(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178933
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】フィーダ段取り作業支援装置、部品実装システムおよびフィーダ段取り作業支援方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20221125BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086073
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】粟野 之也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC05
5E353EE23
5E353HH12
5E353HH13
5E353KK01
5E353KK11
5E353LL01
5E353NN18
5E353QQ05
5E353QQ08
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援する。
【解決手段】部品供給位置Leを含む画像がカメラ65によって撮像されて画面661に表示される(例えば、
図6の「高倍率」の欄)。したがって、作業者は、この画面661を目視することで部品供給位置を確認することができる。ただし、画面661に表示する範囲が部品供給位置Leに対して適切でないために、例えば部品供給位置Leの一部が画面661の外にはみ出したり、画面661において部品供給位置Leが示される範囲が狭すぎたりする場合がある(例えば、
図6の「低倍率」の欄)。そこで、表示対象である部品供給位置Leに関連するフィーダ幅情報Iw(表示対象情報)に基づき、画面661に表示する範囲が調整される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納する部品収納テープを搬送方向に搬送することで部品供給位置に部品を供給するフィーダにおける前記部品収納テープの位置を調整することで、前記部品収納テープ内の部品と前記部品供給位置との位置関係を調整するフィーダ段取り作業を支援するフィーダ段取り作業支援装置であって、
前記フィーダが着脱可能に装着されるフィーダ装着部と、
前記フィーダ装着部に装着された前記フィーダの前記部品供給位置を含む画像をカメラによって撮像して画面に表示する撮像表示部と
を備え、
前記撮像表示部は、表示対象である前記部品供給位置に関連する表示対象情報に基づき、前記画面に表示する範囲を調整するフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項2】
前記表示対象情報は、前記フィーダの幅を示すフィーダ幅情報を含み、
前記撮像表示部は、前記フィーダ幅情報が示す前記フィーダの幅に基づき、前記画面に表示する範囲を調整する請求項1に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項3】
前記フィーダは、前記フィーダ幅情報を記憶する記憶部を有し、
前記撮像表示部は、前記フィーダ装着部に装着された前記フィーダの記憶部から前記フィーダ幅情報を読み取ることで、前記フィーダ幅情報を取得する請求項2に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項4】
前記フィーダは、前記部品供給位置に前記部品収納テープを案内するテープガイドを有し、
前記撮像表示部は、前記カメラによって前記テープガイドを撮像した結果が示す前記テープガイドの幅を前記フィーダの幅として抽出することで、前記フィーダ幅情報を取得する請求項2に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項5】
前記表示対象情報は、前記部品供給位置に供給される部品のサイズを示す部品サイズ情報を含み、
前記撮像表示部は、前記部品サイズ情報が示す部品のサイズに基づき、前記画面に表示する範囲を調整する請求項1ないし4のいずれか一項に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項6】
前記部品収納テープを保持する部品供給リールに付されて、前記部品収納テープに収納される部品を識別する部品IDを読み取る読取部をさらに備え、
前記撮像表示部は、前記読取部が読み取った前記部品IDに含まれる前記部品サイズ情報を取得する請求項5に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項7】
前記表示対象情報は、前記部品収納テープの幅を示すテープ幅情報を含み、
前記撮像表示部は、前記テープ幅情報が示す前記部品収納テープの幅に基づき、前記画面に表示する範囲を調整する請求項1に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項8】
前記撮像表示部は、前記カメラによって前記部品供給位置を撮像する倍率を変更することで、前記画面に表示する範囲を調整する請求項1ないし7のいずれか一項に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項9】
前記撮像表示部は、第1倍率で撮像を行う第1カメラと、前記第1倍率より高い第2倍率で撮像を行う第2カメラとのそれぞれを前記カメラとして有し、前記部品供給位置を含む画像の撮像を前記第1カメラと前記第2カメラとを使い分けて実行することで、前記カメラによって前記部品供給位置を撮像する倍率を変更する請求項8に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項10】
前記フィーダ装着部に装着された前記フィーダに前記部品収納テープの搬送を実行させるフィーダ制御部をさらに備え、
前記フィーダ制御部は、前記撮像表示部の前記カメラにより前記部品供給位置を撮像した画像に基づき前記部品収納テープの前記搬送方向の位置を前記フィーダによって調整することで、前記部品供給位置に対して設けられた所定の初期位置に前記部品収納テープを位置させる頭出しを実行する請求項1ないし9のいずれか一項にフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項11】
前記部品収納テープは、所定ピッチで配列された複数のポケットを有し、前記複数のポケットのうち先端から所定範囲の前記ポケットは部品を収納せず、前記所定範囲より後端側の前記ポケットは部品を収納し、
