(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179005
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】車両の前部車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20221125BHJP
B62D 21/15 20060101ALI20221125BHJP
B60R 19/18 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B62D21/15 Z
B60R19/18 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086198
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】西尾 信哉
(72)【発明者】
【氏名】安藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】芦浦 礼子
(72)【発明者】
【氏名】吉武 良真
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB16
3D203BB43
3D203BB44
3D203BC03
3D203BC14
3D203CA07
3D203CA23
3D203CA30
3D203CA32
3D203CA33
3D203CA53
3D203CA56
3D203DA05
3D203DA22
3D203DA23
3D203DA38
(57)【要約】
【課題】デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる車両の前部車体構造を提供する。
【解決手段】本発明による車両の前部車体構造は、光を照射するレンズ部32およびこのレンズ部の下方位置に設けられたユニット本体部34を備える車両のヘッドランプユニット12と、ヘッドランプユニットのレンズ部の下部から車両前方に突出する突出面8aを備えるバンパーフェイシア8と、側面視において、バンパーフェイシアの内側でヘッドランプユニットのレンズ部及びユニット本体部に対して車両前方に位置する衝撃吸収部材30と、を備え、衝撃吸収部材は、前方衝突時、ヘッドランプユニットのユニット本体部と当接することにより衝突エネルギを吸収する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射するレンズ部およびこのレンズ部の下方位置に設けられたユニット本体部を備える車両のヘッドランプユニットと、
上記ヘッドランプユニットのレンズ部の下部から車両前方に突出する突出面を備えるバンパーフェイシアと、
側面視において、上記バンパーフェイシアの内側で上記ヘッドランプユニットのレンズ部及びユニット本体部に対して車両前方に位置する衝撃吸収部材と、を備え、
上記衝撃吸収部材は、前方衝突時、上記ヘッドランプユニットのユニット本体部と当接することにより衝突エネルギを吸収する、ことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
上記衝撃吸収部材の車幅方向両側部の少なくとも一方には、前方衝突時における上記衝撃吸収部材の車幅方向への倒れ込みを抑制する支持部材が設けられる、請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
上記衝撃吸収部材は矩形形状の前面部を有し、この前面部には、その対角線上に沿って延びるビード部が形成されている、請求項1または請求項2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
上記衝撃吸収部材は、上記バンパーフェイシアの内側で、上記バンパーフェイシアの補強部材と一体的に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項5】
上記衝撃吸収部材には車両後方に延びる突出部が形成され、前方衝突時、上記突出部が上記ヘッドランプユニットのユニット本体部に当接する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部車体構造に係り、特に、車両のヘッドランプユニットより前方に歩行者保護のための衝撃吸収部材を備えた車両の前部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のヘッドランプユニット周辺における歩行者保護を目的としたエネルギ吸収構造が検討されてきた。
たとえば、歩行者の頭部や大腿部等が、フードパネル側から衝突した際の抗力を抑制できるとともに、バンパ側からの軽衝突に対しては十分な抗力を確保するために、ヘッドランプからの入力荷重を伝達する荷重伝達部を設けた車両の前部車体構造が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両の前部車体構造によれば、ヘッドランプに入力された荷重を車両後方に伝達することで歩行者への衝撃を抑制できるものの、ヘッドランプ自体に直接的に荷重が入力されるので、ヘッドランプユニット自体が故障してしまう恐れがある。
【0005】
また、車高が比較的高いSUV等のボディサイズの大きい車両では、地面からボンネット上面までの高さが高くなり、前方衝突時、歩行者の大腿部は車両に対して前方からほぼ水平方向に衝突する。すなわち、フロントバンパーフェイシアに対して垂直方向に衝突する。
【0006】
