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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179107
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221125BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086364
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】三田井 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 聡
(72)【発明者】
【氏名】南部 浩一
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA02Y
5H770PA03
5H770PA05
5H770PA22
5H770PA42
5H770QA06
5H770QA08
5H770QA11
5H770QA13
5H770QA22
5H770QA28
5H770QA38
(57)【要約】
【課題】複数のスイッチ間で空気への放熱量に差が生じにくくなった電気機器を提供する。
【解決手段】スイッチを備える複数のスイッチモジュール320、330、340と、複数のスイッチモジュールの並ぶ並び方向で並ぶとともに、複数のスイッチモジュールと並び方向に直交する横方向で離間する複数のコンデンサ311、312、313と、複数のスイッチモジュールそれぞれに並び方向で並ぶとともに並び方向と横方向それぞれに直交する高さ方向に延びてスイッチモジュールの熱を空気に放熱させる放熱部361と、を有し、複数のコンデンサのうちの並び方向で隣り合う2つの間の第1空隙510と、複数の放熱部のうちの並び方向で隣合う2つの間の第2空隙520が、横方向に沿って並んで空気の通る流通経路の一部を構成している電気機器。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ(381、382)を備える複数のスイッチモジュール(320、330、340)と、
複数の前記スイッチモジュールの並ぶ並び方向で並ぶとともに、複数の前記スイッチモジュールと前記並び方向に直交する横方向で離間する複数のコンデンサ(311、312、313)と、
複数の前記スイッチモジュールそれぞれに前記並び方向で並ぶとともに前記並び方向と前記横方向それぞれに直交する高さ方向に延びて前記スイッチモジュールの熱を空気に放熱させる放熱部(361)と、を有し、
複数の前記コンデンサのうちの前記並び方向で隣り合う2つの間の第1空隙(510)と、複数の前記放熱部のうちの前記並び方向で隣合う2つの間の第2空隙(520)が、前記横方向に沿って並んで前記空気の通る流通経路の一部を構成している電気機器。
【請求項2】
複数の前記コンデンサそれぞれの前記横方向の投影領域に、複数の前記スイッチモジュールそれぞれの少なくとも一部が含まれている請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
複数の前記コンデンサのうちの少なくとも1つと複数の前記スイッチモジュールの少なくとも1つを電気的に接続する第1給電部(301)、および、前記第1給電部と前記高さ方向に離間して並ぶ第2給電部(302)と、
前記横方向で複数の前記コンデンサと複数の前記スイッチモジュールの間に設けられ、前記流通経路の一部を構成する構成部(600)と、
複数の前記スイッチモジュール、複数の前記コンデンサ、複数の前記放熱部、前記第1給電部、前記第2給電部、および、前記構成部を収納する収納空間の一部を区画するケース(700)と、を有する請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記構成部は前記高さ方向に延びるとともに前記並び方向に並ぶ第1端部(620)と第2端部(630)を前記構成部は前記第1端部と前記第2端部を前記並び方向で連結するとともに、前記第1給電部と前記第2給電部を絶縁する連結部(610)を有する請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記構成部を複数有し、
複数の前記構成部が前記並び方向で離間して並び、
複数の前記構成部のうちの隣合う2つのうちの一方の前記第1端部と、複数の前記構成部のうちの隣合う2つのうちの他方の前記第2端部の間の第3空隙(530)と、前記第1空隙と前記第2空隙が前記横方向に沿って並んで前記流通経路の一部を構成している請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記第3空隙の前記スイッチモジュール側の開口の前記並び方向の幅が、前記第3空隙の前記コンデンサ側の開口の前記並び方向の幅よりも大きくなっている請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記第1給電部と前記第2給電部の少なくとも一部が前記第3空隙に設けられている請求項5または6に記載の電気機器。
【請求項8】
複数の前記スイッチモジュールそれぞれに電気的に接続される複数の出力バスバ(410、420、430)を有し、
複数の前記出力バスバのうちの少なくとも1つが前記第2空隙の少なくとも1つと前記横方向に沿う方向で並んでいる請求項1~7のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項9】
