(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179018
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】パイプサポート支承具および型枠支保工
(51)【国際特許分類】
E04G 25/00 20060101AFI20221125BHJP
E04G 11/48 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
E04G25/00 C
E04G11/48
E04G25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086225
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597053821
【氏名又は名称】日建片桐リース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】上田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】犬束 仁哉
(72)【発明者】
【氏名】須藤 幸介
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150HB21
2E150HB31
2E150JA02
2E150JB02
2E150JC01
2E150JD21
(57)【要約】
【課題】枠組足場の上にパイプサポートを容易に取り付けることができる、パイプサポート支承具を提供すること。
【解決手段】パイプサポート支承具20は、枠組足場10の建枠11の上に取り付けられて、梁型枠2を支持するためのパイプサポート30を支承するものである。パイプサポート支承具20は、建枠11の鉛直部材13の上端に差し込まれる下側差込み筒体21と、下側差込み筒体21の上に設けられた支持プレート22と、支持プレート22上に設けられてパイプサポート30の下端に差し込まれる上側差込み筒体23と、を備え、枠組足場10の建枠11とパイプサポート30とを連結する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組足場の建枠の上に取り付けられて、型枠を支持するためのパイプサポートを支承するパイプサポート支承具であって、
前記建枠の鉛直部材の上端に差し込まれる下側差込み筒体と、
前記下側差込み筒体の上に設けられた支持プレートと、
前記支持プレート上に設けられて前記パイプサポートの下端に差し込まれる上側差込み筒体と、を備え、
前記枠組足場の建枠と前記パイプサポートとを連結することを特徴とするパイプサポート支承具。
【請求項2】
型枠を支持する型枠支保工であって、
枠組足場と、
前記枠組足場の上に取り付けられた請求項1に記載のパイプサポート支承具と、
前記パイプサポート支承具に支持されたパイプサポートと、を備えることを特徴とする型枠支保工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠組足場の建枠の上に取り付けられて型枠を支持するためのパイプサポートを支承するパイプサポート支承具、および、このパイプサポート支承具を用いた型枠支保工に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、枠組足場の上にパイプサポートを取り付けた型枠支保工が知られている(特許文献1、2参照)。
特許文献1には、足場構築体の上に取り付けられてパイプサポートを支承するパイプサポートの連結装置が示されている。パイプサポートの連結装置は、足場構築体の支柱に挿着される挿着体と、挿着体の上に設けられてパイプサポートの台板が載置される支持板と、支持板に設けられて台板を支持板に固定する締結手段と、を備える。
特許文献2には、枠組式の型枠構台の上に取り付けられてパイプサポートを支承するパイプサポート支承具が示されている。パイプサポート支承具は、型枠構台の支柱に挿入される鋼製軸部と、鋼製軸部の上に設けられてパイプサポートの台板が着座する支承板と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-188901号公報
【特許文献2】特開2018-145783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、枠組足場の上にパイプサポートを容易に取り付けることができる、パイプサポート支承具および型枠支保工を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明のパイプサポート支承具(例えば、後述のパイプサポート支承具20)は、枠組足場(例えば、後述の枠組足場10)の建枠(例えば、後述の建枠11)の上に取り付けられて、型枠(例えば、後述の梁型枠2)を支持するためのパイプサポート(例えば、後述のパイプサポート30)を支承するパイプサポート支承具であって、前記建枠の鉛直部材(例えば、後述の鉛直部材13)の上端に差し込まれる下側差込み筒体(例えば、後述の下側差込み筒体21)と、前記下側差込み筒体の上に設けられた支持プレート(例えば、後述の支持プレート22)と、前記支持プレート上に設けられて前記パイプサポートの下端に差し込まれる上側差込み筒体(例えば、後述の上側差込み筒体23)と、を備え、前記枠組足場の建枠と前記パイプサポートとを連結することを特徴とする。
【0006】
従来の型枠支保工では、枠組足場の建枠の鉛直部材の上に、パイプサポートを取り付ける場合、建枠の鉛直部材に大引受けジャッキを取り付け、この大引受けジャッキの上に大引材を取り付けて、この大引材の上にパイプサポートを取り付けていた。よって、布板の爪と大引受けジャッキのハンドルが干渉する、パイプサポートの下端部を大引材に番線で固定する必要がある、根がらみパイプが必要となる、という問題があった。
そこで、この発明によれば、枠組足場の建枠の上端に差し込む下側差込み筒体と、パイプサポートの下端に差し込む上側差込み筒体と、を一体化した。よって、枠組足場の建枠の上端に下側差込み筒体を差し込み、パイプサポートの下端に上側差込み筒体を差し込むことで、枠組足場の上にパイプサポートを容易に取り付けることができる。したがって、枠組足場の上にパイプサポートを取り付ける際に、従来のような大引受けジャッキ、大引材、根がらみパイプなどが不要となり、効率良く型枠を建て込むことができる。
【0007】
