である。
図10図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例2を示す平面図である。
図11図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例3を示す平面図である。
図12図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例4を示す平面図である。
図13図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例5を示す平面図である。
図14図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例6を示す平面図である。
図15図3におけるトランジスタの形成領域と最上層導電層との平面視における重なりの変形例7を示す平面図である。
図16】第1トランジスタと最上層導電層との平面視における重なりと、第2トランジスタと最上層導電層との平面視における重なりとが互いに対称である構成を示す断面図である。
図17】発振回路における抵抗と最上層導電層との平面視における重なりの一例を示す平面図である。
図18図17のXVIIIA-XVIIIA線に沿う概略断面図(A)および図17のXVIIIB-XVIIIB線に沿う概略断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0010】
<半導体装置の平面視における全体構成>
一実施形態における半導体装置の平面視における全体構成について図1を用いて説明する。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態における半導体装置SDは、たとえばマイクロコンピュータである。半導体装置SDは、たとえばチップ状態であり、半導体基板を有している。半導体基板の表面には、フラッシュメモリ回路FM1、FM2、SRAM回路SM、ロジック回路LC、発振回路HCなどの各形成領域が配置されている。
【0012】
発振回路HCは、たとえば動作クロックを発生させる。発振回路HCは、たとえばHOCO回路であるが、LOCO(Low-speed On-Chip Oscillator)回路であってもよく、またHOCO回路およびLOCO回路の双方を含んでいてもよい。
【0013】
なお本実施の形態の半導体装置SDは、半導体チップに限定されず、半導体チップに分割される前のウエハ状態でもよく、また半導体チップが封止樹脂で封止されたパッケージ状態でもよい。また本明細書における平面視とは、半導体基板SB(図4、5)の表面に対して直交する方向から見た視点を意味する。
【0014】
<発振回路HCの回路構成>
次に、図1に用いられる発振回路HCの回路構成の一例について図2を用いて説明する。
【0015】
図2に示されるように、発振回路HCは、たとえば定電流回路CCと、基準電圧回路SVとを有している。定電流回路CCは、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(nMOSトランジスタ)TR1、TR2、TR7と、pチャネルMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ)TR3、TR4、TR5、TR6と、抵抗R1と有している。
【0016】
nMOSトランジスタTR1、TR2は、カレントミラー回路を構成している。pMOSトランジスタTR6とnMOSトランジスタTR7とは、充放電切替部CDSを構成している。
【0017】
基準電圧回路SVは、コンデンサCDと、コンパレータCPと、抵抗R2、R3、R4と、nMOSトランジスタTR8とを有している。コンデンサCDは、発振周期を設定する。コンパレータCPは、コンデンサCDの充放電を制御する。
【0018】
発振回路HCでは、コンパレータCPの出力状態に伴ってpMOSトランジスタTR6がオンで、nMOSトランジスタTR7がオフの場合、定電流回路CCで発生した定電流によりコンデンサCDが充電される。
【0019】
コンデンサCDの充電により、P1点の電位VAがコンパレータCPの入力端であるP2点の基準電圧VRを超えるとコンパレータCPが反転する。反転したコンパレータCPの出力によってnMOSトランジスタTR8がオンする。これにより基準電圧VRがVRAに下がる。同時にnMOSトランジスタTR7がオンし、pMOSトランジスタTR6がオフする。これによりコンデンサCDの放電が始まる。
【0020】
コンデンサCDの放電によって、P1点の電位VAが、低下している基準電圧VRAの電位を下まわるとコンパレータCPが反転し、再び初期状態に戻る。この動作を繰り返すことにより、発振回路の出力OUTに発振出力が出力される。
【0021】
<カレントミラー回路の構成>
次に、図2の発振回路HCに含まれるカレントミラー回路の構成について図3図7を用いて説明する。なお図2においてはカレントミラー回路がnMOSトランジスタTR1、TR2により構成された場合について説明したが、カレントミラー回路はpMOSトランジスタTR1、TR2により構成されてもよい。以下においては、カレントミラー回路が複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とにより構成される場合について説明する。
