(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179065
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】シート電気抵抗測定器
(51)【国際特許分類】
G01R 1/06 20060101AFI20221125BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20221125BHJP
G01R 27/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01R1/06 E
G01R1/073 F
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086307
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】尾形 健太
【テーマコード(参考)】
2G011
2G028
【Fターム(参考)】
2G011AA01
2G011AA13
2G011AA14
2G011AB01
2G011AB08
2G011AC14
2G011AE00
2G028BC01
2G028CG02
2G028HN11
2G028KQ04
(57)【要約】
【課題】シートを筐体の隙間に差し込むことのみでシートを電極と接触させる場合と比較し、シートのしわの発生を抑制する。
【解決手段】シート電気抵抗測定器10は、シートPが差し込まれた隙間14が形成された筐体12と、筐体12に設けられ隙間14に差し込まれたシートPを引き込む引込部100と、筐体12に設けられシートPの先端部PAを停止用検知センサー30が検知すると引込部100による引き込みを停止する制御装置160と、筐体12に設けられ停止したシートPが接触しシートPの電気抵抗を測定する一対の第一回転ローラ120と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが差し込まれる隙間が形成された筐体と、
前記筐体に設けられ、前記隙間に差し込まれた前記シートを引き込む引込部と、
前記筐体に設けられ、前記引込部による前記シートの引き込みを停止する停止手段と、
前記筐体に設けられ、停止した前記シートが接触し、前記シートの電気抵抗を測定する一対の電極と、
を備えたシート電気抵抗測定器。
【請求項2】
前記筐体に設けられ、前記隙間に差し込まれた前記シートを検知し、前記引込部による前記シートの引き込みを開始する開始手段を有する、
請求項1に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項3】
前記停止手段は、
引き込んだ前記シートの先端部を検知した検知結果に基づいて、前記引込部の引き込みを停止する、
請求項1又は請求項2に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項4】
前記停止手段は、
前記引込部から奥側に送られた前記シートの先端部を検知して、前記引込部の引き込みを停止する、
請求項3に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項5】
前記引込部は、前記シートの両面を挟む一対の回転体を有している、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項6】
前記引込部は、前記シートの両面を挟む一対の回転体を有し、
前記停止手段は、前記回転体の回転負荷を検知した検知結果に基づいて、前記回転体の回転を停止する、
請求項1又は請求項2に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項7】
一対の前記回転体が、回転軸方向又は引き込み方向に間隔をあけて配置され、
前記回転体が前記電極の機能を兼ねている、
請求項5又は請求項6に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項8】
前記回転体は、回転ローラである、
請求項5~請求項7のいずれか1項に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項9】
前記回転体は、複数のロールに掛け渡された回転ベルトである、
請求項5~請求項7のいずれか1項に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項10】
一対の前記回転体の一方は回転ローラであり、他方は複数のロールに掛け渡された回転ベルトである、
