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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179097
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電力変換システム、及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221125BHJP
   G05F 1/67 20060101ALI20221125BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221125BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 W
G05F1/67 A
H02M7/48 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086352
(22)【出願日】2021-05-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、環境省、未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木寺 和憲
【テーマコード(参考)】
5H420
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H420BB03
5H420BB14
5H420CC03
5H420DD02
5H420DD03
5H420DD09
5H420EA10
5H420EB01
5H420FF03
5H420FF24
5H730AA14
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD04
5H730FD01
5H770AA13
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA05
5H770CA06
5H770CA10
5H770DA01
5H770DA10
5H770EA27
5H770FA12
5H770HA03W
5H770JA11W
5H770JA17Z
5H770KA01Y
5H770LA03W
(57)【要約】
【課題】 太陽電池の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池の出力を有効に利用できる電力変換システム、及び電源装置を提供する。
【解決手段】 電力変換システム2において、PVコンバータ21は、太陽電池3の出力を受け取り、中間電路25に直流電力を供給する。BTコンバータ22は、蓄電池4と中間電路25との間で双方向の電力変換を行う。インバータ23は、中間電圧Viを交流電圧に変換し、交流電流を系統電路5に出力する連系動作を行う。制御部24は、太陽電池3の出力の大きさが閾値以下であれば、インバータ23の連系動作を停止し、中間電路25を介して供給される直流電力を用いてBTコンバータ22に蓄電池4を充電させる強制充電制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の出力を受け取り、中間電路に直流電力を供給するPVコンバータと、
蓄電池と前記中間電路との間で双方向の電力変換を行うBTコンバータと、
前記中間電路の電圧である中間電圧を交流電圧に変換し、交流電流を系統電路に出力する連系動作を行うインバータと、
前記BTコンバータ及び前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記太陽電池の出力の大きさが閾値以下であれば、前記インバータの前記連系動作を停止し、前記中間電路を介して供給される前記直流電力を用いて前記BTコンバータに前記蓄電池を充電させる強制充電制御を行う
電力変換システム。
【請求項2】
前記閾値は、前記太陽電池の出力の大きさが前記閾値より大きければ前記連系動作が不安定にならない値である
請求項1の電力変換システム。
【請求項3】
前記閾値は、0より大きく、かつ、前記太陽電池の出力の上限値の25%以下の値である
請求項1又は2の電力変換システム。
【請求項4】
前記閾値は、前記太陽電池の出力の上限値の5%以上、かつ、前記上限値の25%以下の値である
請求項1乃至3のいずれか1つの電力変換システム。
【請求項5】
前記閾値は、停止閾値、及び前記停止閾値より大きい起動閾値で構成され、
前記制御部は、
前記太陽電池の出力の大きさが前記停止閾値以下になれば、前記強制充電制御を開始し、
前記太陽電池の出力の大きさが前記起動閾値より大きくなれば、前記強制充電制御を停止する
請求項1乃至4のいずれか1つの電力変換システム。
【請求項6】
前記PVコンバータは、最大出力電力追従制御によって前記太陽電池の出力を前記直流電力に変換し、
前記BTコンバータは、前記強制充電制御時において、前記中間電圧が所定値になるように前記蓄電池に供給する電力を調整する、
請求項1乃至5のいずれか1つの電力変換システム。
【請求項7】
前記PVコンバータは、少なくとも1つのPVスイッチング素子を備え、前記少なくとも1つのPVスイッチング素子がオン状態又はオフ状態を維持することで、前記太陽電池の発電電圧を前記中間電路に印加するPV短絡動作を行い、
前記BTコンバータは、少なくとも1つのBTスイッチング素子を備え、前記少なくとも1つのBTスイッチング素子がオン状態又はオフ状態を維持することで、前記中間電圧を前記蓄電池に印加するBT短絡動作を行う
請求項1乃至5のいずれか1つの電力変換システム。
【請求項8】
前記PVコンバータ及び前記BTコンバータのそれぞれは、ハーフブリッジコンバータである
請求項7の電力変換システム。
【請求項9】
前記強制充電制御時において、
前記発電電圧が前記蓄電池の電池電圧より低ければ、前記PVコンバータは、前記少なくとも1つのPVスイッチング素子をスイッチングさせる最大出力電力追従制御によって、前記太陽電池の出力を前記直流電力に変換し、前記BTコンバータは、前記BT短絡動作を行い、
前記発電電圧が前記電池電圧より高ければ、前記PVコンバータは、前記PV短絡動作を行い、前記BTコンバータは、前記少なくとも1つのBTスイッチング素子をスイッチングさせる最大出力電力追従制御によって前記蓄電池を充電する
請求項7又は8の電力変換システム。
【請求項10】
前記太陽電池の出力の大きさを測定する出力測定部を更に備える
請求項1乃至9のいずれか1つの電力変換システム。
【請求項11】
