(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179035
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】歯面洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/00 20060101AFI20221125BHJP
A61C 17/022 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61C17/00 Z
A61C17/00 T
A61C17/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086260
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】502080704
【氏名又は名称】長田電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 彰人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】歯科治療において粉体混合気体を歯面に噴射して汚れを除去するための粉体混合気体を均一かつ連続的に生成する歯面洗浄装置を提供する。
【解決手段】歯面洗浄用の粉体を収容する粉体貯蔵タンク110、この粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体Aとを混合して粉体混合気体Mを生成する歯科治療用混合器具120、この歯科治療用混合器具に接続されて供給された粉体混合気体により歯面を洗浄する歯面洗浄用ハンドピース130、を備えた歯面洗浄装置100において、歯科治療用混合器具が、粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する円筒状混合室を形成した混合器本体と、粉体貯蔵タンクを着座させた混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入して粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブとを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯面洗浄用の粉体を収容する粉体貯蔵タンクと、該粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する歯科治療用混合器具と、該歯科治療用混合器具に接続されて供給された前記粉体混合気体により歯面を洗浄する歯面洗浄用ハンドピースと、を備えた歯面洗浄装置において、
前記歯科治療用混合器具が、前記粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する円筒状混合室を形成した混合器本体と、前記粉体貯蔵タンクを着座させた混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入して前記粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブと、を備えていることを特徴とする歯面洗浄装置。
【請求項2】
前記歯科治療用混合器具の混合器本体が、前記加圧気体供給源から供給される気体を前記混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向から噴射する気体導入孔部と、前記粉体混合気体を前記混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向へ導出する混合気体導出孔部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の歯面洗浄装置。
【請求項3】
前記歯科治療用混合器具の混合気体導出孔部が、前記円筒状混合室の下方位置に設けた気体導入孔部よりも前記円筒状混合室の上方位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の歯面洗浄装置。
【請求項4】
前記歯科治療用混合器具の混合気体導出孔部の孔径が、前記加圧気体供給源から供給される気体を噴射する気体導入孔部の孔径よりも大きいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の歯面洗浄装置。
【請求項5】
前記歯科治療用混合器具の混合調整バルブが、前記粉体貯蔵タンクに対して上下方向に位置決め調整自在に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項6】
前記粉体貯蔵タンクが、歯面洗浄用の粉体を収容する貯留タンク本体と、該貯留タンク本体の下端に設けた漏斗部材と、前記貯留タンク本体内に設けたインナープラグとを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項7】
前記粉体貯蔵タンクが、前記歯面洗浄用ハンドピースに粉体混合気体を送り込む歯科治療用混合器具に対して交換自在に装着されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項8】
前記粉体貯蔵タンクの漏斗部材が、前記歯科治療用混合器具と螺合して着脱自在となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項9】
前記粉体貯蔵タンクのインナープラグが、前記貯留タンク本体内に起立させた棒状のプラグ本体と、該プラグ本体の頂端に横設して前記貯留タンク本体の内壁に一体に固定された固定翼片と、前記プラグ本体の下端に周設した円錐状の粉体誘導ガイドと、前記プラグ本体の下端に摺動自在に突出するバルブと、前記プラグ本体に内蔵されて前記バルブをタンク外方へ向けて付勢するスプリングとで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項10】
前記粉体貯蔵タンクのインナープラグと漏斗部材とが、シールリングを介して封止されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項11】
前記粉体貯蔵タンクのインナープラグが、前記粉体貯蔵タンクの漏斗部材を着座させた前記歯科治療用混合器具の円筒状混合室内に同軸状に挿入した混合調整バルブの頂部の突き上げによって開栓自在になっていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【請求項12】
前記粉体貯蔵タンクの漏斗部材の孔奥行寸法が、前記漏斗部材の取出孔の径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療において粉体混合気体を歯面に噴射して汚れを除去する歯面洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯周病やインプラント周囲炎など、口腔内の細菌に由来するプラークや歯石などの汚染物の付着がもたらす歯肉、口腔粘膜の炎症性疾患は、天然歯やインプラント周囲の支持組織を破壊することでそれらの寿命を著しく低下させる。
そのため、歯科臨床では天然歯やインプラント体の表面に付着したこれらの汚染物を除去する治療法が広く行われている。
その治療法としては、「メンテナンス療法」、あるいはSPT(Supportive Periodontal(Periimplant) Therapy)として、歯科臨床では日常的に適用されており、天然歯やインプラント体の寿命が著しく延伸する効果が得られている。
【0003】
そして、このような口腔内にある汚染物の除去に関しては、通常の流水等による洗浄や、洗剤による効果は限定される。
その理由として、天然歯やインプラント体に付着した汚染物は強固に付着しており、一方、それに対する洗浄については、まず、ヒトの口腔内である以上は、流水等を用いる際は、口腔組織を損傷したり、呼吸を妨げたり、あるいは呼吸器や消化器官に悪影響を与えたりすることのないようにしなければならない。
このため、流水のみでは流水量と圧力を限定する必要があり、天然歯やインプラント体に付着した汚染を十分に除去する能力を単独で達成するのは困難である。
【0004】
次に、洗剤による洗浄についても、アルカリや酸などの化学薬品は洗剤としての効果は顕著であるが、人体に悪影響を与える薬品は使用できないため、その選択肢は限られる。