【0022】
図3に示されるように、カレントミラー回路は、複数のpMOSトランジスタTR1(第1素子)と、複数のpMOSトランジスタTR2(第2素子)とにより構成されている。複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とは互いに同じ構成を有している。ここで互いに同じ構成を有するとは、設計上同じ構成を有することを意味し、実際の製造上における製造誤差(イオン注入による不純物濃度分布の誤差、写真製版・エッチングによるパターニング形状の誤差など)による相違を含む意味である。
【0023】
また複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とは、カレントミラー回路を構成する素子であり、互いに同じ構造となるような精度で形成されることが必要な素子である。つまり複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とは、相対的な精度が必要とされる素子である。
【0024】
複数のpMOSトランジスタTR1は、活性領域AR1に形成されている。また複数のpMOSトランジスタTR2は、活性領域AR2に形成されている。複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とは、互いに同じ平面形状を有している。
【0025】
活性領域AR1と活性領域AR2とは、素子分離領域SRにより半導体基板SBの表面において互いに分離されている。活性領域AR1と活性領域AR2とは、互いに同じ平面形状を有している。活性領域AR1、AR2の各々は、平面視においてたとえば矩形の形状を有している。
【0026】
平面視における複数のpMOSトランジスタTR1の形成領域FR1は、活性領域AR1の平面形状により規定される。また平面視における複数のpMOSトランジスタTR2の形成領域FR2は、活性領域AR2の平面形状により規定される。
【0027】
複数のpMOSトランジスタTR1は、活性領域AR1に配置されている。複数のpMOSトランジスタTR1の各々は、pMOSトランジスタTR1のチャネル長方向に並ぶように配置されている。複数のpMOSトランジスタTR1の各々は、1対の不純物領域IR1と、ゲート電極GE1とを有している。互いに隣り合うpMOSトランジスタTR1同士は、1対の不純物領域IR1のうち一方の不純物領域IR1を互いに共有している。複数のpMOSトランジスタTR1のゲート電極GE1の各々は、互いに平行に延びている。
【0028】
複数のpMOSトランジスタTR2は、活性領域AR2に配置されている。複数のpMOSトランジスタTR2の各々は、pMOSトランジスタTR2のチャネル長方向に並ぶように配置されている。複数のpMOSトランジスタTR2の各々は、1対の不純物領域IR2と、ゲート電極GE2とを有している。互いに隣り合うpMOSトランジスタTR2同士は、1対の不純物領域IR2のうち一方の不純物領域IR2を互いに共有している。複数のpMOSトランジスタTR2のゲート電極GE2の各々は、互いに平行に延びている。
【0029】
図4および図5に示されるように、半導体基板SBの表面には、素子分離領域SRが配置されている。素子分離領域SRは、たとえばSTI(Shallow Trench Isolation)であるが、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)であってもよい。STIよりなる素子分離領域SRは、溝TREと、充填絶縁層BIとを有している。溝TREは、半導体基板SBの表面から深さ方向(半導体基板SBの厚み方向)に延びている。充填絶縁層BIは、溝TRE内を埋め込んでいる。
【0030】
図4に示されるように、複数のpMOSトランジスタTR1は、素子分離領域SRに囲まれた半導体基板SBの表面に配置されている。複数のpMOSトランジスタTR1の各々は、1対の不純物領域IR1と、ゲート絶縁層GI1と、ゲート電極GE1とを有している。
【0031】
1対の不純物領域IR1は、半導体基板SBの表面に配置されている。1対の不純物領域IR1の一方はソースSO1となり、他方はドレインDR1となる。ゲート電極GE1は、1対の不純物領域IR1に挟まれる半導体基板SBの表面の上にゲート絶縁層GI1を介在して配置されている。ゲート電極GE1の側壁は、側壁絶縁層SW1により覆われている。
【0032】
複数のソースSO1となる不純物領域IR1同士は、第1導電層CL1を介在して互いに電気的に接続されている。複数のドレインDR1となる不純物領域IR1同士は、第2導電層CL2を介在して互いに電気的に接続されている。第1導電層CL1は、たとえばゲート電極GE1の上層の配線層である。第2導電層CL2は、第1導電層CL1の上層の配線層である。第1導電層CL1および第2導電層CL2の各々は、たとえば金属材料よりなっている。第2導電層CL2は、第1導電層CL1の上層の配線層である。
【0033】