複数の前記出力バスバそれぞれに設けられる複数の電気部品(411、421、431)を有し、
複数の前記出力バスバのうちの少なくとも1つの前記電気部品の設けられる部位よりも前記スイッチモジュール側の部位の前記横方向に直交する断面で切断した断面積と、複数の前記出力バスバのうちの少なくとも1つの前記電気部品の設けられる部位よりも前記スイッチモジュールから前記並び方向で離間した部位の前記横方向に直交する断面で切断した断面積が異なる請求項8に記載の電気機器。
【請求項10】
前記第2空隙の前記並び方向の幅と前記第1空隙の前記並び方向の幅が異なっている請求項1~9のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項11】
複数の前記コンデンサそれぞれを収納する複数のコンデンサケース(730)を有し、
複数の前記コンデンサケースは前記並び方向に並ぶとともに前記高さ方向に延びる第1側部(731)と第2側部(732)を有し、
複数の前記コンデンサケースのうちの前記並び方向で隣り合う2つのうちの一方の前記第1側部と、複数の前記コンデンサケースのうちの前記並び方向で隣り合う2つのうちの他方の前記第2側部によって、前記第1空隙が区画されている請求項1~10のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項12】
複数の前記コンデンサを収納するコンデンサケース(730)と、
前記コンデンサケースに封止され、複数の前記コンデンサを前記コンデンサケースに固定する封止部(733)を有し、
複数の前記コンデンサのうちの前記並び方向で隣合う2つの間に、前記封止部と前記コンデンサケースの一部それぞれを前記横方向に開口する開口部(730a)が形成され、
前記開口部を形成する前記横方向まわりの周方向に沿う面によって前記第1空隙が区画されている請求項1~10のいずれか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、スイッチモジュールの熱を空気に放熱する放熱部を備える電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の半導体スイッチング素子を備える1つのパッケージと2つのスナバコンデンサを備える電力変換装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-99124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのスナバコンデンサの間に流れる空気によってパッケージが局所的に冷却されている。複数のスイッチング素子間で空気への放熱量に差が生じる虞があった。
【0005】
そこで本開示の目的は、複数のスイッチ間で空気への放熱量に差が生じにくくなった電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電気機器は、
スイッチ(381、382)を備える複数のスイッチモジュール(320、330、340)と、
複数のスイッチモジュールの並ぶ並び方向で並ぶとともに、複数のスイッチモジュールと並び方向に直交する横方向で離間する複数のコンデンサ(311、312、313)と、
複数のスイッチモジュールそれぞれに並び方向で並ぶとともに並び方向と横方向それぞれに直交する高さ方向に延びてスイッチモジュールの熱を空気に放熱させる放熱部(361)と、を有し、
複数のコンデンサのうちの並び方向で隣り合う2つの間の第1空隙(510)と、複数の放熱部のうちの並び方向で隣合う2つの間の第2空隙(520)が、横方向に沿って並んで空気の通る流通経路の一部を構成している。
【0007】
これによれば、複数のスイッチモジュール(320、330、340)それぞれの備えるスイッチ(381、382)間で空気への放熱量に差が生じにくくなっている。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電気機器を車両に搭載した状態を説明する模式図である。
図2】車載システムを説明する回路図である。
図3】スイッチ体の構成を説明する分解斜視図である。
図4】電気機器を説明する上面図である。
図5図4に示すV-V線に沿う電気機器を説明する断面図である。
図6図4に示す電気機器から絶縁部を除いた電気機器の上面図である。
図7図4に示す電気機器から給電バスバを除いた電気機器の上面図である。
図8】絶縁部を説明する模式図である。
図9】電気機器の変形例を説明する上面図である。
図10】車載システムの変形例を説明する回路図である。
図11】電気機器の変形例を説明する上面図である。
図12図11に示す電気機器から絶縁部を除いた電気機器の上面図である。
図13図12に示す電気機器の変形例を説明する上面図である。
図14】電気機器の変形例を説明する上面図である。
図15】電気機器の変形例を説明する上面図である。
図16】電気機器の変形例を説明する上面図である。
図17】電気機器の変形例を説明する上面図である。
図18】電気機器の変形例を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態では、走行用のモータ400を駆動する三相インバータ回路を有する電気機器800にスイッチ装置300を適用した例について説明する。電気機器800にはスイッチ装置300の他にコンデンサ310と電流センサ441が設けられている。図1は電気機器800を車両に搭載した状態を示す模式図である。図2は、電気機器800を適用した車載システム100の回路図である。