請求項5~請求項7のいずれか1項に記載のシート電気抵抗測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート電気抵抗測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4端子法を用いて薄膜のシート抵抗測定を行う際に用いる測定用端子と、この測定端子を用いた測定リードに関する技術が開示されている。この先行技術では、測定用端子は、測定した電圧値を電流値で除したものと薄膜のシート抵抗値とが等しくなるように4本の測定用端子位置を固定してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートの電気抵抗を測定するシート電気抵抗測定器において、シートを隙間に差し込んで測定器の奥に突き当てて位置決めする構成の場合、シートを差し込み過ぎると、例えば、シートにしわ又は折れ等が生じ、電気抵抗の測定精度が低下する虞がある。
【0005】
シートを筐体の隙間に差し込むことのみでシートを電極と接触させる場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、シートが差し込まれる隙間が形成された筐体と、前記筐体に設けられ、前記隙間に差し込まれた前記シートを引き込む引込部と、前記筐体に設けられ、前記引込部による前記シートの引き込みを停止する停止手段と、前記筐体に設けられ、停止した前記シートが接触し、前記シートの電気抵抗を測定する一対の電極と、を備えたシート電気抵抗測定器である。
【0007】
第二態様は、前記筐体に設けられ、前記隙間に差し込まれた前記シートを検知し、前記引込部による前記シートの引き込みを開始する開始手段を有する、第一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0008】
第三態様は、前記停止手段は、引き込んだ前記シートの先端部を検知した検知結果に基づいて、前記引込部の引き込みを停止する、第一態様又は第二態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0009】
第四態様は、前記停止手段は、前記引込部から奥側に送られた前記シートの先端部を検知して、前記引込部の引き込みを停止する、第三態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0010】
第五態様は、前記引込部は、前記シートの両面を挟む一対の回転体を有している、第一態様~第四態様のいずれか一態様に記載のシート電気抵抗測定器。
【0011】
第六態様は、前記引込部は、前記シートの両面を挟む一対の回転体を有し、前記停止手段は、前記回転体の回転負荷を検知した検知結果に基づいて、前記回転体の回転を停止する、第一態様又は第二態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0012】
第七態様は、一対の前記回転体が、回転軸方向又は引き込み方向に間隔をあけて配置され、前記回転体が前記電極の機能を兼ねている、第五態様又は第六態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0013】
第八態様は、前記回転体は、回転ローラである、第五態様~第七態様のいずれ一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0014】
第九態様は、前記回転体は、複数のロールに掛け渡された回転ベルトである、第五態様~第七態様のいずれか一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0015】
第十態様は、一対の前記回転体の一方は回転ローラであり、他方は複数のロールに掛け渡された回転ベルトである、第五態様~第七態様のいずれか一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【発明の効果】
【0016】
第一態様のシート電気抵抗測定器によれば、シートを筐体の隙間に差し込むことのみでシートを電極と接触させる場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0017】
第二態様のシート電気抵抗測定器によれば、引込部によるシートの引き込みの開始を手動で行う場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0018】
第三態様のシート電気抵抗測定器によれば、引き込んだシートの後端部を検知する場合と比較し、シートの引き込み量を少なくできる。
【0019】
第四態様のシート電気抵抗測定器によれば、引込部の手前でシートの先端部を検知する場合と比較し、シートの停止位置のばらつきを小さくできる。
【0020】
第五態様のシート電気抵抗測定器によれば、シートの一方の面に接触する回転体のみを有している場合と比較し、引き込み時のシートのしわの発生を抑制することができる。
【0021】
第六態様のシート電気抵抗測定器によれば、検知部材でシートを検知して停止する場合と比較し、部品点数を削減することができる。
【0022】
第七態様のシート電気抵抗測定器によれば、回転体とは別に電極を設ける場合と比較し、部品点数を削減することができる。
【0023】
