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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179092
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221125BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221125BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086345
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】501138622
【氏名又は名称】エムスリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】滝安 純平
(72)【発明者】
【氏名】池田 元子
(72)【発明者】
【氏名】谷村 格
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】Webアンケートにおける利便性を向上させると共に、Webアンケートの回答としてより精度の高い情報を得ることが可能になること
【解決手段】問い提示部32は、アンケート生成部31で生成されたアンケートを構成する複数の問いの夫々を回答対象問いとして回答者端末3に提示する。回答取得部33は、回答対象問いに対する回答として回答者端末3に対するアンケート回答データの入力の操作により得られた入力操作起因データ、又は回答者により発話された音声が回答者端末3に対して入力された結果得られた音声起因データを取得する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の問いから構成されるアンケートの回答者が保有する情報処理装置を少なくとも含み、当該回答者により前記情報処理装置に対して入力された当該アンケートの回答を収集する情報処理システムにおいて、
前記アンケートを構成する前記複数の問いの夫々を順次回答対象問いとして、前記回答対象問いを前記情報処理装置に提示する提示手段と、
前記回答対象問いに対する前記アンケートの回答として、前記回答者により前記情報処理装置に対してアンケート回答データの入力の操作により得られた第1データ、又は、前記回答者により発話された音声が前記情報処理装置に対して入力された結果得られた第2データを取得する回答取得手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記回答として前記第2データが取得された場合、当該第2データを、前記回答者により発話された前記音声の内容をテキストで表すテキストデータに変換して出力するテキスト変換手段と、
前記回答として前記第1データが取得された場合には当該第1データを、前記回答として前記第2データが取得された場合には前記テキスト変換手段から出力された前記テキストデータを、前記回答者による前記アンケートの回答データとして収集するアンケート収集手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記回答として前記第2データが取得された場合、当該第2データから変換された前記テキストデータに対して所定の第1手法を用いた第1解析を行い、その解析結果のデータを出力する解析手段
をさらに備え、
前記アンケート収集手段は、さらに、前記解析結果のデータを収集する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記解析手段は、前記回答として前記第2データが取得された場合、さらに、当該第2データに対して所定の第2手法を用いた第2解析を行い、その解析結果のデータを出力する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記回答者についての、属性情報、コンテクスト情報、及び履歴情報のうち少なくとも1以上の情報を、他情報として取得する他情報取得手段をさらに備え、
前記解析手段は、前記回答者についての前記他情報を考慮して、前記第1解析と前記第2解析のうち少なくとも一方を行う、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
複数の問いから構成されるアンケートの回答者が保有する情報処理装置を少なくとも含み、当該回答者により前記情報処理装置に対して入力された当該アンケートの回答を収集する情報処理方法において、
前記アンケートを構成する前記複数の問いの夫々を順次回答対象問いとして、前記回答対象問いを前記情報処理装置に提示する提示ステップと、
前記回答対象問いに対する前記アンケートの回答として、前記回答者により前記情報処理装置に対してアンケート回答データの入力の操作により得られた第1データ、又は、前記回答者により発話された音声が前記情報処理装置に対して入力された結果得られた第2データを取得する回答取得ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
複数の問いから構成されるアンケートの回答者が保有する情報処理装置を少なくとも含み、当該回答者により前記情報処理装置に対して入力された当該アンケートの回答を収集する情報処理システムに含まれるコンピュータに、
前記アンケートを構成する前記複数の問いの夫々を順次回答対象問いとして、前記回答対象問いを前記情報処理装置に提示する提示ステップと、
前記回答対象問いに対する前記アンケートの回答として、前記回答者により前記情報処理装置に対してアンケート回答データの入力の操作により得られた第1データ、又は、前記回答者により発話された音声が前記情報処理装置に対して入力された結果得られた第2データを取得する回答取得ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを利用してアンケートを取る、いわゆるWebアンケートに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-157397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術を含む従来技術のみでは、Webアンケートにおける利便性が十分に確保されていたとは言い難かった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、Webアンケートにおける利便性を向上させると共に、Webアンケートの回答としてより精度の高い情報を得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
複数の問いから構成されるアンケートの回答者が保有する情報処理装置を少なくとも含み、当該回答者により前記情報処理装置に対して入力された当該アンケートの回答を収集する情報処理システムにおいて、
前記アンケートを構成する前記複数の問いの夫々を順次回答対象問いとして、前記回答対象問いを前記情報処理装置に提示する提示手段と、
