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特開2022-179033貫通孔の充填材設置構造及び挿入部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179033
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】貫通孔の充填材設置構造及び挿入部材
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20221125BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20221125BHJP
   F16L 5/04 20060101ALI20221125BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20221125BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A62C3/16 B
F16L5/02 D
F16L5/04
E04B1/94 F
H02G3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086258
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 佳志
【テーマコード(参考)】
2E001
5G363
【Fターム(参考)】
2E001DE03
2E001DE04
2E001FA03
2E001FA31
2E001HA32
2E001HA34
2E001HF12
5G363AA05
5G363AA16
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA07
5G363CA08
5G363CB11
(57)【要約】
【課題】充填材の無駄の発生を抑制できる貫通孔の充填材設置構造及び挿入部材を提供すること。
【解決手段】充填材設置構造は、防火区画壁Wに設置された挿入部材20を備える。挿入板部31は貫通孔11に挿入され、接触板部41の第1面42は防火区画壁Wの第1壁面Waに接触している。厚さ方向に貫通孔11を見て当該貫通孔11を画成する各辺に1つ又は複数の挿入部材20が配置されている。貫通孔11内には枠体19が形成されている。突出板部51は、挿入板部31の基端31aと先端31bとの間にて貫通孔11内に突出するように挿入板部31を切り起こすことで当該挿入板部31の内面33から起立している。貫通孔11での配線・配管材の外面と挿入板部31の内面33との間であって、突出板部51よりも挿入板部31の基端31a側に充填材14が充填されている。充填材14は、突出板部51に接触している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火区画体を厚さ方向に貫通し、かつ前記厚さ方向に見て多角形状の貫通孔に配線・配管材が貫通するとともに、前記貫通孔に充填材が充填されて形成されている貫通孔の充填材設置構造であって、
前記防火区画体に設置された挿入部材を備え、
前記挿入部材は、一定幅が延出方向に連続する金属板材を前記延出方向の途中で直角に屈曲させることにより形成された屈曲部と、当該屈曲部を基準として互いに離間する方向に延出する挿入板部及び接触板部と、を有し、
前記挿入板部は前記貫通孔に挿入され、前記挿入板部の外面は前記貫通孔を画成する孔画成面に対向するとともに、前記接触板部の外面は前記防火区画体の外面に接触しており、
前記挿入板部は、前記延出方向の前記屈曲部寄りの基端と、前記延出方向に前記基端と反対の先端とを有し、
前記厚さ方向に前記貫通孔を見て当該貫通孔を画成する各辺に1つ又は複数の前記挿入部材が配置されることにより、前記貫通孔内には前記配線・配管材を囲む枠体が形成されており、
前記枠体を形成する少なくとも1つの前記挿入部材は、前記挿入板部に一体の突出板部を有し、前記突出板部は、前記挿入板部の前記基端と前記先端との間にて前記貫通孔内に突出するように前記挿入板部を切り起こすことで当該挿入板部の内面から起立しており、
前記貫通孔での前記配線・配管材の外面と前記挿入板部の前記内面との間であって、前記突出板部よりも前記挿入板部の前記基端側又は前記先端側に前記充填材が充填され、当該充填材は、前記突出板部に接触していることを特徴とする貫通孔の充填材設置構造。
【請求項2】
前記挿入部材は、前記突出板部を前記挿入板部から切り起こすことにより前記挿入板部に形成された開口部を有し、当該開口部は、前記突出板部を基準として前記充填材の充填された側に配置されており、前記開口部は前記充填材によって閉塞されている請求項1に記載の貫通孔の充填材設置構造。
【請求項3】
防火区画体に複数設置される挿入部材であり、前記防火区画体を厚さ方向に貫通する貫通孔内に枠体を形成する挿入部材であって、
一定幅が延出方向に連続する金属板材を前記延出方向の途中で直角に屈曲させることにより形成された屈曲部と、当該屈曲部を基準として互いに離間する方向に延出する挿入板部及び接触板部と、前記挿入板部に一体の突出板部と、を有し、
前記挿入板部は前記貫通孔に挿入され、前記挿入板部の外面は前記貫通孔を画成する孔画成面に対向するとともに、前記接触板部は前記防火区画体の外面に接触され、
前記挿入板部は、前記延出方向の前記屈曲部寄りの基端と、前記延出方向に前記基端と反対の先端とを有し、
