(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179029
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ピッキングカートおよびピッキングカートの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B65G1/137 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086251
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀幹
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522CC01
3F522DD04
3F522DD32
3F522DD33
3F522EE19
3F522FF06
3F522FF12
3F522FF38
3F522GG18
3F522GG23
3F522GG44
3F522HH02
3F522HH13
3F522HH17
3F522HH35
3F522JJ02
3F522KK05
3F522LL58
3F522LL59
(57)【要約】
【課題】 倉庫内のピッキング作業を効率よく行う。
【解決手段】 商品のピッキング作業の指示情報を表示する第1の表示部と、商品のピッキング作業の指示情報を表示する第2の表示部と、を備え、第1の表示部は、ピッキングカートの進行方向とは逆向きに表示面が配設され、第2の表示部はピッキングカートの進行方向に表示面が配設される、ことを特徴とする、ピッキングカート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキングされた商品を収容して走行可能なピッキングカートであって、
商品のピッキング作業の指示情報を表示する第1の表示部と、
前記商品の前記ピッキング作業の指示情報を表示する第2の表示部と、
を備え、
前記第1の表示部は、前記ピッキングカートの進行方向とは逆向きに表示面が配設され、前記第2の表示部は前記ピッキングカートの進行方向に表示面が配設される、
ことを特徴とする、ピッキングカート。
【請求項2】
前記第2の表示部は、前記第1の表示部に表示される指示情報の一部を表示する、
請求項1記載のピッキングカート。
【請求項3】
前記第2の表示部に表示される指示情報は、前記商品のロケーションを示す情報と、前記ピッキングカートに投入すべき投入数と、を含む、
請求項1又は2記載のピッキングカート。
【請求項4】
位置情報を取得する取得手段を有し、
前記第2の表示部は、前記ピッキングカートの前記位置情報とピッキング作業位置とに応じて、前記指示情報の表示態様を変更する、
請求項1乃至3のいずれかに記載のピッキングカート。
【請求項5】
ピッキングされた商品を収容して走行可能なピッキングカートの制御プログラムであって、
前記ピッキングカートは、商品のピッキング作業の指示情報を表示する第1の表示部と、前記商品の前記ピッキング作業の指示情報を表示する第2の表示部と、を備え、前記第1の表示部は、前記ピッキングカートの進行方向とは逆向きに表示面が配設され、前記第2の表示部は前記ピッキングカートの進行方向に表示面が配設されるピッキングカートであり、
前記第2の表示部に、前記第1の表示部に表示される指示情報の一部を表示させる命令
をコンピュータに実行させる、
ピッキングカートの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングカートおよびピッキングカートの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫内の商品をカートに収容するピッキング作業を補助する、ピッキングシステムが知られている。物流倉庫では慢性的な人手不足の問題が生じており、自走式ピッキングカートの需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、倉庫内のピッキング作業を効率よく行うことを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るピッキングカートは、ピッキングされた商品を収容して走行可能なピッキングカートであって、商品のピッキング作業の指示情報を表示する第1の表示部と、前記商品の前記ピッキング作業の指示情報を表示する第2の表示部と、を備え、前記第1の表示部は、前記ピッキングカートの進行方向とは逆向きに表示面が配設され、前記第2の表示部は前記ピッキングカートの進行方向に表示面が配設される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係るピッキングシステムが有するカートの様子を示す概略斜視図である。
【
図2】上記カートの概略斜視図であって、(a)正面側・左側面側から見た斜視図、(b)コンテナが搭載されている様子を示す斜視図である。
【
図3】上記カートの(a)背面図、(b)左側面図である。
【
図4】上記ピッキングシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】上記ピッキングシステムが走行し、商品をピッキングする倉庫内におけるカートの走行経路の例を示す概念図である。
【
図6】上記倉庫に載置される棚の様子の1例を示す概念図であって、(a)斜視図、(b)正面図である。
【
図7】上記カートが有する第1表示部に表示されるメニュー画面の例である。
【
図8】上記カートが有する第1表示部に表示される画面の1例であって、(a)作業指示確認画面、(b)ラベル・秤紐付け画面の例である。
【
図9】上記カートが有する第1表示部に表示される画面の1例であって、(a)移動開始画面、(b)移動中画面の例である。
【
図10】上記カートが有する第1表示部に表示される到着画面の例である。
【
図11】上記カートが有する第1表示部に表示される画面の1例であって、(a)ピッキング作業画面、(b)商品投入画面の例である。
【
図12】上記カートが有する第1表示部に表示される画面の1例であって、(a)投入終了画面、(b)商品確定画面の例である。
【
図13】上記カートが有する第1表示部に表示される画面の1例であって、(a)移動開始画面、(b)移動中画面の例である。
【
図14】上記カートが有する第1表示部に表示される画面の1例であって、(a)移動開始画面、(b)移動中画面の例である。
【
図15】上記カートが有する第2表示部に表示される画面の(a)1例、(b)他の例である。
【
図16】上記カートが有する第2表示部に表示される画面の1例である。
【
図17】上記カートが有する第2表示部に表示される画面の1例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係るピッキングカートについて、図を参照して説明する。なお、以降の説明において、カート1の進行方向を+Y方向、カート1の幅方向であって進行方向に直交する方向を+X方向、鉛直方向を+Z方向とする。
【0008】
<ピッキングカート(1)>
●ピッキングカートおよびピッキングシステムの概要
図1乃至
図3に示されるように、ピッキングカート1は、倉庫内においてピッキング作業により採集される商品を収容し、搬送する装置である。カート1は、自身に搭載される制御部20又は上位の管理装置2により制御されている。カート1および管理装置は、ピッキングシステム100を構成する。ピッキングシステム100は、多種類の商品が収容されている倉庫内において、カート1を走行させ、倉庫からのピッキング作業を補助するシステムである。倉庫は、棚が載置された空間の例である。棚は、商品を区画して収容する構成の例であり、床に平置きのパレット又は段ボール箱等であってもよい。ピッキングシステム100は、各カートに収容すべき商品を示す情報、すなわちピッキング作業の指示情報を、作業者に伝達する。ピッキングシステム100は、電気的な駆動部を有し自律的に走行する自律走行カートと、作業者が手動で移動させる手動カートと、を含んでよい。