前記PVコンバータ、前記BTコンバータ、及び前記インバータの少なくとも1つは、窒化ガリウム又は炭化ケイ素を含む半導体を材料とする少なくとも1つのスイッチング素子を備える
請求項1乃至10のいずれか1つの電力変換システム。
【請求項12】
太陽電池の出力を受け取り、中間電路に直流電力を供給するPVコンバータに、前記中間電路を介して電気的に接続する電源装置であって、
蓄電池と前記中間電路との間で双方向の電力変換を行うBTコンバータと、
前記BTコンバータを制御するBT制御部と、を備え、
前記BT制御部は、前記太陽電池の出力の大きさが閾値以下であれば、前記中間電路を介して供給される前記直流電力を用いて前記BTコンバータに前記蓄電池を充電させる強制充電制御を行う
電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換システム、及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電力変換システムは、電力変換装置と、太陽光発電装置と、連系リレーと、蓄電池とを備える。電力変換装置は、第1のDC/DCコンバータと、第2のDC/DCコンバータと、インバータと、制御部とを備える。
【0003】
第1のDC/DCコンバータは、太陽光発電装置から供給される第1のDC電圧を、DCリンク電圧に昇圧可能に構成されている。第2のDC/DCコンバータは、DCリンク電圧を第2のDC電圧に降圧して、蓄電池に供給可能に構成されている。インバータは、DCリンク電圧をAC電圧に変換し、AC電圧を系統に出力する。
【0004】
制御部は、電力変換装置全体を制御及び管理し、かつ連系リレーをオン、オフすることで、電力変換装置を系統と連系させるか、又は、系統から解列させるかを切り替える。例えば、充電モードでは、制御部は、電力変換装置を系統から解列して、太陽光発電装置が発電した電力を全て蓄電池に充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-133870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽光発電装置(太陽電池)の出力は、天候及び時刻などによって変動する。しかしながら、太陽光発電装置の出力が低過ぎると、電力変換装置(電力変換システム)の動作が不安定になって、電力変換装置は、太陽光発電装置の出力を有効に利用できなかった。
【0007】
そこで、本開示の目的は、太陽電池の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池の出力を有効に利用できる電力変換システム、及び電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電力変換システムは、PVコンバータと、BTコンバータと、インバータと、制御部と、を備える。前記PVコンバータは、太陽電池の出力を受け取り、中間電路に直流電力を供給する。前記BTコンバータは、蓄電池と前記中間電路との間で双方向の電力変換を行う。前記インバータは、前記中間電路の電圧である中間電圧を交流電圧に変換し、交流電流を系統電路に出力する連系動作を行う。前記制御部は、前記BTコンバータ及び前記インバータを制御する。前記制御部は、前記太陽電池の出力の大きさが閾値以下であれば、前記インバータの前記連系動作を停止し、前記中間電路を介して供給される前記直流電力を用いて前記BTコンバータに前記蓄電池を充電させる強制充電制御を行う。
【0009】
本開示の一態様に係る電源装置は、太陽電池の出力を受け取り、中間電路に直流電力を供給するPVコンバータに、前記中間電路を介して電気的に接続する。前記電源装置は、蓄電池と前記中間電路との間で双方向の電力変換を行うBTコンバータと、前記BTコンバータを制御するBT制御部と、を備える。前記BT制御部は、前記太陽電池の出力の大きさが閾値以下であれば、前記中間電路を介して供給される前記直流電力を用いて前記BTコンバータに前記蓄電池を充電させる強制充電制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本開示では、太陽電池の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池の出力を有効に利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る電力変換システムを備える電源システムを示すブロック図である。
図2図2は、同上の電力変換システムが備えるPVコンバータを示す回路図である。
図3図3は、同上の電力変換システムが備えるBTコンバータを示す回路図である。
図4図4は、同上の電力変換システムが備えるインバータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態は、一般に、電力変換システム、及び電源装置に関する。より詳細には、太陽電池及び蓄電池と電気的に接続される電力変換システム、及び電源装置に関する。なお、以下の実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
実施形態の電力変換システム、及び電源装置は、主に、集合住宅、戸建住宅、オフィスビル、商業ビル、ホテル、工場、又は店舗などで用いられる。但し、実施形態の電力変換システム、及び電源装置は、上記以外の他の施設に用いられてもよい。
【0014】
(実施形態)
(1)電源システムの概要
図1は、本実施形態の電力変換システム2を備える電源システム1の構成を示す。
【0015】
電源システム1は、電力変換システム2、太陽電池3、及び蓄電池4を備える。電力変換システム2は、太陽電池3、及び蓄電池4に電気的に接続されている。さらに、電力変換システム2は、フィルタ27及びスイッチ28を介して系統電路5にも電気的に接続されている。
【0016】
電力変換システム2は、太陽電池3、蓄電池4、及び系統電路5の各間で授受される電力を制御する。例えば、電力変換システム2は、太陽電池3の出力(発電電力)を、蓄電池4に充電したり、系統電路5に逆潮流させたりする。また、電力変換システム2は、蓄電池4の放電電力を、系統電路5に逆潮流させる。
【0017】
太陽電池3は、受光した太陽光によって直流の発電電力を生成する太陽光パネルを有する。すなわち、太陽電池3の出力は、直流の発電電力である。
【0018】
蓄電池4は、充電及び放電が可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン電池、ニッケル・水素電池、又は鉛蓄電池などを有する。
【0019】