前記突出板部は、前記挿入板部の前記基端と前記先端との間にて前記挿入板部に沿って前記延出方向に延出する倒伏姿勢と、前記挿入板部を基準として前記接触板部とは反対方向に突出して前記挿入板部の内面から起立された起立姿勢と、を取り、かついずれか一方の姿勢から他方の姿勢に塑性変形可能であることを特徴とする挿入部材。
【請求項4】
前記突出板部は、前記倒伏姿勢における先端側が、前記挿入板部の基端側を向いている請求項3に記載の挿入部材。
【請求項5】
前記突出板部は、当該突出板部と前記挿入板部との接続部寄りの基端と、前記突出板部の基端と反対側の先端とを有し、前記突出板部は、当該突出板部の基端と先端との間に、前記起立姿勢における前記突出板部の長さを調節するために、当該突出板部を折り曲げるための脆弱部を備える請求項3又は請求項4に記載の挿入部材。
【請求項6】
前記挿入部材は、前記起立姿勢の前記突出板部に取着されて当該突出板部を拡張させる拡張部材を有する請求項3~請求項5のうちいずれか一項に記載の挿入部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火区画体の貫通孔に充填材が充填されて形成されている貫通孔の充填材設置構造及び挿入部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物における防火区画体としての防火区画壁に配線・配管材を貫通させるために、防火区画壁には貫通孔が形成されている。貫通孔と配線・配管材との間には耐火用の充填材が充填されている。貫通孔と配線・配管材との間に充填材を充填するため、防火区画壁の貫通孔内には枠体が形成されている。この枠体を形成するため、当該貫通孔には挿入部材が挿入されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される枠構成材は、防火区画壁に複数配置されている。枠構成材は、防火区画壁の壁面との当接部と、防火区画壁を厚さ方向の一端と他端に掛け渡すことができる長さの掛渡し部とを備える。そして、掛渡し部が貫通孔の一端から他端に掛渡されるように貫通孔に挿入されるとともに、当接部が片方の壁面に接着されることにより、枠構成材が防火区画壁に配置されている。
【0004】
貫通孔の全周に亘って複数の枠構成材が配置されることにより、貫通孔内に枠体が設置されている。そして、貫通孔を貫通させた配線・配管材と枠体との隙間に複数の耐火材が充填材として充填されることにより、貫通孔に充填材設置構造が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4964679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、貫通孔の充填材設置構造では、貫通孔の貫通方向の一端から他端に至るまで充填材を充填する必要がない場合がある。このような場合、特許文献1の枠構成材を用いた充填材設置構造では、充填材が貫通孔の一端からどの程度まで充填されたかを把握できない。その結果、貫通孔の一端から他端に至るまで充填材が充填されてしまうため、貫通孔の貫通方向の一端から他端に至るまで充填材を充填する必要がない場合には、充填材の無駄を生じさせてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための貫通孔の充填材設置構造は、防火区画体を厚さ方向に貫通し、かつ前記厚さ方向に見て多角形状の貫通孔に配線・配管材が貫通するとともに、前記貫通孔に充填材が充填されて形成されている貫通孔の充填材設置構造であって、前記防火区画体に設置された挿入部材を備え、前記挿入部材は、一定幅が延出方向に連続する金属板材を前記延出方向の途中で直角に屈曲させることにより形成された屈曲部と、当該屈曲部を基準として互いに離間する方向に延出する挿入板部及び接触板部と、を有し、前記挿入板部は前記貫通孔に挿入され、前記挿入板部の外面は前記貫通孔を画成する孔画成面に対向するとともに、前記接触板部の外面は前記防火区画体の外面に接触しており、前記挿入板部は、前記延出方向の前記屈曲部寄りの基端と、前記延出方向に前記基端と反対の先端とを有し、前記厚さ方向に前記貫通孔を見て当該貫通孔を画成する各辺に1つ又は複数の前記挿入部材が配置されることにより、前記貫通孔内には前記配線・配管材を囲む枠体が形成されており、前記枠体を形成する少なくとも1つの前記挿入部材は、前記挿入板部に一体の突出板部を有し、前記突出板部は、前記挿入板部の前記基端と前記先端との間にて前記貫通孔内に突出するように前記挿入板部を切り起こすことで当該挿入板部の内面から起立しており、前記貫通孔での前記配線・配管材の外面と前記挿入板部の前記内面との間であって、前記突出板部よりも前記挿入板部の前記基端側又は前記先端側に前記充填材が充填され、当該充填材は、前記突出板部に接触していることを要旨とする。
【0008】
貫通孔の充填材設置構造について、前記挿入部材は、前記突出板部を前記挿入板部から切り起こすことにより前記挿入板部に形成された開口部を有し、当該開口部は、前記突出板部を基準として前記充填材の充填された側に配置されており、前記開口部は前記充填材によって閉塞されていてもよい。
【0009】
上記問題点を解決するための挿入部材は、防火区画体に複数設置される挿入部材であり、前記防火区画体を厚さ方向に貫通する貫通孔内に枠体を形成する挿入部材であって、一定幅が延出方向に連続する金属板材を前記延出方向の途中で直角に屈曲させることにより形成された屈曲部と、当該屈曲部を基準として互いに離間する方向に延出する挿入板部及び接触板部と、前記挿入板部に一体の突出板部と、を有し、前記挿入板部は前記貫通孔に挿入され、前記挿入板部の外面は前記貫通孔を画成する孔画成面に対向するとともに、前記接触板部は前記防火区画体の外面に接触され、前記挿入板部は、前記延出方向の前記屈曲部寄りの基端と、前記延出方向に前記基端と反対の先端とを有し、前記突出板部は、前記挿入板部の前記基端と前記先端との間にて前記挿入板部に沿って前記延出方向に延出する倒伏姿勢と、前記挿入板部を基準として前記接触板部とは反対方向に突出して前記挿入板部の内面から起立された起立姿勢と、を取り、かついずれか一方の姿勢から他方の姿勢に塑性変形可能であることを要旨とする。
