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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179074
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】スピーカ付き路面描画装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20221125BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B60Q5/00 620D
B60Q5/00 630F
B60Q5/00 670D
B60Q1/34 Z
B60Q5/00 640C
B60Q5/00 650C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086316
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 平祐
(72)【発明者】
【氏名】北澤 由希子
(72)【発明者】
【氏名】田邉 浩一
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA13
3K339BA22
3K339CA30
3K339EA04
3K339EA09
3K339GA13
3K339GB01
3K339GC05
3K339HA03
3K339HA12
3K339KA39
3K339LA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】路面描画でメッセージを伝えたい人を音で注意を引きつつ、それ以外の人の注意をひきにくい、スピーカ付き路面描画装置を提供する。
【解決手段】スピーカ付き路面描画装置1は、ハウジング2と、投射方向へ音を発するスピーカユニット10と、路面に光を投射して像を表示する路面描画ユニット20と、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが揃った姿勢で、スピーカユニット10と路面描画ユニット20とをハウジング2に対して支持する支持部材3と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
投射方向へ音を発するスピーカユニットと、
路面に光を投射して像を表示する路面描画ユニットと、
音の前記投射方向と光の前記投射方向とが揃った姿勢で、前記スピーカユニットと前記路面描画ユニットとを前記ハウジングに対して支持する支持部材と、
を有するスピーカ付き路面描画装置。
【請求項2】
前記支持部材を左右方向に旋回させるスイブル機構を介して、前記支持部材は前記ハウジングに取り付けられている、請求項1に記載のスピーカ付き路面描画装置。
【請求項3】
前記スピーカユニットは、振動板と、電気信号に応じて前記振動板を振動させるボイスコイルと、を有し、
前記路面描画ユニットは、路面に描画する像を生成する画像生成部と、前記画像生成部から出射される光を屈折および/または反射させて路面に投射する光学部材と、を有し、
前記ボイスコイルと前記画像生成部が前記支持部材に固定されている、請求項1に記載のスピーカ付き路面描画装置。
【請求項4】
前記光学部材の少なくとも一部はアウタカバーに設けられ、
前記アウタカバーのうち前記振動板に向かい合う部位に貫通孔が設けられている、請求項3に記載のスピーカ付き路面描画装置。
【請求項5】
前記路面描画ユニットにより光が発せられるタイミングに遅れて前記スピーカユニットにより音が発せられる、請求項1に記載のスピーカ付き路面描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ付き路面描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、光源とスピーカとを有するスピーカ付ランプが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2010-208535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、路面描画装置にスピーカを搭載し、路面描画を通じて特定の人に特定のメッセージを送る際に、音によりその人の注意を引くことを検討した。
しかしながら、音は光に比べて広がりやすい。このため、路面描画を通じて特定の人に特定のメッセージを送りたいにも関わらず、音で注意を喚起しようとすると、メッセージを送りたい人以外の人の注意も引き付けてしまう。
そこで本発明は、路面描画でメッセージを伝えたい人を音で注意を引きつつ、それ以外の人の注意をひきにくい、スピーカ付き路面描画装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係るスピーカ付きランプは、
ハウジングと、
投射方向へ音を発するスピーカユニットと、
路面に光を投射して像を表示する路面描画ユニットと、
音の前記投射方向と光の前記投射方向とが揃った姿勢で、前記スピーカユニットと前記路面描画ユニットとを前記ハウジングに対して支持する支持部材と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、路面描画でメッセージを伝えたい人を音で注意を引きつつ、それ以外の人の注意をひきにくい、スピーカ付き路面描画装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】スピーカ付き路面描画装置が搭載された車両を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置の正面図である。
図3】スピーカ付き路面描画装置の一部を上方から見た断面図である。
図4】スピーカユニットに入力する電気信号および路面描画ユニットに入力する電気信号のタイミングチャートである。
図5】本発明の第二実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置の正面図である。
図6】第二実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置の上面図である。
図7】本発明の第三実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置の正面図である。
