(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179000
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】倒れ防止係止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックス
(51)【国際特許分類】
A47B 67/04 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A47B67/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086187
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社SANKA
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA08
3B160AB12
3B160AB33
3B160CA02
3B160CA12
3B160DA52
3B160DA55
3B160DA57
(57)【要約】
【課題】上下の収納本体同士を簡単に係止連結できて、この係止連結状態が簡単には解除されない引き出し式収納ボックスを提供すること。
【解決手段】スタッキング時に上段の収納本体1の後方が上方へ傾き倒れることを阻止する倒れ防止係止機構4を備え、倒れ防止係止機構4は、収納本体1の上部に別の収納本体1をスタッキングした際にスタッキング位置を位置決めるずれ止め用位置決め受部5と、このずれ止め用位置決め受部5と係止するずれ止め用位置決め係止部6と、凸条係止受部7と、この凸条係止受部7と係止する凸条係止部8とを収納本体1に備え、凸条係止部8に、乗り越え誘導用の誘い込み凸湾曲誘導面9が設けられ、乗り越えた後戻り動を阻止する平坦な戻り動阻止係止面10が、凸条係止受部7と凸条係止部8とに設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納本体の引き出し収納部内に、前方へ引き出しスライド自在に引き出し体が収納され、この収納本体の上部に別の収納本体をスタッキングする際に双方が着脱自在に係止されて、この上部にスタッキングされた収納本体内の前記引き出し体を前方へ引き出しスライドした際この収納本体ごとこの引き出し体の前方が下方へ前記収納本体の後方が上方へ傾き倒れ落ちることを阻止する倒れ防止係止機構が備えられている倒れ防止係止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスであって、
前記倒れ防止係止機構は、前記収納本体の上部に設けられ、この収納本体の上部に前記別の収納本体をスタッキングする際にこの別の収納本体のスタッキング位置を位置決めるずれ止め用位置決め受部と、前記収納本体の底部に設けられ、別の前記収納本体の上部に前記収納本体をスタッキングする際に下側の前記収納本体の上部の前記ずれ止め用位置決め受部と係止してずれ止めるずれ止め用位置決め係止部とを備えているとともに、
前記収納本体の後部上部に設けられ、左右方向に長く前方に突出する凸条係止受部と、前記収納本体の後部底部に設けられ、左右方向に長く後方に突出し前記凸条係止受部と係止する凸条係止部とを備えていて、
前記収納本体の前記ずれ止め用位置決め受部に前記別の収納本体の前記ずれ止め用位置決め係止部を係止させる位置決め状態で、この収納本体の上部に前記別の収納本体をスタッキングする際に、自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力により、前記収納本体の後部上部の前記凸条係止受部を前記収納本体の後部底部の前記凸条係止部が上側から下側へと乗り越えて、前記凸条係止受部の下側に前記凸条係止部が位置して係止し上方への戻り動が阻止されるように構成され、
前記自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力により乗り越え係止する前記凸条係止受部と前記凸条係止部とのいずれか一方または双方に、乗り越え誘導用の誘い込み凸湾曲誘導面または誘い込みテーパー誘導面が設けられているとともに、乗り越えた後戻り動を阻止する平坦な戻り動阻止係止面が前記凸条係止受部と前記凸条係止部の双方に設けられていて、