第八態様のシート電気抵抗測定器によれば、回転体が複数のローラに掛け渡された回転ベルトの場合と比較し、部品数を削減することができる。
【0024】
第九態様のシート電気抵抗測定器によれば、回転体が回転ローラである場合と比較し、シートとの接触面積を大きくすることができる。
【0025】
第十態様のシート電気抵抗測定器によれば、一対の回転体が、回転ローラ又は回転ベルトのいずれか一方で構成されている場合と比較し、部品数を削減しつつ、シートとの接触面積を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】(A)は第一実施形態のシート電気抵抗測定器を回転軸方向から見た側面図であり、(B)は平面図である。
【
図3】第一実施形態のシート電気抵抗測定器のブロック図である。
【
図4】第一実施形態のシート電気抵抗測定器の制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図5】第二実施形態のシート電気抵抗測定器を回転軸方向から見た側面図であり、(A)はシート厚が薄い場合の図であり、(B)はシート厚が厚い場合の図である。
【
図6】(A)は第三実施形態のシート電気抵抗測定器を回転軸方向から見た側面図であり、(B)は平面図である。
【
図7】第三実施形態のシート電気抵抗測定器のブロック図である。
【
図8】第三実施形態のシート電気抵抗測定器の制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。
【0028】
[構造]
先ずシート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0029】
図1に示すシート電気抵抗測定器10は、用紙等のシートPの電気抵抗を測定する測定器である。
図1及び
図2(A)に示すように、シート電気抵抗測定器10は、シートPが差し込まれる隙間14が形成された筐体12を有している。筐体12は、第一筐体20と、第二筐体22と、これら第一筐体20及び第二筐体22の端部同士を接合する接合部21と、を有して構成されている。なお、シート電気抵抗測定器10の筐体12における第一筐体20と第二筐体22との間が前述した隙間14である。
【0030】
また、シートPの差し込み方向及び後述する引込部100の引き込み方向をF方向とし、矢印Fで示している。また、筐体12におけるF方向の上流側を手前側とし、F方向の下流側奥側とする。
【0031】
図2(A)及び
図2(B)に示すように筐体12には、隙間14(
図1及び
図2(A)参照)に差し込まれたシートPを引き込む引込部100が設けられている。引込部100には、シートPの両面を挟む回転ローラ対110が設けられている。回転ローラ対110は第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130(
図2(A)参照)で構成されている。第一回転ローラ120は第一筐体20に設けられ、第二回転ローラ130(
図2(A)参照)は第二筐体22(
図2(A)参照)に設けられている。
【0032】
また、第一回転ローラ120は導電性であり、第二回転ローラ130(
図2(A))は絶縁性である。また、第一回転ローラ120の回転軸122は導電性であるが、第二回転ローラ130の回転軸132は導電性でも絶縁性でもよい。
【0033】
図2(B)に示すように、回転ローラ対110は、回転軸122、132方向に間隔をあけて二つ設けられている。
【0034】
図2(A)及び
図2(B)に示す回転ローラ対110、すなわち第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130(
図2(A)参照)は、図示されていないモータ及びギヤ等を有する回転駆動機構150(
図3参照)によって回転するように構成されている。
【0035】
なお、回転駆動機構150(
図3参照)は、
図2(A)に示す回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130を順回転(矢印J方向)及び逆回転(矢印G方向)の両方向に回転させることが可能となっている。
【0036】
シート電気抵抗測定器10は、シートPの先端部PAを検知する停止用検知センサー30及び開始用検知センサー32を有している。停止用検知センサー30は、隙間14(
図2(A)参照)における引込部100の奥側でシートPの先端部PAを検知するように設けられている。開始用検知センサー32は、隙間14における引込部100の手前側でシートPの先端部PAを検知するように設けられている。
【0037】
図3に示すように、シート電気抵抗測定器10は、制御装置160を有している。制御装置160には、前述した回転駆動機構150、停止用検知センサー30及び開始用検知センサー32が電気的に接続されている。また、制御装置160には、二つの導電性の第一回転ローラ120が回転軸122(
図2参照)を介して電気的に接続されている。
【0038】
