(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017907
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】廃棄物溶融処理方法、廃棄物溶融スラグ粉末及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 5/06 20060101AFI20220119BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20220119BHJP
B09B 3/00 20220101ALI20220119BHJP
【FI】
C04B5/06
B09B3/00 303K
B09B3/00 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120746
(22)【出願日】2020-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506000128
【氏名又は名称】日鉄環境エネルギーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】星沢 康介
(72)【発明者】
【氏名】盛合 諒
(72)【発明者】
【氏名】下田 隼人
【テーマコード(参考)】
4D004
4G112
【Fターム(参考)】
4D004BA02
4D004CA04
4D004CA29
4D004CB13
4D004CC11
4D004DA06
4G112JL03
4G112JM04
(57)【要約】
【課題】作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融処理方法を提供すること。
【解決手段】廃棄物とマグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材とをコークスベッド式の溶融炉で溶融する廃棄物溶融処理方法であって、廃棄物及び副資材を溶融炉で1600℃以上に加熱して溶融する工程と、溶融炉から溶融スラグを出滓する工程と、溶融スラグを水砕槽に導入して水砕する工程と、を有し、水砕槽における冷却水に接触する際の溶融スラグの粘度が5Pa・s以下である、廃棄物溶融処理方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物とマグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材とをコークスベッド式の溶融炉で溶融する廃棄物溶融処理方法であって、
前記廃棄物及び前記副資材を前記溶融炉で1600℃以上に加熱して溶融する工程と、
前記溶融炉から溶融スラグを出滓する工程と、
前記溶融スラグを水砕槽に導入して水砕する工程と、を有し、
前記水砕槽における冷却水に接触する際の前記溶融スラグの粘度が5Pa・s以下である、廃棄物溶融処理方法。
【請求項2】
前記副資材がマグネシウム成分及び鉄成分の双方を含み、
前記溶融スラグにおけるFeOとMgOの合計含有量が4質量%以上である、請求項1に記載の廃棄物溶融処理方法。
【請求項3】
前記水砕槽における前記冷却水に接触する際の前記溶融スラグの温度を測定する工程を有する、請求項1又は2に記載の廃棄物溶融処理方法。
【請求項4】
前記水砕槽で水砕して得られる水砕スラグから針状スラグの含有量が0.5質量%以下の廃棄物溶融スラグ粉末を得る工程を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の廃棄物溶融処理方法。
【請求項5】
針状スラグの含有量が0.5質量%以下である、廃棄物溶融スラグ粉末。
【請求項6】
FeOとMgOの合計含有量が4質量%以上である、請求項5に記載の廃棄物溶融スラグ粉末。
【請求項7】
廃棄物と、マグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材と、をコークスベッド式の溶融炉で1600℃以上に加熱して溶融する工程と、
前記溶融炉から溶融スラグを出滓する工程と、
前記溶融スラグを水砕槽に導入して水砕し水砕スラグを得る工程と、
前記水砕スラグから廃棄物溶融スラグ粉末を得る工程と、を有し、
前記水砕槽における冷却水に接触する際の前記溶融スラグの粘度が5Pa・s以下である、廃棄物溶融スラグ粉末の製造方法。
【請求項8】
