(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178963
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】繊維細分散化装置
(51)【国際特許分類】
D02J 1/18 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
D02J1/18 Z
D02J1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086125
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】503090980
【氏名又は名称】ジャパンコンポジット株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】314011390
【氏名又は名称】東海精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 啓邦
(72)【発明者】
【氏名】箱谷 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 卓爾
(72)【発明者】
【氏名】三浦 彬
(72)【発明者】
【氏名】坪井 賢次
(72)【発明者】
【氏名】鶴藤 勝夫
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036AA01
4L036MA04
4L036MA33
4L036PA09
4L036PA10
4L036PA40
4L036PA45
4L036UA21
(57)【要約】
【課題】解繊された繊維を樹脂組成物に十分に分散させることができる繊維細分散化装置を提供すること。
【解決手段】繊維細分散化装置1に、カッティング装置3から落下する繊維を解繊する解繊装置11と、解繊装置11によって解繊された繊維の飛散を抑制する複数の第1仕切板12であって、幅方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板12とを備える。複数の第1仕切板12のそれぞれは、搬送装置2の樹脂組成物の搬送方向に延びる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に対して上側に配置され、炭素繊維を少なくとも含む繊維をカットするカッティング装置との間に配置される繊維細分散化装置であって、
前記カッティング装置から落下する繊維を解繊する解繊装置と、
前記解繊装置によって解繊された繊維の飛散を抑制する複数の第1仕切板であって、前記搬送装置による前記樹脂組成物の搬送方向および上下方向の両方向と交差する方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板と、を備え、
前記複数の第1仕切板のそれぞれは、前記搬送方向に延びる、繊維細分散化装置。
【請求項2】
前記第1仕切板の前記上下方向長さが、前記第1仕切板の前記搬送方向長さよりも長く、
上下方向から見て、前記複数の第1仕切板は、前記解繊装置と重なっている、請求項1に記載の繊維細分散化装置。
【請求項3】
前記搬送方向において前記解繊装置に対して間隔を空けて配置される第2仕切板であって、前記搬送方向および上下方向の両方向と交差する方向に延びる第2仕切板を、さらに備える、請求項1または2に記載の繊維細分散化装置。
【請求項4】
前記搬送方向において、前記複数の第1仕切板に対して、前記第2仕切板の反対側に位置する第3仕切板を、さらに備える、請求項3に記載の繊維細分散化装置。
【請求項5】
前記カッティング装置から落下する繊維を、前記解繊装置に導入するシュート部を、さらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維細分散化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維細分散化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂組成物を、炭素繊維などのチョップドストランドに含浸させたシートモールディングコンパウンドが知られている。シートモールディングコンパウンドは、所定形状に成形し硬化させることにより、種々の産業製品に利用される。
【0003】
そのようなシートモールディングコンパウンドを製造するには、例えば、所定方向に搬送する樹脂組成物に対して上側から、チョップドストランドを落下させる。
【0004】