前記頭出しによって前記部品収納テープが前記初期位置に位置決めされることで、前記所定範囲の前記ポケットのうち、最も後端側の前記ポケットが前記部品供給位置に位置する請求項10に記載のフィーダ段取り作業支援装置。
【請求項12】
フィーダによって部品供給位置に供給した部品を実装ヘッドによって基板に移載することで基板に部品を実装する部品実装機と、
請求項1ないし11のいずれか一項に記載のフィーダ段取り作業支援装置と
を備える部品実装システム。
【請求項13】
部品を収納する部品収納テープを搬送方向に搬送することで部品供給位置に部品を供給するフィーダにおける前記部品収納テープの位置を調整することで、前記部品収納テープ内の部品と前記部品供給位置との位置関係を調整するフィーダ段取り作業を支援するフィーダ段取り作業支援方法であって、
フィーダ装着部に装着された前記フィーダの前記部品供給位置を含む画像をカメラによって撮像する工程と、
前記部品供給位置を含む画像をカメラによって撮像して画面に表示する工程と
を備え、
表示対象である前記部品供給位置に関連する表示対象情報に基づき、前記画面に表示する範囲が調整されるフィーダ段取り作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品を収納する部品収納テープを搬送方向に搬送することで部品供給位置に部品を供給するフィーダにおける部品収納テープの位置を調整することで、部品収納テープ内の部品と部品供給位置との位置関係を調整するフィーダ段取り作業に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装機では、所定のピッチで配列された複数のポケットに部品を収納した部品収納テープを用いて部品の供給が実行される。具体的には、特許文献1-3に記載されているように、部品供給リールから引き出した部品収納テープをフィーダにより搬送することで、部品収納テープに収納された部品が部品供給位置に供給される。特に、特許文献1、2では、フィーダにセットした部品収納テープの先端部分を部品供給位置に送るフィーダ段取り作業を実行する作業者を支援する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2020/065752
【特許文献2】特開2014-241344号公報
【特許文献3】WO2020/065752
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフィーダ段取り作業は、例えばフィーダにセットした部品収納テープを送って部品収納テープの先頭の部品を部品供給位置に位置させてから、部品収納テープを1ピッチだけ戻すことで実行される。そのため、作業者は、部品供給位置まで部品が送られたことを目視で確認する必要がある。そこで、フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援する技術が求められていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフィーダ段取り作業支援装置は、部品を収納する部品収納テープを搬送方向に搬送することで部品供給位置に部品を供給するフィーダにおける部品収納テープの位置を調整することで、部品収納テープ内の部品と部品供給位置との位置関係を調整するフィーダ段取り作業を支援するフィーダ段取り作業支援装置であって、フィーダが着脱可能に装着されるフィーダ装着部と、フィーダ装着部に装着されたフィーダの部品供給位置を含む画像をカメラによって撮像して画面に表示する撮像表示部とを備え、撮像表示部は、表示対象である部品供給位置に関連する表示対象情報に基づき、画面に表示する範囲を調整する。
【0007】
本発明に係るフィーダ段取り作業支援方法は、部品を収納する部品収納テープを搬送方向に搬送することで部品供給位置に部品を供給するフィーダにおける部品収納テープの位置を調整することで、部品収納テープ内の部品と部品供給位置との位置関係を調整するフィーダ段取り作業を支援するフィーダ段取り作業支援方法であって、フィーダ装着部に装着されたフィーダの部品供給位置を含む画像をカメラによって撮像する工程と、部品供給位置を含む画像をカメラによって撮像して画面に表示する工程とを備え、表示対象である部品供給位置に関連する表示対象情報に基づき、画面に表示する範囲が調整される。
【0008】
このように構成された本発明(フィーダ段取り作業支援装置、フィーダ段取り作業支援方法)では、部品供給位置を含む画像がカメラによって撮像されて画面に表示される。したがって、作業者は、この画面を目視することで部品供給位置を確認することができる。ただし、画面に表示する範囲が部品供給位置に対して適切でないために、例えば部品供給位置の一部が画面の外にはみ出したり、画面において部品供給位置が示される範囲が狭すぎたりする場合がある。そこで、本発明は、表示対象である部品供給位置に関連する表示対象情報に基づき、画面に表示する範囲を調整する。これによって、部品供給位置に対して適切な範囲を画面に表示することができる。こうして、フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となっている。
【0009】
また、表示対象情報は、フィーダの幅を示すフィーダ幅情報を含み、撮像表示部は、フィーダ幅情報が示すフィーダの幅に基づき、画面に表示する範囲を調整するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。つまり、フィーダの幅に応じて、フィーダの部品供給位置が異なるため、画面に表示すべき範囲が変わる。そこで、上記のように構成することで、幅の異なる複数のタイプのフィーダそれぞれについて、部品供給位置に対して適切な範囲を画面に表示することができる。
【0010】
また、フィーダは、フィーダ幅情報を記憶する記憶部を有し、撮像表示部は、フィーダ装着部に装着されたフィーダの記憶部からフィーダ幅情報を読み取ることで、フィーダ幅情報を取得するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、フィーダ段取り作業のためにフィーダ装着部に装着されたフィーダの幅を的確に取得して、このフィーダの部品供給位置に対して適切な範囲を画面に表示することができる。
【0011】
また、フィーダは、部品供給位置に部品収納テープを案内するテープガイドを有し、撮像表示部は、カメラによってテープガイドを撮像した結果が示すテープガイドの幅をフィーダの幅として抽出することで、フィーダ幅情報を取得するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、フィーダ幅情報が予め準備されていない状況であっても、フィーダの幅を確実に取得することができる。