【0013】
図1に示すように車両後方に電気機器800が設けられている。車両後方には電気機器800の他に、電気機器800に風を供給する冷却用のファン900が設けられている。なお、車両後方には冷却用のファン900が設けられていなくてもよい。走行風によって電気機器800が冷却されていてもよい。なお、当然のことながら風によって空気が電気機器800へ運ばれる。電気機器800が運ばれた空気に放熱可能になっている。
【0014】
電気機器800に供給された風はコンデンサ310とスイッチ装置300と電流センサ441を順に通過した後、車外に排出される。このような機構になっているために電気機器800が所定の機能を発揮できる温度に保たれている。
【0015】
なお、図面においてはコンデンサ310を「C」と略記して示している。スイッチ装置300を「SD」と略記して示している。電流センサ441を「SR」と略記して示している。ファン900を「F」と略記して示している。
【0016】
次に図2に基づいて車載システム100を説明する。車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100はバッテリ200、モータ400、および、電気機器800を有する。
【0017】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0018】
電気機器800はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。スイッチ装置300はバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。スイッチ装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0019】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0020】
モータ400は電気機器800から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電気機器800によって直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0021】
<電気機器>
図2に示すように電気機器800はスイッチ装置300、3つのコンデンサ310、および、3つの電流センサ441を有する。スイッチ装置300は3つのスイッチモジュール350を有する。3つのスイッチモジュール350とは具体的にU相スイッチモジュール320とV相スイッチモジュール330とW相スイッチモジュール340である。3つのコンデンサ310とは具体的に第1コンデンサ311と第2コンデンサ312と第3コンデンサ313である。3つの電流センサ441とは具体的に第1電流センサ411と第2電流センサ421と第3電流センサ431である。電流センサ441は例えばホール素子などの磁電変換素子である。
【0022】
以下、適宜、スイッチモジュール350に共通する構成を説明する際、U相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340を区別なくスイッチモジュール350と示す。コンデンサ310に共通する構成を説明する際、第1コンデンサ311と第2コンデンサ312と第3コンデンサ313を区別なくコンデンサ310と示す。電流センサ441に共通する構成を説明する際、第1電流センサ411と第2電流センサ421と第3電流センサ431を区別なく電流センサ441と示す。なお、第1電流センサ411と第2電流センサ421と第3電流センサ431が電気部品に相当する。
【0023】
バッテリ200に第1給電バスバ301と第2給電バスバ302が電気的に接続されている。第1給電バスバ301と第2給電バスバ302の間に第1コンデンサ311~第3コンデンサ313と、U相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340が並列接続されている。なお、第1給電バスバ301は第1給電部に相当する。第2給電バスバ302は第2給電部に相当する。
【0024】
第1コンデンサ311と第2コンデンサ312と第3コンデンサ313それぞれは並列接続されている。第1コンデンサ311~第3コンデンサ313それぞれがU相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340それぞれに電気的に接続されている。
【0025】
モータ400を力行する場合、図示しないECUからの制御信号によって後述のスイッチモジュール350の備えるハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382それぞれがPWM制御される。これによりスイッチ装置300で3相交流が生成される。ハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382については後で説明する。
【0026】
モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これによりモータ400の発電によって生成された交流電力がスイッチモジュール350の備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。ダイオードについては後で説明する。