また、洗剤中にある生体毒性の比較的少ない洗剤でも、高濃度であるいは大量に使用することは避けなければならない。
【0005】
そのため、現在、歯科臨床において実践されている天然歯やインプラント体の表面からの汚染除去には、スケーラー、小型の回転ブラシ、あるいは、超音波振動子に接続したチップを用い、人の手で汚れをピンポイントで擦り落とす方法が用いられている。
しかし、天然歯やインプラント体表面における歯石は強固に付着しており、あるいは、歯石が歯肉縁下の歯周ポケット内にある場合は、スケーラーを用いた除去が困難である。
このような場合、切れ刃のあるチップを、術者が歯周ポケット内に挿入し、汚染面を掻爬して除去している。この除去作業は極めて手間がかかり時間を要する。
さらには、歯周ポケットが5mm以上と深い場合は、天然歯やインプラント体周囲の歯肉を剥離して掻爬する外科的手法が用いられることもあり、患者や術者に対する負担は極めて大きい。
【0006】
そのため、従来、歯面に付着された汚れを効果的に除去するための歯科用研磨剤吹き付け装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0007】
上述した歯科用研磨剤吹き付け装置は、粉末用タンクの吐出口の下に配置された混合チャンバーから供給される圧縮空気と研磨用の粉末との混合物からなる噴流を吐出するノズル装置を先端に有するハンドピースに対して連結され、粉末用タンクの吐出口の閉鎖位置に向かって付勢されることにより混合チャンバー内への粉末の吐出を阻止する閉鎖体を有する吐出バルブと、吐出バルブの閉鎖体に接続され、パルスにより閉鎖体を吐出口の閉鎖位置と吐出口の開放位置とに交互に移動させることにより、粉末用タンクから吐出された粉末と混合チャンバー内を通過する圧縮空気流とを混合させる駆動手段とを備え、吐出バルブの閉鎖体に接続された駆動手段のパルス周波数を選択することより、圧縮空気に混合する粉末の所望の量を決めるようになっている粉末用タンクを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した歯科用研磨剤吹き付け装置では、吐出バルブの閉鎖体に接続された駆動手段のパルス周波数を選択することより、圧縮空気に混合する粉末の所望の量を決めるようになっているため、パルス周波数の設定に要する複雑な発生機構の繊細な調整が極めて困難であり、このような調整が不十分な場合には粉末が細長の吐出口に詰まったり、パルス周波数によって粉末と気体とが断続的に混合されて粉末混合気体の混合割合が断続的に変化し、歯面に対する粉末混合気体の研磨剤吹き付けが不均一となって正確な研磨剤吹き付けが難しいという問題があった。
【0010】
さらに、上述した歯科用研磨剤吹き付け装置は、空になった粉末用タンクと歯科用の粉末が充填された新たな粉末用タンクとを交換できるが、粉末用タンクの吐出口は、常時、開口されたままであるため、新たな粉末用タンクの場合は、吐出口から粉末が漏出し、使用済みの粉末用タンクにおいてもタンク内に粉末が残留している場合には、同様にして吐出口から粉末が漏出し、歯科治療において歯面洗浄用の粉末を不用意に拡散させ歯科治療環境を著しく汚染し、この吐出口における粉末の漏出を抑制しようとすると、吐出口内に粉末が詰まり易くなって気体との均一な混合ができなくなるという二律背反した問題があり、その結果、粉末と気体とを混合した粉末混合気体をハンドピースに連続的に供給することが難しいという問題があった。
【0011】
また、上述した歯科用研磨剤吹き付け装置における粉末用タンクは、歯面洗浄用の粉末を収容する円筒状のタンク内部を備えているに過ぎず、このようなタンク内部では残留する粉末のブリッジ現象とも称する、粉末の凝り固まりが生じ易く、タンク下方の漏斗状部分に設けた吐出口内に粉末が詰まって気体との混合に支障をきたすという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、歯科治療において粉体混合気体を歯面に噴射して汚れを除去するための粉体混合気体を均一かつ連続的に生成する歯面洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、歯面洗浄用の粉体を収容する粉体貯蔵タンクと、該粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する歯科治療用混合器具と、該歯科治療用混合器具に接続されて供給された前記粉体混合気体により歯面を洗浄する歯面洗浄用ハンドピースと、を備えた歯面洗浄装置において、前記歯科治療用混合器具が、前記粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する円筒状混合室を形成した混合器本体と、前記粉体貯蔵タンクを着座させた混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入して前記粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブと、を備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記歯科治療用混合器具の混合器本体が、前記加圧気体供給源から供給される気体を前記混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向から噴射する気体導入孔部と、前記粉体混合気体を前記混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向へ導出する混合気体導出孔部とを有していることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記歯科治療用混合器具の混合気体導出孔部が、前記円筒状混合室の下方位置に設けた気体導入孔部よりも前記円筒状混合室の上方位置に設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記歯科治療用混合器具の混合気体導出孔部の孔径が、前記加圧気体供給源から供給される気体を噴射する気体導入孔部の孔径よりも大きいことを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記歯科治療用混合器具の混合調整バルブが、前記粉体貯蔵タンクに対して上下方向に位置決め調整自在に設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクが、歯面洗浄用の粉体を収容する貯留タンク本体と、該貯留タンク本体の下端に設けた漏斗部材と、前記貯留タンク本体内に設けたインナープラグとを備えていることを特徴としている。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクが、前記歯面洗浄用ハンドピースに粉体混合気体を送り込む歯科治療用混合器具に対して交換自在に装着されることを特徴としている。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクの漏斗部材が、前記歯科治療用混合器具と螺合して着脱自在となっていることを特徴としている。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクのインナープラグが、前記貯留タンク本体内に起立させた棒状のプラグ本体と、該プラグ本体の頂端に横設して前記貯留タンク本体の内壁に一体に固定された固定翼片と、前記プラグ本体の下端に周設した円錐状の粉体誘導ガイドと、前記プラグ本体の下端に摺動自在に突出するバルブと、前記プラグ本体に内蔵されて前記バルブをタンク外方へ向けて付勢するスプリングとで構成されていることを特徴としている。
【0022】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクのインナープラグと漏斗部材とが、シールリングを介して封止されていることを特徴としている。
【0023】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクのインナープラグが、前記粉体貯蔵タンクの漏斗部材を着座させた前記歯科治療用混合器具の円筒状混合室内に同軸状に挿入した混合調整バルブの頂部の突き上げによって開栓自在になっていることを特徴としている。