前記廃棄物溶融スラグ粉末の針状スラグの含有量が0.5質量%以下である、請求項7に記載の廃棄物溶融スラグ粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物溶融処理方法、廃棄物溶融スラグ粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の処理方法として、溶融炉を用いて廃棄物を溶融処理する廃棄物溶融処理方法が知られている。このような処理方法に用いられる溶融炉の種類としては、シャフト炉式、キルン式、流動床式等、種々の形式のものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、スラグの塩基度を0.5~1.0の範囲にして、溶融処理時のスラグの粘性を下げることが提案されている。具体的には、旋回溶融炉において焼却灰を1100~1500℃で溶融してスラグとすること、温度1500℃程度で(好ましくは温度1400℃程度で、さらに好ましくは温度1300℃程度で)スラグの粘度を2.0Pa・s以下程度にすることが提案されている。
【0004】
特許文献2では、溶融炉の出滓口から出滓する際の溶融スラグの閉塞を抑制し、溶融スラグの排出を円滑にするために、出滓口における溶融スラグの粘度を1.8Pa・s未満にすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-212615号公報
【特許文献2】特許第6639725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
溶融炉から排出される溶融スラグは、水砕槽において冷却された後、搬送されて処分されたり、有効利用を図るために他の用途に利用されたりすることが行われている。例えば、粉末状にして、路盤材、耐火物、セメント及び肥料等の原料に用いられる。ところが、水砕後のスラグには針状スラグが含まれているため、水砕後のスラグを取り扱う際に作業者の手袋に纏わりつく針状スラグを取り除くことが困難であり、さらに長い形状の針状スラグにおいては、ハンドリングの際に作業者の手袋を貫通することで、手袋の交換や点検を要し、溶融スラグ利用時の作業効率が低下することが懸念される。そこで、本発明者らは、針状スラグが生成する要因を種々検討したところ、針状スラグの生成には、溶融スラグを水砕する際の条件が大きく関与していることが分かった。そして、溶融炉内及び出滓口における溶融スラグの粘度ではなく、水砕槽に導入される際の溶融スラグの粘度を調節することが針状スラグの生成抑制に有効であることを見出した。
【0007】
そこで、本開示では、作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融処理方法を提供する。また、作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融スラグ粉末及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、一つの側面において、廃棄物とマグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材とをコークスベッド式の溶融炉で溶融する廃棄物溶融処理方法であって、廃棄物及び副資材を溶融炉で1600℃以上に加熱して溶融する工程と、溶融炉から溶融スラグを出滓する工程と、溶融スラグを水砕槽に導入して水砕する工程と、を有し、水砕槽における冷却水に接触する際の溶融スラグの粘度が5Pa・s以下である、廃棄物溶融処理方法を提供する。
【0009】
上記廃棄物処理方法では、廃棄物とマグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材をコークスベッド式の溶融炉で1600℃以上に加熱していることから、廃棄物を十分に溶融することができる。そして、水砕槽における冷却水に接触する際の溶融スラグの粘度を5Pa・s以下にしている。したがって、水砕槽に導入される際の溶融スラグの糸引き現象が抑制され、針状スラグの生成を抑制することができるものと考えられる。よって、水砕後のスラグの取り扱い性を改善し、作業効率を向上することができる。
【0010】
上記副資材がマグネシウム成分及び鉄成分の双方を含み、溶融スラグにおけるFeOとMgOの合計含有量が4質量%以上であってもよい。これによって、針状スラグの生成を一層抑制することができる。したがって、水砕後のスラグの取り扱い性をさらに改善し、作業効率を一層向上することができる。
【0011】
上記廃棄物溶融処理方法は、水砕槽における冷却水に接触する際の溶融スラグの温度を測定する工程を有していてもよい。この温度を測定することによって、水砕槽に導入される際の溶融スラグの粘度を安定的に管理することができる。
【0012】
上記廃棄物溶融処理方法は、上記水砕槽で水砕して得られる水砕スラグから針状スラグの含有量が0.5質量%以下の廃棄物溶融スラグ粉末を得る工程を有していてもよい。これによって、手袋に纏わりつく等の現象が抑制され、作業効率に十分に優れる廃棄物溶融スラグ粉末を得ることができる。このような廃棄物溶融スラグ粉末は種々の用途に好適に用いることができる。
【0013】
