(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179078
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20221125BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20221125BHJP
A61C 17/34 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61C17/22 B
A46B13/02
A61C17/34 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086321
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】510227263
【氏名又は名称】シースター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】山藤 清隆
(72)【発明者】
【氏名】山中 九美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕明
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202AB06
3B202AB07
3B202BC05
3B202BE10
3B202GA04
3B202GA10
(57)【要約】
【課題】より効果的に幼児に正しい歯磨きの仕方を習得させ、正しい歯磨きの習慣を身に着けさせることが可能な電動歯ブラシを提供すること。
【解決手段】
電動歯ブラシであって、ブラシ部と、ブラシ部に付与する振動を発生する振動モータと、LEDとスピーカとを有する報知手段と、振動モータ及び報知手段を収容し、ブラシ部と連結する本体部と、振動モータを複数の振動パターンで振動するように振動制御するとともに、報知手段を複数の報知パターンで報知するように報知制御する制御部と、を有し、制御部は、振動モータが第一の振動パターンで振動を開始する前に、第一の振動パターンの開始を予告する第一の報知パターンで前記報知手段を報知制御する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ部と、
該ブラシ部に付与する振動を発生する振動発生部と、
発光部と音声出力部とを有する報知手段と、
前記振動発生部及び前記報知手段を収容し、前記ブラシ部と連結する本体部と、
前記振動発生部を複数の振動パターンで振動するように振動制御するとともに、前記報知手段を複数の報知パターンで報知するように報知制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記振動発生部が第一の振動パターンで振動を開始する前に、前記第一の振動パターンの開始を予告する第一の報知パターンで前記報知手段を報知制御することを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記発光部は、互いに異なる発光色を有する複数のLEDからなり、
前記第一の報知パターンにおいて、前記複数のLEDが順次切り替わるように発光するととともに、前記音声出力部が前記振動発生部の振動開始を予告する音声メッセージを出力することを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記制御部は、前記振動発生部が、前記第一の振動パターンによる振動を終了してから、第二の振動パターンによる振動を開始するまでの間に、前記第二の振動パターンの開始を予告する第二の報知パターンで前記報知手段を報知制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記第二の報知パターンは、前記第二の振動パターンの開始前後における発光色の中間色で前記発光部が発光するとともに、前記音声出力部が前記第二の振動パターンの開始を予告する音声メッセージを出力することを特徴とする請求項3に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記制御部は、前記振動発生部が所定の振動パターンによる振動を終了した後に、前記複数の振動パターンによる前記振動制御が終了したことを告知する第三の報知パターンで前記報知手段を報知制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記本体部は、前記ブラシ部と連結する連結部と、前記連結部から前記ブラシ部とは反対側に延びる把持部を有し、
前記把持部は、その外周における同一円周上において互いに離間した位置に三以上の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに係り、特に、報知手段を有する電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
6歳以下の幼児の乳歯は、一般的に、3歳までにすべての歯が生え揃うと言われている。すなわち、上顎から10本、下顎から10本で合計20本の乳歯が生え揃う。乳歯は、幼児の顎の骨の成長とともに、永久歯に生え変わる。乳歯から永久歯に生え変わるまでの間、永久歯は、乳歯の奥で成長を続けている。そのため、乳歯が虫歯になると、永久歯にも悪影響を及ぼすと言われている。
したがって、幼児期において正しい歯磨きを行うことは、乳歯だけでなく、永久歯の虫歯を防ぐためにも重要である。そして、幼児期において正しい歯磨きの習慣を身に着けることが、成長後の歯の健康を維持するために不可欠である。