【0012】
また、表示対象情報は、部品供給位置に供給される部品のサイズを示す部品サイズ情報を含み、撮像表示部は、部品サイズ情報が示す部品のサイズに基づき、画面に表示する範囲を調整するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、部品供給位置に供給される部品のサイズに応じて、画面に表示される範囲が調整される。これによって、フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となる。
【0013】
また、部品収納テープを保持する部品供給リールに付されて、部品収納テープに収納される部品を識別する部品IDを読み取る読取部をさらに備え、撮像表示部は、読取部が読み取った部品IDに含まれる部品サイズ情報を取得するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、フィーダ段取り作業の対象となるフィーダによって部品供給位置に供給する部品のサイズを的確に取得して、このフィーダの部品供給位置に供給される部品に対して適切な範囲を画面に表示することができる。
【0014】
また、表示対象情報は、部品収納テープの幅を示すテープ幅情報を含み、撮像表示部は、テープ幅情報が示す部品収納テープの幅に基づき、画面に表示する範囲を調整するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。つまり、部品収納テープの幅に応じて、当該部品収納テープの搬送に使用されるフィーダの幅が変わりうる。これに対して、フィーダの幅に応じて、フィーダの部品供給位置が異なるため、画面に表示すべき範囲が変わる。そこで、上記のように構成することで、部品収納テープの幅に応じたフィーダの幅の違いに対応しつつ、部品供給位置に対して適切な範囲を画面に表示することができる。
【0015】
また、撮像表示部は、カメラによって部品供給位置を撮像する倍率を変更することで、画面に表示する範囲を調整するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、部品供給位置を適切な倍率で撮像した画像を画面に表示することができる。
【0016】
具体的には、撮像表示部は、第1倍率で撮像を行う第1カメラと、第1倍率より高い第2倍率で撮像を行う第2カメラとのそれぞれをカメラとして有し、部品供給位置を含む画像の撮像を第1カメラと第2カメラとを使い分けて実行することで、カメラによって部品供給位置を撮像する倍率を変更するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。
【0017】
また、フィーダ装着部に装着されたフィーダに部品収納テープの搬送を実行させるフィーダ制御部をさらに備え、フィーダ制御部は、撮像表示部のカメラにより部品供給位置を撮像した画像に基づき部品収納テープの搬送方向の位置をフィーダによって調整することで、部品供給位置に対して設けられた所定の初期位置に部品収納テープを位置させる頭出しを実行するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、フィーダ制御部がフィーダを制御することで部品収納テープを搬送して頭出しを行う。そのため、作業者の作業負担の軽減を図ることができる。
【0018】
また、部品収納テープは、所定ピッチで配列された複数のポケットを有し、複数のポケットのうち先端から所定範囲のポケットは部品を収納せず、所定範囲より後端側のポケットは部品を収納し、頭出しによって部品収納テープが初期位置に位置決めされることで、所定範囲のポケットのうち、最も後端側のポケットが部品供給位置に位置するように、フィーダ段取り作業支援装置を構成してもよい。
【0019】
本発明に係る部品実装システムは、フィーダによって部品供給位置に供給した部品を実装ヘッドによって基板に移載することで基板に部品を実装する部品実装機と、上記のフィーダ段取り作業支援装置とを備える。したがって、フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、フィーダの部品供給位置を作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る部品実装システムの一例の構成を模式的に示す平面図。
【
図3】フィーダによって供給する部品を収納する部品供給テープの構成を模式的示す平面図。
【
図4】フィーダおよびフィーダ段取り作業台を模式的に示す図。
【
図6】カメラにより撮像した画像の表示動作の一例を模式的に示す図。
【
図7】フィーダ段取り作業台を用いた作業者によるフィーダ段取り作業の一例を示すフローチャート。
【
図8】フィーダ段取り作業台により実行されるフィーダ段取り作業支援の第1例を示すフローチャート。
【
図9】
図8のフィーダ段取り作業支援において参照されるテーブルの一例を示す図。
【
図10】フィーダ段取り作業台により実行されるフィーダ段取り作業支援の第2例での動作を模式的に示す図。
【
図11】フィーダ段取り作業台の変形例を模式的に示す図。
【
図12】
図11の変形例にかかるフィーダ段取り作業台のカメラの撮像視野を模式的に示す図。
【
図13】フィーダ段取り作業台によって自動的に実行される頭出しの一例を示すフローチャート。
【
図14】フィーダ段取り作業台により実行されるフィーダ段取り作業支援の第3例での動作を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明に係る部品実装システムの一例の構成を模式的に示す平面図である。
図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。この部品実装システム1は、部品実装機10と、フィーダ段取り作業台6とを有する。フィーダ段取り作業台6の詳細は後述することとし、部品実装機10について先に説明する。
【0023】
部品実装機10は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する搬送部12を備える。この搬送部12は、X方向に並列に配置された一対のコンベア121を基台11上に有し、コンベア121によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア121の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、搬送部12は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア121の間隔を調整する。この搬送部12は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の作業位置123に搬入するとともに、作業位置123で部品Eが実装された基板Bを作業位置123からX方向の下流側に搬出する。
