(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179066
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】シート電気抵抗測定器
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20221125BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20221125BHJP
G01R 27/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 A
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086308
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】尾形 健太
【テーマコード(参考)】
2G011
2G028
【Fターム(参考)】
2G011AA10
2G011AB01
2G011AC14
2G011AE00
2G028BC01
2G028HN01
2G028HN08
2G028HN09
2G028KQ02
(57)【要約】
【課題】電極だけでシートと接触する場合と比較し、シートのしわの発生を抑制する。
【解決手段】シート電気抵抗測定器10は、シートPを両面から挟む第一筐体20及び第二筐体22と、第一筐体20に設けられ第二筐体22との間にシートPを挟みシートPの電気抵抗を測定する一対の電極50と、第一筐体20における一対の電極50の間に設けられシートPに接触する接触部材150と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを両面から挟む一対の筐体と、
一方の前記筐体に設けられ、他方の前記筐体との間に前記シートを挟み前記シートの電気抵抗を測定する一対の電極と、
一方の前記筐体における一対の前記電極の間に設けられ、前記シートに接触する接触部材と、
を備えたシート電気抵抗測定器。
【請求項2】
前記接触部材は、弾性体で構成されている又は弾性体を介して一方の前記筐体に取り付けられていると共に前記シートに接触する前は前記電極よりも他方の前記筐体側に突出している、
請求項1に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項3】
前記接触部材は、前記電極よりも他方の前記筐体側に突出し、
他方の前記筐体には、前記接触部材に対応する部位に凹部が形成されている、
請求項1に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項4】
前記電極で電気抵抗を測定中は、前記接触部材を前記シートから隔離させる隔離機構を有している、
請求項1又は請求項2に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項5】
他方の前記筐体は、上面に前記シートが載せられ、
一方の前記筐体を他方の前記筐体の上面に対して上方から下方に移動する移動機構を有している、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項6】
前記移動機構は、他方の前記筐体の上面に対して垂直方向に一方の前記筐体を移動させるガイド機構を有している、
請求項5に記載のシート電気抵抗測定器。
【請求項7】
前記移動機構は、一方の前記筐体の端部が他方の前記筐体の端部に設けられた回転軸を中心に回転する回転機構を有している、
請求項5に記載のシート電気抵抗測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート電気抵抗測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4端子法を用いて薄膜のシート抵抗測定を行う際に用いる測定用端子と、この測定端子を用いた測定リードに関する技術が開示されている。この先行技術では、測定用端子は、測定した電圧値を電流値で除したものと薄膜のシート抵抗値とが等しくなるように4本の測定用端子位置を固定してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二つの電極と筐体との間にシートを挟んで電気抵抗を測定する場合、シートを設置した際又はシートに電極を接触させた際にシートにしわ又は折れ等が生じると、電気抵抗の測定精度が低下する虞がある。
【0005】
電極だけでシートと接触する場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、シートを両面から挟む一対の筐体と、一方の前記筐体に設けられ、他方の前記筐体との間に前記シートを挟み前記シートの電気抵抗を測定する一対の電極と、一方の前記筐体における一対の前記電極の間に設けられ、前記シートに接触する接触部材と、を備えたシート電気抵抗測定器である。
【0007】
第二態様は、前記接触部材は、弾性体で構成されている又は弾性体を介して一方の前記筐体に取り付けられていると共に前記シートに接触する前は前記電極よりも他方の前記筐体側に突出している、第一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0008】