本開示は、一つの側面において、針状スラグの含有量が0.5質量%以下である廃棄物溶融スラグ粉末を提供する。ここで、本開示における廃棄物溶融スラグ粉末とは、廃棄物溶融炉で得られるスラグを粉砕して得られる粉末をいう。本開示における針状スラグとは、両端部を結ぶ線分の長さが5mm以上の針状のものをいう。針状スラグの両端部のうち少なくとも一方の端部の太さは、例えば0.37mm以下であってよく、0.3mm以下であってもよい。なお、当該端部の端面が円形である場合、太さは端面の外径と等しくなる。一方、当該端面が円形ではない場合、端面の外縁上の異なる二点間を結ぶ線分のうち、最大となる線分の長さをその端部における太さとする。本開示の廃棄物溶融スラグ粉末は、このような鋭利な針状スラグの含有量が十分に低減されているため、手袋に纏わりつく等の現象が抑制され、作業効率を向上することができる。
【0014】
上記廃棄物溶融スラグ粉末におけるFeOとMgOの合計含有量が4質量%以上であってもよい。これによって、針状スラグに分類されない程度の針状を有する粒子の割合も低減して、廃棄物溶融スラグ粉末を利用する際の作業効率を一層向上することができる。
【0015】
本開示は、一つの側面において、廃棄物と、マグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材と、をコークスベッド式の溶融炉で1600℃以上に加熱して溶融する工程と、溶融炉から溶融スラグを出滓する工程と、溶融スラグを水砕槽に導入して水砕し水砕スラグを得る工程と、水砕スラグから廃棄物溶融スラグ粉末を得る工程と、を有し、水砕槽における冷却水に接触する際の溶融スラグの粘度が5Pa・s以下である、廃棄物溶融スラグ粉末の製造方法を提供する。
【0016】
上記製造方法では、廃棄物とマグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含む副資材をコークスベッド式の溶融炉で1600℃以上に加熱していることから、廃棄物を十分に溶融することができる。そして、水砕槽に導入される際の溶融スラグの粘度を5Pa・s以下にしている。したがって、水砕槽に導入される際の溶融スラグの糸引き現象が抑制され、水砕スラグ中における針状スラグの生成を抑制することができる。よって、廃棄物溶融スラグ粉末を利用する際の作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融スラグ粉末を製造することができる。
【0017】
上記製造方法で得られる廃棄物溶融スラグ粉末の針状スラグの含有量は0.5質量%以下であってもよい。これによって、廃棄物溶融スラグ粉末の作業効率を一層向上することができる。このような廃棄物溶融スラグ粉末は種々の用途に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融処理方法を提供することができる。また、作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融スラグ粉末及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、コークスベッド式の溶融炉とこれを備える廃棄物溶融処理設備の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、溶融スラグを水砕する工程を行う水砕槽の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、10mm以上の長さを有するスラグの写真である。
【
図4】
図4は、5mm以上、且つ10mm未満の長さを有するスラグの写真である。
【
図5】
図5は、5mm未満の長さを有するスラグの写真である。
【
図6】
図6は、比較例1の廃棄物溶融スラグ粉末の写真である。
【
図7】
図7は、溶融スラグのFeOとMgOの合計含有量と、冷却水に接触する直前の溶融スラグの粘度との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、市場で流通している廃棄物溶融スラグ粉末の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。
【0021】
一実施形態に係る廃棄物溶融処理方法は、廃棄物、炭材及び副資材を、コークスベッド式の溶融炉に装入する装入工程と、廃棄物及び副資材を1600℃以上に加熱して溶融する溶融工程と、溶融炉の出滓口から溶融スラグを出滓する出滓工程と、溶融スラグを水砕槽に導入して水砕スラグを得る水砕工程と、を有する。この廃棄物溶融処理方法は、例えば、
図1に示す廃棄物溶融処理設備100を用いて行うことができる。この廃棄物溶融処理設備100を用いる廃棄物溶融処理方法を以下に説明する。
【0022】