図8】第三実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0009】
図1は、本実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置1が搭載された車両Vが三叉路に進入しようとする様子を描いている。図1に示したように、本実施形態のスピーカ付き路面描画装置1は、車両Vに搭載される。図示した例では、スピーカ付き路面描画装置1は、車両Vの前右部と前左部のそれぞれに搭載されている。なお、車両Vの前右部と前左部のそれぞれに搭載されたスピーカ付き路面描画装置1は互いに同じ構造である。
【0010】
図2は、本発明の第一実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置1の正面図である。図2に示したように、スピーカ付き路面描画装置1は、スピーカユニット10と、路面描画ユニット20とを備えている。図3は、スピーカ付き路面描画装置1の一部を上方から見た断面図である。図3に示したように、スピーカ付き路面描画装置1は、ハウジング2と、スピーカユニット10と、路面描画ユニット20と、支持部材3を備えている。
【0011】
スピーカユニット10は、投射方向へ音を発する。スピーカユニット10は、公知のスピーカにより構成することができる。図示した例では、スピーカユニット10は、ボイスコイル11と、永久磁石12と、ヨーク13と、コーン14(振動板)を備えている。ボイスコイル11に電気信号を供給すると、ボイスコイル11に生じた磁力と永久磁石12の磁力とが反発しあい、また、互いに引き寄せられ、ボイスコイル11が振動する。このボイスコイル11の振動がコーン14に伝達され、コーン14が振動することにより音が生じる。本例では、例えば、スピーカユニット10は「右折します」といった音声案内や、ビープ音など特有の音などを生じさせる。
【0012】
路面描画ユニット20は、路面に光を投射して像Zを表示させる。本実施形態においては、路面描画ユニット20は、車両Vの曲がる方向を歩行者や自転車に登場している人など周囲の交通他者に知らせる線分を表示する。図示した例では、路面描画ユニット20は、光源21(画像生成部)と、遮光部材22と、投影レンズ23(光学部材)を備えている。遮光部材22には、表示する線分に対応する形状のスリットが設けられている。光源21から出射された光の一部は遮光部材22に遮られ、スリットを通過した光のみが投影レンズ23に入射する。投影レンズ23は、スリットを通過した光を屈折させて路面描画ユニット20の前方の路面へ投影し、路面に線分が表示される。
【0013】
このスピーカユニット10と路面描画ユニット20とは、共通の支持部材3を介してハウジング2に支持されている。スピーカユニット10による音の投射方向Xと、路面描画ユニット20による光の投射方向Yとが揃った姿勢で、スピーカユニット10と路面描画ユニット20は支持部材3に支持されている。図示した例では、音の投射方向Xはスピーカ付き路面描画装置1の前方、光の投射方向Yもスピーカ付き路面描画装置1の前方である。なお、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが揃う、とは、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが一致している、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが平行である、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが20度以内の角度で交差している、ことを含む。
【0014】
本実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置1によれば、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが一致するように、スピーカユニット10と路面描画ユニット20とをハウジング2に対して支持する支持部材3が設けられている。このため、音の投射方向Xと光の投射方向Yとが一致しているため、路面に描画された像Zに向けてその周囲の人の注意を音で引くことができる。また、路面に描画された像Zの周囲以外には音が広がりにくいため、路面描画でメッセージを伝えたい人だけを音で注意をひきやすい。
【0015】
より詳細に、図1を用いて本実施形態のスピーカ付き路面描画装置1により効果を説明する。
交通他者に対して注意喚起を行うに際して、本発明者は、光による注意喚起に加えて、音による注意喚起を与えることを考えた。例えばスマートフォンを注視している歩行者には、光により路面に線分の像Zを表示するだけでは、注意を引くことが難しい。そこで、音による注意喚起を行えば、このような交通他者に対して有効に注意喚起を行うことができる。
ところで、光源21の種類や投影レンズ23の形状などにもよるが、総じて光は広がりにくい傾向がある。しかしながら、音は光に比べて広がりやすい傾向がある。このため、光と音により注意喚起を行うに際して、光による注意喚起を与えたい交通他者以外に、音による注意喚起を与えてしまう場合があることに本発明者は気が付いた。
図1に示した例では、本実施形態のスピーカ付き路面描画装置1を搭載した車両Vは、右折をしたいものとする。このとき、車両Vの右前方にいる交通他者Aに対して、その交通他者Aが車両Vの予定進路上にいることを注意喚起したい。しかしながら、車両Vの左前方にいる交通他者Bに対しては、そのような通知をする必要がない。むしろ、不要な注意喚起が多数届けられると注意喚起に対する注目度が低下してしまい、注意喚起が必要な場合にその注意喚起に気が付いてもらえない可能性がある。このため、注意喚起が必要な時にのみ、その交通他者に注意喚起を行いたい。
本実施形態のスピーカ付き路面描画装置1によれば、車両Vの前右部に設けられたスピーカ付き路面描画装置1の音の投射方向Xおよび光の投射方向Yは、いずれも車両Vの右前方に延びている。このため、車両Vの前方や、車両Vの左前方に位置する交通他者に対して光と音が届きにくく、路面描画でメッセージを伝えたい人だけを音で注意をひきやすい。
【0016】
なお図3に示したように、スピーカ付き路面描画装置1は、支持部材3を左右方向に旋回させるスイブル機構30を介して、支持部材3はハウジング2に取り付けられていることが好ましい。