第三態様は、前記接触部材は、前記電極よりも他方の前記筐体側に突出し、他方の前記筐体には、前記接触部材に対応する部位に凹部が形成されている、第一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0009】
第四態様は、前記電極で電気抵抗を測定中は、前記接触部材を前記シートから隔離させる隔離機構を有している、第一態様又は第二態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0010】
第五態様は、他方の前記筐体は、上面に前記シートが載せられ、一方の前記筐体を他方の前記筐体の上面に対して上方から下方に移動する移動機構を有している、第一態様~第四態様のいずれか一態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0011】
第六態様は、前記移動機構は、他方の前記筐体の上面に対して垂直方向に一方の前記筐体を移動させるガイド機構を有している、第五態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【0012】
第七態様は、前記移動機構は、一方の前記筐体の端部が他方の前記筐体の端部に設けられた回転軸を中心に回転する回転機構を有している、第五態様に記載のシート電気抵抗測定器である。
【発明の効果】
【0013】
第一態様のシート電気抵抗測定器によれば、電極だけでシートと接触する場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0014】
第二態様のシート電気抵抗測定器によれば、接触部材が電極と面一である場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0015】
第三態様のシート電気抵抗測定器によれば、接触部材が電極と面一である場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0016】
第四態様のシート電気抵抗測定器によれば、電極で電気抵抗を測定中に接触部材がシートに接触している場合と比較し、接触部材を構成する材料の選択範囲が広くなる。
【0017】
第五態様のシート電気抵抗測定器によれば、一方の筐体が他方の筐体に対して横方向に移動する場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0018】
第六態様のシート電気抵抗測定器によれば、他方の筐体の上面に対して斜めに一方の筐体を移動させる場合と比較し、シートのしわの発生を抑制することができる。
【0019】
第七態様のシート電気抵抗測定器によれば、他方の筐体の上面に対して垂直方向に一方の筐体が移動する場合と比較し、機構が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第一実施形態のシート電気抵抗測定器の斜視図である。
【
図2】第一実施形態のシート電気抵抗測定器を上方から見た平面図である。
【
図3】第一実施形態のシート電気抵抗測定器をY方向から見た側面図であり、(A)は第一筐体が第二筐体から離れた状態の図であり、(B)は第一筐体が第二筐体に接近しシートの電気抵抗を測定している状態の図である。
【
図4】第一実施形態のシート電気抵抗測定器のブロック図である。
【
図5】第二実施形態のシート電気抵抗測定器をY方向から見た側面図であり、(A)は第一筐体が第二筐体から離れた状態の図であり、(B)は第一筐体が第二筐体に接近した状態の図であり、(C)は接触部材がシートから離れシートの電気抵抗を測定している状態の図である。
【
図6】第二実施形態のシート電気抵抗測定器のブロック図である。
【
図7】第三実施形態のシート電気抵抗測定器をY方向から見た側面図であり、(A)は第一筐体が第二筐体から離れた状態の図であり、(B)は第一筐体が第二筐体に接近しシートの電気抵抗を測定している状態の図である。
【
図8】第三実施形態のシート電気抵抗測定器のブロック図である。
【
図9】第四実施形態のシート電気抵抗測定器をY方向から見た側面図であり、(A)は第一筐体が第二筐体から離れた状態の図であり、(B)は第一筐体が第二筐体に接近しシートの電気抵抗を測定している状態の図である。
【
図10】第四実施形態のシート電気抵抗測定器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。なお、各図における水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示している。また、X方向とY方向とに直交する鉛直方向をZ方向とし、矢印Zで示している。
【0022】
[構造]
シート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0023】