図1の廃棄物溶融処理設備100は、コークスベッド式の溶融炉40と溶融炉40の上部に設けられた装入装置50とを備えている。溶融炉40は、シャフト部42と該シャフト部42の下端に設けられる朝顔部44と、朝顔部44の下部に設けられる炉底部46と、を有する。シャフト部42から炉底部46には、上から順に、熱分解帯用の上段羽口45と、燃焼溶融帯用の下段羽口47とが設けられている。上段羽口45及び下段羽口47は、それぞれ複数段で設けられていてもよい。
【0023】
廃棄物、炭材及び副資材は、装入装置50によって、溶融炉40に装入される。廃棄物としては、一般廃棄物、産業廃棄物、これらに乾燥、焼却、破砕等の処理を施して得られた焼却灰等の処理物、及び、これらを一度埋め立て処理した後、再度掘り起こした土砂分を含む埋め立てごみ等が挙げられる。
【0024】
副資材は、マグネシウム成分及び鉄成分の一方又は双方を含んでよい。マグネシウム成分としては、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム系化合物、及びMgOレンガ屑等が挙げられる。鉄成分としては、酸化鉄が挙げられる。炭酸マグネシウムを含む副資材としては、マグネサイト、ドロマイト、バリントナイト、ネスケホナイト、ランスホルタイト等が挙げられる。酸化マグネシウム系化合物を含む副資材としては、マグネシア、ペリクレース、クドカンラン石、ジャモン石等が挙げられる。酸化鉄を含む副資材として鉄鉱石が挙げられる。副資材として、マグネシウム成分と鉄成分の両方を含む製鋼スラグ(転炉系スラグ及び電気炉系スラグ)を用いてもよい。このような副資材を用いることによって、溶融炉40の内部において、廃棄物48を十分に溶融させることができる。また、副資材は、石灰石を含んでもよい。
【0025】
炭材としては、石炭、コークス又は成型炭等を用いることができる。焼却灰は溶解し難いことから、通常は針状スラグが生成し易い。しかしながら、本実施形態の廃棄物溶融処理方法によれば、廃棄物が焼却灰を含んでいても針状スラグを十分に低減することができる。
【0026】
副資材の装入量は、針状スラグの生成を一層抑制する観点から、出滓口49から出滓される溶融スラグにおけるMgO及びFeOの合計含有量が、好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは6量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上となるように調節する。溶融スラグにおけるMgOの含有量は、1質量%以上であってよい。溶融スラグにおけるFeOの含有量は、1質量%以上であってよい。
【0027】
副資材の装入量が過剰になり溶融スラグの排出量が増大することを抑制する観点から、出滓口49から出滓される溶融スラグにおけるMgO及びFeOの合計含有量は20質量%未満であってよく、15質量%未満であってもよい。同様の観点から、出滓口49から出滓される溶融スラグにおけるMgOの含有量は12質量%未満であってよく、10質量%未満であってもよい。同様の観点から、出滓口49から出滓される溶融スラグにおけるFeOの含有量は15質量%未満であってよく、12質量%未満であってもよい。
【0028】
副資材は、MgO及びFeO以外の成分を含んでいてもよい。例えば、CaO、SiO2、Al2O3及びMnOからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。この場合、溶融スラグの塩基度(CaO/SiO2)を0.5~1.2に調節してもよい。
【0029】
装入装置50からは、廃棄物、副資材及び炭材が装入されるのに対し、下段羽口47からは酸素又は酸素富化空気が供給され、上段羽口45からは燃焼支持ガスとして空気が供給される。溶融炉40に装入された炭材は、下段羽口47から供給された酸素又は酸素富化空気によって燃焼され熱源として機能する。溶融炉40に装入された廃棄物48は、炭材の燃焼によって加熱されて、熱分解残渣43となる。熱分解残渣43は、主に上段羽口45から供給された空気によって燃焼される。
【0030】
溶融炉40で生成した熱分解ガスは、シャフト部42を上昇し、装入装置50の下部に接続された排ガス管52から燃焼室へ導入される。燃焼排ガスは可燃ガスとして燃焼された後、ボイラで廃熱回収される。その後、排ガスは、減温塔で温度が調整された後、集塵機及び触媒反応塔を通過して、煙突から排出される。
【0031】
溶融炉40の内部は、炭材等の燃焼によって温度勾配が生じている。具体的には、溶融炉40は、上方から下方に向けて乾燥・予熱帯40a、熱分解帯40b、及び燃焼・溶融帯40cを有する。溶融炉40の内部に導入された廃棄物48は、乾燥・予熱帯40a、熱分解帯40b及び燃焼・溶融帯40cの順に通過する。これによって、廃棄物48中の可燃分は熱分解ガス化して燃焼室に導入され、灰分は、熱分解残渣43を経て溶融スラグとなる。溶融スラグは、炉底部46のコークス充填層41を流下して出滓口49から排出される。
【0032】