図5に示されるように、複数のpMOSトランジスタTR2は、素子分離領域SRに囲まれた半導体基板SBの表面に配置されている。複数のpMOSトランジスタTR2の各々は、1対の不純物領域IR2と、ゲート絶縁層GI2と、ゲート電極GE2とを有している。
【0034】
1対の不純物領域IR2は、半導体基板SBの表面に配置されている。1対の不純物領域IR2の一方はソースSO2となり、他方はドレインDR2となる。ゲート電極GE2は、1対の不純物領域IR2に挟まれる半導体基板SBの表面の上にゲート絶縁層GI2を介在して配置されている。ゲート電極GE2の側壁は、側壁絶縁層SW2により覆われている。
【0035】
複数のソースSO2となる不純物領域IR2同士は、第3導電層CL3を介在して互いに電気的に接続されている。複数のドレインDR2となる不純物領域IR2同士は、第4導電層CL4を介在して互いに電気的に接続されている。第3導電層CL3は、たとえばゲート電極GE1の上層の配線層であり、第1導電層CL1と同じ層から分離して形成される層である。第4導電層CL4は、第3導電層CL3の上層の配線層であり、第2導電層CL2と同じ層から分離して形成される層である。第3導電層CL3および第4導電層CL4の各々は、たとえば金属材料よりなっている。
【0036】
本実施の形態では、第2導電層CL2は第1導電層CL1の上層の配線層、第4導電層CL4は第3導電層CL3の上層の配線層としたが、逆に、第2導電層CL2は第1導電層CL1の下層の配線層、第4導電層CL4は第3導電層CL3の下層の配線層としてもよい。
【0037】
図6に示されるように、本実施の形態では、複数のpMOSトランジスタTR1と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、複数のpMOSトランジスタTR2と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じである。
【0038】
最上層導電層UCは、平面視において、カレントミラー回路の真上領域で、たとえば同じ形状が繰り返された繰り返しパターンを有している。最上層導電層UCの繰り返しパターンは、たとえば平面視において残しパターンである。残しパターンとは、平面視において、最上層導電層UCのパターンの無い部分が最上層導電層UCのパターンによって周囲を取り囲まれていないパターンを意味する。なお後述する抜きパターンとは、平面視において、最上層導電層UCのパターンの無い部分が最上層導電層UCのパターンによって周囲を取り囲まれているパターンを意味する。
【0039】
最上層導電層UCは、複数のpMOSトランジスタTR1および複数のpMOSトランジスタTR2の各々の真上領域で、平面視においてスリット形状を構成する繰り返しパターンを有している。つまり最上層導電層UCは、複数のpMOSトランジスタTR1および複数のpMOSトランジスタTR2の各々の真上領域で、平面視において直線状に延びる矩形状の残しパターンとして同じ形状を繰り返している。最上層導電層UCの矩形状の残しパターンは、pMOSトランジスタTR1、TR2の各々のチャネル幅方向に延びている。
【0040】
図7に示されるように、最上層導電層UCとは、樹脂封止された半導体パッケージにおいて、半導体基板SBの表面から最も上方の層(最も離れた層)に位置する導電層を意味する。最上層導電層UCは、電気信号を伝達する配線層であってもよく、またフローティング電位を有するダミーの配線層であってもよい。
【0041】
最上層導電層UCは、たとえばアルミニウム(Al)よりなっている。最上層導電層UCは、アルミニウムを含むアルミニウム・銅(AlCu)よりなっていてもよく、また銅(Cu)よりなっていてもよい。
【0042】
最上層導電層UCと複数のpMOSトランジスタTR1との間には、たとえば中間導電層MIが配置されていてもよい。また最上層導電層UCと複数のpMOSトランジスタTR2との間にも、たとえば中間導電層MIが配置されていてもよい。
【0043】
中間導電層MIは、単層の導電体であってもよく、また複数層の導電体であってもよい。中間導電層MIが複数層の導電体である場合、中間導電層MIは、たとえば第1中間導電体MI1と、第2中間導電体MI2とを含んでいてもよい。また中間導電層MIは、2層の導電体MI1、MI2に限らず、3層以上の導電体を有していてもよい。
【0044】
第1中間導電体MI1は、複数のpMOSトランジスタTR1および複数のpMOSトランジスタTR2を覆う層間絶縁層IL1上に配置されている。第1中間導電体MI1は、たとえば金属材料よりなっており、図4に示す第1導電層CL1と図5に示す第3導電層CL3とを含んでいてもよい。
【0045】
第2中間導電体MI2は、第1中間導電体MI1を覆う層間絶縁層IL2上に配置されている。第2中間導電体MI2は、たとえば金属材料よりなっており、図4に示す第2導電層CL2と図5に示す第4導電層CL4とを含んでいてもよい。最上層導電層UCは、第2中間導電体MI2を覆う層間絶縁層IL3上に配置されている。
【0046】