系統電路5は、例えば公称電圧200V又は100V、周波数50Hz又は60Hzの商用電力系統の電路である。系統電路5には様々な電気負荷が接続されており、電気負荷は、系統電路5から供給される交流電力によって動作する。
【0020】
そして、電力変換システム2は、PV(Photovoltaics)コンバータ21、BT(Battery)コンバータ22、インバータ23、制御部24、及び中間電路25を備える。PVコンバータ21、BTコンバータ22、インバータ23は、共通の中間電路25に電気的に接続している。PVコンバータ21は、太陽電池3の出力を直流電力に変換し、直流電力を中間電路25に供給する。BTコンバータ22は、蓄電池4及び中間電路25に電気的に接続し、蓄電池4と中間電路25との間で双方向の電力変換を行う。インバータ23は、中間電路25の電圧である中間電圧Viを交流電圧に変換し、交流電流を系統電路5に出力する連系動作を行う。制御部24は、BTコンバータ22及びインバータ23を制御する。制御部24は、太陽電池3の出力の大きさが閾値以下であれば、インバータ23の連系動作を停止し、中間電路25を介して供給される直流電力を用いてBTコンバータ22に蓄電池4を充電させる強制充電制御を行う。
【0021】
また、電源装置PS2は、PVコンバータ21に中間電路25を介して電気的に接続する電源装置である。PVコンバータ21は、太陽電池3の出力を直流電力に変換し、直流電力を中間電路25に供給する。電源装置PS2は、BTコンバータ22と、BT制御部242と、を備える。BTコンバータ22は、蓄電池4及び中間電路25に電気的に接続し、蓄電池4と中間電路25との間で双方向の電力変換を行う。BT制御部242は、BTコンバータ22を制御する。BT制御部242は、太陽電池3の出力の大きさが閾値以下であれば、中間電路25を介して供給される直流電力を用いてBTコンバータ22に蓄電池4を充電させる強制充電制御を行う。
【0022】
上述の電力変換システム2及び電源装置PS2は、太陽電池3の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池3の出力を有効に利用できる。
【0023】
(2)電力変換システムの構成
以下、電力変換システム2の構成について説明する。
【0024】
電力変換システム2は、電源装置PS1-PS3を備える。
【0025】
電源装置PS1は、PVコンバータ21、及びPV制御部241を備える。電源装置PS2は、BTコンバータ22、及びBT制御部242を備える。電源装置PS3は、インバータ23、及びINV(Inverter)制御部243を備える。PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、制御部24を構成する。PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、無線経路又は有線経路を介して互いに信号を授受可能に構成されており、PVコンバータ21、BTコンバータ22、及びインバータ23の各動作を連携させることができる。また、電力変換システム2は、中間電路25、コンデンサ26、フィルタ27、スイッチ28、及び出力測定部29を更に備えることが好ましい。
【0026】
(2.1)中間電路
中間電路25は、一対の導体を備えており、PVコンバータ21、BTコンバータ22、及びインバータ23に電気的に接続している。すなわち、PVコンバータ21、BTコンバータ22、及びインバータ23は、共通の中間電路25に電気的に接続している。
【0027】
中間電路25の一対の導体間にはコンデンサ26が接続されている。コンデンサ26は、中間電路25に印加された直流電圧を平滑する。この場合、中間電路25の電圧である中間電圧Viは、コンデンサ26の両端電圧(中間電路25の一対の導体間の電圧)となる。
【0028】
(2.2)PVコンバータ
PVコンバータ21の入力端は太陽電池3に電気的に接続し、PVコンバータ21の出力端は中間電路25に電気的に接続している。そして、PVコンバータ21は、太陽電池3の出力を直流電力に変換し、直流電力を中間電路25に供給する。
【0029】
具体的に、本実施形態のPVコンバータ21は昇圧チョッパ回路を含む。そして、PVコンバータ21は、太陽電池3が出力する直流の発電電圧Vgを昇圧し、直流の昇圧電圧を中間電路25に印加する。PVコンバータ21の昇圧電圧によって中間電路25に発生する中間電圧Viは、系統電路5の公称電圧が200Vであれば、283V以上になる。また、PVコンバータ21が昇圧動作を停止すると、PVコンバータ21の入力端と出力端との間が電気的に短絡されて、PVコンバータ21は、発電電圧Vgを中間電路25に印加するPV短絡動作を行う。
【0030】
図2は、本実施形態のPVコンバータ21の回路構成を示す。PVコンバータ21は、PVスイッチング素子21a、21b、ダイオード21c、21d、インダクタ21e、及びフィルタ21fを備える。
【0031】
フィルタ21fは、PVコンバータ21の入力段に設けられており、太陽電池3の出力に含まれるノイズ成分を減衰させる。例えば、フィルタ21fは、コンデンサ21g、21h、及びコモンモードチョークコイル21iを備える。コモンモードチョークコイル21iは、太陽電池3の出力端に直列接続されて、コモンモードノイズを減衰させる。コンデンサ21gは、太陽電池3の出力端間に接続されて、Xコンデンサとして機能し、ノーマルモードノイズを減衰させる。コンデンサ21hは、コモンモードチョークコイル21iを介してコンデンサ21gに並列接続されており、Xコンデンサとして機能してノーマルモードノイズを減衰させる。
【0032】
インダクタ21eは、フィルタ21fを介して太陽電池3の正極に直列接続されている。なお、インダクタ21eは、フィルタ21fを介して太陽電池3の負極に直列接続されてもよい。また、インダクタ21eは、1つのインダクタで構成されてもよいし、2つ以上のインダクタで構成されてもよい。また、PVコンバータ21は、フィルタ21fを介して太陽電池3の正極及び負極にそれぞれ直列接続されている2つ以上のインダクタを備えていてもよい。また、太陽電池3に対するインダクタ21eの接続形態は、特定の接続形態に限定されない。
【0033】
PVスイッチング素子21a、21bのそれぞれは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。PVスイッチング素子21aのコレクタは、インダクタ21e及びフィルタ21fを介して、太陽電池3の正極に電気的に接続している。PVスイッチング素子21aのエミッタは、PVスイッチング素子21bのコレクタに電気的に接続している。PVスイッチング素子21bのエミッタは、フィルタ21fを介して、太陽電池3の負極に電気的に接続している。すなわち、PVコンバータ21は、PVスイッチング素子21a、21bの直列回路を有するハーフブリッジコンバータであり、PVスイッチング素子21aがハイサイド側のスイッチング素子となり、PVスイッチング素子21bがローサイド側のスイッチング素子となる。