溶融炉40の最高温度は、例えば、燃焼・溶融帯40cにおいて1600℃以上となる。このように溶融炉40内で、十分に高い温度で加熱することによって、廃棄物が十分に溶解して溶融スラグの流動性が向上し、針状スラグの生成を抑制することができる。溶融炉40の最高温度は、例えば1800℃以下であってよく、1700℃以下であってもよい。
【0033】
出滓口49からの溶融スラグの出滓は、連続的に行ってもよいし(連続出滓)、間欠的に行ってもよい(間欠出滓)。間欠出滓の際の出滓の間隔は、例えば30分間以上であってよく、1時間以上であってもよい。出滓口49から出滓される溶融スラグは、冷却水が収容された水砕槽10に導入され水砕される。
【0034】
図2は、水砕槽10を模式的に示す図である。溶融炉40の下方に設置された水砕槽10には、溶融炉40の出滓口49から出滓された溶融スラグ20が導入される。水砕槽10には冷却水12が収容されており、溶融スラグ20は冷却水12に落下する。溶融スラグ20は、出滓口49から冷却水12に到達するまでの間、大気と接触することによって温度が低下し、粘度が上昇する。
【0035】
冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の粘度は、5Pa・s以下である。ここで、「接触する際の溶融スラグの粘度」とは、冷却水12に接触する直前の溶融スラグの粘度を意味する。通常、出滓口49から水砕槽10の冷却水12に向かって落下する溶融スラグ20の温度は、冷却水12に近づくにつれて徐々に低下する。そして、冷却水12に接触する際の温度が溶融スラグ20の最低温度となり、このときの粘度が溶融スラグ20の粘度の最大値となる。そこで、冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の粘度を5Pa・s以下にすることによって、溶融スラグ20の糸引き現象を抑制し、針状スラグの生成を抑制することができる。
【0036】
冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の粘度は、針状スラグを一層低減する観点から、好ましくは4Pa・s以下であり、より好ましくは3Pa・s以下である。当該粘度の下限は、例えば1Pa・sであってよい。この粘度は、装入する副資材の組成及び装入量を変えることによって調整してよい。
【0037】
冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の温度(つまり、溶融スラグ20の最低温度)は、1300~1400℃であってよい。出滓口49における溶融スラグ20と、冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の温度差は、40℃以上であってよく、100℃以上であってもよい。当該温度差は、冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の粘度を低くする観点から、300℃未満であってよい。この温度差は、溶融スラグが落下する雰囲気の温度、出滓口49と冷却水12の水面までの距離を変えることによって調節することができる。
【0038】
溶融炉40の最高温度と冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の温度との差は、200℃以上であってよく、250℃以上であってもよい。当該差は、冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の粘度を低くする観点から、400℃未満であってよい。
【0039】
冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の温度を測定する工程を、冷却水12の水面の上方に設けられた温度測定器25を用いて行ってもよい。温度測定器25は、放射式温度測定器であってよい。溶融スラグ20の組成が一定であれば、冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の温度を監視することで、冷却水12に接触する際の溶融スラグ20の粘度を目標範囲内に安定的に維持することができる。
【0040】
水砕槽10の冷却水12中には、水砕ノズル14が設けられている。水砕ノズル14には、例えば図示しないポンプが接続されており、水砕ノズル14は、ポンプから供給された冷却水を吐出する。これによって、冷却水12の表層部分に水流が生じる。この水流と、溶融スラグ20とが衝突することによって、溶融スラグ20が円滑に冷却及び水砕される。
【0041】
水砕槽10内の冷却水12は、溶融スラグ20との接触によって温度が上昇する。このため、図示しない冷却機を用いて、水砕槽10内の冷却水12の温度を所定の範囲に制御してもよい。溶融スラグ20は、水砕槽10中の冷却水12と接触することによって冷却されるとともに粒状化し、水砕スラグとなる。水砕スラグは、水砕槽10の底部に設けられたスクレーパコンベア15によって搬送され、水砕槽10の外部に排出される。このようにして水砕スラグが得られる。このようにして得られる水砕スラグは、針状スラグの含有量が十分に低減されている。このため、後工程における作業効率を向上することができる。