【0003】
しかしながら、乳歯は、永久歯と比べて柔らかく、酸に弱いため、虫歯にかかりやすく、虫歯になるとその進行も速い。そして幼児は、歯磨きを好まない傾向が強い。そのため、子供に歯磨きの習慣を身に着けさせ、正しい歯磨きの方法を習得させることは、親にとって頭を悩ませる課題となっている。
そこで、発光部材やスピーカを内蔵し、光や音声を用いることで、歯磨きをするときに幼児に楽しみを与え、同時に歯磨きの正しい方法を教示する機能を有する歯ブラシが提案されている。
【0004】
特許文献1には、互いに異なる発光色を有する複数の発光ダイオードを内蔵し、複数の発光色のうち、子供が選択した発光色で発光ダイオードを点灯制御する電動歯ブラシが記載されている。これにより、子供は自分の好みの色で歯ブラシを発光させながら歯磨きを行うことができるため、歯磨きに対して楽しみを感じさせることができる。
【0005】
特許文献2には、スピーカを内蔵し、子供に対して歯磨き方法を音声案内する歯ブラシが記載されている。また、歯磨きの終了後に、正しい歯磨き方法に従って歯磨きが行われたか否かを判定し、判定結果に基づいて発光ダイオードを点灯制御することが記載されている。これにより、子供は正しい歯磨きの仕方を理解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-185141号公報
【特許文献2】特表2009-526607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載された歯ブラシによれば、幼児は歯磨きに楽しみを感じることができ、正しい歯磨きの仕方を理解することができる。
しかしながら、より効果的に幼児に正しい歯磨きの仕方を習得させ、正しい歯磨きの習慣を身に着けさせるために、さらなる改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より効果的に幼児に正しい歯磨きの仕方を習得させ、正しい歯磨きの習慣を身に着けさせることが可能な電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の電動歯ブラシによれば、ブラシ部と、該ブラシ部に付与する振動を発生する振動発生部と、発光部と音声出力部とを有する報知手段と、前記振動発生部及び前記報知手段を収容し、前記ブラシ部と連結する本体部と、前記振動発生部を複数の振動パターンで振動するように振動制御するとともに、前記報知手段を複数の報知パターンで報知するように報知制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記振動発生部が第一の振動パターンで振動を開始する前に、前記第一の振動パターンの開始を予告する第一の報知パターンで前記報知手段を報知制御することにより解決される。
【0010】
上記構成によれば、制御部は、振動発生部を複数の振動パターンで振動するように制御するとともに、報知手段を複数の報知パターンで報知するように報知制御する。そして、振動発生部が第一の振動パターンで振動を開始する前に、第一の振動パターンの開始を予告する第一の報知パターンで報知手段を報知制御する。これにより幼児は、所定の振動パターンによる振動が開始される前に、事前に歯磨きの開始タイミングとブラシエリアを認識することができる。したがって、電動歯ブラシ1を使用する幼児は、次の振動パターンの開始とともに正しい歯磨きを実践することができ、効果的に、正しい歯磨きの仕方を習得することができるとともに、正しい歯磨きの習慣を身に着けることが可能となる。
【0011】
また、前記発光部は、互いに異なる発光色を有する複数のLEDからなり、前記第一の報知パターンにおいて、前記複数のLEDが順次切り替わるように発光するととともに、前記音声出力部が前記振動発生部の振動開始を予告する音声メッセージを出力すると好適である。
上記構成によれば、歯磨きの仕方を光と音声の両方で報知するため、光及び音声のうち、いずれか一方のみを用いて報知する場合と比べて、より効果的に、正しい歯磨きの仕方を習得することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記振動発生部が、前記第一の振動パターンによる振動を終了してから、第二の振動パターンによる振動を開始するまでの間に、前記第二の振動パターンの開始を予告する第二の報知パターンで前記報知手段を報知制御すると好適である。
上記構成によれば、振動発生部の振動パターンが順次変化するたびに、次の振動パターンに対応した歯磨き方法を、事前に子供たちに認識させることができる。使用者は、次の駆動パターンの開始とともに正しい歯磨きの仕方を実践することができ、効果的に、正しい歯磨きの仕方を習得することができるとともに、正しい歯磨きの習慣を身に着けることが可能となる。
【0013】
また、前記第二の報知パターンは、前記第二の振動パターンの開始前後における発光色の中間色で前記発光部が発光するとともに、前記音声出力部が前記第二の振動パターンの開始を予告する音声メッセージが出力されると好適である。
上記構成によれば、歯磨きの仕方を光と音声の両方で報知するために、光及び音声のうち、いずれか一方のみを用いて報知する場合と比べて、より効果的に、正しい歯磨きの仕方を習得することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記振動発生部が所定の駆動パターンによる振動を終了した後に、前記複数の振動パターンによる前記振動制御が終了したことを告知する第三の報知パターンで前記報知手段を報知制御すると好適である。
