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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178977
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ベース無線装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G06F13/38 310E
G06F13/38 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086143
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 憲正
(72)【発明者】
【氏名】桑原 寿明
【テーマコード(参考)】
5B077
【Fターム(参考)】
5B077BA02
5B077DD06
5B077NN08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】迅速な無線通信を実現するベース無線装置及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】ベース無線装置14は、送信先が互いに異なる複数の信号を記憶する複数の送信バッファ46A、46Bと、送信が成功したか否かにかかわらず、複数の送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数のリモート無線装置16A~16Cの各々に信号を送信する送信処理部と、送信バッファ46Aに記憶されている信号DPAの送信が成功した場合、複数の送信バッファのうちの送信が成功した送信バッファ以外の送信バッファ46Bに記憶されている信号DPBの送信先16Bとは異なる送信先16Cに送信される信号DPCを、送信が成功した送信バッファに上書きする記憶制御部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリモート無線装置と信号の送受信を行うベース無線装置であって、
複数の前記リモート無線装置に送信される複数の信号であって、送信先が互いに異なる複数の信号を記憶する複数の送信バッファと、
送信が成功したか否かにかかわらず、複数の前記送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数の前記リモート無線装置の各々に信号を送信する送信処理部と、
前記送信バッファに記憶されている信号の送信が成功した場合、複数の前記送信バッファのうちの送信が成功した前記送信バッファ以外の前記送信バッファに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信が成功した前記送信バッファに上書きする記憶制御部と、
を備える、ベース無線装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベース無線装置において、
フィールドバスによって接続されたコンピュータから供給される複数の信号を記憶する待機バッファを更に備え、
前記記憶制御部は、前記待機バッファに記憶された信号のうちから優先度に応じて選択される信号を前記送信バッファに記憶する、ベース無線装置。
【請求項3】
ベース無線装置と複数のリモート無線装置とが信号の送受信を行う無線通信方法であって、
複数の前記リモート無線装置に送信される複数の信号であって、送信先が互いに異なる複数の信号を複数の送信バッファに記憶するステップと、
送信が成功したか否かにかかわらず、複数の前記送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数の前記リモート無線装置の各々に信号を送信するステップと、
前記送信バッファに記憶されている信号の送信が成功した場合、複数の前記送信バッファのうちの送信が成功した前記送信バッファ以外の前記送信バッファに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信が成功した前記送信バッファに上書きするステップと、
を有する無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース無線装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、PCとコントローラとがフィールドネットワークを介して接続されたFAシステムが開示されている。特許文献1では、無線メッセージの送受信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5497730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、必ずしも迅速な無線通信を実現し得ない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によるベース無線装置は、複数のリモート無線装置と信号の送受信を行うベース無線装置であって、複数の前記リモート無線装置に送信される複数の信号であって、送信先が互いに異なる複数の信号を記憶する複数の送信バッファと、送信が成功したか否かにかかわらず、複数の前記送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