前記回答対象問いに対する前記アンケートの回答として、前記回答者により前記情報処理装置に対してアンケート回答データの入力の操作により得られた第1データ、又は、前記回答者により発話された音声が前記情報処理装置に対して入力された結果得られた第2データを取得する回答取得手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、Webアンケートにおける利便性を向上させると共に、Webアンケートの回答としてより精度の高い情報を得るようにすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の情報処理システムの一実施形態の適用対象となる本サービスの概要を示す図である。
図2図1の本サービスが適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理システムの一実施形態に係る構成の一例を示す図である。
図3図2の情報処理システムのうち、サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図3の情報処理システムのうち、サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5図4の機能的構成を有するサーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の情報処理システムの一実施形態の適用対象となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要を示す図である。
即ち、本サービスは、Webアンケートの回答の手法として、アンケート回答データの入力の操作を回答者U3がすることで回答する手法の他、回答者U3が音声で発話することで回答する手法が採用されたサービスである。
ここで、アンケート回答データには、以下のようなデータが含まれる。即ち、アンケート回答データには、複数の選択項目の中から1つだけ選択されたデータ(以下、「単一回答(SA)」と呼ぶ)、複数の選択項目の中から複数選択されたデータ(以下、「複数回答(MA)」と呼ぶ)、キーボード等に対してテキストや数字が直接入力されたテキストデータが含まれる。
また、アンケート回答データの入力の操作としては、上述のような各種データが夫々入力される操作が含まれる。即ち、アンケート回答データの入力の操作には、単一回答(SA)が入力される操作(以下、「単一回答(SA)の操作」と呼ぶ)、複数回答(MA)が入力される操作(以下、「複数回答(MA)の操作」と呼ぶ)、テキストデータや数字が入力される操作等が含まれる。
以下、このようなアンケート回答データの入力の操作により得られたデータを「入力操作起因データ」と呼び、音声で発話することで回答された結果得られたデータを「音声起因データ」と呼ぶ。
【0011】
本サービスは、サーバ1を管理するサービス提供者(図1に図示せず)から、出題者端末2を管理する出題者(図1に図示せず)、及び回答者端末3を管理する回答者U3に対して提供されるサービスである。
【0012】
本サービスで用いられるWebアンケートは、サービス提供者(図1に図示せず)側のサーバ1により管理されるが、当該Webアンケートを構成する複数の問いは、出題者(図1に図示せず)側の出題者端末2からサーバ1に提供される。
即ち、図示せぬ出題者は、例えば調査会社等であって、自身が提供するビジネスに関連する様々な情報を得るために、回答者U3に対するWebアンケートとして問いを提供し、その問いに対する回答データを収集する者である。
【0013】
回答者U3は、回答者端末3に対するアンケート回答データの入力の操作、又は回答者端末3(それに内蔵又は接続されたマイクロフォン)に対する音声の発話によって、Webアンケートを構成する複数の問いに対する各回答を夫々入力する。即ち、回答者U3は、例えば医療従事者であって、出題者である調査会社等から出題された問いに対して回答する者である。ここで、医療従事者とは例えば、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、放射線技師、保健師等を含むものとする。
なお、説明の便宜上、図1には回答者U3は一人しか図示されていないが、実際には多数の回答者U3が存在する。多数の回答者U3の夫々は、自身の回答者端末3を夫々用いて、他の回答者U3とは独立して任意のタイミングに、Webアンケートに対する回答を入力することができる。
【0014】
以下、図1のステップST1乃至ST5に沿って、本サービスの流れの概要について説明する。
回答者U3は、回答者端末3を用いて、インターネット上に存在するサーバ1にアクセスする。すると、図1のステップST1乃至ステップST3の夫々に示しているように、回答者端末3の表示部D3には、Webアンケートを構成する複数の問い(図1の例では3つの問い)の夫々が順次提示される。
【0015】
ステップST1において、回答者端末3の表示部D3には「Q1 ご勤務先の都道府県」という問い、及び複数の回答候補からなる選択肢が提示される。
回答者U3は、例えば東京都に勤務しているならば、提示された問いに対し、回答者端末3を用いて、「東京都」という回答候補を選択する操作をする。
これにより、回答者U3の勤務先を示す「東京都」という単一回答(SA)は、問いQ1に対する回答データとしてサーバ1において収集される。
より正確には、「東京都」が選択されたという情報が回答者端末3からサーバ1に送信され、サーバ1において、この情報に基づいて「東京都」を示す、事前に割り振られた識別子が、問いQ1に対する回答データとしてサーバ1に入力される。
即ち、回答者U3が「東京都」を選択する操作は、アンケート回答データの入力の操作の一例である。換言すると、ステップST1には、Webアンケートの回答の手法として、アンケート回答データの入力の操作を回答者U3がすることで回答する手法が採用された一例が示されている。
【0016】
ステップST2において、回答者端末3の表示部D3には、「Q2 診療科は?」という問い、及び複数の回答候補からなる選択肢が提示される。
回答者U3は、例えば内科が専門ならば、提示された問いに対し、回答者端末3を用いて、「内科」という回答候補を選択する操作をする。
これにより、回答者U3の診療科を示す「内科」という単一回答(SA)は、問いQ2に対する回答データとしてサーバ1において収集される。
より正確には、「内科」が選択されたという情報が回答者端末3からサーバ1に送信され、サーバ1において、この情報に基づいて「内科」を示す、事前に割り振られた識別子が、問いQ2に対する回答データとしてサーバ1に入力される。
即ち、回答者U3が「内科」を選択する操作は、アンケート回答データの入力の操作の一例である。換言すると、ステップST2には、Webアンケートの回答の手法として、アンケート回答データの入力の操作を回答者U3がすることで回答する手法が採用された一例が示されている。
【0017】
ステップST3において、回答者端末3の表示部D3には、「Q3 〇〇に対するご自身の考えを30秒程度でお答えください」という問い、及び音声の録音を開始するための「録音開始」ボタンの夫々が提示される。
回答者U3は、提示された問いに対し、回答者端末3を用いて「録音開始」を選択する操作をする。
これにより、回答者端末3は、図示せぬマイクロフォンに入力される音声を、音声データに変換して記録(録音)する処理を開始する。
【0018】