上記構成によれば、歯磨きの終了後に、歯磨きを最後までやり遂げたことを称賛する報知を行うことで、幼児に達成感と、自主的に歯磨きを行うモチベーションを与え、正しい歯磨きの習慣を身に着けることが可能となる。
【0015】
また、前記本体部は、前記ブラシ部と連結する連結部と、前記連結部から前記ブラシ部とは反対側に延びる把持部を有し、前記把持部は、その外周における同一円周上において互いに離間した位置に三以上の凹部が形成されていると好適である。
上記構成によれば、使用者が3本の指で把持部を把持したときの使用者の3本の指と対応する位置に凹部が形成されている。このため使用者は、親指、人差し指、及び中指の3本の指を使って電動歯ブラシを確実に把持することができるとともに、乳歯列の適切な位置にブラシ毛3aを位置させて歯磨きを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動歯ブラシによれば、より効果的に、幼児に正しい歯磨きの仕方を習得させ、正しい歯磨きの習慣を身に着けることが可能な電動歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの外観を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの外観を示す側面図である。
【
図4】
図2の内部構造を省略したA-A断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの内部構造を示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの機能構成を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシの振動パターンと報知パターンを示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシによる制御の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る電動歯ブラシ1について説明する。本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、3歳から6歳の幼児(以下、使用者とも呼ぶ)を対象とした電動歯ブラシを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、3歳以下、あるいは6歳以上の小児が使用する電動歯ブラシであってもよい。
【0019】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0020】
<電動歯ブラシ1の主要構成>
本実施形態に係る電動歯ブラシ1の主要構成について説明する。
図1、
図2及び
図3は、それぞれ電動歯ブラシ1の外観を示す斜視図、正面図及び側面図である。電動歯ブラシ1は、3歳から6歳の幼児用である。電動歯ブラシ1のサイズは、全長が約177mm、最大の直径が約24mmであり、幼児が把持して操作することに適した外形寸法を有している。
図1、
図2、及び
図3に示すように、電動歯ブラシ1は、幼児の口腔内に挿入されて幼児の乳歯を清掃するブラシ部2と、ブラシ部2と着脱可能に連結されて、幼児によって把持される本体部6を有している。
【0021】
ブラシ部2は、先端部3と、先端部3から延びて、本体部6と連結する基端部4を有している。
先端部3は、幼児の小さな口腔内で奥歯まで挿入可能な小型サイズに形成されている。そして先端部3は、乳歯及び歯肉に付着した歯垢を擦り落とすブラシ毛3aが植毛されている。
ブラシ毛3aは、乳歯及び歯肉の歯磨きに適した太さと硬さを有している。具体的には、ブラシ毛3aは、ナイロン製、又は飽和ポリエステル樹脂製の繊維の毛束によって構成されている。
【0022】
基端部4は長尺形状を有し、長手方向の一端において先端部3を支持している。そして長手方向の他端において、本体部6と係合する嵌合凹部4a(不図示)が形成されている。嵌合凹部4aは、後述するように、本体部6に形成された嵌合凸部7aと着脱可能に嵌合する。すなわち、ブラシ毛3aが変形等して劣化した場合に、ブラシ部2を本体部6から取り外して新しいブラシ部2を装着することができる。これにより、ブラシ毛3aが劣化してもブラシ部2を交換することによって電動歯ブラシ1を長期にわたって使用し続けることができる。
【0023】
基端部4は、光透過性を有する透明樹脂材料からなるとともに、本体部6側において、その外周面が湾曲面からなる多面体となるように表面加工されたプリズムカット4bが形成されている。後述するように、本体部6の内部には多色のLED22が内蔵されており、LED22が出力する可視光は基端部4に導かれ、プリズムカット4bでさまざまな角度に屈折する。これにより、歯磨きをする幼児は電動歯ブラシ1が輝きを放つように認知する。つまり、プリズムカット4bから出射される可視光は、歯磨きをする幼児に対して興趣と高揚感を与えることができる。
図1から
図3において、プリズムカット4bは、3つの頂点を有し、外側に向けて膨出した多数の湾曲面を接合した多面体によって構成されているが、プリズムカット4bの形状はこれに限定されない。プリズムカット4bは、4以上の頂点を有する湾曲面から構成されていてもよい。
【0024】