【0034】
PVスイッチング素子21a、21bの各ゲートはPV制御部241に電気的に接続している。PV制御部241は、PVスイッチング素子21a、21bの各ゲートに印加するゲート信号を出力して、PVスイッチング素子21a、21bのそれぞれをオンオフ駆動するスイッチング制御を行う。
【0035】
ダイオード21cは、PVスイッチング素子21aに逆並列接続されている。すなわち、ダイオード21cのアノードはPVスイッチング素子21aのエミッタに電気的に接続し、ダイオード21cのカソードはPVスイッチング素子21aのコレクタに電気的に接続している。
【0036】
ダイオード21dは、PVスイッチング素子21bに逆並列接続されている。すなわち、ダイオード21dのアノードはPVスイッチング素子21bのエミッタに電気的に接続し、ダイオード21dのカソードはPVスイッチング素子21bのコレクタに電気的に接続している。
【0037】
そして、PV制御部241は、PVスイッチング素子21a、21bのそれぞれを交互にオン(オフ)することで、PVコンバータ21に昇圧動作を行わせる。昇圧動作を行うPVコンバータ21では、PVスイッチング素子21a、21bのそれぞれが交互にオン(オフ)するスイッチング動作を行うことで、太陽電池3の発電電圧Vgを昇圧し、直流の昇圧電圧を中間電路25に印加する。
【0038】
PV制御部241は、太陽電池3の発電電圧Vgを直流の昇圧電圧に変換する際、最大出力電力追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を行う。すなわち、PV制御部241は、動作点が最大電力点になるように、PVコンバータ21の昇圧動作を制御する。
【0039】
また、PV制御部241は、PVスイッチング素子21a、21bのそれぞれをオフ状態に維持することで、PVコンバータ21の昇圧動作を停止する。昇圧動作を停止したPVコンバータ21では、太陽電池3の発電電圧Vgによってダイオード21cが導通する。この結果、PVコンバータ21の入力端と出力端との間が電気的に短絡されて、PVコンバータ21は、発電電圧Vgを中間電路25に印加するPV短絡動作を行う。
【0040】
(2.3)BTコンバータ
BTコンバータ22の第1入出力端は蓄電池4に電気的に接続し、BTコンバータ22の第2入出力端は中間電路25に電気的に接続している。そして、BTコンバータ22は、蓄電池4の放電電力から、中間電路25に供給する直流電力を生成する。また、BTコンバータ22は、中間電路25から直流電力を供給されて、蓄電池4を充電する充電電力を生成する。すなわち、BTコンバータ22は、蓄電池4と中間電路25との間で双方向の電力変換を行う。
【0041】
具体的に、本実施形態のBTコンバータ22はチョッパ回路を含む。そして、BTコンバータ22は、蓄電池4の直流の電池電圧Vbを昇圧し、直流の昇圧電圧を中間電路25に印加する。また、BTコンバータ22は、中間電圧Viを降圧し、直流の降圧電圧を蓄電池4に印加することで、蓄電池4に充電電流を供給する。また、BTコンバータ22は、中間電圧Viを蓄電池4に印加するBT短絡動作を行うことも可能である。
【0042】
図3は、本実施形態のBTコンバータ22の回路構成を示す。BTコンバータ22は、BTスイッチング素子22a、22b、ダイオード22c、22d、インダクタ22e、及びフィルタ22fを備える。
【0043】
フィルタ22fは、蓄電池4の充電電流及び放電電流に含まれるノイズ成分を減衰させる。例えば、フィルタ22fは、コンデンサ22g、22h、及びコモンモードチョークコイル22iを備える。コモンモードチョークコイル22iは、蓄電池4に直列接続されて、コモンモードノイズを減衰させる。コンデンサ22gは、蓄電池4の正極と負極との間に電気的に接続されて、Xコンデンサとして機能し、ノーマルモードノイズを減衰させる。コンデンサ22hは、コモンモードチョークコイル22iを介してコンデンサ22gに並列接続されており、Xコンデンサとして機能してノーマルモードノイズを減衰させる。
【0044】
インダクタ22eは、フィルタ22fを介して蓄電池4の正極に直列接続されている。なお、インダクタ22eは、フィルタ22fを介して蓄電池4の負極に直列接続されてもよい。また、インダクタ22eは、1つのインダクタで構成されてもよいし、2つ以上のインダクタで構成されてもよい。また、BTコンバータ22は、フィルタ22fを介して蓄電池4の正極及び負極にそれぞれ直列接続されている2つ以上のインダクタを備えていてもよい。また、蓄電池4に対するインダクタ22eの接続形態は、特定の接続形態に限定されない。
【0045】
BTスイッチング素子22a、22bのそれぞれは、例えばIGBTである。BTスイッチング素子22aのコレクタは、インダクタ22e及びフィルタ22fを介して、蓄電池4の正極に電気的に接続している。BTスイッチング素子22aのエミッタは、BTスイッチング素子22bのコレクタに電気的に接続している。BTスイッチング素子22bのエミッタは、フィルタ22fを介して、蓄電池4の負極に電気的に接続している。すなわち、BTコンバータ22は、BTスイッチング素子22a、22bの直列回路を有するハーフブリッジコンバータであり、BTスイッチング素子22aがハイサイド側のスイッチング素子となり、BTスイッチング素子22bがローサイド側のスイッチング素子となる。
【0046】
BTスイッチング素子22a、22bの各ゲートはBT制御部242に電気的に接続している。BT制御部242は、BTスイッチング素子22a、22bの各ゲートに印加するゲート信号を出力して、BTスイッチング素子22a、22bのそれぞれをオンオフ駆動するスイッチング制御を行う。
【0047】
ダイオード22cは、BTスイッチング素子22aに逆並列接続されている。すなわち、ダイオード22cのアノードはBTスイッチング素子22aのエミッタに電気的に接続し、ダイオード22cのカソードはBTスイッチング素子22aのコレクタに電気的に接続している。
【0048】
ダイオード22dは、BTスイッチング素子22bに逆並列接続されている。すなわち、ダイオード22dのアノードはBTスイッチング素子22bのエミッタに電気的に接続し、ダイオード22dのカソードはBTスイッチング素子22bのコレクタに電気的に接続している。
【0049】