制御装置160のハードウェア構成は、図示していないCPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータによって構成されている。
【0039】
図4に示すように、制御装置160は、機能的には、測定部162、停止制御部164、開始制御部166及び駆動制御部168を有している。測定部162は、シートPに接触している二つの第一回転ローラ120(
図2参照)の間の電気抵抗を測定する。停止制御部164は、停止用検知センサー30(
図2及び
図3参照)の検知信号が入力されると回転駆動機構150の駆動の停止を駆動制御部168に指示する。開始制御部166は、開始用検知センサー32の検知信号が入力されると回転駆動機構150の駆動の開始を駆動制御部168に指示する。駆動制御部168は、回転駆動機構150(
図3参照)を制御する。
【0040】
[シートの電気抵抗の測定方法]
次に、シートPの電気抵抗の測定方法について説明する。
【0041】
図1に示すように、測定者Sがシート電気抵抗測定器10の筐体12の隙間14にシートPを手前側から奥側に差し込む。
【0042】
図2(A)に示すように、隙間14に差し込まれたシートPの先端部PAを引込部100の手前側で開始用検知センサー32が検知すると、制御装置160は回転駆動機構150(
図3参照)を制御し、引込部100の二組の回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130を順回転(矢印J方向)させて、シートPを奥側に引き込む。
【0043】
引込部100によって引き込まれたシートPが引込部100の奥側に送られて、引込部100を通過した先端部PAを停止用検知センサー30が検知すると、制御装置160は回転駆動機構150(
図3参照)を制御し、引込部100の二組の回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130の回転を停止する(
図2(A)の想像線(二点鎖線)のシートPを参照)。
【0044】
シートPが停止すると、制御装置160(
図3参照)は、二つの第一回転ローラ120に接触しているシートPの二つの第一回転ローラ120の間の電気抵抗を測定する(
図2(B)を参照)。なお、本実施形態では、制御装置160(
図3参照)は、二つの第一回転ローラ120の間のシートPの表面抵抗を測定する。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0045】
なお、本実施形態では、制御装置160(
図3を参照)は、図示していない表示部に測定結果を表示した後、設定時間が経過すると、回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130を逆回転(矢印G方向)させ、シートPを手前側に送り出すようになっている。
【0046】
[作用]
次に、本実施形態のシート電気抵抗測定器10の作用について説明する。
【0047】
本実施形態のシート電気抵抗測定器10では、隙間14に差し込まれたシートPを引込部100の回転ローラ対110が回転して奥側に引き込み、停止用検知センサー30が先端部PAを検知すると、引込部100の引き込みが自動的に停止する。シートPが停止すると、電極として機能する二つの第一回転ローラ120がシートPの電気抵抗を測定する。
【0048】
したがって、シートPを筐体12の隙間14に差し込むことのみでシートPを電極と接触させる場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0049】
また、停止用検知センサー30が引き込んだシートPの先端部PA以外、例えば後端部を検知して停止する場合と比較し、シートPの引き込み量を少なくできる。
【0050】
また、停止用検知センサー30が、引込部100の手前でシートPの先端部PAを検知して予め定めた経過時間後に回転ローラ対110を停止する場合と比較し、シートPの停止位置のばらつきを小さくできる。
【0051】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10では、隙間14に差し込まれたシートPの先端部PAを引込部100の手前側で開始用検知センサー32が検知すると、引込部100の回転ローラ対110が回転を介してシートPを奥側に引き込む。
【0052】
よって、引込部100によるシートPの引き込みの開始を手動で行う場合と比較し、例えば、シートPを差し込み過ぎで回転ローラ対110に強く当たること等によるシートPのしわの発生を抑制することができる。
【0053】
本実施形態のシート電気抵抗測定器10では、引込部100の回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130がシートPの両面を挟んで引き込む。
【0054】
よって、シートの一方の面に接触する回転体のみでシートPを引き込む場合と比較し、引き込み時のシートPのしわの発生を抑制することができる。