【0027】
本実施形態では、スイッチモジュール350に含まれるスイッチとしてnチャネル型のIGBTを採用している。ただしこれらスイッチとしては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。スイッチとしてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
【0028】
これらスイッチは、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0029】
<スイッチモジュール>
スイッチモジュール350は、2つのスイッチ、2つのダイオード、3つの端子、および、図示しない複数の信号端子を有する。これらが被覆樹脂350aに被覆されてスイッチモジュール350が構成されている。被覆樹脂350aから3つの端子それぞれの一部と複数の信号端子の一部が露出されている。
【0030】
スイッチモジュール350はスイッチとして、ハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382を有する。
【0031】
スイッチモジュール350はダイオードとしてハイサイドダイオード381aローサイドダイオード382aを有する。
【0032】
ハイサイドスイッチ381のコレクタ電極にハイサイドダイオード381aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ381のエミッタ電極にハイサイドダイオード381aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ381にハイサイドダイオード381aが逆並列接続されている。
【0033】
ローサイドスイッチ382のコレクタ電極にローサイドダイオード382aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ382のエミッタ電極にローサイドダイオード382aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ382にローサイドダイオード382aが逆並列接続されている。
【0034】
またスイッチモジュール350は3つの端子として正極端子391と負極端子392と出力端子393を有する。
【0035】
正極端子391にハイサイドスイッチ381のコレクタ電極が接続されている。負極端子392にローサイドスイッチ382のエミッタ電極が接続されている。出力端子393にハイサイドスイッチ381のエミッタ電極とローサイドスイッチ382のコレクタ電極が接続されている。
【0036】
そして正極端子391が第1給電バスバ301に接続されている。負極端子392が第2給電バスバ302に接続されている。出力端子393が出力バスバ440に接続されている。
【0037】
出力バスバ440とは具体的にU相出力バスバ410とV相出力バスバ420とW相出力バスバ430である。U相出力バスバ410がU相スイッチモジュール320の出力端子393に接続されている。V相出力バスバ420がV相スイッチモジュール330の出力端子393に接続されている。W相出力バスバ430がW相スイッチモジュール340の出力端子393に接続されている。以下、適宜、出力バスバ440に共通する構成を説明する際、U相出力バスバ410~W相出力バスバ430を区別なく出力バスバ440と示す。
【0038】
さらにハイサイドスイッチ381のゲート電極に図示しない複数の信号端子が接続されている。ローサイドスイッチ382のゲート電極に図示しない複数の信号端子が接続されている。これら複数の信号端子が図示しないECUやゲートドライバに電気的に接続されている。
【0039】
<半導体装置の機械的構成>
以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。図面においてx方向が横方向に相当する。y方向が並び方向に相当する。z方向が高さ方向に相当する。x方向とy方向それぞれに沿う方向が平面方向に相当する。図面においては「方向」の記載を省略している。また図面においては説明を簡便とするために、適宜、構成要素の一部を省略して示している。
【0040】
図3に示すようにスイッチ装置300はこれまでに説明した構成要素の他に、スイッチモジュール350のy方向の両側に配されたヒートシンク360と、スイッチモジュール350とヒートシンク360の間に配された絶縁基板370を有する。
【0041】
スイッチモジュール350、ヒートシンク360、および、絶縁基板370によってスイッチ体351が構成されている。U相スイッチモジュール320を備えるスイッチ体351を第1スイッチ体321と示す。V相スイッチモジュール330を備えるスイッチ体351を第2スイッチ体331と示す。W相スイッチモジュール340を備えるスイッチ体351を第3スイッチ体341と示す。以下、適宜、スイッチ体351に共通する構成を説明する際、第1スイッチ体321~第3スイッチ体341を区別なくスイッチ体351と示す。
【0042】