近年、炭素繊維を用いたシートモールディングコンパウンド(CF-SMC)が高い機械的特性を要求される部位や部品に採用される事例が、増加している。このような部位や部品においては、成形品の機械的特性のばらつきを抑制することが、求められる。そのため、チョップドストランドを解繊した後に樹脂組成物に落下させることが、検討されている。
【0005】
そのようなチョップドストランドの解繊装置として、例えば、回転軸と、回転軸に突設された複数のピンとを備える解繊機構を備える解繊装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0006】
そのような解繊装置では、落下するチョップドストランドが、回転軸とともに回転する複数のピンに叩かれて解繊される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の解繊装置では、チョップドストランドから解繊された繊維束は、回転する複数のピンにより叩き上げられて飛散した後、樹脂組成物に自然落下する。このとき、繊維束の飛散距離は、繊維束の質量に応じて異なる。質量が比較的大きい繊維束は、回転軸の比較的近くを落下し、質量が比較的小さい繊維束は、回転軸から比較的遠くを落下する。そのため、特許文献1に記載の解繊装置では、繊維束を樹脂組成物に均一に分散できない場合がある。
【0009】
本発明は、解繊された繊維を樹脂組成物に均一に分散させることができる繊維細分散化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明[1]は、樹脂組成物を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に対して上側に配置され、炭素繊維を少なくとも含む繊維をカットするカッティング装置との間に配置される繊維細分散化装置であって、前記カッティング装置から落下する繊維を解繊する解繊装置と、前記解繊装置によって解繊された繊維の飛散を抑制する複数の第1仕切板であって、前記搬送装置による前記樹脂組成物の搬送方向および上下方向の両方向と交差する方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板と、を備え、前記複数の第1仕切板のそれぞれは、前記搬送方向に延びる、繊維細分散化装置を含む。
【0011】
このような構成によれば、複数の第1仕切板が、解繊装置によって解繊された繊維が搬送方向および上下方向の両方向と交差する方向に過度に飛散することを抑制できる。そのため、解繊された繊維を、搬送装置によって搬送される樹脂組成物に均一に分散させることができる。
【0012】
本発明[2]は、前記第1仕切板の前記上下方向長さが、前記第1仕切板の前記搬送方向長さよりも長く、上下方向から見て、前記複数の第1仕切板は、前記解繊装置と重なっている、上記[1]に記載の繊維細分散化装置を含む。
【0013】
このような構成によれば、複数の第1仕切板が、解繊装置によって解繊された繊維の飛散を安定して抑制できる。さらに、このような構成によれば、解繊装置の上方において、良好に繊維の飛散を抑制できるため、解繊装置の搬送方向両側に第1仕切板を配置する必要がなく、装置の大型化を抑制できる。
【0014】
本発明[3]は、前記搬送方向において前記解繊装置に対して間隔を空けて配置される第2仕切板であって、前記搬送方向および上下方向の両方向と交差する方向に延びる第2仕切板を、さらに備える、上記[1]または[2]に記載の繊維細分散化装置を含む。
【0015】
このような構成によれば、第2仕切板が、解繊装置によって解繊された繊維が搬送方向の一方に過度に飛散することを抑制できる。そのため、解繊された繊維を樹脂組成物に、より均一に分散させることができる。
【0016】
本発明[4]は、前記搬送方向において、前記複数の第1仕切板に対して、前記第2仕切板の反対側に位置する第3仕切板を、さらに備える、上記[3]に記載の繊維細分散化装置を含む。
【0017】
このような構成によれば、第3仕切板が、解繊装置によって解繊された繊維が搬送方向の他方に過度に飛散することを抑制できる。そのため、解繊された繊維を樹脂組成物に、より一層均一に分散させることができる。
【0018】
本発明[5]は、前記カッティング装置から落下する繊維を、前記解繊装置に導入するシュート部を、さらに備える、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の繊維細分散化装置を含む。
【0019】