中間導電層MIのレイアウトと複数のpMOSトランジスタTR1との平面視における重なりと、中間導電層MIのレイアウトと複数のpMOSトランジスタTR2との平面視における重なりとが互いに同じであることが好ましい。具体的には第1中間導電体MI1のレイアウトと複数のpMOSトランジスタTR1との平面視における重なりと、第1中間導電体MI1のレイアウトと複数のpMOSトランジスタTR2との平面視における重なりとが互いに同じであることが好ましい。また第2中間導電体MI2のレイアウトと複数のpMOSトランジスタTR1との平面視における重なりと、第2中間導電体MI2のレイアウトと複数のpMOSトランジスタTR2との平面視における重なりとが互いに同じであることが好ましい。
【0047】
最上層導電層UCは、層間絶縁層IL4により覆われていてもよい。層間絶縁層IL4の上にはパッシベーション膜PVが配置されている。パッシベーション膜PVの上には、ポリイミドなどの有機材料よりなる保護膜は配置されていない。このためパッシベーション膜PVの上面には封止樹脂ERが直接接している。つまり本実施形態の半導体パッケージは、ポリイミドレスの構成(有機材料よりなる保護膜がない構成)を有している。
【0048】
なお上記においてはポリイミドレスの構成について説明したが、パッシベーション膜PVと封止樹脂ERとの間に、ポリイミドなどの有機材料よりなる保護膜が配置されていてもよい。この場合には、ポリイミドなどの有機材料よりなる保護膜は、パッシベーション膜PVの上面と封止樹脂ERの下面とに接する。
【0049】
最上層導電層UCの厚みは、たとえば1.5μm以上である。最上層導電層UCの下面とゲート電極GE1、GE2の上面との距離は、たとえば3.5μm以上4.0μm以下である。ゲート電極GE1、GE2の各々の幅は、たとえば0.17μm以上である。
【0050】
<効果>
次に、本実施形態の効果について、図8に示す比較例との対比で説明する。
【0051】
図8に示されるように、半導体パッケージにおいては、封止樹脂ERによる封止時に、封止樹脂ERと半導体チップとの熱膨脹率差に起因して応力が発生し、その応力が半導体基板SBに作用する。この際、封止樹脂ERと半導体基板SBとの間に最上層導電層UCが配置されていると、最上層導電層UCが応力を緩和するバッファーとして機能する。このため、最上層導電層UCが真上に配置された半導体基板SBの部分には、上記応力は作用しにくい。一方、最上層導電層UCが真上に配置されていない半導体基板SBの部分には、上記応力は作用しやすい。
【0052】
図8に示される比較例においては最上層導電層UCが、複数のpMOSトランジスタTR1上と、複数のpMOSトランジスタTR2上とにおいて、不均一に配置されている。具体的には最上層導電層UCは、複数のpMOSトランジスタTR1上には配置されておらず、複数のpMOSトランジスタTR2上に配置されている。
【0053】
このため複数のpMOSトランジスタTR1が配置された半導体基板SBの部分には大きな応力が作用し、複数のpMOSトランジスタTR2が配置された半導体基板SBの部分には小さな応力が作用する。
【0054】
このように複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とに作用する応力が異なる。これにより、本来同じ特性を有するはずの複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とにおいて特性がばらつく。その結果、複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とを有する発振回路において適切な発信周波数を得ることが難しくなる。
【0055】
これに対して本実施形態においては図6に示されるように、複数のpMOSトランジスタTR1と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、複数のpMOSトランジスタTR2と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じである。このため封止樹脂ERによる封止時に、複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とに作用する応力差が小さくなる。よって複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2との特性のばらつきを抑制することができる。これにより複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とを有する発振回路において適切な発信周波数を得ることが容易となる。
【0056】
また本実施形態においては図2および図3に示されるように、発振回路HCは、トランジスタTR1、TR2により構成されるカレントミラー回路を含む。トランジスタTR1、TR2の特性のばらつきを抑制できるため、カレントミラー回路により電流を正確にコピーすることが可能となる。
【0057】
仮にポリイミドのような有機材料よりなる保護膜がパッシベーション膜PVと封止樹脂ERとの間に配置された場合、ポリイミドは、封止樹脂ERの封止時に発生する応力を緩和するバッファーとして機能する。このため図8に示された比較例のように、ポリイミドレスの構成で最上層導電層UCが不均一に配置されると、複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2との各々に作用する応力の差が顕著となる。