ステップST4において、回答者U3は、〇〇に関する考えを自由に発話する。回答者U3により発話された内容は、音声起因データとして回答者端末3に録音される。この音声起因データは、問いQ3に対する回答データとしてサーバ1に送信される。
このように、ステップST4には、Webアンケートの回答の手法として、回答者U3が発話することで回答する手法が採用された一例が示されている。
【0019】
ステップST5において、ステップST1乃至ステップST4で出力された回答データは、所定の解析手法により解析される。そして、その解析結果を含むWebアンケートの回答の結果が、出題者端末2の表示部D2に提示される。
【0020】
以上、図1のステップST1乃至ST5において、本サービスの流れの概要について説明した。このような本サービスによれば、Webアンケートを構成する複数の問いが回答者U3に順次出題されると、回答者U3によるアンケート回答データの入力の操作又は音声の入力の結果として得られる回答データが収集される。
このように、Webアンケートの回答者U3による回答には、従来のアンケート回答データの入力の操作のみならず、音声の入力も併用される。これにより、回答者U3にとっては、発話するだけでWebアンケートに回答することができるようになり、Webアンケートにおける利便性が向上する、といった効果を本サービスは奏するようになる。
また、サービス提供者(出題者)は、Webアンケートの回答としてより精度の高い情報を得ることができる、といった効果を本サービスは奏するようになる。
即ち、サービス提供者(出題者)は、Webアンケートの回答データとして、一定以上の長さと文脈を有した意味のある情報を、高い頻度で収集することができる、という効果を本サービスは奏するようになる。
また、回答者U3の発話の結果得られた音声起因データ自体も利用できるため、トーン等から情報の確からしさを確認できる。これにより、サービス提供者(出題者)は、確度の高い情報を回答データとして収集することができる、という効果を本サービスは奏するようになる。
これらの効果について、従来の課題と併せて以下で具体的に説明する。
【0021】
即ち、上述したように、従来、Webアンケートに対する回答の手法としては、アンケート回答データの入力の操作の手法のみが採用されていた。具体的には例えば上述したように、従来は、Webアンケートに対する回答の手法として、単一回答(SA)の操作、複数回答(MA)の操作、テキストデータや数字の入力の操作等が採用されていた。
しかしながら、予め設定された複数の選択項目の中から所望のものを選択する操作(例えば、単一回答(SA)の操作や複数回答(MA)の操作)の場合、出題者は、設定する選択項目に基づいて回答可能な問いを生成しなければならない。また、回答者U3も、限られた数の項目の中から回答を選択しなければならない。そのため、回答データとして択一的な情報は得られるものの、ある程度の長さを有する具体的な情報の収集が困難であった。
一方で、キーボード等に対してテキストを直接入力する操作(テキストデータや数字の入力の操作)の場合、自由に回答を記入することができる為、具体的な情報の入力は可能になるものの、入力の操作に時間や労力を要していた。
そのため、そもそも回答が入力されない場合や、入力欄を文字で埋めるためだけに、例えば「あああ」等の無意味な文字が入力される場合や、過去に用いられたテキストや外部の関連Webページ等がコピーアンドペーストされて入力される場合等、正当な情報を収集することが困難な場合が多々あった。
このような課題は、Webアンケートに対する回答の手法として、単一回答(SA)の操作、複数回答(MA)の操作、テキストデータや数字の入力の操作等を一例としたアンケート回答データの入力の操作のみが採用されていたことが要因であった。
【0022】
また、従来、分量の多い自由な回答を得るための他の手法として、インタビュー調査が利用されている。インタビュー調査では、発話による回答データを得ることができるため分量の多い回答を得ることができるが、一方でインタビュアと回答者とのスケジュール調整が必要なこと、1人の回答者に対して最低でも1人のインタビュアが対応すること等から回答を収集できる機会が限られること、インタビューには例えば1時間程度のまとまった時間を要するため一度に大量のインタビューを実施できないこと等、利便性についての課題が多くあった。
【0023】
本サービスでは、上述のような従来の課題を解決する手法として、Webアンケートに対する回答の手法として、アンケート回答データの入力の操作の手法のみならず、回答者U3が音声で発話することで回答する手法が併せて採用されている。
即ち、上述のような従来の課題に対し、本サービスによれば、発話するだけでWebアンケートに回答することができるようになる。
【0024】
一般的に、人は、ゆっくり話す程度であっても発話により30秒で150文字を発信することができ、テキストの入力の操作による発信と比較してより多くの情報量を発信することができると言われている。即ち本サービスによれば、従来のWebアンケートと比較してより多くの情報を収集することができるようになる。
ここで具体的なケースを用いて説明すると、テキストの入力の操作として一番多く採用されていたキーボード等を操作してテキストを直接入力する手法(テキストデータの入力の操作)では、26文字(中央値)のテキストが入力されるのみであったのに対し、回答者U3が音声で発話することで回答する手法を適用することにより、53文字(中央値)のテキストを回答データとして収集することができるという実験データも存在する。
このように、回答者U3が音声で発話することで回答する手法を適用することにより、出題者は、ある程度の長さのあるテキストを回答データとして収集することが容易に可能になる。
【0025】
また、回答者U3が音声で発話することで回答する手法を適用することにより、従来の課題である無意味な文字の入力やコピーアンドペーストによる入力を防止することができる。
ここで、具体的なケースを用いて説明すると、テキストデータの入力の操作により入力されるテキストのうち、同一内容の回答の発生確率(以下、「重複率」と呼ぶ)は、「繰り返し回答可」とした場合で28%、「繰り返し回答不可」と制限した場合でも16%である。
これに対して、回答者U3が音声で発話することで回答する手法を適用することで、重複率は実質0%になる。
即ち、本サービスは、アンケート回答データの入力の操作だけでなく、発話による音声の入力によりWebアンケートに回答することができるため、回答者U3にかかる負担を大幅に抑制することができる。その結果、回答者U3は、回答への負担が減ることで気軽にWebアンケートに回答できるようになるため、サービス提供者(出題者)は、意味のある情報を、高頻度で収集することができるようになる。
特に回答者U3が医師や薬剤師等の医療従事者である場合、薬剤の名前や医療系の専門用語や略語が多く使われるが、このような略語や専門用語は一般的な変換にマッチし難い。そこで本サービスによれば、回答者U3は、わざわざ略語や専門用語をキーボード等で入力する手間をかけることなく、あたかも同業者と会話しているかのような気軽さでWebアンケートに回答することができるようになる。
またこのように、会話しているかのような自然な形で回答データを収集することができるため、例えば、情報の整理等がなされていない生の情報を直接収集することができるようになる。
【0026】