このような構成によれば、シュート部が、カッティング装置から落下する繊維を解繊装置に案内することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の繊維細分散化装置によれば、解繊された繊維を樹脂組成物に均一に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の繊維細分散化装置の一実施形態を備えるシートモールディングコンパウンドの製造装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す繊維細分散化装置およびカッティング装置の概略構成図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す繊維細分散化装置およびカッティング装置の正面図であって、第2仕切板を除いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.シートモールディングコンパウンドの製造装置の概略
図1を参照して、繊維細分散化装置の一実施形態を備えるシートモールディングコンパウンドの製造装置5(以下、SMC製造装置5とする。)の概略について説明する。
【0023】
SMC製造装置5は、後述する繊維と、繊維に含浸される樹脂組成物とを備えるシートモールディングコンパウンド(以下、SMCとする。)を、ロールツーロール方式により連続的に製造する。
【0024】
図1において、紙面上下方向は鉛直方向であり、紙面上側は鉛直方向上側(以下、単に上側とする。)であり、紙面下側は鉛直方向下側(以下、単に下側とする。)である。
【0025】
また、
図1において、紙面左右方向は、鉛直方向と直交する第1の水平方向であり、樹脂組成物の搬送方向(以下、単に搬送方向とする。)の一例である。紙面左側は搬送方向上流側であり、紙面右側は搬送方向下流側である。
【0026】
また、
図1において、紙面厚み方向は、鉛直方向および第1の水平方向の両方向と直交する第2の水平方向であり、搬送方向および鉛直方向の両方向と交差する幅方向の一例である。紙面手前側は幅方向の一方側であり、紙面奥側は幅方向の他方側である。具体的には、方向は、各図に記載の方向矢印従う。
【0027】
SMC製造装置5は、搬送装置2と、カッティング装置3と、繊維細分散化装置1と、カバー樹脂供給装置6と、押圧ユニット7とを備える。
【0028】
搬送装置2は、樹脂組成物を連続的に搬送する。搬送装置2は、キャリアフィルム供給ロール21と、巻き取りロール22と、第1ドクターブレード24とを備える。
【0029】
キャリアフィルム供給ロール21は、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。キャリアフィルム供給ロール21は、キャリアフィルム23を連続的に送出可能である。
【0030】
キャリアフィルム23は、可撓性を有する樹脂シートである。キャリアフィルム23は、所定の厚みを有し、厚み方向と直交する方向に延びる長尺かつ平帯形状を有する。キャリアフィルム23は、キャリアフィルム供給ロール21の周面に渦巻き状に巻回されている。
【0031】
巻き取りロール22は、キャリアフィルム供給ロール21から供給されるキャリアフィルム23を巻き取り可能であり、キャリアフィルム23上に製造されるSMCを巻き取り可能である。巻き取りロール22は、キャリアフィルム供給ロール21に対して、搬送方向の下流側に間隔を空けて配置される。巻き取りロール22は、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。
【0032】
搬送装置2において、キャリアフィルム23は、キャリアフィルム供給ロール21から送出された後、複数のロールを通過し、巻き取りロール22に巻き取られる。
【0033】
第1ドクターブレード24は、キャリアフィルム23上に供給される樹脂組成物の厚みを規制して、キャリアフィルム23上に樹脂組成物層を形成する。第1ドクターブレード24は、幅方向に延びる平板形状を有する。第1ドクターブレード24は、キャリアフィルム23に対して、上側に間隔を空けて配置される。
【0034】
カッティング装置3は、炭素繊維を少なくとも含む繊維をカットする。繊維については、後で詳述する。カッティング装置3は、搬送装置2に対して上側に間隔を空けて配置される。詳しくは、カッティング装置3は、第1ドクターブレード24に対して搬送方向の下流側に配置され、キャリアフィルム23に対して上側に間隔を空けて配置される。
【0035】
繊維細分散化装置1は、詳しくは後述するが、カッティング装置3から落下する繊維を解繊するとともに分散させる。繊維細分散化装置1は、鉛直方向におけるカッティング装置3と搬送装置2との間に配置される。詳しくは、繊維細分散化装置1は、第1ドクターブレード24に対して搬送方向の下流側に配置され、カッティング装置3とキャリアフィルム23との間に配置される。
【0036】
カバー樹脂供給装置6は、カッティング装置3からの繊維が落下した樹脂組成物に対して、さらに樹脂組成物を供給する。カバー樹脂供給装置6は、繊維細分散化装置1に対して、搬送方向の下流側(第1ドクターブレード24の反対側)に位置する。