【0042】
廃棄物溶融処理方法は、一例として、水砕スラグを粉砕及び分別して針状スラグの含有量が0.5質量%以下の廃棄物溶融スラグ粉末を得る工程を有していてよい。この工程は、
図1の粉砕部30及び篩い分け部35において行うことができる。水砕スラグがメタルを含む場合、粉砕部30の前又は後において、磁選機によってメタル分を除去又は低減してもよい。粉砕部30における粉砕は、破砕装置及び磨砕装置の少なくとも一方を用いて行ってよい。破砕装置の例としては、回転歯と固定歯を備える破砕室内で水砕スラグを粉砕するタイプのもの(衝撃破砕式)が挙げられる。磨砕装置の例としては、回転ドラムによって溶融スラグの壁面を形成し、上方から投入する溶融スラグとの間で流動及び磨砕するタイプのもの(高速遠心方式)が挙げられる。
【0043】
粉砕部30による粉砕は、水砕スラグの粒径が例えば5mm以下、好ましくは2.5mm以下となるように行ってよい。その後、篩い分け部35において篩い分けを行い、粗大なスラグ粒子を除去してもよい。ふるいとしては、例えば、JIS Z8801-1:2006に規定する公称目開きが4~11.2mmである金属製網ふるいを用いてよい。このようなふるいを通過した粉末を、廃棄物溶融スラグ粉末として得ることができる。
【0044】
なお、このような篩い分けを行っても、ふるいの目開きよりも細い針状スラグは、ふるいを通過して、廃棄物溶融スラグ粉末に含まれる。本実施形態の水砕スラグは、針状スラグの含有量が十分に低減されているため、廃棄物溶融スラグ粉末における針状スラグの含有量を十分に低くすることができる。したがって、廃棄物溶融スラグ粉末を得るまでの作業効率を十分に向上することができる。
【0045】
上述の廃棄物溶融処理方法のうち、廃棄物溶融スラグ粉末を得る態様については、廃棄物溶融スラグ粉末の製造方法ということもできる。すなわち、一実施形態に係る廃棄物溶融スラグ粉末の製造方法は、上述の廃棄物溶融処理方法と同様にして実施することができる。
【0046】
このようにして得られる廃棄物溶融スラグ粉末は、針状スラグの含有量が十分に低減されている。一実施形態に係る廃棄物溶融スラグ粉末における針状スラグの含有量は、0.5質量%以下であり、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。このように、鋭利な針状スラグの含有量を十分に低減することによって、作業効率を一層向上することができる。当該針状スラグの含有量の下限は、製造を容易にする観点から、0.005質量%以上であってよい。
【0047】
廃棄物溶融スラグ粉末は、出滓口49から出滓される溶融スラグ20と同様の組成を有していてよい。すなわち、廃棄物溶融スラグ粉末におけるMgO及びFeOの合計含有量は、好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは6質量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上である。このような廃棄物溶融スラグ粉末は、針状スラグに分類されないような針状成分の含有量も十分に低減されている。同様の観点から、廃棄物溶融スラグ粉末におけるMgOの含有量は1質量%以上であってよい。溶融スラグにおけるFeOの含有量は1質量%以上であってよい。
【0048】
副資材の装入量を低減して製造コストを低減する観点から、廃棄物溶融スラグ粉末におけるMgO及びFeOの合計含有量は20質量%未満であってよく、15質量%未満であってもよい。同様の観点から、廃棄物溶融スラグ粉末におけるMgOの含有量は12質量%未満であってよく、10質量%未満であってもよい。同様の観点から、廃棄物溶融スラグ粉末におけるFeOの含有量は15質量%未満であってよく、12質量%未満であってもよい。
【0049】
廃棄物溶融スラグ粉末は、MgO及びFeO以外の成分を含んでいてもよい。例えば、CaO、SiO2、Al2O3及びMnOからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。廃棄物溶融スラグ粉末の塩基度(CaO/SiO2)は0.5~1.2であってよい。
【0050】
廃棄物溶融スラグ粉末の粒度は、JIS Z8801-1:2006に規定する公称目開きが4.75mmである金属製網ふるいを、質量百分率で好ましくは85%以上、より好ましくは100%通過するものであることが好ましい。このような粒度を有する廃棄物溶融スラグ粉末は、ハンドリング性に優れるとともに、種々の用途に好適に用いることができる。