【0024】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載された歯面洗浄装置の構成に加えて、前記粉体貯蔵タンクの漏斗部材の孔奥行寸法が、前記漏斗部材の取出孔の径よりも小さいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明である歯面洗浄装置によれば、歯面洗浄用の粉体を収容する粉体貯蔵タンクと、この粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する歯科治療用混合器具と、この歯科治療用混合器具に接続されて供給された粉体混合気体により歯面を洗浄する歯面洗浄用ハンドピースとを備えていることにより、歯科治療において歯面洗浄用の粉体と気体とを混合した粉末混合気体を歯面に噴射して汚れを除去することができるばかりでなく、本願の発明に特有の装置構成によって、以下のような格別の作用効果を奏することができる。
【0026】
すなわち、請求項1に係る発明の歯面洗浄装置によれば、歯科治療用混合器具が、粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する円筒状混合室を形成した混合器本体を備えていることにより、混合器本体内の粉体と気体との混合領域が、粉体貯蔵タンク内における粉体の残量の直接的な影響を受けることのない粉体貯蔵タンクと独立した領域となるため、粉体貯蔵タンク内における粉体の残量が粉体混合気体の混合度合いに影響を及ぼすことなく、連続的かつ均一に混合させることができるとともに、粉体貯蔵タンクの粉体補充などの取り扱いも簡便に達成することができる。
【0027】
そして、歯科治療用混合器具が、粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する円筒状混合室を形成した混合器本体と、粉体貯蔵タンクを着座させた混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入して粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブとを備えていることにより、粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブが、粉体貯蔵タンクから混合器本体の円筒状混合室内へ自重沈降しようとする粉体を粉体貯蔵タンク内に一部突き出した混合調整バルブとの間に形成される環状の隙間に一時的に詰まらせた状態で滞留させ、この滞留させた粉体を加圧気体供給源から供給された気体で削り出し、これらの滞留と削り出しとを繰り返し誘発させ、その結果、粉体と気体との混合比、所謂、固気比が周期的に変化するため、粉体貯蔵タンクから削り出された粉体が加圧気体供給源から供給した気体中に間欠的かつ周期的に混入されて広範に拡散することになり、連続的かつ均一に混合させることができる。
【0028】
また、歯科治療用混合器具が、混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入されて粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブを備えていることにより、円錐台状の混合調整バルブが、粉体貯蔵タンクとの間に円環状の隙間を形成し、この円環状の隙間の全域にわたって粉体貯蔵タンクに収容された粉体の全重量が均一に分散負荷されるため、粉体貯蔵タンクから粉体同士が取り出せない程度に過度に凝り固まることを抑制することができる。
【0029】
請求項2に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、歯科治療用混合器具の混合器本体が、加圧気体供給源から供給される気体を混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向から噴射する気体導入孔部と、粉体混合気体を混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向へ導出する混合気体導出孔部とを有していることにより、混合器本体の円筒状混合室内において気体導入孔部から噴射された気体が外周側壁面に沿って周回して混合気体導出孔部へ流動する間に旋回流を発生させ、旋回流が混合調整バルブの円錐台状の部分の面に沿うことによって誘発された上昇流となって粉体貯蔵タンクから粉体を削り出し、削り出された粉体が気体に混合されるため、粉体と気体とを混合した粉体混合気体が連続的に生成され、粉体混合気体を歯面洗浄用ハンドピースに連続的に供給することができ、その結果、歯科治療において粉体混合気体を歯面に噴射して汚れを除去し、結果的に、歯科治療における歯面の洗浄性を向上することができる。
【0030】
加えて、歯科治療用混合器具の混合器本体が、加圧気体供給源から供給される気体を混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向から噴射する気体導入孔部と、粉体混合気体を混合器本体の円筒状混合室を形成する外周側壁面の接線方向へ導出する混合気体導出孔部とを有し、混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入されて粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブを備えていることにより、混合器本体の円筒状混合室内において気体導入孔部から噴射された気体が外周側壁面に沿って周回して混合気体導出孔部へ流動する間に旋回流を発生させ、この旋回流の流速が円錐台状の混合調整バルブ側の上方領域よりも外周側壁面側の下方領域で比較的速くなり、その結果、粉体のうち重いものであっても、外周側壁面側の下方領域で旋回流内に混入可能となるため、この円環状の隙間の全域にわたって粉体貯蔵タンクに収容された粉体の全重量が均一に分散負荷されるため、粉体相互の重量や粒径に多少のバラツキがあってもこれらを均一に混合させることができる。
【0031】
請求項3に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1または請求項2記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、歯科治療用混合器具の混合気体導出孔部が、円筒状混合室の下方位置に設けた気体導入孔部よりも円筒状混合室の上方位置に設けられていることにより、円筒状混合室内の下方位置から気体導入孔部を通して噴射された気体が円筒状混合室を形成する外周側壁面に沿って旋回流を発生する際に、この旋回流が円錐台状の混合調整バルブに沿って螺旋状に上昇しながら混合気体導出孔部に向かって流動し、その結果、この螺旋状に上昇する旋回流が、漏斗部材の近傍付近に一時滞留した粉体を円筒状混合室内へ削り取りながら円筒状混合室内で確実に分散して拡散させるため、加圧気体供給源から供給して噴射する気体に粉体を均一に混合させた粉体混合気体を混合気体導出孔部から継続的かつ確実に導出させることができる。
【0032】
請求項4に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項2または請求項3記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、歯科治療用混合器具の混合気体導出孔部の孔径が、加圧気体供給源から供給される気体を噴射する気体導入孔部の孔径よりも大きいことにより、混合気体導出孔部から導出する粉体混合気体の流速が、気体導入孔部から噴射された気体の流速に比べて遅くなり、その結果、円筒状混合室内における粉体と気体との混合に要する時間が充分に確保されるため、円筒状混合室内における粉体と気体をより均一かつ確実に混合させることができる。
【0033】
請求項5に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、歯科治療用混合器具の混合調整バルブが、粉体貯蔵タンクに対して上下方向に位置決め調整自在に設けられていることにより、粉体貯蔵タンクと混合調整バルブとの円環状の隙間の面積、すなわち、開口面積が調整可能となるため、旋回流によって粉体貯蔵タンクから混合器本体の円筒状混合室内に粉体を削り落とす際に、成分、形状などの異なった種々の粉体であっても粉体貯蔵タンクに滞ることなく円滑に削り落とすことができる。
【0034】