【0037】
カバー樹脂供給装置6は、カバーフィルム供給ロール61と、第2ドクターブレード62とを備える。
【0038】
カバーフィルム供給ロール61は、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。カバーフィルム供給ロール61は、カバーフィルム63を連続的に送出可能である。
【0039】
カバーフィルム63は、上記したキャリアフィルム23と同様の構成を有する。そして、カバーフィルム63は、カバーフィルム供給ロール61の周面に渦巻き状に巻回されている。
【0040】
カバー樹脂供給装置6において、カバーフィルム63は、カバーフィルム供給ロール61から送出された後、複数のロールを通過し、その後、後述するテンションロール75に沿ってUターンして、巻き取りロール22に向かう。
【0041】
第2ドクターブレード62は、カバーフィルム63上に供給される樹脂組成物の厚みを規制して、カバーフィルム63上に樹脂組成物層を形成する。第2ドクターブレード62は、幅方向に延びる平板形状を有する。第2ドクターブレード62は、カバーフィルム63に対して、上側に間隔を空けて配置される。
【0042】
押圧ユニット7は、搬送方向において、繊維細分散化装置1と巻き取りロール22との間に配置される。押圧ユニット7は、第1押圧ユニット71と、第2押圧ユニット72とを備える。第1押圧ユニット71および第2押圧ユニット72は、鉛直方向に互いに間隔を空けて配置される。第1押圧ユニット71と第2押圧ユニット72との間には、繊維を含む樹脂組成物が載っているキャリアフィルム23が通過する。
【0043】
第1押圧ユニット71は、テンションロール75と、駆動ロール76と、無端ベルト73と、複数の加圧ロール74とを備える。
【0044】
テンションロール75および駆動ロール76は、搬送方向に互いに間隔を空けて配置される。テンションロール75および駆動ロール76のそれぞれは、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。
【0045】
駆動ロール76は、モータなどの駆動源(図示せず)からの駆動力が入力される。駆動ロール76は、駆動力が入力されると、幅方向の一方側から見て反時計回り方向に回転する。
【0046】
無端ベルト73は、テンションロール75および駆動ロール76の周りに掛けられている。無端ベルト73は、テンションロール75および駆動ロール76の周りを移動可能である。
【0047】
複数の加圧ロール74は、無端ベルト73の内側に位置し、テンションロール75および駆動ロール76の間において、搬送方向に互いに間隔を空けて配置される。複数の加圧ロール74のそれぞれは、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。
【0048】
第2押圧ユニット72は、第1押圧ユニット71に対して下側に配置されており、水平方向に対して、第1押圧ユニット71と線対称な構成を有する。なお、第2押圧ユニット72の駆動ロール76は、駆動力が入力されると、幅方向の一方側から見て時計回り方向に回転する。
【0049】
このようなSMC製造装置5では、SMCが連続的に製造される。詳しくは後述するが、カッティング装置3でカットされた後、繊維細分散化装置1によって解繊された繊維が、搬送装置2のキャリアフィルム23によって搬送される樹脂組成物層に落下する。そして、繊維が落下した樹脂組成物は、カバーフィルム63により搬送される樹脂組成物と連続的に合流する。このとき、繊維は、キャリアフィルム23に搬送される樹脂組成物と、カバーフィルム63に搬送される樹脂組成物との間に挟まれる。
【0050】
そして、繊維を含む樹脂組成物は、キャリアフィルム23に搬送されて、第1押圧ユニット71および第2押圧ユニット72の間を通過するときに、鉛直方向の両側から押圧される。これによって、繊維と、繊維に含浸される樹脂組成物とを備えるSMCが調製される。その後、SMCは、順次、巻き取りロール22に巻き取られる。
【0051】
2.カッティング装置の詳細
次に、
図2を参照して、カッティング装置3の詳細について説明する。
【0052】
カッティング装置3は、カッティングロール31と、ゴムロール32とを備える。
【0053】
カッティングロール31は、ロール本体311と、複数の切断刃312とを備える。
【0054】
ロール本体311は、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。ロール本体311には、モータなどの駆動源(図示せず)からの駆動力が入力される。ロール本体311は、駆動力が入力されると、幅方向の一方側から見て反時計回り方向に回転する。
【0055】