ヒートシンク360は、スイッチモジュール350の被覆樹脂350aの主面と熱的に結合されるy方向に扁平形状を成す基部361と、基部361からy方向に突出する複数のフィン362を有する。基部361と複数のフィン362は一体的に連結されている。複数のフィン362はz方向に離間して並んでいる。複数のフィン362それぞれが空気に効率的に触れられるようになっている。これによってスイッチモジュール350が空気によって効率的に空冷されるようになっている。なお、図面においては適宜複数のフィン362の図示を省略している。基部361が放熱部に相当する。
【0043】
<電気機器の機械的構成>
図4に示すように電気機器800はこれまでに説明した構成要素の他に、3つの絶縁部600と、3つのコンデンサケース730と、3つの電流センサケース740と、これまでの説明した構成要素を収納するケース700を有する。第1コンデンサ311~第3コンデンサ313がコンデンサケース730に1つずつ収納されている。第1電流センサ411~第3電流センサ431が電流センサケース740に1つずつ収納されている。なお、絶縁部600は第1給電バスバ301と第2給電バスバ302を絶縁させるためのものである。絶縁部600は例えば樹脂などを含む部材によって構成されている。絶縁部600は構成部に相当する。
【0044】
ケース700はz方向に扁平形状を成す底部710と底部710の内底面710aから環状に起立する壁部720を有する。底部710は内底面710aと内底面710aの裏側の外底面710bを有する。壁部720はケース700の収納空間の一部を区画する内壁面720aとその裏側の外壁面720bを有する。
【0045】
壁部720はx方向に離間して並ぶ第1壁部721と第3壁部723とy方向に離間して並ぶ第2壁部722と第4壁部724を有する。第1壁部721~第4壁部724が時計回りに順に内底面710aに連結されている。
【0046】
第1壁部721には内壁面720aと外壁面720bを貫通する複数の第2通風孔721aが形成されている。第3壁部723には内壁面720aと外壁面720bを貫通する複数の第1通風孔723aが形成されている。
【0047】
第1通風孔723aを介して風がケース700の収納空間に流される。そして第2通風孔721aを介して風がケース700の外側に排出される。なお、第2通風孔721aを介して風がケース700の収納空間に流され、第1通風孔723aを介して風がケース700の外側に排出されてもよい。
【0048】
なお、第2通風孔721aは第1壁部721に形成されていなくてもよい。第2通風孔721aが第2壁部722、第4壁部724、および、底部710のいずれかに形成されていてもよい。他にも第2通風孔721aがケース700に連結される図示しないカバーに形成されていてもよい。
【0049】
ケース700の第3壁部723側に3つのコンデンサケース730が設けられている。3つのコンデンサケース730それぞれはy方向に離間して並んでいる。
【0050】
3つのコンデンサケース730のうち第2壁部722側に設けられたコンデンサケース730に第1コンデンサ311が収納されている。第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730のy方向の隣のコンデンサケース730に、第2コンデンサ312が収納されている。第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730の第4壁部724側のy方向の隣のコンデンサケース730に、第3コンデンサ313が収納されている。
【0051】
ケース700の第1壁部721側に3つの電流センサケース740が設けられている。3つの電流センサケース740それぞれはy方向に離間して並んでいる。
【0052】
3つの電流センサケース740のうちの第2壁部722側に設けられた電流センサケース740に第1電流センサ411が収納されている。第1電流センサ411の収納された電流センサケース740のy方向の隣の電流センサケース740に、第2電流センサ421が収納されている。第2電流センサ421の収納された電流センサケース740の第4壁部724側のy方向の隣の電流センサケース740に、第3電流センサ431が収納されている。
【0053】
3つの電流センサケース740と3つのコンデンサケース730の間に3つのスイッチ体351が設けられている。第1スイッチ体321~第3スイッチ体341がy方向に離間して並んでいる。
【0054】
第1電流センサ411の収納された電流センサケース740と第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730の間に、第1スイッチ体321が設けられている。第2電流センサ421の収納された電流センサケース740と第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730の間に、第2スイッチ体331が設けられている。第3電流センサ431の収納された電流センサケース740と第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730の間に、第3スイッチ体341が設けられている。
【0055】
図4図6に示すように、3つのスイッチ体351と3つのコンデンサケース730の間には、3つの絶縁部600と第1給電バスバ301と第2給電バスバ302が設けられている。
【0056】