また、本サービスにおいては、取得された音声起因データが、テキストに変換されて出力され、出力されたテキストデータが回答データとして収集されてもよい。
これにより例えば、回答者U3の発話中に無音状態となった場合でも、無音状態が自動的に検出されて削除された状態でテキストデータとして出力されることが可能になる。
また例えば、回答者U3により発話された音声に略語や専門用語が含まれる場合でも、略語や専門用語がそのまま検出され、その意味を損なうことなくテキストデータとして出力されることが可能になる。
【0027】
このような本サービスは、例えば煩雑な専門用語の入力が必要な医療関係のアンケートにおいて特にその効果を発揮する。即ち、煩雑な専門用語の入力が必要となる医師や薬剤師等でも、発話による音声の入力によりWebアンケートに回答することができるため、簡易的かつ気軽にアンケートに回答することができる。結果として、出題者は、回答者U3から高頻度に、精度が高い情報を多数収集することができるようになる。
【0028】
また、本サービスは、回答者U3の発話による音声起因データ自体も利用することで、取得された音声やトーンから、回答者U3の感情、及び入力された情報の確からしさを解析することも可能になる。
具体的には例えば、「YES」というポジティブな意味合いを持つテキストがテキストデータとして取得されている場合でも、音声起因データからネガティブな感情が読み取られた場合、「YES」という回答データの確からしさは低いと判断することが可能になる。
このような本サービスを適用することにより、出題者は、確度の高い情報を収集することができるようになる。
【0029】
次に、図2乃至図4を参照して図1に示した本サービスが適用される情報処理システムについて説明する。
図2は、図1の本サービスが適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理システムの一実施形態に係る構成の一例を示す図である。
【0030】
図2に示す情報処理システムは、サーバ1と、出題者端末2と、n台(nは1以上の任意の整数値)の回答者端末3-1乃至3-nと、他情報処理装置4とをインターネット等のネットワークNを介して接続して相互に通信するように構成される。
【0031】
サーバ1は、本サービスの図示せぬサービス提供者により管理される。
出題者端末2は、図示せぬ出題者により操作され、サーバ1に対して、Webアンケートを構成する複数の問いを送信する制御を実行する。
回答者端末3-1乃至3-nの夫々は、n人の回答者U3-1乃至U3-nの夫々により操作され、サーバ1に対して、Webアンケートの回答を送信する制御を実行する。即ち例えば、回答者U3-1乃至U3-nによるテキストの入力の操作により得られたテキストデータ、又は回答者U3-1乃至U3-nによる発話により得られた音声起因データを送信する制御を実行する。
なお、以下、回答者端末3-1乃至3-nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「回答者端末3」と呼ぶ。また、回答者U3-1乃至U3-nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて図1と同様に「回答者U3」と呼ぶ。
【0032】
他情報装置4は、サーバ1に対して、回答者U3によるWebアンケートの回答とは異なる情報、例えば、回答者U3の属性情報、履歴情報、コンテクスト情報等を送信する制御を実行する。
ここで、本明細書でいう「コンテクスト(context)」とは、回答者U3の内的状態及び外的状態の全てを指す概念である。回答者U3の内的状態とは、回答者U3の体調、又は、情動(気分や心理状態)等を指す。
コンテクスト情報のうち内的状態の一例として、例えば、回答者U3の活動内容を示す活動データ、回答者U3の体調に関するデータ、回答者U3の年齢、身長、体重、体温、及び体脂肪率等、回答者U3の身体的特徴に関する客観的なデータ、回答者U3の遺伝子に関するデータ、及びユーザUの日常的な各行動の予定や履歴等ユーザのスケジュールデータ等が含まれる。
これに対して、回答者U3の外的状態とは、回答者U3の空間的又は時間的な配置位置(時間的な配置位置とは、例えば、現在時刻を指す)の他、回答者U3の周囲の空間方向若しくは時間方向に分布する(又は、いずれの方向にも分布する)所定の状態も指す。また、回答者U3が置かれている環境を示す環境データや、回答者U3の既往歴を含む医療情報(外的状態のいい体)も外的状態の一例に含まれる。
具体的には例えば、他情報処理装置4は、画像(映像や写真等を含む静止画像)、GPS位置情報、スマートフォン(回答者端末3含む)やスマートウォッチに付属する各種センサにより検知されたデータ等を取得して、回答者U3のコンテクスト情報、属性情報、履歴情報等としてサーバ1に送信する制御を実行する。
なお、以下、回答者U3のコンテクスト情報、属性情報、履歴情報等、回答者U3の回答以外の情報をまとめて、「他情報」と呼ぶ。
なお、本実施形態では説明の便宜上、他情報は他情報装置4により取得されるものとしているが、他情報の具体的な取得手法は特に限定されない。例えば、回答者端末3自身がコンテクスト情報を取得してもよいし、図示せぬ外部サーバがコンテクスト情報を取得してもよい。
【0033】
図3は、図2の情報処理システムのうち、サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0034】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0035】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0036】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0037】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報が入力される。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成される。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0038】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
なお、図示はしないが、図2の情報処理システムの出題者端末2と、回答者端末3と、他情報装置4とは、図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有しているため、ここではそれらの説明は省略する。
なお、出題者端末2の出力部17には、図1の表示部D2が含まれる。回答者端末3の出力部17には、図1の表示部D3が含まれる。
【0039】
次に図4を参照して、図3に示すハードウェア構成を有するサーバ1の機能的構成について説明する。
図4は、図3に示すサーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0040】
図4に示したサーバ1の記憶部18の一領域には、アンケート構成情報DB100と、アンケート回答格納DB200と、アンケート結果DB300とが設けられている。