図1に示すシート電気抵抗測定器10は、用紙等のシートPの電気抵抗を測定する測定器である。シート電気抵抗測定器10は、シートPが挟まる隙間14が形成された筐体12を有している。筐体12は、第一筐体20と第二筐体22とを有して構成されている。第二筐体22のX方向の端部には突出部21が設けられている。本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、図示されていない作業台等の上に、第二筐体22が下側となって設置されて使用される。
【0024】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、シート電気抵抗測定器10は、第一筐体20が第二筐体22に対して上下方向に移動可能とする移動機構100を有している。この移動機構100によって、シート電気抵抗測定器10は、第一筐体20が第二筐体22に対して接近(
図3(B)を参照)及び離間(
図3(A)参照)するように構成されている。移動機構100は、ガイド機構108及びコイルバネ116を有して構成されている。ガイド機構108は、棒状のガイド110と挿通孔120とを有して構成されている。
【0025】
図1、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、第二筐体22には上面22Aから突出する複数、本実施形態では四本の棒状のガイド110が設けられ、第一筐体20には棒状のガイド110が挿通する複数の挿通孔120(
図3(A)及び
図3(B)参照)が形成されている。ガイド110の先端部には、挿通孔120(
図3(A)及び
図3(B)参照)よりも大きい頭部112が設けられている。また、棒状のガイド110は、コイルバネ116(
図3(A)及び
図3(B)参照)に挿通されている。
【0026】
このような構成により、第一筐体20は、第二筐体22に対して離間する方向、つまり上方に押されているが(
図3(A)参照)、矢印Fで示すように、測定者S(
図1参照)が第一筐体20を第二筐体22側に押すと、つまり下方に押すとガイド110に沿って鉛直方向下方に移動して、第二筐体22に接近する(
図1及び
図3(B)参照)。
【0027】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、第一筐体20の端部20Bには、レバー132を有するスイッチ130が設けられている。
図3(A)に示すように、第一筐体20が第二筐体22に対して離間した状態ではスイッチ130はオフとなっている。しかし、
図3(B)に示すように、測定者S(
図1参照)が第一筐体20を第二筐体22側に押して鉛直方向下方に移動して、第一筐体20が第二筐体22に接近した状態となると、スイッチ130のレバー132が突出部21に当たり、スイッチ130がオンになるようになっている。
【0028】
図3(A)及び
図3(B)に示すように、第二筐体22の上面22Aは、シートPが設置される設置面となっている(
図1も参照)。第一筐体20には、X方向に間隔をあけて電極50が下面20Aから第二筐体22側に突出するように設けられている(
図2も参照)。二つの電極50の間には、接触部材150が設けられている(
図2も参照)。本実施形態の接触部材150は、絶縁性で弾性変形する材料、本実施形態では絶縁性のゴム材で構成されている。なお、「絶縁性」とは、電気を通しにくい性質のことであり、体積抵抗率が概ね1×10^6Ωcm以上の範囲を意味する。
【0029】
図3(A)に示すように、第一筐体20が第二筐体22から離間した状態では、接触部材150は、電極50よりも第二筐体22側に突出している。つまり、接触部材150の下面150Aは、電極50の下面50Aよりも下方に位置している。
【0030】
図4に示すように、シート電気抵抗測定器10は、制御装置190を有している。制御装置190には、スイッチ130(
図3(A)及び
図3(B)参照)及び電極50(
図2、
図3(A)及び
図3(B)参照)が電気的に接続されている。制御装置190は、二つの電極50の間のシートPの電気抵抗を測定する機能を有している。
【0031】
制御装置190のハードウェア構成は、図示していないCPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータによって構成されている。
【0032】
[シートの電気抵抗の測定]
次に、シートPの電気抵抗の測定について説明する。
【0033】
図1及び
図3(A)に示すように、測定者S(
図1参照)が、シート電気抵抗測定器10の第二筐体22の上面22AにシートPを設置する。その際、シートPの先端部PAを突出部21の側面に突き当てて位置決めする。
【0034】
図3(B)に示すように、測定者S(
図1参照)が上方から第一筐体20を押してシートPの上面に電極50を接触させる。なお、電極50よりも下方に突出している接触部材150がシートPに先に接触する。接触部材150はゴム製であるので、接触後、弾性変形して圧縮され、電極50がシートPに接触する。つまり、電極50の下面50A及び接触部材150の下面150Aと、第二筐体22の上面22Aと、の間にシートPが挟まれる。また、スイッチ130がオンになる。
【0035】
制御装置190(