3つの絶縁部600について具体的に言えば、第1スイッチ体321と第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730の間に絶縁部600の1つが設けられている。第2スイッチ体331と第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730の間に絶縁部600の1つが設けられている。第3スイッチ体341と第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730の間に絶縁部600の1つが設けられている。
【0057】
第1給電バスバ301は正極端子391に接続される3つの第1接続部301aと、コンデンサ310の2つの電極のうちの一方に接続される3つの第2接続部301bと、これらを中継する第1中継部301cを有する。
【0058】
第1中継部301cはz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第1中継部301cは第2壁部722から第4壁部724に向かって延びている。第1中継部301cの第1壁部721側の端から3つの第1接続部301aが延びている。第1中継部301cの第3壁部723側の端から3つの第2接続部301bが延びている。
【0059】
3つの第1接続部301aそれぞれがU相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340それぞれの正極端子391に電気的および機械的に接続されている。
【0060】
3つの第2接続部301bそれぞれが第1コンデンサ311~第3コンデンサ313それぞれの備える2つの電極のうちの一方に電気的および機械的に接続されている。
【0061】
第2給電バスバ302はスイッチモジュール350の負極端子392に接続される3つの第3接続部302aと、コンデンサ310の2つの電極のうちの他方に接続される3つの第4接続部302bと、これらを中継する第2中継部302cを有する。
【0062】
第2中継部302cはz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第2中継部302cは第2壁部722から第4壁部724に向かって延びている。第2中継部302cの第1壁部721側の端から3つの第3接続部302aが延びている。第2中継部302cの第3壁部723側の端から3つの第4接続部302bが延びている。
【0063】
3つの第3接続部302aそれぞれがU相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340それぞれの負極端子392に電気的および機械的に接続されている。
【0064】
3つの第4接続部302bそれぞれが第1コンデンサ311~第3コンデンサ313それぞれの備える2つの電極のうちの他方に電気的および機械的に接続されている。
【0065】
コンデンサ310、第2接続部301b、および、第4接続部302bがコンデンサケース730に注入された封止樹脂733によってコンデンサケース730に固定されている。なお、封止樹脂733は封止部に相当する。
【0066】
図5に示すように第1中継部301cと第2中継部302cはz方向に離間している。また第1中継部301cと第2中継部302cは絶縁部600に被覆されている。これによって第1中継部301cと第2中継部302cの絶縁が保たれている。絶縁部600の詳細については後で説明する。
【0067】
上記したようにU相スイッチモジュール320の出力端子393にはU相出力バスバ410が接続されている。V相スイッチモジュール330の出力端子393にはV相出力バスバ420が接続されている。W相スイッチモジュール340の出力端子393にはW相出力バスバ430が接続されている。
【0068】
図4図7に示すようにU相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれはx方向に沿って延びている。U相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれのy方向とz方向に沿う平面で切断した断面が延長方向に延びるどの位置においても等しくなっている。
【0069】
U相出力バスバ410に第1電流センサ411が設けられている。V相出力バスバ420に第2電流センサ421が設けられている。W相出力バスバ430に第3電流センサ431が設けられている。
【0070】
第1電流センサ411とU相出力バスバ410の一部それぞれが電流センサケース740に被覆されている。第2電流センサ421とV相出力バスバ420の一部それぞれが電流センサケース740に被覆されている。第3電流センサ431とW相出力バスバ430の一部それぞれが電流センサケース740に被覆されている。
【0071】
<第1空隙と第2空隙>
上記したように3つのコンデンサケース730はy方向に離間して並んでいる。図4図7に示すように第1スイッチ体321~第3スイッチ体341はy方向に離間して並んでいる。第1スイッチ体321~第3スイッチ体341は第2壁部722から第4壁部724に向かって第1スイッチ体321、第2スイッチ体331、第3スイッチ体341の順に並んでいる。
【0072】
図7に示すように第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730のx方向の投影領域に第1スイッチ体321の一部が含まれている。第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730のx方向の投影領域に第2スイッチ体331の一部が含まれている。第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730のx方向の投影領域に第3スイッチ体341の一部が含まれている。