【0051】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、廃棄物溶融処理設備の構造及び形状は、図示したものに限定されない。
【実施例0052】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0053】
[予備実験]
<針状スラグの刺さり易さに関する試験>
図1,2に示すようなコークスベッド式の溶融炉を備える廃棄物溶融処理設備で廃棄物溶融スラグ粉末を製造した。得られた廃棄物溶融スラグ粉末から、針状形状を有するスラグを取り出し、長さに応じて以下の(1)~(3)の3つに分類した。ここでいう「長さ」とは、針状形状を有するスラグの両端部を結ぶ線分の長さである。
(1)長さ:10mm以上
(2)長さ:5mm以上、且つ10mm未満
(3)長さ:5mm未満
【0054】
図3は、10mm以上の長さを有する針状のスラグの写真である。
図3(A)は針状形状を有するスラグの全体を示しており、
図3(B)は、
図3(A)から任意に選択した一本のスラグの両端部のうち太さが小さい方の端部(先端部)を拡大して示している。
図4は、5mm以上、且つ10mm未満の長さを有するスラグの写真である。
図4(A)は針状形状を有するスラグの全体を示しており、
図4(B)は、
図4(A)から任意に選択した一本のスラグの両端部のうち太さが小さい方の端部(先端部)を拡大して示している。
図5は、5mm未満の長さを有するスラグの写真である。
図5(A)は針状形状を有するスラグの全体を示しており、
図5(B)は、
図5(A)から任意に選択した一本のスラグの両端部のうち太さが小さい方の端部(先端部)を拡大して示している。
【0055】
針状形状を有する各スラグの先端部の太さを計測した。スラグの長さ及び太さの計測は、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス、型式:VHX-6000)を用い、可視倍率20~2000倍で行った。計測は、(1)~(3)の各分類において4~5個ずつ行った。計測結果は表1に示すとおりであった。
【0056】
【0057】
表1に示すとおり、スラグの長さが大きくなるほど、先端部が細くなり、鋭利になる傾向にあることが確認された。次に、スラグの両端部を親指と人差し指に押し当てるようにして把持し、親指と人差し指を近づけて10秒間把持した。その後、親指と人差し指を離した際にスラグが指に刺さるか否かを評価した。分類(1)~(3)から4~5本ずつスラグを選定し、1本日毎回同程度の力で把持して評価を行った。全てのスラグが刺さった場合を「D」、3~4本のスラグが刺さった場合を「C」、1~2本のスラグが刺さった場合を「B」、1本も指に刺さらずに全て落下した場合を「A」と評価した。評価結果は表2に示すとおりであった。
【0058】
【0059】
表2に示すとおり、スラグの長さが大きくなるほど、先端部が細くなるため、落下せずに指に刺さり易くなることが確認された。5mm以上の長さを有するスラグは、5mm未満の長さを有するスラグよりも、明らかに指に刺さり易いことから、長さが5mm以上のスラグを「針状スラグ」と称し、この「針状スラグ」の含有量を抑制する条件を検討することとした。
【0060】
[実施例1]
図1,2に示すようなコークスベッド式の溶融炉を備える廃棄物溶融処理設備で廃棄物溶融スラグ粉末を製造した。装入装置から、主として一般廃棄物及び産業廃棄物を含む廃棄物と、炭材としてコークスと、副資材として表3に示す組成を有するドロマイトを添加した。廃棄物100質量部に対して、炭材を4質量%、ドロマイトを2質量%装入した。溶融炉における最高温度は、1600℃であった。溶融炉の運転が安定状態にあるときに、出滓口における溶融スラグの温度を放射式温度計で測定したところ1500℃程度であった。この溶融スラグを白金坩堝にサンプリングした。
【0061】
溶融スラグが水砕槽に向かって落下し、水砕槽中の冷却水に接触する直前の温度を放射式温度計で測定したところ、1362℃であった。そこで、上述のとおり白金坩堝にサンプリングした溶融スラグ(約1500℃)を、白金坩堝に入れ、坩堝内でローターを回転させながら徐々に温度を下げ、1362℃における粘度を測定した。その結果は表4に示すとおりであった。溶融スラグ中のFeO含有量を、JIS A5011-3:2016に準拠して測定した。また、溶融スラグ中のMgO含有量を、JIS A5011-3:2016に準拠して測定した。測定結果は、表4に示すとおりであった。
【0062】
水砕槽に導入して得られた水砕スラグを回収し、磁選機でメタルを除去した後、衝撃破砕式の破砕装置及び高速遠心方式の磨砕装置を用いて粉砕した。粉砕した水砕スラグの篩い分けを、篩目5mmのふるい(JIS Z8801-1:2006に規定する公称目開き:4.75mm)を用いて行った。このふるいを通過した粉末を、実施例1の廃棄物溶融スラグ粉末とした。
【0063】