【0055】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。
【0056】
また、本実施形態では、二つの第一回転ローラ120がシートPを引き込む機能とシートPの電気抵抗を測定する電極の機能との二つを有している。よって、第一回転ローラ120とは別に電極を設ける場合と比較し、部品点数を削減することができる。
【0057】
また、回転ローラ対110以外の回転体、例えば複数のロールの掛け渡された回転ベルトの場合と比較し、部品数を削減することができる。
【0058】
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0059】
[構造]
先ず、シート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0060】
図5に示す本実施形態のシート電気抵抗測定器11における第一実施形態のシート電気抵抗測定器10(
図2(A)参照)との構造上の違いは、停止用検知センサー30(
図2(A)参照)が設けられていない点である。また、
図4に示す制御装置160の停止制御部164は、回転駆動機構150の駆動負荷を検知し、予め設定された駆動負荷を超えると回転駆動機構150の停止を駆動制御に168に指示する。
【0061】
図5(A)は、シート厚が小さいシートPの場合の回転駆動機構150の駆動負荷が設定値を超えて停止した状態を模式的に示している。
図5(B)は、シート厚が大きいシートPの場合の回転駆動機構150の駆動負荷が設定値を超えて停止した状態を模式的に示している。なお、
図5(A)及び
図5(B)では、判りやすくするために、シートPは回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130の間に挟まれる手前の状態で図示しているが、実際にはシートPはゴム製の第二回転ローラ130が弾性変形し、第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130の間に挟まれた状態で停止する。
【0062】
[シートの電気抵抗の測定]
次に、シートPの電気抵抗の測定方法について説明する。
【0063】
図1に示すように、測定者Sがシート電気抵抗測定器10の筐体12の隙間14にシートPを手前側から奥側に差し込む。
【0064】
図5(A)又は
図5(B)に示すように、隙間14に差し込まれたシートPの先端部PAを引込部100の手前側で開始用検知センサー32が検知すると、制御装置160は回転駆動機構150(
図3参照)を制御し、引込部100の二組の回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130を順回転(矢印J方向)させて、シートPを奥側に引き込む。
【0065】
引込部100によって引き込まれたシートPが引込部100の奥側に送られて、回転駆動機構150(
図3参照)の駆動負荷が設定値を超えると、制御装置160は回転駆動機構150(
図3参照)を制御し、引込部100の二組の回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130の回転を停止する。
【0066】
シートPが停止すると、制御装置160(
図3参照)は、二つの第一回転ローラ120に接触しているシートPの二つの第一回転ローラ120の間の電気抵抗を測定する(
図2(B)を参照)。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0067】
なお、本実施形態においても、制御装置160(
図3を参照)は、図示していない表示部に測定結果を表示した後、設定時間が経過すると、回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130を逆回転(矢印G方向)させ、シートPを手前側に送り出す。
【0068】
[作用]
次に、本実施形態のシート電気抵抗測定器10の作用について説明する。
【0069】
本実施形態のシート電気抵抗測定器11では、隙間14に差し込まれたシートPを引込部100の回転ローラ対110が回転して奥側に引き込み、回転駆動機構150(
図3参照)の駆動負荷が設定値を超えると、引込部100の引き込みが自動的に停止する。シートPが停止すると、電極として機能する二つの第一回転ローラ120がシートPの電気抵抗を測定する。
【0070】
したがって、シートPを筐体12の隙間14に差し込むことのみでシートPを電極と接触させる場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器11では、隙間14に差し込まれたシートPの先端部PAを引込部200の手前側で開始用検知センサー32が検知すると、引込部100の回転ローラ対110が回転を介してシートPを奥側に引き込む。
【0072】