【0009】
カート1は、底面に複数の車輪を有し、車輪の上方において上下2段の平板が略中央の支柱で連結された形状の装置である。当該支柱の下部には、カート1を制御する制御部20および各機能部に印加するバッテリが積載されている。カート1は、商品を計量するはかり部10(10a、10b、10c、10d)を複数有する。本実施形態においては、上段にはかり部10a、10bが進行方向前後に並設され、下段にはかり部10c、10dが制御部20を挟んで進行方向前後に配設されている。
【0010】
また、各はかり部10には、作業者が視認可能なはかり部の識別情報が表示されている。具体的には、はかり部10の側方に、A乃至Dのラベル12a乃至12dが貼付されている。また、ラベル12a乃至12dそれぞれの近傍又は重複する位置に、はかり部10の識別情報を含む秤バーコードが固定されている。秤バーコードは、スキャナ61で読み込むことにより、はかり部10の識別情報を特定させることができる。
【0011】
カート1は、はかり部10を複数有する。本実施形態においては、はかり部10は4個であり、それぞれ独立して計量可能である。
図2(b)に示すように、はかり部10の上面は平板状になっており、それぞれにコンテナCが載置される。コンテナCは、例えば、各面が複数の細長い平板と蝶番とが連結されて構成される、折り畳み可能なコンテナ、所謂折り畳みコンテナである。コンテナCは、上方が開口した箱状の部材であり、コンテナCの内部にピッキングされた商品が収容される。はかり部10は、コンテナCに収容された商品をコンテナCごとに計量する。はかり部10は、コンテナCの重量をあらかじめ記憶しておき、風袋引き処理をすることで商品自体の重量を計測してもよい。
【0012】
なお、本実施形態に係るカート1は、はかり部10が上下2段に構成され、各段において進行方向に沿って2個のはかり部10が設けられているが、はかり部10はカートの幅方向に沿って複数、例えば2個設けられていてもよい。また、コンテナCを複数のはかり部10にまたがるように載置することで、各はかり部10に1個ずつコンテナCを載置する使用形態に比べて大容量のコンテナを搬送することもできる。
【0013】
カート1の上段であって、進行方向後部には、作業者がカート1に対する各種操作を行う作業台110が設けられている。作業台110には、主として、作業者がカート1を手動で移動させる際に把持するグリップ101、コンテナに貼付するラベルを発行する印字機構部41、第1表示部51、バーコードを読み取るスキャナ61、物理的なボタン操作部7等が配設されている。また、進行方向前部には、第2表示部52が配設されている。
【0014】
図3(a)に示すように、印字機構部41は、作業台110の下面側に保持され、ラベルロール41rから引き出されるラベルに印字を行う。印字されたラベルは、カート1側方から排出される。なお、コンテナC等当該ラベルの貼付対象物にESL(Electric Shelf Label、電子棚札)を連結する態様の場合には、印字機構部41を有さない構成であってもよい。この場合、ピッキングシステム100は、ラベルの発行に代えてESLの表示内容を変更する処理を行う。
【0015】
第1表示部51および第2表示部52は、それぞれ、液晶表示器51a、52aとタッチパネル51b、52bが互いに積層された所謂タッチパネルディスプレイとなっており、同一面でデータの表示と入力とができるようになっている。タッチパネル51b、52bは、操作者の指が触れると、触れた位置を検出し、検出した位置に応じた入力を受け付ける。第1表示部51および第2表示部52は、作業者に対して、ピッキング作業の指示情報又はカート1の状態等を表示する。
【0016】
第1表示部51は、カート1の進行方向後方の上部に配置され、表示面は進行方向とは逆向きに配設されている。すなわち、第1表示部51は、カート1の進行方向後方にいる作業者から視認可能である。この作業者は、例えばカート1の後方から、カート1と併走する作業者である。一方、第2表示部52の表示面は、第1表示部51の表示面とは異なる方向を向いて配設されている。具体的には、第2表示部52は、カート1の進行方向に表示面が配設されている。すなわち、第2表示部52は、カート1の進行方向前方にいる作業者から視認可能である。この作業者は、カート1の前方、例えば商品のピッキング作業を行う棚近傍で、カート1が来るのを待機している作業者である。
なお、第2表示部52は、カート1から取り外して使用可能であってもよい。
【0017】
スキャナ61は、商品、倉庫内の棚、コンテナC、ラベル等のバーコードを読み取り可能である。スキャナ61は、ワイヤレスのハンディスキャナ61aの他、作業台110の上方に固定され、作業台110上の一部を読取領域とする固定スキャナ61bを含んでいてもよい。固定スキャナ61bは、例えば印字機構部41により発行されるラベルを下方にかざすことで、バーコードを読み取ることができる。
【0018】
スキャナ61は、カート1の進行方向後方側であって、第1表示部51の近傍に保持されている。なお、このスキャナ61に加えて、カート1の進行方向前方側であって、第2表示部52の近傍に保持されている第2スキャナが配設されていてもよい。この構成によれば、カート1の前方側において第2表示部52を見ながら作業する作業者により、容易に読取作業を行うことができる。また、第3スキャナを、作業者が個々に所持する態様であってもよく、この場合には、第3スキャナがBluetooth(登録商標)等適宜の規格によりカート1と接続されることで近距離通信を行い、スキャンデータの受け渡しを行ってもよい。
【0019】
カート1の底面には、駆動輪71と、複数の補助輪72が配設されている。駆動輪71は、カート1の底面中央部であって、制御部20の下方に配設されている。駆動輪71は、幅方向に対をなして並設され、それぞれが独立して駆動される。駆動輪71は、制御部20により制御され、カート1を自律走行させる。複数の補助輪72は、カート1の底面周縁部に配設され、カート1を支持するとともに、カート1の移動に伴って回転する。
【0020】
また、カート1は、棒状のサインポール102を有する。サインポール102は、進行方向後部であって左側方に配設され、上方に伸び出ている。サインポール102は、1又は複数の色で明滅可能であり、カート1の状態や異常の有無を作業者に報知する。
【0021】
また、カート1の下方には、カート1全体を外側から囲うフレーム103が設けられている。フレーム103は少なくとも、所定の部材を介在させて駆動輪71と一体的に構成されており、フレーム103が持ち上げられると、駆動輪71が走行面から離間する。
【0022】
カート1の前方には、少なくとも進行方向における前方の物体を検知する非接触センサ81、82および接触センサ91が配設されている。非接触センサ81は、カート1の前方および側方の一部にある物体を立体的に検知するセンサである。非接触センサ81は、例えばレーザレンジファインダおよび超音波センサを併用して構成されている。この構成によれば、黒色の壁、ガラス、および鏡であっても検知することができる。非接触センサ81は、例えばカートが走行可能な経路を認識し、カート1の走行可能なマップを生成するために用いることができる。また、非接触センサ81は、前方の障害物や人等を非接触で検知し、当該検知結果に応じて駆動輪71を減速又は停止させる。
【0023】
非接触センサ82は、平面上の物体を検知可能な2Dセンサであり、接触センサ91を内蔵するバンパーの下方に設けられている。この非接触センサ82は、非接触センサ81と異なり、マップの生成には用いられないが、走行面に近い高さの平面で前方の障害物や人等を非接触で検知することができる。これにより、カート1が障害物等に衝突したり、駆動輪71や補助輪72が障害物等を巻き込んだりするのを防ぐことができる。なお、この非接触センサ81についても、その検知結果に応じて駆動輪71を減速又は停止させてもよい。
