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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179032
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】シート加工システム
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/34 20060101AFI20221125BHJP
   B26D 1/24 20060101ALI20221125BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20221125BHJP
   B26D 11/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B26D5/34 A
B26D1/24 B
B26D1/24 H
B26D7/06 Z
B26D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086254
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】植木 数馬
(72)【発明者】
【氏名】土岐 明彦
【テーマコード(参考)】
3C024
3C027
【Fターム(参考)】
3C024FF01
3C027VV00
(57)【要約】
【課題】シート搬送方向に対するシートの切断方向の傾き角度が調節可能であって、その切断によって作製されたシート片に対して加工を行うシート加工システムにおいて、その加工精度の低下を抑制する。
【解決手段】シート加工システム10は、材料シートMSを第1の方向F1に搬送し、第1の方向F1に対する材料シートMSの第1のレジマークR1の傾き角度θを算出し、材料シートMSを切断してシート片SSを作製する切断刃104A、104Bと、傾き角度θの方向に切断方向CDを合わせる切断方向調節機構を含む。シート加工システム10は、シート片SSを第2の方向F2に搬送し、第2の方向F2に延在してシート片SSの切断端CEをガイドするガイド部材212と、傾き角度θに基づいてシート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置を特定する加工箇所位置特定部と、搬送経路上の位置が特定された加工箇所に対して加工を行う加工機構202、208とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料シートを第1の方向に搬送する第1の搬送機構と、
前記材料シートの第1のマークを検出する第1のマーク検出デバイスと、
前記第1のマーク検出デバイスの検出結果に基づいて、前記第1の方向に対する前記第1のマークの傾き角度を算出する第1のマーク傾き角度算出部と、
第1の方向に対して交差する切断方向に前記材料シートを切断して複数のシート片を作製する切断刃と、
前記第1の方向に対する前記傾き角度の方向に前記切断刃の切断方向を合わせる切断方向調節機構と、
前記シート片を第2の方向に搬送する第2の搬送機構と、
前記第2の方向に延在し、前記切断刃によって形成された前記シート片の切断端をガイドするガイド部材と、
前記傾き角度に基づいて、前記シート片の加工箇所の搬送経路上の位置を特定する加工箇所位置特定部と、
搬送経路上の位置が特定された加工箇所に対して加工を行う加工機構と、を含むシート加工システム。
【請求項2】
前記第2の搬送機構によって搬送される前記シート片の先行端を検出するエッジ検出デバイスと、
前記エッジ検出デバイスが検出した前記シート片の先行端の部分の搬送経路上の位置と前記傾き角度とに基づいて、前記シート片の第2のマークの搬送経路上の位置を算出する第2のマーク位置算出部と、
算出された第2のマークの搬送経路上の位置と前記シート片の搬送速度とに基づくタイミングにセンシングして前記第2のマークを検出する第2のマーク検出デバイスと、をさらに有し、
前記加工箇所位置特定部が、前記第2のマーク検出デバイスの検出結果に基づいて、前記シート片の加工箇所の搬送経路上の位置を特定する、請求項1に記載のシート加工システム。
【請求項3】
前記第1の搬送機構、前記第1のマーク検出デバイス、前記切断刃、第1のマーク傾き角度算出部、および切断方向調節機構が第1のシート加工装置に含まれ、
前記第2の搬送機構、前記ガイド部材、前記加工箇所位置特定部、前記加工機構、前記エッジ検出デバイス、前記第2のマーク位置算出部、および前記第2のマーク検出デバイスが第2のシート加工装置に含まれている、請求項2に記載のシート加工システム。
【請求項4】
前記第1の方向と前記第2の方向とが互いに直交し、
前記第1の搬送機構と前記第2の搬送機構との間に配置され、前記シート片の搬送方向を前記第1の方向から第2の方向に変更する第3の搬送機構を、さらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシート加工システム。
【請求項5】
前記シート片の加工箇所が、前記シート片上の画像の輪郭であって、
前記加工機構が、前記画像をトリミングする加工を行う、請求項1から4のいずれか一項に記載のシート加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートに対して加工を行うシート加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、長尺シートをその長尺方向に搬送し、搬送経路上の所定の加工位置で長尺シートを切断するシート加工装置が開示されている。長尺シートには、その長尺方向に並んだ矩形状の複数の画像が形成されている。所定の加工位置には、画像の先行縁に対して平行に長尺シートを切断する切断機構が設けられている。切断機構は、長尺シートの搬送方向に対して画像の先行縁が直交していない場合を考慮し、長尺シートの搬送方向に対する切断方向の傾き角度を調節可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-244228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート加工装置の場合、長尺シートの搬送方向と画像の先行縁とが直交する場合、切断によって複数の矩形状のシート片が作製される。これと異なり、長尺シートの搬送方向と画像の先行縁とが直交していない場合、切断によって平行四辺形状や台形状などの形が定まっていないシート片が作製される。
【0005】