請求項6に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクが、歯面洗浄用の粉体を収容する貯留タンク本体と、この貯留タンク本体の下端に設けた漏斗部材と、貯留タンク本体内に設けたインナープラグとを備えていることにより、粉体貯蔵タンクが歯科治療用混合器具に装着して使用されるまでの保存や持ち運びの際には歯面洗浄用の粉体が貯留タンク本体に収容された状態でインナープラグによって外部に漏れ出すことなく封止され、歯科治療用混合器具に装着して使用する際には、歯面洗浄用の粉体が貯留タンク本体の下端に設けた漏斗部材から順次取り出すことができる。
【0035】
請求項7に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクが、歯面洗浄用ハンドピースに粉体混合気体を送り込む歯科治療用混合器具に対して交換自在に装着されることにより、歯面洗浄用ハンドピースに粉体混合気体を送り込むための歯科治療用混合器具に対して粉体貯蔵タンクを交換自在に装着して歯面洗浄用の粉体を簡便に供給することが可能になるため、歯科治療において歯面洗浄用の粉体を不用意に拡散させることなくクリーンな歯科治療環境を確保することができる。
【0036】
請求項8に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクの漏斗部材が、歯科治療用混合器具と螺合して着脱自在となっていることにより、粉体貯蔵タンクを歯科治療用混合器具に対して着脱させる際に、粉体貯蔵タンクの漏斗部材が歯科治療用混合器具に着座した状態で相互に螺着させ、粉体を粉体貯蔵タンクから歯科治療用混合器具に供給する際に、粉体貯蔵タンクの粉体が漏斗部材へ自重沈降するため、歯科治療用混合器具に対する粉体貯蔵タンクの着脱操作を簡便に達成するとともに、粉体貯蔵タンク内の全粉体を漏斗部材に確実かつ完全に移動させることができる。
【0037】
請求項9に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクのインナープラグが、貯留タンク本体内に起立させた棒状のプラグ本体と、このプラグ本体の頂端に横設して貯留タンク本体の内壁に一体に固定された固定翼片と、プラグ本体の下端に周設した円錐状の粉体誘導ガイドと、プラグ本体の下端に摺動自在に突出するバルブと、プラグ本体に内蔵されてバルブを付勢するスプリングとで構成されていることにより、インナープラグのプラグ本体に設けた固定翼片が貯留タンク本体の内壁に固定された状態で、インナープラグのプラグ本体内に設けたスプリングの弾性付勢力を介してインナープラグのバルブが漏斗部材を開閉し、インナープラグのプラグ本体に設けた固定翼片が貯留タンク本体内に残留する粉体のブリッジ現象とも称する、粉体の凝り固まりを分断し、プラグ本体に設けた円錐状の粉体誘導ガイドが漏斗部材を介して混合器本体の円筒状混合室内へ自重沈降しようとする粉体を漏斗部材の全周域に分散誘導するため、漏斗部材において粉体同士が取り出せない程度に過度に凝り固まることを抑制し、しかも、インナープラグが粉体貯蔵タンク内に常時存在し、粉体貯蔵タンクの使用時にインナープラグを別体で保管する必要もなく、粉体貯蔵タンクの使い勝手を格段に向上させることができる。
【0038】
請求項10に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクのインナープラグと漏斗部材とが、シールリングを介して封止されていることにより、粉体貯蔵タンクをインナープラグで閉塞する場合に漏斗部材とインナープラグとの間の嵌め合わせにおいて多少の芯ズレや装着ズレなどが生じていたとしてもシールリングが漏斗部材とインナープラグとの間で生じがちなズレを弾力的に吸収して封止機能を充分に発揮し、または、粉体貯蔵タンクからインナープラグを開栓する場合にシールリングが弾性変形して開栓し易くなるため、粉体貯蔵タンクを保存または持ち運びする際にはインナープラグが粉体貯蔵タンクの漏斗部材を確実に封止して粉体の漏出を防止し、粉体貯蔵タンクを歯科治療用混合器に装着する際には歯科治療用混合器具に対して過度の押圧負荷をかけることなく粉体貯蔵タンクを簡便に開栓することができる。
【0039】
請求項11に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクのインナープラグが、粉体貯蔵タンクの漏斗部材を着座させた歯科治療用混合器具の円筒状混合室内に同軸状に挿入した混合調整バルブの突き上げによって開栓自在になっていることにより、歯科治療用混合器具の円筒状混合室内における混合調整バルブの上下動によってインナープラグが開閉自在となるため、歯科治療用混合器具を装着した後でも、粉体貯蔵タンクの漏斗部材を閉栓可能となり、粉体貯蔵タンク内に残留する粉体の品質劣化を抑制することができる。
【0040】
請求項12に係る発明の歯面洗浄装置によれば、請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載の歯面洗浄装置が奏する効果に加えて、粉体貯蔵タンクの漏斗部材の孔奥行寸法が、漏斗部材の取出孔の径よりも小さいことにより、漏斗部材の孔奥行寸法が漏斗部材の取出孔の径よりも大きい場合に比べて、粉体貯蔵タンク内から粉体を取り出し易くなるため、粉体貯蔵タンクの漏斗部材から歯科治療用混合器具の円筒状混合室内に粉体を削り落とす際に、成分、形状などの異なった種々の粉体であっても粉体貯蔵タンクの漏斗部材に滞ることなく円滑に削り落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一実施形態である歯面洗浄装置の概要を示す斜視図。
【
図2】
図1に示す粉体貯蔵タンクおよび歯科治療用混合器具の組み立て分解図。
【
図3】
図1に示す粉体貯蔵タンクが装着された状態の歯科治療用混合器具の側面図。
【
図4】
図3におけるIV-IV線で矢視した断面図。
【
図7】
図3におけるVII-VII線で矢視した断面図。
【
図9】歯科治療用混合器具に対する粉体貯蔵タンクの装着手順を示す説明図。
【
図11A】円筒状混合室に旋回流を発生する前の状態の動作説明図。
【
図11B】円筒状混合室に旋回流を発生させた状態の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、歯面洗浄用の粉体を収容する粉体貯蔵タンクと、この粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する歯科治療用混合器具と、この歯科治療用混合器具に接続されて供給された粉体混合気体により歯面を洗浄する歯面洗浄用ハンドピースと、を備えた歯面洗浄装置において、歯科治療用混合器具が、粉体貯蔵タンクから取り出した粉体と外部の加圧気体供給源から供給した気体とを混合して粉体混合気体を生成する円筒状混合室を形成した混合器本体と、粉体貯蔵タンクを着座させた混合器本体の円筒状混合室内に同軸状に挿入して粉体貯蔵タンク内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブと、を備え、歯科治療において粉体混合気体を歯面に噴射して汚れを除去するための粉体混合気体を均一かつ連続的に生成することができるものであれば、その具体的な実施形態は、如何なるものであっても良い。
【0043】
ここで、本発明の歯面洗浄装置で用いる歯面洗浄用の粉体については、シリカや炭酸カルジウムやハイドロキシアパタイト、β-TCP(β-リン酸三カルシウム)などの顆粒、プラスチック粉、寒天粉体などが用いられるが、口腔内で使用する場合には、プラスチック粉、寒天粉体などが毒性などの安全性を担保する観点からより好ましい。
特に、寒天粉体を用いた場合には、洗浄保持剤や抗菌薬を添加することも容易で、消化管に入っても食品である寒天には為害作用はまず見られず、口腔内に残遺しても、温湯を与えればやがて溶解消失するため、口腔内では安全性が高く、十分に清浄効果が得られ、しかも対象物に何ら悪影響を及ぼさないという効果を奏することができる。
【0044】
そして、本発明の歯面洗浄装置に用いる粉体貯蔵タンクとしては、漏斗部材を混合器本体の円筒状混合室に対して同軸状に着座させることができるものであれば、混合器本体に対して固定するタイプのもの、あるいは、カートリッジ形式で交換自在に装着させるタイプのいずれであっても良い。
【0045】
また、外部の加圧気体供給源から供給する気体としては、空気、あるいは、空気以外の気体であっても良い。
【0046】
さらに、本発明の歯面洗浄装置に用いる歯面洗浄用ハンドピースとしては、歯科治療用混合器具に接続されて供給された粉体混合気体により歯面を洗浄することができるものであれば、如何なるものであっても何ら構わない。