透明樹脂材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、フルオレン系透明樹脂、スチレン系透明樹脂、透明ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂などを用いることが可能である。特に、高強度なポリエチレンテレフタレート(PETG)や熱可塑性エラストマー(TPE)を用いると好適である。
【0025】
LED22は、少なくとも赤色LED22R、緑色LED22G、青色LED22Bを含む複数の発光色を出力する発光ダイオードからなり、後述するように制御部20によって所定の発光パターンで発光制御される。発光パターンは、幼児に対して正しい歯磨きの仕方とタイミングを予告する発光パターンと、歯磨きが終了したことを告知する発光パターンを含んでいる。発光パターンの詳細については、後述する。
【0026】
図1から
図3に示すように、基端部4には、カラーリング5が装着されている。カラーリング5は、ピンク色、水色、赤色、緑色、及び黄色のうちのいずれか1つの色で着色されており、幼児が自分の好みの色を有するカラーリング5を選択することができる。これにより、幼児は自分の好みの色のカラーリング5が装着された電動歯ブラシ1を使うことができる。なお、カラーリング5の色の種類は、これに限定されない。
【0027】
本体部6は、ブラシ部2と連結する連結部7と、凹部10が形成された肩部8と、胴体部9とを有している。
連結部7は、上述した基端部4と同様に、光透過性を有する透明樹脂材料からなり、その外周面には、プリズムカット7bが形成されている。
連結部7の先端には、基端部4の嵌合凹部4aと嵌合可能な嵌合凸部7a(不図示)が形成されている。嵌合凸部7aは、嵌合凹部4aと嵌合してブラシ部2を着脱可能に支持することができればよく、その形状及び構造は限定されない。
【0028】
把持部に相当する肩部8は、連結部7よりも外径が大きくなるように拡径し、その外周面には、三つの当接凹部10a、10b、10cが形成された断面略三角形状を有する。具体的には、肩部の外周面における同一円周上において互いに離間した位置に三つの当接凹部10a、10b、10cが形成されている。ここで同一円周上とは、当接凹部10a、10b、10cが完全に同一の円周上に位置する場合だけではなく、当接凹部10a、10b、10cの一部が同一の円周上に重なる場合を含むこととする。肩部8の外周面について、
図4を参照して説明する。
【0029】
図4は、
図2のA-A断面図を示している。
図4に示すように、肩部8は、その外周面において、使用者が肩部8を把持した際に使用者の三本の指と対応する位置に3つの当接凹部10a、10b、10cが形成されている。第一当接凹部10aは、肩部8の右正面側に形成されており、電動歯ブラシ1を右手で把持する使用者の親指と当接する。第二当接凹部10bは、肩部8の左正面側に形成されており、電動歯ブラシ1を右手で把持する使用者の人差し指と当接する。そして第三当接凹部10cは、肩部8の背面側に形成されており、電動歯ブラシ1を右手で保持する使用者の中指と当接する。
【0030】
当接凹部10a、10b、10cは、使用者が親指、人差し指、中指を当接させて電動歯ブラシ1を確実にグリップすることができるように弾性を有するゴム材料によって構成されている。これにより使用者は、親指、人差し指、及び中指で電動歯ブラシ1を3点支持して電動歯ブラシ1を把持し、ブラシ毛3aを、乳歯に対して適切な位置及び角度で当接させることができるため、効果的に歯磨きをすることが可能となる。当接凹部10a、10b、10cは、弾性を有するゴム材料に限らず、滑りにくい素材で構成されていてもよい。また当接凹部10a、10b、10cは、肩部8と同じ素材で、その表面を滑りにくくするための加工を施した構成としてもよい。
【0031】
図1に戻り、胴体部9は円筒形状を有し、その内部には、後述する制御部20及びタイマー25を実装した電装基板と、振動モータ21と、LED22と、スピーカ23と、二次電池26を収容している。
【0032】
胴体部9の外周面には、操作ボタン11が配設されている。操作ボタン11は、電動歯ブラシ1が備える単一の操作部であり、電動歯ブラシ1の電源ボタンの役割を果たしている。
【0033】
胴体部9の底面には、二次電池26を充電するための充電用コネクタと、音声出力部に相当するスピーカ23用の音声出力孔が配設されている(不図示)。音声出力孔を胴体部9の底面に形成することにより、使用者が電動歯ブラシ1を把持した際に、指や手で音声出力孔を閉塞してしまう事態を回避することができ、使用者はスピーカ23が出力する音声メッセージを明確に認識することが可能となる。ただし、音声出力孔の位置は、胴体部9の底面に限定されない。電動歯ブラシ1を把持する使用者の手指によって閉塞されない位置(例えば、胴体部9の下方の外周面上)に形成されていてもよい。
【0034】
図5は、電動歯ブラシ1の部分断面を示す側面図である。
図5に示すように、本体部6の内部には、長手方向に延びる長尺形状の電子基板が収容されている。電子基板には、その一方の面(正面側の面)に操作ボタン11の操作を受け付けるスイッチ24と、制御部20に相当するMPU(マイクロプロセッサ、Micro Processing Unit)と、二次電池26の充電用コネクタが実装されている。
電子基板の他方の面(背面側の面)には、ブラシ部2に対して可視光を出力するLED22と、振動発生部に相当し、ブラシ部2に付与する振動を発生する振動モータ21と、二次電池26と、音声メッセージを出力するスピーカ23が実装されている。
各種の電気部品、及び機械部品を