よって、引込部200によるシートPの引き込みの開始を手動で行う場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0073】
本実施形態のシート電気抵抗測定器11では、引込部100の回転ローラ対110の第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130がシートPの両面を挟んで引き込む。
【0074】
よって、シートの一方の面に接触する回転体のみでシートPを引き込む場合と比較し、引き込み時のシートPのしわの発生を抑制することができる。
【0075】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。
【0076】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器11では、二つの第一回転ローラ120がシートPを引き込む機能とシートPの電気抵抗を測定する電極の機能との二つを有している。よって、第一回転ローラ120とは別に電極を設ける場合と比較し、部品点数を削減することができる。
【0077】
また、回転ローラ対110以外の回転体、例えば複数のロールに掛け渡された回転ベルトの場合と比較し、部品数を削減することができる。
【0078】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0079】
[構造]
先ずシート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0080】
図6(A)及び
図6(B)に示すシート電気抵抗測定器13は、用紙等のシートPの電気抵抗を測定する測定器である。
図6(A)に示すように、シート電気抵抗測定器13は、シートPが差し込まれる隙間14が形成された筐体12を有している。筐体12は、第一筐体20と、第二筐体22と、これら第一筐体20及び第二筐体22の端部同士を接合する接合部21と、を有して構成されている。
【0081】
図6(A)及び
図6(B)に示すように、筐体12には、隙間14(
図6(A)参照)に差し込まれたシートPを引き込む引込部200が設けられている。引込部200には、シートPの両面を挟む回転ベルト対210が設けられている。回転ベルト対210は、第一ベルト部220及び第二ベルト部240(
図6(A)参照)で構成され、第一ベルト部220は第一筐体20側に設けられ、第二ベルト部240は第二筐体22(
図6(A)参照)に設けられている。
【0082】
第一ベルト部220は、絶縁性で無端状の第一回転ベルト222と第一回転ベルト222が巻き掛けられた複数のロール224とを有している。同様に第二ベルト部240は、絶縁性で無端状の第二回転ベルト242と第二回転ベルト242が巻き掛けられた複数のロール244(
図6(A))とを有している。
【0083】
図6(A)に示す第一ベルト部220及び第二ベルト部240の複数のロール224、244のうち、図の左端に配置された対向するロール224A及びロール244Aは、図示されていないモータ及びギヤ等を有する回転駆動機構250(
図7参照)によって、回転駆動するように構成されている。ロール224は回転軸226を中心に回転し、ロール244は回転軸246を中心に回転する。
【0084】
なお、回転駆動機構250(
図3参照)は、
図2(A)に示す第一回転ベルト222及び第二回転ベルト242を順回転(矢印J方向)及び逆回転(矢印G方向)の両方向に回転させることが可能となっている。
【0085】
図6(A)及び
図6(B)に示すように、シート電気抵抗測定器10は、シートPの先端部PAを検知する停止用検知センサー30及び開始用検知センサー32を有している。停止用検知センサー30は、隙間14(
図6(A)参照)における引込部200の奥側でシートPの先端部PAを検知するように設けられている。開始用検知センサー32は、隙間14(
図6(A)参照)における引込部200の手前側でシートPの先端部PAを検知するように設けられている。
【0086】
図6(B)に示すように、回転ベルト対210は、回転軸226、246方向に間隔をあけて二つ設けられている。二組の回転ベルト対210の間には、二つの電極290が回転軸226、246方向に間隔をあけて設けられている。二つの電極290は、回転ベルト対210の間に挟まれて引き込まれたシートPに接触するように設けられている。
【0087】
図6(A)及び
図6(B)に示すように、シート電気抵抗測定器13は、シートPの先端部PAを検知する停止用検知センサー30及び開始用検知センサー32を有している。停止用検知センサー30は、隙間14(
図6(A)参照)における引込部200の奥側でシートPの先端部PAを検知するように設けられている。開始用検知センサー32は、隙間14(
図6(A)参照)における引込部200の手前側でシートPの先端部PAを検知するように設けられている。
【0088】
