(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178940
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20221125BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20221125BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221125BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/36
A61K8/81
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086087
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】土岐 梨彩子
(72)【発明者】
【氏名】冨山 昂大
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD131
4C083AD132
4C083BB05
4C083CC23
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】泡もちのよさ、及びタオルドライ後の肌のしっとり感を保ちつつ、洗浄後の肌のきめを向上することができる皮膚洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)アニオン界面活性剤と、(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(C)クレアチニンと、を含有し、前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、前記(C)クレアチニンの含有量に対する前記(A)アニオン界面活性剤の含有量の質量比[(A)/(C)]が、206以上625以下であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン界面活性剤と、
(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(C)クレアチニンと、を含有し、
前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、
前記(C)クレアチニンの含有量に対する前記(A)アニオン界面活性剤の含有量の質量比[(A)/(C)]が、206以上625以下であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(A)アニオン界面活性剤の含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、12質量%以上28質量%以下であり、
前記(B)カチオン性ポリマーの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、0.4質量%以上2質量%以下であり、
前記(C)クレアチニンの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、0.04質量%以上0.13質量%以下である、請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)アニオン界面活性剤が、ラウリン酸カリウム及びミリスチン酸カリウムを含み、
前記ラウリン酸カリウムの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、4質量%以上10質量%以下であり、
前記ミリスチン酸カリウムの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、8質量%以上12質量%以下である、請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ボディソープやハンドソープなどの皮膚洗浄剤組成物には、優れた保湿性や、洗浄後の肌の状態を良好にすることなどが求められている。優れた保湿性を得るためには、すすぎ時に洗い流されることにより、保湿成分が十分に肌に残らないという課題を解消したり、保湿実感を与える上で重要な性能である泡のクリーミー性や、泡の量の多さなどの泡性能を向上させたりすることが考えられる。また、洗浄後の肌の状態を良好にするためには、洗浄後のしっとり感の付与や、肌のきめを向上させることが考えられる。
【0003】
近年、脂肪酸塩を配合することで、良好な洗浄力、泡の弾力感、泡の持続性、及び消臭力の持続性を得、高度分岐環状デキストリン及びヒドロキシアルキル化シクロデキストリンから選択される少なくとも一種と、両性界面活性剤及びアルキルアミンオキサイドから選択される少なくとも一種とを配合することで、洗浄後の肌のしっとり感を向上させた皮膚洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、高級脂肪酸と、カチオン性ポリマーとを配合することで、泡の量の多さ、泡のクリーミー性、及びタオルドライ後の肌のしっとり感を向上させた液体皮膚洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
しかし、従来の皮膚洗浄剤組成物は、洗浄後に肌に残る水分量を向上させ、しっとり感を付与することができるため、良好な保湿性を有しているものの、洗浄後の肌の状態、特に肌の状態(きめ)については、十分満足できるものではないという課題があった。
【0005】
したがって、良好な泡性能を保ちつつ、洗浄後の肌の状態が良好である皮膚洗浄剤組成物は未だ提供されておらず、その速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/093089号
【特許文献2】国際公開第2018/100876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、泡もちのよさ、及びタオルドライ後の肌のしっとり感を保ちつつ、洗浄後の肌のきめを向上することができる皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)アニオン界面活性剤と、(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(C)クレアチニンと、を含有し、前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、前記(C)クレアチニンの含有量に対する前記(A)アニオン界面活性剤の含有量の質量比[(A)/(C)]が、206以上625以下であることにより、泡もちのよさ、及びタオルドライ後の肌のしっとり感を保ちつつ、洗浄後の肌のきめを向上することができることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。