前記押圧力が小さくても前記誘い込み凸湾曲誘導面または前記誘い込みテーパー誘導面により前記凸条係止受部に対して前記凸条係止部が誘導されて乗り越え平坦な前記戻り動阻止係止面同士が係止して前記収納本体同士のスタッキング状態が係止保持されて、前記位置決め状態でのこの平坦な前記戻り動阻止係止面同士の係止のため、前記押圧力よりも大きな力で変形を生じさせなければ係脱できないように構成されていることを特徴とする倒れ防止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックス。
【請求項2】
前記凸条係止部の下側面に、後方に向かって上り湾曲している乗り越え誘導用の前記誘い込み凸湾曲誘導面または後方に向かって上り傾斜している乗り越え誘導用の前記誘い込みテーパー誘導面が設けられているとともに、この凸条係止部の上側面に乗り越えた後戻り動を阻止する平坦面状の前記戻り動阻止係止面が設けられ、前記凸条係止受部の下側面に、前記凸条係止部が下側に乗り越え係止する際にこの凸条係止部の上側面の前記平坦面状の戻り動阻止係止面と係止する平坦面状の前記戻り動阻止係止面が設けられていることを特徴とする請求項1記載の倒れ防止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下にスタッキング(積み重ね載置)して使用可能な倒れ防止係止機構付きの引き出し式収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下に複数体をスタッキングして使用可能な引き出し式収納ボックスが実施されている。
【0003】
このようなスタッキング可能な引き出し式収納ボックスは、収納ボックスの天部上に別の収納ボックスが積み重ね載置されているだけであると、上段の収納ボックスの引き出し体を大きく手前に引き出した際に重心が手前側に移動し、上段の収納ボックスの後側が上方へ傾き倒れて場合によっては落下してしまうことがあった。
【0004】
そこで従来、下記特許文献1のように、スタッキング使用時に上段の収納ボックスの傾き防止対策が施された引き出し式収納ボックスが提案されている。
【0005】
この特許文献1を簡単に説明すると、スタッキング可能なボックス本体と、このボックス本体に引き出し自在に収納される引き出し体とから成り、前記ボックス本体の天部には、この天部上にスタッキングされる別のボックス本体を位置決めする位置決め部が設けられているとともに、前記上段のボックス本体に設けられた係止爪部が係合する係合縁部が設けられ、前記ボックス本体の底部には、スタッキング時の下段のボックス本体に設けられた係合縁部と係合する鉤状の係止爪部がこの底部の後側に先端を前側に向けて垂設されていて、ボックス本体の天部上に別のボックス本体を前記位置決め部で位置決めして載置し、前記係止爪部を前記下段のボックス本体の天部に圧接させると、前記係止爪部が弾性変形するか、若しくは前記係止爪部を設けた前記底部が弾性変形して、前記下段のボックス本体の天部に設けられた係合縁部を乗り越え、この係合縁部の裏面側に回り込んで該係合縁部と係合して上下のボックス本体が係止連結され、上段のボックス本体にこのボックス本体の後側が浮き上がろうとする力が作用しても、前記係止爪部が前記係合縁部の裏面に係止して浮き上りが阻止される状態で積み重ね設置されるように構成されている。
【0006】
また、前記係止爪部は、前記係合縁部に係合係止する先端爪部が前方へ向けて突設されているとともに、この爪部は、その上面が、前方側ほど下り傾斜する下り傾斜面に形成されてこの下り傾斜面が前記係合縁部の裏面(下面)に係止する係止面として構成され、この係止面の裏側となる下面が、逆に前方側ほど上り傾斜する上り傾斜面に形成された先細り形状に形成され、一方、前記係合縁部は、その下面が前方側ほど下り傾斜する下り傾斜面に形成されてこの下り傾斜面が前記爪部の係止面と係合係止する係合面として構成されていて、スタッキング時に上段のボックス本体の後側が浮き上がろうとする力が作用しても、前記係止面と前記係合面の係合係止により上段のボックス本体後部の上方への傾きが防止され、スタッキング状態を解除する際には、ボックス本体の前側を持ち上げ操作すると、互いに傾斜面である係止面と係合面とがスムーズに摺動して係止爪部が係合縁部から係脱される(係止連結状態が解除される)ように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種のスタッキング可能な引き出し式収納ボックスは、上記特許文献1のようなスタッキング時の係止連結機能が備わっていても、ユーザーがその機能の存在自体に気付かなかったり、係止連結することを忘れていてただボックス本体上に別のボックス本体を載置したままの状態で使用し続けてしまうことが往々にしてあった。
【0009】