支持部材3は、板状の部品である。支持部材3の表面には、スピーカユニット10のボイスコイル11と路面描画ユニット20の光源21が固定されている。支持部材3のハウジング2と向かい合う背面に、スイブル機構30が設けられている。スイブル機構30は、支持部材3の背面に固定された第一ギヤ31と、出力軸部に第二ギヤ32が固定されたモータ33とにより構成されている。モータ33はハウジング2に固定されている。図示した例ではモータ33の出力軸線は上下方向に延びている。
【0017】
モータ33の出力軸部が回転すると、第二ギヤ32が回転し、第一ギヤ31が旋回する。第一ギヤ31に固定された支持部材3が左右方向に旋回する。支持部材3には、投射方向X,Yが揃ったスピーカユニット10と路面描画ユニット20とが固定されている。このため、支持部材3が旋回すると、スピーカユニット10と路面描画ユニット20は、互いの投射方向がともに左右方向に旋回する。このため、一つのスピーカ付き路面描画装置1により、広範囲に音と光を放射することができる。
【0018】
本実施形態のスピーカ付き路面描画装置1において、光学部材(投影レンズ23)の少なくとも一部はアウタカバー6に設けられ、アウタカバー6のうち振動板に向かい合う部位に貫通孔7が設けられていてもよい。
図3に示した例では、投影レンズ23がアウタカバー6に設けられており、アウタカバー6のコーン14に向かい合う部位に貫通孔7が設けられている。
ハウジング2とアウタカバー6とで形成される空間内にスピーカユニット10と路面描画ユニット20を配置することにより、スピーカユニット10と路面描画ユニット20を埃や水などから保護しやすい。
また、このようにして設けたアウタカバー6に投影レンズ23を設けることにより、部品点数を削減することができる。さらに、アウタカバー6に貫通孔7を設け、この貫通孔7からのみ音が発するように構成することにより、音の放射範囲を制御しやすい。
【0019】
図4は、スピーカユニット10のボイスコイル11に入力する電気信号および路面描画ユニット20の光源21に入力する電気信号のタイミングチャートである。図4に示したように、路面描画ユニット20により光が発せられるタイミングに遅れてスピーカユニット10により音が発せられるように制御することが好ましい。
【0020】
本実施形態では、路面描画ユニット20は線分を点滅させて像Zを表示する。このため、光源21には、ON信号とOFF信号を交互に入力している。また、スピーカユニット10は警報音を一定時間出力し、一定時間休止するというサイクルを繰り返す。このため、ボイスコイル11にもON信号とOFF信号を交互に入力している。
この際に、光と音を同時に出力すると、人間の反応時間が遅れるため、光の発せられるタイミング(ON信号が立ち上がるタイミング)に遅れてスピーカユニット10から音が発せられるようにボイスコイル11へON信号を入力する。遅れ時間Tは、0.1秒以上1秒未満が好ましい。より好ましくは、0.3秒以上0.7秒未満である。
【0021】
なお、スピーカ付き路面描画装置1の構成は、図2および図3に示したものに限られない。図5および図6は、本発明の第二実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置1Aを示す。図5は正面図、図6は上面図である。
図5に示したように、スピーカ付き路面描画装置1は、左右に配置された一対の路面描画ユニット20Aと、路面描画ユニット20Aの間に設けられた単一のスピーカユニット10Aを有していてもよい。このとき、図6に示したように、左路面描画ユニット20Aが発する光が照射する範囲と、右路面描画ユニット20Aが発する光が照射する範囲とを隔てるように、スピーカユニット10Aが前方に突出する形状としてもよい。
【0022】
図7および図8は、本発明の第三実施形態に係るスピーカ付き路面描画装置1Bを示す。図7は正面図、図8は上面図である。
図7に示したように、スピーカ付き路面描画装置1Bは、正面視で矩形状のスピーカユニット10Bと、スピーカユニット10Bの各辺に設けられた4つの路面描画ユニット20Bを備えていてもよい。図8に示したように、路面描画ユニット20Bは、スピーカユニット10Bの外面に固定された光源21Bと、スピーカユニット10Bの外面に固定されたリフレクタ22Bとにより構成できる。リフレクタ22Bは凹面鏡であり、光源21Bから出射された光を前方へ反射させる。例えばリフレクタ22Bの反射面に、形成したい像Zに対応する形状が切り抜かれた非反射部を設けておくことにより、スピーカ付き路面描画装置1Bの前方に所望の像Zを形成することができる。リフレクタ22Bは、4つの路面描画ユニット20Bで共通とされている。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0024】
例えば上述した実施形態では、路面描画ユニットはスリットにより像を形成する例を説明したが、本発明はこれに限られない。多数の光源の点消灯を制御することにより任意の像を形成する路面描画ユニットや、MEMSミラーを制御することにより任意の像を形成する路面描画ユニットを用いてもよい。
【0025】
例えば上述した実施形態では、ボイスコイルを用いたスピーカユニットを説明したが、本発明はこれに限られない。本実施形態のスピーカユニットとして、より指向性の高いパラメトリックスピーカを用いることが好ましい。パラメトリックスピーカとして、音信号を振幅変調して超音波のキャリアに載せて発する方式を採用できる。あるいはパラメトリックスピーカとして、固定周波数の超音波を出力しつつ、周波数変調をかけたもう一つの超音波を発し、その2つの超音波の周波数差から生じるうねりを音信号として生成する方式を採用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 路面描画装置
2 ハウジング
3 支持部材
6 アウタカバー
7 貫通孔
10 スピーカユニット
11 ボイスコイル
12 永久磁石
13 ヨーク
14 コーン
20 路面描画ユニット
21 光源
22 遮光部材
23 投影レンズ
30 スイブル機構
31 第一ギヤ
32 第二ギヤ
33 モータ
V 車両
X 音の投射方向
Y 光の投射方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8