【0024】
接触センサ91は、カート1前部のバンパーに内蔵され、物体の接触を検出するセンサである。接触センサ91は、例えばスイッチセンサである。カート1は、接触センサ91の検知に応じて駆動輪71を停止させる。接触センサ91によっても、カート1の衝突による事故を防止することができる。
【0025】
●ブロック図
図4は上記カート1の構成を示すブロック図である。カート1は、制御部20と、はかり部10と、印字部40と、操作部50と、読取部60と、駆動部70と、物体検知部80と、衝突検知部90と、を備えている。はかり部10はロードセル11を備え、商品の重量を計量する。印字部40は印字機構部41を有している。印字機構部41は、ラベルの印字を行い、印字したラベルを前記
図3に示すラベル発行部42から排出(発行)する。操作部50はボタン操作部7およびタッチパネル51b、52bにより実現される。読取部60はスキャナ61を備え、バーコード等の情報を読み取る。
【0026】
制御部20は、CPU21と、ロードセル制御部22と、印字制御部23と、操作制御部24と、表示制御部25と、ROM26と、RAM27と、読取制御部28と、駆動制御部29と、物体検知制御部30と、衝突検知制御部31と、通信処理部32と、を備えている。CPU21はバスを介して制御部20が備える各部と相互に接続されている。
【0027】
CPU21は、ROM26が記憶する制御プログラムとRAM27が記憶する各種情報を読み出し、読み出した制御プログラムと各種情報とに基づいて各部の制御を行う。またCPU21は、必要な情報をRAM27に記憶させる。ROM26は、例えば、CPU21において実行される各種プログラム等の各種情報を記憶している。RAM27は、CPU21が用いる情報を記憶する一時記憶領域である。またRAM27は、各種ファイルを記憶する記憶手段である。
【0028】
なお、CPU21は、操作制御部24を介してタッチパネル51b、52bおよびボタン操作部7に入力される情報を取得する入力制御部でもある。
【0029】
また、CPU21は、液晶表示器51a、52aに表示する画面の表示内容を変更する出力制御部でもある。出力制御部は、オペレータに伝達する種々の情報を出力する構成であり、上述の通り液晶表示器51a、52aを制御して情報を表示する構成に加えて、音等のその他の方法で情報を出力してもよい。また、出力制御部は、サインポール102の明滅態様の制御を行ってよい。
【0030】
ロードセル制御部22は、はかり部10が備えるロードセル11の制御を行う。印字制御部23は印字部40の制御を行う。操作制御部24は、タッチパネル51b、52bとボタン操作部7の制御を行う。タッチパネル51b、52bは、液晶表示器51a、52aに表示された下記する画面G1等の所定部分をタッチすることで、所望の操作を指示する。表示制御部25は、第1表示部51および第2表示部52が有する液晶表示器51a、52aの制御を行う。なお、表示制御部25は、第1表示部51および第2表示部52に互いに異なる情報を表示するよう制御可能である。表示制御部25が各表示部51、52に表示する情報については後述する。
読取制御部28は、読取部60が備えるスキャナ61の制御を行う。駆動制御部29は、駆動部70が備える駆動輪71の制御を行う。物体検知制御部30は、物体検知部80が備える非接触センサ81、82の制御を行う。衝突検知制御部31は、衝突検知部90が備える接触センサ91の制御を行う。
【0031】
通信処理部32は、外部装置と無線通信を行う機能部である。通信処理部32は、例えばネットワークNWを通じて管理装置2と情報の送受信を行う。管理装置2は、サーバ又はクラウドコンピュータ等の上位装置である。通信処理部32は、当該カート1に計画されている、積載される商品の識別情報、当該商品が収容される倉庫内の位置情報、すなわちレーン、棚、ならびに棚内における段および列の情報、ならびに積載される商品の量等の情報を受信する。また、通信処理部32は、当該カート1に計画されている走行経路を受信する。
なお、上述の情報の一部又は全部は、カート1の制御部20が記憶し、カート1に送信する構成に代えて、管理装置2に記憶されていてもよい。
制御部20および管理装置2により構成される機能ブロックについては後述する。
【0032】
なお、作業者によって移動される手動カートは、上述の自律走行カート1の構成から駆動制御部29、駆動部70および駆動輪71を除いて構成され、その他の構成は自律走行カート1と同様である。また、手動カートは、自律走行カート1の駆動制御部29又は駆動部70を無効化したものであってもよい。
【0033】
●倉庫内におけるカート走行の概要
図5に示すように、倉庫Wは、ピッキングエリアA10、充電エリアA1、オリコンエリアA2、ピッキング開始エリアA3、搬送エリアA4および保留エリアA5に大別される。各エリアは、カート1の作業内容上呼び分けているに過ぎず、物理的に区画されているものでなくてもよい。なお、各エリアは、開閉する扉などにより物理的に区画されていてもよい。
【0034】
充電エリアA1は、カート1のバッテリに充電を行うエリアである。バッテリは、カート1に搭載された状態で充電可能であってもよいし、カート1から取り外して充電してもよい。充電エリアA1は、カート1に搭載されているバッテリを、蓄電されたバッテリに交換する作業が行われるエリアであってもよい。カート1は、充電エリアA1からオリコンエリアA2に移動する。
【0035】
オリコンエリアA2は、カート1に空のコンテナCを搭載するエリアである。空のコンテナCは、オリコンエリアA2に、折り畳まれて複数積層して収容されている。オリコンエリアA2の作業者は、コンテナCを組み立てて商品が収容できる形状に成形し、カート1のはかり部10に搭載する。コンテナCは、すべてのはかり部10に搭載されてもよいし、当該カート1への作業指示に基づいて、商品の採集が計画されているはかり部10にのみ搭載されてもよい。この場合、オリコンエリアA2において、カート1の液晶表示器5aに、当該カート1において商品の採集が計画されているはかり部10の情報が表示されてもよい。この情報は、例えばタッチパネル51b、52bの操作により表示される。また、カート1は、当該カート1がオリコンエリアA2に存在していることを認識して採集が計画されるはかり部10の情報を表示してもよいし、当該表示を促す操作子をタッチパネル5bに表示してもよい。コンテナCが搭載されたカート1は、ピッキング開始エリアA3に移動する。
【0036】
ピッキング開始エリアA3は、ピッキングエリアA10の入口に区画されるエリアである。カート1は、ピッキング開始エリアA3を通ってピッキング作業を開始する。ピッキング作業者がカート1と併走しながらピッキング作業を行う態様においては、ピッキング作業者はピッキング開始エリアA3においてカート1との併走を開始する。その後、カート1はピッキングエリアA10に移動する。
【0037】
ピッキングエリアA10は、ピッキング対象となる商品を収容する複数の棚Sが載置され、ピッキング作業者がピッキング作業を行うエリアである。複数の棚Sは、エリアの壁沿い又は内部に載置されており、カート1が走行可能な通路を区画している。すなわち、複数の棚Sの間は、カート1が走行可能な通路Tとなっている。倉庫W内において、カート1が走行可能な領域と、走行が不可能な領域とを区画した地図情報を、マップ情報という。
【0038】
カート1は、ピッキングエリアA10において走行と停止を繰り返し、ピッキング作業を補助する。具体的には、カート1は、ピッキング対象の商品が収容される棚S、すなわちピッキング作業位置まで自律走行を行い、棚Sの近傍で停止する。
【0039】