複数の切断刃312は、ロール本体311の周面に配置される。複数の切断刃312のそれぞれは、ロール本体311の周面から径方向外側に突出し、幅方向に延びる。複数の切断刃312は、繊維の長さが後述する範囲となるように、ロール本体311の周方向に互いに間隔を空けて配置される。
【0056】
ゴムロール32は、ロール本体311に対して僅かに間隔を空けて配置され、複数の切断刃312と接触する。ゴムロール32は、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。
【0057】
3.繊維細分散化装置1の詳細
次に、
図2および
図3を参照して、繊維細分散化装置1の詳細について説明する。
【0058】
図2に示すように、繊維細分散化装置1は、解繊装置11と、複数の第1仕切板12と、第2仕切板13と、第3仕切板14と、シュート部15とを備える。
【0059】
解繊装置11は、カッティング装置3から落下する繊維を解繊する。本実施形態では、繊維細分散化装置1は、複数(3つ)の解繊装置11を備える。以下では、3つの解繊装置11を、第1解繊装置11A、第2解繊装置11Bおよび第3解繊装置11Cとして、互いに区別する。第1解繊装置11A、第2解繊装置11Bおよび第3解繊装置11Cは、鉛直方向に互いに間隔を空けて配置される。
【0060】
第1解繊装置11Aは、カッティング装置3に対して下方に間隔を空けて配置される。上下方向から見て、第1解繊装置11Aは、カッティング装置3と重なっている。第1解繊装置11Aは、シャフト111と、複数のピン112とを備える。
【0061】
シャフト111は、幅方向に延びる円柱形状を有し、その軸線を中心として回転可能である。シャフト111には、モータなどの駆動源(図示せず)からの駆動力が入力される。シャフト111は、駆動力が入力されると回転する。
【0062】
複数のピン112は、シャフト111の周面に、軸線方向および周方向に間隔を空けて配置される。複数のピン112のそれぞれは、シャフト111の周面から径方向に突出する。ピン112は、円柱形状を有する。ピン112の外径は、例えば、2mm以上10mm以下である。
【0063】
第2解繊装置11Bは、第1解繊装置11Aに対してカッティング装置3の反対側に位置する。第2解繊装置11Bは、第1解繊装置11Aに対して下方に間隔を空けて配置される。上下方向から見て、第2解繊装置11Bは、第1解繊装置11Aと重なっている。
【0064】
第3解繊装置11Cは、第2解繊装置11Bに対して第1解繊装置11Aの反対側に位置する。第3解繊装置11Cは、第2解繊装置11Bに対して下方に間隔を空けて配置される。上下方向から見て、第3解繊装置11Cは、第2解繊装置11Bと重なっている。第2解繊装置11Bおよび第3解繊装置11Cの構成は、第1解繊装置11Aの構成と同じである。そのため、第2解繊装置11Bおよび第3解繊装置11Cの説明を省略する。
【0065】
複数の第1仕切板12は、解繊装置11によって解繊された繊維の幅方向の飛散を抑制する。本実施形態では、繊維細分散化装置1は、複数の第1仕切板12からなる第1仕切板のセットを、複数(3つ)備える。以下では、3つの第1仕切板のセットを、第1セット12A、第2セット12Bおよび第3セット12Cとして、互いに区別する。
【0066】
図3に示すように、第1セット12Aは、上下方向において、カッティング装置3と第1解繊装置11Aとの間に配置される。第1セット12Aは、幅方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板12からなる。上下方向から見て、複数の第1仕切板12は、第1解繊装置11Aと重なる。
【0067】
複数の第1仕切板12のそれぞれは、上下方向に延び、かつ、搬送方向に延びる。換言すると、第1仕切板12は、解繊装置11の軸方向と直交する方向に延びる。搬送方向における第1仕切板12の上流端部は、第2仕切板13に接続される(
図2参照)。搬送方向における第1仕切板12の下流端部は、第3仕切板14に接続される(
図2参照)。
【0068】
第1仕切板12は、後述するシュート部15の第1板151と第2板152との間に配置されている。また、複数の第1仕切板12のそれぞれは、幅方向から見て、略台形状を有している。より具体的には、第1仕切板12は、上辺が長く、底辺が短い略台形状を有している。また、各第1仕切板12の搬送方向における上流側端縁および下流側端縁は、上方から下方に向かうにつれて解繊装置11に近づくように傾斜している。
【0069】
また、各第1仕切板12の上下方向長さは、第1仕切板12の搬送方向長さよりも長い。より具体的には、各第1仕切板12の上下方向長さは、各第1仕切板12の逆台形における上辺長さよりも、長い。なお、第1仕切板12の上下方向長さに対する、第1仕切板12の搬送方向長さの比は、目的および用途に応じて、適宜設定される。通常、第1仕切板12の上下方向長さは、ピン112によって弾かれた繊維が飛散する高さ(上下方向長さ)よりも長くなるように、設定される。