<1>(A)アニオン界面活性剤と、
(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(C)クレアチニンと、を含有し、
前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、
前記(C)クレアチニンの含有量に対する前記(A)アニオン界面活性剤の含有量の質量比[(A)/(C)]が、206以上625以下であることを特徴とする皮膚洗浄剤組成物である。
<2>前記(A)アニオン界面活性剤の含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物の全質量に対して、12質量%以上28質量%以下であり、
前記(B)カチオン性ポリマーの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、0.4質量%以上2質量%以下であり、
前記(C)クレアチニンの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、0.04質量%以上0.13質量%以下である、前記<1>に記載の皮膚洗浄剤組成物である。
<3>前記(A)アニオン界面活性剤が、ラウリン酸カリウム及びミリスチン酸カリウムを含み、
前記ラウリン酸カリウムの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、4質量%以上10質量%以下であり、
前記ミリスチン酸カリウムの含有量が、前記皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、8質量%以上12質量%以下である、前記<1>に記載の皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、泡もちのよさ、及びタオルドライ後の肌のしっとり感を保ちつつ、洗浄後の肌のきめを向上することができる皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(皮膚洗浄剤組成物)
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、(A)アニオン界面活性剤と、(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(C)クレアチニンと、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
なお、本明細書において、(A)アニオン界面活性剤は「(A)成分」、(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーは「(B)成分」、(C)クレアチニンは「(C)成分」と称することがある。
【0012】
<(A)アニオン界面活性剤>
前記(A)アニオン界面活性剤は、泡の量、泡の弾力性、泡もちのよさ、及びすすぎ時の肌のなめらかさを向上させるために含有される。
【0013】
前記(A)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミノ酸系界面活性剤、アシルタウリン系界面活性剤、スルホサクシネート系界面活性剤、アルキルリン酸系界面活性剤、オレフィンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、泡もちのよさ、及びすすぎ時の肌のなめらかさが向上する観点から、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミノ酸系界面活性剤が好ましく、高級脂肪酸塩がより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
-高級脂肪酸塩-
前記高級脂肪酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、泡もちのよさ、及びすすぎ時の肌のなめらかさが向上する観点から、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、及びステアリン酸塩をいずれも含む高級脂肪酸塩が好ましく、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、及びパルミチン酸塩をいずれも含む高級脂肪酸塩がより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記高級脂肪酸塩における塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸などが挙げられる。
--アルカリ金属--
前記アルカリ金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、泡もちのよさ、及びすすぎ時の肌のなめらかさが向上する観点から、カリウムが好ましい。
【0016】
--アルカノールアミン--
前記アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオールなどが挙げられる。
【0017】
--塩基性アミノ酸--
前記塩基性アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リジン、アルギニンなどが挙げられる。
【0018】
前記ラウリン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、2質量%以上12質量%以下が好ましく、4質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記ラウリン酸塩の含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して2質量%以上であると、良好な泡もちを示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記ラウリン酸塩の含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して12質量%以下であると、すすぎ時の肌のなめらかさが良好である皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【0019】
前記ミリスチン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、3質量%以上14質量%以下が好ましく、8質量%以上12質量%以下がより好ましい。前記ミリスチン酸塩の含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して3質量%以上であると、良好な泡もちを示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記ミリスチン酸塩の含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して14質量%以下であると、すすぎ時の肌のなめらかさが良好である皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【0020】