【0058】
これに対して本実施形態においては図7に示されるように、最上層導電層UCが複数のpMOSトランジスタTR1上および複数のpMOSトランジスタTR2上の各々に均一に配置されている。つまり複数のpMOSトランジスタTR1と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、複数のpMOSトランジスタTR2と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じである。このためポリイミドレスの構成であっても、複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とに作用する応力差が小さくなる。よって複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2との特性のばらつきを抑制することができる。
【0059】
またポリイミドレスの構成にできるため、本実施形態の半導体装置SDはコスト的に有利である。
【0060】
また本実施形態においては図7に示されるように、最上層導電層UCの下層に中間導電層MIが配置されている。複数のpMOSトランジスタTR1と中間導電層MIのレイアウトとの平面視における重なりと、複数のpMOSトランジスタTR2と中間導電層MIのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じである。これにより複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とに作用する応力差がさらに小さくなる。よって複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2との特性のばらつきをさらに抑制することができる。
【0061】
<変形例>
次に、本実施形態の変形例について図9図19を用いて説明する。
【0062】
図9に示される変形例1のように、最上層導電層UCは、カレントミラー回路の真上領域全体を覆っていてもよい。つまり最上層導電層UCは、カレントミラー回路を構成するpMOSトランジスタTR1、TR2の各々の真上領域全体を覆っていてもよい。この場合、最上層導電層UCは、pMOSトランジスタTR1、TR2の間の素子分離領域SRの真上領域全体を覆っていてもよい。
【0063】
図10に示される変形例2のように、最上層導電層UCは、平面視においてpMOSトランジスタTR1、TR2の各々のチャネル長方向に直線状に延びる矩形状の残しパターンであってもよい。最上層導電層UCの繰り返しパターンは、複数のpMOSトランジスタTR1および複数のpMOSトランジスタTR2の各々の真上領域で、平面視においてスリット形状を構成している。最上層導電層UCは、複数のpMOSトランジスタTR1の真上領域上に位置する第1部分UC1と、複数のpMOSトランジスタTR2の真上領域に位置する第2部分UC2とを有している。第1部分UC1と第2部分UC2とは、カレントミラー回路の真上領域においては互いに分離し、かつ並走してチャネル幅方向に延びている。
【0064】
図11に示される変形例3のように、最上層導電層UCは、平面視において抜きパターンであってもよい。最上層導電層UCの抜きパターンは、矩形および円形の少なくとも一方の形状が抜かれたパターンであってもよい。最上層導電層UCは、平面視において格子形状となるように複数の矩形状の抜きパターンが配置されていてもよい。
【0065】
図12に示される変形例4のように、最上層導電層UCは、平面視において格子形状となるように複数の円形状の抜きパターンが配置されていてもよい。
【0066】
図13に示される変形例5のように、最上層導電層UCは、平面視において残しパターンであってもよい。残しパターンは、矩形および円形の少なくとも一方の形状が繰り返されたパターンであってもよい。最上層導電層UCは、平面視において行列状に配置された複数の矩形状の残しパターンから構成されていてもよい。
【0067】
図14に示される変形例6のように、最上層導電層UCは、平面視において行列状に配置された複数の円形状の残しパターンから構成されていてもよい。
【0068】
図15に示される変形例7のように、最上層導電層UCは、平面視においてカレントミラー回路の真上領域を覆わないように配置されていてもよい。この場合、たとえば最上層導電層UCは、平面視においてカレントミラー回路の真上領域全体を抜かれた抜きパターンであってもよい。
【0069】
また最上層導電層UCの繰り返しパターンは、上記格子形状以外に市松模様形状であってもよい。
【0070】