【0024】
搬送部12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部21がX方向に並んでおり、各部品供給部21では、複数のフィーダ5がX方向に並ぶ。各フィーダ5は、部品供給部21に着脱可能に装着されており、搬送部12側の先端部に有する部品供給位置Leに部品Eを供給する。かかるフィーダ5の構成については、後述する。
【0025】
また、部品実装機10では、Y方向に延びる一対のY軸レール31と、Y方向に延びるY軸ボールネジ32と、Y軸ボールネジ32を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、X軸レール34が一対のY軸レール31にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ32のナットに固定されている。X軸レール34には、X方向に延びるX軸ボールネジ35と、X軸ボールネジ35を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット4がX軸レール34にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ35のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ32を回転させてヘッドユニット4をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ35を回転させてヘッドユニット4をX方向に移動させることができる。
【0026】
ヘッドユニット4は、X方向に直線状に並ぶ複数(3本)の実装ヘッド41を有し、X軸モーターMxおよびY軸モーターMyによってX方向およびY方向へと駆動される。各実装ヘッド41は、下端に有するノズルにより部品Eを吸着することで、部品供給位置Leに供給された部品Eを作業位置123の基板Bに実装する。
【0027】
図2はフィーダの構成を模式的に示す斜視図であり、
図3はフィーダによって供給する部品を収納する部品供給テープの構成を模式的示す平面図であり、
図4はフィーダおよびフィーダ段取り作業台を模式的に示す図である。これらの図では、フィード方向Dfと幅方向Dwとが示されている。フィード方向Dfは、フィーダ5が部品収納テープ72を搬送する方向であり、幅方向Dwはフィード方向Dfに直交する方向であり、フィード方向Dfおよび幅方向Dwはいずれも水平に設けられている。また、フィード方向Dfの両側のうち、部品供給のためにフィーダ5が部品収納テープ72を送る側をフィード方向Dfの順方向Df1とし、フィード方向Dfの逆側をフィード方向Dfの逆方向Df2として取り扱う。
【0028】
フィーダ5は、フィーダ本体51を有し、フィーダ本体51に対しては、部品供給リール71が着脱可能に装着される。この部品供給リール71には、部品収納テープ72が巻き付けられている。部品収納テープ72は、フィード方向Dfに所定のピッチPaで一列に配列された複数のポケット721を有し、ポケット721に部品Eが収納されている。この部品収納テープ72は、幅方向Dwにおいて幅Wtを有する。また、部品収納テープ72のうち、順方向Df1側の先端から所定範囲はリード部72lであり、リード部72lに属する各ポケット721は、部品Eを収納しない空ポケット721である。すなわち、複数のポケット721のうち、リード部72lよりも逆方向Df2側のポケット721に部品Eが収納される。部品Eとしては、例えば、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等のチップ部品が挙げられる。
【0029】
かかる部品収納テープ72を保持する部品供給リール71の側面には、部品収納テープ72に収納される部品Eを識別する部品ID711が付されている。部品ID711は、例えばバーコードで構成され、部品収納テープ72に収納される部品Eの個数,種類およびサイズや、ポケット721の配列ピッチPa等を示す。例えば、部品Eが直方形状のチップ部品である場合には、少なくとも部品Eの幅が当該部品Eのサイズとして示される。かかる部品供給リール71は、フィーダ本体51によって回転可能に支持される。
【0030】
また、フィーダ5は、フィーダ本体51の上部に取り付けられたテープガイド52を有する。このテープガイド52の順方向Df1側の先端部には、部品供給位置Leが設けられており、テープガイド52は、部品供給リール71から引き出された部品収納テープ72を部品供給位置Leに案内する。このテープガイド52は幅方向Dwに所定の幅Wfを有し、テープガイド52の幅Wfがフィーダ5の幅に相当する。
【0031】
さらに、フィーダ本体51内には、テープガイド52によって案内される部品収納テープ72に係合するスプロケット54と、スプロケット54を回転させるフィードモーターMfと、フィードモーターMfを制御する電子回路基板である制御基板55とが設けられている。そして、制御基板55がフィードモーターMfによってスプロケット54を回転させることで、部品収納テープ72をフィード方向Dfに搬送する。特に、フィーダ本体51の背面には、操作パネル56が設けられており、制御基板55は、作業者による操作パネル56の操作に応じてフィードモーターMfを制御することで、部品収納テープ72をフィード方向Dfに搬送する。また、制御基板55は、フィーダ5の幅Wfを示すフィーダ幅情報Iwを記憶する。
【0032】
フィーダ本体51の順方向Df1側の端には、それぞれフィード方向Dfに垂直な前端面511、512が設けられている。前端面511は、前端面512より上側に位置し、前端面512に対して順方向Df1側に突出する。この前端面511には、当該前端面511から順方向Df1へ突出する複数(2個)の位置決め突起53が設けられている。複数の位置決め突起53は、鉛直方向に配列されており、幅方向Dwにおけるテープガイド52の中心を通って鉛直方向に平行な仮想中心線Cwに対して、幅方向Dwに偏っている。その結果、幅方向Dwにおいて、位置決め突起53は、部品供給位置Leの中心に対して偏っている。なお、部品供給位置Leの中心とは、部品供給位置Leに位置決めされたポケット721の幅方向Dwにおける中心として例えば求めることができる。また、前端面512には、制御基板55とフィーダ段取り作業台6とを電気的に接続するためのコネクタ57が設けられている。