本発明の皮膚洗浄剤組成物に含まれる前記高級脂肪酸塩の合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、5質量%以上32質量%以下が好ましく、12質量%以上28質量%以下がより好ましい。前記高級脂肪酸塩の合計含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して5質量%以上であると、良好な泡もちを示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記高級脂肪酸塩の合計含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して32質量%以下であると、すすぎ時の肌のなめらかさが良好である皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【0021】
前記高級脂肪酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記高級脂肪酸塩の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常法により得られた脂肪酸塩をそのまま配合してもよいし、皮膚洗浄剤組成物の配合過程において、高級脂肪酸と水酸化カリウム等のアルカリとを配合槽中で中和反応させることにより脂肪酸塩を合成してもよい。
【0022】
前記高級脂肪酸塩の市販品としては、例えば、NIKKOL ラウリン酸カリLK-120(ラウリン酸カリウム)、NIKKOL ミリスチン酸カリMK-140(ミリスチン酸カリウム)、タイソープ MNK-40(ヤシ油脂肪酸カリウム)(いずれも、日光ケミカルズ株式会社製)、ノンサールPK-1(パルミチン酸カリウム)(日油株式会社製)、NAA-180(ステアリン酸)(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0023】
-ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩-
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A1)で表される化合物などが挙げられる。前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
【化1】
前記一般式(A1)中、R
7はアルキル基を示し、前記アルキル基部分の炭素数としては、10~14が好ましい。
前記一般式(A1)中、nはエチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数を示し、前記エチレンオキサイドの平均付加モル数としては、1~5が好ましい。
前記一般式(A1)中、Xは、アルカリ金属、又はアンモニウムを示す。
前記アルカリ金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
【0025】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(別名:POE(2)ラウレス硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(別名:POE(3)ラウレス硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,13)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数(n)を表す。
【0026】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の市販品としては、例えば、Texapon(テキサポン)(登録商標)N70(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)(BASF社製)、シノリンSPE-1250(POEラウリルエーテル硫酸Na(2E.O))(新日本理化株式会社製)などが挙げられる。
【0027】
-エーテルカルボン酸塩-
前記エーテルカルボン酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A2)又は(A3)で表される化合物などが挙げられる。前記エーテルカルボン酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
【化2】
前記一般式(A2)及び(A3)中、R
8は炭素数5~23の直鎖、分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数5~23の直鎖、分岐鎖のアルキル基、若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示し、前記R
8部分の炭素数としては、10~14が好ましい。
前記一般式(A2)中、R
9は同一でも異なっていてもよく、炭素数2~4のアルキレン基を示し、炭素数2が好ましい。
前記一般式(A2)中、oは1~20のアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、前記アルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、1~5が好ましい。
前記一般式(A2)及び(A3)中、M
1は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。
【0029】
前記一般式(A2)又は(A3)で表されるエーテルカルボン酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸カリウム、ラウリルグリコール酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数(o)を表す。
【0030】