【0010】
挿入部材について、前記突出板部は、前記倒伏姿勢における先端側が、前記挿入板部の基端側を向いていてもよい。
挿入部材について、前記突出板部は、当該突出板部と前記挿入板部との接続部寄りの基端と、前記突出板部の基端と反対側の先端とを有し、前記突出板部は、当該突出板部の基端と先端との間に、前記起立姿勢における前記突出板部の長さを調節するために、当該突出板部を折り曲げるための脆弱部を備えていてもよい。
【0011】
挿入部材について、前記挿入部材は、前記起立姿勢の前記突出板部に取着されて当該突出板部を拡張させる拡張部材を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充填材の無駄の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】充填材設置構造を示す図。
図2】貫通孔、挿入部材及び充填材を示す斜視図。
図3】挿入部材を示す斜視図。
図4】挿入部材を示す平面図。
図5】充填材設置構造を示す断面図。
図6】充填材を充填する前を示す図。
図7】挿入部材の設置状態を示す斜視図。
図8】充填材を充填した状態を示す斜視図。
図9】充填材を充填した状態を示す斜視図。
図10】別例の充填材設置構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、貫通孔の充填材設置構造及び挿入部材を具体化した一実施形態を図1図9にしたがって説明する。
<防火区画体>
図1及び図2に示すように、防火区画体としての防火区画壁Wは、第1壁材W1と、第2壁材W2と、それら第1壁材W1及び第2壁材W2を支持する図示しない柱材と、から形成されている。防火区画壁Wが水平面上に立っているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を重力方向Zともいい、X軸と平行な方向を水平方向Xともいう。また、Y軸と平行な方向を奥行方向Yともいう。したがって、奥行方向Yは、水平方向X及び重力方向Zの両方に直交する方向である。防火区画壁Wの奥行方向Yは、防火区画壁Wの厚さ方向に一致する。
【0015】
防火区画壁Wは、第1壁材W1と第2壁材W2の間に画成された中空部Sを有する。防火区画壁Wには貫通孔11が形成されている。貫通孔11は、防火区画壁Wを厚さ方向に貫通する。貫通孔11は、第1壁材W1に形成された第1壁孔W1aと、第2壁材W2に形成された第2壁孔W2aと、中空部Sとが奥行方向Yに繋がる孔である。防火区画壁Wを奥行方向Yの外側から見ると、第1壁孔W1a及び第2壁孔W2aは多角形状の一例である横長四角形状である。第1壁孔W1aは、第1壁材W1に形成された第1孔画成面W1bの内側に画成されている。第2壁孔W2aは、第2壁材W2に形成された第2孔画成面W2bの内側に画成されている。
【0016】
貫通孔11は、一方の壁材W1の外面によって形成される第1壁面Waと、他方の壁材W2の外面によって形成される第2壁面Wbとを連通させる。防火区画壁Wを奥行方向Yの外側から見ると、貫通孔11は横長四角孔である。重力方向Zへの貫通孔11の寸法を第1寸法L1とし、水平方向Xへの貫通孔11の寸法を第2寸法L2とする。また、奥行方向Yへの貫通孔11の寸法を第3寸法L3とする。
【0017】
<充填材設置構造の概要>
防火区画壁Wには、複数の挿入部材20が設置されている。防火区画壁Wの厚さ方向に貫通孔11を見て、貫通孔11を画成する四つの辺の各々に挿入部材20が配置されている。それら複数の挿入部材20により貫通孔11内に枠体19が形成されるとともに、防火区画壁Wには枠体19が設置されている。貫通孔11には配線・配管材12が貫通している。そして、貫通孔11の充填材設置構造は、貫通孔11における枠体19の内面と配線・配管材12の外面との間に複数の充填材14が充填されて形成されている。よって、貫通孔11の充填材設置構造は、防火区画壁Wに設置された挿入部材20と、充填材14と、を備えている。
【0018】
<充填材>
充填材14は、直方体状に形成されたブロック体の略全体が、四角箱状をなす熱膨張性耐熱材製の外装部材内に収容されて形成されている。充填材14を形成するブロック体は、セラミックウール、ロックウール等の不燃性を有する材料によって直方体状に形成されている。充填材14のブロック体自身はクッション性を有するため、所要の弾性を有する。また、充填材14の外装部材は、難燃性の熱膨張性耐熱材によって形成されている。この熱膨張性耐熱材は、120℃以上の熱を受けると体積が加熱前の3倍以上に膨張する。
【0019】
充填材14は、重力方向Zの一端面に上面14aを有するとともに重力方向Zの他端面に下面14bを有する。充填材14は、水平方向Xの一端面に左面14cを有するとともに水平方向Xの他端面に右面14dを有する。充填材14は、奥行方向Yの一端面に前面14eを有するとともに奥行方向Yの他端面に後面14fを有する。複数の充填材14の各々は、前面14eが第1壁面Waと面一となるように設置されている。このため、複数の充填材14の各々は、前面14eが防火区画壁Wの第1壁面Wa側に露出するように設置されている。