数の前記リモート無線装置の各々に信号を送信する送信処理部と、前記送信バッファに記憶されている信号の送信が成功した場合、複数の前記送信バッファのうちの送信が成功した前記送信バッファ以外の前記送信バッファに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信が成功した前記送信バッファに上書きする記憶制御部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様による無線通信方法は、ベース無線装置と複数のリモート無線装置とが信号の送受信を行う無線通信方法であって、複数の前記リモート無線装置に送信される複数の信号であって、送信先が互いに異なる複数の信号を複数の送信バッファに記憶するステップと、送信が成功したか否かにかかわらず、複数の前記送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数の前記リモート無線装置の各々に信号を送信するステップと、前記送信バッファに記憶されている信号の送信が成功した場合、複数の前記送信バッファのうちの送信が成功した前記送信バッファ以外の前記送信バッファに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信が成功した前記送信バッファに上書きするステップと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、迅速な無線通信を実現し得るベース無線装置及び無線通信方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による無線通信システムを示す図である。
図2】一実施形態による無線通信システムを示すブロック図である。
図3】一実施形態によるベース無線装置の動作の例を示すフローチャートである。
図4】一実施形態によるベース無線装置の動作の例を示すフローチャートである。
図5】一実施形態によるベース無線装置の動作の例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[一実施形態]
一実施形態によるベース無線装置及び無線通信方法が図1図5を用いて以下に説明される。図1は、本実施形態による無線通信システムを示す図である。図2は、本実施形態による無線通信システムを示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態による無線通信システム10には、コンピュータ12と、ベース無線装置14と、リモート無線装置16とが備えられ得る。無線通信システム10には、複数のベース無線装置14が備えられ得る。1つのコンピュータ12と複数のベース無線装置14とがフィールドバス17を介して接続され得る。ベース無線装置14とリモート無線装置16との間では、予めペアリングが行われ得る。ペアリングされたベース無線装置14とリモート無線装置16との間で、同期接続が行われ得る。1つのベース無線装置14には、複数のリモート無線装置16が同期接続され得る。ベース無線装置14は、複数のリモート無線装置16と信号の送受信を行い得る。ベース無線装置14毎に複数のリモート無線装置16が同期接続されることで、複数のネットワーク43が構成され得る。
【0012】
コンピュータ12は、産業設備の監視制御を行い得る。かかるコンピュータ12としては、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)が用いられ得るが、これに限定されない。図2に示すように、コンピュータ12には、例えば、演算部18と、記憶部19とが備えられ得る。
【0013】
演算部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(processor)を含み得る。即ち、演算部18は、処理回路(processing circurity)を含み得る。演算部18には、制御部20が備えられている。演算部18には、制御部20以外の構成要素も備えられ得るが、ここでは、説明の簡略化のため、制御部20以外の構成要素を省略する。制御部20は、コンピュータ12の全体の制御を司る。制御部20は、産業設備の監視制御を行い得る。制御部20は、記憶部19に記憶されているプログラムが演算部18によって実行されることによって実現され得る。なお、制御部20の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。制御部20の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路であってもよい。
【0014】
記憶部19は、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとを含み得る。揮発性メモリとしては、例えばRAM(Random Access Memory)等が挙げられ得る。不揮発性メモリとしては、例えばROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられ得る。データ等が、例えば揮発性メモリに記憶され得る。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば不揮発性メモリに記憶され得る。記憶部19の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。記憶部19には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等が更に備えられ得る。