このようなシート加工装置によって作製された形が定まっていないシート片に対して、別の(下流側の)シート加工装置が加工を行う場合、下流側のシート加工装置は、シート片上の正しい位置に加工を高精度に実行できない可能性がある。すなわち、下流側のシート加工装置の加工精度が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、シート搬送方向に対するシートの切断方向の傾き角度が調節可能であって、その切断によって作製されたシート片に対して加工を行うシート加工システムにおいて、その加工精度の低下を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
材料シートを第1の方向に搬送する第1の搬送機構と、
前記材料シートの第1のマークを検出する第1のマーク検出デバイスと、
前記第1のマーク検出デバイスの検出結果に基づいて、前記第1の方向に対する前記第1のマークの傾き角度を算出する第1のマーク傾き角度算出部と、
第1の方向に対して交差する切断方向に前記材料シートを切断して複数のシート片を作製する切断刃と、
前記第1の方向に対する前記傾き角度の方向に前記切断刃の切断方向を合わせる切断方向調節機構と、
前記シート片を第2の方向に搬送する第2の搬送機構と、
前記第2の方向に延在し、前記切断刃によって形成された前記シート片の切断端をガイドするガイド部材と、
前記傾き角度に基づいて、前記シート片の加工箇所の搬送経路上の位置を特定する加工箇所位置特定部と、
搬送経路上の位置が特定された加工箇所に対して加工を行う加工機構と、を含むシート加工システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シート搬送方向に対するシートの切断方向の傾き角度が調節可能であって、その切断によって作製されたシート片に対して加工を行うシート加工システムにおいて、その加工精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係るシート加工システムの概略的な構成図
図2】シート加工システムによって加工される一例の材料シートの平面図
図3】シート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置を特定する方法を説明するための図
図4】一実施例のシート加工システムの全体斜視図
図5】第1のシート加工装置の内部構造図
図6】搬送ローラユニットの分解斜視図
図7A】シート加工モジュールの下流側斜視図
図7B】シート加工モジュールの上流側斜視図
図8】シート加工ユニットの斜視図
図9】シート加工ユニットの側面図
図10】シート加工ユニット内の一対の回転切断刃の示す斜視図
図11】下側回転切断刃が上側切断刃に対してシート搬送方向の下流側に位置する比較例を示す図
図12】上側回転切断刃の回転中心線の傾きを発生させる機構を説明するためのシート加工ユニットの概略的な上方図
図13】上側回転切断刃の回転中心線が傾いた状態で移動する一対の回転切断刃を示す図
図14】第2のシート加工装置の上面図
図15】第2のシート加工装置のシート加工部の内部構造図
図16】中間搬送装置の斜視図
図17】中間搬送装置の側面図
図18】中間搬送装置の部分分解図
図19】シート加工システムの制御系を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
まず、本開示の一実施の形態に係るシート加工システムの全体構成について概略的に説明する。その後、シート加工システムの具体的な構成について説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施の形態に係るシート加工システムの概略的な構成図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。Z軸方向は鉛直方向を示し、X軸方向およびY軸方向は水平方向を示している。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態に係るシート加工システム10は、材料シートMSに対して加工を行うシステムである。
【0015】
具体的には、材料シートMSは、本実施の形態の場合、切断可能な矩形状のシート、例えば、紙、樹脂シートなどである。また、材料シートMSには、最終製品である複数の画像FPと、第1のレジマークR1と、画像FPそれぞれに対応する第2のレジマークR2とが、例えば印刷などによって予め設けられている。本実施の形態の場合、第1のレジマークR1は直線状のマークであって、第2のレジマークR2は、L字状のマークである。
【0016】
本実施の形態の場合、シート加工システム10は、画像FPの輪郭に沿って切断することによって画像FP以外の材料シートMSの部分を取り除く画像FPのトリミングを実行するように構成されている。画像FPを正確にトリミングするために、第1のレジマークR1と、第2のレジマークR2とが利用される。
【0017】
図2は、シート加工システムによって加工される一例の材料シートの平面図である。
【0018】
図2に示すように、材料シートMSにおいて、複数の画像FP(すなわち画像FPの輪郭を構成する第1~第4の辺s1~s4)、第1のレジマークR1、および第2のレジマークR2は、互いに所定の位置関係を維持した状態で、複数の材料シートMSそれぞれに設けられている(例えば印刷されている)。具体的には、第1のレジマークR1は、画像FPの第1の辺s1と第2の辺s2に対して平行の位置関係であり、第3の辺s3と第4の辺s4に対して直交の位置関係である。また、第2のレジマークR2は、第1のレジマークR1から所定の距離をあけて設けられているとともに、画像FPに対して所定の位置に配置されている。すなわち、これらは互いに位置決めされている。一方、これらは、材料シートMSの輪郭に対して所定の位置関係になるように位置決めされるが、実際には印刷ズレなどによって複数の材料シートMSそれぞれの輪郭との間の位置関係にはバラツキがある(すなわち所定の位置関係になる場合もあればならない場合もある)。その結果、画像FPを正確にトリミングするためには、シート加工システム10は第1のレジマークR1と第2のレジマークR2とを利用する必要がある。
【0019】
本実施の形態に係るシート加工システム10は、まず、材料シートMSを切断して複数のシート片SSを作製する。シート片SSそれぞれに、1つの画像FPが含まれている。シート片SSを作製するために、シート加工システム10は、第1のシート加工装置100を含んでいる。なお、別の実施の形態において、シート片SSに複数の画像FPが含まれてもよい。
【0020】