【0047】
以下、図面を参照しながら、本発明の歯面洗浄装置に係る実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【実施形態】
【0048】
本発明の一実施例である歯面洗浄装置100について、
図1~
図12に基づいて説明すると、いかの通りである。
【0049】
<歯面洗浄装置100の全体概要>
まず、本実施例の歯面洗浄装置100は、歯科治療に用いるものであり、外部の加圧気体供給源(不図示)から供給した気体Aと粉体貯蔵タンク110から取り出した歯面研磨用の粉体Pが混合された粉体混合気体を吹き付けることによって天然歯やインプラント体の表面に付着した汚染物を除去するものである。
ここで、
図1は、本発明の一実施形態である歯面洗浄装置100の概要を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す粉体貯蔵タンク110および歯科治療用混合器具120の組み立て分解図である。
図3は、
図1に示す粉体貯蔵タンク110が装着された状態の歯科治療用混合器具120の側面図である。
【0050】
すなわち、本実施例の歯面洗浄装置100は、
図1~
図3に示すように、粉体貯蔵タンク110と、歯科治療用混合器具120と、歯科治療用混合器具120に接続されて歯面を洗浄する周知の歯面洗浄用ハンドピース130と、を備え、歯科治療用混合器具120によって生成された粉体混合気体Мを歯面洗浄用ハンドピース130に送出し、歯面洗浄用ハンドピース130を介して粉体混合気体Мを歯面に吹き付けるようになっている。
このような本実施例の歯面洗浄装置100は、術者によって使用し易い位置、例えば、複数の歯科用インスツルメントを備えた歯科治療ユニットのワークテーブル周辺に設置される。
【0051】
(1)粉体貯蔵タンク110の具体的構成について
粉体貯蔵タンク110の具体的構成について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
ここで、
図4は、
図3におけるIV-IV線で矢視した断面図である。
【0052】
まず、粉体貯蔵タンク110は、歯面洗浄用の粉体Pを収容する円筒状の貯留タンク本体111と、貯留タンク本体111の下端に設けた逆円錐状の漏斗部材112と、貯留タンク本体111内に設けたインナープラグ113と、貯留タンク本体111の上端開口を塞ぐ上部キャップ114とを備えている。
【0053】
そして、この貯留タンク本体111は、この上端部の外周面に上部キャップ114と螺着するネジ部111aが設けられ、下端部に漏斗部材112と嵌合する被嵌合部111bが設けられている。
さらに、貯留タンク本体111に設けられたネジ部111aの下端部周辺には、外周溝が形成され、この外周溝に上部キャップ114との隙間を封止するためのシールリングが嵌め込まれている。
【0054】
他方、被嵌合部111bは、漏斗部材112の嵌合部分112aaが内側に嵌め合わされるように貯留タンク本体111の開口下端から上方に貯留タンク本体111の内径を拡大して設けられている。
【0055】
また、前述した粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112は、柱状の大径嵌合部112aと、粉体Pの取り出し口となる取出孔112caが形成される端末側に大径嵌合部112aに比べて外径を小さくして大径嵌合部112aに連接した小径嵌合部112bとで構成されている。
【0056】
この大径嵌合部112aは、貯留タンク本体111の被嵌合部111bに相互に嵌合する嵌合部分112aaと、混合器本体121の固定用ネジ孔121aに螺着するネジ部分112abと、が設けられている。
【0057】
他方、小径嵌合部112bは、円筒状混合室Cの外周側壁面121c内に嵌入される部分であり、外周側壁面121cとの間の隙間を封止するためのシールリングが小径嵌合部112bの外周面に形成した溝に嵌め込まれている。
【0058】
そして、このような漏斗部材112には、貯留タンク本体111から粉体Pが流下される一端側から、粉体Pの取り出し口となる取出孔112caが形成された末端側まで漏斗状に貫通された粉体誘導部112cが設けられている。
この粉体誘導部112cは、粉体Pの流下方向上流側となる大径嵌合部112aの端面において最大径となり、粉体Pの取り出し口となる取出孔112caが形成された小径嵌合部112bの端面において最小径となっている。
【0059】
ここで、
図5に示すように、漏斗部材112の孔奥行寸法S1は、漏斗部材112の取出孔112caの径S2よりも小さく設けられている。
つまり、粉体誘導部112cの下端の最小径となる取出孔112caの深さは、浅めに設けられている。
【0060】
つぎに、前述した粉体貯蔵タンク110のインナープラグ113は、プラグ本体113aと固定翼片113bと粉体誘導ガイド113cとバルブ113dとスプリング113eとで構成されている。
【0061】
ここで、このプラグ本体113aは、棒状をなし、貯留タンク本体111内に起立した状態で配置されている。
このプラグ本体113aは、より具体的には、全体として筒状をなし、貯留タンク本体111内に起立した姿勢において、上端部が略円錐状の壁によって閉じられ、下端部が開口している。
【0062】
そして、固定翼片113bは、プラグ本体113aの頂端に横設して貯留タンク本体111の内壁に一体に固定されている。
すなわち、この固定翼片113bによって、プラグ本体113aが貯留タンク本体111内の所定の高さに固定されている。
なお、プラグ本体113aは、粉体Pの取り出し口となる取出孔112caが形成される下端部寄りの貯留タンク本体111内の高さ位置に固定されている。
【0063】
前述した粉体貯蔵タンク110の粉体誘導ガイド113cは、プラグ本体113aの下端に周設した円錐状の部分である。
【0064】
また、バルブ113dは、プラグ本体113aの下端に摺動自在に突出するようにプラグ本体113aの下端部開口に一部が差し込まれた状態でプラグ本体113aに保持されている。
このバルブ113dは、全体として円柱状をなし、下端部の外周面に形成された溝に取出孔112caとの間の隙間を封止するためのシールリング113daが嵌め込まれている。
【0065】
スプリング113eは、プラグ本体113aに内蔵されてバルブ113dを付勢する。
このスプリング113eは、プラグ本体113aの閉じられた上部内面に一端部を当接させ、他端部をバルブ113dに当接させた状態でバルブ113dを貯留タンク本体111の外方となる下方に向けて付勢している。
【0066】
(2)粉体貯蔵タンク110の組み立て手順について
本実施例における粉体貯蔵タンク110の組み立て手順について、
図6を参照しながら説明する。
ここで、
図6は、粉体貯蔵タンク110の組み立て手順を示した図である。
なお、粉体貯蔵タンク110の組み立ては、人手によって行うようにしても良いし、自動組立装置を用いて自動で組み立てるようにしても良い。
【0067】
まず、
図6(A)に示す貯留タンク本体111内の所定の位置に、インナープラグ113を固定する。
ここで、インナープラグ113は、
図6(B)に示すように、貯留タンク本体111の下端側からタンク内に差し込まれ、固定翼片113bを貯留タンク本体111の内壁に固着する。
この作業では、インナープラグ113のタンク内における取付け位置が、貯留タンク本体111の下端寄りであるため、インナープラグ113は、貯留タンク本体111の上端側からでなく、下端側からタンク内に差し込むようにしている。
【0068】
その後、
図6(C)に示すように、貯留タンク本体111に漏斗部材112を組み付ける。
ここで、漏斗部材112の粉体誘導部112cの上端から下端の取出孔112caを通してバルブ113dを通しつつ、漏斗部材112の嵌合部分112aaを貯留タンク本体111の被嵌合部111bに嵌合する。
そうすると、バルブ113dは、スプリング113eによって取出孔112caに向けて付勢された状態で、その下端部に設けされたシールリング113daを介して取出孔112caを封止する。
【0069】
その後、
図6(D)に示すように、貯留タンク本体111の上端部の開口から所定量の粉体Pを投入する。
ここで、貯留タンク本体111に投入された粉体Pは、取出孔112caに向けて流下するものの、バルブ113dによって取出孔112caが封止されているため、取出孔112caから粉体Pが漏れ出ることはない。