図7に示すように、シート電気抵抗測定器13は、制御装置260を有している。制御装置260には、前述した回転駆動機構250、停止用検知センサー30及び開始用検知センサー32が電気的に接続されている。また、制御装置260には、二つの電極290が電気的に接続されている。
【0089】
制御装置260のハードウェア構成は、図示していないCPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータによって構成されている。
【0090】
図8に示すように、制御装置260は、機能的には、測定部262、停止制御部264、開始制御部266及び駆動制御部268を有している。測定部262は、シートPに接触している二つの電極290(
図6参照)の間の電気抵抗を測定する。停止制御部264は、停止用検知センサー30(
図6参照)の検知信号が入力されると回転駆動機構250の駆動の停止を駆動制御部268に指示する。開始制御部266は、開始用検知センサー32(
図6参照)の検知信号が入力されると回転駆動機構250の駆動の開始を駆動制御部268に指示する。駆動制御部268は、回転駆動機構250(
図3参照)を制御する。
【0091】
[シートの電気抵抗の測定]
次に、シートPの電気抵抗の測定方法について説明する。
【0092】
図6(A)に示すように、隙間14に差し込まれたシートPの先端部PAを引込部200の手前側で開始用検知センサー32が検知すると、制御装置260は回転駆動機構150(
図7参照)を制御し、引込部200の二組の回転ベルト対210を順回転(矢印J方向)させて、シートPを奥側に引き込む。
【0093】
引込部200によって引き込まれたシートPが引込部200の奥側に送られて、引込部200を通過した先端部PAを停止用検知センサー30が検知すると、制御装置260は回転駆動機構250(
図7参照)を制御し、引込部200の二組の回転ベルト対210回転を停止する(
図2(A)の想像線(二点鎖線)のシートPを参照)。
【0094】
シートPが停止すると、制御装置260(
図7参照)は、回転ベルト対210の間の二つの電極290に接触しているシートPの二つの第一回転ローラ120の間の電気抵抗を測定する(
図6(B)を参照)。なお、本実施形態では、二つ電極290の間のシートPの表面抵抗を測定する。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0095】
なお、本実施形態では、制御装置260(
図7を参照)は、図示していない表示部に測定結果を表示した後、設定時間が経過すると、回転ベルト対210を逆回転(矢印G方向)させ、シートPを手前側に送り出すようになっている。
【0096】
[作用]
次に、本実施形態のシート電気抵抗測定器10の作用について説明する。
【0097】
本実施形態のシート電気抵抗測定器13では、隙間14に差し込まれたシートPを引込部100の回転ローラ対110が回転して奥側に引き込み、停止用検知センサー30が先端部PAを検知すると、引込部200の引き込みが自動的に停止する。シートPが停止すると、二つの電極290がシートPの電気抵抗を測定する。
【0098】
したがって、シートPを筐体12の隙間14に差し込むことのみでシートPを電極290と接触させる場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器13では、隙間14に差し込まれたシートPの先端部PAを引込部100の手前側で開始用検知センサー32が検知すると、引込部100の回転ローラ対110が回転を介してシートPを奥側に引き込む。
【0100】
よって、引込部100によるシートPの引き込みの開始を手動で行う場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0101】
本実施形態のシート電気抵抗測定器13では、引込部200の回転ベルト対210の第一ベルト部220及び第二ベルト部240がシートPの両面を挟んで引き込む。
【0102】
よって、シートの一方の面に接触する回転体のみでシートPを引き込む場合と比較し、引き込み時のシートPのしわの発生を抑制することができる。
【0103】
また、回転ベルト対210の第一ベルト部220及び第二ベルト部240でシートPの両面を挟むので、例えば回転ローラで挟む場合と比較し、シートPとの接触面積が大きいので、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0104】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。
【0105】
また、停止用検知センサー30が引き込んだシートPの先端部PA以外、例えば後端部を検知して停止する場合と比較し、シートPの引き込み量を少なくできる。
【0106】
また、停止用検知センサー30が引込部100の手前でシートPの先端部PAを検知して予め定めた経過時間後に停止する場合と比較し、シートPの停止位置のばらつきを小さくできる。
【0107】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、