ここで、ヘッドランプユニットは、車両上方からの入力荷重に対しては、その取付け部が変形等して荷重を分散させることができる場合がある。しかしながら、ヘッドランプユニットは、通常、前後方向の取付け強度が高く、歩行者の大腿部が前方から水平方向に衝突するような入力荷重に対しては十分なエネルギ吸収を行なえず、高い衝撃荷重が歩行者に加わってしまう恐れがあった。
【0007】
これに対し、ヘッドランプユニットが歩行者に加える衝撃荷重を低減させるために、たとえば、ヘッドランプユニット自体を単に車両後方側にレイアウトすればよい。しかしながら、そのような場合、車両前部のデザイン要求を満たすよう新たな問題が生じる。
以上のような問題に対し、本発明者らは、車格に応じた衝突形態を考慮した上で、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立するための車両前部構造を検討した。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる車両の前部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、光を照射するレンズ部およびこのレンズ部の下方位置に設けられたユニット本体部を備える車両のヘッドランプユニットと、ヘッドランプユニットのレンズ部の下部から車両前方に突出する突出面を備えるバンパーフェイシアと、側面視において、バンパーフェイシアの内側でヘッドランプユニットのレンズ部及びユニット本体部に対して車両前方に位置する衝撃吸収部材と、を備え、衝撃吸収部材は、前方衝突時、ヘッドランプユニットのユニット本体部と当接することにより衝突エネルギを吸収する、ことを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、ヘッドランプユニットが、光を照射するレンズ部およびこのレンズ部の下方位置に設けられたユニット本体部を備え、バンパーフェイシアが、ヘッドランプユニットのレンズ部の下部から車両前方に突出する突出面を備えるので、車両前部の所定のデザイン要求を満たすことができる。また、本発明によれば、衝撃吸収部材が、側面視においてバンパーフェイシアの内側でヘッドランプユニットのレンズ部及びユニット本体部に対して車両前方に位置し、前方衝突時、衝撃吸収部材がヘッドランプユニットのユニット本体部と当接することにより衝突エネルギを吸収する。したがって、本発明によれば、前方衝突時(歩行者衝突時)、たとえば歩行者の大腿部は、ヘッドランプユニットに直接的に衝突せず、ヘッドランプユニットより車両前方の衝撃吸収部材で荷重を受け止めると共に衝突エネルギを吸収することができ、これにより、歩行者へ与える衝突荷重が過度に大きくなることを抑制することができる。これらの結果、本発明によれば、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、衝撃吸収部材の車幅方向両側部の少なくとも一方には、前方衝突時における衝撃吸収部材の車幅方向への倒れ込みを抑制する支持部材が設けられる。
このように構成された本発明によれば、前方衝突時、支持部材が、衝撃吸収部材の車幅方向への倒れ込みを抑制するので、より効果的に、衝撃吸収部材自体での衝撃エネルギの吸収度合いが小さくなることを抑制することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、衝撃吸収部材は矩形形状の前面部を有し、この前面部には、その対角線上に沿って延びるビード部が形成されている。
このように構成された本発明によれば、衝突荷重を、ビード部を介して衝撃吸収部材の角部に伝達させて衝突初期の反力を高めることができ、これにより、より効果的に、衝撃吸収部材自体で衝撃エネルギを吸収することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、衝撃吸収部材は、バンパーフェイシアの内側で、バンパーフェイシアの補強部材と一体的に形成されている。
このように構成された本発明によれば、より効果的に、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、衝撃吸収部材には車両後方に延びる突出部が形成され、前方衝突時、突出部がヘッドランプユニットのユニット本体部に当接する。
このように構成された本発明によれば、より効果的に、衝撃吸収部材自体で衝撃エネルギを吸収することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両の前部車体構造によれば、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態による車両の前部車体構造を備えた車両の前部を車両右側かつ斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】本実施形態による車両の前部車体構造を車両の右側から見た一部断面側面図である。
【
図3】本実施形態による車両の前部車体構造の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図3の車両の前部車体構造の要部を車両右側から見た側面図である。
【
図5】
図3の車両の前部車体構造の要部を車両前方から見た正面図である。
【
図6】本実施形態によるグリルレインフォースメントの衝撃吸収部を車両右側かつ斜め上方から見た斜視図である。
【
図7】
図6に示すグリルレインフォースメントの衝撃吸収部を車幅方向内側から見た一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両の前部車体構造を説明する。
【0018】
まず、
図1および
図2により、本発明の実施形態による車両の前部車体構造を説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両の前部車体構造を備えた車両の前部を車両右側かつ斜め上方から見た斜視図であり、