図5に示す位置に配置することにより、電動歯ブラシ1の重心を、本体部6内の長手方向の中心軸上であって、凹部10の近傍に位置させることができる。これにより、使用者は、凹部10に指を当接させて電動歯ブラシ1を把持することでバランスよく電動歯ブラシ1を支持して操作することが可能となる。
【0035】
なお、電動歯ブラシ1は、生活防水に対応している。具体的には、電動歯ブラシ1は、IEC(国際電気標準会議)が定める保護規格でIPX7相当の防水・防塵性能を有し、所定時間(30分)、一定の水深(1m)に水没しても内部に浸水せず、洗面所でも安心して用いることが可能となっている。
【0036】
<電動歯ブラシ1の機能構成>
次に、電動歯ブラシ1の機能構成について説明する。
図6は、電動歯ブラシ1の機能構成を示している。
上述したように、電動歯ブラシ1は、本体部6の内部に、制御部20と、振動モータ21と、LED22と、スピーカ23と、スイッチ24と、タイマー25と、二次電池26を収容している。
【0037】
制御部20は、電動歯ブラシ1全体の制御を司るMPUによって構成されている。
制御部20は、タイマー25が出力するタイミング信号に基づいて、振動モータ21が複数の振動パターンで振動するように振動制御するとともに、後述する報知制御処理を実行する。これにより制御部20は、LED22及びスピーカ23からなる報知手段を複数の報知パターンで報知制御する。振動パターン及び報知パターンの詳細は、
図6及び
図7を参照して後述する。
【0038】
振動発生部に相当する振動モータ21は、ブラシ毛3aに対して毎分16,000回の振動を付与することが可能な電動回転モータである。振動モータ21が生成する回転運動は、振動モータ21の出力軸に配設された偏心錘によって往復運動に変換される。往復運動は、ブラシ部2の先端部3に伝達されて、先端部3に植毛されたブラシ毛3aが乳歯及び歯肉の表面を摺動する。
振動モータ21は、後述するように、予め定められた振動パターンに基づいて振動制御される。これにより、ブラシ毛3aは、使用者の右上顎歯、左上顎歯、左下顎歯、右下顎歯の順に、その表面を洗浄する。
【0039】
発光部に相当するLED22は、3色のカラーLEDからなる。すなわち、LED22は、赤色光を出力する赤色LED22Rと、緑色光を出力する緑色LED22Gと、青色光を出力する青色LED22Bを有する。
LED22は、後述するように、予め定められた発光パターンに基づいて発光制御されて、使用者が右上顎歯、左上顎歯、左下顎歯、右下顎歯の順に歯磨きを行うタイミングに同期して点灯及び消灯する。これによりLED22は、使用者に対して正しい歯磨きの仕方を報知するとともに、正しい歯磨きのタイミングを予告することができる。
【0040】
音声出力部に相当するスピーカ23は、可聴周波数帯域の音声メッセージを出力する。
スピーカ23は、後述するように、予め定められた音声メッセージを出力するように制御されて、使用者が右上顎歯、左上顎歯、左下顎歯、右下顎歯の順に歯磨きを行うタイミングに同期して音声メッセージを出力する。これによりスピーカ23は、使用者に対して正しい歯磨きの仕方を報知するとともに、正しい歯磨きのタイミングを予告することができる。
【0041】
タイマー25は、クロック発振器と、クロック発振器の出力を計数するカウンターを有する。クロック発振器は、例えば水晶発振器や、セラミック発振器を採用することができる。
タイマー25は、後述するように、使用者が右上顎歯、左上顎歯、左下顎歯、右下顎歯の順に歯磨きを行うべきタイミングを計時して制御部20にタイミング信号を出力する。
【0042】
二次電池26は、電気エネルギーを蓄えることができるリチウムイオン電池である。二次電池26は、胴体部9の底面に形成されたコネクタ(不図示)から供給される電気エネルギーを蓄電し、制御部20と、振動モータ21と、LED22と、スピーカ23と、タイマー25に対して、電気エネルギーを供給する。二次電池26の出力電圧は、必要に応じて、DC-DCコンバータを介して変換してもよい。二次電池26は、電動歯ブラシ1が必要とする電気エネルギー蓄えることができればよく、ニッケル水素電池であってもよい。
【0043】
<歯磨きの手順>
次に、使用者に対して推奨される歯磨きの手順について説明する。
図7は、歯磨きの順序を説明する図である。
図7に示すように、乳歯は、上顎側に並ぶ上顎歯列Tuと、下顎側に並ぶ下顎歯列Tdからなり、上顎歯列Tuに10本、下顎歯列Tdに10本で合計20本の乳歯が、左右対称に並んでいる。上顎には、前方から側方に向けて順番に、上顎乳中切歯Tu1、上顎乳側切歯Tu2、上顎乳犬歯Tu3、上顎第一乳臼歯Tu4、上顎第二乳臼歯Tu5と呼ばれる5本の歯が左右に並ぶ。同様に、下顎には、下顎乳中切歯Td1、下顎乳側切歯Td2、下顎乳犬歯Td3、下顎第一乳臼歯Td4、下顎第二乳臼歯Td5と呼ばれる5本の歯が左右に並ぶ。
【0044】
本実施形態では、上顎歯列Tuのうち、使用者の右手側に並ぶ右上顎歯列を第一ブラシエリアと呼ぶ。すなわち、第一ブラシエリアは、使用者の右手側に並ぶ上顎乳中切歯Tu1、上顎乳側切歯Tu2、上顎乳犬歯Tu3、上顎第一乳臼歯Tu4、上顎第二乳臼歯Tu5から構成される。
そして、上顎歯列Tuのうち、使用者の左手側に並ぶ左上顎歯列を第二ブラシエリアと呼ぶ。すなわち、第二ブラシエリアは、使用者の左手側に並ぶ上顎乳中切歯Tu1、上顎乳側切歯Tu2、上顎乳犬歯Tu3、上顎第一乳臼歯Tu4、上顎第二乳臼歯Tu5から構成される。
続いて、下顎歯列Tdのうち、使用者の左手側に並ぶ左下顎歯列を第三ブラシエリアと呼ぶ。すなわち、第三ブラシエリアは、使用者の左手側に並ぶ下顎乳中切歯Td1、下顎乳側切歯Td2、下顎乳犬歯Td3、下顎第一乳臼歯Td4、下顎第二乳臼歯Td5から構成される。