【0033】
図4に示すように、フィーダ段取り作業台6は本体61を備え、本体61は、フィーダ段取り作業台6に装着されたフィーダ5を支持するテーブル611と、地面に対してテーブル611を支える脚部材612と、テーブル611から上方へ立設されたフレーム613とを有する。テーブル611の上面にはコネクタ62が設けられ、フレーム613の背面には、複数(2個)の位置決め孔614が設けられている。作業者は、フィーダ5のコネクタ57をフィーダ段取り作業台6のコネクタ62に接続しつつ、フィーダ5の複数の位置決め突起53をフィーダ段取り作業台6の複数の位置決め孔614に係合させることで、フィーダ段取り作業台6に対してフィーダ5を位置決めする。こうして、フィーダ5は、フィーダ段取り作業台6に位置決めされた状態で、フィーダ段取り作業台6に対して着脱可能に装着される。なお、フィーダ5とフィーダ段取り作業台6とを位置決めする態様は、ここの例に限られず、フィーダ5に設けた孔とフィーダ段取り作業台6に設けた突起とを係合させてこれらを位置決めしてもよい。
【0034】
また、フィーダ段取り作業台6はコンピュータ63を備え、コンピュータ63は演算部631と記憶部632とを有する。演算部631は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成され、記憶部632は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。このコンピュータ63は、コネクタ62、57を介してフィーダ5の制御基板55と通信を行う。
【0035】
また、フィーダ段取り作業台6は、スキャナ64を備える。スキャナ64は、部品ID711を読み取る例えばバーコードスキャナである。したがって、作業者が部品供給リール71の部品ID711にスキャナ64を対向させると、スキャナ64が部品ID711を読み取って、コンピュータ63に送信する。
【0036】
さらに、フィーダ段取り作業台6は、カメラ65とディスプレイ66とを有する。カメラ65は、部品供給位置Leに上方から対向するようにフレーム613に取り付けられて、部品供給位置Leの画像を上方から撮像する。ディスプレイ66は、フレーム613の上端に取り付けられて、カメラ65が撮像した画像を画面661に表示する。カメラ65による撮像と、ディスプレイ66による表示は、コンピュータ63によって制御される。具体的には、コンピュータ63は、カメラ65が撮像した画像を取得して、ディスプレイ66の画面661にこの画像を表示させる。
【0037】
図5はカメラの撮像視野を模式的に示す図であり、
図6はカメラにより撮像した画像の表示動作の一例を模式的に示す図である。
図5に示すように、カメラ65の撮像視野Vは、フィーダ5の部品供給位置Leを含むように設けられており、カメラ65は撮像視野V内の画像を撮像することができる。また、カメラ65が撮像した画像をディスプレイ66の画面661に表示する倍率は、
図6に示すように変更することができる。
図6の「低倍率」の欄では、低倍率で部品供給位置Leがディスプレイ66の画面661に表示されており、ディスプレイ66の画面661において部品供給位置Leが占める範囲は狭い。一方、
図6の「高倍率」の欄では、低倍率より高い高倍率で部品供給位置Leがディスプレイ66の画面661に表示されており、ディスプレイ66の画面661において部品供給位置Leが占める範囲が低倍率でのそれと比較して拡大されている。このように、画面661に表示する倍率の変更によって画面661への表示範囲を調整でき、具体的には、倍率を高くすることで、より狭い表示範囲を拡大して表示することができる。この画面661に表示する倍率の変更は、カメラ65によって部品供給位置Leを撮像する倍率の変更(すなわち、光学ズーム)によって実行できる。これによって、部品供給位置Leを適切な倍率で撮像した画像を画面661に表示することができる。ただし、画面661に表示する倍率の変更は、コンピュータ63による画像処理(すなわち、デジタルズーム)によっても実行できることは言うまでもない。
【0038】
図7はフィーダ段取り作業台を用いた作業者によるフィーダ段取り作業の一例を示すフローチャートである。ステップS101では、作業者は、フィーダ5をフィーダ段取り作業台6に装着する。これによって、フィーダ5がフィーダ段取り作業台6に対して位置決めされ、フィーダ5の制御基板55とフィーダ段取り作業台6のコンピュータ63との通信が可能となる。
【0039】
ステップS102では、作業者はフィーダ5に新たに装着した部品供給リール71に付された部品ID711を、スキャナ64を用いて読み取る。これによって、コンピュータ63は、スキャナ64により読み取られた部品ID711が示す情報を取得する。また、このステップS102では、作業者は、部品供給リール71から引き出した部品収納テープ72をスプロケット54に係合させる。
【0040】
ステップS103では、作業者は、画面661に表示された部品供給位置Leを確認しながら、フィーダ5の操作パネル56を操作する。具体的には、作業者は、操作パネル56を操作することで部品収納テープ72を順方向Df1に搬送しつつ、部品供給位置Leの画像を画面661で確認する。上述の通り、部品収納テープ72の先端から所定範囲はリード部72lであるため、最初のうちは、空のポケット721が部品供給位置Leに順に到達する様子が画面661に表示される。そして、リード部72lが部品供給位置Leを通過すると、部品Eを収納するポケット721が部品供給位置Leに到達する。これに対して、作業者は、部品供給位置Leに到達した部品Eを画面661により確認すると、部品収納テープ72の搬送を停止する。これによって、部品収納テープ72に収納された複数の部品Eのうち、順方向Df1の先端の部品Eが部品供給位置Leに位置決めされる。
【0041】
ステップS104では、作業者は操作パネル56のオフセットの実行ボタンを操作し、フィーダ段取り作業台6にオフセットを実行させる。このオフセットについては、次に詳述する。
【0042】
図8はフィーダ段取り作業台により実行されるフィーダ段取り作業支援の第1例を示すフローチャートであり、
図9は
図8のフィーダ段取り作業支援において参照されるテーブルの一例を示す図である。
図8のフィーダ段取り作業支援は、
図7に示す作業者によるフィーダ段取り作業と並行して、コンピュータ63の演算部631による制御に基づき実行される。
【0043】