また、上記特許文献1は、スタッキング状態で上下のボックス本体を係止連結する前記係止面と前記係合面とが互いに傾斜面であったため、上段の引き出し体内に重量の大きい物が収納してあると、引き出し体を前方に大きく引き出して上段のボックス本体の後側に上方へ傾き倒れようとする大きな荷重が加わった際に、傾斜面同士(係止面と係合面)が摺動して係止爪部の弾性変形を招き易く、場合によっては係止爪部が係合縁部から係脱して上下のボックス本体の係止連結状態が解除されてしまうことがあった。
【0010】
本発明は、上記特許文献1の改良に係るもので、スタッキングして使用する際に、自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力により簡単に上下の収納本体同士を係止連結できて、この上下の収納本体同士の係止連結が簡単には解除されない倒れ防止係止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
収納本体1の引き出し収納部2内に、前方へ引き出しスライド自在に引き出し体3が収納され、この収納本体1の上部に別の収納本体1をスタッキングする際に双方が着脱自在に係止されて、この上部にスタッキングされた収納本体1内の前記引き出し体2を前方へ引き出しスライドした際この収納本体1ごとこの引き出し体2の前方が下方へ前記収納本体1の後方が上方へ傾き倒れ落ちることを阻止する倒れ防止係止機構4が備えられている倒れ防止係止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスであって、
前記倒れ防止係止機構4は、前記収納本体1の上部に設けられ、この収納本体1の上部に前記別の収納本体1をスタッキングする際にこの別の収納本体1のスタッキング位置を位置決めるずれ止め用位置決め受部5と、前記収納本体1の底部に設けられ、別の前記収納本体1の上部に前記収納本体1をスタッキングする際に下側の前記収納本体1の上部の前記ずれ止め用位置決め受部5と係止してずれ止めるずれ止め用位置決め係止部6とを備えているとともに、
前記収納本体1の後部上部に設けられ、左右方向に長く前方に突出する凸条係止受部7と、前記収納本体1の後部底部に設けられ、左右方向に長く後方に突出し前記凸条係止受部7と係止する凸条係止部8とを備えていて、
前記収納本体1の前記ずれ止め用位置決め受部5に前記別の収納本体1の前記ずれ止め用位置決め係止部6を係止させる位置決め状態で、この収納本体1の上部に前記別の収納本体1をスタッキングする際に、自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力により、前記収納本体1の後部上部の前記凸条係止受部7を前記収納本体1の後部底部の前記凸条係止部8が上側から下側へと乗り越えて、前記凸条係止受部7の下側に前記凸条係止部8が位置して係止し上方への戻り動が阻止されるように構成され、
前記自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力により乗り越え係止する前記凸条係止受部7と前記凸条係止部8とのいずれか一方または双方に、乗り越え誘導用の誘い込み凸湾曲誘導面9または誘い込みテーパー誘導面が設けられているとともに、乗り越えた後戻り動を阻止する平坦な戻り動阻止係止面10が前記凸条係止受部7と前記凸条係止部8の双方に設けられていて、
前記押圧力が小さくても前記誘い込み凸湾曲誘導面9または前記誘い込みテーパー誘導面により前記凸条係止受部7に対して前記凸条係止部8が誘導されて乗り越え平坦な前記戻り動阻止係止面10同士が係止して前記収納本体1同士のスタッキング状態が係止保持されて、前記位置決め状態でのこの平坦な前記戻り動阻止係止面10同士の係止のため、前記押圧力よりも大きな力で変形を生じさせなければ係脱できないように構成されていることを特徴とする倒れ防止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスに係るものである。
【0013】
また、前記凸条係止部8の下側面に、後方に向かって上り湾曲している乗り越え誘導用の前記誘い込み凸湾曲誘導面9または後方に向かって上り傾斜している乗り越え誘導用の前記誘い込みテーパー誘導面が設けられているとともに、この凸条係止部8の上側面に乗り越えた後戻り動を阻止する平坦面状の前記戻り動阻止係止面10が設けられ、前記凸条係止受部7の下側面に、前記凸条係止部8が下側に乗り越え係止する際にこの凸条係止部8の上側面の前記平坦面状の戻り動阻止係止面10と係止する平坦面状の前記戻り動阻止係止面10が設けられていることを特徴とする請求項1記載の倒れ防止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