そして、BT制御部242は、BTスイッチング素子22a、22bのそれぞれを交互にオン(オフ)することで、BTコンバータ22に昇圧動作又は降圧動作を行わせる。
【0050】
昇圧動作を行うBTコンバータ22では、BTスイッチング素子22a、22bのそれぞれを交互にオン(オフ)するスイッチング動作を行うことで、蓄電池4の電池電圧Vbを昇圧し、直流の昇圧電圧を中間電路25に印加する。BTコンバータ22の昇圧動作によって中間電路25に発生する中間電圧Viは、系統電路5の公称電圧が200Vであれば、283V以上になる。
【0051】
降圧動作を行うBTコンバータ22では、BTスイッチング素子22a、22bのそれぞれが交互にオン(オフ)するスイッチング動作を行うことで、中間電圧Viを降圧し、直流の充電電圧を蓄電池4に印加する。
【0052】
また、BT制御部242は、BTスイッチング素子22aをオン状態に維持し、BTスイッチング素子22bをオフ状態に維持することで、中間電圧Viを蓄電池4に印加するBT短絡動作を行う。BT短絡動作を行っているBTコンバータ22では、中間電圧ViがBTスイッチング素子22aを介して蓄電池4に印加される。
【0053】
(2.4)インバータ
インバータ23は、中間電圧Viを交流電圧に変換し、フィルタ27及びスイッチ28を介して系統電路5に交流電力を逆潮流させる連系動作を行う。インバータ23は、連系動作を行うことによって、インバータ23が出力する交流電力を、商用電源から系統電路5に供給されている系統電力に協調させる。
【0054】
図4は、本実施形態のインバータ23の回路構成を示す。インバータ23は、スイッチング素子23a-23d、ダイオード23e-23h、インダクタ23i、23j、及びコンデンサ23kを備える。
【0055】
4個のスイッチング素子23a-23dはフルブリッジ接続されている。具体的に、スイッチング素子23a、23bの直列回路とスイッチング素子23c、23dの直列回路とが並列接続されている。スイッチング素子23a、23bの直列回路及びスイッチング素子23c、23dの直列回路のそれぞれは、中間電路25のコンデンサ26に並列接続されている。なお、スイッチング素子23a、23bのうち、スイッチング素子23aがハイサイド側のスイッチング素子であり、スイッチング素子23bがローサイド側のスイッチング素子である。スイッチング素子23c、23dのうち、スイッチング素子23cがハイサイド側のスイッチング素子であり、スイッチング素子23dがローサイド側のスイッチング素子である。
【0056】
4個のダイオード23e-23hは、スイッチング素子23a-23dにそれぞれ逆並列接続されている。
【0057】
インダクタ23iの一端は、スイッチング素子23a、23bの接続点に電気的に接続されている。インダクタ23jの一端は、スイッチング素子23c、23dの接続点に電気的に接続されている。コンデンサ23kの両端は、インダクタ23i、23jの各他端に電気的に接続されている。すなわち、インダクタ23i、23j、及びコンデンサ23kは、インバータ23の出力に含まれるノイズ成分を減衰させるフィルタとして機能する。
【0058】
スイッチング素子23a-23dの各ゲートはINV制御部243に電気的に接続している。INV制御部243は、スイッチング素子23a-23dの各ゲートに印加するゲート信号を出力して、スイッチング素子23a-23dのそれぞれをオンオフ駆動するスイッチング制御を行う。そして、INV制御部243は、スイッチング素子23a、23dの組とスイッチング素子23b、23cの組とを交互にオン(オフ)することで、インバータ23に中間電圧Viを交流電圧に変換するDC/AC変換を行わせる。インバータ23が出力する交流電力は、フィルタ27及びスイッチ28を介して系統電路5に供給される。
【0059】
フィルタ27は、インバータ23の出力に含まれるノイズ成分を減衰させる。例えば、フィルタ27は、コンデンサ27a、27b、及びコモンモードチョークコイル27cを備える。コモンモードチョークコイル27cは、インバータ23の出力端に直列接続されて、コモンモードノイズを減衰させる。コンデンサ27aは、インバータ23の出力端間に接続されて、Xコンデンサとして機能し、ノーマルモードノイズを減衰させる。コンデンサ27bは、コモンモードチョークコイル27cを介してコンデンサ27aに並列接続されており、Xコンデンサとして機能してノーマルモードノイズを減衰させる。
【0060】
スイッチ28は、フィルタ27と系統電路5との間の電路に設けられている。そして、スイッチ28がオンすると、フィルタ27と系統電路5との間の電路が導通する。スイッチ28がオフすると、フィルタ27と系統電路5との間の電路が遮断される。なお、図4において、スイッチ28は両切構成であるが、片切構成であってもよい。
【0061】
(2.5)制御部
制御部24は、PVコンバータ21、BTコンバータ22、及びインバータ23を制御する機能を有する。本実施形態の制御部24は、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243を備える。PV制御部241はPVコンバータ21を制御し、BT制御部242はBTコンバータ22を制御し、INV制御部243はインバータ23を制御する。
【0062】
電源装置PS1-PS3のそれぞれは、コンピュータを備えている。各コンピュータがそれぞれのプログラムを実行することによって、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243のそれぞれの一部又は全部の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されていてもよい。
【0063】
(2.6)出力測定部
出力測定部29は、太陽電池3の出力の大きさ(出力値)を測定する機能を有する。出力測定部29は、測定した太陽電池3の出力値のデータを、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243に送信する。
【0064】
具体的に、出力測定部29は、PV制御部241が行うMPPTの結果又は過程を監視することで、太陽電池3の出力値として発電電力値を測定する。そして、出力測定部29は、発電電力値のデータを、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243に送信する。この場合、出力測定部29の一部又は全部の機能は、電源装置PS1が有するコンピュータがプログラムを実行することによって実現されることが好ましい。
【0065】
あるいは、出力測定部29は、太陽電池3の発電電圧Vg及び発電電流を検出することで、発電電力値を測定してもよい。