【0070】
最後に、
図6(E)に示すように、貯留タンク本体111の上端部に上部キャップ114を取り付けることによって粉体貯蔵タンク110の組み立てが完了する。
ここで、貯留タンク本体111の上端部に上部キャップ114が螺着されると、貯留タンク本体111のネジ部111aの下端部周辺に設けられたシールリングによって貯留タンク本体111の上端開口は、完全に封止される。
【0071】
(3)歯科治療用混合器具120の具体的構成
本実施例の歯面洗浄装置100が最も特徴とする歯科治療用混合器具120について、
図2~
図5、
図7および
図8を用いて、その具体的構成を説明する。
ここで、
図7は、
図3におけるVI-VI線で矢視した断面図である。
図8は、混合調整バルブ122の斜視図である。
図2、
図4および
図5に示すように、本実施例で用いた歯科治療用混合器具120は、粉体貯蔵タンク110から取り出した粉体Pと外部の加圧気体供給源(不図示)から供給した気体Aとを混合して粉体混合気体Mを生成する円筒状混合室Cを形成した混合器本体121と、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112を着座させた混合器本体121の円筒状混合室C内に同軸状に挿入して粉体貯蔵タンク110に形成された漏斗状の漏斗部材112内に一部突き出した状態で対向配置した円錐台状の混合調整バルブ122と、を備えている。
【0072】
図2に示すように、前述した歯科治療用混合器具120の混合器本体121は、全体としてブロック状をなし、粉体Pが収容される粉体貯蔵タンク110が上面側に装着されるようになっている。
この混合器本体121の上面には、例えば、歯面洗浄用ハンドピース130を保持するホルダ121hが設けられ、側面には、加圧気体供給源(不図示)から供給される加圧気体を誘導する加圧気体誘導管140、および、円筒状混合室C内で生成された粉体混合気体Mを歯面洗浄用ハンドピース130まで誘導する混合気体誘導管150のそれぞれが接続される2つの管接続部121f、121gが設けられている。
【0073】
そして、
図4および
図5に示すように、上記円筒状混合室Cは、粉体貯蔵タンク110とは独立した混合器本体121に設けられ、内周側壁面121b、および、内周側壁面121bの外側に設けられた外周側壁面121cによって円筒状に形成されている。
なお、内周側壁面121bは、混合調整バルブ122の後述する円錐台状部122aの周面によって構成されている。
一方、外周側壁面121cは、混合器本体121に円柱状の空間を構成する壁の面である。
【0074】
また、
図7に示すように、混合器本体121は、加圧気体供給源から供給される気体Aを混合器本体121の円筒状混合室Cを形成する外周側壁面121cの接線方向から噴射する気体導入孔部121dと、粉体混合気体Mを混合器本体121の円筒状混合室Cを形成する外周側壁面121cの接線方向へ導出する混合気体導出孔部121eとを有している。
【0075】
ここで、上記混合器本体121の気体導入孔部121dは、加圧気体供給源から供給される加圧気体を加圧気体誘導管140が接続される管接続部121f、121gから円筒状混合室Cに誘導する混合器本体121内の流路の一部を構成する孔であり、円筒状混合室Cの外周側壁面121cに形成されている。
この気体導入孔部121dは、円筒状混合室Cの下方位置に設けられている。
また、気体導入孔部121dは、加圧気体誘導管140が接続される管接続部121fから混合器本体121内に加圧気体を誘導する上流側の流路の直径に比して直径が小さく設定されている。つまり、気体導入孔部121dは、加圧気体供給源から供給される気体Aの流路を円筒状混合室Cに接続される前に直径を小さく絞って接続されている。
【0076】
他方、上記混合器本体121の混合気体導出孔部121eは、円筒状混合室Cから混合気体誘導管150に気体Aを誘導する混合器本体121内の流路の一部を構成する孔であり、円筒状混合室Cの外周側壁面121cに形成されている。
この混合気体導出孔部121eは、気体導入孔部121dよりも円筒状混合室Cの上方位置に設けられている。
また、混合気体導出孔部121eの孔径は、気体導入孔部121dの孔径よりも大きく設定されている。
【0077】
なお、本実施例では、気体導入孔部121dと混合気体導出孔部121eが形成される高さが異なるもの例示したが、気体導入孔部121dと混合気体導出孔部121eとを同じ高さに形成するようにしても構わない。
【0078】
つぎに、前述した歯科治療用混合器具120の混合調整バルブ122は、
図8に示すように、上部に円錐台状部122aが設けられると共に、円錐台状部122aの下方には、円柱状部122bが下端部まで連続して設けられている。
ここで、上記混合調整バルブ122の円錐台状部122aは、上述したように、周面が円筒状混合室Cの内周側壁面121bを構成している。この円錐台状部122aは、最大径となる下端の直径が外周側壁面121cの直径に比べて小さく設定されている。
【0079】
他方、円柱状部122bは、円錐台状部122aの下端周辺の円錐台状部122aとの連続部分の直径が外周側壁面121cの断面円の直径と略等しく、外周側壁面121cに対して摺動できる程度の嵌め合いに設定されている。
また、円柱状部122bは、外周側壁面121cとの嵌め合い部分に対して下方領域となる周面に外周側壁面121cの下部に形成されたネジ溝に螺合するネジ山が形成されている。
さらに、円柱状部122bの底面には、マイナスドライバなどが係合自在な溝122cが形成されている。
また、混合調整バルブ122には、円錐台状部122aの上端面から突出されて混合調整バルブ122の先端部分を構成する軸ピン122dが軸に沿って設けられている。
【0080】
このような混合調整バルブ122は、マイナスドライバ等を底面の溝122cに係合して軸中心に回転操作され、外周側壁面121cに沿って移動されることによって、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112に対して上下方向に位置決め調整自在になっている。
【0081】
(4)歯科治療用混合器具120に対する粉体貯蔵タンク110の装着手順について
本実施例で用いた歯科治療用混合器具120に対する粉体貯蔵タンク110の装着手順について、
図9、
図10A、および
図10Bを参照しながら説明する。
図9は、歯科治療用混合器具120に対する粉体貯蔵タンク110の装着手順を示す説明図である。
図10Aは、
図9(A)における漏斗部材112周辺の拡大図である。
図10Bは、
図9(B)に示した漏斗部材112周辺の拡大図である。
【0082】
例えば、歯科治療用混合器具120の混合器本体121に装着されている粉体貯蔵タンク110が空になり、新たな粉体貯蔵タンク110に交換する場合、空になった粉体貯蔵タンク110を混合器本体121から取り外した後、新たな粉体貯蔵タンク110を取り付ける。
【0083】
ここで、
図9(A)に示すように、新たな粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112の底面を混合調整バルブ122の固定用ネジ孔121aに向けた状態で、新たな粉体貯蔵タンク110を下降させ、軸中心に回転させることによって、
図9(B)に示すように、混合器本体121の固定用ネジ孔121aに漏斗部材112のネジ部分112abを螺着する。
これによって、粉体貯蔵タンク110が混合器本体121に固定される。
このようにして、粉体貯蔵タンク110が混合器本体121に固定されると、粉体貯蔵タンク110の大径嵌合部112aが混合器本体121の固定用ネジ孔121aに螺着され、粉体貯蔵タンク110の小径嵌合部112bが円筒状混合室Cの外周側壁面121cに沿って嵌入されると共に、小径嵌合部112bの外周面に形成されたシールリングによって円筒状混合室Cの外周側壁面121cとの間が封止される。
【0084】
また、新たな粉体貯蔵タンク110を混合器本体121に向けて下降させながら混合器本体121に装着する際、
図10Aに示すように、取出孔112caを封止するバルブ113dが、
図10Bに示すように、混合調整バルブ122の頂部、すなわち、軸ピン122dに突き当てられ、スプリング113eの弾性的な付勢力に抗して上方に移動される。
そうすると、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112と混合調整バルブ122との間に円環状の隙間Gが形成される。