前記エーテルカルボン酸系界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記エーテルカルボン酸系界面活性剤の市販品としては、例えば、エナジコールEC-30(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ビューライト LCA-25F(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-30D(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-H(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸)、ビューライト LCA-25NH(ラウレス-4カルボン酸)、ビューライト SHAA(ラウリルグリコールカルボン酸ナトリウム)、ビューライト LCA(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(以上、三洋化成工業株式会社製)、カオーアキポRLM-45NV(ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、カオーアキポRLM-100NV(ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(以上、花王株式会社製)などが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数(o)を表す。
【0031】
-アミノ酸系界面活性剤-
前記(A)成分の中の前記アミノ酸系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A4)で表される化合物などが挙げられる。前記アミノ酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化3】
【0032】
前記一般式(A4)中、R10は炭素数5~23の直鎖、分岐鎖のアルキル基、若しくはアルケニル基、又は炭素数5~23の直鎖、分岐鎖のアルキル基、若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示し、前記R10部分の炭素数としては、8~18が好ましい。
前記一般式(A4)中、R11は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。
前記一般式(A4)中、R12及びR13は同一でも異なっていてもよく、水素原子又は-(CH2)m-COOM2を示す。
前記一般式(A4)中、m及びnは同一でも異なっていてもよく、0~20の数を示す。
前記一般式(A4)中、M1及びM2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。
【0033】
前記アミノ酸系界面活性剤の親水部のアミノ酸構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、グルタミン酸、メチルアラニンが好ましい。
【0034】
前記一般式(A4)で表されるアミノ酸系界面活性剤の具体例としては、N-ココイル-グリシンカリウム(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)等のN-アシル-グリシン及びその塩;N-ミリストイル-N-カルボキシエチル-グリシンナトリウム等のN-アシル-N-カルボキシエチル-グリシン及びその塩;N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-パーム脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸及びその塩;N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウムなどが挙げられる。
【0035】
前記アミノ酸系界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記アミノ酸系界面活性剤の市販品としては、例えば、アミライト(登録商標)GCK-11(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、アミライト(登録商標)GCK-12K(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、アミライト(登録商標)GCS-12K(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)、アミライト(登録商標)GCS-11(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-22(N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)LS-11(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)MS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(F)(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS21(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ジナトリウム)、アミライト(登録商標)ACS-12(ココイルアラニンナトリウム)(以上、味の素ヘルシーサプライ株式会社製)、アミノサーファクト(登録商標)AMMS-P1(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)(旭化成ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL サルコシネート MN(ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム)、NIKKOL アラニネート LN-30(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、アラノンACE(ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム)、アラノンAME(ミリストイルメチル-β-アラニンナトリウム)、アラノンALE(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、エナジコール L-30AN(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ソフティルトAT-L(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(日油株式会社製)、ダイヤポン-SF(ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム)(日本油脂株式会社製)などが挙げられる。
【0036】
本発明の皮膚洗浄剤組成物に含まれる前記アニオン界面活性剤の合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、5質量%以上32質量%以下が好ましく、12質量%以上28質量%以下がより好ましい。前記アニオン界面活性剤の合計含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して5質量%以上であると、良好な泡もちを示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記アニオン界面活性剤の合計含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して32質量%以下であると、すすぎ時の肌のなめらかさが良好である皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【0037】