アンケート構成情報DB100には、Webアンケートを構成する複数の問いに関するデータが記憶される。Webアンケートを構成する問いには、後述するテキスト回答対象問いと、音声回答対象問いとが含まれる。
アンケート回答格納DB200には、Webアンケートの問いに対する回答として入力操作起因データ、及び回答者U3により発話された音声に関するデータ(音声起因データ)が記憶される。
アンケート結果DB300には、収集されたアンケートの結果に関するデータ(回答データ)が記憶される。
【0041】
また、図1の本サービスに対応する処理が実行される際には、サーバ1のCPU11において、アンケート生成部31、問い提示部32、回答取得部33、テキスト変換部34、他情報取得部35、解析部36、アンケート結果収集部37が機能する。
【0042】
アンケート生成部31は、出題者端末2を操作する図示せぬ出題者から通信部19を介してWebアンケートの生成依頼を受け付けると、複数の問いを生成し、アンケート構成情報DB100に格納する。
アンケート生成部31は、テキスト回答用生成部51と、音声回答用生成部52とを有する。
テキスト回答用生成部51は、テキスト回答対象問いを生成し、アンケート構成情報DB100に格納する。ここで、テキスト回答対象問いとは、回答者U3がアンケート回答データの入力の操作をすることで回答することが可能な問いをいう。例えば、回答者U3の勤務先の都道府県、診療科等を一例とする回答者U3の属性に関する情報を取得するための問い(具体的には例えば図1の問いQ1,Q2)が含まれる。
音声回答用生成部52は、音声回答対象問いを生成し、アンケート構成情報DB100に格納する。ここで音声回答対象問いとは、回答者U3が発話することで回答することが可能な問いをいう。即ち例えば、〇〇に対する考え、講演会の感想等の情報を取得するための問い(具体的には例えば図2の問いQ3)が含まれる。
【0043】
問い提示部32は、Webアンケート(Webページ)を所定のURLにおいて管理し、当該URLに対してアクセスしてきた回答者端末3に対して、当該Webアンケートを構成する各問いをアンケート構成情報DB100から順次取得して回答者端末3に送信することで、回答者U3に提示する制御を実行する。
問い提示部32は、テキスト回答用提示部53と、音声回答用提示部54とを有する。
テキスト回答用提示部53は、テキスト回答対象問いを、回答者端末3に出力することで、回答者U3に提示するための制御を実行する。
音声回答用提示部54は、音声回答対象問いを、回答者端末3に出力することで、回答者U3に提示するための制御を実行する。
これにより、回答者U3は、発話するだけでWebアンケートに回答することができるようになり、Webアンケートにおける利便性が向上する。
【0044】
このようにアンケート生成部31は、出題者からWebアンケートの生成依頼を受付けると、問いを生成して、アンケート構成情報DB100に格納する。これとは独立して、問い提示部32は、回答者端末3-1乃至3-nのうちアクセスしてきた回答者端末3-k(kは1乃至nのうち任意の整数値)に対して、アンケート構成情報DB100から問いを抽出して出力する。
このように、サーバ1を介し、出題者からのWebアンケートの生成依頼の受付と、回答者U3に対するWebアンケートの各問いの提示の夫々が独立して実行される。
これにより例えば、インタビューのように回答者U3と出題者とが双方の予定を調整して対面する必要がなくなる。また、回答者端末3-kがWebアンケートにアクセスしたタイミングで、各問いが当該回答者端末3-kに提示される。このため、回答者U3-kは、出題者や他の回答者U3とは無関係に(独立して)、自身の空き時間にサーバ1にアクセスすることで気軽にWebアンケートに回答できるようになる。
また例えば、出題者は、多くの回答者U3(本実施形態ではn人の回答者U3-1乃至U3-n)から同時に回答データを収集することができるため、インタビューと比較して多くの情報を短時間で得ることができる。
【0045】
回答取得部33は、Webアンケートの各問いに対する回答者U3の回答を示すデータを、回答者端末3から夫々取得する。
上述したように、Webアンケートを構成する各問いは、テキスト回答対象問いと、音声回答問いとに大別される。
テキスト回答対象問いに対しては、回答者U3は、回答者端末3に対して、アンケート回答データの入力の操作をすることで回答する。したがって、テキスト回答対象問いに対する回答を示すデータは、入力操作起因データとして回答者端末3から送信される。この入力操作起因データは、回答取得部33のうち、テキスト回答取得部55により取得される。
テキスト回答取得部55により取得された入力操作起因データ(回答者U3の回答を示すデータ)は、アンケート回答格納DB200に格納される。
これに対して、音声回答対象問いに対しては、回答者U3は、回答者端末3に向けて発話をすることで回答する。この発話された内容は音声起因データとして回答者端末3に録音される。したがって、音声回答対象問いに対する回答を示すデータは、音声起因データとして回答者端末3から送信される。この音声起因データは、回答取得部33のうち、音声回答取得部56により取得される。
音声回答取得部56により取得された音声起因データ(回答者U3の回答を示すデータ)は、アンケート回答格納DB200に格納される。
【0046】
テキスト変換部34は、音声起因データ(回答者U3の回答を示すデータ)を、アンケート回答格納DB200から取得し、例えば音声認識、ディープラーニング、人の操作等による手法のうち少なくとも1以上の手法を用いて、テキストデータに変換する。
【0047】
他情報取得部35は、他情報装置4や回答者端末3を含む各種デバイスや、他のWebアンケートから取得された情報(例えば上述のコンテクスト情報、属性情報、履歴情報等)を他情報として、通信部19を介して取得し、アンケート回答格納DB200に格納する。
【0048】
解析部36はテキスト変換部34において音声起因データから変換されて出力されたテキストデータ(回答者U3の回答を示すデータ)に基づいて所定の解析を行う。以下、このような解析を「第1解析」と呼ぶ。
例えば、解析部36は、第1解析として、テキストマイニングの手法を適用してテキストデータ解析を行う。
【0049】
具体的には例えば、解析部36は、第1解析として、テキストデータに基づいて回答者U3の感情分析を行う。即ち解析部36は、テキストデータに出現する単語の感情特性を調べることにより、例えばテキストデータ全体がポジティブな内容を表現しているのか、ネガティブな内容なのかを判定する。
これにより、解析部36は、回答者U3が、問いで示された内容に対してどのような感情を有しているのかを把握することができる。
【0050】
また例えば、解析部36は、第1解析として、テキストデータに基づいて頻出単語の解析を行う。即ち、解析部36は、テキストデータに出現する単語をカウントすることにより、テキストデータにどのような内容が含まれているかをモニタリングする。
これにより、解析部36は、回答者U3が、Webアンケートで示された内容についてどのようなポイントを重要視しているかを把握することができる。
【0051】
また例えば、解析部36は、第1解析として、テキストデータに基づいて文章要約を行う。即ち、解析部36は、テキストデータに出現する複数の文章から抽出したトピックを用いて要約を生成する。