なお、本実施例では、この円環状の隙間Gに粉体Pが詰るように設定されているため、粉体Pが円環状の隙間Gに一時的に詰まらせた状態で滞留される。
【0085】
このようにして、空になった粉体貯蔵タンク110を新たな粉体貯蔵タンク110に交換する作業が完了する。
【0086】
なお、この粉体貯蔵タンク110の具体的取り扱いの説明では、新たな粉体貯蔵タンク110を混合器本体121に装着する手順を説明したが、空になった粉体貯蔵タンク110を混合器本体121から取り外す場合はこの逆の手順を行う。
すなわち、混合器本体121の固定用ネジ孔121aに螺着された粉体貯蔵タンク110を軸中心に螺着が解除される方向に回転させながら上方に移動する。
すると、スプリング113eに付勢され、混合調整バルブ122の頂部に下端部を突き当てた状態のバルブ113dが、取出孔112caを封止する位置に向けて移動され、混合調整バルブ122の頂部が取出孔112ca外となる位置に離れると、バルブ113dによって取出孔112caが封止される。
【0087】
(5)歯科治療用混合器具120における粉体Pと気体Aとの混合動作について
本実施例で用いた歯科治療用混合器具120における粉体Pと気体Aとの混合動作について、
図1、
図7、
図11A、
図11Bおよび
図12を参照しながら説明する。
ここで、
図11Aは、円筒状混合室Cに旋回流を発生する前の状態の動作説明図である。
図11Bは、円筒状混合室Cに旋回流を発生させた状態の動作説明図である。
図12は、粉体Pと気体Aとの混合動作を示す説明図である。
【0088】
動作開始前の歯科治療用混合器具120は、
図11Aに示すように、セッティング状態において、粉体Pが収容された粉体貯蔵タンク110が混合器本体121に装着され、粉体Pが粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112内に一部突き出した混合調整バルブ122との間に形成される円環状の隙間Gに詰まった状態で滞留している。
他方、混合調整バルブ122は、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112に対して上下方向に位置決めされて配置されることによって、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112と混合調整バルブ122との円環状の隙間Gの面積が所望の大きさに調整されている。
そこで、このような歯科治療用混合器具120のセッティング状態において、術者によって歯科治療用混合器具120の動作開始の操作が行われると、
図1に示すように、加圧気体供給源から加圧気体誘導管140を通して混合器本体121に気体Aが供給開始される。
【0089】
そして、加圧気体供給源から混合器本体121に気体Aが供給開始されると、
図7に示すように、気体導入孔部121dから円筒状混合室C内に噴射される気体Aは、円筒状混合室Cを形成する外周側壁面121cの接線方向から噴射されるため、円筒状混合室C内に外周側壁面121cに沿って周回する旋回流が発生する。
ここで、気体導入孔部121dが、上流側の流路に比べて直径を絞って円筒状混合室Cに接続されているため、気体Aが流速を上げて円筒状混合室Cに導入される。
【0090】
次に、円筒状混合室C内に旋回流が発生すると、
図11B、
図12(A)、および
図12(B)に示すように、その旋回流が円環状の隙間Gに詰まった粉体P群の円環状に露出した下面に沿って周回することによって、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112から粉体Pを削り落とす。
そして、円筒状混合室C内に発生した旋回流が円環状の隙間Gに詰まった粉体Pを下方から削り落とし、粉体Pが削り落とされた部分に自重沈降した粉体Pが滞留し、この滞留した粉体Pが旋回流によって削り落とされるという動作が繰り返される。
【0091】
ところで、粉体貯蔵タンク110の下端部、すなわち漏斗部材112の周辺には粉体Pが押し固められた、いわゆる、ブリッジが発生することがある。
このブリッジは、ブリッジが発生していない状態の粉体Pが詰る位置に比べて漏斗部材112のより内方の位置に発生する。
このようなブリッジが発生した場合においても、旋回流が混合調整バルブ122の円錐台状部122aの周面に沿うと共に、気体Aの粘性によって上昇流が誘発され、漏斗部材112のより内方となる位置まで作用される。
このため、漏斗部材112のより内方となる位置まで作用した旋回流によって粉体Pのブリッジが削られて、ブリッジが崩壊され、その後、ブリッジが発生していない粉体Pと同様に、自重沈降した粉体Pが滞留し、この滞留した粉体Pが旋回流によって削り落とされるという動作が繰り返される。
【0092】
そして、旋回流によって気体A中に間欠的かつ周期的に削り出された粉体Pは、円筒状混合室Cに落下して気体Aと混合され、気体Aと粉体Pとが混合した粉体混合気体Mが、混合気体導出孔部121eに向かって流動し、混合気体導出孔部121eを通して歯面洗浄用ハンドピース130に送出される。
【0093】
<本実施例の歯面洗浄装置100が奏する作用効果について>
上述したような本実施例の歯面洗浄装置100が奏する作用効果は、以下のとおりである。
【0094】
(1)歯科治療用混合器具120は、混合器本体121内の粉体Pと気体Aとの混合領域が、粉体貯蔵タンク110内における粉体Pの残量の直接的な影響を受けることのない粉体貯蔵タンク110と独立した領域となることにより、粉体貯蔵タンク110内における粉体Pの残量が粉体混合気体Mの混合度合いに影響を及ぼすことなく、連続的かつ均一に混合させることができる。
【0095】
(2)歯科治療用混合器具120は、混合調整バルブ122が、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112から混合器本体121の円筒状混合室C内へ自重沈降しようとする粉体Pを漏斗部材112と混合調整バルブ122との間に形成される円環状の隙間Gに一時的に詰まらせた状態で滞留させ、この滞留させた粉体Pを加圧気体供給源から供給された気体Aで削り出し、これらの滞留と削り出しとを繰り返し誘発させる。
その結果、粉体Pと気体Aとの混合比、所謂、固気比が周期的に変化するため、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112から削り出された粉体Pが加圧気体供給源から供給した気体A中に間欠的かつ周期的に混入されて広範に拡散することになり、連続的かつ均一に混合させることができる。
【0096】
(3)上述した歯科治療用混合器具120は、混合調整バルブ122の円錐台状部122aが、粉体貯蔵タンクの漏斗部材112との間に円環状の隙間Gを形成し、この円環状の隙間Gの全域にわたって粉体貯蔵タンク110に収容された粉体Pの全重量が均一に分散負荷されることにより、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112において粉体P同士が取り出せない程度に過度に凝り固まることを抑制することができる。
【0097】
(4)歯科治療用混合器具120は、混合器本体121が気体導入孔部121dと混合気体導出孔部121eとを有していることにより、混合器本体121の円筒状混合室C内において気体導入孔部121dから噴射された気体Aが外周側壁面121cに沿って周回して混合気体導出孔部121eへ流動する間に旋回流を発生させ、旋回流が混合調整バルブ122の円錐台状部122aの周面に沿う上昇流となって粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112から粉体Pを削り出し、削り出された粉体Pが気体Aに混合され、粉体Pと気体Aとを混合した粉体混合気体Mを連続的に生成することができる。
【0098】
(5)この歯科治療用混合器具120では、混合器本体121の円筒状混合室C内において気体導入孔部121dから噴射された気体Aが外周側壁面121cに沿って周回して混合気体導出孔部121eへ流動する間に旋回流を発生させ、この旋回流の流速が円錐台状部122aの混合調整バルブ122側の上方領域よりも外周側壁面121c側の下方領域で比較的速くなっている。