棚S近傍にはピッキング作業者が待機している。このピッキング作業者は、カート1が自律走行してくるのを待ち、走行してきたカート1に対して作業を行う。ピッキング作業者は、第1表示部51又は第2表示部52に表示されるピッキング作業の指示情報に沿ってピッキング対象の商品を特定し、指示個数をカート1上のコンテナCへ投入する作業、すなわちピッキング作業を行う。ピッキング作業が完了すると、カート1は、次のピッキング対象商品が収容されるピッキング作業位置まで自律走行を行う。このような構成によれば、ピッキング作業者がカート1と併走する構成に比べて、移動の負担が低減される。また、ピッキング作業が高頻度で必要なエリアには多くのピッキング作業者を配置し、低頻度のエリアには配置するピッキング作業者を少なくすることで、少ない人数で効率よくピッキング作業を行うことができる。
【0040】
なお、カート1とともに併走するピッキング作業者がいてもよく、1人のピッキング作業者が、縦列で走行する複数のカート1へのピッキング作業を行ってもよい。カート1の台数は、ピッキングシステム100がピッキング計画に含まれる商品の容積を計算することで、算出される。
【0041】
指示情報に含まれるピッキング作業が完了すると、カート1は、搬送エリアA4へ移動する。
搬送エリアA4は、ピッキングが完了したコンテナCを搬出するエリアである。搬送エリアA4は、搬送エリアA4外部へ伸び出るコンベアが配設されている。例えば、コンテナCは、搬送エリアA4の搬送作業者によりカート1から降ろされ、コンベアを介して倉庫W外へ払い出される。
【0042】
コンテナCが降ろされたカート1は、オリコンエリアA2に移動する。次の作業がある場合には、カート1には空のコンテナCの搭載指示が表示され、オリコンエリアA2において搭載を待機する。次の作業がない場合、又はカート1のバッテリ容量が所定値以下である場合には、カート1は充電エリアA1に移動する。所定値とは、例えば次の作業での使用が予測されるバッテリ容量である。
【0043】
なお、満載になったコンテナCは、ピッキング作業の際にコンテナCを搬送していたカート1により搬送エリアA4に運搬されてもよいし、ピッキングエリアA10において別のカートに乗せ換えられ、このカート1がコンテナCを搬送エリアA4に運搬してもよい。この構成によれば、満載になったコンテナCは同じカート1に積載される別のコンテナが満載になるのを待つことなく搬送エリアA4に運搬されるので効率がよい。また、ピッキング作業の際にコンテナCを搬送するカート1は、搬送エリアA4への移動が不要になる。この態様は、ピッキング作業者が棚S近傍でカート1を待機する際、特に有用である。
【0044】
保留エリアA5は、ピッキングエリアA10において計画を充足する商品が採集できなかった場合に、コンテナCを保管するエリアである。保留エリアA5にコンテナCが保管される状況として、例えば、ピッキング対象の商品が、棚Sへの補充の遅れ、又は欠品などの理由により棚Sに十分在庫されておらず、採集できない場合等がある。カート1は、ピッキング作業が完了できなかったコンテナCが少なくとも1個ある場合には、搬送エリアA4に移動する前に、ピッキングエリアA10から保留エリアA5に移動する。保留エリアA5に貯留されたコンテナCは、棚Sに商品が補充されると、カート1に再度搭載され、ピッキング作業が行われる。
【0045】
●倉庫内の棚の様子
図6を用いて、倉庫W内に並設されている棚Sの様子について、詳細に説明する。なお、
図6(a)では、棚Sの仕切りおよび商品は省略した。
図6(a)に示すように、棚Sは、商品を収容する収容部S101を有し、その取出口は同一面かつ同一方向に複数設けられている。同図においては、各収容部S101は、水平な棚板で仕切られているが、これに加えて、鉛直方向の仕切りにより左右に区画されていてもよい。なお、収容部S101は、棚Sを貫通して、棚Sの両面に開口が設けられていてもよい。この場合には、商品を棚Sに補充する際、収容部S101のうち作業者が商品を取り出す側から収容してもよいし、他方側から収容することもできる。商品の取り出しおよび補充を異なる側から行うことで、商品の先入れ先出しが容易である。また、商品の補充を行う作業者がピッキング作業者およびカート1の動線を使用しないため、互いの動線が確保され、作業効率がよい。
【0046】
並設されている棚S1、S2は、それぞれレーンL1、L2、L3を形成している。棚S1、S2は、レーンL1を形成している。レーンL1とレーンL2の間は、通路Tが形成されている。通路Tは、カート1の走行経路であり、例えばカート1の幅に対応する幅となっている。レーンL1を形成する棚の取出口とレーンL2を形成する棚の取出口は、互いに対向している。ピッキング作業者は、通路TにおいてレーンL1およびレーンL2の商品を取り出し、カート1に収容できる。
【0047】
図6(b)は、棚S1の収容部S101の様子を示す模式図である。収容部S101は複数あり、複数の段および列に区画されている。同図においては、棚S1は、3個の段D1、D2、D3、および3個の列R1、R2、R3を有する。また、各段および各列に商品P11乃至P33が収容されている。商品は、例えば商品ごとに保管用のコンテナに収容された状態で、棚S1に載置されている。なお、各段および各列は、全ての区画が物理的な仕切りで隔絶されていてもよいし、隣接する区画との間に仕切りを有さない区画があってもよい。倉庫W内の商品は、レーンL1、L2を示すレーン番号、棚S1、S2を示す棚番号、段D1、D2、D3を示す段番号、および列R1、R2、R3を示す列番号の情報により、収容箇所が特定される。
なお、上述の説明では、棚S1に商品が収容されている例について説明した。商品が床に平置きのパレット又は段ボール箱に収容されている場合には、ロケーション情報の段番号はすべて「1」である。
【0048】
棚Sには、表示コードB1が貼付されている。表示コードB1は、例えば1次元又は2次元バーコードであり、スキャナ61によりコード情報を読取可能である。棚Sは、収容部S101ごとに表示コードB1が貼付されている。コード情報は、例えば、通路番号、棚番号、段番号、列番号、フロア(階層)番号といった、商品のロケーションを示す情報、すなわちロケーション情報を含む。このロケーション情報は、各収容部S101に収容される商品の位置を特定可能な情報である。なお、ロケーション情報は、通路番号に代えてレーン番号を含んでいてもよい。また、商品P11乃至P33には、それぞれ商品の識別情報を示す表示コードB2が貼付されている。商品P11乃至P33の表示コードは、商品自体に貼付されていてもよいし、保管用のコンテナに貼付されていてもよい。表示コードB1、B2は、JANコード、EANコード又はUPCであってもよい。
【0049】
●機能部
ピッキングシステム100は、カート1の制御部20又は管理装置2において、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これによりソフトウェア資源として少なくとも、マップ情報記憶部、ロケーション情報記憶部、ピッキング計画取得部、商品情報記憶部、目的地決定部、障害物検知部を備える。制御部20はカート1を制御するコンピュータプログラムを実行する。なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。また、上述の機能部は、一部又は全部が制御部20により実現されていてもよいし、管理装置2により実現されていてもよい。また、管理装置2は、1又は複数のハードウェアにより構成されていてもよいし、クラウドコンピュータであってもよい。
【0050】
マップ情報記憶部は、棚Sが載置された倉庫W内においてカート1が走行可能な通路Tの情報を含むマップ情報を記憶する機能部である。マップ情報は、ピッキング作業の際にカート1が棚Sに衝突することなく自律走行するために参照される情報である。マップ情報は、例えばカート1をマップ生成モードで走行させることで、カート1自身により取得する。マップ生成モードは、倉庫W内でカート1を徐行させ、カート1の非接触センサ81、82又は接触センサ91により障害物を検知させながら走行するモードである。