これにより、解析部36は、回答者U3が、アンケートで示された内容について重要視するポイントについて要約することができる。
【0052】
また例えば、解析部36は、第1解析として、テキストデータに基づいてクラスタリングを行う。
即ち、解析部36は、例えば、回答者U3や問いのテーマについて、多数の回答者U3の回答を夫々示すテキストデータをクラスタリングすることで、類似した傾向のグループに分類する。
【0053】
また例えば、解析部36は、上述した第1解析により得られた定量的な情報に対して、他情報取得部35により取得された他情報(回答者U3の属性情報、行動履歴、過去の回答データ、コンテクスト情報等)を掛け合わせることでさらなる解析を実行してもよい。
【0054】
また例えば、解析部36は、アンケート回答格納DB200に格納されている音声起因データ(テキストデータに変換されていない回答者U3の回答を示す音声起因データ)に基づいて所定の解析を行う。以下、このような解析を「第2解析」と呼ぶ。
即ち、解析部36は、回答者U3の発話による音声そのものから得られた音声起因データに基づき、声のトーンやその音声から読み取れる感情や情報の確からしさ等を解析する。
【0055】
また例えば、解析部36は、アンケート回答格納DB200に格納されている入力操作起因データに基づいて所定の解析を行う。以下、このような解析を「第3解析」と呼ぶ。
即ち、解析部36は、回答者U3の入力の操作から得られた入力操作起因データに基づき、例えばクロス集計等の解析を実行する。
【0056】
このような第1解析乃至第3解析により回答者U3の回答を示すデータについての、変換、統計処理、可視化等が実行される。
【0057】
アンケート結果収集部37は、解析部36による第1解析乃至第3解析の結果を、Webアンケートの回答データの一部として収集する。
また、アンケート結果収集部37は、入力操作起因データ、音声起因データがテキスト変換部34においてテキストデータに変換された結果、及び音声起因データ(テキストデータに変換されていない回答者U3の回答を示す音声起因データ)を、Webアンケートの回答データの一部として収集してもよい。
このようにしてアンケート結果収集部37により収集されたWebアンケートの回答データは、アンケート結果DB300に格納される。
これにより、サービス提供者(出題者)は、Webアンケートの回答データとしてより精度の高い情報を得ることができる。
【0058】
ところで、他情報取得部35において取得された他情報は、上述のように、解析部36の解析に適宜用いられてWebアンケートの回答データに反映されるが、さらに、Webアンケート(問い)の生成に反映されるようにしてもよい。
【0059】
具体的には例えば、他情報取得部35において画像(映像や写真等の静止画像)が他情報として取得された場合、アンケート生成部31は、当該画像と問いを組み合わせてWebアンケートを生成することもできる。
即ち、アンケート生成部31は、回答者U3が閲覧する閲覧物(例えば、パンフレット、掲示物、Webページの画面、QRコード(登録商標)等)に基づいて、当該閲覧物に関連する問いを生成することができる。これにより、サービス提供者(出題者)は、閲覧物に関する具体的な感想等を回答データとして収集することができる。
【0060】
また例えば、他情報取得部35において回答者U3の位置情報が他情報として取得された場合、アンケート生成部31は、回答者U3の位置情報と問いとを組み合わせてWebアンケートを生成することもできる。
即ち、アンケート生成部31は、例えば回答者U3の位置情報が、勤務先を示す場合、自宅を示す場合、あるいは講演会や学会の開催場所を示す場合、位置情報が示すこれらの場所に基づいて問いを生成することができる。これにより、サービス提供者(出題者)は、例えば回答者U3が講演会に出席している場合にはその講演会の感想に関する問いを回答者U3に提示することができるため、より具体的な情報を回答データとして収集することができる。
【0061】
さらに例えば、アンケート生成部31は、アンケート構成情報DB100に格納された別の問い(過去のWebアンケートや別のWebアンケート含む)、アンケート結果DB300に格納された過去の回答データ、他情報取得部35で取得された属性情報(回答者U3の勤務先の都道府県や診療科といった属性)に基づいて、問いを作成することもできる。
【0062】
このように、回答者U3の状況(例えば、回答者U3が医療従事者の場合、専門としている診療科等の属性情報、診療患者数、接触のあった企業等の医療行動や関連する情報等)が把握されることで、“特定の回答者U3”といった回答者の絞り込みや、“特定の回答者U3の音声起因データ”の抽出が可能となるため、専門領域についてより精度の高い回答を得ることができるようになる。
【0063】
以上、サーバ1の機能的構成の一例について図4を参照して説明した。
次に、図5を参照して、図4の機能的構成を有するサーバ1が実行するアンケート収集処理の流れについて説明する。
【0064】
図5は、図4の機能的構成を有するサーバが実行するアンケート収集処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
ステップS1において、問い提示部32は、アンケート構成情報DB100に格納されている複数の問いのうち次の問いを、回答対象問いとして、回答者端末3へ提示する為の制御を実行する。
ステップS2において、回答取得部33は、回答者U3からの回答として、回答者U3のアンケート回答データの入力の操作により得られた入力操作起因データ、又は回答者U3の発話により得られた音声起因データを、回答者端末3から取得し、アンケート回答格納DB200に格納する。
ステップS3において、解析部36は、ステップS2において得られた入力操作起因データ及び音声起因データに基づいて、所定の解析処理(上述の第1解析乃至第3解析等)を実行する。
【0066】
ステップS4において、アンケート結果収集部37は、ステップS3の解析処理の結果及び入力操作起因データ、音声起因データがテキスト変換部34においてテキストデータに変換された結果、及び音声起因データ(テキストデータに変換されていない回答者U3の回答を示す音声起因データ)等をアンケートの回答データとして収集して、アンケート結果DB300に格納する。
【0067】
ステップS5において、問い提示部32は、Webアンケートを構成する全ての問いを回答者U3に提示したか否かを判定する。
Webアンケートを構成する複数の問いのうち回答者U3に対して提示していない問い(回答対象問いとされていない問い)が存在する場合、ステップS5においてNoであると判定されて、処理はステップS1に戻されそれ以降の処理が繰り返される。
これに対して、Webアンケートを構成する複数の問いの全てが回答者U3に対して提示された場合(全ての問いが回答対象問いに設定済みの場合)、ステップS5においてYESであると判定されて、アンケート収集処理は終了となる。
【0068】
以上、図4の機能的構成を有するサーバ1が実行するアンケート収集処理の流れについて説明した。
【0069】
以下、図4の機能的構成を有し図5のアンケート収集処理を実行可能なサーバ1の適用例、即ち、図1の本サービスの適用例について説明する。
【0070】
第1の適用例として、本サービスは、回答者U3として例えば医療従事者からのオピニオン収集に適用することができる。