最後に、下顎歯列Tdのうち、使用者の右手側に並ぶ右下顎歯列を第四ブラシエリアと呼ぶ。すなわち、第四ブラシエリアは、使用者の右手側に並ぶ下顎乳中切歯Td1、下顎乳側切歯Td2、下顎乳犬歯Td3、下顎第一乳臼歯Td4、下顎第二乳臼歯Td5から構成される。
【0045】
本実施形態において、電動歯ブラシ1は、第一ブラシエリア、第二ブラシエリア、第三ブラシエリア、第四ブラシエリアの順に、所定時間(例えば、30秒)ずつ順番に振動モータ21を駆動し、乳歯及び歯肉の表面を洗浄する。
以下の説明では、電動歯ブラシ1が、第一ブラシエリア、第二ブラシエリア、第三ブラシエリア、第四ブラシエリアの表面を洗浄する期間を、それぞれ第一ブラシ期間T1、第二ブラシ期間T2、第三ブラシ期間T3、及び第四ブラシ期間T4と呼ぶ。
そして第一ブラシ期間T1が開始する前の期間を、準備期間T0と呼び、第四ブラシ期間T4が終了した後の期間を終了期間T5と呼ぶ。
【0046】
また、第一ブラシ期間T1が終了してから第二ブラシ期間T2が開始するまでの期間を、第一移行期間T12と呼ぶ。第二ブラシ期間T2が終了してから第三ブラシ期間T3が開始するまでの期間を第二移行期間T23と呼ぶ。第三ブラシ期間T3が終了してから第四ブラシ期間T4が開始するまでの期間を、第三移行期間T34と呼ぶ。
【0047】
電動歯ブラシ1の制御部20は、操作ボタン11が押下されると、準備期間T0、第一ブラシ期間T1、第一移行期間T12、第二ブラシ期間T2、第二移行期間T23、第三ブラシ期間T3、第三移行期間T34、第四ブラシ期間T4、終了期間T5の順に振動モータ21、LED22及びスピーカ23を制御する。
以下では、上述した各期間中における振動モータ21の振動パターンと、LED22が発光する発光パターンと、スピーカ23が出力する音声メッセージについて説明する。
【0048】
<振動パターンと報知パターン>
図8は、振動モータ21の振動パターンと、LED22が出力する発光パターンと、スピーカ23が出力する音声メッセージを示している。ただし
図8において、第二ブラシ期間T2から第四ブラシ期間T4までの一部の期間は、図示を省略している。
【0049】
準備期間T0は、歯磨きの準備を行うための期間であって、例えば3秒間である。
準備期間T0において、振動モータ21は振動しない。
準備期間T0において、LED22及びスピーカ23は、第一ブラシ期間T1が始まることを事前に予告するための予告報知パターンで報知制御される。詳細には、LED22は、赤色LED22R、緑色LED22G、青色LED22Bが順次切り替わるように発光し、消灯する。これにより、LED22は、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紺色、紫色の順に巡回しながら点灯する発光パターンC0で発光制御される。なお、LED22の巡回発光色は上述した色に限定されない。しかしながら、少なくとも後述する第一の色(赤色)と、第二の色(黄色)と、第三の色(青色)と、第四の色(紫色)を含む。これにより使用者は、間もなく第一から第四のブラシ期間が始まることを認識することができる。
そしてスピーカ23からは、「もうすぐ始まるよ!」や「右上の歯から歯磨きしよう!」のように、振動モータ21の振動開始を事前に予告する音声メッセージM0が出力される。
発光パターンC0及び音声メッセージM0は、第一の報知パターンに相当する。
【0050】
準備期間T0が終了すると、第一ブラシエリアの歯磨きを行うための第一ブラシ期間T1が始まる。第一ブラシ期間T1は、例えば30秒間である。
第一ブラシ期間T1において、振動モータ21は、一定の周波数(例えば毎分16000回)で継続的に振動する振動パターンV1で駆動される。使用者は電動歯ブラシ1のブラシ毛3aを第一ブラシエリアに当接することによって第一ブラシエリアの歯磨きを行う。
振動パターンV1は、第一の振動パターンに相当する。
【0051】
第一ブラシ期間T1において、LED22及びスピーカ23は、第一ブラシエリアの歯磨きを促すための報知パターンで報知制御される。詳細には、LED22は、第一の色(例えば赤色)の光を出力する発光パターンC1で発光制御される。
そしてスピーカ23からは、「30秒間磨いてね!」、「あと15秒、頑張ろう!」や「残り5秒、もう少し!」といった音声メッセージM1が出力される。
【0052】
第一ブラシ期間T1が終了すると、第一ブラシエリアから第二ブラシエリアへとブラシエリアを移行するための準備期間である第一移行期間T12が始まる。第一移行期間T12は、例えば2秒間である。
第一移行期間T12において、振動モータ21は、停止状態と振動状態を交互に繰り返す断続的な振動パターンV12で駆動される。使用者は、電動歯ブラシ1を把持する手指を通して振動モータ21の停止と振動を認識し、電動歯ブラシ1の先端部3を第一ブラシエリアから第二ブラシエリアへと移動させる。
【0053】
第一移行期間T12において、LED22及びスピーカ23は、第二ブラシ期間T2が始まることを事前に予告するための予告報知パターンで報知制御される。詳細には、LED22は、赤色LED22Rと緑色LED22Gを同時に発光することで、第一の色(赤色)と第二の色(黄色)の中間色である橙色の光を出力する発光パターンC12で発光制御される。
そしてスピーカ23からは、「もうすぐ始まるよ!」や「次は左上の歯を磨こう!」のように、第二ブラシエリアにおける振動モータ21の振動開始を事前に予告する音声メッセージM12が出力される。
発光パターンC12及び音声メッセージM12は、第二の報知パターンに相当する。