【0108】
例えば、上記第一実施形態及び第二実施形態では、第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130の両方が回転する構成であったが、これに限定されない。第一回転ローラ120及び第二回転ローラ130のいずれか一方は従動回転する構成であってもよい。
【0109】
また、例えば、上記実施形態では、開始用検知センサー32でシートPの先端部PAを検知すると、引込部100、200の駆動を開始したが、これに限定されるものではない。例えば、シート電気抵抗測定器10、11、13の電源を入れると、引込部100、200の駆動を開始する構成であってもよいし、測定者Sが手動で引込部100、200の駆動の開始を操作する構成であってもよい。
【0110】
また、例えば、上記第一実施形態及び第二実施形態では、停止用検知センサー30は、引込部100、200の奥側に設けられていたが、これに限定されるものではない。停止用検知センサー30は、引込部100、200と回転軸方向で重なる位置に設けられていてもよいし、引込部100、200の手前側に設けられてもよい。その場合、停止用検知センサー30がシートPの先端部PAを検知してから、例えば予め設定した時間経過後又は回転ローラ対110又は回転ベルト対210が予め設定した回転した後に引込部100、200が停止するようにしてもよい。
【0111】
また、例えば、上記第一実施形態及び第二実施形態では、電極の機能を有する第一回転ローラ120は、回転軸122方向に並んでいたが、これに限定されるものではない。第一回転ローラ120が引込方向Fに並んでいてもよい。
【0112】
また、例えば、上記第一実施形態及び第二実施形態では、第一筐体20に設けられた第一回転ローラ120を導電性として電極として用いたが、これに限定されるのではない。第二筐体22に設けられた第二回転ローラ130を導電性として電極として用いてもよい。なお、この場合、第一回転ローラ120は絶縁性が望ましい。
【0113】
また、例えば、上記第一実施形態及び第二実施形態では、第一回転ローラ120が電極の機能を有していたが、これに限定さるものではない。第一回転ローラ120とは別に二つの電極を有していてもよい。なお、この場合、第一回転ローラ120は絶縁性が望ましい。
【0114】
また、例えば、上記第三実施形態では、電極290は、二組の回転ベルト対210の間に回転軸226、246方向に間隔をあけて設けられていたが、これに限定されない。例えば、電極290は、引込方向Fに間隔をあけて設けられていてもよいし、回転ベルト対210の回転軸226,246方向の外側に設けられていてもよい。
【0115】
また、例えば、上記第三実施形態では、電極290を有していたが、これに限定されない。第一ベルト部220又は第二ベルト部240が電極の機能を有していればよい。具体的には、第一回転ベルト222又は第二回転ベルト242と、複数のロール224の一つ又は複数のロール244の一つと、を導電性とする構成である。
【0116】
また、例えば、上記実施形態では、シートPの表面抵抗を測定したが、これに限定されるものではない。シートPの体積抵抗を測定してもよい。なお、体積抵抗を測定する場青は、シートPの両面に電極が接触する構成とする。
【0117】
また、例えば、第一筐体20に第一実施形態の第一回転ローラ120を設け、第二筐体22に第三実施形態の第二ベルト部240を設けた引込部であってもよい。なお、第一筐体20に第一回転ローラ120を設け、第二筐体22に第二ベルト部240を設けた引込部とした場合は、部品点数を抑制しつつ、シートPとの接触面積を大きくすることができる。
【0118】
また、例えば、上記実施形態では、シートの両面を挟む一対の回転体を有したが、これに限定されるものではない。例えば、シートの一方の面にのみ回転体が接触してシートを引き込む構成であってもよい。具体的には、第一筐体20及び第二筐体22の一方にのみに回転体が設けられた構成であってもよい。更に、回転体以外の機構、例えば、シートの両面又は片面に接触する部材が引き込み方向にスライドしてシートを引き込む機構であってもよい。
【0119】
また、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0120】
10 シート電気抵抗測定器
11 シート電気抵抗測定器
12 筐体
13 シート電気抵抗測定器
14 隙間
30 停止用検知センサー(停止手段の一例)
32 開始用検知センサー(開始手段の一例)
100 引込部
120 第一回転ローラ(回転体の一例、電極の一例)
130 第二回転ローラ(回転体の一例)
160 制御装置(停止手段の一例、開始手段の一例)
200 引込部
222 第一回転ベルト(回転体の一例)
242 第二回転ベルト(回転体の一例)
224 ロール
244 ロール
260 制御装置(停止手段の一例、開始手段の一例)
290 電極
P シート
PA 先端部