得られた廃棄物溶融スラグ粉末(10g)から、針状スラグを選別し、針状スラグの総質量を測定し、質量比率を求めた。この結果を、針状スラグの含有量として表4に示す。また、廃棄物溶融スラグ粉末中のFeO含有量及びMgO含有量を、溶融スラグを分析する際と同じ方法で測定した。測定結果は、表4に示すとおりであった。
【0064】
[実施例2]
副資材として、ドロマイトに変えて表3に示す組成を有する鉄鋼スラグを、廃棄物100質量%に対して3質量%装入したこと以外は、実施例1と同様にして廃棄物溶融処理設備の運転を行った。実施例1と同様にして溶融スラグをサンプリングし、溶融スラグが水砕槽中の冷却水に接触する直前の温度における粘度を測定した。また、実施例1と同様にして得られた廃棄物溶融スラグ粉末における針状スラグの含有量を求めた。これらの結果は表4に示すとおりであった。
【0065】
[比較例1]
副資材として、ドロマイトに変えて表3に示す組成を有する石灰石を装入したこと以外は、実施例1と同様にして廃棄物溶融処理設備の運転を行った。実施例1と同様にして溶融スラグをサンプリングし、溶融スラグが水砕槽中の冷却水に接触する直前の温度における粘度を測定した。また、実施例1と同様にして得られた廃棄物溶融スラグ粉末における針状スラグの含有量を求めた。これらの結果は表4に示すとおりであった。
【0066】
【0067】
【0068】
表4に示すとおり、冷却水に接触する直前の溶融スラグの粘度を低くすることによって、針状スラグの含有量を小さくできることが確認された。
図6は、比較例1の廃棄物溶融スラグ粉末の写真である。写真の下側に示されるとおり、廃棄物溶融スラグ粉末には、針状スラグが比較的多く含まれていた。一方、実施例1,2では、これよりも針状スラグの含有量が大幅に低かった。
【0069】
[比較例2-1,2-2、実施例3-1,3-2]
副資材として用いる、鉄鋼スラグ及びドロマイトの配合比を変えて、溶融スラグ(廃棄物溶融スラグ粉末)の組成を変えたときの粘度の変化を調べた。具体的には、塩基度(CaO/SiO2)を0.9程度に維持した状態で、溶融スラグにおけるFeOの含有量を1.4~1.7質量%とするため、廃棄物100質量%に対して鉄鋼スラグを1~2質量%添加した。蛍光X線分析装置(Spectris社製、装置名:Epsilon3)を用いて、出滓口より排出された溶融スラグの化学成分値を適宜測定しながら、ドロマイトの添加量を0~5質量%の範囲で調整して、表5に示すとおりMgOの含有量を変化させた。表5に示す各組成において、冷却水に接触する直前の溶融スラグの粘度を測定した。その結果は、表5に示すとおりであった。
【0070】
【0071】
[実施例4-1~4-4]
副資材として用いる、鉄鋼スラグ及びドロマイトの配合比を変えて、溶融スラグ(廃棄物溶融スラグ粉末)の組成を変えたときの粘度の変化を調べた。具体的には、塩基度(CaO/SiO2)を0.9程度に維持した状態で溶融スラグにおけるMgOの含有量を1.7~2.1質量%とするため、廃棄物100質量部に対してドロマイトを1~2質量部添加した。蛍光X線分析装置(Spectris社製、装置名:Epsilon3)を用いて、出滓口より排出された溶融スラグの化学成分値を適宜測定しながら、鉄鋼スラグの添加量を0~8質量%の範囲で調整して、表6に示すとおりFeOの含有量を変化させた。表6に示す各組成において、冷却水に接触する直前の溶融スラグの粘度を測定した。その結果は、表6に示すとおりであった。
【0072】
【0073】
図7は、表5と表6のデータをプロットしたグラフである。すなわち、
図7は、溶融スラグのFeOとMgOの合計含有量と、冷却水に接触する直前の溶融スラグの粘度との関係を示している。FeOとMgOの合計含有量を大きくすれば、冷却水に接触する直前の溶融スラグの粘度を小さくできることが確認された。
【0074】
[参考例1]
図8は、市場で流通している廃棄物溶融スラグ粉末の写真である。写真の下側に示されるとおり、廃棄物溶融スラグ粉末には、針状スラグが比較例1よりも多く含まれていた。この廃棄物溶融スラグ粉末における針状スラグの含有量は1質量%であった。
本開示によれば、作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融処理方法を提供することができる。また、作業効率を向上することが可能な廃棄物溶融スラグ粉末及びその製造方法を提供することができる。
10…水砕槽、12…冷却水、14…水砕ノズル、15…スクレーパコンベア、20…溶融スラグ、25…温度測定器、30…粉砕部、35…篩い分け部、40…溶融炉、40a…乾燥・予熱帯、40b…熱分解帯、40c…燃焼・溶融帯、41…コークス充填層、42…シャフト部、43…熱分解残渣、44…朝顔部、45…上段羽口、46…炉底部、47…下段羽口、48…廃棄物、49…出滓口、50…装入装置、52…排ガス管、100…廃棄物溶融処理設備。