第1のシート加工装置100は、搬送方向F1(X軸方向)に材料シートMSを搬送し、搬送経路上の所定の加工位置で、シート加工モジュール102によって材料シートMSを切断する。シート加工モジュール102には、搬送方向F1に対して交差する切断方向CDに材料シートMSを切断する上側回転切断刃104Aおよび下側回転切断刃104Bが搭載されている。上側回転切断刃104Aおよび下側回転切断刃104Bそれぞれは、切断方向CDに移動可能にシート加工モジュール102に設けられ、材料シートMSの平面視(Z軸方向視)で、切断方向CDに対して直交する方向に延在する回転中心線を中心にして回転する。上側回転切断刃104Aは材料シートMSの上方を移動し、下側回転切断刃104Bは材料シートMSの下方向移動することにより、材料シートMSは切断される。なお、一対の回転切断刃104A、104Bに代わって、鉛直方向(Z軸方向)に移動するせん断刃によって材料シートMSを切断してもよい。
【0021】
シート加工モジュール102の一対の回転切断刃104A、104Bは、第1のレジマークR1に沿った切断線CLで材料シートMSを切断する。切断線CLは、第1のレジマークR1に一致する、または、第1のレジマークR1に対して所定の距離をあけて平行である。
【0022】
第1のレジマークR1に沿ってシート加工モジュール102の一対の回転切断刃104A、104Bが材料シートMSを切断するために、第1のシート加工装置100は、複数の第1のレジマーク検出デバイス106を備える。
【0023】
複数の第1のレジマーク検出デバイス106は、材料シートMS上の第1のレジマークR1を検出可能なデバイスであって、例えば、上方から材料シートMSに向かってレーザー光を出射し、その反射光に基づいて第1のレジマークR1を検出するレーザーセンサである。複数の第1のレジマーク検出デバイス106は、材料シートMSの搬送方向F1(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に距離をあけて並んでいる。
【0024】
このような第1のレジマーク検出デバイス106によれば、搬送中の材料シートMS上の第1のレジマークR1を検出することができる。また、第1のレジマーク検出デバイス106それぞれの検出タイミングと材料シートMSの搬送速度とに基づいて、すなわち、第1のレジマークR1の検出タイミングの違いにより、搬送方向F1に対する第1のレジマークR1の傾き角度θを算出することができる。第1のレジマーク検出デバイス106それぞれの検出タイミング間の時間が長いほど、第1のレジマークR1の傾き角度θが大きい。また、検出タイミングが同一である場合、第1のレジマークR1の傾き角度θが90度、すなわち第1のレジマークR1が搬送方向F1に直交している。
【0025】
なお、第1のレジマークR1の傾き角度θを算出するための第1のレジマーク検出デバイス106は、レーザーセンサに限らない。例えば、カメラやレーザースキャナであってもよい。この場合、材料シートMSが撮影またはレーザースキャンされ、撮影画像またはスキャン画像に写る第1のレジマークR1の像に基づいて、第1のレジマークR1の傾き角度θが算出される。
【0026】
搬送方向F1に対して傾き角度θで傾いている第1のレジマークR1に沿って材料シートMSを切断するために、一対の回転切断刃104A、104Bの切断方向CDは調節可能にされている。本実施の形態の場合、一対の回転切断刃104A、104Bを搭載するシート加工モジュール102が、その全体が鉛直方向(Z軸方向)に延在する回転中心線(回転シャフト107の中心線)を中心にして揺動可能に、第1のシート加工装置100に設けられている。シート加工モジュール102が揺動することにより、搬送方向F1に対する傾き角度θの方向に、一対の回転切断刃104A、104Bの切断方向CDを合わせることができる。
【0027】
第1のレジマークR1に沿って材料シートMSを切断することにより、作製されたシート片SSそれぞれには、第1のレジマークR1に沿った切断端CEが形成される。この切断端CEが、後の工程において、シート片SSの基準として使用される。切断端CEは、第1のレジマークR1に沿って形成されているので、実質的に第1のレジマークR1として機能し、画像FPおよび第2のレジマークR2に対して一定の位置関係を持つ。すなわち、複数のシート片SSそれぞれにおいて、切断端CEは、第1のレジマークR1と同様に、画像FPと第2のレジマークR2との間に、バラツキなく一定の位置関係を有する。このような位置関係は、材料シートMSから画像FPを作製するための設定情報(ジョブ)を作成するときに、作業者によって定義(入力)される。
【0028】
第1のシート加工装置100によって材料シートMSから複数のシート片SSが作製されると、シート加工システム10は、そのシート片SSに対して次の加工を行う。本実施の形態の場合、シート加工システム10は、シート片SSの画像FPをトリミングする加工を行い、そのための第2のシート加工装置200を含んでいる。
【0029】
第2のシート加工装置200は、搬送方向F2(Y軸方向)にシート片SSを搬送し、搬送経路上の所定の加工位置で、シート片SSの画像FPをトリミングする加工を行う。
【0030】
なお、本実施の形態の場合、第1のシート加工装置100の搬送方向F1(X軸方向)と第2のシート加工装置200の搬送方向F2(Y軸方向)は互いに直交するように、第1のシート加工装置100と第2のシート加工装置200は配置されている。第1のシート加工装置100と第2のシート加工装置200との間のシート片SSの受け渡しのために、中間搬送装置300が第1のシート加工装置100と第2のシート加工装置200との間に配置されている。中間搬送装置300は、シート片SSの搬送方向を搬送方向F1から搬送方向F2に変更する。
【0031】
本実施の形態の場合、第2のシート加工装置200は、まず、搬送経路上の1つ目の加工位置で、シート片SSを搬送方向F2(Y軸方向)に切断する縦切断加工を行い、搬送経路上の2つ目の加工位置で、シート片SSを搬送方向F2と直交する方向(X軸方向)に切断する横切断加工を行う。
【0032】
縦切断加工は、シート加工モジュール202に搭載された複数の上側回転切断刃204A、206Aと下側回転切断刃204B、206Bによって行われる。上側回転切断刃204Aと下側回転切断刃204Bがペアなし、上側回転切断刃206Aと下側回転切断刃206Bがペアなす。一対の回転切断刃204A、204Bと一対の回転切断刃206A、206Bは、第1のシート加工装置100における一対の回転切断刃104A、104Bと同様に、シート片SSを切断する。
【0033】
一対の回転切断刃204A、204Bと一対の回転切断刃206A、206Bは、シート片SSを2か所で搬送方向F2(Y軸方向)に切断する。また、一対の回転切断刃204A、204Bと一対の回転切断刃206A、206Bは、搬送方向F2と直交する方向(X軸方向)に移動可能に、シート加工モジュール202に搭載されている。これにより、一対の回転切断刃204A、204Bと一対の206A、206Bは、搬送方向F2と直交する方向について、任意の位置でシート片SSを切断することができる。
