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▶ 株式会社五藤光学研究所の特許一覧

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  • 特開-ドームスクリーン施設 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178949
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ドームスクリーン施設
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/58 20140101AFI20221125BHJP
【FI】
G03B21/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086104
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000142894
【氏名又は名称】株式会社五藤光学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】笠原 誠
(72)【発明者】
【氏名】五藤 信隆
【テーマコード(参考)】
2H021
【Fターム(参考)】
2H021AA08
2H021BA01
(57)【要約】
【課題】 映像投映による映像面を有するドームスクリーン施設において風景描写の輝度不足、コントラスト不足からくる映像表現上の課題を解決する。
【解決手段】 ドームスクリーンDの天頂から任意の角度までを映像投映による映像面1とし、それより下のスクリーン部分を映像表示素子による映像面2とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドームスクリーンの天頂から任意の角度までを映像投映による映像面とし、それより下のスクリーン部分を映像表示素子による映像面としたことを特徴とするドームスクリーン施設。
【請求項2】
映像表示素子は発光素子により構成される請求項1記載のドームスクリーン施設。
【請求項3】
映像表示素子は光源からの光が照射される液晶表示素子により構成される請求項1記載のドームスクリーン施設。
【請求項4】
ドームスクリーンの映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域の曲率半径が異なる請求項1から3のいずれかに記載のドームスクリーン施設。
【請求項5】
映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域が可変できる請求項1から4のいずれかに記載のドームスクリーン施設。
【請求項6】
ドームスクリーンの方位によって、映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域を変化させる請求項1から5のいずれかに記載のドームスクリーン施設。
【請求項7】
プラネタリウム施設において、ドームスクリーンより突出する箇所または凹陥する箇所を映像表示素子による領域とした請求項1から6のいずれかに記載のドームスクリーン施設。
【請求項8】
ドームスクリーンより突出する箇所は補助投映機を設置するための棚である請求項7に記載のドームスクリーン施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プラネタリウム施設などのドームスクリーン施設に関する。
【背景技術】
【0002】
投映機から発した光をドームスクリーンに映し出すことで星像およびその運動を再現し、それをドーム内の観客が鑑賞するプラネタリウム施設が公知である。
【0003】
これまでのドームスクリーンは、投映映像を表示するための拡散反射面を持つスクリーンによって構成されており、そこにプラネタリウム投映機や、スライド投映機、ビデオプロジェクタなどによって映像を映し出し、それぞれの映像をスクリーン面で合成することで様々な演出を行っていた。例えば、プラネタリウム投映機により星空を映し出し、ビデオ投映機によって水平線付近に地上の風景を映すことで、自然な風景の描写をすることが試みられている。なお、水平に設置されたドームスクリーンにおいては、風景などの描写を効果的に行えるように、スクリーンは半球を超える投映画角を持つように構成されることが多い。
【0004】
【特許文献1】特開2000- 066582
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プラネタリウム施設において、星像でなく風景を投映する場合、投映映像による風景描写では投映面の輝度が不足するため、例えば町明かりのキラキラした描写、あるいはまぶしい車のヘッドライト等の再現ができなかった。
【0006】
もちろん、非常に明るいプロジェクタを用いれば、このような輝点を美しく再現することはできるが、プロジェクタの持つ映像コントラストによる限界、あるいは拡散反射面を持つスクリーンの特性によって、本来暗く表現されなければならない部分がグレーに表現されてしまい、十分なコントラストを持つ自然な映像の表示が行えなかった。
【0007】
本願発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みて創作されたものであり、風景描写の輝度不足、コントラスト不足からくる映像表現上の課題を解決することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、ドームスクリーン施設はドームスクリーンの天頂から任意の角度までを映像投映による映像面とし、それより下のスクリーン部分を映像表示素子による映像面としたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、映像表示素子は発光素子により構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、映像表示素子は光源からの光が照射される液晶表示素子により構成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、ドームスクリーンの映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域の曲率半径が異なることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域が可変できることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、ドームスクリーンの方位によって、映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域を変化させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、ドームスクリーンより突出する箇所または凹陥する箇所を映像表示素子による領域としたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は前記のドームスクリーン施設において、ドームスクリーンより突出する箇所は補助投映機を設置するための棚であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、ドームスクリーンとして上空を覆う映像投映領域は、拡散反射面による映像面としてプラネタリウム投映機やプロジェクタによるそれぞれの映像がスクリーン面で合成され様々な演出が行われ、一方、地上の風景などは映像表示素子による映像領域に高い輝度とコントラストで映し出すことによって、自然な風景の描写が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明のドームスクリーン施設の正面図。
図2】同上、異なる実施例の正面図。
図3】同上、異なる実施例の正面図。
図4】同上、異なる実施例の正面図。
図5】同上、異なる実施例の正面図。
図6】同上、異なる実施例の正面図。
図7】同上、異なる実施例の正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本願発明のドームスクリーン施設の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1はドームDは床面と並行になるように置かれた水平ドームの場合を図示したものであり、このドーム面における一定角度を映像表示素子による映像面2とし、他を映像投映による拡散面への映像表示面1としている。
【0019】
映像表示面1における水平線下となる領域の形状については、シミュレーションとしての要素を考慮すれば、ドーム面と同じように球面状とするべきではあるが、投映施設の壁面と映像表示面を一体化させることで映像表示領域を広げる必要がある場合には、図2のように円筒状としてもよい。
【0020】
なお、映像表示素子は例えばLED表示素子やLCD表示素子などの発光素子により構成されるほか、光源からの光が照射される液晶表示素子により構成される。
【0021】
ドームスクリーンの映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域の曲率半径は異なってもよく、また、映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域を可変してもよく、ドームスクリーンの方位によって、映像投映による映像面の領域と、映像表示素子による映像面の領域を変化させてもよい。
【0022】
ドームDを傾斜して設置する場合においては、図1のドームをそのまま傾けたように構成してもよいし、図3のように前方の一部のみを映像表示素子による映像面2としてもよい。
【0023】
もちろん、図2に示したようなドームに連なる壁面を映像表示素子による映像面2とした図4 のような構成であってもよい。
【0024】
ところで、図5に示すようにプラネタリウムにおいては照明器具や補助的な投映機を設置するための小さな棚Sが設けられており、この棚はドームスクリーンより突出しているが、この棚の壁面を図6図7に示すように映像表示素子による映像面2とすることで、既存の施設においても、より自然な風景の再現が可能となる。
【0025】
なお、仮にドームスクリーンより凹陥する箇所がある場合でも同様に映像表示素子による映像面2とすることで、既存の施設においても、より自然な風景の再現が可能となる。
【0026】
さらに、前記の壁面の高さを自由に変化できるようにすることで、高いビルのある風景なども適切に表現することが可能となる。もちろん、必ず壁面を一体として変化させなければならないわけではなく、部分的に高さが調整できるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0027】
D ドームスクリーン
S 棚
1 映像投映による映像面
2 映像表示素子による映像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7