【0020】
充填材14の重力方向Zへの寸法は、貫通孔11の第1寸法L1より小さい。充填材14の水平方向Xへの寸法は、貫通孔11の第2寸法L2より小さい。充填材14の奥行方向Yへの寸法は、貫通孔11の第3寸法L3より小さい。充填材14の奥行方向Yへの寸法は、貫通孔11の第3寸法L3に応じて耐火用に必要とされる寸法に設定されている。
【0021】
<挿入部材>
図3及び図4に示すように、挿入部材20は、屈曲部21と、挿入板部31と、接触板部41と、3つの突出板部51と、を有する。挿入部材20は、一枚の長四角形状の金属板材22を整形して形成されている。整形前の金属板材22は、一定の幅Hが一方向に連続する長四角形状である。幅Hが連続する一方向を挿入部材20の延出方向Fとする。挿入部材20は、幅Hが延出方向Fに連続する金属板材22を延出方向Fの途中で屈曲させることにより形成されている。なお、挿入部材20の幅Hは、第1寸法L1と同じ又は僅かに小さい。
【0022】
屈曲部21は、整形前の金属板材22を延出方向Fの途中で直角に屈曲させて形成されている。屈曲部21は、挿入板部31と接触板部41が交差する箇所である。したがって、挿入板部31と接触板部41は、金属板材22に屈曲部21を形成することで形成されるといえる。挿入板部31は、屈曲部21から延出方向Fに延出するとともに接触板部41は屈曲部21を基準として挿入板部31と反対方向に延出している。したがって、挿入部材20は、屈曲部21と、屈曲部21を基準として離間する方向に延出する挿入板部31及び接触板部41と、挿入板部31に一体の突出板部51と、を有している。
【0023】
挿入部材20の面に沿うとともに延出方向Fに直交する方向を挿入部材20の幅方向Kとすると、屈曲部21は挿入部材20の幅方向K全体に亘って設けられている。
挿入板部31を厚さ方向の外側から見ると、挿入板部31は四角形状である。挿入板部31を厚さ方向の外側から見ると、挿入板部31の長辺は延出方向Fに延びる。挿入板部31を厚さ方向の外側から見ると、挿入板部31の短辺は幅方向Kに延びる。挿入板部31は、厚さ方向の一方に外面32を有するとともに、厚さ方向の他方に内面33を有する。
【0024】
挿入板部31は、延出方向Fの屈曲部21寄りの基端31aと、延出方向Fに基端31aと反対の先端31bとを有する。挿入板部31の基端31aは、挿入板部31と屈曲部21とが交差している箇所である。延出方向Fの基端31aから先端31bまでの寸法は、延出方向Fへの挿入板部31の寸法である。延出方向Fへの挿入板部31の寸法は、防火区画壁Wの第3寸法L3と同じ又は略同じである。このため、挿入板部31は、奥行方向Yに沿って防火区画壁Wに掛け渡すことができるようになっている。貫通孔11の充填材設置構造では、挿入板部31の外面32は、第1孔画成面W1b及び第2孔画成面W2bに対向する。
【0025】
挿入板部31は、3つのスリット34を有する。3つのスリット34のうち、中央のスリット34は、挿入板部31の幅方向Kの中央に配置されている。3つのスリット34のうち、中央のスリット34を挟む2つのスリット34は、挿入板部31の幅方向Kの各端縁から同じ距離離れて配置されている。したがって、3つのスリット34は、挿入板部31の幅方向Kに偏ること無く配置されている。
【0026】
3つのスリット34は、幅方向Kに並んで配置されている。各スリット34は、挿入板部31を厚さ方向に貫通する。挿入板部31を厚さ方向の外側から見ると、各スリット34は略長四角形状である。各スリット34は、延出方向Fに直線状に延びる2つの第1スリット形成部34aと、2つの第1スリット形成部34aの一端同士を繋ぐ第2スリット形成部34bと、各第1スリット形成部34aの他端から幅方向Kに延びる第3スリット形成部34cとを有する。
【0027】
3つのスリット34の第2スリット形成部34bは、幅方向Kに一列に並んでいる。また、3つのスリット34の第3スリット形成部34cは、幅方向Kに一列に並んでいる。このため、3つのスリット34は、挿入板部31の延出方向Fでの位置が同じになっている。
【0028】
2つの第3スリット形成部34cは、後記する接続部54を挟んで幅方向Kに離れている。挿入板部31の延出方向Fの中央を基準とした場合、各スリット34の第3スリット形成部34cは、挿入板部31の基端31aよりも先端31bに近い位置に配置されている。
【0029】
接触板部41を厚さ方向の外側から見ると、接触板部41は四角形状である。接触板部41を厚さ方向の外側から見ると、接触板部41の長辺は幅方向Kに延びる。また、接触板部41を厚さ方向の外側から見ると、接触板部41の短辺は延出方向Fに延びる。接触板部41は、厚さ方向の一方に第1面42を有するとともに、厚さ方向の他方に第2面43を有する。挿入板部31の外面32と接触板部41の第1面42は連続するとともに直交する。同じく、挿入板部31の内面33と接触板部41の第2面43は連続するとともに直交する。貫通孔11の充填材設置構造では、接触板部41の外面としての第1面42は、第1壁面Waに接触する。
【0030】
3つの突出板部51の各々は、スリット34の内側に形成されている。3つの突出板部51のうち、中央の突出板部51は、挿入板部31の幅方向Kの中央に配置されている。3つの突出板部51のうち、中央の突出板部51を挟む2つの突出板部51は、挿入板部31の幅方向Kの各端縁から同じ距離離れて配置されている。したがって、3つの突出板部51は、挿入板部31の幅方向Kに偏ること無く配置されている。
【0031】