ピッキングシステム100は、マップ情報と、センサ81、91による検知結果とに基づいて、カート1の走行を制御することができる。この構成によれば、記憶されているマップ情報によりスムースに走行できる上、センサ81、91により障害物を検知して衝突を回避できるため、安全である。
【0051】
商品情報記憶部は、商品の識別情報と、商品の属性とを記憶する機能部である。商品の属性は、例えば商品の重量、又は体積を含む。また、商品の属性は、1個のコンテナCに投入可能な商品の個数等の情報が含まれていてもよい。また、商品情報記憶部には、商品の識別情報と、商品が収容されている棚Sおよび収容部S101の位置を示すロケーション情報とが対応付けられて記憶されている。
【0052】
ロケーション情報記憶部は、マップ情報と、ロケーション情報としてのコード情報と、コード情報が読み取られた際のカート1の位置と、を記憶する機能部である。この情報によれば、倉庫W内における商品の位置が明確になる。
【0053】
ピッキング計画取得部は、所定時間においてピッキングシステム100が採集すべき商品の種類および数、すなわちピッキング計画を取得する機能部である。ピッキング計画は、例えばある作業日の間に、又は搬出時刻までに搬出すべき商品の種類および数が含まれている。ピッキング計画は、管理装置2を介して作業者により入力される他、ネットワーク等を介して別の装置から受信してもよい。
また、ピッキング計画には、ピッキングシステム100が有する複数のカート1のうち、いずれのカート1により採集を行うかの情報や、当該カート1に搭載される複数のコンテナCのうちいずれに収容するのかといった情報が含まれていてもよい。なお、ピッキング計画を個々のカート1およびコンテナCに割り当てる処理は、ピッキングシステム100により行われてもよい。
【0054】
目的地決定部は、カート1が停止する目的地を決定する機能部である。目的地決定部は、ピッキング作業の指示情報に基づいて、ピッキングエリアA10におけるカート1の目的地を複数決定する。すなわち、目的地決定部は、指示情報に含まれる商品に紐づけられたロケーション情報を参照し、各商品に対して設定された停止位置をカート1の目的地に決定する。目的地決定部は、商品に対応付けられて決定される複数の目的地に到達する順序を決定してもよい。目的地決定部は、複数の目的地を、現在位置から近い順に到達するよう決定してもよいし、総移動距離又は総移動時間が最短となるよう決定してもよい。言い換えれば、目的地決定部は、倉庫W内、例えばピッキングエリアA10におけるカート1の走行経路を決定する。
【0055】
なお、ピッキング作業のロケーション情報は、原則としてエリア・通路・棚・段・位置を示す数値がこの順に連結されて構成されており、各数値は例えば2桁である。また、1個の棚Sにおいて互いに異なる位置に収容されている複数の商品をピッキングする必要がある場合には、段と位置を示す数値を連結した数値が若い順に作業指示が出される。すなわち、段の数値が低い順に作業指示が出され、段の数値が同じ場合には位置の数値が低い順に作業指示が出される。段の数値は、例えば数値が小さいほど低い位置の段を示している。
【0056】
ここで、棚が進行方向に沿って長い場合、すなわち収容部S101の横幅が大きい場合には、同じ段に属する複数の商品が互いに離れて収容される場合がある。この場合、作業者は、進行方向に沿って移動しながらピッキングする必要がある。そこで、ロケーション情報記憶部は、1個の棚Sを細分化して示す複数のロケーション情報を有していてもよい。例えば、棚Sのコード情報が「31」である場合に、棚Sの収容部右側を「311」、左側を「312」といったロケーション情報が付与されていてもよい。また、棚Sの収容部S101の横幅が大きい場合、例えば所定値以上の場合には、ロケーション情報をエリア・通路・棚・位置・段を示す数値をこの順に連結して構成し、位置の情報を優先して作業指示の順番を決定してもよい。この構成によっても、収容部S101の幅方向一方側から他方側に向かって効率よく作業することができる。
【0057】
なお、上述のように1個の棚Sに対し細分化された複数のロケーション情報を付与する場合に、当該複数のロケーション情報それぞれに対してカート1の移動と停止を行うか、当該複数のロケーション情報のうちいずれか一方にのみ停止を行うかが選択できるようになっていてもよい。複数のロケーション情報に対して移動と停止を行うものとすると、カート1は1個の棚Sに対して複数回移動を行うこととなり、カート1が移動して停止位置につくまでに若干の待ち時間が生じる。そのため、この時間を待機するよりも、作業者自身が左右に動きながらピッキングをした方が都合がよい場合がある。いずれの動作を行うかは、作業者の特性や性格に応じて選択されてよく、作業者により選択されてもよい。1個の棚Sに対して1回停止する旨設定した場合には、停止位置は、その棚Sの最終停止位置、すなわち進行方向最前方の停止位置にのみ停止するようになっていてもよい。この場合、作業者はカート1後方、例えば棚Sの右から順にピックアップして、まとめてカート1に収容する。このように、1個の棚に対する停止回数を選択できる構成によれば、カート1と作業者のいずれが移動するか、柔軟に設定できる。
【0058】
また、目的地決定部は、作業者の操作による停止位置の設定又は変更を受け付けてもよい。例えば、カート1を必ずしも棚Sの収容部S101に面した位置に停止させるのではなく、棚S近傍の通路上に停止させるよう設定したい場合がある。目的地決定部は、停止位置ごとに設定を受け付けてもよい。この構成によれば、作業者は、マップ情報に応じて自分が作業しやすい位置に指示情報を設定、変更できる。また、目的地決定部は、あらかじめ停止位置の規則を記憶した上で、作業者に選択された規則に応じて具体的な停止位置を決定してもよい。停止位置の規則は、例えば収容部S101の取出口に面したなるべく近い位置に停止する「距離優先モード」、又は、なるべく通路上に停止させる「通路優先モード」といった名称で表示部51又は52上に表示される。停止位置の規則は、追加、変更および削除が可能である。このような構成によれば、棚Sの間隔が狭く、カート1を立ち入らせたくないといった要求や、カート1が右左折する回数を軽減し、カート1の移動時間を軽減させたい等といった倉庫ごとの様々な要求にも柔軟に対応できる。
【0059】
目的地決定部は、倉庫W内の各エリア、すなわち、充電エリアA1、オリコンエリアA2、ピッキング開始エリアA3、ピッキングエリアA10、搬送エリアA4および保留エリアA5のエリア間の移動を決定してもよい。例えば、目的地決定部は、充電エリアA1においてオリコンエリアA2に移動する旨の指示を受信すると、カート1の次の目的地をオリコンエリアA2に決定してもよい。目的地決定部は、オリコンエリアA2においてカート1にコンテナCが搭載されると、カート1の目的地をピッキング開始エリアA3に決定してもよい。ピッキング開始エリアA3においてピッキング作業者とカート1とが紐付けられると、目的地決定部は、カート1の目的地をピッキングエリアA10に決定してもよい。
【0060】
目的地決定部は、ピッキングエリアA10において指示情報に含まれる全ての商品のピッキング作業位置に到達した場合に、目的地を搬送エリアA4に決定する。
【0061】
目的地への移動は、目的地が決定されるとただちに開始してもよい。また、目的地が決定された旨を液晶表示器5aに表示した上で、作業者に移動許可の入力を促し、入力を受け付けると移動を開始してもよい。また、当該移動は、目的地に応じて、ただちに移動開始するか、移動許可の操作を受け付けてから移動するかがあらかじめ定められていてもよい。例えば、指示情報に含まれる全ての商品のピッキング作業位置に到達した場合には、搬送エリアA4への移動をただちに開始してもよい。また、ピッキングが不十分なコンテナCがある場合には、移動許可の操作を受け付けてから保留エリアA5への移動を開始してもよい。カート1の異常又は故障が検知された場合には、その旨を液晶表示器5aに表示した上で、移動許可の操作を受け付けてもよい。その際、目的地決定部は、タッチパネル51b、52b又はボタン操作部7を介して目的地の入力を受け付けてもよい。