【0034】
横切断加工は、シート加工モジュール202に対して搬送方向F2(Y軸方向)の下流側に配置されたシート加工モジュール208に搭載されたせん断刃210によって行われる。せん断刃210は、鉛直方向(Z軸方向)に移動可能にシート加工モジュール208に搭載されている。
【0035】
シート加工モジュール202、208による縦切断加工と横切断加工が行われるシート片SSにおける加工箇所は、傾き角度θに基づいて、シート片SSの搬送経路上の位置について特定される。
【0036】
図3は、シート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置を特定する方法を説明するための図である。
【0037】
図3に示すように、シート加工モジュール202は、搬送方向F2(Y軸方向)に延在して画像FPの辺s1、s2をそれぞれ通過する縦直線に沿ってシート片SSを縦切断する。シート加工モジュール208は、搬送方向F2に対して直交する方向(X軸方向)に延在して画像FPの辺s3、s4をそれぞれ通過する横直線に沿ってシート片SSを横切断する。これらの切断を正確に行うために、シート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置、すなわち画像FPの辺s1~s4それぞれの搬送経路上の位置を特定する必要がある。
【0038】
シート片SSの画像FPの辺s1~s4それぞれの搬送経路上の位置を特定するために、第2のシート加工装置200は、搬送方向F2(Y軸方向)に搬送されているシート片SSをガイドするガイド部材212と、シート片SSの先行端LEを検出する第1および第2のエッジ検出デバイス214、216と、第2のレジマークR2を検出する第2のレジマーク検出デバイス218とを備える。
【0039】
ガイド部材212は、搬送方向F2(Y軸方向)に延在するガイド面212aを備える。また、ガイド部材212のガイド面212aは、第1のシート加工装置100においてシート加工モジュール102によって形成されたシート片SSの切断端CEに当接する。シート片SSは、その切断端CEがガイド部材212のガイド面212aにガイドされつつ、搬送方向F2に搬送される。これにより、搬送方向F2に対して直交する方向(X軸方向)について、シート片SSの画像FPおよび第2のレジマークR2の搬送経路上の位置が特定される。
【0040】
第1および第2のエッジ検出デバイス214、216は、搬送方向F2(Y軸方向)に搬送されているシート片SSの先行端LEを検出する。第1および第2のエッジ検出デバイス214、216は、例えば、レーザー光がシート片SSによって遮断されることにより、そのシート片SSのエッジを検出するレーザーセンサやフォトセンサなどである。
【0041】
第1のエッジ検出デバイス214によって検出されたシート片SSの先行端LEの部分の位置Tと傾き角度θとに基づいて、搬送方向F2(Y軸方向)について、第2のレジマークR2の搬送経路上の位置を算出することができる。
【0042】
例えば、第1のエッジ検出デバイス214と第2のガイド面212aとの間の搬送方向F2(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)の距離Wと、搬送方向F2とシート片SSの先行端LEとがなす角度αとに基づいて、第1のエッジ検出デバイス214によって検出されたシート片SSの先行端LEの部分の位置Tと第2のレジマークR2との間の搬送方向F2の距離Dを算出することができる。距離Wは、設計上既知である。また、ガイド部材212と接触するシート片SSの切断端CE(すなわち第1のレジマークR1)と第2のレジマークR2との位置関係(すなわち第1および第2のレジマークR1、R2間の距離)も既知である。一方、傾き角度θが90度である場合(すなわち、印刷ズレがない場合)、材料シートMSの輪郭とレジマークR2の位置との位置関係は所定の位置関係となっているので、距離Dを算出するとき、搬送方向F2(Y軸方向)の先行端LEと第2のレジマークR2との間の距離を既知の値として使用可能である。そして、角度αは、180度から傾き角度θを減算した角度である。これらの4つのパラメータを用いて距離Dを算出することができる。
【0043】
距離Dと第1のエッジ検出デバイス214の設置位置(すなわちシート片SSの先行端LEの部分の位置T)とにより、搬送方向F2(Y軸方向)について、第2のレジマークR2の搬送経路上の位置を算出することができる。その算出された第2のレジマークR2の搬送経路上の位置とシート片SSの搬送速度とに基づいて、第2のレジマークR2が第2のレジマーク検出デバイス218の検出エリアに進入するタイミングを算出することができる。
【0044】
第2のレジマーク検出デバイス218は、算出された第2のレジマークR2の位置とシート片SSの搬送速度とに基づいて算出されるタイミングにセンシングを実行し、それにより第2のレジマークR2を確実に検出する。第2のレジマーク検出デバイス218は、例えばCCDスキャナやレーザースキャナなどである。第2のレジマーク検出デバイス218が第2のレジマークR2を検出することにより、画像FPの搬送経路上の位置を特定することができる。すなわち、シート加工モジュール202、208によってこれから加工されるシート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置を特定することができる。
【0045】
画像FPの搬送経路上の位置が特定されると、搬送方向F2(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)について、シート加工モジュール202の一対の回転切断刃204A、204Bを画像FPの第1の辺s1に対して位置決めすることができる。また、同様に、一対の回転切断刃206A、206Bを画像FPの第2の辺s2について位置決めすることができる。その結果、一対の回転切断刃204A、204Bと一対の回転切断刃206A、206Bは、画像FPの辺s1、s2を通過する縦直線に沿ってシート片SSを正確に切断することができる。
【0046】
また、特定された画像FPの搬送経路上の位置と、シート片SSの搬送速度と、第2のエッジ検出デバイス216のシート片SSの先行端LEの検出タイミングとに基づいて、画像FPの第3の辺s3と第4の辺s4それぞれがシート加工モジュール208のせん断刃210の下方に到達するタイミングを算出することができる。
【0047】