その結果、粉体Pのうち重いものであっても、外周側壁面121c側の下方領域で旋回流内に混入可能となり、この円環状の隙間Gの全域にわたって粉体貯蔵タンク110に収容された粉体Pの全重量が均一に分散負荷されるため、粉体相互の重量や粒径に多少のバラツキがあってもこれらを均一に混合させることができる。
【0099】
(6)歯科治療用混合器具120は、円筒状混合室C内の下方位置から気体導入孔部121dを通して噴射された気体Aが混合調整バルブ122の円錐台状の部分に沿って螺旋状に上昇しながら混合気体導出孔部121eに向かって旋回流となって流動する。
その結果、この螺旋状に上昇する旋回流が、漏斗部材112の近傍付近に一時滞留した粉体Pを円筒状混合室C内へ削り取りながら円筒状混合室C内で確実に分散して拡散させるため、気体Aに粉体Pを均一に混合させた粉体混合気体Mを混合気体導出孔部121eから継続的かつ確実に導出させることができる。
【0100】
(7)前述した混合気体導出孔部121eの孔径が、気体導入孔部121dの孔径よりも大きいことにより、混合気体導出孔部121eから導出する粉体混合気体Mの流速を気体導入孔部121dから噴射された気体Aの流速に比べて遅くしている。
その結果、円筒状混合室C内における粉体Pと気体Aとの混合に要する時間が充分に確保され、円筒状混合室C内における粉体Pと気体Aをより均一かつ確実に混合させることができる。
【0101】
(8)歯科治療用混合器具120の混合調整バルブ122が、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112に対して上下方向に位置決め調整自在に設けられていることにより、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112と混合調整バルブ122との円環状の隙間Gの面積、すなわち、開口面積が調整可能となる。
このため、旋回流によって粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112から混合器本体121の円筒状混合室C内に粉体Pを削り落とす際に、成分、形状などの異なった種々の粉体Pであっても粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112に滞ることなく円滑に削り落とすことができる。
【0102】
(9)粉体貯蔵タンク110が、貯留タンク本体111と漏斗部材112とインナープラグ113とを備えていることにより、粉体貯蔵タンク111が歯科治療用混合器具120に装着して使用されるまでの保存や持ち運びの際には歯面洗浄用の粉体Pが貯留タンク本体111に収容された状態でインナープラグ113によって外部に漏れ出すことなく封止され、歯科治療用混合器具120に装着して使用する際には、歯面洗浄用の粉体Pが貯留タンク本体111の漏斗部材12から順次取り出すことができる。
【0103】
(10)粉体貯蔵タンク110は、歯科治療用混合器具120に対して交換自在に装着されていることにより、歯科治療用混合器具120に対して粉体貯蔵タンク110を交換自在に装着して歯面洗浄用の粉体Pを簡便に供給することができる。
【0104】
(11)粉体貯蔵タンク110は、この漏斗部材112が、歯科治療用混合器具120と螺合して着脱自在となっていることにより、粉体貯蔵タンク110を歯科治療用混合器具120に対して着脱させる際に歯科治療用混合器具120に対する粉体貯蔵タンク110の着脱操作を簡便に達成することができる。
【0105】
(12)粉体貯蔵タンク110にインナープラグ113を設けたことにより、このインナープラグ113に設けた固定翼片113bが貯留タンク本体111の内壁に固定された状態で、インナープラグ113内に設けたスプリング113eの弾性付勢力を介してインナープラグ113が漏斗部材112を開閉し、インナープラグ113に設けた固定翼片113bが貯留タンク本体111内に残留する粉体Pのブリッジ現象とも称する、粉体Pの凝り固まりを分断し、インナープラグ113の粉体誘導ガイド113cが漏斗部材112を介して混合器本体121の円筒状混合室C内へ自重沈降しようとする粉体Pを漏斗部材112の全周域に分散誘導する。
このため、漏斗部材112において粉体同士が取り出せない程度に過度に凝り固まることを抑制し、しかも、インナープラグ113が粉体貯蔵タンク110内に常時存在し、粉体貯蔵タンク110の使用時にインナープラグ113を別体で保管する必要もなく、粉体貯蔵タンク110の使い勝手を格段に向上させることができる。
【0106】
(13)インナープラグ113と漏斗部材112とは、シールリング113daを介して封止されていることにより、粉体貯蔵タンク110をインナープラグ113で閉塞する場合に漏斗部材112とインナープラグ113との間の嵌め合わせにおいて多少の芯ズレや装着ズレなどが生じていたとしてもシールリング113daが漏斗部材112とインナープラグ113との間で生じがちなズレを弾力的に吸収して封止機能を充分に発揮する。
または、粉体貯蔵タンク110からインナープラグ113を開栓する場合にシールリング113daが弾性変形して開栓し易くなる。
このため、粉体貯蔵タンク110を保存または持ち運びする際にはインナープラグ13が粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112を確実に封止して粉体Pの漏出を防止し、粉体貯蔵タンク110を歯科治療用混合器具120に装着する際には歯科治療用混合器具120に対して過度の押圧負荷をかけることなく粉体貯蔵タンク110を簡便に開栓することができる。
【0107】
(14)粉体貯蔵タンク110のインナープラグ113は、混合調整バルブ122の突き上げによって開栓自在になっていることにより、歯科治療用混合器具120の円筒状混合室C内における混合調整バルブ122の上下動によってインナープラグ113が開閉自在となるため、歯科治療用混合器具120を装着した後でも、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112を閉栓可能となり、粉体貯蔵タンク110内に残留する粉体の品質劣化を抑制することができる。
【0108】
(15)粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112の孔奥行寸法が、漏斗部材112の取出孔112caの径S2よりも小さいことにより、漏斗部材112の孔奥行寸法S1が漏斗部材112の取出孔の径S2よりも大きい場合に比べて、粉体貯蔵タンク110内から粉体Pを取り出し易くなる。
このため、粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112から歯科治療用混合器具120の円筒状混合室C内に粉体Pを削り落とす際に、成分、形状などの異なった種々の粉体Pであっても粉体貯蔵タンク110の漏斗部材112に滞ることなく円滑に削り落とすことができる。
【0109】
以上、本発明に係る歯面洗浄装置の一実施例を用いて説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0110】
100 ・・・ 歯面洗浄装置
110 ・・・ 粉体貯蔵タンク
111 ・・・ 貯留タンク本体
111a ・・・ ネジ部
111b ・・・ 被嵌合部
112 ・・・ 漏斗部材
112a ・・・ 大径嵌合部
112aa・・・ 嵌合部分
112ab・・・ ネジ部分
112b ・・・ 小径嵌合部
112c ・・・ 粉体誘導孔
112ca・・・ 取出孔
113 ・・・ インナープラグ
113a ・・・ プラグ本体
113b ・・・ 固定翼片
113c ・・・ 粉体誘導ガイド
113d ・・・ バルブ
113da・・・ シールリング
113e ・・・ スプリング
114 ・・・ 上部キャップ
120 ・・・ 歯科治療用混合器具
121 ・・・ 混合器本体
121a ・・・ 固定用ネジ孔
121b ・・・ 内周側壁面
121c ・・・ 外周側壁面
121d ・・・ 気体導入孔部
121e ・・・ 混合気体導出孔部
121f ・・・ 管接続部
121g ・・・ 管接続部
122 ・・・ 混合調整バルブ
122a ・・・ 円錐台状部
122b ・・・ 円柱状部
122c ・・・ 溝
122d ・・・ 軸ピン
130 ・・・ 歯面洗浄用ハンドピース
140 ・・・ 加圧気体誘導管
150 ・・・ 混合気体誘導管
C ・・・ 円筒状混合室
G ・・・ 円環状の隙間
P ・・・ 粉体
A ・・・ 気体
M ・・・ 粉末混合気体
S1 ・・・ 孔奥行寸法
S2 ・・・ 取出孔の径