【0054】
ここで、音声メッセージM12をスピーカ23から出力する際に、制御部20が、振動モータ21の振動を停止制御すると好適である。これにより使用者は、振動モータ21の振動音に邪魔されることなく音声メッセージM12を聞くことができるため、第一のブラシ期間から第二のブラシ期間へ移行するタイミングをより確実に認識することができる。
【0055】
第一移行期間T12が終了すると、第二ブラシエリアの歯磨きを行うための第二ブラシ期間T2が始まる。第二ブラシ期間T2は、第一ブラシ期間T1と同様に、例えば30秒である。
第二ブラシ期間T2において、振動モータ21は、振動パターンV2で駆動制御される。振動パターンV2は、振動パターンV1と同一であってもよい。使用者は、電動歯ブラシ1のブラシ毛3aを第二ブラシエリアに当接することによって第二ブラシエリアの歯磨きを行う。
振動パターンV2は、第二の振動パターンに相当する。
【0056】
第二ブラシ期間T2において、LED22及びスピーカ23は、第二ブラシエリアの歯磨きを促すための報知パターンで報知制御される。詳細には、LED22は、第二の色(黄色)の光を出力する発光パターンC2で発光制御される。
そしてスピーカ23からは、音声メッセージM1と同様の音声メッセージM2が出力される。
【0057】
第二ブラシ期間T2が終了すると、第二移行期間T23に移行する。第二移行期間T23は、第一移行期間T12と同様に、振動モータ21は断続的な振動パターンV23で駆動される。そしてLED22及びスピーカ23は、第三ブラシ期間T3が始まることを事前に予告する発光パターンC23と音声メッセージM23を出力するように制御される。
LED22は、第二の色(黄色)と第三の色(青色)の中間色である緑色の光を出力する発光パターンC23で発光制御される。
発光パターンC23と音声メッセージM23は、第二の報知パターンに相当する。
【0058】
第二移行期間T23が終了すると、第三ブラシエリアの歯磨きを行うための第三ブラシ期間T3が始まる。第三ブラシ期間T3における振動パターンV3は、上述した振動パターンV1と同様であるために、詳細な説明は省略する。また、発光パターンC3は、第三の色(青色)で点灯することを除いて発光パターンC1と同様であるため、詳細な説明を省略する。音声メッセージM3についても、音声メッセージM1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
第三ブラシ期間T3が終了すると、第三移行期間T34に移行する。第三移行期間T34では、第一移行期間T12と同様に、振動モータ21は断続的な振動パターンV34で駆動される。そしてLED22及びスピーカ23は、第四ブラシ期間T4が始まることを事前に予告する発光パターンC34と音声メッセージM34を出力するように制御される。
LED22は、第三の色(青色)と第四の色(紫色)の中間色の光を出力する発光パターンC34で発光制御される。
発光パターンC34と音声メッセージM34は、第二の報知パターンに相当する。
【0060】
第三移行期間T34が終了すると、第四ブラシエリアの歯磨きを行うための第四ブラシ期間T4が始まる。第四ブラシ期間T4における振動パターンV4は、上述した振動パターンV1と同様であるために、詳細な説明は省略する。また、発光パターンC4は、第四の色(紫色)で点灯することを除いて発光パターンC1と同様であるため、詳細な説明を省略する。音声メッセージM4についても、音声メッセージM1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
最後に終了期間T5は、歯磨きを最後までやり遂げた幼児を称賛する報知を行う期間である。終了期間T5は、例えば2秒間である。
終了期間T5において、振動モータ21は振動を停止する。
終了期間T5において、LED22及びスピーカ23は、歯磨きが終了したことを告知するための報知パターンで報知制御される。詳細には、LED22は、再び第一の色(赤色)で点灯する発光パターンC5を開始することにより、第一ブラシエリアから開始された歯磨きが一巡して終了したことを報知する。
そしてスピーカ23からは、「上手に歯磨きできたね!」や「最後まで頑張ったね!」というように、歯磨きが終了したことを告知するとともに、幼児を称賛する音声メッセージM5が出力される。
発光パターンC5及び音声メッセージM5は、第三の報知パターンに相当する。
【0062】
<報知制御処理>
次に、制御部20が実行する報知制御処理の流れを説明する。
図9は、制御部20によって実行される報知制御処理の流れを示している。
図9に示すように、制御部20は、準備期間T0において、歯磨きの開始を予告する予告報知制御を行う(ステップS11)。詳細には、制御部20は、少なくとも第一の色から第四の色を順番に出力するようにLED22を発光制御するとともに、振動モータ21の振動開始を事前に予告する音声メッセージをスピーカ23から出力する。
【0063】
タイマー25から、歯磨きを行う第一から第四ブラシ期間(T1~T4)の開始を示すタイミング信号を受信すると、制御部20は、歯磨き中の報知制御を行う(ステップS12)。詳細には、単一の所定の色でLED22が点灯する発光パターンをLED22から出力させるとともに、所定のブラシエリアの歯磨きを継続するように促す音声メッセージをスピーカ23から出力させる。
【0064】