即ち、解析部36は、第1解析の結果(例えば、感情分析、頻出単語解析、他属性との組み合わせ等でクラスタリングした結果)と第2解析の結果とを組み合わせることにより、医療従事者からMR、MS(医薬品卸販売担当者)へのオピニオンや、薬剤、MR、MSから医療従事者に対するメッセージの理解度等について、定量的な評価や理解度を把握する。即ち例えば、解析部36は、第1解析及び第2解析のうち少なくとも1以上の結果を組み合わせることにより、製薬会社がMR等を通じて医療従事者に伝えたいメッセージを医療従事者自らが言葉にできるか(理解しているか)を判定する。
また例えば、解析部36は、第2解析の結果として、医師の声のトーンより、アンケートの示す内容について医療従事者がポジティブ、ネガティブのいずれの感情を有しているか等を判定する。
アンケート結果収集部37によりこのような解析結果が高頻度に収集されるため、調査会社は、医療従事者の考えの変化や、情報提供や訪問のきっかけを掴むことができるようになる。
【0071】
第2の適用例として、本サービスは、講演会や学会の概要収集に適用することができる。
即ち、問い提示部32は、他情報取得部35において取得された回答者U3の所持するQRコード(登録商標)や位置情報等に基づいて、回答者U3に対し、生成された問いを出力することにより提示する。
具体的には例えば、問い提示部32は、所定の講演会や学会のQRコード(登録商標)を所持する回答者U3や、当該講演会や学会の位置情報を有する回答者U3に対象を限定し、生成された問いを提供する。そして解析部36は、収集された入力操作起因データ及び音声起因データに基づいて第1解析乃至第3解析を実行することにより、クラスタリングによる評価、要約等を生成する。
このように問い提示部32は、所定の条件でスクリーニングされた回答者U3を対象として迅速に問いを提供するため、出題者は、例えば講演会等の参加者である回答者U3の純粋な回答や反応を回答データとして迅速に効率よく収集することができるようになる。
【0072】
第3の適用例として、本サービスによれば、回答者U3として例えば医療従事者による回答を病院毎にまとめることができる。
即ち、解析部36は、回答取得部33において取得された入力操作起因データ又は音声起因データと、他情報取得部35において取得された回答者U3及び病院やクリニックの位置情報とに基づき、所定の位置情報を有する医療従事者から入力された回答データのみを抽出し、解析を行う。
具体的には例えば、解析部36は、複数の勤務先(例えば、病院と自身で開業したクリニック)がある医療従事者の位置情報と、病院及びクリニックの位置情報と、取得された回答データ(例えば、その日の診療状況として診察した患者数、処方薬剤、処置、検査、新たに処方した薬剤有無、また例えば自身で収集した情報、他の人との接触、医療従事者の勤怠等)とに基づき、医療従事者がいずれの病院、またはクリニックに存在しながら入力したデータであるかを把握する。
このように医療従事者及び医療従事者の勤務先の位置情報等に基づいて回答データがスクリーニングされるため、医療従事者は、例えばテキストの入力操作により所在地を回答する必要なく、効率的にWebアンケートへ回答することができるようになる。
【0073】
このように、他情報と組み合わせることにより回答者U3や回答データがスクリーニングされるため、例えばIVR(自動音声応答)では達成できないような、より複雑なスクリーニングアンケートとの組み合わせが可能になる。
【0074】
また第4の適用例として、本サービスは、回答者U3として例えば患者からの情報収集にも適用することができる。
即ち、問い提示部32は、他情報取得部35において取得された患者の位置情報等に基づいて生成された問いを出力することにより提示することができる。
具体的には例えば、問い提示部32が、所定の医療機関の位置情報を有する患者に対象を限定し、生成された問いを提供すると、回答取得部33は、例えば診療を受けた医療機関に関するデータ、診療内容、自身の体調や生活・治療の状態に関するデータを患者から取得することができる。
【0075】
また第5の適用例として、本サービスをインタビュー調査と組み合わせて活用することができる。
上述したようにインタビュー調査は、その実施に労力、時間、コストを要する為、大規模な人数での実施は難しく、1セグメント(対象者の共通条件)あたり回答者U3が数名に留まることが多い。
即ち、このようなインタビュー調査と本サービスとを組み合わせることにより、トピック毎に数十名といった規模の音声起因データの回収が可能になる。
具体的には例えば、インタビュー調査で、特定のトピックに対する意見が、A、Bと割れた場合を想定する。
このようなインタビュー調査の結果に基づいて「A、Bどちらに同意するか」といった問いが、問い提示部32により回答対象問いとして回答者端末3に送信されると、回答取得部33は、回答者U3として数十名の別の対象者の夫々の回答を示すデータを、回答者端末3から夫々取得する。
即ち、回答取得部33は、A、Bどちらに同意するかについての各自の意見が添えられた音声起因データや、A、Bに係るアンケート回答データの入力の操作により入力された入力操作起因データ及び各自の意見が添えられた音声起因データを取得する。
また、解析部36において、取得された音声起因データに基づいて、例えばA、Bのどちらが多いか、A、B以外の意見が多いか等についての所定の解析処理が実行されてもよい。
【0076】
このように、本サービスとインタビュー調査とを組み合わせて活用することにより、大規模な人数でのインタビュー調査を行うことなく、迅速に、簡易に、そして精度の高い大規模な意見調査が可能となる。
特に回答者U3として例えば医療従事者が調査対象である場合には、このような本サービスとインタビュー調査との組み合わせにより、探索的なテーマや見解が分かれるトピックに関しても迅速に、簡易に、そして精度の高い医療従事者の見解を把握することが可能となる。
【0077】
また第6の適用例として、本サービスとインタビュー調査とが組み合わせて活用される第5の適用例とは逆のスキームの適用例について説明する。
具体的には例えば、Webアンケートにおいて、回答者U3の回答を示すデータとして音声起因データされた場合を想定する。
解析部36において、音声起因データについて所定の解析がなされると、その結果が、アンケート結果収集部37により回答データとして収集される。
このようにして収集された回答データに基づいて、実際のインタビュー調査が実行されることにより、インタビュアは、回答者U3のより深い見解を引き出すことができるようになる。
特に回答者U3として例えば医療従事者が調査対象である場合には、このような本サービスとインタビュー調査との組み合わせにより、多忙な医師を含む医療従事者に多大な負担をかけることなく、迅速に、簡易に、そして精度の高いデータを得ることができるようになる。
【0078】
さらに、このような本サービスとインタビュー調査との組み合わせは、患者または潜在患者(特定の疾患の診断をされていない患者予備軍)からの意見聴取にも適用することが可能である。