【0066】
(3)電力変換システムの動作
以下、電力変換システム2の動作について説明する。
【0067】
出力測定部29は、太陽電池3の発電電力値を測定する。そして、出力測定部29は、発電電力値のデータを、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243に送信する。したがって、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、発電電力値のデータを取得することで、太陽電池3の発電電力値を監視できる。
【0068】
そして、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、太陽電池3の発電電力値を予め決められた閾値と比較する。PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、発電電力値が閾値以上、又は0(ゼロ)であれば、それぞれの動作モードを通常モードとする。PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、発電電力値が0より大きく、かつ、閾値未満であれば、それぞれの動作モードを強制充電モードとする。すなわち、制御部24は、発電電力値と閾値との比較結果に応じて、制御部24の動作モードを通常モードと強制充電モードとのいずれかに切り替える。例えば、明け方及び夕方に比べて日射量が多い昼間、及び夜間などに、動作モードは通常モードに設定される。また、昼間に比べて日射量が少ない明け方及び夕方、並びに雨天時及び曇天時の昼間などに、動作モードは強制充電モードに設定される。
【0069】
閾値は、太陽電池3の出力の大きさが閾値より大きければインバータ23の連系動作が不安定にならない値である、ことが好ましい。インバータ23は、入力が小さ過ぎるときにDC/AC変換を行うと、DC/AC変換動作が不安定になりやすくなる。そこで、閾値を上述のように設定することで、太陽電池3の発電電力値が閾値より大きければ、インバータ23が安定してDC/AC変換を行うことができる。
【0070】
具体的に、閾値は、0より大きく、かつ、太陽電池3の出力の上限値の25%以下の値であることが好ましい。さらには、閾値は、太陽電池3の出力の上限値の5%以上、かつ、上限値の25%以下の値であることが好ましい。
【0071】
(3.1)通常モード
通常モードで動作するPV制御部241は、太陽電池3の発電量、蓄電池4の充電レベル、及び系統電路5における電力の需要と供給のバランスなどに応じて、PVコンバータ21の昇圧動作を制御する。例えば、PV制御部241は、必要に応じて、MPPTによってPVコンバータ21の昇圧動作を制御したり、最大電力点より出力が低くなる動作点でPVコンバータ21の昇圧動作を制御したりする。
【0072】
通常モードで動作するBT制御部242は、太陽電池3の発電量、蓄電池4の充電レベル、及び系統電路5における電力の需要と供給のバランスなどに応じて、BTコンバータ22による蓄電池4の充電制御及び放電制御を行う。
【0073】
通常モードで動作するINV制御部243は、太陽電池3の発電量、蓄電池4の充電レベル、及び系統電路5における電力の需要と供給のバランスなどに応じて、インバータ23による逆潮流制御を行う。
【0074】
(3.2)強制充電モード
強制充電モードで動作するPV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243は、以下の強制充電制御を行う。
【0075】
まず、強制充電制御時には、INV制御部243又は図示しないスイッチ制御部が、スイッチ28をオフすることで、インバータ23(電力変換システム2)を系統電路5から解列させる。
【0076】
強制充電モードで動作するPV制御部241は、MPPTによってPVコンバータ21の昇圧動作を制御する強制充電制御を行う。
【0077】
強制充電モードで動作するINV制御部243は、インバータ23を停止させる強制充電制御を行う。具体的に、INV制御部243は、インバータ23のスイッチング素子23a-23dのそれぞれをオフ状態に維持し、DC/AC変換を停止させる。
【0078】
強制充電モードで動作するBT制御部242は、中間電路25を介して供給される直流電力を用いてBTコンバータ22に蓄電池4を充電させる強制充電制御を行う。強制充電モードではインバータ23が停止しているので、BTコンバータ22は、太陽電池3の発電電力の全てを用いて、蓄電池4を充電する。
【0079】
具体的に、強制充電制御を行うBT制御部242は、中間電圧Viが所定値になるように、BTコンバータ22が蓄電池4に供給する電力を調整する。すなわち、BTコンバータ22は、入力である中間電圧Viを定電圧制御しながら、中間電圧Viを降圧して直流の降圧電圧を生成し、直流の降圧電圧を蓄電池4に印加することで、蓄電池4に充電電流を供給する。例えば、系統電路5の公称電圧が200Vであれば、中間電圧Viが283V以上の一定値になるように、蓄電池4の充電電流を調整する。このように、強制充電モードの充電制御時において蓄電池4を充電するときに、中間電圧Viは一定値に維持される。この結果、強制充電モードから通常モードに戻って、インバータ23が連系動作を開始したときでも、迅速に、インバータ23が出力する交流電力を系統電路5の系統電力に協調させることができる。
【0080】
インバータ23は、入力が小さ過ぎるときにDC/AC変換を行うと、インバータ23の動作が不安定になりやすくなる。そこで、INV制御部243は、発電電力値が0より大きく、かつ、閾値未満となる強制充電モードでは、インバータ23を停止させる。したがって、発電電力が小さいときでも、インバータ23の動作が不安定になることを回避できる。また、BTコンバータ22は、太陽電池3の発電電力の全てを用いて、蓄電池4を充電する。したがって、発電電力が小さいときでも、発電電力を有効に利用できる。
【0081】
すなわち、電力変換システム2は、太陽電池3の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池3の出力を有効に利用できる。
【0082】
(4)第1変形例