【0015】
コンピュータ12には、フィールドバス接続を実現するための入出力インターフェース21が備えられている。コンピュータ12は、フィールドバス17を介してベース無線装置14との間で通信を行い得る。
【0016】
ベース無線装置14には、例えば、演算部22と、記憶部23とが備えられている。
【0017】
演算部22は、例えば、CPU等のプロセッサを含み得る。即ち、演算部22は、処理回路を含み得る。演算部22には、制御部24と、取得部25と、送受信処理部26と、記憶制御部28とが備えられ得る。演算部22には、これらの構成要素以外の構成要素も備えられ得るが、ここでは、説明の簡略化のため、これらの構成要素以外の構成要素を省略する。制御部24と、取得部25と、送受信処理部26と、記憶制御部28とは、記憶部23に記憶されているプログラムが演算部22によって実行されることによって実現され得る。制御部24は、ベース無線装置14の全体の制御を司る。なお、制御部24、取得部25、送受信処理部26、記憶制御部28の少なくとも一部が、ASIC、FPGA等の集積回路によって実現されてもよい。制御部24、取得部25、送受信処理部26、記憶制御部28の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路であってもよい。
【0018】
記憶部23は、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとを含み得る。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられ得る。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられ得る。データ等が、例えば揮発性メモリに記憶され得る。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば不揮発性メモリに記憶され得る。記憶部23の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0019】
ベース無線装置14には、フィールドバス接続を実現するための入出力インターフェース29が備えられている。ベース無線装置14は、上述したように、フィールドバス17によってコンピュータ12に接続され得る。
【0020】
ベース無線装置14には、無線通信を行うための通信部30が備えられている。ベース無線装置14は、通信部30を用いて、リモート無線装置16との間で無線通信を行い得る。
【0021】
リモート無線装置16は、産業設備に含まれる複数の機器44(図1参照)の各々に備えられ得る。かかる機器44としては、センサ、バルブ等が挙げられ得るが、これに限定されない。リモート無線装置16には、例えば、演算部32と、記憶部34とが備えられている。
【0022】
演算部32は、例えば、CPU等のプロセッサを含み得る。即ち、演算部32は、処理回路を含み得る。演算部32には、制御部35と、送受信処理部37とが備えられ得る。演算部32には、これらの構成要素以外の構成要素も備えられ得るが、ここでは、説明の簡略化のため、これらの構成要素以外の構成要素を省略する。制御部35と、送受信処理部37とは、記憶部34に記憶されているプログラムが演算部32によって実行されることによって実現され得る。制御部35は、リモート無線装置16の全体の制御を司る。なお、制御部35、送受信処理部37の少なくとも一部が、ASIC、FPGA等の集積回路によって実現されてもよい。制御部35、送受信処理部37の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路であってもよい。
【0023】
記憶部34は、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとを含み得る。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられ得る。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられ得る。データ等が、例えば揮発性メモリに記憶され得る。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば不揮発性メモリに記憶され得る。記憶部34の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0024】
リモート無線装置16には、無線通信を行うための通信部42が備えられている。リモート無線装置16は、通信部42を用いて、ベース無線装置14との間で無線通信を行い得る。
【0025】
上述したように、ベース無線装置14には、送受信処理部26が備えられ得る。送受信処理部26には、送信処理部26Aと、受信処理部26Bとが備えられ得る。送信処理部26Aは、信号の送信の処理を行う。受信処理部26Bは、信号の受信の処理を行う。上述したように、リモート無線装置16には、送受信処理部37が備えられ得る。送受信処理部26と送受信処理部37とは、リモート無線装置16とベース無線装置14との間での信号の送受信の処理を司る。同期接続されたベース無線装置14とリモート無線装置16との間では、周波数ホッピング方式の通信が行われ得る。即ち、同期接続されたベース無線装置14とリモート無線装置16との間では、予め決められたホッピング周期Tfh(n)(図5参照)でホッピング周波数を切り替えて信号の送受信が行われ得る。