ステップS201では、コンピュータ63は、フィーダ5がフィーダ段取り作業台6に装着されたかを確認する。フィーダ5の装着は、コネクタ62、57を介した制御基板55との通信の開始に基づき確認できる。ステップS202では、コンピュータ63は、フィーダ幅情報Iwを制御基板55から取得する。これによって、コンピュータ63は、フィーダ段取り作業台6に装着されたフィーダ5の幅Wfを確認できる。
【0044】
ステップS203では、演算部631は、フィーダ幅情報Iwに基づき部品供給位置Leの存在範囲を確認する。この部品供給位置Leの存在範囲の確認は、
図9のテーブルTwrを用いて実行される。このテーブルTwrは、フィーダ5の幅Wf(n)と、当該フィーダ5の部品供給位置Leの存在範囲R(n)との対応関係を示す(n=1、2、3、…)。存在範囲R(n)は、例えば、部品供給位置Leの中心座標と、幅方向Dwへの幅とを示す。このようなテーブルTwrは、作業者等によって求められて、記憶部632に予め保存されている。
【0045】
そこで、演算部631は、フィーダ幅情報Iwが示す幅Wfに対応する存在範囲R(n)をテーブルTwrから特定することで、部品供給位置Leの存在範囲R(n)を取得する。このように部品供給位置Leの存在範囲Rを取得する理由の1つは、幅方向Dwにおいて、位置決め突起53が仮想中心線Cwに対して偏っている点にある。つまり、位置決め突起53が偏っているため、カメラ65と部品供給位置Leとの位置関係は、フィーダ5の幅Wfに依存して大きく変動する。これに対応して部品供給位置Leを的確に撮像・表示するために、部品供給位置Leの存在範囲R(n)が取得される。
【0046】
ステップS204では、演算部631は、画面661への表示範囲が部品供給位置Leの存在範囲R(n)にフィットするように、部品供給位置Leの存在範囲R(n)に応じて画面661への表示範囲を調整する。そして、ステップS205では、ステップS204で設定された表示範囲が画面661に表示される。例えば、ステップS204で表示範囲を調整しない場合には、
図6の「低倍率」の欄に示すような表示範囲が画面661に表示されるのに対して、ステップS204で表示範囲を調整することで、
図6の「高倍率」の欄に示すような表示範囲が画面661に表示される。
【0047】
ステップS206では、演算部631は、スキャナ64による部品ID711の読み取りの有無を確認する。そして、演算部631は、スキャナ64により読み取られた部品ID711を取得すると(ステップS206で「YES」)、この部品ID711が示すピッチPaを取得する(ステップS207)。
【0048】
ステップS208では、演算部631は、操作パネル56のオフセットの実行ボタンが操作されたか否かを確認する。そして、演算部631は、オフセットの実行ボタンの操作を確認すると(ステップS208で「YES」)、ピッチPaだけ部品収納テープ72を逆方向Df2に搬送させる指令を制御基板55に送信する。この指令を受信した制御基板55は、フィードモーターMfによってスプロケット54を回転させることで、部品収納テープ72をピッチPaだけ逆方向Df2に搬送する。なお、上記のステップS103、S104の説明のように、部品収納テープ72に収納された複数の部品Eのうち、順方向Df1の先端の部品Eが部品供給位置Leに位置決めされた状態で、オフセットの実行ボタンが操作される。したがって、ステップS209でオフセットを実行することで、リード部72lのポケット721のうち、最も逆方向Df2側(後端側)の空のポケット721が部品供給位置Leに位置することとなる。
【0049】
以上に説明する実施形態では、部品供給位置Leを含む画像がカメラ65によって撮像されて画面661に表示される(例えば、
図6の「高倍率」の欄)。したがって、作業者は、この画面661を目視することで部品供給位置Leを確認することができる。ただし、画面661に表示する範囲が部品供給位置Leに対して適切でないために、例えば部品供給位置Leの一部が画面661の外にはみ出したり、画面661において部品供給位置Leが示される範囲が狭すぎたりする場合がある(例えば、
図6の「低倍率」の欄)。そこで、上記の実施形態では、表示対象である部品供給位置Leに関連するフィーダ幅情報Iw(表示対象情報)に基づき、画面661に表示する範囲が調整される。これによって、部品供給位置Leに対して適切な範囲を画面661に表示することができる。こうして、フィーダ5の部品供給位置Leを作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となっている。
【0050】
また、コンピュータ63は、フィーダ幅情報Iwが示すフィーダ5の幅Wfに基づき、画面661に表示する範囲を調整する。つまり、フィーダ5の幅Wfに応じて、フィーダ5の部品供給位置Leが異なるため、画面661に表示すべき範囲が変わる。そこで、上記のように構成することで、幅Wfの異なる複数のタイプのフィーダ5それぞれについて、部品供給位置Leに対して適切な範囲を画面661に表示することができる。
【0051】
また、フィーダ5は、フィーダ幅情報Iwを記憶する制御基板55(記憶部)を有する。これに対して、コンピュータ63は、フィーダ段取り作業台6の本体61(フィーダ装着部)に装着されたフィーダ5の制御基板55からフィーダ幅情報Iwを読み取ることで、フィーダ幅情報Iwを取得する。かかる構成では、フィーダ段取り作業のためにフィーダ段取り作業台6の本体61に装着されたフィーダ5の幅Wfを的確に取得して、このフィーダ5の部品供給位置Leに対して適切な範囲を画面661に表示することができる。
【0052】
図10はフィーダ段取り作業台により実行されるフィーダ段取り作業支援の第2例での動作を模式的に示す図である。ここでは、第1例との違いを中心に説明することとし、共通する部分については相当符号を付して説明を適宜省略する。
図10における部品供給位置Leに対する部品El、Esのサイズの比から分かるように、幅方向Dwにおいて、
図10の「大部品」の欄に示す部品Elの幅Weより、
図10の「小部品」の欄に示す部品Esの幅Weの方が小さい。
【0053】
これに対して、
図10に示す第2例では、部品El、Esの幅Weに応じて画面661への表示範囲を変更している。つまり、演算部631は、部品ID711を取得すると、部品ID711が示す部品Eの幅Weを確認する。そして、カメラ65によって撮像して画面661に表示する表示範囲を、部品Eの幅Weに応じて調整する。具体的には、幅Weの大きな部品El(大部品)を表示するときの倍率より、大部品Elと比較して幅Weの小さな部品Es(小部品)を表示するときの倍率を高くする。これによって、大部品Elを表示するときの表示範囲より、小部品Esを表示するときの表示範囲を絞って、小部品Esを拡大表示することができる。