図4参照)は、スイッチ130がオンになって予め設定された時間が経過すると、シートPに接触した二つの電極50の間の電気抵抗を測定する。なお、本実施形態では、二つの電極50の間のシートPの表面抵抗を測定する。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0036】
[作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0037】
本実施形態のシート電気抵抗測定器10では、シートPの上面に電極50が接触する前に、電極50の間に設けられた接触部材150がシートPに先に接触する。接触部材150は、接触後に弾性変形して圧縮されることで、シートPに電極50が接触する。
【0038】
ここで、接触部材150を有していない比較例のシート電気抵抗測定器の場合、シートPを第二筐体22の上面22AにシートPを設置した際又はシートPに電極が接触した際に、シートPにしわが発生し、電気抵抗の測定精度が低下する虞がある。
【0039】
これに対して、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、二つの電極50の間に設けられた接触部材150がシートPに接触し、シートPのしわの発生を抑制する。よって、電極50だけでシートPと接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、二つの電極50の間に設けられた接触部材150は電極50よりも下方に突出しているので、接触部材150がシートPに先に接触し、シートPのしわの発生を抑制したのち、電極50がシートPに接触する。よって、接触部材150が電極50と面一、つまり接触部材150が電極50と同時にシートPに接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、図示されていない作業台等の上に、第二筐体22が下側となって設置され、第二筐体22の上面22AにシートPが載せられる。そして、移動機構100によって、上側の第一筐体20を第二筐体22の上面22Aに対して上方から下方に移動して、シートPに電極50及び接触部材150を接触させる。よって、第一筐体20を第二筐体22に対して横方向に移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、ガイド機構108によって、第二筐体22の上面22Aに対して垂直方向に第一筐体20が移動する。よって、第一筐体20が第二筐体22の上面22Aに対して斜めに移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0043】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。
【0044】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0045】
[構造]
シート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0046】
図5(A)、
図5(B)及び
図5(C)に示すシート電気抵抗測定器11は、用紙等のシートPの電気抵抗を測定する測定器である。
【0047】
第二筐体22の上面22Aは、シートPが設置される設置面となっている。第一筐体20には、X方向に間隔をあけて電極50が下面20Aから第二筐体22側に突出するように設けられている。二つの電極50の間には、接触部材155が設けられている。本実施形態の接触部材155は、導電性の材料、本実施形態では金属で構成されている。なお、接触部材155は、電気的に接地されている。また、「導電性」とは、電気を通しやすい性質のことであり、体積抵抗率で概ね1×10^-3cm以下の範囲を意味する。
【0048】
図5(A)に示すように、第一筐体20が第二筐体22から離間した状態では、接触部材155の下面155Aと電極50の下面50Aとは面一になっている。
【0049】
図5(C)に示すように、接触部材155は、隔離機構154(
図6参照)によって、上方に移動して上部側が第一筐体20内に格納するように構成されている。隔離機構154は、どのような機構であってもよいが、本実施形態では、ソレノイドによって接触部材155が上下する機構とされている。
【0050】
図6に示すように、シート電気抵抗測定器11は、制御装置190を有している。制御装置190には、スイッチ130(
図5(A)、
図5(B)及び
図5(C)参照)、電極50(
図5(A)、
図5(B)及び
図5(C)参照)及び隔離機構154が電気的に接続されている。
【0051】
[シートの電気抵抗の測定]
次に、シートPの電気抵抗の測定について説明する。
【0052】
図5(A)に示すように、シート電気抵抗測定器11の第二筐体22の上面22AにシートPを設置する。その際、シートPの先端部PAを突出部21の側面に突き当てて位置決めする。
【0053】
図5(B)に示すように、測定者S(
図1参照)が上方から第一筐体20を押してシートPの上面に電極50及び接触部材155を接触させる。つまり、電極50の下面50A及び接触部材155の下面155Aと、第二筐体22の上面22Aとの間にシートPが挟まれる。また、スイッチ130がオンになる。
【0054】