【0026】
上述したように、ベース無線装置14には、取得部25が備えられ得る。取得部25は、コンピュータ12から供給される信号(データパケット)を順次取得し得る。コンピュータ12から供給される信号には、当該信号の送信先となるリモート無線装置16を示す情報が含められ得る。
【0027】
上述したように、ベース無線装置14には、記憶部23が備えられ得る。記憶部23には、待機バッファ45が備えられ得る。取得部25は、コンピュータ12から供給される複数の信号を待機バッファ45に順次記憶する。待機バッファ45には、取得部25によって取得された信号が時系列順に記憶され得る。
【0028】
記憶部23には、複数の送信バッファ46A、46Bが更に備えられ得る。送信バッファ46A、46Bには、リモート無線装置16に送信される信号が一時的に記憶され得る。バッファ一般について説明する際には、符号46が用いられ、個々のバッファについて説明する際には、符号46A、46Bが用いられる。複数の送信バッファ46には、複数のリモート無線装置16に送信される複数の信号が記憶され得る。複数の送信バッファ46には、送信先が互いに異なる複数の信号が記憶され得る。即ち、送信バッファ46Bに信号が記憶されている場合、送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号が、送信バッファ46Aに記憶される。送信バッファ46Aに信号が記憶されている場合、送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号が、送信バッファ46Bに記憶される。
【0029】
送信処理部26Aは、送信が成功したか否かにかかわらず、複数の送信バッファ46に記憶された信号を予め決められた順番で送信する。送信処理部26Aは、複数の送信バッファ46に記憶された信号を予め決められた順番で送信することで、複数のリモート無線装置16の各々に信号を送信する。
【0030】
ベース無線装置14からの信号をリモート無線装置16が受信した場合、リモート無線装置16は、当該信号を受信したことを示す受信完了通知をベース無線装置14に送信する。ベース無線装置14からリモート無線装置16への信号の送信と、当該リモート無線装置16から当該ベース無線装置14への受信完了通知の送信とは、1つのホッピング周期内で行われる。ベース無線装置14からリモート無線装置16に信号が送信されたホッピング周期内において受信処理部26Bが受信完了通知を受信した場合、制御部24は、当該リモート無線装置16への当該信号の送信が成功したと判定する。ベース無線装置14からリモート無線装置16に信号が送信されたホッピング周期内において受信処理部26Bが受信完了通知を受信しなかった場合、制御部24は、当該リモート無線装置16への当該信号の送信が失敗したと判定する。
【0031】
上述したように、ベース無線装置14には、記憶制御部28が備えられ得る。記憶制御部28は、リモート無線装置16に送信される信号を送信バッファ46に記憶する。記憶制御部28は、送信先が互いに異なる複数の信号を複数の送信バッファ46に記憶する。送信バッファ46に記憶されている信号の送信が成功した場合、記憶制御部28は、以下のような処理を行う。即ち、記憶制御部28は、かかる場合、複数の送信バッファ46のうちの送信が成功した送信バッファ46以外の送信バッファ46に記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信が成功した送信バッファ46に上書きする。例えば、送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信が成功した場合、記憶制御部28は、以下のような制御を行う。即ち、かかる場合、記憶制御部28は、複数の送信バッファ46のうちの送信バッファ46A以外の送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信バッファ46Aに上書きする。送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信が成功した場合、記憶制御部28は、以下のような制御を行う。即ち、かかる場合、記憶制御部28は、複数の送信バッファ46のうちの送信バッファ46B以外の送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信バッファ46Bに上書きする。
【0032】
記憶制御部28は、待機バッファ45に記憶された信号のうちから優先度に応じて選択される信号を送信バッファ46に記憶する。例えば、信号が取得された時刻が古いほど優先度を高くしてもよい。即ち、取得部25によって取得された時刻が古い信号の優先度を、取得部25によって取得された時刻が新しい信号の優先度より高くしてもよい。
【0033】
本実施形態によるベース無線装置14の動作が図3を用いて以下に説明される。図3は、本実施形態によるベース無線装置の動作の例を示すフローチャートである。信号の送信に関する基本的な動作が図3には示されている。
【0034】
ステップS1において、ベース無線装置14に備えられた記憶制御部28は、送信先が互いに異なる複数の信号を、複数の送信バッファ46に記憶する。