、スタッキングして使用する場合に、倒れ防止係止機構によって上段の収納本体が自重により自動的に下段の収納本体に係止連結されるか、または小さい押圧力による手動簡易操作によって上段の収納本体を下段の収納本体に係止連結でき、従って、この種のスタッキング可能な引き出し式収納ボックスは、スタッキング時の係止連結機能が備わっていても、ユーザーがその機能の存在自体に気付かなかったり、係止連結することを忘れていてただ収納本体上に別の収納本体を載置したままの状態で使用し続けてしまうことがあったが、本発明によれば、上記のように上下の収納本体同士が簡単に係止連結されるので、多くのユーザーによる前記倒れ防止係止機構の利用が期待でき、しかも、この倒れ防止係止機構の係止連結状態は簡単に解除されることがなく、たとえ上段の収納ボックスの引き出し体内に重量の大きい物が収納されていたとしても、この引き出し体を引き出した際に上段の収納本体の後方が上方へ傾き倒れ落ちることが良好に阻止されるなど、極めて実用性に優れた倒れ防止係止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスとなる。
【0015】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する倒れ防止係止機構の凸条係止受部と凸条係止部とを、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた倒れ防止機構付きのスタッキング可能な引き出し式収納ボックスとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本実施例の倒れ防止係止機構の凸条係止部と凸条係止受部とを示す説明部分拡大斜視図である。
【
図3】本実施例の収納本体上に別の収納本体を載置するとともに、下段の収納本体のずれ止め用位置決め受部に、上段の収納本体のずれ止め用位置決め係止部を係止して、下段の収納本体に対し上段の収納本体をずれ止め載置した状態を示す側面図である。
【
図4】
図3における、上段の収納本体の凸条係止部と、下段の収納本体の凸条係止受部との位置関係(上段の収納本体の凸条係止部が、下段の収納本体の凸条係止受部の上側に位置している状態)を示す一部を切欠いた説明拡大側面図である。
【
図5】
図3の状態から、上段の収納本体の自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力を加えることにより、上下の収納本体同士が係止連結された状態(スタッキング使用状態)を示す側面図である。
【
図6】
図5における、上段の収納本体の凸条係止部と、下段の収納本体の凸条係止受部との位置関係(
図3の状態から上段の収納本体の凸条係止部が、下段の収納本体の凸条係止受部を上側から下側へと乗り越えるように移動して、凸条係止受部の下方に凸条係止部が位置している状態)を示す一部を切欠いた説明拡大側面図である。
【
図7】
図5のスタッキング使用状態において、上段の引き出し体を前方へ引き出すことで重心が前方へ移動した際に、上段の収納本体の凸条係止部と下段の収納本体の凸条係止受部の戻り動阻止係止面同士が係止して上下の収納本体の係止連結状態が保持されている状態を示す説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0018】
本発明の引き出し式収納ボックスは、収納本体1の上部に別の収納本体1を載置することで上下複数段にスタッキングして使用可能であるが、この際、下段の収納本体1の上部に設けられているずれ止め用位置決め受部5(倒れ防止係止機構4)に、上段の収納本体1の底部に設けられているずれ止め用位置決め係止部6(倒れ防止係止機構4)を係止すると、下段の収納本体1に対し上段の収納本体1がずれ止め状態で載置(スタッキング)される。
【0019】
また、このずれ止め用位置決め受部5とずれ止め用位置決め係止部6の係止による位置決め状態で、上段の収納本体1の自重による下方への押圧力によりまたは上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力を加えることにより、上段の収納本体1の後部底部に設けられている凸条係止部8(倒れ防止係止機構4)が、下段の収納本体1の後部上部に設けられている凸条係止受部7(倒れ防止係止機構4)を上側から下側へと乗り越えるように移動し、乗り越えた後は凸条係止受部7の下側に前記凸条係止部8が位置して係止し上方への戻り動が阻止され、上下の収納本体1同士が係止連結状態となる。
【0020】