図2は、本実施形態による車両の前部車体構造を車両の右側から見た一部断面側面図である。
【0019】
まず、
図1に示すように、本発明の実施形態による車両の前部車体構造を備えた車両1は、その前部に、エンジンルーム2を覆うボンネットフード4と、その前方側で車幅方向に延びるグリルアッパーパネル6と、このグリルアッパーパネル6の下方かつ車両1の前面に設けられたバンパーフェイシア8と、グリルアッパーパネル6およびバンパーフェイシア8の間に設けられたフロントグリル10と、このフロントグリル10の左右両側かつバンパーフェイシア8の上方部分に配置されたヘッドランプユニット12と、ボンネットフード4の左右両側かつ車両側面に設けられたフロントフェンダ14と、を備えている。
【0020】
次に、
図2に示すように、車両1は、車体を構成するフレーム部材として、エンジンルーム2の車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム16と、これらのフロントサイドフレーム16の各前端部に設けられたクラッシュカン18と、これらのクラッシュカンの前端部に取り付けられた車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント20と、を備えている。
また、車両1の前部には、エンジンルーム2の上方側かつ左右両側で車両前後方向に延びる左右一対のエプロンメンバ22が設けられ、これらのエプロンメンバ22とフロントサイドフレーム16には、サスペンションタワー23が接続されている。
【0021】
各エプロンメンバ22は、その車両前方側の先端部が車幅方向内方に湾曲しており、それらの先端部がシュラウドアッパメンバ24により互いに接続されている。また、シュラウドアッパメンバ24の両端部には、さらに、シュラウドアッパメンバ24と、その下方のフロントサイドフレーム16とを上下方向に連結する連結部材26がそれぞれ設けられている。
【0022】
また、車両1は、バンパーレインフォースメント20や図示しないバンパ支持ブラケットなどに取付けられ、主に、バンパーフェイシア8およびフロントグリル10を支持すると共に補強する樹脂製のグリルレインフォースメント28を備えている。本実施形態では、このグリルレインフォースメント28の車幅方向の左右両側に、車両前方からの障害物(歩行者の大腿部など)の衝撃を受け止めるための衝撃吸収部(衝撃吸収部材)30が形成されている。
【0023】
次に、本実施形態のヘッドランプユニット12は、光を照射するレンズ部32と、このレンズ部32の下方位置に設けられたユニット本体部34とを備えている。レンズ部32の内方には、光を発するLEDなどの光源(図示せず)が設けられており、ユニット本体部34には、その光源を制御するコントローラなどが収容されている。
【0024】
このヘッドランプユニット12は、主にその上部が、上述した車体のフレーム部材であるエプロンメンバ22の先端部にブラケット(図示せず)等により取り付けられ、かつ、支持されている。また、ヘッドランプユニット12は、フロントフェンダ14(
図1参照)にも取り付けられ、かつ、支持されている。
【0025】
次に、
図1および
図2に示すように、本実施形態では、ヘッドランプユニット12は、フロントグリル10が設けられた車両の最前面に対して、車両前後方向の後方に位置するよう配置されている。このような配置により、車両前部に歩行者が衝突したとき、ヘッドランプユニット12から歩行者に直接的に衝撃荷重が加わらないようにしている。
【0026】
また、このような配置に対応して、
図1に示すように、バンパーフェイシア8には、レンズ部32の下部から車両前方に突出する突出面8aが形成され、これにより、ヘッドランプユニット12を車両後方に配置したときのデザイン性を確保するようにしている。
ここで、
図1に示すように、バンパーフェイシア8には、その車幅方向の左右両端側において、それぞれの突出面8aの前縁部から車両下方に延びると共に、フロントグリル10と同程度の前面位置まで膨出した膨出部分8bと、それぞれの突出面8aの側縁部から車両下方に延びる側方部分8cが形成されている。これらの突出面8a、膨出部分8bおよび側方部分8cで形成された膨出部をバンパーフェイシア8の左右膨出部8dという。
【0027】
次に、
図1乃至
図5により、本実施形態による車両の前部車体構造の車幅方向左右両端側の構成をさらに説明する。
図3は、本実施形態による車両の前部車体構造の要部を拡大して示す斜視図であり、
図4は、
図3の車両の前部車体構造の要部を車両右側から見た側面図であり、
図5は、
図3の車両の前部車体構造の要部を車両前方から見た正面図である。
まず、
図1乃至
図3に示すように、バンパーフェイシア8の左右膨出部8dの内側には、上述したグリルレインフォースメント28の衝撃吸収部30が収容されている。
次に、
図2乃至
図5に示すように、衝撃吸収部30は、ヘッドランプユニット12のレンズ部32より下方、かつ、ユニット本体部34の車両前方に位置するよう配置されている。この衝撃吸収部30は、特に
図2および
図4に示すように、側面視で、ヘッドランプユニット12のユニット本体部34の車両前方に位置している。
【0028】
次に、
図3乃至
図7により、本実施形態による車両の前部車体構造の衝撃吸収部30の構成をさらに説明する。
図6は、本実施形態によるグリルレインフォースメントの衝撃吸収部を車両右側かつ斜め上方から見た斜視図であり、
図7は、
図6に示すグリルレインフォースメントの衝撃吸収部を車幅方向内側から見た一部断面側面図である。
まず、
図3乃至