【0070】
また、
図2において斜線で示されるように、第1仕切板12は、解繊装置11の回転によりピン112が描く円の高さ方向の範囲内に、存在していない。
【0071】
換言すると、繊維細分散化装置1を搬送方向(
図3の紙面奥行方向)に投影した投影図において、複数の第1仕切板12の投影面は、解繊装置11の投影面と、重複しない。すなわち、解繊装置11(ピン112を含む。)の搬送方向における両側には、第1仕切板12が存在していない。
【0072】
また、繊維細分散化装置1を幅方向(
図3の紙面左右方向)に投影した投影図において、複数の第1仕切板12の投影面は、解繊装置11の投影面と、重複しない。すなわち、解繊装置11(ピン112を含む。)の幅方向における両側には、第1仕切板12が存在していない。
【0073】
複数の第1仕切板12のうち、幅方向に互いに隣り合う第1仕切板12の間の間隔は、例えば、10mm以上、好ましくは、20mm以上、また、例えば、500mm以下、好ましくは、250mm以下である。
【0074】
幅方向に互いに隣り合う第1仕切板12の間の間隔は、カットした繊維の繊維長に応じて、好適な範囲に設定される。例えば、幅方向に互いに隣り合う第1仕切板12の間の距離(間隔)は、カットした繊維の繊維長に対して、例えば、1倍以上、好ましくは2倍以上であり、例えば、10倍以下、好ましくは、5倍以下である。
【0075】
第2セット12Bは、上下方向において、第1解繊装置11Aと第2解繊装置11Bとの間に配置される。第2セット12Bは、幅方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板12からなる。第2セット12Bの第1仕切板12の構成は、上下方向の寸法を除いて、第1セット12Aの第1仕切板12の構成と同じである。そのため、第2セット12Bの第1仕切板12の説明を省略する。
【0076】
第3セット12Cは、上下方向において、第2解繊装置11Bと第3解繊装置11Cとの間に配置される。第3セット12Cは、幅方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板12からなる。第3セット12Cの第1仕切板12の構成は、上下方向の寸法を除いて、第1セット12Aの第1仕切板12の構成と同じである。そのため、第3セット12Cの第1仕切板12の説明を省略する。
【0077】
図2に示すように、第2仕切板13は、解繊装置11によって解繊された繊維の搬送方向上流側への飛散を抑制する。第2仕切板13は、複数(3つ)の解繊装置11に対して、搬送方向の上流側に間隔を空けて配置される。第2仕切板13は、複数の第1仕切板12を支持する。
【0078】
第2仕切板13は、1枚の板からなり、上下方向に延び、かつ、幅方向に延びる。搬送方向における第2仕切板13と第1解繊装置11A(シャフト111の中心)との間の間隔は、例えば、50mm以上、好ましくは、100mm以上、また、例えば、400mm以下、好ましくは、300mm以下である。
【0079】
搬送方向における第2仕切板13と第1解繊装置11Aとの間の間隔は、解繊装置11Aの外径(シャフト111の外径と、ピン112の長さとの合計)に応じて、好適な範囲に設定される。例えば、搬送方向における第2仕切板13と第1解繊装置11Aとの間の間隔は、シャフト111の外径と、ピン112の長さとの合計に対して、例えば、1倍以上、好ましくは、2倍以上であり、また、例えば、10倍以下、好ましくは、5倍以下である。
【0080】
第3仕切板14は、解繊装置11によって解繊された繊維の搬送方向下流側への飛散を抑制する。第3仕切板14は、第1解繊装置11Aに対して、搬送方向の下流側に間隔を空けて配置される。第3仕切板14は、搬送方向において、複数の第1仕切板12に対して第2仕切板13の反対側に位置する。
【0081】
第3仕切板14は、複数の第1仕切板12を支持する。第3仕切板14は、1枚の板からなり、上下方向に延び、かつ、幅方向に延びる。搬送方向における第3仕切板14と第1解繊装置11Aとの間の間隔の範囲は、例えば、搬送方向における第2仕切板13と第1解繊装置11Aとの間の間隔の範囲と同じである。
【0082】
シュート部15は、カッティング装置3から落下する繊維を、解繊装置11に導入する。本実施形態では、繊維細分散化装置1は、複数のシュート部15を備える。複数のシュート部15のそれぞれは、互いに隣り合う第1仕切板12の間に配置される。シュート部15は、第1板151および第2板152を含む。
【0083】