即ち、本発明は、収納本体1の上部に別の収納本体1をスタッキングする際に双方が着脱自在に係止されて、上段の収納本体1内の前記引き出し体2を前方へ引き出しスライドした際この収納本体1ごとこの引き出し体2の前方が下方へ収納本体1の後方が上方へ傾き倒れ落ちることを阻止する倒れ防止係止機構4を備えている。
【0021】
また、本発明は、前記凸条係止受部7と前記凸条係止部8とのいずれか一方または双方に、乗り越え誘導用の誘い込み凸湾曲誘導面9または誘い込みテーパー誘導面が設けられているとともに、乗り越えた後戻り動を阻止する平坦な戻り動阻止係止面10が前記凸条係止受部7と前記凸条係止部8の双方に設けられており、上段の収納ボックスの自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力が小さくても前記誘い込み凸湾曲誘導面9または前記誘い込みテーパー誘導面により前記凸条係止受部7に対して前記凸条係止部8が誘導されて乗り越え平坦な前記戻り動阻止係止面10同士が係止して上下の収納本体1同士がスタッキング状態で係止連結されることになる。
【0022】
従って、この種のスタッキング可能な引き出し式収納ボックスは、スタッキング時の係止連結機能が備わっていても、ユーザーがその機能の存在自体に気付かなかったり、係止連結することを忘れていてただ収納本体上に別の収納本体を載置したままの状態で使用し続けてしまうことがあったが、本発明によれば、上下の収納本体1同士が自動的に係止連結されるか、または手動であっても小さい押圧力による簡易操作によって上下の収納本体1同士を係止連結できるので、多くのユーザーによる前記倒れ防止係止機構4の利用が期待できる。
【0023】
また、この倒れ防止係止機構4によるスタッキング係止連結状態では、平坦な前記戻り動阻止係止面10同士の係止のため前記下方への押圧力よりも大きな力で変形を生じさせなければ係脱できない。
【0024】
そのため、本発明は、上記したようにスタッキング時に簡単に上下の収納本体1同士を係止連結できる構成でありながら、この係止連結状態が簡単に解除されることはなく、従ってたとえ上段の収納ボックスの引き出し体2内に重量の大きい物が収納されていたとしても、この引き出し体2を引き出した際に上段の収納本体1の後方が上方へ傾き倒れ落ちることが阻止される。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例の引き出し式収納ボックスは、上下にスタッキング可能な収納本体1内に引き出し収納部2が設けられ、この引き出し収納部2内に、前方へ引き出しスライド自在に引き出し体3が収納されている。
【0027】
具体的には、本実施例の前記収納本体1は、詳しく図示していないが、底壁の左右両端部と後端部とに側壁と後壁とが立設状態に連設する形態に形成(一体成形)された合成樹脂製の基体部と、この基体部の上部開口部の形状に略合致する形態に形成(一体成形)された合成樹脂製の天壁部とから成り、前記基体部の上部開口部に、この上部開口部を閉塞するように前記天壁部が係止固定されることで、
図1に示すような前後方向に長さを有する平面視略方形状であって前面が開口する合成樹脂製の箱状体に形成され、この収納本体1の内部空間が前記引き出し収納部2として構成されている。
【0028】
また、この収納本体1の天壁部(上板部)は、外周縁部を残して浅底に凹設する形状に形成(一体成形)されていて、この天壁部の凹設部11に別の収納本体1底部の後述する接地脚13・14を載置することで、
図3,
図5,
図7に示すように上下にスタッキングし得るように構成されている。尚、図面では上下二段にスタッキングした様子を示しているが、これに限らず三段以上スタッキングすることも可能である。
【0029】
本実施例の前記引き出し体3は、詳しく図示していないが、前後方向に長さを有する平面視略方形状であって上部が開口する箱状体に形成(一体成形)され、さらに、前壁部には、手を掛けて引出し入れ操作を行うための指掛け部12が設けられているとともに、前壁部より後方側は、前記引き出し収納部2内に収納配設可能な左右幅と上下幅を有する形状に形成されている。
【0030】
本実施例は、前記収納本体1の上部に別の収納本体1をスタッキングする際に双方が着脱自在に係止連結されて、上段の収納本体1内の前記引き出し体2を前方へ引き出しスライドした際にこの収納本体1ごとこの引き出し体2の前方が下方へ収納本体1の後方が上方へ傾き倒れ落ちることを阻止する倒れ防止係止機構4を備えている。
【0031】