具体的には、第2のエッジ検出デバイス216によって検出されたシート片SSの先行端LEの部分の位置と傾き角度θとに基づいて、搬送方向F2(Y軸方向)の加工箇所の搬送経路上の位置が算出される。すなわち、画像FP(すなわち第3の辺s3と第4の辺s4)の搬送経路上の位置が特定される。そして、特定した画像FPの搬送経路上の位置とシート片SSの搬送速度とに基づいて、画像FPの第3の辺s3と第4の辺s4それぞれがシート加工モジュール208のせん断刃210の下方に到達するタイミングが算出される。その結果、シート加工モジュール208のせん断刃210は、画像FPの辺s3、s4を通過する横直線に沿ってシート片SSを正確に切断することができる。
【0048】
ここまでは、シート加工システム10のシート加工方法を概念的に説明してきた。ここからは、このシート加工方法を実現するシート加工システム10の構成について一実施例を挙げて具体的に説明する。
【0049】
図4は、一実施例のシート加工システムの全体斜視図である。
【0050】
図4に示すように、一実施例のシート加工システム10は、上述した第1のシート加工装置100および第2のシート加工装置200と、第1のシート加工装置100と第2のシート加工装置200との間に配置された中間搬送装置300と、第1のシート加工装置100に材料シートMSを供給するシート供給装置400とを含んでいる。シート供給装置400は、複数の材料シートMSをストックし、材料シートMSを一枚ずつ第1のシート加工装置100に供給するように構成されている。
【0051】
図5は、第1のシート加工装置の内部構造図である。
【0052】
図5に示すように、第1のシート加工装置100は、材料シートMSおよびその切断後のシート片SSを搬送方向F1(X軸方向)に搬送経路P1に沿って搬送する搬送機構(第1の搬送機構)として、複数の搬送ローラユニット108を備える。
【0053】
図6は、搬送ローラユニットの分解斜視図である。
【0054】
図6に示すように、複数の搬送ローラユニット108それぞれは、モータ(図示せず)などによって回転駆動される搬送ローラ110と、搬送ローラ110に向かって材料シートMS(またはシート片SS)を押圧する押さえローラ112とを含んでいる。搬送ローラ110と押さえローラ112は、搬送方向F1と直交する方向(Y軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回転する。
【0055】
また、搬送ローラユニット108において、押さえローラ112は、鉛直方向(Z軸方向)に搬送ローラ110に対して離間可能にされている。具体的には、押さえローラ112はカバー部材114に回転可能に支持され、搬送ローラ110は第1のシート加工装置100の筺体フレーム(図示せず)にその両端が回転可能に指示されている。
【0056】
カバー部材114の両端は、第1のシート加工装置100の筺体フレーム(図示せず)に取り付けられたブラケット116に対して鉛直方向(Z軸方向)に着脱される。カバー部材114の両端とブラケット116との間の固定は、鉛直方向に延在するローレットねじ118によって行われる。したがって、ローレットねじ118を緩めることにより、カバー部材114、すなわち押さえローラ112を鉛直方向に取り外すことができる。その結果、搬送ローラ110と押さえローラ112との間にジャムなどが発生したときに、その材料シートMS(シート片SS)を簡単に取り除くことができる。なお、着脱を容易にするために、カバー部材114にはハンドル120が設けられている。
【0057】
図5に示すように、第1のシート加工装置100は、搬送方向F1(X軸方向)に搬送経路P1上を搬送される材料シートMS上の第1のレジマークR1を検出する、上述の第1のレジマーク検出デバイス106を備える。その第1のレジマーク検出デバイス106に対して搬送方向F1の下流側に、シート加工モジュール102が配置されている。
【0058】
図7Aは、シート加工モジュールの下流側斜視図である。また、図7Bは、シート加工モジュールの上流側斜視図である。
【0059】
図7Aおよび図7Bに示すように、シート加工モジュール102は、搬送方向F1(X軸方向)に材料シートMSが通過可能な四角枠状の本体122を備える。また、シート加工モジュール102には、材料シートMSを切断する上述の一対の回転切断刃104A、104Bを備えるシート加工ユニット124が搭載されている。
【0060】
図8は、シート加工ユニット124の斜視図である。また、図9はシート加工ユニット124の側面図である。そして、図10は、シート加工ユニット124内の一対の回転切断刃の示す斜視図である。
【0061】
図8図10に示すように、シート加工ユニット124は、上側回転切断刃104Aを支持する上側アセンブリ126Aと、下側回転切断刃104Bを支持する下側アセンブリ126Bとから構成されている。上側アセンブリ126Aは、図7Aに示すリニアガイドレール128Aに切断方向CDに移動可能に支持され、図7Bに示す駆動ベルト130Aによって切断方向CDに駆動される。また、下側アセンブリ126Bは、図7Aに示すリニアガイドレール128Bに切断方向CDに移動可能に支持され、駆動ベルト130Bによって切断方向CDに駆動される。これらの上側および下側アセンブリ126A、126Bは、同期駆動され、一体で切断方向CDに移動する。これにより、一対の回転切断刃104A、104Bは、材料シートMSを切断方向CDに切断することができる。
【0062】
図10に示すように、シート加工ユニット124には、一対の回転切断刃104A、104Bに対して摩耗を抑制するためのオイルを供給するオイル供給部132が設けられている。具体的には、オイル供給部132は、シート加工ユニット124における下側アセンブリ126Bの下部に設けられたオイルがしみ込んだフェルト134と、フェルト134を収容するホルダ136から構成されている。下側回転切断刃104Bの一部がフェルト134内に配置されている。これにより、一対の回転切断刃104A、104Bが回転すると、まずフェルト134のオイルが下側回転切断刃104Bに塗布され、その下側回転切断刃104Bから上側回転切断刃104Aにオイルが供給される。オイルは、フェルト134が見える隙間を介して、フェルト134に供給される。代わりとして、オイルやグリスを一対の回転切断刃104A、104Bの少なくとも一方に供給する供給孔をシート加工ユニットに設けてもよい。さらに、ホルダ136は下側アセンブリ126Bに対して着脱可能であって、取り外された状態のホルダ136内のフェルト134にオイルを供給することも可能である。
【0063】
また、図9に示すように、シート加工ユニット124において、下側回転切断刃104Bは、上側回転切断刃104Aに対して、搬送方向F1(X軸方向)の上流側に位置する。その理由を図11を参照しながら説明する。
【0064】
図11は、下側回転切断刃が上側切断刃に対してシート搬送方向の下流側に位置する比較例を示す図である。
【0065】