3つの突出板部51は構成が同じであるため、1つの突出板部51について詳細に説明するとともに、残りの2つの突出板部51についての詳細な説明は省略する。
挿入部材20は、突出板部51と挿入板部31とを繋ぐ接続部54を有する。この接続部54によって挿入板部31と突出板部51は一体に繋がっている。なお、3つのスリット34の第3スリット形成部34cは、幅方向Kに一列に並んでいるため、3つの接続部54も幅方向Kに一列に並んでいる。つまり、3つの接続部54は、挿入板部31の延出方向Fでの位置が同じである。
【0032】
接続部54は、金属板材22の部位のうち、2つの第3スリット形成部34cに挟まれた部位である。突出板部51を厚さ方向の外側から見ると、突出板部51は長四角形状である。突出板部51は、接続部54寄りの基端51aと、突出板部51の基端51aと反対側の先端51bと、を有する。突出板部51の長手方向の中央を基準とした場合、基端51aは先端51bよりも接続部54に近い位置にある。
【0033】
突出板部51は、厚さ方向の一方に第1接触面52を有するとともに、厚さ方向の他方に第2接触面53を有する。突出板部51の厚さは、挿入板部31の厚さと同じである。
突出板部51は、倒伏姿勢S1及び起立姿勢S2のいずれか一方の姿勢から他方の姿勢に塑性変形可能である。つまり、突出板部51は、倒伏姿勢S1から起立姿勢S2へ塑性変形可能であるとともに、起立姿勢S2から倒伏姿勢S1へ塑性変形可能である。
【0034】
倒伏姿勢S1は、挿入板部31の基端31aと先端31bとの間にて挿入板部31に沿って延出方向Fに突出板部51が延出する姿勢である。倒伏姿勢S1は、挿入板部31の外面32と、突出板部51の第1接触面52とが同一面上に位置し、かつ挿入板部31の内面33と、突出板部51の第2接触面53とが同一面上に位置する姿勢である。倒伏姿勢S1は、突出板部51がスリット34の内側に収まっている姿勢である。倒伏姿勢S1では、突出板部51の先端51b側が、挿入板部31の基端31a側を向いている。つまり、倒伏姿勢S1では、突出板部51の先端51bは、突出板部51の基端51aよりも屈曲部21に近い位置にある。
【0035】
図2に示すように、起立姿勢S2は、挿入板部31の内面33に対し、突出板部51の第1接触面52及び第2接触面53が直交する姿勢である。起立姿勢S2は、突出板部51がスリット34の外側に突出している姿勢である。起立姿勢S2の突出板部51は、挿入板部31の基端31aと先端31bとの間にて挿入板部31を切り起こすことで起立している。また、起立姿勢S2では、突出板部51は、挿入板部31を基準として接触板部41とは反対方向に突出して挿入板部31の内面33から起立している。
【0036】
突出板部51が起立姿勢S2に変位すると挿入板部31には開口部36が形成される。挿入板部31を厚さ方向の外側から見ると、開口部36は長四角形状である。挿入板部31を厚さ方向の外側から見ると、開口部36の長辺は延出方向Fに延びるとともに、開口部36の短辺は幅方向Kに延びる。
【0037】
挿入板部31の基端31aから、接続部54までの最短寸法を規定寸法Mとする。この規定寸法Mは、充填材設置構造において、貫通孔11の奥行方向Yに充填すべき充填材14の寸法と同じである。そして、規定寸法Mは、奥行方向Yの充填材14の寸法と同じである。このため、充填材14の前面14eを挿入板部31の基端31aに沿わせるとともに、充填材14の後面14fを突出板部51の第1接触面52に接触させることで、充填材設置構造で必要な充填材14の寸法が確保できる。
【0038】
図3及び図4に示すように、突出板部51は、第1孔55aと、第2孔55bと、第3孔55cと、を有する。第1孔55a、第2孔55b、及び第3孔55cは、突出板部51を厚さ方向に貫通する。突出板部51の基端51aから先端51bに向けて、第1孔55a、第2孔55b、及び第3孔55cの順序で並んでいる。突出板部51の短辺方向への第1孔55aの開口幅は、突出板部51の短辺方向への第2孔55bの開口幅より小さい。突出板部51の短辺方向への第2孔55bの開口幅は、突出板部51の短辺方向への第3孔55cの開口幅より小さい。したがって、第1孔55a、第2孔55b、及び第3孔55cのうち、第1孔55aの開口幅が最も小さく、第3孔55cの開口幅が最も大きい。
【0039】
突出板部51は、第1脆弱部56aと、第2脆弱部56bと、第3脆弱部56cと、を有する。第1脆弱部56aは、突出板部51の短辺方向に第1孔55aを挟む部位である。第2脆弱部56bは、突出板部51の短辺方向に第2孔55bを挟む部位である。第3脆弱部56cは、突出板部51の短辺方向に第3孔55cを挟む部位である。
【0040】
突出板部51は長辺方向に一定幅を有する。このため、突出板部51の短辺方向への第1脆弱部56aの寸法は、突出板部51の短辺方向への第2脆弱部56bの寸法より大きい。突出板部51の短辺方向への第2脆弱部56bの寸法は、突出板部51の短辺方向への第3脆弱部56cの寸法より大きい。したがって、第1脆弱部56a、第2脆弱部56b、及び第3脆弱部56cのうち、第1脆弱部56aの寸法が最も大きく、第3脆弱部56cの寸法が最も小さい。
【0041】
第1~第3脆弱部56a~56cは、突出板部51の他の部位に比べて、突出板部51の短辺方向への寸法が小さくなっている部位である。このため、第1~第3脆弱部56a~56cは、突出板部51の他の部位に比べて脆弱である。これにより、突出板部51は、第1~第3脆弱部56a~56cから折り曲げやすくなっている。したがって、突出板部51は、起立姿勢S2における突出板部51の長さを調節するために第1~第3脆弱部56a~56cを備えている。