また、本実施例の前記倒れ防止係止機構4は、前記収納本体1の上部に設けられ、この収納本体1の上部に別の収納本体1をスタッキングする際にこの別の収納本体1のスタッキング位置を位置決めるずれ止め用位置決め受部5と、前記収納本体1の底部に設けられ、別の収納本体1の上部に収納本体1をスタッキングする際に下側(下段)の収納本体1の上部の前記ずれ止め用位置決め受部5と係止してずれ止めるずれ止め用位置決め係止部6とを備えている。
【0032】
具体的には、前記収納本体1の天壁部上面上部の前側寄り位置に、左右方向に長さを有し上方へ向けて突設する凸条が形成(一体成形)されていて、この凸条が前記ずれ止め用位置決め受部5として構成されている(
図1,
図3,
図5,
図7参照)。
【0033】
一方、前記収納本体1の基体部の底壁の下面には、詳しく図示していないが、前側位置と、この前側位置より小間隔を置いた後方側位置との前後二箇所に、設置場所へ接地するための接地脚13・14が設けられ(一体成形され)ている。
【0034】
さらに詳しくは、この収納本体1の基体部の底壁下面の前側位置に、左右方向に長さを有し下方へ向けて突設する凸条が形成(一体成形)されていて、この凸条が前記前側接地脚13として構成され、この前側接地脚13よりやや後方側位置に、下方へ向けて突設し底面視でロ字状に連続する環状凸条が形成(一体成形)されていて、この環状凸条が前記後側接地脚14として構成されている。そして、前記収納本体1の上部に前後方向を揃え且つ互いの前後位置を略合致させるようにして別の収納本体1をスタッキングすると、上段の収納本体1の前後の接地脚13・14間に下段の収納本体1の前記ずれ止め用位置決め受部5が配置するように構成されているとともに、後側接地脚14の前側の横長凸条部が前記ずれ止め用位置決め係止部6として構成されていて、このずれ止め用位置決め係止部6の前側面部が、前記ずれ止め用位置決め受部5の後側面部に係止することで、上段の収納本体1が下段の前記収納本体1に対し前方へ位置ずれ防止状態となるように構成されている(
図3,
図5,
図7参照)。
【0035】
また、本実施例の前記倒れ防止係止機構4は、前記収納本体1の後部上部に設けられ、左右方向に長く前方に突出する凸条係止受部7と、前記収納本体1の後部底部に設けられ、左右方向に長く後方に突出し前記凸条係止受部7と係止する凸条係止部8とを備えている。
【0036】
具体的には、
図1,
図2に示すように、前記収納本体1の天壁部上面の後部の左右方向中間部分が、前記凹設部11周囲の背高外周縁部の高さと同等の背高を維持したまま前方へと延設され(前記天壁部が後部上部の左右中間部に背高前方延設部15を残した形態の前記凹設部11を有する形状に形成(一体成形)され)、さらにこの背高前方延設部15の前端部には、この背高前方延設部15の左右幅と同等の左右幅をもって水平前方へ短く薄板状に突出する凸鍔部が形成(一体成形)されていて、この凸鍔部が左右方向に長く前方に突出する前記凸条係止受部7として構成されている。
【0037】
一方、
図2に示すように、前記収納本体1の基体部の底壁下面の後側に存する前記後側接地脚14の後端横長凸条部14Aは、その左右方向中間部の後面部が、前方に向かって凹み且つ下方(後端横長凸条部14Aの下面)が開口する形状に凹設されているとともに、この凹部16は左右幅が前記凸条係止受部7の左右幅よりやや幅広な左右幅を有する形状に形成されてこの凹部16内に前記凸条係止受部7を配設し得るように構成され、さらにこの凹部16内には、水平後方へ短く薄板状に突出する凸鍔部が形成(一体成形)されていて(凸鍔部が残る形態に前記凹部16が形成されていて)、この凹部16内の凸鍔部が左右方向に長く後方に突出する前記凸条係止部8として構成されている。
【0038】
そして、前記収納本体1の上部に別の収納本体1をスタッキングして下段の収納本体1の前記ずれ止め用位置決め受部5に上段の収納本体1の前記ずれ止め用位置決め係止部6を係止させた位置決め状態では、
図3,
図4に示すように上段の収納本体1の前記凹部16の下部開口部を介してこの凹部16内の前記凸条係止部8の突出先端が、下段の収納本体1の前記凸条係止受部7の突出先端上に僅かに重なりつつ上方から当接して上段の収納本体1の後部がやや上を向いた傾斜状態で載置されるように、ずれ止め用位置決め受部5,ずれ止め用位置決め係止部6,凸条係止受部7及び凸条係止部8の位置関係や、凸条係止受部7及び凸条係止部8の突出度などが設定構成され、この際、
図3,
図4中に矢印で示した自重による下方への押圧力または上側から下側への手動押しつけ操作による下方への押圧力により、下段の収納本体1の前記凸条係止受部7を上段の収納本体1の前記凸条係止部8が上側から下側へと乗り越えて、前記凸条係止受部7の下側に前記凸条係止部8が位置して係止し、凸条係止部8の上方への戻り動が阻止され、