<(B)カチオン性ポリマー>
前記カチオン性ポリマーは、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種であり、前記(A)成分と共に配合することで、タオルドライ後の肌のしっとり感とその持続性を向上させることができる。前記(B)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(B)成分における塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体は、下記一般式(B1)で表される。
【0038】
【化4】
前記一般式(B1)中、n及びmは各構造単位のモル比率(モル%)を示す。
前記一般式(B1)中、nは0~35であり、mは40~100であり、n及びmは下記式(I)を満たす。
n+m=100・・・式(I)
【0039】
本発明において、前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率は、40モル%以上である。前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が、40モル%以上であることにより、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びその持続性が不十分となるといった問題を解消することができる。
また、前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率としては、タオルドライ後の肌のしっとり感とその持続性が向上する観点から、65モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、0.2質量%以上3質量%以下が好ましく、0.4質量%以上2質量%以下がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して0.2質量%以上であると、タオルドライ後の肌のしっとり感を示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記(B)成分の含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して3質量%以下であると、すすぎ時の肌のなめらかさが良好である皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【0041】
前記(B)成分の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、タオルドライ後の肌のしっとり感とその持続性が向上する観点から、10,000以上1,000,000以下が好ましく、15,000以上450,000以下がより好ましい。
前記(B)成分のカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、SEC-MALLS-RIシステム(測定条件;カラム:東ソー株式会社製TSKgelαシリーズ α-Mカラム30cm、溶媒:硝酸ナトリウム0.3M水溶液)で測定することができる。
【0042】
前記(B)成分の固形分含有量が30質量%以上44質量%以下であるときの25℃での粘度は、10mPa・s以上15,000mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上12,000mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて測定することができる。
【0043】
前記(B)成分のカチオン性ポリマーは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(B)成分の市販品としては、例えば、マーコート(MERQUAT)100、マーコート106、マーコート295、マーコート280(いずれも、ルーブリゾール社製)などが挙げられる。これらの中でも、タオルドライ後の肌のしっとり感が向上する観点から、マーコート100、マーコート106、マーコート295が好ましい。
【0044】
各市販品の組成及び物性等を以下に示す。
-マーコート100-
・組成(モル比率) アクリル酸:塩化ジメチルジアリルアンモニウム=0:100
・固形分含有量 39質量%~44質量%
・25℃での粘度 8,000mPa・s~12,000mPa・s
・重量平均分子量 150,000
なお、前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.3のローターを使用し、6回転/分間の条件において測定することができる。
-マーコート106-
・組成(モル比率) アクリル酸:塩化ジメチルジアリルアンモニウム=0:100
・固形分含有量 30質量%~36質量%
・25℃での粘度 20mPa・s~65mPa・s
・重量平均分子量 15,000
なお、前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.3のローターを使用し、6回転/分間の条件において測定することができる。
-マーコート295-
・組成(モル比率) アクリル酸:塩化ジメチルジアリルアンモニウム=5:95
・固形分含有量 35質量%~40質量%
・25℃での粘度 3,500mPa・s~9,000mPa・s
・重量平均分子量 150,000
なお、前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.4のローターを使用し、30回転/分間の条件において測定することができる。
-マーコート280-
・組成(モル比率) アクリル酸:塩化ジメチルジアリルアンモニウム=35:65
・固形分含有量 39質量%~43質量%
・25℃での粘度 3,000mPa・s~6,000mPa・s
・重量平均分子量 450,000
なお、前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.4のローターを使用し、30回転/分間の条件において測定することができる。
【0045】
前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における各構造単位のモル比率は、核磁気共鳴(NMR)により下記測定条件で測定することができる。
[測定条件]
溶媒:重水(D2O)
測定器:JNM-LA300(300MHz、日本電子株式会社製)
【0046】
<(C)クレアチニン>