【0042】
<充填材設置構造の詳細>
図1に示すように、防火区画壁Wには、複数の挿入部材20が設置されている。この実施形態では、重力方向Zの上下両側の各辺には、複数の挿入部材20が水平方向Xに並べて設置されている。また、水平方向Xの左右両端の各辺には、挿入部材20が1つずつ設置されている。全ての挿入部材20の各々は、接触板部41の外面としての第1面42が第1壁面Waに両面粘着テープを介して接触するように防火区画壁Wに設置されている。そして、防火区画壁Wに設置された複数の挿入部材20の挿入板部31によって貫通孔11内に枠体19が形成されるとともに、枠体19が防火区画壁Wに設置されている。
【0043】
図1及び図5に示すように、複数の挿入部材20の各々は、挿入板部31が貫通孔11に挿入されている。詳細には、複数の挿入部材20の各々は、第1壁孔W1aから第2壁孔W2aに向けて挿入されている。複数の挿入部材20の各々は、挿入板部31の全体が貫通孔11に挿入されている。
【0044】
複数の挿入板部31の外面32の各々は、第1孔画成面W1b及び第2孔画成面W2bに対向している。複数の挿入板部31の内面33の各々は、貫通孔11の内側を向いている。複数の挿入板部31の基端31aの各々は、第1壁面Waに沿って配置されている。複数の挿入板部31の先端31bの各々は、第2壁面Wbに沿って配置されている。このため、挿入板部31は、防火区画壁Wの奥行方向Yの全体に亘って掛け渡されている。
【0045】
複数の挿入部材20の接触板部41の第1面42の各々は、図示しない両面粘着テープによって防火区画壁Wの第1壁面Waに貼着されている。各挿入部材20は、両面粘着テープによって移動が規制されている。充填材設置構造を防火区画壁Wに設置する作業では、両面粘着テープは、挿入部材20を防火区画壁Wに仮止めする。
【0046】
図6及び図7に示すように、水平方向Xに並べられた挿入部材20同士は、挿入板部31の一部が重力方向Zに重なり合っている。水平方向Xの左端側に設置された挿入部材20の挿入板部31と、水平方向Xの右端側に設置された挿入部材20の挿入板部31には、水平方向Xの中央に設置された挿入部材20の挿入板部31が重なっている。水平方向Xの中央に設置された挿入板部31は、水平方向Xの両端側の挿入板部31に対し、倒伏姿勢S1の突出板部51に重なっている。
【0047】
水平方向Xの両端側に設置された挿入板部31の各々には、起立姿勢S2の突出板部51が設けられている。水平方向Xの左端側に設置された挿入板部31では、3つの突出板部51のうち、貫通孔11の水平方向Xの左端に最も近い突出板部51が起立姿勢S2にされている。水平方向Xの右端側に設置された挿入板部31では、3つの突出板部51のうち、貫通孔11の水平方向Xの右端に最も近い突出板部51が起立姿勢S2にされている。水平方向Xの中央に設置された挿入板部31では、3つの突出板部51の全てが起立姿勢S2とされている。したがって、起立姿勢S2とされた突出板部51は、挿入板部31の基端31aと先端31bとの間にて、貫通孔11内に向けて突出するように、挿入板部31を切り起こすことで挿入板部31の内面33から起立している。よって、起立姿勢S2とされた突出板部51は、枠体19内に向けて突出している。
【0048】
水平方向Xの中央に設置された挿入板部31では、3つの突出板部51のうち、水平方向Xの右端に最も近い突出板部51は第3脆弱部56cから折り曲げられている。3つの突出板部51のうち、水平方向Xの左端に最も近い突出板部51は、第2脆弱部56bから折り曲げられている。3つの突出板部51のうち、水平方向Xの中央に位置する突出板部51は、第1脆弱部56a及び第2脆弱部56bから折り曲げられている。このため、3つの突出板部51は重力方向Zへの寸法が異なっている。なお、起立姿勢S2の突出板部51の重力方向Zへの寸法を調節する場合、第1~第3脆弱部56a~56cを折り曲げるのではなく、切断してもよい。
【0049】
3つの突出板部51において、第1~第3脆弱部56a~56cによって突出板部51を折り曲げる方向は全て挿入板部31の先端31b側である。
水平方向Xの左右に設置された挿入部材20の各々は、挿入板部31の幅方向Kが重力方向Zに延びるように設置されている。水平方向Xの左右に設置された挿入部材20の各々では、全ての突出板部51が倒伏姿勢S1のままである。
【0050】
枠体19は、全ての挿入部材20の挿入板部31によって四角枠状に形成されている。枠体19によって、貫通孔11の周縁が補強されている。また、枠体19によって中空部Sの一部が覆われている。貫通孔11には、枠体19から複数の突出板部51が突出している。
【0051】
図1及び図5に示すように、枠体19の内側には複数の充填材14が充填されている。複数の充填材14の各々は、充填材14の厚さ方向に圧縮された状態で枠体19の内側に充填されている。また、各充填材14は、第1壁面Wa側から枠体19の内側に充填されている。つまり、各充填材14は、各挿入部材20の接触板部41側から枠体19の内側に充填されている。本実施形態では、各充填材14は、配線・配管材12の外面と挿入板部31の内面33との間であって、突出板部51よりも挿入板部31の基端31a側に充填されている。
【0052】
防火区画壁Wを第1壁面Wa側から見ると、充填材14の長辺は水平方向Xに延びるとともに、充填材14の短辺は重力方向Zに延びている。複数の充填材14は、水平方向Xに複数充填されるとともに、重力方向Zに複数充填されている。なお、枠体19の内側において、隙間が狭く充填材14をそのまま充填できない箇所には、所要の大きさに充填材14を切断して充填したり、耐火パテ15を充填したりする。