制御部24(PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243)による発電電力値と閾値との比較処理は、ヒステリシス特性を有することが好ましい。この場合、閾値は、停止閾値及び起動閾値で構成される。起動閾値は、停止閾値より大きい値である。そして、制御部24は、通常モードで動作しているときに発電電力値が停止閾値以下になれば、通常モードから強制充電モードに移行して、強制充電制御を行う。制御部24は、強制充電モードで動作しているときに発電電力値が停止閾値より大きくなれば、強制充電モードから通常モードに移行して、通常制御を行う。すなわち、制御部24は、太陽電池3の出力の大きさが停止閾値以下になれば、強制充電制御を開始し、太陽電池3の出力の大きさが起動閾値より大きくなれば、強制充電制御を停止する。起動閾値と停止閾値との差分であるヒステリシス幅は、太陽電池3の出力の上限値の2-3%程度であることが好ましい。
【0083】
本変形例では、電力変換システム2は、強制充電制御の開始、停止のチャタリングの発生を抑えることができる。
【0084】
(5)第2変形例
強制充電モードで動作する制御部24(PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243)は、以下の強制充電制御を行ってもよい。
【0085】
強制充電モードで動作するINV制御部243は、インバータ23を停止させる強制充電制御を行う。
【0086】
強制充電モードで動作するPV制御部241及びBT制御部242は、発電電圧Vgと電池電圧Vbとの大小関係に応じて、強制充電制御の内容を切り替える。
【0087】
具体的に、発電電圧Vgが電池電圧Vb未満であれば、PVコンバータ21は、発電電圧Vgを入力として、PVスイッチング素子21a、21bをスイッチングさせるMPPTによって太陽電池3の発電電圧Vgを昇圧して中間電路25に出力する。そして、BTコンバータ22は、中間電圧Viを蓄電池4に印加するBT短絡動作を行うことで、蓄電池4に充電電流を供給する。
【0088】
また、発電電圧Vgが電池電圧Vb以上であれば、PVコンバータ21は、発電電圧Vgを中間電路25に印加するPV短絡動作を行う。そして、BTコンバータ22は、中間電圧Viを入力として、BTスイッチング素子22a、22bをスイッチングさせるMPPTによって、中間電圧Viを降圧した降圧電圧を蓄電池4に印加することで、蓄電池4に充電電流を供給する。
【0089】
上述のように、本変形例の制御部24は、発電電圧Vgと電池電圧Vbとの大小関係に応じて、強制充電制御の内容を切り替える。この結果、電力変換システム2は、強制充電制御の電力変換効率を向上させることができる。
【0090】
(6)第3変形例
PVコンバータ21のPVスイッチング素子21a、21b、BTコンバータ22のBTスイッチング素子22a、22b、及びインバータ23のINVスイッチング素子21a-21dは、窒化ガリウム(GaN)又は炭化ケイ素(SiC)を含む半導体を材料とするスイッチング素子であることが好ましい。
【0091】
GaN又はSiCを含む半導体を材料とするスイッチング素子は、所謂ワイドバンドギャップデバイスであり、ワイドバンドギャップデバイスを用いることでスイッチング周波数の高周波化、スイッチングによる電力損失の低減を図ることができる。
【0092】
SiCを含む半導体を材料とするスイッチング素子は寄生ダイオードを有するFETとして構成される。この場合、FETの寄生ダイオードをダイオード21c、21d、22c、22d、23e~23hとして用いることができる。
【0093】
GaNを含む半導体を材料とするスイッチング素子は寄生ダイオードを備えていない。そこで、逆並列ダイオードをスイッチング素子と別付けする代わりに、スイッチング素子を逆導通モードで動作させてもよい。この場合、ダイオード21c、21d、22c、22d、23e~23hを省略できる。
【0094】
(7)第4変形例
図2のPVコンバータ21において、スイッチング素子21aは必須の構成ではなく、省略可能である。
【0095】
また、PVコンバータ21は、少なくとも1つのPVスイッチング素子を備える構成であれば、具体的な回路構成はハーフブリッジ回路に限定されない。また、PVコンバータ21は、少なくとも1つのPVスイッチング素子がオン状態又はオフ状態を維持することで、太陽電池3の発電電圧Vgを中間電路25に印加するPV短絡動作を行う構成であればよい。
【0096】
BTコンバータ22は、少なくとも1つのBTスイッチング素子を備える構成であれば、具体的な回路構成はハーフブリッジコンバータに限定されない。また、BTコンバータ22は、少なくとも1つのBTスイッチング素子がオン状態又はオフ状態を維持することで、中間電圧Viを蓄電池4に印加するBT短絡動作を行う構成であればよい。
【0097】
また、PVスイッチング素子21a、21b、BTスイッチング素子22a、22b、及びスイッチング素子23a-23dは、FET(Field Effect Transistor)であってもよい。この場合、ダイオード21c、21d、22c、22d、23e-23hとして、FETの寄生ダイオードを用いることができる。
【0098】
また、制御部24は、電源装置PS1-PS3と別体に設けられて、PVコンバータ21、BTコンバータ22、及びインバータ23を集中制御する構成であってもよい。この場合、PV制御部241、BT制御部242、及びINV制御部243の機能は、1つのコンピュータがプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0099】
また、電力変換システム2は、系統電路5から供給された電力を蓄電池4に充電する構成を備えていてもよい。このとき、インバータ23は、双方向の電力変換を行うことが好ましい。
【0100】
(8)まとめ
実施形態に係る第1の態様の電力変換システム(2)は、PVコンバータ(21)と、BTコンバータ(22)と、インバータ(23)と、制御部(24)と、を備える。PVコンバータ(21)は、太陽電池(3)の出力を受け取り、中間電路(25)に直流電力を供給する。BTコンバータ(22)は、蓄電池(4)と中間電路(25)との間で双方向の電力変換を行う。インバータ(23)は、中間電路(25)の電圧である中間電圧(Vi)を交流電圧に変換し、交流電流を系統電路(5)に出力する連系動作を行う。制御部(24)は、BTコンバータ(22)及びインバータ(23)を制御する。制御部(24)は、太陽電池(3)の出力の大きさが閾値以下であれば、インバータ(23)の連系動作を停止し、中間電路(25)を介して供給される直流電力を用いてBTコンバータ(22)に蓄電池(4)を充電させる強制充電制御を行う。
【0101】
上述の電力変換システム(2)は、太陽電池(3)の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池(3)の出力を有効に利用できる。
【0102】