図7に示すように、衝撃吸収部30は、車幅方向内側の内側面30aと、車幅方向外側の外側面30bと、車両上方側の上側面30cと、車両下方側の下側面30dとを有し、さらに、これらの内側面30a、外側面30b、上側面30cおよび下側面30dと連続的に形成された矩形形状の前面部30eとを有している。衝撃吸収部30は、主に、これらの各面部30a~30eにより、ボックス状に形成されるようにしている。
【0029】
また、
図4および
図5に示すように、衝撃吸収部30は、このボックス状の部分30a~30eが、レンズ部32より前方かつ下方に位置するように形成されている。
衝撃吸収部30の前面部30eには、その対角線上にそれぞれ延びると共に交わる2本のビード部30fが形成されている。本実施形態では、このビード部30fは、前面部30eの残りの面に対して車両後方側に突出するような後方突出部(溝部)として構成されている。
【0030】
次に、
図2、
図4および
図7に示すように、衝撃吸収部30の後方部分には、車両後方に向けて延びる後方突出部30gが形成されている。
図2および
図4に示すように、この後方突出部30gは、ヘッドランプユニット12のユニット本体部34に車両前後方向で相対する位置に形成されている。このような位置関係により、後方突出部30gは、車両の前面衝突時に衝撃吸収部30が車両後方に変位したとき、ユニット本体部34に当接する。そして、前面衝突時、後方突出部30gを介して伝達される衝突荷重をユニット本体部34が受け止めることにより、衝撃吸収部30による衝撃の吸収を促進するようにしている。すなわち、ヘッドランプユニット12は、上述したように車体のフレーム部材に取り付けられているので、有効に荷重を受け止めることができるのである。
【0031】
次に、
図3、
図5乃至
図7に示すように、衝撃吸収部30の内側面30aには、車幅方向に延びる支持部(支持部材)30hが設けられている。本実施形態では、この支持部30hは、グリルレインフォースメント28に一体的に形成されたリブである。本実施形態では、このような支持部30hによって、衝撃吸収部30の内側面30aを支持するようにし、このような支持により、衝撃吸収部30が荷重を受けたとき、衝撃吸収部30の車幅方向への倒れ込みを抑制するようにしている。なお、衝撃吸収部30の外側面30bにも、同様な倒れ込み抑制機能を有するような支持部材を設けるようにしてもよい。
【0032】
次に、本発明の実施形態による車両の前部車体構造の作用効果を説明する。
まず、本発明の実施形態によれば、ヘッドランプユニット12が、光を照射するレンズ部32およびこのレンズ部32の下方位置に設けられたユニット本体部34を備え、バンパーフェイシア8が、ヘッドランプユニット12のレンズ部32の下部から車両前方に突出する突出面8aを備えるので、ヘッドランプユニット12を車両の最前面に対して車両後方側に配置しても、車両前部の所定のデザイン要求を満たすことができる。
また、本実施形態によれば、衝撃吸収部(衝撃吸収部材)30が、側面視においてバンパーフェイシア8の内側でヘッドランプユニット12のレンズ部32及びユニット本体部34に対して車両前方に位置し、前方衝突時、ヘッドランプユニット12のユニット本体部34と当接することにより衝突エネルギを吸収するので、前方衝突時(歩行者衝突時)、たとえば歩行者の大腿部は、ヘッドランプユニット12に直接的に衝突せず、ヘッドランプユニット12より車両前方の衝撃吸収部30により、その衝突エネルギを吸収することができ、これにより、歩行者へ与える衝突荷重が過度に大きくなることを抑制することができる。
これらの結果、本実施形態によれば、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、衝撃吸収部30の車幅方向両側面30a、30bの少なくとも一方の内側面30aには、前方衝突時における衝撃吸収部30の車幅方向への倒れ込みを抑制する支持部材30hが設けられるので、より効果的に、衝撃吸収部30自体での衝撃エネルギの吸収度合いが小さくなることを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、衝撃吸収部30は矩形形状の前面部30eを有し、この前面部30eには対角線上に沿って延びるビード部30fが形成されているので、衝突荷重を、ビード部30fを介して衝撃吸収部30の角部に伝達させて衝突初期の反力を高めることができ、これにより、より効果的に、衝撃吸収部30自体で衝撃エネルギを吸収することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、衝撃吸収部30は、バンパーフェイシア8の補強部材であるグリルレインフォースメント28と一体的に形成されているので、より効果的に、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、衝撃吸収部30には車両後方に延びる後方突出部30gが形成され、前方衝突時、後方突出部30gがヘッドランプユニット12のユニット本体部34に当接するので、より効果的に、衝撃吸収部30自体で衝撃エネルギを吸収することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 車両
8 バンパーフェイシア
8a バンパーフェイシアの突出面
8d バンパーフェイシアの左右膨出部
10 フロントグリル
12 ヘッドランプユニット
24 シュラウドアッパメンバ
28 グリルレインフォースメント(補強部材)
30 衝撃吸収部(衝撃吸収部材)
30a 内側面
30e 前面部
30f ビード部/後方突出部
30g 後方突出部(突出部)
30h 支持部(支持部材)
32 レンズ部
34 ユニット本体部