制御装置190(
図4参照)は、スイッチ130がオンになって予め設定された時間が経過すると、
図5(C)に示すように、まず隔離機構154を制御して、接触部材155を上方に移動させてシートPから離し、上部側を第一筐体20内に格納させる。
【0055】
制御装置190は、接触部材155が上方に移動したのち、シートPに接触した二つの電極50の間の電気抵抗を測定する。なお、本実施形態では、二つの電極50の間のシートPの表面抵抗を測定する。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0056】
なお、測定後、第一筐体20が上方に移動してスイッチ130がオフになると、制御装置190は、隔離機構154を制御して接触部材155を
図5(A)の位置に戻す。
【0057】
[作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0058】
本実施形態のシート電気抵抗測定器11では、シートPの上面に電極50が接触すると共に電極50の間に設けられた接触部材155がシートPに接触する。このように、二つの電極50の間に設けられた接触部材155がシートPに接触し、シートPのしわの発生を抑制するので、電極50だけでシートPと接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、図示されていない作業台等の上に、第二筐体22が下側となって設置され、第二筐体22の上面22AにシートPが載せられる。そして、移動機構100によって、上側の第一筐体20を第二筐体22の上面22Aに対して上方から下方に移動して、シートPに電極50及び接触部材150を接触させる。よって、第一筐体20を第二筐体22に対して横方向に移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、ガイド機構108によって、第二筐体22の上面22Aに対して垂直方向に第一筐体20が移動する。よって、第一筐体20が第二筐体22の上面22Aに対して斜めに移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0061】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。
【0062】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器11は、二つの電極50の間に設けられた接触部材155は、電極50がシートPの電気抵抗を測定中は、シートPから離れている。
【0063】
よって、電極50で電気抵抗を測定中に接触部材がシートPに接触している場合と比較し、接触部材を構成する材料の選択範囲が広くなる。例えば、本実施形態のように接触部材155を、導電性を有する金属で構成することが可能になる。なお、接触部材155を導電性とし、電気的に接地させることで、例えば、シートPの表面が除電され、電気抵抗の測定精度が向上する。
【0064】
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0065】
[構造]
シート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0066】
図7(A)及び
図5(B)に示すシート電気抵抗測定器13は、用紙等のシートPの電気抵抗を測定する測定器である。
【0067】
第一筐体20には、X方向に間隔をあけて電極50が下面20Aから第二筐体22側に突出するように設けられている。二つの電極50の間には、接触部材250が設けられている。本実施形態の接触部材250は、絶縁性の材料、本実施形態では合成樹脂で構成されている。
【0068】
接触部材250は、電極50よりも第二筐体22側に突出している。つまり、接触部材250の下面250Aは、電極50の下面50Aよりも下方に位置している。
【0069】
第二筐体22の上面22Aは、シートPが設置される設置面となっている。第二筐体22の上面22Aにおける接触部材250に対応する部位には、凹部200が形成されている。
【0070】
図8に示すように、シート電気抵抗測定器13は、制御装置190を有している。制御装置190には、スイッチ130(
図7(A)及び
図7(B)参照)及び電極50(
図7(A)及び
図7(B)参照)が電気的に接続されている。
【0071】
[シートの電気抵抗の測定]
次に、シートPの電気抵抗の測定について説明する。
【0072】
図7(A)に示すように、シート電気抵抗測定器13の第二筐体22の上面22AにシートPを設置する。その際、シートPの先端部PAを突出部21の側面に突き当てて位置決めする。
【0073】
図7(B)に示すように、測定者S(
図1参照)が上方から第一筐体20を押してシートPの上面に電極50を接触させる。その際、電極50よりも下方に突出している接触部材250がシートPに先に接触する。シートPは、接触部材250に押されて湾曲し、湾曲部PBが第二筐体22の上面22Aの凹部200に入る。電極50の下面50A下面155Aと第二筐体22の上面22Aとの間にシートPが挟まれる。また、スイッチ130がオンになる。
【0074】