図11には、本実施例と異なる、下側回転切断刃104Bが上側回転切断刃104Aに対して搬送方向F1(X軸方向)の下流側に位置する比較例が示されている。この比較例の場合、一対の回転切断刃104A、104Bが材料シートMSを切断してシート片SSを作成すると、廃棄されるシート部分DS(第1のレジマークR1に対して搬送方向F1の下流側部分)が、ダストスペース(図示せず)に向かって落下しない可能性がある。具体的には、廃棄シート部分DSの前端DSaが、一対の回転切断刃104A、104Bに対して搬送方向F1の下流側に位置する搬送ローラ110に引っ掛かり、後端DSbが下側回転切断刃104B上に載る可能性がある。これに対して、本実施例の場合、図9に示すように、下側回転切断刃104Bが上側回転切断刃104Aに対して上流側に位置するので、廃棄シート部分DSは、その後端DSbが下側回転切断刃104Bに載らずに落下することができる。
【0066】
シート加工ユニット124においては、図9に示すように、上側回転切断刃104Aの回転中心線CAと下側回転切断刃104Bの回転中心線CBは平行であるのが好ましい。また、上側回転切断刃104Aの刃裏面104Aaと下側回転切断刃104Bの刃裏面104Baは所定の接触圧で接触するのが好ましい。これにより、良好な切れ味で材料シートMSを切断することができる。しかしながら、刃裏面の接触圧にはバラツキがあり、また刃裏面間に隙間が生じる可能性がある。その対処として、シート加工ユニット124は、上側回転切断刃104Aの回転中心線CAを傾けることが可能に構成されている。
【0067】
図12は、上側回転切断刃の回転中心線の傾きを発生させる機構を説明するためのシート加工ユニットの概略的な上方図である。
【0068】
図12に示すように、シート加工ユニット124(その上側アセンブリ126A)において、上側回転切断刃104Aを支持する支持シャフト138は、一端が上側アセンブリ126Aの前側部分126Aaに支持され、他端が上側アセンブリ126Aの後側部分126Abに支持されている。その前側部分126Aaは、後側部分126Abに対して切断方向CDに移動可能に構成されている。前側部分126Aaが後側部分126Abに対して移動することにより、支持シャフト138が傾き、それにより上側回転切断刃104Aの回転中心線CAが傾く。
【0069】
図13は、上側回転切断刃の回転中心線が傾いた状態で移動する一対の回転切断刃をしている。
【0070】
図13に示すように、一対の回転切断刃104A、104Bが切断方向CDの一方の進行方向(白抜き矢印)に移動するとき、上側アセンブリ126Aにおいて前側部分126Aaがその進行方向側にシフトし、それにより上側回転切断刃104Aの回転中心線CAが傾けられる。それにより、上側回転切断刃104Aと下側回転切断刃104Bの互いに重なる部分において、上側回転切断刃104Aの進行方向の先端が下側回転切断刃104Bの進行方向の先端に接触する。これにより、一対の回転切断刃104A、104Bは、上方視で停止時に刃裏面104Aa、104Baの間に隙間が生じていても(二点鎖線)、材料シートMSを良好な切れ味で切断することができる。
【0071】
なお、下側回転切断刃104Bの回転中心線CBは、傾くことなく、切断方向CDに対して直交した状態で維持されている。なお、上側回転切断刃104Aの回転中心線CAに代わって、下側回転切断刃104Bの回転中心線CBが傾いてもよい。また、両方の回転中心線CA、CBが傾いてもよい。
【0072】
図7Aおよび図7Bに戻って、シート加工モジュール102は、その本体122を傾ける傾動機構140を備える。傾動機構140は、鉛直方向(Z軸方向)に延在する回転中心線C1を中心にして回転するモータ142と、モータ142によって駆動される駆動ベルト144とから構成されている。その駆動ベルト144において搬送方向F1にシフトする部分に、本体122の搬送方向F1(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)の一端が固定されている。モータ142が回転すると、シート加工モジュール102の本体122は、回転シャフト107の中心線C2を中心にして揺動する。このような傾動機構140により、シート加工モジュール102の切断方向CDが調節される。すなわち、傾動機構140は、図1に示す搬送方向F1に対する傾き角度θの方向に切断方向CDを合わせる切断方向調節機構として機能する。
【0073】
図14は、第2のシート加工装置の上面図である。また、図15は、第2のシート加工装置のシート加工部の内部構造図である。
【0074】
図14に示すように、第2のシート加工装置200は、大略、シート片SSの姿勢を調節するシート姿勢調節部220と、シート片SSに対して加工を実行するシート加工部222とに区分される。
【0075】
第2のシート加工装置200のシート姿勢調節部220は、シート片SSを搬送しながらその切断端CEをガイド面212aに沿わせるように構成されている。本実施例の場合、第2のシート加工装置200の筺体の一部分が、ガイド面212aを備えるガイド部材212として機能する。
【0076】
シート姿勢調節部220は、シート片SSが載置され、載置されたシート片SSをガイド面212aに向かって搬送する複数の斜向ベルトコンベア224を有する。また、シート姿勢調節部220は、切断端CEがガイド面212aに当接している状態のシート片SSの上面に接触し、そのシート片SSを搬送方向F2(Y軸方向)に搬送する複数の搬送ベルト226を有する。そして、シート姿勢調節部220は、搬送ベルト226によって搬送されたシート片SSをガイド面212aに向かって搬送する複数の斜向ベルトコンベア228を有する。これらにより、シート片SSは、その切断端CEがガイド面212aに当接した状態で、シート加工部222内に搬送される。
【0077】
図15に示すように、第2のシート加工装置200のシート加工部222は、シート片SSを搬送方向F2(Y軸方向)に搬送経路P2に沿って搬送する搬送機構(第2の搬送機構)として、複数の搬送ローラユニット230を備える。搬送ローラユニット230は、第1のシート加工装置100における搬送ローラユニット108と同様に、モータ(図示せず)などによって回転駆動される搬送ローラ232と、搬送ローラ232に向かってシート片SSを押圧する押さえローラ234とを含んでいる。搬送ローラ232と押さえローラ234は、搬送方向F2と直交する方向(X軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回転する。
【0078】
複数の搬送ローラユニット230間に、複数のシート加工モジュール202、208、236~244(加工機構)が配置されている。シート加工モジュール202、208以外のシート加工モジュール236~244は、縦切断加工、横切断加工以外の加工、例えばミシン目形成加工、折り目形成加工などを行うモジュールであって、また、画像FPの4つの辺s1~s4以外の加工箇所に対して加工を行うモジュールである。また、複数の搬送ローラユニット230間を通過するシート片SSをセンシングする上述した第1および第2のエッジ検出デバイス214、216と、第2のレジマーク検出デバイス218とが、シート加工部222に設けられている。