【0054】
このように第2例では、コンピュータ63は、部品ID711(部品サイズ情報)が示す部品Eの幅Weに基づき、画面661に表示する範囲を調整する。かかる構成では、部品供給位置Leに供給される部品El、Esの幅Weに応じて、画面661に表示される範囲が調整される。これによって、フィーダ5の部品供給位置Leに供給される部品El、Esを作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となる。
【0055】
また、コンピュータ63は、スキャナ64(読取部)が読み取った部品ID711が示す部品El、Esの幅Weを取得する。かかる構成では、フィーダ段取り作業の対象となるフィーダ5によって部品供給位置Leに供給する部品El、Esのサイズを的確に取得して、このフィーダ5の部品供給位置Leに供給される部品El、Esに対して適切な範囲を画面661に表示することができる。
【0056】
図11はフィーダ段取り作業台の変形例を模式的に示す図であり、
図12は
図11の変形例にかかるフィーダ段取り作業台のカメラの撮像視野を模式的に示す図である。この変形例にかかるフィーダ段取り作業台6は、2台のカメラ65a、65bを備える点で、上記のフィーダ段取り作業台6と異なる一方、他の点では上記のフィーダ段取り作業台6と共通する。
【0057】
2台のカメラ65a、65bのうち、カメラ65aは低倍率で部品供給位置Leを撮像する低倍率カメラであり、カメラ65bは、カメラ65aよりも高倍率で部品供給位置Leを撮像する高倍率カメラである。かかる倍率の違いに応じて、カメラ65aの撮像視野Vaよりもカメラ65bの撮像視野Vbは狭い。なお、撮像視野Va、Vbはいずれも部品供給位置Leを含み、撮像視野Vbは撮像視野Vaに含まれる。そして、コンピュータ63は、カメラ65a、65bのうち、部品供給位置Leの撮像に使用する一のカメラ65を切り換えることで、画面661への表示範囲を変更する。
【0058】
つまり、この変形例では、低倍率(第1倍率)で撮像を行うカメラ65a(第1カメラ)と、低倍率より高い高倍率(第2倍率)で撮像を行うカメラ65b(第2カメラ)とが具備されている。そして、部品供給位置Leを含む画像の撮像をカメラ65aとカメラ65bとを使い分けて実行することで、カメラ65によって部品供給位置Leを撮像する倍率を変更する。これによって、部品供給位置Leの存在範囲R(n)や、部品供給位置Leに供給される部品Eのサイズ(幅We)に応じた適切な倍率で撮像した画像を画面661に表示することができる。
【0059】
図13はフィーダ段取り作業台によって自動的に実行される頭出しの一例を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、コンピュータ63の演算部631の制御により実行され、作業者によってフィーダ5に装着された部品収納テープ72の頭出しを実行する。
【0060】
ステップS301では、頭出しの実行指示が作業者によって操作パネル56に入力されたかが判断される。そして、頭出しの実行指示の入力が確認されると(ステップS301でYES)、演算部631は、カメラ65による部品供給位置Leの撮像を開始して、部品供給位置Leの画像を取得する(ステップS302)。また、演算部631は、部品収納テープ72の順方向Df1への搬送を開始する。
【0061】
こうして、演算部631は、部品収納テープ72を順方向Df1に搬送しつつ部品供給位置Leの画像を監視することで、部品供給位置Leに部品Eが到達したかを確認する(ステップS304)。つまり、上述の通り、部品収納テープ72の先端から所定範囲はリード部72lであるため、最初のうちは、部品供給位置Leを順に通過する複数のポケット721の画像が取得される。一方、リード部72lが部品供給位置Leを通過すると、部品供給位置Leに到達した部品Eの画像が取得される。これによって、演算部631は、部品供給位置Leに到達した部品Eを確認する(ステップS304で「YES」)。
【0062】
こうして、部品供給位置Leの部品Eを確認すると、演算部631は、部品収納テープ72の搬送を停止して、部品供給位置Leに部品Eを位置決めする(ステップS305)。続いて、演算部631は、ピッチPaだけ部品収納テープ72を逆方向Df2に搬送する(オフセット)。これによって、リード部72l(所定範囲)のポケット721のうち、最も逆方向Df2側(後端側)のポケット721が部品供給位置Leに位置させる頭出しが完了する。
【0063】
図13の例によれば、コンピュータ63(フィーダ制御部)は、カメラ65により部品供給位置Leを撮像した画像に基づき部品収納テープ72のフィード方向Dfの位置をフィーダ5によって調整することで、部品供給位置Leに対して設けられた所定の初期位置に部品収納テープ72を位置させる頭出しを実行する。ここで、初期位置とは、リード部72lのポケット721のうち、最も逆方向Df2側のポケット721が部品供給位置Leに位置する場合における部品収納テープ72の位置となる。このように、コンピュータ63がフィーダ5を制御することで部品収納テープ72を搬送して自動的に頭出しを行う。そのため、作業者の作業負担の軽減を図ることができる。
【0064】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装システム1が本発明の「部品実装システム」の一例に相当し、部品実装機10が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、実装ヘッド41が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、フィーダ5が本発明の「フィーダ」の一例に相当し、制御基板55が本発明の「記憶部」の一例に相当し、フィーダ段取り作業台6が本発明の「フィーダ段取り作業支援装置」の一例に相当し、本体61が本発明の「フィーダ装着部」の一例に相当し、コンピュータ63が本発明の「フィーダ制御部」の一例に相当し、スキャナ64が本発明の「読取部」の一例に相当し、カメラ65が本発明の「カメラ」の一例に相当し、カメラ65aが本発明の「第1カメラ」の一例に相当し、カメラ65bが本発明の「第2カメラ」の一例に相当し、コンピュータ63、カメラ65およびディスプレイ66が協働して本発明の「撮像表示部」の一例に相当し、画面661が本発明の「画面」の一例に相当し、部品供給リール71が本発明の「部品供給リール」の一例に相当し、部品ID711が本発明の「部品サイズ情報」および「部品ID」の一例に相当し、部品収納テープ72が本発明の「部品収納テープ」の一例に相当し、リード部72lが本発明の「所定範囲」の一例に相当し、ポケット721が本発明の「ポケット」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、フィード方向Dfが本発明の「搬送方向」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、フィーダ幅情報Iwが本発明の「フィーダ幅情報」の一例に相当し、フィーダ幅情報Iwおよび部品ID711が本発明の「表示対象情報」の一例に相当し、部品供給位置Leが本発明の「部品供給位置」の一例に相当する。