第1板151および第2板152は、搬送方向に互いに間隔を空けて配置される。第1板151と第2板152との間には、解繊装置11が配置されている。第1板151および第2板152のそれぞれは、下方に向かうにつれて解繊装置11に近づくように傾斜する。第1板151の上端部は、第2仕切板13に接続される。第2板152の上端部は、第3仕切板14に接続される。第1板151の下端部と、第2板152の下端部とは、互いに間隔を空けて配置される。解繊装置11は、上下方向から見て、第1板151の下端部と第2板152の下端部との間に位置する。
【0084】
第1板151の下端部には、櫛歯フォーク153が設けられている。櫛歯フォーク153は、第1板151の面方向に沿って延びる薄板である。櫛歯フォーク153は、下端縁から上方に向かう凹状の切欠部を有している。切欠部は、幅方向に間隔を隔てて複数配置されている。複数の切欠部は、解繊装置11の回転時に、ピン112と櫛歯フォーク153とが接触しないように、位置決めされている。つまり、ピン112は、回転時に、櫛歯フォーク153の切欠部を通過する。
【0085】
なお、以下では、第1セット12Aにおいて互いに隣り合う第1仕切板12の間に配置されるシュート部15を、第1シュート部15Aとし、第2セット12Bにおいて互いに隣り合う第1仕切板12の間に配置されるシュート部15を、第2シュート部15Bとし、第3セット12Cにおいて互いに隣り合う第1仕切板12の間に配置されるシュート部15を、第3シュート部15Cとする。
【0086】
4.カッティング装置3および繊維細分散化装置1の動作
次に、
図2を参照して、カッティング装置3および繊維細分散化装置1の動作について説明する。
【0087】
図2に示すように、カッティング装置3では、カッティングロール31に駆動力が入力されて、カッティングロール31が回転するとともに、繊維がカッティングロール31とゴムロール32との間に連続的に供給される。
【0088】
繊維は、炭素繊維を少なくとも含む。繊維は、炭素繊維を含んでいれば、他の繊維を含むこともできる。他の繊維として、例えば、ガラス繊維、金属繊維、および、セラミック繊維が挙げられる。他の繊維は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0089】
繊維における炭素繊維の含有割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、また、例えば、100質量%以下である。繊維は、より好ましくは、炭素繊維からなる。
【0090】
繊維の形状として、例えば、クロス状、マット状、ストランド状、ロービング状、不織布状、および、ペーパー状が挙げられ、好ましくは、ロービング状が挙げられる。
【0091】
繊維の形状がロービング状である場合、カッティング装置3は、ロービング状の強化繊維を、所定の長さを有するチョップドストランドにカットする。
【0092】
これによって、所定の長さを有する繊維(好ましくは、チョップドストランド)が、カッティング装置3から連続的に落下する。
【0093】
なお、繊維の長さ方向の寸法は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上、また、例えば、100mm以下、好ましくは、60mm以下である。
【0094】
また、繊維細分散化装置1では、複数の解繊装置11に駆動力が入力され、複数の解繊装置11のそれぞれが回転する。
【0095】
解繊装置11の回転速度は、例えば、100rpm以上、好ましくは、500rpm以上、また、例えば、10000rpm以下、好ましくは、5000rpm以下である。
【0096】
そして、カッティング装置3から落下した繊維は、まず、第1シュート部15Aに案内されて、回転する第1解繊装置11Aに到達する。
【0097】
すると、繊維は、回転する第1解繊装置11Aにより、解繊されるとともに分散される。このとき、繊維は、第1仕切板12、第2仕切板13および第3仕切板14によって過度に飛散することが抑制される。そして、第1解繊装置11Aによって解繊された繊維は、ピン112と櫛歯フォーク153との間隙から排出される。
【0098】
次いで、排出された繊維は、自然落下して第2シュート部15Bに到達し、第2シュート部15Bに案内されて、回転する第2解繊装置11Bと接触する。その後、第2解繊装置11Bによって解繊された繊維は、自然落下して第3シュート部15Cに到達し、第3シュート部15Cに案内されて、回転する第3解繊装置11Cと接触する。これによって、繊維は、さらに解繊されるとともに分散される。その後、繊維は、搬送装置2によって搬送される樹脂組成物層上に落下する。
【0099】
4.作用効果