図9図15に示される変形例1~7においても、複数のpMOSトランジスタTR1と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、複数のpMOSトランジスタTR2と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じである。このため上記実施形態と同様、複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2との特性のばらつきを抑制することができる。これにより複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2とを有する発振回路において適切な発信周波数を得ることが容易となる。
【0071】
また図16に示されるように、複数のpMOSトランジスタTR1と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、複数のpMOSトランジスタTR2と最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに対称であってもよい。対称は、平面視において線対称であってもよく、また点対称であってもよい。線対称である場合、複数のpMOSトランジスタTR1と複数のpMOSトランジスタTR2との中間位置を通る仮想の線SLに対して断面視においても線対称であることが好ましい。
【0072】
また上記においては発振回路HCに含まれるpMOSトランジスタTR1、TR2の各々と最上層導電層UCとの平面視における重なりについて説明したが、最上層導電層UCと発振回路HCに含まれる抵抗との平面視における重なりについても同様である。
【0073】
つまり図17に示されるように、抵抗RAと最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりと、抵抗RBと最上層導電層UCのレイアウトとの平面視における重なりとが互いに同じまたは互いに対称であってもよい。
【0074】
たとえば不純物を導入された多結晶シリコンよりなる配線CLA中に抵抗RAが形成される場合、抵抗RA(図17中のハッチング領域)は、配線CLA中の配線となる部分よりも不純物濃度が低くなるように設定されている。またたとえば不純物を導入された多結晶シリコンよりなる配線CLB中に抵抗RBが形成される場合、抵抗RB(図17中のハッチング領域)は、配線CLUB中の配線となる部分よりも不純物濃度が低くなるように設定されている。
【0075】
また抵抗RAは、配線CLAの配線となる部分よりも幅または厚みが小さくなるように設定されていてもよい。また抵抗RBは、配線CLBの配線となる部分よりも幅または厚みが小さくなるように設定されていてもよい。
【0076】
抵抗RAと抵抗RBとは互いに同じ構成を有している。ここで互いに同じ構成を有するとは、設計上同じ構成を有することを意味し、実際の製造上における製造誤差(イオン注入による不純物濃度分布の誤差、写真製版・エッチングによるパターニング形状の誤差など)による相違を含む意味である。
【0077】
また抵抗RAと抵抗RBとは、互いに同じ構造となるような精度で形成されることが必要な素子であり、相対的な精度が必要とされる素子である。
【0078】
図18に示されるように、抵抗RA、RBの各々は、たとえば素子分離領域SRの真上に位置している。素子分離領域SRは、STIであってもよく、LOCOSであってもよい。
【0079】
図17および図18の構成とすることにより、抵抗RAに作用する応力と抵抗RBに作用する応力との差が小さくなる。よって抵抗RAと抵抗RBとの特性のばらつきを抑制することができる。これにより抵抗RAと抵抗RBとを有する発振回路において適切な発信周波数を得ることが容易となる。
【0080】
上記の実施形態および変形例におけるpMOSトランジスタTR1、TR2の各々は、nMOSトランジスタであってもよく、またMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタであってもよい。
【0081】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0082】
AR1,AR2 活性領域、BI 充填絶縁層、CD コンデンサ、CDS 充放電切替部、CL1 第1導電層、CL2 第2導電層、CL3 第3導電層、CL4 第4導電層、CLA,CLUB 配線、CO,CP コンパレータ、DR1,DR2 ドレイン、ER 封止樹脂、FM1,FM2 フラッシュメモリ回路、FR1,FR2 形成領域、GE1,GE2 ゲート電極、GI1,GI2 ゲート絶縁層、HC 発振回路、IL1~IL4 層間絶縁層、IR1,IR2 不純物領域、LC ロジック回路、MI 中間導電層、MI1 第1中間導電体、MI2 第2中間導電体、PV パッシベーション膜、R1~R4,RA,RB 抵抗、SB 半導体基板、SD 半導体装置、SM SRAM回路、SO1,SO2 ソース、SR 素子分離領域、SV 基準電圧回路、SW1,SW2 側壁絶縁層、TR1~TR8 トランジスタ、TRE 溝、UC 最上層導電層、UC1 第1部分、UC2 第2部分。
図1
図2
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図4
図5
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