制御装置190(
図8参照)は、スイッチ130がオンになって予め設定された時間が経過すると、シートPに接触した二つの電極50の間の電気抵抗を測定する。なお、本実施形態では、二つの電極50の間のシートPの表面抵抗を測定する。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0075】
[作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0076】
本実施形態のシート電気抵抗測定器13では、シートPの上面に電極50が接触する前に、電極50の間に設けられた接触部材250がシートPに先に接触する。シートPは、接触部材250に押されて湾曲し、湾曲部PBが第二筐体22の上面22Aの凹部200に入る。
【0077】
このように、二つの電極50の間に設けられた接触部材250がシートPに接触し、シートPのしわの発生を抑制する。よって、電極50だけでシートPと接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、二つの電極50の間に設けられた接触部材150は電極50よりも下方に突出しているので、接触部材250がシートPに先に接触し、シートPのしわの発生を抑制したのち、電極50がシートPに接触する。よって、接触部材150が電極50と面一、つまり接触部材150が電極50と同時にシートPに接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0079】
ここで、本実施形態では、シートPは、接触部材250に押されて湾曲し、湾曲部PBが第二筐体22の上面22Aの凹部200に入っている。このように、接触部材250に押されてシートPが湾曲することで、シートPのしわの発生が効果的に抑制される。
【0080】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器13は、図示されていない作業台等の上に、第二筐体22が下側となって設置され、第二筐体22の上面22AにシートPが載せられる。そして、移動機構100によって、上側の第一筐体20を第二筐体22の上面22Aに対して上方から下方に移動して、シートPに電極50及び接触部材250を接触させる。よって、第一筐体20を第二筐体22に対して横方向に移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器10は、ガイド機構108によって、第二筐体22の上面22Aに対して垂直方向に第一筐体20が移動する。よって、第一筐体20が第二筐体22の上面22Aに対して斜めに移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0082】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。なお、本実施形態では、シートPに湾曲PBが形成される。しかし、湾曲部PBの形状は一定又は略一定であるので、湾曲部PBが形成されることによる測定精度への影響は無い又は影響があったとしても無視できる程度に小さい。
【0083】
<第四実施形態>
本発明の第四実施形態のシート電気抵抗測定器について説明する。なお、第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0084】
[構造]
シート電気抵抗測定器の構造について説明する。
【0085】
図9(A)及び
図9(B)に示すシート電気抵抗測定器15は、用紙等のシートPの電気抵抗を測定する測定器である。シート電気抵抗測定器10は、シートPが挟まる隙間314が形成された筐体312を有している。筐体312は、第一筐体320と第二筐体322とを有して構成されている。第一筐体320のX方向の端部には突出部321が設けられている。本実施形態のシート電気抵抗測定器15は、図示されていない作業台等の上に、第二筐体322が下側となって設置されて使用される。
【0086】
シート電気抵抗測定器15は、第一筐体320の端部の突出部321が第二筐体22の端部322B対して回転軸350を軸芯として回転して開閉する回転機構300を有している。
【0087】
第二筐体322の端部322Bには、レバー132を有するスイッチ130が設けられている。
図9(A)に示すように、第一筐体320が第二筐体322に対して開いた状態ではスイッチ130はオフとなっている。しかし、
図9(B)に示すように、測定者S(
図1参照)が第一筐体320を第二筐体322側に回転させ閉じると、スイッチ130のレバー132が突出部321の側面321Aに当たり、スイッチ130がオンになるようになっている。
【0088】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、第二筐体322の上面322Aは、シートPが設置される設置面となっている。
【0089】
また、第一筐体320には、X方向に間隔をあけて電極50が下面20Aから第二筐体22側に突出するように設けられている。二つの電極50の間には、第一実施形態と同様に接触部材150が設けられている。
【0090】