【0073】
また3つのコンデンサケース730のうちのy方向で隣合う2つの間に第1空隙510が区画されている。第1スイッチ体321~第3スイッチ体341のうちのy方向で隣合う2つの間に第2空隙520が区画されている。第1空隙510のすべてが第2空隙520のx方向の投影領域に含まれている。なお、第1空隙510のすべてが第2空隙520のx方向の投影領域に含まれていなくても良い。第1空隙510の一部が第2空隙520のx方向の投影領域に含まれていても良い。
【0074】
第1空隙510についてより詳しく説明するために、コンデンサケース730の構成について簡単に説明する。コンデンサケース730はコンデンサ310を収納する筐体である。コンデンサケース730はx方向周りの周方向に環状に連結される環状部と環状部の開口の一方を閉塞する閉塞部を有する。環状部はy方向に離間して並ぶ第1側部731と第2側部732とz方向に離間して並ぶ第3側部と第4側部を有している。第1側部731は第2側部732よりもy方向で第2壁部722側に設けられている。
【0075】
第1コンデンサ311に収納されるコンデンサケース730の第2側部732と第2コンデンサ312の収納されるコンデンサケース730の第1側部731の間に第1空隙510が区画されている。第2コンデンサ312に収納されるコンデンサケース730の第2側部732と第3コンデンサ313の収納されるコンデンサケース730の第1側部731の間に第1空隙510が区画されている。
【0076】
第2空隙520についてより詳しく説明すれば、第1スイッチ体321に備えられる第4壁部724側の基部361と第2スイッチ体331に備えられる第2壁部722側の基部361の間に第2空隙520が区画されている。第2スイッチ体331に備えられる第4壁部724側の基部361と第3スイッチ体341に備えられる第2壁部722側の基部361の間に第2空隙520が区画されている。
【0077】
第1スイッチ体321と第2スイッチ体331の間の第2空隙520と、第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730と第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730の間の第1空隙510がx方向に沿って並んでいる。
【0078】
第2スイッチ体331と第3スイッチ体341の間の第2空隙520と、第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730と第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730の間の第1空隙510がx方向に沿って並んでいる。
【0079】
以下説明を簡便とするために、第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730と第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730の間の第1空隙510を第11空隙511と示す。第2コンデンサ312の収納されたコンデンサケース730と第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730の間の第1空隙510を第12空隙512と示す。
【0080】
第1スイッチ体321と第2スイッチ体331の間の第2空隙520を第21空隙521と示す。第2スイッチ体331と第3スイッチ体341の間の第2空隙520を第22空隙522と示す。
【0081】
第11空隙511のすべてが、第21空隙521のx方向の投影領域に含まれている。第11空隙511と第21空隙521によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第1流通経路541の一部が構成されている。
【0082】
第12空隙512のすべてが、第22空隙522のx方向の投影領域に含まれている。第12空隙512と第22空隙522によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第2流通経路542の一部が構成されている。
【0083】
図7に示すように第1通風孔723aの1つと第1流通経路541と第2通風孔721aの1つがx方向に沿って並んでいる。第1通風孔723aの1つと第2流通経路542と第2通風孔721aの1つがx方向に沿って並んでいる。第1通風孔723aの1つと後述の第3流通経路543と第2通風孔721aの1つがx方向に沿って並んでいる。第1通風孔723aの1つと後述の第4流通経路544と第2通風孔721aの1つがx方向に沿って並んでいる。なお、図面においては流通経路を白抜きの矢印で示している。
【0084】
<絶縁部>
図8に示すように3つ絶縁部600それぞれはz方向に厚さの薄い絶縁主部610と、絶縁主部610のy方向の一端に連結される第1絶縁端部620と、絶縁主部610のy方向の他端に連結される第2絶縁端部630を有する。具体的に言えば絶縁主部610の第2壁部722側の端に第1絶縁端部620が連結されている。絶縁主部610の第4壁部724側の端に第2絶縁端部630が連結されている。なお、絶縁主部610が連結部に相当する。第1絶縁端部620が第1端部に相当する。第2絶縁端部630が第2端部に相当する。