【0053】
充填材14の奥行方向Yへの寸法は、貫通孔11の第3寸法L3より小さい。また、充填材14の奥行方向Yへの寸法は、挿入板部31の基端31aから接続部54までの寸法と同じである。
【0054】
図8及び図9に示すように、枠体19の内側に充填された充填材14の後面14fは、起立姿勢S2にある突出板部51の第1接触面52に接触している。充填材14の前面14eは、挿入板部31の基端31aに沿って配置される。挿入板部31の基端31aは、第1壁面Waに沿って配置されている。このため、充填材14の前面14eは、防火区画壁Wの第1壁面Waに沿って配置される。
【0055】
図1及び図5に示すように、突出板部51に対する充填材14の接触により、突出板部51よりも奥へ充填材14が移動することが規制されている。充填材設置構造では、貫通孔11での挿入板部31の内面33と配線・配管材12の外面との間であって、起立姿勢S2の突出板部51よりも挿入板部31の基端31a側には複数の充填材14が充填されている。
【0056】
前記したように、挿入板部31の基端31aから、接続部54までの最短寸法である規定寸法Mは、充填材設置構造において、第1壁面Waから奥行方向Yに充填すべき充填材14の寸法と同じである。挿入板部31の基端31aは、第1壁面Waに沿った位置にある。このため、貫通孔11内に位置する接続部54、つまり起立姿勢S2にある突出板部51の位置は、充填材14の後面14fが位置すべき位置である。よって、突出板部51に対する充填材14の後面14fの接触により、充填材14は、貫通孔11内での奥行方向Yの決められた位置に留められる。
【0057】
図9に示すように、突出板部51を起立姿勢S2とすることにより、挿入板部31には開口部36が形成されている。この開口部36は、起立姿勢S2の突出板部51を基準として充填材14の充填された側に配置されている。このため、開口部36は、充填材14によって閉塞されている。
【0058】
本実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。
(1)充填材設置構造において、起立姿勢S2の突出板部51よりも挿入板部31の基端31a側には複数の充填材14が充填されている。複数の充填材14は、突出板部51に接触している。このため、充填材14を貫通孔11に挿入したとき、充填材14が突出板部51に接触することで、充填材14が貫通孔11内での決められた位置を越えて奥行方向Yに進入することを防止できる。つまり、充填材14を、貫通孔11内での奥行方向Yの決められた位置に留めることができる。このため、貫通孔11での奥行方向Yの決められた位置まで充填材14が充填されたかを把握できる。その結果として、貫通孔11の奥行方向Yの一端から他端に至るまで充填材14が充填されてしまうことをなくすことができるため、充填材14の無駄の発生を抑制できる。
【0059】
(2)充填材設置構造では、枠体19を形成する複数の挿入板部31のうち、水平方向Xに並ぶ挿入板部31から突出板部51が突出している。また、充填材設置構造では、枠体19の内側に複数の充填材14が充填されている。そして、複数の充填材14の各々が、起立姿勢S2の突出板部51に接触している。このため、全ての充填材14について、奥行方向Yの決められた位置まで充填材14が充填されたかを把握できる。
【0060】
(3)突出板部51を起立姿勢S2にすると、挿入板部31には開口部36が形成される。充填材14は、挿入板部31の基端31a側から充填されている。そして、突出板部51の接続部54は、挿入板部31の基端31aよりも先端31bに近い位置にある。このため、接続部54から突出板部51を起立させて、開口部36が形成されても、開口部36は突出板部51を挟んで充填材14の充填された側に形成されている。その結果、充填材14によって開口部36を閉塞できるため、開口部36から火炎や煙が洩れることを抑制できる。
【0061】
(4)突出板部51は、倒伏姿勢S1と起立姿勢S2とに変位できるように塑性変形可能である。このため、複数の挿入部材20の挿入板部31同士を重力方向Zに重ね合わせるとき、突出板部51を倒伏姿勢S1にすることで、挿入板部31同士を重ねるときの干渉を避けることができる。言い換えると、突出板部51が起立姿勢S2しか取れない挿入部材20と異なり、挿入部材20同士を重ねて設置することができる。
【0062】
(5)突出板部51は、倒伏姿勢S1と起立姿勢S2とに変位できるように塑性変形可能である。倒伏姿勢S1とする突出板部51を選択することで、挿入板部31同士を重ね合わせて設置するとき、挿入板部31同士を重ね合わせる量を調節できる。このため、複数の突出板部51を備える挿入部材20であっても、貫通孔11の寸法に応じて設置できる。
【0063】
(6)倒伏姿勢S1では、突出板部51の先端51bは、挿入板部31の基端31a側を向いている。このため、突出板部51を起立姿勢S2にすると、突出板部51は、充填材14の充填方向の奥に配置される。その結果、接触板部41側から充填材14を充填すると、充填方向の奥にある突出板部51に充填材14を接触させることができる。よって、起立姿勢S2の突出板部51によって、それ以上の充填材14の移動を規制できるとともに、突出板部51を起立させて形成された開口部36も閉塞できる。
【0064】
(7)第1~第3脆弱部56a~56cによって、突出板部51が折り曲げやすくなっているため、突出板部51の長さを調節する作業が行いやすい。よって、貫通孔11を貫通する配線・配管材12と、突出板部51とが干渉しないように、突出板部51の長さを調節する作業を容易にできる。