【0062】
障害物検知部は、非接触センサ81、82又は接触センサ91が障害物を検知した場合にカート1を停止させる機能部である。また、障害物検知部は、非接触センサ81によって検知された物体が人間であるか否かを判定し、判定結果に応じてカート1の次なる動作を異ならせてもよい。障害物検知部は、人特有のユニークな形状を認識して障害物か否か判定してよい。障害物検知部は、例えば床面近傍における障害物の形状を取得し、足の形が読み取れる場合には障害物が人だと判定してもよい。
【0063】
障害物検知部は、障害物が人だと判定される場合、「通してください」といった、人に退避するよう依頼する音声を報知してよい。また、障害物が人である場合には、退避を依頼するメッセージを第2表示部52のみに表示してもよい。退避を要する人はカート1の前方にいるためである。さらに、障害物が人である場合には、人が退避するまでカート1をその場で待機させてよい。障害物検知部は、障害物が人でないと判定される場合には、サインポール102の発光やブザー、第1表示部51および第2表示部52等の報知手段を介して、作業者に対して障害物を取り除くことを促す報知を行う。このような構成は、ピッキング作業者がカート1と併走していない場合に、特に有用である。
【0064】
●第1表示部の画面例
図7は、第1表示部51の液晶表示器51aに表示される作業者設定画面G1の1例である。同図に示すように、作業者設定画面G1は、作業画面G1a、作業メッセージ画面G1b、および自律走行制御画面G1cに区画されている。作業画面G1aは、ピッキング作業に関する情報および入力欄が表示される欄である。ピッキング作業メッセージ画面G1bは、作業の流れによって操作のガイダンスやカートの運行状態に関する補充説明を表示する欄である。自律走行制御画面G1cは、カート1の自律走行に関する情報および入力欄が表示される欄である。
【0065】
図8(a)に示す作業指示確認画面G2は、オリコンエリアA2において表示される、作業指示の確認画面である。作業指示確認画面G2の得意先グループ選択欄G2aから得意先グループを選択した上で、開始キーG2bを選択すると、カート1又は管理装置2は、当該得意先グループに対するピッキング計画のうち、当該カート1への作業指示の有無を確認する。ここで、図中の「SS」は例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア、雑貨店等の小売店の名称の例である。当該カート1が作業する作業指示がある場合には、印字機構部41は、作業指示に対応する情報が記載されたラベル、すなわち出荷ラベルを印字する。出荷ラベルには、商品の種類、数量、重量、商品の出荷先、コンテナCに付与される識別情報等の情報が印字されている。また、このとき、オリコンエリアA2における作業者は、ラベルの発行枚数に応じた数のコンテナCをカート1に搭載し、出荷ラベルを各コンテナCに貼付する。
【0066】
出荷ラベルの発行が完了すると、
図8(b)に示すラベル・秤紐付け画面G3に遷移する。なお、作業指示確認画面G2からラベル・秤紐付け画面G3への遷移は、出荷ラベルの発行を契機にする構成に代えて、はかり部10に出荷ラベルと同数のコンテナCが搭載されたことを検知して遷移してもよいし、出荷ラベルの発行後又はコンテナCの搭載後に、作業者がタッチパネル51b、52b又はボタン操作部7へ所定の入力を行うとラベル・秤紐付け画面G3に遷移してもよい。
【0067】
ラベル・秤紐付け画面G3では、出荷ラベルと秤バーコードとをスキャンするよう指示が表示されている。秤バーコードは、それぞれのはかり部10に対応して貼付されているバーコードである。スキャナにより出荷ラベルと秤バーコードとが1個ずつ読み取られると、はかり部10と出荷ラベルとが紐づけられる。すなわち、各はかり部10に積載されるべき商品の種類、および数量又は重量等が対応付けられる。この紐付けの作業は、コンテナCの個数と同数行われる。この操作により、ピッキングシステム100は、ピッキング作業が正確に行われているかを確認でき、ピッキング作業の正確性を担保できる。
【0068】
図9乃至
図12に示す、画面G4乃至G11は、ピッキングエリアA10においてピッキング作業を補助する際に、カート1の液晶表示器51aに表示される画面である。画面G4、G7乃至G9においては、現在の目的地又は停止位置でのピッキング対象商品(以下、「第1のピッキング対象商品」ともいう。)、および、現在の目的地に到達した後に向かう次の目的地でのピッキング対象商品(以下、「第2のピッキング対象商品」ともいう。)がある場合に、当該第2のピッキング対象商品に関する情報を表示する。第1のピッキング対象商品に関する情報として、図に示す例では、ロケーション情報「31-01-14-02-04」と商品の名称「QQ焙煎ごまドレッシング」が表示されている。第2のピッキング対象商品に関する情報として、図に示す例では、ロケーション情報「31-01-26-01-02」と商品の名称「Mオイスターソース」が表示されている。この情報は、例えば、商品の名称およびロケーション情報である。
【0069】
図9(a)に示す移動開始画面G4は、ピッキングエリアA10において液晶表示器51aに表示される画面の1例である。作業画面G1aには、少なくとも、次の目的地においてピッキングする商品の名称、識別情報、および当該商品の収容部を特定するロケーション情報としてのコード情報が表示される。同図においては、識別情報としてJANコードが表示されている。また、画面G4において、商品の画像又はイラストが表示されてもよい。
【0070】
画面G4において移動開始キーG4cが選択されると、
図9(b)に示す画面G5に遷移する。画面G5は、作業画面G1aにおいて、目的地となるロケーション情報が表示され、当該目的地まで移動中であることが表示される。また、画面G5においては、カート1の移動速度が、カート1が自律走行中であることを示す情報と同一画面に表示されている。画面G5、すなわち移動中においては移動開始キーG4cに代えて移動停止ボタンG5cが表示されている。カート1の自律走行中に所定の音声又は音楽を流してもよい。
また、画面G4および画面G5においては、ピッキング対象の商品名、識別情報および「商品のバーコードをスキャンしてください」との文字が表示されている。すなわち、スキャナ61が商品のバーコードの読取を受け付ける状態となっている。なお、この処理で読み取られる商品のバーコードは、商品自体に貼付されているバーコードでもよいし、商品が収容されている箱体に貼付されている表示コードB2であってもよい。バーコードと表示コードB2は、同一であってもよい。
【0071】
カート1が目的地に到着すると、カート1は停止し、
図10に示す画面G6に遷移する。タッチパネル51b、52b又はボタン操作部7への入力に基づいて、
図11(a)に示すピッキング作業画面G7に移動する。なお、カート1が目的地に到着すると、自動的にピッキング作業画面G7に遷移してもよい。ピッキング作業画面G7において商品のバーコードが読み取られると、
図11(b)に示す商品投入画面G8に遷移する。商品投入画面G8の作業画面G1aでは、カート1に搭載されているコンテナCに対応するコンテナ表示欄G8aが表示され、投入中のコンテナCに対応する欄は、他のコンテナCとは異なる態様で表示されている。同図の例においては、カート1のはかり部10bに紐づけられている商品のバーコードが読み取られた様子を示している。また、作業指示に含まれる投入個数と、現在投入されている個数とが表示されている。
【0072】
図12に示すように、コンテナ表示欄G8aにおいて投入されている個数が作業指示に含まれる投入個数と同量になると、画面上に確定ボタンG9aが表示される。確定ボタンG9aが押下されると、当該はかり部10bでの商品計量が終了し、コンテナCの内容が確定する。次いで、別の商品の作業指示がある場合には、画面G8に遷移し、全ての商品の作業指示を完了するまでこれを繰り返す。