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、フィーダ段取り作業支援の第1例および第2例は、併用してもよいし、いずれか一方のみを実行してもよい。前者の場合には、部品供給位置Leの存在範囲R(n)および部品ID711が示す部品Eの幅Weの両方に基づき画面661への表示範囲が調整され、後者の場合には、部品供給位置Leの存在範囲R(n)および部品ID711が示す部品Eの幅Weのいずれか一方に基づき画面661への表示範囲が調整される。
【0066】
また、部品Eのサイズに基づき画面661への表示範囲を調整する際に、参照するサイズとしては、上述の部品Eの幅Weに限られず、例えば、フィード方向Dfへの部品Eの長さや、部品Eの上面の面積でもよい。
【0067】
また、フィーダ5の幅Wfを示すフィーダ幅情報Iwの取得方法は、上記の様に、制御基板55から取得するのではなく、実際に測定してもよい。この変形例では、コンピュータ63の演算部631は、カメラ65によってフィーダ5のテープガイド52を撮像して、テープガイド画像を取得する。そして、このテープガイド画像が示すテープガイド52の幅Wfを抽出することで、フィーダ5の幅Wfを取得する。かかる変形例によれば、フィーダ幅情報Iwが予め準備されていない状況であっても、フィーダ5の幅Wfを確実に取得することができる。
【0068】
また、フィーダ5の種類としては、フィーダ5のフィーダ本体51に部品供給リール71を取り付けるカセット型に限られない。例えば、フィーダ本体51とは別に配置された部品供給リール71から引き出された部品収納テープ72をフィード方向Dfに搬送するフィーダ5に対する段取り作業においても、上記の実施形態を同様に実行できる。
【0069】
また、部品収納テープ72の幅の違いに応じて、この部品収納テープ72を搬送するフィーダ5の幅Wfが変わる場合には、上述のフィーダ5の幅Wfに代えて部品収納テープ72の幅Wtに基づき、画面661に表示する範囲を調整してもよい。かかる変形例について、
図14を用いて次に説明する。
【0070】
図14はフィーダ段取り作業台により実行されるフィーダ段取り作業支援の第3例での動作を模式的に示す図である。第3例では、部品供給リール71に付された部品ID711は、当該部品供給リール71によって保持される部品収納テープ72の幅Wtを示すテープ幅情報(表示対象情報)を含む。
【0071】
ステップS401で、演算部631は、スキャナ64による部品ID711の読み取りの有無を確認する。そして、演算部631は、スキャナ64により読み取られた部品ID711を取得すると(ステップS401で「YES」)、この部品ID711に含まれるテープ幅情報を取得する(ステップS402)。
【0072】
ステップS403では、演算部631は、テープ幅情報に基づき部品供給位置Leの存在範囲を確認する。具体的には、
図9に示すテーブルTwrのようなテーブルが部品収納テープ72の幅Wtについて用意されている。つまり、第3例で用意されるテーブルは、部品収納テープ72の幅Wt(n)と、当該フィーダ5の部品供給位置Leの存在範囲R(n)との対応関係を示す(n=1、2、3、…)。このようなテーブルは、作業者等によって求められて、記憶部632に予め保存されている。そこで、演算部631は、テープ幅情報が示す幅Wtに対応する存在範囲R(n)をこのテーブルから特定することで、部品供給位置Leの存在範囲R(n)を取得する。以後は、ステップS204~S205、S207~S209が上記の第1例と同様に実行される。
【0073】
この第3例においても、部品供給位置Leを含む画像がカメラ65によって撮像されて画面661に表示される。したがって、作業者は、この画面661を目視することで部品供給位置Leを確認することができる。ただし、画面661に表示する範囲が部品供給位置Leに対して適切でないために、例えば部品供給位置Leの一部が画面661の外にはみ出したり、画面661において部品供給位置Leが示される範囲が狭すぎたりする場合がある。そこで、表示対象である部品供給位置Leに関連するテープ幅情報(表示対象情報)に基づき、画面661に表示する範囲が調整される。これによって、部品供給位置Leに対して適切な範囲を画面661に表示することができる。こうして、フィーダ5の部品供給位置Leを作業者が簡便かつ的確に確認できるように、作業者の作業を支援することが可能となっている。
【0074】
また、コンピュータ63は、テープ幅情報が示す部品収納テープ72の幅Wtに基づき、画面661に表示する範囲を調整する。つまり、部品収納テープ72の幅Wtに応じて、当該部品収納テープ72の搬送に使用されるフィーダ5の幅Wfが変わりうる。これに対して、フィーダ5の幅Wfに応じて、フィーダ5の部品供給位置Leが異なるため、画面661に表示すべき範囲が変わる。そこで、上記のように構成することで、部品収納テープ72の幅Wtに応じたフィーダ5の幅Wfに違いに対応しつつ、部品供給位置Leに対して適切な範囲を画面661に表示することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…部品実装システム
10…部品実装機
41…実装ヘッド
5…フィーダ
55…制御基板(記憶部)
6…フィーダ段取り作業台(フィーダ段取り作業支援装置)
61…本体(フィーダ装着部)
63…コンピュータ(撮像表示部、フィーダ制御部)
64…スキャナ(読取部)
65…カメラ(撮像表示部)
65a…カメラ(第1カメラ)
65b…カメラ(第2カメラ)
66…ディスプレイ(撮像表示部)
661…画面
71…部品供給リール
711…部品ID(部品サイズ情報、表示対象情報)
72…部品収納テープ
72l…リード部(所定範囲)
721…ポケット
B…基板
Df…フィード方向(搬送方向)
E…部品
Iw…フィーダ幅情報(表示対象情報)
Le…部品供給位置