【0065】
(8)挿入部材20は、突出板部51を3つ備える。このため、充填材14に接触させるのに好ましい突出板部51を3つの中から選択できる。よって、充填材14の移動を突出板部51によって好適に規制できる。
【0066】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図10に示すように、重力方向Zに複数の挿入部材20を並べて設置してもよい。この場合、重力方向Zに並ぶ挿入部材20同士は、挿入板部31同士が水平方向Xに一部が重ねて設置される。また、重力方向Zに並べて設置された挿入部材20の各々では、突出板部51が起立姿勢S2にされている。
【0067】
水平方向Xに並ぶ複数の挿入部材20の各々では、挿入板部31の幅方向Kの中央の突出板部51が起立姿勢S2にされている。このようにすることで、全ての充填材14を突出板部51に接触させている。
【0068】
なお、重力方向Zに並ぶ挿入部材20のうち、1つの挿入部材20から突出板部51を起立姿勢S2にしてもよい。
要は、充填材14に接触して、充填材14の移動を規制できれば、起立姿勢S2にする突出板部51は適宜変更してもよい。
【0069】
○ 起立姿勢S2は、第1接触面52及び第2接触面53が内面33に直交する姿勢としたが、起立姿勢S2は、第1接触面52及び第2接触面53が内面33に直交していなく、傾斜していてもよい。
【0070】
○ 突出板部51を起立姿勢S2にする場合、第1~第3脆弱部56a~56cから切り起こしてもよい。この場合、切り起こした脆弱部が挿入板部31と突出板部51の接続部になる。
【0071】
図10の2点鎖線に示すように、挿入部材20は、起立姿勢S2の突出板部51に取着される拡張部材60を有していてもよい。拡張部材60は、突出板部51における充填材14への接触面を拡張させる。
【0072】
○ 挿入板部31の基端31aから先端31bまでの寸法は、貫通孔11の第3寸法L3より短くてもよい。又は、挿入板部31の基端31aから先端31bまでの寸法は、貫通孔11の第3寸法L3より長くてもよい。この場合、挿入板部31の先端31bは、第2壁面Wbから突出していてもよい。
【0073】
○ 充填材14は、挿入板部31の先端31b側から枠体19の内側に充填してもよい。この場合の充填材14の奥行方向Yへの寸法は、挿入板部31の先端31bから接続部54までの寸法に設定される。このように構成した場合、充填材14の後面14fは、突出板部51の第2接触面53に接触する。
【0074】
○ 充填材14は、起立姿勢S2とされた突出板部51を奥行方向Yの両側から挟むように、挿入板部31の基端31a側及び先端31b側の両側から枠体19の内側に充填してもよい。
【0075】
○ 複数のスリット34について、挿入板部31の延出方向Fでの位置を異ならせてもよい。つまり、複数の接続部54の位置を、挿入板部31の延出方向Fに異ならせてもよい。この場合、延出方向Fへの突出板部51の長さを異ならせてもよい。
【0076】
○ 挿入板部31に形成するスリット34の形状を変更してもよい。
○ 貫通孔11に対する挿入板部31の挿入方向は、水平方向Xに隣り合う挿入部材20同士で異ならせてもよい。
【0077】
○ 幅方向Kに並ぶ複数の突出板部51について、挿入板部31の基端31a寄りに突出板部51の基端51aが位置する突出板部51と、挿入板部31の先端31b寄りに突出板部51の基端51aが位置する突出板部51とを並設してもよい。
【0078】
○ 3つの突出板部51は、挿入板部31の幅方向Kのいずれか一端に偏るように配置されていてもよい。
○ 挿入板部31に設ける突出板部51は1つでもよいし、2つでもよい。
【0079】
○ 挿入板部31に設ける突出板部51は4つ以上でもよい。
○ 第1~第3脆弱部56a~56cによって突出板部51を折り曲げる方向は、挿入板部31の基端31a側でもよい。また、1つの挿入板部31に設けた3つの突出板部51の中で、基端31a側に折り曲げる突出板部51と、先端31b側に折り曲げる突出板部51とが混在していてもよい。
【0080】
○ 折り曲げた突出板部51によって、貫通孔11を貫通する配線・配管材12を直接下方から支えてもよい。
○ 貫通孔11を厚さ方向の外側から見て、貫通孔11は六角形状、五角形状、台形状であってもよい。そして、挿入部材20は、貫通孔11の各辺に1つ又は複数設置されていてもよい。
【0081】
○ 両面粘着テープはなくしてもよい。この場合、接触板部41の第1面42は防火区画壁Wの第1壁面Waに直接接触する。
○ 貫通孔11の大きさに応じて、防火区画壁Wに設置される挿入部材20の数を変更することにより、枠体19の大きさを変更してもよい。
【0082】
○ 防火区画体は防火区画床でもよいし、防火区画天井でもよい。
【符号の説明】
【0083】
F…延出方向、S1…倒伏姿勢、S2…起立姿勢、W…防火区画体としての防火区画壁、Wa…外面としての第1壁面、W1b…第1孔画成面、W2b…第2孔画成面、11…貫通孔、12…配線・配管材、14…充填材、19…枠体、20…挿入部材、21…屈曲部、22…金属板材、31…挿入板部、31a,51a…基端、31b,51b…先端、32…外面、33…内面、36…開口部、41…接触板部、42…外面としての第1面、51…突出板部、54…接続部、56a~56c…第1~第3脆弱部、60…拡張部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10