【0035】
ステップS2において、ベース無線装置14に備えられた送信処理部26Aは、複数の送信バッファ46に記憶された信号の送信を予め決められた順番で行う。図3に示す処理は、繰り返し行われ得る。
【0036】
本実施形態によるベース無線装置14の動作が図4を用いて以下に説明される。図4は、本実施形態によるベース無線装置の動作の例を示すフローチャートである。送信バッファ46に記憶されている信号の送信の成否に応じた動作の例が図4には示されている。
【0037】
ステップS11において、制御部24は、送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信が成功したか否かを判定する。送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信が成功した場合には(ステップS11においてYES)、ステップS12に遷移する。送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信が失敗した場合には(ステップS11においてNO)、ステップS13に遷移する。
【0038】
ステップS12において、記憶制御部28は、新たな信号を送信バッファ46Aに上書きする。即ち、記憶制御部28は、送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信バッファ46Aに上書きする。ステップS12が完了した場合には、ステップS13に遷移する。
【0039】
ステップS13において、制御部24は、送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信が成功したか否かを判定する。送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信が成功した場合には(ステップS13においてYES)、ステップS14に遷移する。送信バッファ46Bに記憶されている信号の送信が失敗した場合には(ステップS13においてNO)、図4に示す処理が完了する。
【0040】
ステップS14において、記憶制御部28は、新たな信号を送信バッファ46Bに上書きする。即ち、記憶制御部28は、送信バッファ46Aに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信バッファ46Bに上書きする。ステップS14が完了した場合には、図4に示す処理が完了する。図4に示す処理は、繰り返し行われ得る。
【0041】
本実施形態によるベース無線装置14の動作が図5を用いて以下に説明される。図5は、本実施形態によるベース無線装置の動作の例を示すタイムチャートである。
【0042】
信号(データパケット)DPA~DPCが待機バッファ45に記憶されている場合の例が図5には示されている。信号DPAは、複数のリモート無線装置16のうちのリモート無線装置16Aに送信される信号である。信号DPBは、複数のリモート無線装置16のうちのリモート無線装置16Bに送信される信号である。信号DPCは、複数のリモート無線装置16のうちのリモート無線装置16Cに送信される信号である。信号一般について説明する際には、符号DPが用いられ、個々の信号について説明する際には、符号DPA~DPCが用いられる。
【0043】
送信バッファ46には、待機バッファ45に記憶された信号のうちから優先度に応じて選択される信号が記憶される。信号DPAが取得部25によって取得された時刻は、信号DPBが取得部25によって取得された時刻より古い。信号DPBが取得部25によって取得された時刻は、信号DPCが取得部25によって取得された時刻より古い。従って、信号DPAの優先度は、信号DPBの優先度より高い。また、信号DPBの優先度は、信号DPCの優先度より高い。このため、記憶制御部28は、送信バッファ46Aに信号DPAを記憶する。また、記憶制御部28は、送信バッファ46Bに信号DPを記憶する。送信バッファ46の数が2であるため、複数の送信バッファ46に同時に記憶され得る信号の数は2である。このため、信号DPCは、この段階では送信バッファ46に記憶されない。
【0044】
複数の送信バッファ46に記憶された信号DPの送信は、予め決められた順番で行われる。ホッピング周期Tfh(1)においては、送信バッファ46Aに記憶された信号DPAの送信が行われる。具体的には、信号DPAが、ベース無線装置14からリモート無線装置16Aに送信される。信号DPAの送信が当該ホッピング周期Tfh(1)において失敗する場合の例が図5には示されている。
【0045】
ホッピング周期Tfh(1)の次のホッピング周期Tfh(2)においては、送信バッファ46Bに記憶された信号DPBの送信が行われる。具体的には、信号DPBが、ベース無線装置14からリモート無線装置16Bに送信される。信号DPBの送信が当該ホッピング周期Tfh(2)において失敗する場合の例が図5には示されている。
【0046】
ホッピング周期Tfh(2)の次のホッピング周期Tfh(3)においては、送信バッファ46Aに記憶された信号DPAの送信が行われる。具体的には、信号DPAが、ベース無線装置14からリモート無線装置16Aに送信される。信号DPAの送信が当該ホッピング周期Tfh(3)において成功する場合の例が図5には示されている。送信バッファ46Aに記憶された信号DPAの送信が成功した場合には、当該送信バッファ46Aに信号DPCが上書きされる。