図5,
図6に示すように、上段の収納本体1が下段の収納本体1と同等の水平状態で載置(スタッキング)されるように構成されている。
【0039】
具体的には、前記自重による下方への押圧力または上側から下側への押しつけ操作による下方への押圧力により乗り越え係止する前記凸条係止部8に、乗り越え誘導用の誘い込み凸湾曲誘導面9が設けられ(一体成形され)ているとともに、乗り越えた後戻り動を阻止する平坦な戻り動阻止係止面10が前記凸条係止受部7と前記凸条係止部8の双方に設けられ(一体成形され)ていて、前記押圧力が小さくても前記誘い込み凸湾曲誘導面9により前記凸条係止受部7に対して前記凸条係止部8が誘導されて乗り越え平坦な前記戻り動阻止係止面10同士が係止して前記収納本体1同士のスタッキング状態が係止保持されて、前記位置決め状態でのこの平坦な前記戻り動阻止係止面10同士の係止のため、前記押圧力よりも大きな力で変形を生じさせなければ係脱できないように構成されている。
【0040】
さらに詳しくは、
図4,
図6,
図7に示すように、前記凸条係止部8の後方への突出先端部の下側面に、後方に向かって上り湾曲している乗り越え誘導用の前記誘い込み凸湾曲誘導面9が設けられているとともに、この凸条係止部8の突出先端部の上側面に乗り越えた後戻り動を阻止する面方向が水平な(設置部(設置面)と平行な)平坦面状の前記戻り動阻止係止面10が設けられており、一方、前記凸条係止受部7の前方への突出先端部の下側面に、前記凸条係止部8が下側に乗り越え係止する際にこの凸条係止部8の上側面の前記平坦面状の戻り動阻止係止面10と係止する面方向が水平な(設置面と平行な)平坦面状の前記戻り動阻止係止面10が設けられている。
【0041】
また、特に本実施例の場合、上段の収納ボックスの前記引き出し体3内に少しでも収納物が収納されると、その収納物の重量が加わった上段の収納ボックスの自重によって誘い込み凸湾曲誘導面9により前記凸条係止受部7に対して前記凸条係止部8が誘導されて乗り越えるように前記誘い込み凸湾曲誘導面9の湾曲度が設定構成されている。すなわち、スタッキング後に上段の引き出し体3内に収納物を収納するだけで、勝手に(自動的に)上下の収納本体同士が係止連結されるように構成されている。
【0042】
また、本実施例は、収納本体1をスタッキングして前記凸条係止部8が前記凸条係止受部7を乗り越えた際には、前記戻り動阻止係止面10同士が常時面接係止する状態とはならず、上下に小間隔を置いて離間した状態となるように構成されている(
図6参照)。すなわち、上段の収納ボックスの引き出し体3を引き出すなどしてこの上段の収納本体1の後部が上方へ少し持ち上がると、上段の収納本体1の前記凸条係止部8が上動してこの凸条係止部8の前記戻り動阻止係止面10が下段の収納本体1の前記凸条係止受部7の前記戻り動阻止係止面10に面接係止し、凸条係止部8の凸条係止受部7に対する戻り動が阻止されるように構成されている(
図7参照)。図示していないが、前記凸条係止部8が前記凸条係止受部7を乗り越えた後、前記戻り動阻止係止面10同士が常時面接係止状態となる構成が採用されていても良い。
【0043】
尚、前記凸条係止受部7に、前方への突出先端部の上側面に前方に向かって下り湾曲している乗り越え誘導用の前記誘い込み凸湾曲誘導面9が設けられる構成が採用されていても良いし、凸条係止部8と凸条係止受部7の双方に誘い込み凸湾曲誘導面9が設けられる構成が採用されていても良い。また、誘い込み凸湾曲誘導面9ではなく、(凸条係止部8に設けられる場合はその後方への突出先端部の下側面に後方に向かって上り傾斜し、凸条係止受部7に設けられる場合はその前方への突出先端部の上側面に前方に向かって下り傾斜する)乗り越え誘導用の誘い込みテーパー誘導面が形成される構成が採用されていても良い。
【0044】
また、本実施例は、上記のようなスタッキング時の係止連結方法以外に、設置部に設置された収納本体1の上部に、別の収納本体1を前方に位置をずらした状態で上方から載置することで、下段の収納本体1のずれ止め用位置決め受部5上に上段の収納本体1のずれ止め用位置決め係止部6(後側接地脚14)を載置し(上段の収納本体1を前側が若干上を向いた傾斜状態で載置し)、その後、上段の収納本体1を下段の収納本体1に対し後方へスライド移動させることにより上段の収納本体1の前記凸条係止部8を下段の収納本体1の前記凸条係止受部7の下側に位置させて、上下の収納本体1同士を係止連結することも可能である。
【0045】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。