前記(C)クレアチニンは、肌のきめを向上させるために配合される。
【0047】
前記(C)クレアチニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して、0.01質量%以上0.15質量%以下が好ましく、0.04質量%以上0.13質量%以下が好ましい。前記(C)クレアチニンの含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して0.01質量%以上であることにより、肌のきめが良好となる皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記(C)クレアチニンの含有量が、皮膚洗浄剤組成物全質量に対して0.15質量%以下であることにより、良好な泡もちを示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【0048】
前記(C)クレアチニンは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(C)クレアチニンの市販品としては、例えば、TEGO Cosmo C 250(Evonik社製)、クレアチニン(富士フィルム和光純薬株式会社製)などが挙げられる。
【0049】
<質量比[(A)/(C)]>
本発明において、前記(C)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]は、206以上625以下である。前記含有量の質量比[(A)/(C)]が206以上であることにより、良好な泡もちを示す皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。前記含有量の質量比[(A)/(C)]が625以下であることにより、肌のきめが良好となる皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
また、前記(C)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]としては、良好な泡もちのよさ、及び肌のきめが良好となる点から、210以上280以下であることが好ましい。
【0050】
<その他の成分>
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、その他の成分を配合することができる。
前記その他の成分としては、例えば、精製水、前記(A)成分以外の界面活性剤、前記(B)成分のカチオン性ポリマー以外の水溶性ポリマー、保湿剤、糖類、油分、低級、高級アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミンなどの薬剤、殺菌剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記その他の成分の前記皮膚洗浄剤組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
<pH>
前記皮膚洗浄剤組成物の25℃におけるpHとしては、泡の量が多くなるという点から、9.0~11.0が好ましく、9.3~10.6がより好ましい。
前記pHは、例えば、pHメーター(HM-30R、TOA DKK社製)を使用して測定することができる。
【0052】
<粘度>
前記皮膚洗浄剤組成物の25℃における粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mPa・s以上6,000mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以上4,000mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度は、例えば、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、試料温度25℃にて、以下の条件で測定することができる。前記粘度が、1mPa・s以上3,000mPa・s以下であれば、BMアダプター、回転数30rpm、No.3のローターを用いて1分間後の粘度を測定し、3,000mPa・sを超える場合は、BMアダプター、回転数30rpm、No.4のローターにて1分間後の粘度を測定することにより測定できる。
【0053】
<容器>
本発明の皮膚洗浄剤組成物を収容する容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポンプディスペンサー容器、フォーマー容器が好ましい。
【0054】
―ポンプディスペンサー容器―
前記ポンプディスペンサー容器としては、例えば、株式会社吉野工業所製のノズル口径(内径)3.5mm、吐出量3mLのポンプディスペンサー容器などが挙げられる。
【0055】
―フォーマー容器―
前記フォーマー容器としては、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられる。前記ノンガス型の泡吐出容器としては、本発明の皮膚洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器などが挙げられる。
前記フォーマー容器としては、例えば、大和製罐株式会社製のフォーマー容器、株式会社吉野工業所製のフォーマー容器などを使用することができる。
【0056】
前記ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体を有し、皮膚洗浄剤組成物が該多孔質膜体を通過することにより泡が形成されるものである。
前記多孔質膜体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい。
【0057】
前記多孔質膜体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、100メッシュ以上が好ましく、100メッシュ以上400メッシュ以下がより好ましく、200メッシュ以上350メッシュ以下が更に好ましい。
【0058】
前記多孔質膜体の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡性能を向上させる観点から2枚~4枚が好ましい。より具体的には、特開平7-315463号公報、特開平8-230961号公報、及び特開2005-193972号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【0059】
本発明の皮膚洗浄剤組成物を前記フォーマー容器に充填して使用する場合、泡形成性の観点から、25℃における粘度は1mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、1mPa・s以上10mPa・s以下がより好ましい。なお、前記粘度は、BL型粘度計(東京計器(株)製)を用いて、25℃でNo.1ローターを使用し、60回転/分間の条件において測定することができる。