【0047】
ホッピング周期Tfh(3)の次のホッピング周期Tfh(4)においては、送信バッファ46Bに記憶された信号DPBの送信が行われる。具体的には、信号DPBが、ベース無線装置14からリモート無線装置16Bに送信される。信号DPBの送信が当該ホッピング周期Tfh(4)において失敗する場合の例が図5には示されている。
【0048】
ホッピング周期Tfh(4)の次のホッピング周期Tfh(5)においては、送信バッファ46Aに記憶された信号DPCの送信が行われる。具体的には、信号DPCが、ベース無線装置14からリモート無線装置16Cに送信される。信号DPCの送信が当該ホッピング周期Tfh(5)において成功する場合の例が図5には示されている。
【0049】
ホッピング周期Tfh(5)の次のホッピング周期Tfh(6)においては、送信バッファ46Bに記憶された信号DPBの送信が行われる。具体的には、信号DPBが、ベース無線装置14からリモート無線装置16Bに送信される。信号DPBの送信が当該ホッピング周期Tfh(6)において成功する場合の例が図5には示されている。こうして、信号DPの送信が順次行われ得る。
【0050】
送信バッファ46の数が1つのみである場合には、信号DPBの送信が成功した後、又は、信号DPBの送信のリトライ回数が所定回数に達した後でなければ、信号DPCを送信し得ない。これに対し、本実施形態では、送信バッファ46が複数備えられているため、信号DPBの送信が失敗した場合であっても、信号DPCの送信が行われ得る。このため、図5に示すように、信号DPBの送信が成功する前に、信号DPCの送信を成功させ得る。このように、本実施形態によれば、迅速な無線通信が実現され得る。
【0051】
[変形実施形態]
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0052】
例えば、上記実施形態では、送信バッファ46の数が2である場合を例に説明したが、これに限定されない。送信バッファ46の数が3以上であってもよい。
【0053】
上記実施形態がまとめられると以下の通りとなる。
【0054】
ベース無線装置(14)は、複数のリモート無線装置(16)と信号の送受信を行うベース無線装置であって、複数の前記リモート無線装置に送信される複数の信号であって、送信先が互いに異なる複数の信号を記憶する複数の送信バッファ(46A、46B)と、送信が成功したか否かにかかわらず、複数の前記送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数の前記リモート無線装置の各々に信号を送信する送信処理部(26A)と、前記送信バッファ(46A)に記憶されている信号(DPA)の送信が成功した場合、複数の前記送信バッファのうちの送信が成功した前記送信バッファ(46A)以外の前記送信バッファ(46B)に記憶されている信号(DPB)の送信先(16B)とは異なる送信先(16C)に送信される信号(DPC)を、送信が成功した前記送信バッファ(46A)に上書きする記憶制御部(28)と、を備える。送信バッファの数が1つのみである場合には、一の信号の送信が成功した後、又は、一の信号の送信のリトライ回数が所定回数に達した後でなければ、他の信号を送信し得ない。これに対し、このような構成では、送信バッファが複数備えられているため、一の信号の送信が失敗した場合であっても、他の信号の送信が行われ得る。このため、一の信号の送信が成功する前に、他の信号の送信を成功させ得る。このような構成によれば、迅速な無線通信が実現され得る。
【0055】
フィールドバス(17)によって接続されたコンピュータ(12)から供給される複数の信号を記憶する待機バッファ(45)を更に備え、前記記憶制御部は、前記待機バッファに記憶された信号のうちから優先度に応じて選択される信号を前記送信バッファに記憶してもよい。このような構成によれば、信号の送信が的確に行われ得る。
【0056】
無線通信方法は、ベース無線装置と複数のリモート無線装置とが信号の送受信を行う無線通信方法であって、複数の前記リモート無線装置に送信される複数の信号であって、送信先が互いに異なる複数の信号を複数の送信バッファに記憶するステップ(S1)と、送信が成功したか否かにかかわらず、複数の前記送信バッファに記憶された信号の送信を予め決められた順番で行うことで、複数の前記リモート無線装置の各々に信号を送信するステップ(S2)と、前記送信バッファに記憶されている信号の送信が成功した場合、複数の前記送信バッファのうちの送信が成功した前記送信バッファ以外の前記送信バッファに記憶されている信号の送信先とは異なる送信先に送信される信号を、送信が成功した前記送信バッファに上書きするステップ(S11~S14)と、を有する。
【符号の説明】
【0057】
10:無線通信システム 12:コンピュータ
14:ベース無線装置
16、16A~16C:リモート無線装置
17:フィールドバス 18、22、32:演算部
19、23、34:記憶部 20、24、35:制御部
21、29:入出力インターフェース 25:取得部
26、37:送受信処理部 26A:送信処理部
26B:受信処理部 28:記憶制御部
30、42:通信部 43:ネットワーク
44:機器 45:待機バッファ
46A、46B:送信バッファ DPA~DPC:信号
Tfh(1)~Tfh(6)、Tfh(n):ホッピング周期
図1
図2
図3
図4
図5