図3に示すように、繊維細分散化装置1は、幅方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1仕切板12を備える。そのため、複数の第1仕切板12が、解繊装置11によって解繊された繊維が幅方向に過度に飛散することを抑制できる。そのため、解繊された繊維を、搬送装置2によって搬送される樹脂組成物に均一に分散させることができる。
【0100】
また、
図2に示すように、上下方向から見て、複数の第1仕切板12は、解繊装置11と重なっている。そのため、複数の第1仕切板12が、解繊装置11によって解繊された繊維の飛散を安定して抑制できる。
【0101】
また、第2仕切板13は、搬送方向において解繊装置11に対して間隔を空けて配置される。そのため、第2仕切板13が、解繊装置11によって解繊された繊維が搬送方向の一方に過度に飛散することを抑制できる。その結果、解繊された繊維を樹脂組成物に、より均一に分散させることができる。
【0102】
また、第3仕切板14は、搬送方向において、複数の第1仕切板12に対して、第2仕切板13の反対側に位置する。そのため、第3仕切板14は、解繊装置11によって解繊された繊維が搬送方向の他方に過度に飛散することを抑制できる。その結果、解繊された繊維を樹脂組成物に、より一層均一に分散させることができる。
【0103】
また、繊維細分散化装置1は、シュート部15を備える。そのため、カッティング装置から落下する繊維を、シュート部15によって、解繊装置11に案内することができる。
【0104】
なお、解繊装置11によって解繊された繊維は、ピン112と櫛歯フォーク153との間隙から排出される。このとき、繊維は、解繊により毛羽立ちを生じる場合がある。このような場合、第1仕切板12が、解繊装置11の回転によりピン112が描く円の高さ方向の範囲内に存在していると、ピン112と櫛歯フォーク153との間に繊維が詰まる場合がある。
【0105】
これに対して、上記の繊維細分散化装置1では、第1仕切板12が、解繊装置11の回転によりピン112が描く円の高さ方向の範囲内に存在していない。より具体的には、繊維細分散化装置1を幅方向(
図3の紙面左右方向)に投影した投影図において、複数の第1仕切板12の投影面は、解繊装置11の投影面と、重複しない。すなわち、解繊装置11(ピン112を含む。)の幅方向における両側には、第1仕切板12が存在していない。そのため、上記の繊維細分散化装置1によれば、繊維の詰まりを防止できる。
【0106】
さらに、上記の繊維細分散化装置1では、解繊装置11の搬送方向における両側にも、仕切板が存在していない。より具体的には、繊維細分散化装置1を搬送方向(
図3の紙面奥行き方向)に投影した投影図において、複数の第1仕切板12の投影面は、解繊装置11の投影面と、重複しない。解繊装置11(ピン112を含む。)の搬送方向における両側に仕切板がなければ、その仕切板とピン112との間における繊維の詰まりを防止できる。
【0107】
さらに、上記の繊維細分散化装置1では、各第1仕切板12の上下方向長さが、第1仕切板12の搬送方向長さよりも長い。そのため、このような構成によれば、解繊装置の上方において、良好に繊維の飛散を抑制できる。その結果、解繊装置11(ピン112を含む。)の搬送方向における両側に、第1仕切板12が存在していなくとも、繊維の過度な飛散を抑制し、繊維をより均一に分散させることができる。その結果、解繊装置11の搬送方向両側に、第1仕切板12を配置する必要がなく、装置の大型化を抑制できる。
【0108】
とりわけ、SMC製造装置5では、搬送方向において、カバー樹脂供給装置6などを配置する必要があり、搬送方向における装置の大型化が懸念される。しかし、上記の繊維細分散化装置1では、搬送方向における装置の小型化を図ることができるため、SMC製造装置5の大型化を抑制できる。
【0109】
5.変形例
上記した実施形態では、繊維細分散化装置1が、複数の解繊装置11を備えるが、解繊装置11の数は、これに限定されない。繊維細分散化装置1は、1つの解繊装置11のみを備えてもよい。
【0110】
上記した実施形態では、第2仕切板13とシュート部15の第1板151とが別体であるが、第2仕切板13とシュート部15の第1板151とは、一体であってもよい。
【0111】
上記した実施形態では、第3仕切板14とシュート部15の第2板152とが別体であるが、第3仕切板14とシュート部15の第2板152とは、一体であってもよい。
【0112】
これら変形例によっても、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0113】
上記の実施形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 繊維細分散化装置
11 解繊装置
12 第1仕切板
13 第2仕切板
14 第3仕切板
15 シュート部
2 搬送装置
3 カッティング装置