【0060】
<製造方法>
本発明の皮膚洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記(A)、前記(B)成分、及び前記(C)成分、必要に応じて、前記その他の成分及び前記精製水(皮膚洗浄剤組成物全体が100質量%となるように残量として配合)を混合して得ることができる。
具体的には、以下のようにして製造することができる。70℃~80℃に加温した精製水に前記(A)成分を溶解し、40℃以下に冷却してから、前記(B)成分及び前記(C)成分を添加して製造することができる。
【0061】
前記皮膚洗浄剤組成物は、装置を用いて調製してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。
前記攪拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0062】
<用途>
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、例えば、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、クレンジングフォーム、メイク落としなどに用いられ、特にボディソープに好適に用いられる。
【実施例0063】
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
また、実施例及び比較例に記載の各成分の含有量は「質量%」で示し、全て純分換算した値である。また、前記(C)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]は、小数点以下第1位を四捨五入し、整数として求め、記載した。
【0064】
(実施例1~31及び比較例1~7)
下記表に示す組成、及び含有量の皮膚洗浄剤組成物を以下の方法で調製した。
最終的に得られる皮膚洗浄剤組成物全量の95質量%になる量の精製水を、70℃~80℃に加温し、(A)成分のアニオン界面活性剤を溶解した。その後、40℃以下に冷却してから、(B)成分又は(B)成分の比較成分、(C)成分又は(C)成分の比較成分、及びその他の成分を添加することにより皮膚洗浄剤組成物を調製した。その後、所定のpHに満たない場合は、共通成分である水酸化カリウムを添加し、所定のpHに調整後、全体量が100質量%になるように精製水を加えて、目的とする実施例1~31及び比較例1~7の皮膚洗浄剤組成物を得た。なお、スリーワンモーター(HEIDON BL1200;新東化学株式会社製)を用いて攪拌し、攪拌羽根としてはプロペラを使用した。
得られた実施例1~31及び比較例1~7の皮膚洗浄剤組成物のpHを、pHメーター(HM-30R;TOA DKK社製)を用いて、25℃で測定した。
得られた実施例1~8、実施例10~31、及び比較例1~7の皮膚洗浄剤組成物は、ポンプディスペンサー付き容器(吐出量3mL、ノズル口径(内径)3.5mm、株式会社吉野工業所製)に充填し、実施例9の皮膚洗浄剤組成物は、フォーマー容器(吐出量3mL、株式会社吉野工業所製)に充填した。
【0065】
得られた実施例1~31及び比較例1~7の皮膚洗浄剤組成物について、「泡もちのよさ」、「すすぎ時の肌のなめらかさ」、「タオルドライ後の肌のしっとり感」、及び「肌のきめ」を評価及び判定した。結果を下記表1~6に示した。
【0066】
<泡もちのよさ>
専門評価者10名が、容器に入った皮膚洗浄剤組成物を、1プッシュ(約3g)ナイロンタオルに含ませ、10回泡立てて全身を洗浄したときの泡もちのよさを、下記評価基準に基づいて評価し、平均点を求めた。得られた平均点を下記判定基準に基づいて判定した。
〔泡もちのよさの評価基準〕
5点:非常に泡もちがよい
4点:かなり泡もちがよい
3点:泡もちがよい
2点:あまり泡もちがよくない
1点:泡もちが悪い
〔泡もちのよさの平均点の判定基準〕
◎:4点以上
〇:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0067】
<すすぎ時の肌のなめらかさの評価>
専門評価者10名が、容器に入った皮膚洗浄剤組成物を、2プッシュ(約6g)ナイロンタオルに含ませ、10回泡立てて全身を洗浄したときの、すすぎ時の肌のなめらかさを下記評価基準に基づいて評価し、平均点を求めた。得られた平均点を下記判定基準に基づいて判定した。
〔すすぎ時の肌のなめらかさの評価基準〕
5点:すすぎ時の肌のなめらかさを非常に感じる
4点:すすぎ時の肌のなめらかさを感じる
3点:すすぎ時の肌のなめらかさをやや感じる
2点:すすぎ時の肌のなめらかさをあまり感じない
1点:すすぎ時の肌のなめらかさを全く感じない
〔すすぎ時の肌のなめらかさの平均点の判定基準〕
◎:4点以上
〇:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0068】
<タオルドライ後の肌のしっとり感の評価>
専門評価者10名が、容器に入った皮膚洗浄剤組成物を、2プッシュ(約6g)ナイロンタオルに含ませ、10回泡立てて全身を洗浄したときの、タオルドライ後の肌のしっとり感を下記評価基準に基づいて評価し、平均点を求めた。得られた平均点を下記判定基準に基づいて判定した。なお、評価は、25℃、40%RHの部屋で30分間馴化後に行った。
〔タオルドライ後の肌のしっとり感の評価基準〕
5点:しっとり感を強く感じる
4点:しっとり感を感じる
3点:しっとり感をやや感じる
2点:しっとり感をあまり感じない
1点:しっとり感を全く感じない
〔タオルドライ後の肌のしっとり感の平均点の判定基準〕
◎:4点以上
〇:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0069】
<肌のきめの評価>
専門評価者3名が、容器に入った皮膚洗浄剤組成物を2プッシュ(約6g)ナイロンタオルに含ませ、10回泡立てて全身を洗浄した後の、肌のきめを下記評価基準に基づいて評価し、平均点を求めた。得られた平均点を下記判定基準に基づいて判定した。
〔肌のきめの評価基準〕
5点:きめが非常に細かい
4点:ややきめが細かい
3点:どちらともいえない
2点:ややきめが粗い
1点:きめが非常に粗い
〔肌のきめの平均点の判定基準〕
◎:4点以上
〇:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
前記実施例1~31及び比較例1~7で使用した各成分の詳細について、下記表7に示す。
【0077】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡もちのよさ、及びタオルドライ後のしっとり感を保ちつつ、洗浄後の肌のきめを向上することができるため、例えば、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、クレンジングフォーム、メイク落としなどに用いることができ、特にボディソープに好適に用いることができる。