【0079】
図16は、中間搬送装置の斜視図である。また、図17は、中間搬送装置の側面図である。そして、図18は、中間搬送装置の部分分解図である。
【0080】
図16図18に示すように、中間搬送装置300は、第1のシート加工装置100から出力されたシート片SSを第2のシート加工装置200に向かって搬送する機構(第3の搬送機構)として、ベルトコンベア302を備える。ベルトコンベア302は、その載置面302aに載置されたシート片SSを搬送方向F2(Y軸方向)に搬送する。なお、図16において、白抜き矢印A1は、第1のシート加工装置100から中間搬送装置300へのシート片SSの供給方向を示している。また、白抜き矢印A2は、中間搬送装置300から第2のシート加工装置200へのシート片SSの供給方向を示している。
【0081】
図17に示すように、中間搬送装置300は、搬送方向F2(Y軸方向)に延在し、ベルトコンベア302上のシート片SSの切断端CEをガイドするガイド面300aを備える。シート片SSは、第1のシート加工装置100からベルトコンベア302の載置面302aに向かって勢いよく射出される。その結果、シート片SSの切断端CEが、ガイド面300aに接触する。
【0082】
シート片SSが勢いよく射出されると、シート片SSの切断端CEがガイド面300aに跳ね返され、その結果、切断端CEがガイド面300aから離れる可能性がある。ガイド面300aに接触した切断端CEが跳ね返されることなくその接触を維持するために、シート片SSを上から押さえる複数の球体304、306が中間搬送装置300に設けられている。
【0083】
図17および図18に示すように、複数の球体304、306は、ガイド面300aの上方に位置する板状のカバー部材308に形成された貫通穴308a、308bを介して、ベルトコンベア302上のシート片SSの上面に接触する。そのため、シート片SSは、球体304、306とベルトコンベア302との間に潜り込み、そしてその切断端CEがガイド面300aに接触する。球体304、306とベルトコンベア302との間にシート片SSが挟まれるために、その切断端CEは、跳ね返ることなく、ガイド面300aに接触した状態で維持される。その結果、ガイド面300aは、シート片SSの切断端CEをガイドすることができる。
【0084】
なお、球体304は、球体306に比べて大きい。また、球体304、306が通過する貫通穴308a、308bは、カバー部材308に複数個、様々な箇所に作成されている。これは、シート片SSのサイズに応じて、使用する球体304、306の種類、その球体304、306を配置する箇所を変更するためである。例えば、シート片SSが薄い場合、小さい球体306が使用される。また例えば、シート片SSのサイズが大きい場合、多くの球体304、306が多くの貫通穴308a、308bにセットされる。なお、大きい球体304を貫通穴308aにセットされた状態で維持するために、球体304を収容してカバー部材308上に載置される円筒状のホルダ310が使用される。
【0085】
最後に、実施例のシート加工システムの制御系について説明する。
【0086】
図19は、シート加工システムの制御系を示すブロック図である。なお、図19は、本開示の実施の形態(実施例)に密接に関連する制御に必要な構成要素のみを示している。
【0087】
図19に示すように、シート加工システム10は、第1のシート加工装置100を制御する制御装置150と、第2のシート加工装置200を制御する制御装置250を含んでいる。
【0088】
制御装置150は、第1のシート加工装置100の搬送ローラユニット108を制御する搬送機構制御部152と、シート加工モジュール102を制御するシート加工モジュール制御部154と、第1のレジマークR1の傾き角度θを算出する第1のレジマーク傾き角度算出部156と、を含んでいる。
【0089】
制御装置150は、例えば、CPUなどのプロセッサと、メモリなどの記憶装置とを備える。記憶装置に記憶されているプログラムにしたがってプロセッサが、搬送機構制御部152、シート加工モジュール制御部154、または、第1のレジマーク傾き角度算出部156として動作する。なお、制御装置150の記憶装置には、材料シートMSの情報、すなわち、材料シートMSの形状の情報と材料シートMS上の第1のレジマークR1、第2のレジマークR2、画像FP(加工箇所)の位置関係の情報とが記憶されている。
【0090】
制御装置150の搬送機構制御部152は、複数の搬送ローラユニット108それぞれの搬送ローラ110の回転速度を制御することにより、第1のシート加工装置100における搬送方向F1(X軸方向)の材料シートMSまたはシート片SSの搬送速度を制御する。
【0091】
制御装置150のシート加工モジュール制御部154は、シート加工モジュール102におけるシート加工ユニット124の移動速度および移動方向、一対の回転切断刃104A、104Bの回転速度を制御する。また、シート加工モジュール制御部154は、傾動機構140を制御して、シート加工モジュール102の搬送方向F1(X軸方向)に対する傾き(切断方向CDの傾き)を制御する。
【0092】
制御装置150の第1のレジマーク傾き角度算出部156は、複数の第1のレジマーク検出デバイス106の検出結果に基づいて、搬送方向F1(X軸方向)に対する第1のレジマークR1の傾き角度θを算出する。制御装置150は、算出された傾き角度θを、第2のシート加工装置200の制御装置250に送信する。
【0093】
制御装置250は、第2のシート加工装置200の搬送ローラユニット230を制御する搬送機構制御部252と、シート加工モジュール202、208を制御するシート加工モジュール制御部254と、第2のレジマークR2の搬送経路上の位置を算出する第2のレジマーク位置算出部256と、シート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置を特定する加工箇所位置特定部258と、を含んでいる。
【0094】
制御装置250は、例えば、CPUなどのプロセッサと、メモリなどの記憶装置とを備える。記憶装置に記憶されているプログラムにしたがってプロセッサが、搬送機構制御部252、シート加工モジュール制御部254、第2のレジマーク位置算出部256、または、加工箇所位置特定部258として動作する。なお、制御装置250の記憶装置には、材料シートMSの情報、すなわち、材料シートMS上の第2のレジマークR2、画像FP(加工箇所)の位置関係の情報が記憶されている。
【0095】