タイマー25から、ブラシ期間が終了したことを示すタイミング信号を受信すると、制御部20は、歯磨きの終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS13)。ここで終了条件とは、使用者が第一ブラシエリアから第四ブラシエリアまで順番に歯磨きを行い、第四ブラシ期間T4が終了することである。
【0065】
第四ブラシ期間T4が終了していないと判定された場合(ステップS13:No)、制御部20は、次のブラシ期間の予告報知を行う(ステップS14)。詳細には、上述した中間色を出力するようにLED22を発光制御するとともに、振動モータ21が振動を開始することを予告する音声メッセージを出力するようにスピーカ23を制御する。
続いて制御部20は、移行期間が終了したことを示すタイミング信号をタイマー25から受信すると、ステップS12に戻り、再びブラシ期間の報知を行う(ステップS12)。
【0066】
一方、ステップS13で第四ブラシ期間T4が終了したと判定された場合(ステップS13:Yes)、制御部20は、ステップS15に進み、歯磨きの終了を告知する報知パターンでLED22及びスピーカ23を報知制御する。詳細には、制御部20は、歯磨きを最後までやり遂げた幼児を称賛する音声メッセージをスピーカ23から出力するように制御する。ステップS15が終わると、制御部20は報知制御処理を終了する。
【0067】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシ1の構成について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
上述した実施形態では、右上顎歯、左上顎歯、左下顎歯、右下顎歯の順に歯磨きを行うこととして説明したが、歯磨きの順番はこれに限定されない。各ブラシエリアを正しく歯磨きさせることができればよく、例えば右上顎歯、右下顎歯、左下顎歯、左上顎歯の順に歯磨きを行わせてもよい。この場合、制御部20は、ブラシエリアの順番に対応した音声メッセージが出力されるようにスピーカ23を制御する。
【0068】
また、上述した実施形態では、第一から第三の移行期間(T12、T23、及びT34)において、振動モータ21は、停止状態と振動状態を交互に繰り返す断続的な振動パターンで駆動されることとして説明したが、これに限定されない。制御部20は、第一から第三の移行期間(T12、T23、及びT34)において、振動モータ21を比較的低い周波数で振動するように制御してもよい。これにより使用者は、次のブラシエリアへと電動歯ブラシ1のブラシ毛3aを移動させるタイミングが到来したことを認識することができる。また、振動モータ21の振動周波数を低下させることにより、振動モータ21から出力される振動音が低下するため、使用者は、スピーカ23から出力される音声メッセージを確実に認識することができる。
【0069】
また、上述した実施形態では、第一ブラシ期間T1、第二ブラシ期間T2、第三ブラシ期間T3、第四ブラシ期間T4において、LED22は、赤色、黄色、青色、紫色の順に点灯することとして説明したが、発光色は、これに限定されない。発光色の順番が異なってもよいし、他の色で発光することとしてもよい。
【0070】
(まとめ)
乳歯が生え揃い、永久歯に生え変わるまでの幼児にとって、正しい歯磨きの仕方を習得し、正しい歯磨きの習慣を身に着けることが重要である。本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、LED22とスピーカ23からなる報知手段を内蔵し、振動モータ21が所定の振動パターンで振動を開始する前に、振動パターンの開始を予告する報知パターンを出力する。したがって、使用者は電動歯ブラシ1の振動が始まる前に、事前に次の歯磨きの開始タイミングとブラシエリアを知ることができるため、正しい歯磨きの仕方を習得することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、振動モータ21が所定の振動パターンによる振動を終了した後に、歯磨きが終了したことを告知する報知パターンを出力する。つまり、歯磨きを最後までやり遂げた幼児を称賛することで、自主的に歯磨きを行うモチベーションを与え、正しい歯磨きの仕方を習慣として身に着けさせることができる。
【0072】
また、本実施形態に係る電動歯ブラシ1は、その外周面に使用者の3本の指と当接可能な凹部10が形成されている。これにより、使用者は親指、人差し指、及び中指の3本の指を使って電動歯ブラシ1を確実に把持し、乳歯の歯列の適切な位置と角度にブラシ毛3aを当接させて歯磨きを行うことが可能となり、正しい歯ブラシの持ち方を身に着けさせることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 電動歯ブラシ
2 ブラシ部
3 先端部
3a ブラシ毛
4 基端部
4a 嵌合凹部
4b プリズムカット
5 カラーリング
6 本体部
7 連結部
7a 嵌合凸部
7b プリズムカット
8 肩部(把持部)
9 胴体部
10 凹部
10a 第一当接凹部
10b 第二当接凹部
10c 第三当接凹部
11 操作ボタン(操作部)
20 制御部
21 振動モータ(振動発生部)
22 LED(発光部、報知手段)
22R 赤色LED
22G 緑色LED
22B 青色LED
23 スピーカ(音声出力部、報知手段)
24 スイッチ
25 タイマー
26 二次電池
Tu 上顎歯列
Tu1 上顎乳中切歯
Tu2 上顎乳側切歯
Tu3 上顎乳犬歯
Tu4 上顎第一乳臼歯
Tu5 上顎第二乳臼歯
Td 下顎歯列
Td1 下顎乳中切歯
Td2 下顎乳側切歯
Td3 下顎乳犬歯
Td4 下顎第一乳臼歯
Td5 下顎第二乳臼歯