【0073】
ピッキング作業者は、計画を充足する商品が棚Sからピッキングできなかった場合に、商品投入画面G8においてスキップボタンG8bを選択してもよい。スキップボタンG8bが選択されると、商品の投入個数に関わらず当該商品の作業指示を中断し、画面G7に遷移してよい。スキップボタンG8bが選択され、作業指示が中断されたコンテナCが少なくとも1個ある場合には、搬送エリアA4に移動する前に、ピッキングエリアA10から保留エリアA5に移動し、当該コンテナCを保留エリアA5に搬送する。
また、ピッキング作業画面G7において、補充依頼ラベルボタンG7aが選択されると、棚Sへの補充に関する情報、すなわち、棚Sへの補充が必要な商品の種類および個数、ならびにピッキング作業が完了できなかったコンテナCの識別情報等が表示された補充依頼ラベルが、印字機構部41から発行される。また、補充に関する情報は、補充依頼ラベルへの印字に代えて、又は加えて、管理装置2又は別の外部端末に送信され、棚Sの在庫管理者に通知されてもよい。
【0074】
カート1の作業指示が全て完了すると、
図12(b)に示す画面G10に遷移する。画面G10のコンテナ表示欄G10aは、全てのコンテナCについて「完了」と表示され、全ての作業指示が完了したことが表示されている。確定ボタンG10bを選択すると、
図13(a)に示す画面G11に遷移する。画面G11は、搬送エリアA4まで移動する旨の表示とともに、移動開始キーG4cがアクティブに表示される。移動開始キーG4cが選択されると、カート1は自律走行を開始する。また、液晶表示器51aには、自律走行中において
図13(b)に示す画面G12が表示されている。
【0075】
搬送エリアA4において、
図14(a)に示す画面G13が表示される。この画面G13には、コンテナCを搬送エリアA4で払い出す旨、および、払い出し完了時に移動開始キーG4cを選択することを促す案内が表示されている。移動開始キーG4cが選択されると、カート1はオリコンエリアA2への自律走行を開始する。また、液晶表示器51aには、自律走行中において
図14(b)に示す画面G14が表示されている。
【0076】
●第2表示部の画面例
図15は、第2表示部52の液晶表示器52aに表示されるピッキング作業画面G21の1例である。ピッキング作業画面G21は、カート1が所定のピッキング作業地点に向かう走行中に表示される。ピッキング作業画面G21は、第1表示部51において画面G5が表示されている場合に表示される。
【0077】
すなわち、第2表示部52は、第1表示部51に表示される指示情報の一部を表示する。第2表示部52は、カート1の前方に待機するピッキング作業者が視認するものであるので、例えば第2のピッキング対象商品を表示する必要がなく、第1のピッキング対象商品についての情報を表示すれば十分である。表示する情報を一部とすることで、視認すべき情報が明確になるし、表示する指示情報をより大きな字で表示することもできる。すなわち、この構成によれば、遠くからでも必要な情報を視認しやすい。なお、第2表示部52は、少なくとも走行中に、第1表示部51に指示情報の一部を表示するが、停止中において同様の情報を表示してもよい。
【0078】
第2表示部52に表示される指示情報は、商品のロケーションを示す情報と、カート1に投入すべき投入数と、を含む。同図においては、ピッキング作業画面G21には、「14-02-04」で示されるロケーションに収容されている商品を、5個ピッキングする旨の指示情報が表示されている。カートの後方にのみ表示面が向いていて、進行方向に表示面がないカートの場合、棚近傍で待機している作業者は、カートが到着してから、カートの後方側から指示情報を確認する必要があった。これに対し、第2表示部52の表示面が進行方向を向いている構成によれば、棚近傍で待機している作業者は、カート1が向かってくる途中で第2表示部52に表示された指示情報を把握できるので、ピッキング作業を早く開始することができる。すなわち、ピッキング作業を効率よく進めることができる。
【0079】
ピッキング作業画面G21に表示されているロケーション情報は、画面G5に表示されるロケーション情報の一部であってもよく、例えば通路番号およびフロア番号を省略し、棚番号、段番号および列番号のみであってもよい。棚番号、段番号および列番号は、ロケーション情報が含む複数の情報のうち詳細な位置を特定する情報である。カート1の前方に待機する作業者に対する情報は、当該作業者の近傍において収容部S101を特定する情報であれば足りる。したがって、通路番号またはフロア番号といった位置を広範に特定する情報は不要である。ロケーション情報のうち、詳細な位置を特定する情報のみを表示する構成によれば、待機する作業者にとって指示情報がさらに視認しやすい。
【0080】
なお、カート1が第1表示部51および第2表示部52の両方を備える構成によれば、カート1の後方にカート1と並走する作業者がいる場合において、当該作業者に対しカート1の走行中に指示情報を把握させることができる。すなわち、ピッキング作業を効率よく進めることができる。
【0081】
第2表示部52は、カート1の位置情報とピッキング作業位置とに応じて、指示情報の表示態様を変更してもよい。この場合、カート1は、位置情報を取得する取得手段を有している。取得手段は、例えばマップ情報を参照し、自己位置を取得してからの移動距離又は移動時間からカート1の現在の位置を推定する機能部である。また、取得手段は、GNSS機能により位置情報を取得してもよい。
【0082】
第2表示部52は、カート1が次の目的地であるピッキング作業位置の所定範囲内に近づいた場合に、指示情報の表示態様を変更してもよい。この場合、取得手段は、上述の構成であってもよいし、次の目的地の所定範囲内に近づいたことを検知する手段であってもよい。例えば、所定範囲内に近づいた場合に、表示される文字の大きさ、色、太さ等を変更してもよい。より具体的には、近づいた場合に文字を大きく、色を濃く、太さを太くしてもよい。
【0083】
図16(a)は、カート1がピッキング作業位置の所定範囲内に近づいた場合に表示される画面G22の例である。この場合、カート1が所定範囲外にいる場合には画面G21が表示されている。所定範囲は、例えば数メートルである。画面G22には、画面G21よりも多くの情報が表示されている。同図においては、画面G22には、画面G21に表示されている情報に加えて、次の目的地においてピッキングする商品の名称「QQ 焙煎ごまドレッシング」および識別情報が表示されている。ピッキング作業位置に近づくと多くの情報が表示される構成によれば、待機する作業者から離れている場合には大きな字で明瞭に表示され情報が視認しやすくなるとともに、作業者に近い場合には詳細な情報により正確なピッキング作業を担保することができる。
【0084】
なお、カート1がピッキング作業位置の所定範囲内に近づくにしたがって、表示画面を多段階に変更してもよい。例えば、画面G22が表示される閾値よりさらにピッキング作業位置に近づいた場合に、当該商品を投入するコンテナCを特定する情報が、さらに表示されてもよい。また、さらに近づいた場合には、第1表示部51と同様の情報が表示されてもよい。
【0085】
また、第2表示部52では、複数の画面表示が、所定時間ごとに切り替わって表示されてもよい。例えば、画面G21と、
図17に示す画面G23とが切り替わって表示されてもよい。画面G23は、商品名称および識別情報が表示されている。また、ロケーション情報と商品名称とが所定時間ごとに切り替わって表示されてもよい。
【0086】
第2表示部52は、ピッキング計画に含まれる、異なる目的地を指定する複数の指示情報のうち、一部の指示情報のみを表示してもよい。第2表示部52は、カート1の前方で待機する作業者の作業を要する指示情報を表示してよい。例えば、第2表示部52は、進行方向前方に搭載されているコンテナCに収容される商品に関する指示情報のみを表示し、進行方向後方に搭載されているコンテナCに収容される商品に関する指示情報は表示しないものとしてもよい。このような構成によれば、待機する作業者が情報の取捨選択をする必要がなく、明確である。