第2の発明の型枠支保工(例えば、後述の型枠支保工1)は、型枠を支持する型枠支保工であって、枠組足場と、前記枠組足場の上に取り付けられた上述のパイプサポート支承具と、前記パイプサポート支承具に支持されたパイプサポートと、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、枠組足場を用いた型枠支保工を架設する際に、パイプサポート支承具を用いることで、枠組足場の上にパイプサポートを容易に取り付けることができる。よって、従来のような大引受けジャッキ、大引材、根がらみパイプなどが不要となり、効率良く型枠を建て込むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、枠組足場の上にパイプサポートを容易に取り付けることができる、パイプサポート支承具および型枠支保工を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る型枠支保工の側面図である。
【
図2】
図1の型枠支保工の破線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【
図3】
図2のパイプサポート支承具のB-B矢視図およびC-C矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、枠組足場の上にパイプサポートを連結するパイプサポート支承具である。パイプサポート支承具は、建枠の鉛直部材の上端に差し込まれる下側差込み筒体と、下側差込み筒体の上に設けられた支持プレートと、支持プレート上に設けられてパイプサポートの下端に差し込まれる上側差込み筒体と、を含んで構成される。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る型枠支保工1の側面図である。
型枠支保工1は、上階の梁型枠2を支持するものであり、梁型枠2の直下に一列に架設された鋼製の枠組足場10と、枠組足場10の上に取り付けられた鋼製のパイプサポート支承具20と、パイプサポート支承具20に支持されて梁型枠2を支持する鋼製の二列のパイプサポート30と、を備える。
【0012】
枠組足場10は、梁型枠2に沿って所定間隔おきに配置された建枠11と、建枠11同士の間に架け渡された布枠12と、建枠11同士を連結する図示しないブレースと、を備える。
建枠11は、一対の鉛直部材13と、一対の鉛直部材同士を連結する水平部材14と、鉛直部材13と水平部材14とを連結する補剛部材15と、を備える。鉛直部材13の外径は、42.6mmである。
布枠12は、平板状の布枠本体16と、布枠本体16の両端に設けられた爪部17と、を備える。この布枠12の爪部17は、建枠11の水平部材14に係止する。
【0013】
パイプサポート30は、外径60.5mmの下柱管31と、この下柱管31に差し込まれた外径48.6mmの上柱管32と、を備える。本実施形態では、パイプサポート30の一般的な使用方法とは異なり、上下逆に配置する。つまり、上柱管32が下側に配置され、下柱管31が上側に配置される。
1つの建枠11に取り付けられた隣接するパイプサポート30の上端部同士は、水平繋ぎ40で連結されている。この隣接するパイプサポート30の頂部同士の間には、木製の大引材41が設けられており、この大引材41の上に梁型枠2が配置されている。
また、各列のパイプサポート30の頂部同士は、水平繋ぎ42で連結されている。
【0014】
図2は、
図1の型枠支保工1の破線Aで囲んだ部分の拡大図である。
図3(a)は、
図2のパイプサポート支承具20のB-B矢視図である。
図3(b)は、
図2のパイプサポート支承具20のC-C矢視図である。
図4は、パイプサポート支承具20の斜視図である。
パイプサポート支承具20は、建枠11の鉛直部材13とパイプサポート30の上柱管32とを連結するものである。このパイプサポート支承具20は、建枠11の鉛直部材13の上端に差し込まれる円筒形状の下側差込み筒体21と、下側差込み筒体21の上に設けられた支持プレート22と、支持プレート22上に設けられてパイプサポート30の上柱管32の下端に差し込まれる円筒形状の上側差込み筒体23と、を備える。
具体的には、下側差込み筒体21は、建枠11の鉛直部材13同士を連結するための汎用品であるジョイントピンを半分に切断したものである。
【0015】
また、上側差込み筒体23は、汎用品である補助サポートを半分に切断したものである。補助サポートは、一般的には、パイプサポートの上柱管に差し込んで使用される。本実施形態では、この補助サポートのうちパイプサポートの上柱管に差し込まれる部分を、上側差込み筒体23として使用する。よって、パイプサポート30を、一般的な使用方法とは異なる上下逆さまに配置し、下側の上柱管32に、パイプサポート支承具20の上側差込み筒体23を差し込んで使用する。
【0016】
[強度試験]
以下、
図5および
図6に示すような試験体を製作し、この試験体に軸方向から力を加える強度試験を行った。試験体は、パイプサポートと建枠の鉛直部材に相当する外径42.7mmのパイプとをパイプサポート支承具で連結し、両端をナイフエッジとしたものである。この試験体の全長は、2.56mである。この強度試験を行った結果、試験体の破壊荷重は、30.1kNとなった。s
仮設工業会の足場・型枠支保工設計指針によれば、連けい(水平つなぎ)を設けない場合、パイプサポートの許容支持力は、以下のように規定されている。
使用高さ2m~2.5m、上下端が木材では、17.6kN
使用高さ2.5m~3m、上下端が木材では、13.7kN
したがって、試験体の安全率を2倍とすると、試験体の許容荷重は15kNとなる。試験体の全長は2.56mであるので、上述の高さ2.5m~3mのパイプサポートの許容荷重と比較すると、高さ2.5m~3mのパイプサポートの許容荷重13.7kNを上回ることになり、足場・型枠支保工設計指針に示される基準を満たすことが判った。
【0017】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)枠組足場10の建枠11の上端に差し込む下側差込み筒体21と、パイプサポート30の下端に差し込む上側差込み筒体23と、を一体化した。よって、枠組足場10の建枠11の鉛直部材13の上端に下側差込み筒体21を差し込み、パイプサポート30の上柱管32の下端に上側差込み筒体23を差し込むことで、枠組足場10の上にパイプサポート30を容易に取り付けることができる。したがって、枠組足場10の上にパイプサポート30を取り付ける際に、従来のような大引受けジャッキ、大引材、根がらみパイプなどが不要となり、効率良く梁型枠2を建て込むことができる。
【0018】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0019】
1…型枠支保工 2…梁型枠
10…枠組足場 11…建枠 12…布枠
13…鉛直部材 14…水平部材 15…補剛部材
16…布枠本体 17…爪部
20…パイプサポート支承具 21…下側差込み筒体 22…支持プレート
23…上側差込み筒体
30…パイプサポート 31…下柱管 32…上柱管
40…水平繋ぎ 41…大引材 42…水平繋ぎ