即ち、Webアンケートにおいて、回答者U3の回答を示すデータとして患者または潜在患者の音声が入力されると、当該入力の結果得られる音声起因データ、又は、解析部36において音声起因データについての所定の解析がなされた結果に基づいて、医師(医療従事者)の見解を得ることができる。これにより、よりよい医療を実現させることができるようになる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれるものとする。
【0080】
上述の実施形態において、サーバ1はサービス提供者により管理される、と説明したが、特にこれに限定されない。即ち、サービス提供者と出題者は、同一の者であってもよく、出題者がサーバ1を管理してもよい。
上記実施形態では、アンケート回答データの一例として、音声に起因する音声起因データやテキストデータに起因する入力操作起因データ等を用いたが、これ以外に、例えばアンケートの回答を表す丸やバツのマークや記号、複数の回答群の中から選択された数字の画像データ等であってもよく、アンケート回答データであれば足りる。
【0081】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは特に図4の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、出題者端末2や回答者端末3等に移譲させてもよい。逆に出題者端末2や回答者端末3の機能をサーバ1等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0082】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0083】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者(本サービスの提供者や、出題者、回答者)等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者等に提供される記録媒体等で構成される。
【0084】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0085】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることが出来る。
即ち、本発明が適用される情報処理システムは、
複数の問いから構成されるアンケートの回答者(例えば、回答者U3)が保有する情報処理装置(例えば回答者端末3)を少なくとも含み、当該回答者(例えば、回答者U3)により前記情報処理装置(例えば回答者端末3)に対して入力された当該アンケートの回答を収集する情報処理システムにおいて、
前記アンケートを構成する前記複数の問いの夫々を順次回答対象問いとして、前記回答対象問いを前記情報処理装置(例えば回答者端末3)に提示する提示手段(例えば、問い提示部32)と、
前記回答対象問いに対する前記アンケートの回答として、前記回答者(例えば、回答者U3)により前記情報処理装置(例えば回答者端末3)に対してアンケート回答データの入力の操作により得られた第1データ(例えば、入力操作起因データ)、又は、前記回答者(例えば、回答者U3)により発話された音声が前記情報処理装置(例えば回答者端末3)に対して入力された結果得られた第2データ(例えば、音声起因データ)を取得する回答取得手段(例えば回答取得部33)と、
を備える。
このように、回答者は、発話するだけでアンケートに回答することができるようになるため、アンケートにおける利便性が向上する。
【0086】
また、前記回答として前記第2データ(例えば音声起因データ)が取得された場合、当該第2データ(例えば音声起因データ)を、前記回答者(例えば、回答者U3)により発話された前記音声の内容をテキストで表すテキストデータに変換して出力するテキスト変換手段(例えば、テキスト変換部34)と、
前記回答として前記第1データ(例えば、入力操作起因データ)が取得された場合には当該第1データ(例えば、入力操作起因データ)を、前記回答として前記第2データ(例えば音声起因データ)が取得された場合には前記テキスト変換手段(例えば、テキスト変換部34)から出力された前記テキストデータを、前記回答者(例えば、回答者U3)による前記アンケートの回答データとして収集するアンケート収集手段(アンケート結果収集部37)と、
を備える。
これにより、アンケートの結果として、より精度の高い情報を充分に収集することができるようになる。
【0087】
また、前記回答として前記第2データが取得された場合、当該第2データから変換された前記テキストデータに対して所定の第1手法(例えば、感情分析、複数の回答者の回答のクラスタリング、所定の回答者の回答内容の要約、複数の回答者の回答から頻出単語を抽出等)を用いた第1解析(例えば、音声起因データから変換されて出力されたテキストデータに基づく解析)を行い、その解析結果のデータを出力する解析手段(例えば解析部36)
をさらに備え、
前記アンケート収集手段(アンケート結果収集部37)は、さらに、前記解析結果のデータを収集する。
これにより、収集された回答データが、所定の基準に基づいて自動的に分類及び解析されるため、定量的な情報を効率よく収集することができるようになる。その結果、アンケートの回答データとしてより精度の高い情報を得ることが可能になる。
【0088】
また、前記解析手段(例えば解析部36)は、前記回答として前記第2データ(例えば音声起因データ)が取得された場合、さらに、当該第2データ(例えば音声起因データ)に対して所定の第2手法を用いた第2解析(例えば、音声起因データ(テキストデータに変換されていない回答者U3の回答を示す音声起因データ)に基づく解析)を行い、その解析結果のデータを出力する。
これにより、音声そのものを解析対象としてできるため、声のトーンや、そこから読み取れる感情、情報の確からしさなどの解析をすることができるようになる。その結果、アンケートの回答データとしてより精度の高い情報を得ることが可能になる。
【0089】
また、前記回答者についての、属性情報、コンテクスト情報、及び履歴情報のうち少なくとも1以上の情報を、他情報として取得する他情報取得手段(例えば、他情報取得部35)をさらに備え、
前記解析手段(例えば解析部36)は、前記回答者についての前記他情報を考慮して、前記第1解析(例えば、音声起因データから変換されて出力されたテキストデータに基づく解析)と前記第2解析(例えば、音声起因データ(テキストデータに変換されていない回答者U3の回答を示す音声起因データ)に基づく解析)のうち少なくとも一方を行う。
これにより、例えば回答者や回答データが任意の条件に基づいてスクリーニングされる等高度な解析が実行可能になるため、Webアンケートの回答データとして精度の高い情報を確実に得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・サーバ、2・・・出題者端末、3・・・回答者端末、4・・・他情報処理装置、31・・・アンケート生成部、32・・・問い提示部、33・・・回答取得部、34・・・テキスト変換部、35・・・他情報取得部、36・・・解析部、37・・・アンケート結果収集部、51・・・テキスト回答用生成部、52・・・音声回答用生成部、53・・・テキスト回答用提示部、54・・・音声回答用提示部、55・・・テキスト回答取得部、56・・・音声回答取得部、100・・・アンケート構成情報DB、200・・・アンケート回答格納DB、300・・・アンケート結果DB
図1
図2
図3
図4
図5