【0087】
第2表示部52は、カート1に接続されているスキャナにより商品が読み取られると、表示内容を変更する。読取後の表示内容は、例えば当該作業位置で次に収集すべき商品の情報、又は読み取った商品を収容すべきコンテナCを指定する内容等、読取作業の直後に作業者が把握すべき情報である。また、読取前に当該情報が表示されている場合であっても、読取後に当該情報を強調表示したり、当該情報のみを表示するようにしてもよい。上述のスキャナは、
図1に示すスキャナ61であってもよいし、第2スキャナ又は当該カート1と無線により接続される第3スキャナであってもよい。
【0088】
図16(b)に示すように、第2表示部52は、当該スキャナにより商品が読み取られると、指示情報の一部を継続して表示するとともに、カート1における作業が継続中である旨を表示してもよい。同図に示す画面G21は、読取後に画面G20から遷移する画面の例であり、表示の外縁に渡って枠が表示されている様子を示している。また、画面G21の右上部には、作業中のピッキング作業の進捗に関する情報が表示される。同図の例では、残りの作業の個数が数値で表示されているが、残り作業の割合が表示されてもよい。
【0089】
第2表示部52は、当該ピッキング作業位置におけるカート1のピッキング作業が完了すると、作業完了ボタンが表示される。作業完了ボタンを押下すると、カート1は、次の作業位置に向かう移動を開始する。この作業完了ボタンは、第1表示部51に表示されるボタンと同様であってよい。なお、第2表示部52は進行方向前方を向いているので、第2表示部52は、少なくとも第2表示部52に表示される作業完了ボタンが押下された際に、作業者に退避するよう別途の警告を通知してもよい。カート1は、非接触センサ81、82で前方の作業者を検出し、作業者が退避したのを検知した上で移動を開始してもよい。
【0090】
また、第2表示部52は、当該ピッキング作業位置におけるカート1のピッキング作業が完了すると、当該作業位置で次に行われるピッキング作業の指示情報を表示してもよい。この指示情報は、次に当該位置に到着する別のカートに対して行うべきピッキング作業の指示である。この構成によれば、棚近傍で待機する作業者は、別のカートが到着する前に作業内容を確認することができ、効率がよい。なお、作業の完了は、第1表示部51又は第2表示部52を介して、当該ピッキング作業位置における作業完了の入力を受け付けてもよいし、はかり部10による計量結果が指示情報の範囲内になると作業の完了を検知する構成であってもよい。
【0091】
第2表示部52は、タッチパネル52bでの所定の操作を受け付けると、第1表示部51に表示されている内容を表示してもよい。
【0092】
第2表示部52は、カート1を動かす操作ボタンが表示されてもよい。カート1は目的地であるピッキング作業位置に停車するよう設定されているが、その位置が作業者にとって作業の邪魔になるなど都合の悪い位置にある場合、第2表示部52の操作ボタンを押下することで移動させることもできる。そのための移動ボタンや矢印を第2表示部52に表示することもできる。
【0093】
以上の本実施形態に係るピッキングシステムによれば、倉庫内のピッキング作業を効率よく行うことができる。
【0094】
<ピッキングカート(2)>
本願発明に係るピッキングカートの第2実施形態について、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。このピッキングカートにおいては、1個の表示部を備え、作業停止位置からの距離に応じて、当該表示部が向く方向を異ならせる。例えば、ピッキングカートは、当該表示部の表示面が、棚近傍の作業者に見えるように走行の方向を変更する。当該表示部の表示面がピッキングカートの進行方向とは逆向きに配設されている場合に、ピッキングカートは、作業停止位置から所定距離までは前進を行い、所定距離以内においてはバック、すなわち後進を行う。また、表示部の表示面がピッキングカートの進行方向右側又は左側に向いている場合でも、作業停止位置から所定距離以内において、作業者に見える向きになるように、走行の方向を変更する。
【0095】
この構成によれば、表示部を1個備えるピッキングカートにおいても、作業停止位置から離れている場合にはピッキングカートの後方にいる作業者に画面が視認できる一方で、作業停止位置に近い領域では棚近傍で待機する作業者に当該画面を視認させることができる。表示部には、走行の方向を変更した際に、
図15に示す画面G21が表示されていてもよい。また、本形態のように1個の表示部のみを有する態様においても、作業停止位置から遠い場合には指示情報の一部を表示するとともに、作業停止位置に停止した際にはより多い指示情報、例えば格納されているすべての指示情報を表示してもよい。
なお、ピッキングカートが後進する構成に代えて、表示部が回転機構を有し、作業停止位置から所定以内において表示部の向きが変化する態様であってもよい。
【0096】
●実施形態総括
本発明は、ピッキングカートおよびピッキングカートの制御プログラムに関する。
【0097】
倉庫内の商品をカートに収容するピッキング作業を補助する、ピッキングシステムが知られている。物流倉庫では慢性的な人手不足の問題が生じており、自走式ピッキングカートの需要が高まっている。
【0098】
特許文献1として特開2000-159115号公報がある。
【0099】
そこで本発明は、倉庫内のピッキング作業を効率よく行うことを目的の一つとする。
【0100】
上記目的を達成するため、本発明に係るピッキングカートは、ピッキングされた商品を収容して走行可能なピッキングカートであって、商品のピッキング作業の指示情報を表示する第1の表示部と、前記商品の前記ピッキング作業の指示情報を表示する第2の表示部と、を備え、前記第1の表示部は、前記ピッキングカートの進行方向とは逆向きに表示面が配設され、前記第2の表示部は前記ピッキングカートの進行方向に表示面が配設される、ことを特徴とする。
【0101】
前記第2の表示部は、前記第1の表示部に表示される指示情報の一部を表示するものとしてもよい。
【0102】
前記第2の表示部に表示される指示情報は、前記商品のロケーションを示す情報と、前記ピッキングカートに投入すべき投入数と、を含むものとしてもよい。
【0103】
位置情報を取得する取得手段を有し、前記第2の表示部は、前記ピッキングカートの前記位置情報とピッキング作業位置とに応じて、前記指示情報の表示態様を変更するものとしてもよい。
【0104】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るピッキングカートの制御プログラムは、ピッキングされた商品を収容して走行可能なピッキングカートの制御プログラムであって、前記ピッキングカートは、商品のピッキング作業の指示情報を表示する第1の表示部と、前記商品の前記ピッキング作業の指示情報を表示する第2の表示部と、を備え、前記第1の表示部は、前記ピッキングカートの進行方向とは逆向きに表示面が配設され、前記第2の表示部は前記ピッキングカートの進行方向に表示面が配設されるピッキングカートであり、前記第2の表示部に、前記第1の表示部に表示される指示情報の一部を表示させる命令をコンピュータに実行させる。
【0105】
本発明に係るピッキングカートによれば、倉庫内のピッキング作業を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0106】
100 ピッキングシステム
1 カート(ピッキングカート)
5a 液晶表示器
5b タッチパネル
10 はかり部
20 制御部
61 スキャナ
81 非接触センサ
82 非接触センサ
91 接触センサ
102 サインポール
2 管理装置
C コンテナ
S 棚