制御装置250の搬送機構制御部252は、複数の搬送ローラユニット230それぞれの搬送ローラ232の回転速度を制御することにより、第2のシート加工装置200における搬送方向F2(Y軸方向)のシート片SSの搬送速度を制御する。
【0096】
制御装置250のシート加工モジュール制御部254は、シート加工モジュール202における一対の回転切断刃204A、204Bの回転速度および位置、一対の回転切断刃206A、206Bの回転速度および位置を制御する。また、シート加工モジュール制御部254は、シート加工モジュール208におけるせん断刃210の昇降動作を制御する。なお、本実施例においては、他のシート加工モジュール236~244は使用されていないが、使用される場合、シート加工モジュール制御部254は、他のシート加工モジュール236~244を制御する。
【0097】
制御装置250の第2のレジマーク位置算出部256は、図3を用いて上述にて説明したように、第1のエッジ検出デバイス214の検出結果と第1のシート加工装置100から送信された傾き角度θとに基づいて、搬送方向F2(Y軸方向)について、第2のレジマークR2の搬送経路上の位置を算出する。
【0098】
制御装置250の加工箇所位置特定部258は、図3を用いて上述にて説明したように、第2のレジマーク検出デバイス218の検出結果に基づいて、シート片SSの加工箇所の搬送経路上の位置を特定する。
【0099】
以上のような本実施の形態によれば、シート搬送方向F1に対するシートの切断方向CDの傾き角度θが調節可能であって、その切断によって作製されたシート片SSに対して加工を行うシート加工システム10おいて、その加工精度の低下を抑制することができる。
【0100】
上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。
【0101】
例えば、上述の実施の形態の場合、図2に示すように、材料シートMSは矩形状である。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、材料シートMSの形状は、多角形であればよい。
【0102】
また、上述の実施の形態の場合、第2のシート加工装置200の傾き角度θに基づくシート片SSに対する加工は、シート片SS上の画像FPをトリミングするトリミング加工であるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、第2のシート加工装置200が傾き角度θに基づいてシート片SSに対して行う加工は、ミシン目形成加工、折り目形成加工などであってもよい。本開示の実施の形態において、第2のシート加工装置がシート片に実行する加工は、その加工箇所が予め決められている加工であればよい。
【0103】
さらに、上述の実施の形態の場合、第1のシート加工装置100の材料シートMS(またはシート片SS)の搬送方向F1(X軸方向)と第2のシート加工装置200のシート片SSの搬送方向F2(Y軸方向)は、互いに90度異なる。また、そのために、第1のシート加工装置100と第2のシート加工装置200との間に、シート片SSの搬送方向を搬送方向F1から搬送方向F2に変更する中間搬送装置300が配置されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、搬送方向F1と搬送方向F2が同一方向であって、シート片SSを90度回転させる回転テーブルを第1のシート加工装置100と第2のシート加工装置200との間に配置してもよい。
【0104】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、シート加工システム10は、複数のシート加工装置で構成されているが、本開示の実施の形態はこれに限らない。シート加工システムは、1台の装置で構成されてもよい。
【0105】
加えて、上述の実施の形態の場合、図2に示すように、シート加工システム10に加工される材料シートMSは、シート加工に必要な第1のレジマークR1と第2のレジマークR2とを備える。また、第1のレジマークR1が直線状であって、第2のレジマークR2はL字状である。しかしながら、第1のレジマークR1、第2のレジマークR2の形状はこれに限らない。例えば、第1のレジマークR1は、第1のレジマーク検出デバイス106の検出エリアに進入しうる部分のみが直線状であってもよい。
【0106】
このような第1のレジマークR1および/または第2のレジマークR2に代わって他のマークが材料シートに設けられてもよい。すなわち、検出可能なマークであって、搬送方向に対する材料シートMSの傾きや画像FPの搬送経路上の位置を一義的に算出することができる形状を備えるマークが、材料シート上にあればよい。
【0107】
すなわち、本開示の一実施の形態は、広義には、材料シートを第1の方向に搬送する第1の搬送機構と、前記材料シートの第1のマークを検出する第1のレジマーク検出デバイスと、前記第1のマーク検出デバイスの検出結果に基づいて、前記第1の方向に対する前記第1のマークの傾き角度を算出する第1のマーク傾き角度算出部と、第1の方向に対して交差する切断方向に前記材料シートを切断して複数のシート片を作製する切断刃と、前記第1の方向に対する前記傾き角度の方向に前記切断刃の切断方向を合わせる切断方向調節機構と、前記シート片を第2の方向に搬送する第2の搬送機構と、前記第2の方向に延在し、前記切断刃によって形成された前記シート片の切断端をガイドするガイド部材と、前記傾き角度に基づいて、前記シート片の加工箇所の搬送経路上の位置を特定する加工箇所位置特定部と、搬送経路上の位置が特定された加工箇所に対して加工を行う加工機構と、を含むシート加工システムである。
【0108】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0109】
また、前述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示は、シートを搬送しつつ加工するシート加工システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
10 シート加工システム
104A 切断刃(回転切断刃)
104B 切断刃(回転切断刃)
202 加工機構(シート加工モジュール)
208 加工機構(シート加工モジュール)
212 ガイド部材
CD 切断方向
CE 切断端
F1 第1の方向(搬送方向)
F2 第2の方向(搬送方向)
MS 材料シート
R1 第1のレジマーク
SS シート片
θ 傾き角度
図1
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図7A
図7B
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