実施形態に係る第2の態様の電力変換システム(2)では、第1の態様において、閾値は、太陽電池(3)の出力の大きさが閾値より大きければ連系動作が不安定にならない値であることが好ましい。
【0103】
上述の電力変換システム(2)は、システムの動作を安定させることができる。
【0104】
実施形態に係る第3の態様の電力変換システム(2)では、第1又は第2の態様において、閾値は、0より大きく、かつ、太陽電池(3)の出力の上限値の25%以下の値であることが好ましい。
【0105】
上述の電力変換システム(2)は、システムの動作をより確実に安定させることができる。
【0106】
実施形態に係る第4の態様の電力変換システム(2)では、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、閾値は、太陽電池(3)の出力の上限値の5%以上、かつ、上限値の25%以下の値であることが好ましい。
【0107】
上述の電力変換システム(2)は、システムの動作をより確実に安定させることができる。
【0108】
実施形態に係る第5の態様の電力変換システム(2)では、第1乃至第4の態様のいずれか1つにおいて、閾値は、停止閾値、及び停止閾値より大きい起動閾値で構成されることが好ましい。制御部(24)は、太陽電池(3)の出力の大きさが停止閾値以下になれば、強制充電制御を開始し、太陽電池(3)の出力の大きさが起動閾値より大きくなれば、強制充電制御を停止する。
【0109】
上述の電力変換システム(2)は、太陽電池(3)の出力の大きさと閾値との比較処理にヒステリシス特性を与えることができる。
【0110】
実施形態に係る第6の態様の電力変換システム(2)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、PVコンバータ(21)は、最大出力電力追従制御によって太陽電池(3)の出力を直流電力に変換することが好ましい。BTコンバータ(22)は、強制充電制御時において、中間電圧(Vi)が所定値になるように蓄電池(4)に供給する電力を調整することが好ましい。
【0111】
上述の電力変換システム(2)は、強制充電制御を停止したときに、迅速に連系動作を開始することができる。
【0112】
実施形態に係る第7の態様の電力変換システム(2)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、PVコンバータ(21)は、少なくとも1つのPVスイッチング素子(21a、21b)を備え、少なくとも1つのPVスイッチング素子(21a、21b)がオン状態又はオフ状態を維持することで、太陽電池(3)の発電電圧(Vg)を中間電路(25)に印加するPV短絡動作を行うことが好ましい。BTコンバータ(22)は、少なくとも1つのBTスイッチング素子(22a、22b)を備え、少なくとも1つのBTスイッチング素子(22a、22b)がオン状態又はオフ状態を維持することで、中間電圧(Vi)を蓄電池(4)に印加するBT短絡動作を行うことが好ましい。
【0113】
上述の電力変換システム(2)は、強制充電制御の電力変換効率を向上させることができる。
【0114】
実施形態に係る第8の態様の電力変換システム(2)では、第7の態様において、PVコンバータ(21)及びBTコンバータ(22)のそれぞれは、ハーフブリッジコンバータであることが好ましい。
【0115】
上述の電力変換システム(2)は、PV短絡動作及びBT短絡動作を容易に実現できる。
【0116】
実施形態に係る第9の態様の電力変換システム(2)では、第7又は第8の態様において、強制充電制御時において、発電電圧(Vg)が蓄電池(4)の電池電圧(Vb)より低ければ、PVコンバータ(21)は、少なくとも1つのPVスイッチング素子(21a、21b)をスイッチングさせる最大出力電力追従制御によって、太陽電池(3)の出力を直流電力に変換し、BTコンバータ(22)は、BT短絡動作を行うことが好ましい。発電電圧(Vg)が電池電圧(Vb)より高ければ、PVコンバータ(21)は、PV短絡動作を行い、BTコンバータ(22)は、少なくとも1つのBTスイッチング素子(22a、22b)をスイッチングさせる最大出力電力追従制御によって蓄電池(4)を充電することが好ましい。
【0117】
上述の電力変換システム(2)は、強制充電制御の電力変換効率を向上させることができる。
【0118】
実施形態に係る第10の態様の電力変換システム(2)は、第1乃至第9の態様のいずれか1つにおいて、太陽電池(3)の出力の大きさを測定する出力測定部(29)を更に備えることが好ましい。
【0119】
上述の電力変換システム(2)は、太陽電池(3)の出力の大きさを容易に監視できる。
【0120】
実施形態に係る第11の態様の電力変換システム(2)では、第1乃至第10の態様のいずれか1つにおいて、PVコンバータ(21)、BTコンバータ(22)、及びインバータ(23)の少なくとも1つは、窒化ガリウム又は炭化ケイ素を含む半導体を材料とする少なくとも1つのスイッチング素子(21a、21b、22a、22b、23a-23d)を備えることが好ましい。
【0121】
上述の電力変換システム(2)は、スイッチング周波数の高周波化、スイッチングによる電力損失の低減を図ることができる。
【0122】
実施形態に係る第12の態様の電源装置(PS2)は、太陽電池(3)の出力を受け取り、中間電路(25)に直流電力を供給するPVコンバータ(21)に、中間電路(25)を介して電気的に接続する。電源装置(PS2)は。BTコンバータ(22)と、BT制御部(242)と、を備える。BTコンバータ(22)は、蓄電池(4)と中間電路(25)との間で双方向の電力変換を行う。BT制御部(242)は、BTコンバータ(22)を制御する。BT制御部(242)は、太陽電池(3)の出力の大きさが閾値以下であれば、中間電路(25)を介して供給される直流電力を用いてBTコンバータ(22)に蓄電池(4)を充電させる強制充電制御を行う。
【0123】
上述の電源装置(PS2)は、太陽電池(3)の出力が低いときでも、システムの動作を安定させて、太陽電池(3)の出力を有効に利用できる。
【符号の説明】
【0124】
2 電力変換システム
21 PVコンバータ
22 BTコンバータ
23 インバータ
24 制御部
241 PV制御部(制御部)
242 BT制御部(制御部)
243 INV制御部(制御部)
25 中間電路
29 出力測定部
21a、21b PVスイッチング素子(スイッチング素子)
22a、22b BTスイッチング素子(スイッチング素子)
23a-23d スイッチング素子
3 太陽電池
4 蓄電池
5 系統電路
PS2 電源装置
Vi 中間電圧
Vg 発電電圧
Vb 電池電圧
図1
図2
図3
図4