図10に示すように、シート電気抵抗測定器15は、制御装置190を有している。制御装置190には、スイッチ130(
図9(A)及び
図9(B)参照)及び電極50(
図9(A)及び
図9(B)参照)が電気的に接続されている。
【0091】
[シートの電気抵抗の測定]
次に、シートPの電気抵抗の測定について説明する。
【0092】
図9(A)に示すように、シート電気抵抗測定器10の第二筐体22の上面22AにシートPを設置する。
【0093】
図9(B)に示すように、測定者S(
図1参照)が第一筐体320を閉じてシートPの上面に電極50を接触させる。その際、電極50よりも下方に突出している接触部材150がシートPに先に接触する。接触部材150はゴム製であるので、接触後、弾性変形して圧縮され、電極50がシートPに接触する。つまり、電極50の下面50A及び接触部材150の下面150Aと、第二筐体22の上面22Aとの間にシートPが挟まれる。また、スイッチ130がオンになる。
【0094】
制御装置190(
図10参照)は、スイッチ130がオンになってから予め設定された時間が経過すると、シートPに接触した二つの電極50の間の電気抵抗を測定する。なお、本実施形態では、二つの電極50の間のシートPの表面抵抗を測定する。測定されたシートPの電気抵抗は、図示していない表示部に表示される。
【0095】
[作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0096】
本実施形態のシート電気抵抗測定器15では、シートPの上面に電極50が接触する前に、電極50の間に設けられた接触部材150がシートPに先に接触する。接触部材150は、接触後に弾性変形して圧縮されることで、シートPに電極50が接触する。このように、二つの電極50の間に設けられた接触部材150がシートPに接触することで、シートPのしわの発生を抑制する。よって、電極50だけでシートPと接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器15は、二つの電極50の間に設けられた接触部材150は電極50よりも下方に突出しているので、接触部材150がシートPに先に接触し、シートPのしわの発生を抑制したのち、電極50がシートPに接触する。よって、接触部材150が電極50と面一、つまり接触部材150が電極50と同時にシートPに接触する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態のシート電気抵抗測定器15は、図示されていない作業台等の上に、第二筐体22が下側となって設置され、第二筐体22の上面22AにシートPが載せられる。そして、回転機構300によって、上側の第一筐体20を第二筐体22の上面22Aに対して上方から下方に移動して、シートPに電極50及び接触部材150を接触させる。よって、第一筐体20を第二筐体22に対して横方向に移動する場合と比較し、シートPのしわの発生を抑制することができる。
【0099】
このように、シートPのしわの発生が抑止されるので、シートPにしわが発生することに起因する電気抵抗の測定精度の低下が抑制される。
【0100】
また、シート電気抵抗測定器15は、第一筐体320の端部の突出部321が第二筐体22の端部322B対して回転軸350を軸芯として回転することで、第一筐体320が第二筐体322の上面322Aに接近する。よって、例えば、第一筐体320が第二筐体322の上面322Aに対して垂直方向に移動する場合と比較し、機構が簡易である。
【0101】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0102】
例えば、上記実施形態では、二つの電極50はX方向に間隔をあけて設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、二つの電極50がY方向に間隔をあけて設けられていてもよい。
【0103】
例えば、第一実施形態、第三実施形態及び第四実施形態のように、接触部材150、250が絶縁性である場合は、接触部材150、250と電極50との側面同士が接触していてもよい。なお、接触部材のX方向の長さ、Y方向の長さ及び平面形状は、適宜設定すればよい。また、二つの電極50の間に、複数の接触部材が設けられていてもよい。
【0104】
また、例えば第一実施形態及び第四実施形態では、接触部材150は、弾性体で構成されていたが、これに限定されるものではない。非弾性体の接触部材が、ゴム、ばね及びエアクッション体等の弾性体を介して第一筐体20、320に取り付けられていてもよい。
【0105】
また、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0106】
10 シート電気抵抗測定器
11 シート電気抵抗測定器
13 シート電気抵抗測定器
15 シート電気抵抗測定器
20 第一筐体(一方の筐体の一例)
22 第二筐体(他方の筐体の一例)
22A 上面
50 電極
100 移動機構
108 ガイド機構
150 接触部材
155 接触部材
200 凹部
250 接触部材
300 回転機構
320 第一筐体(一方の筐体の一例)
322 第二筐体(他方の筐体の一例)
322A 上面
P シート