【0085】
図7に示すように絶縁部600のx方向の投影領域にスイッチ体351の備える基部361のすべてが含まれている。なお、絶縁部600のx方向の投影領域にスイッチ体351の備える基部361のすべてが含まれていなくてもよい。絶縁部600のx方向の投影領域にスイッチ体351の備える基部361の一部が含まれていてもよい。
【0086】
図8に示すように絶縁主部610はz方向に並ぶ第1絶縁主面610aと第1絶縁主面610aの裏側の第2絶縁主面610bを有する。第1絶縁主面610aと第2絶縁主面610bはz方向視で略台形を成している。
【0087】
第1絶縁主面610aおよび第2絶縁主面610bそれぞれの第1壁部721側の端のy方向の長さが、第1絶縁主面610aおよび第2絶縁主面610bそれぞれの第3壁部723側の端のy方向の長さよりも短くなっている。第1絶縁主面610aと第2絶縁主面610bの一部がy方向に離間して並ぶ第3連結面610cと第4連結面610dによって連結されている。
【0088】
絶縁主部610には第3連結面610cと第4連結面610dを貫く第1貫通孔611と第2貫通孔612が形成されている。第1貫通孔611と第2貫通孔612はz方向に離間して並んでいる。
【0089】
第1絶縁端部620はz方向に延びている。第1絶縁端部620はy方向に並ぶ第1絶縁表面620aと第1絶縁表面620aの裏の第1絶縁裏面620bを有する。図8に示すように第1絶縁裏面620bのz方向の一端と他端の間の部位に絶縁主部610の第2壁部722側の一端が連結されている。
【0090】
第2絶縁端部630はz方向に延びている。第2絶縁端部630はy方向に並ぶ第2絶縁表面630aと第2絶縁表面630aの裏の第2絶縁裏面630bを有する。図8に示すように第2絶縁裏面630bのz方向の一端と他端の間の部位に絶縁主部610の第4壁部724側の他端が連結されている。
【0091】
さらに図8に示すようにy方向で絶縁主部610と第1絶縁端部620と第2絶縁端部630の並ぶ部位にこれらを貫通する第3貫通孔641と第4貫通孔642が形成されている。第3貫通孔641と第4貫通孔642がz方向で離間して並んでいる。
【0092】
第1貫通孔611の一部と第3貫通孔641の一部が絶縁主部610の内部で共通になっている。第2貫通孔612の一部と第4貫通孔642の一部が絶縁主部610の内部で共通になっている。
【0093】
図4図7に示すように第1中継部301cが第2壁部722から第4壁部724に向かって延びて3つの絶縁部600それぞれに被覆されている。第1中継部301cが3つの絶縁部600それぞれに形成された第3貫通孔641に通されている。第1中継部301cの一部が後述の第31空隙531と第32空隙532を通っている。
【0094】
上記したように第1中継部301cの第1壁部721側の端から3つの第1接続部301aが延びている。3つの第1接続部301aそれぞれが3つの第1貫通孔611それぞれに通されている。第1中継部301cの第3壁部723側の端から3つの第2接続部301bが延びている。3つの第2接続部301bそれぞれが3つの第1貫通孔611それぞれに通されている。
【0095】
同様に第2中継部302cが3つ絶縁部600に被覆されている。第2中継部302cが第2壁部722から第4壁部724に向かって延びて3つの絶縁部600それぞれに形成された第4貫通孔642に通されている。第2中継部302cの一部が後述の第31空隙531と第32空隙532を通っている。
【0096】
上記したように第2中継部302cの第1壁部721側の端から3つの第3接続部302aが延びている。3つの第3接続部302aそれぞれが3つの第2貫通孔612それぞれに通されている。第2中継部302cの第3壁部723側の端から3つの第4接続部302bが延びている。3つの第4接続部302bそれぞれが3つの第2貫通孔612それぞれに通されている。
【0097】
3つの絶縁部600のうち、第2壁部722側に設けられる絶縁部600から第1中継部301cと第2中継部302cの一部が露出されている。露出された第1中継部301cが第3給電バスバ303を介してバッテリ200の正極に接続されている。同様に露出された第2中継部302cの一部が第4給電バスバ304を介してバッテリ200の負極に接続されている。
【0098】
3つの絶縁部600のうち第4壁部724に設けられる絶縁部600については、自身から第1中継部301cと第2中継部302cそれぞれが露出していなくても良いし、露出していなくてもよい。
【0099】
なお、図示しないが、絶縁部600は複数のパーツに分離されていてもよい。例えば第4貫通孔642と第2貫通孔612を通る平面と、第3貫通孔641と第1貫通孔611を通る平面で、絶縁部600が3つに分離されていてもよい。
【0100】
3つのパーツのうちの底部710側の2つのパーツの間に第2給電バスバ302に設けた後、この2つのパーツが結合されていてもよい。3つのパーツのうちの底部710から離間した側の2つのパーツの間に第1給電バスバ301に設けた後、この2つのパーツが結合されていてもよい。第1給電バスバ301と第2給電バスバ302の相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。
【0101】
なお上記した分離箇所および結合箇所についてはこの構成に限定されない。分離箇所および結合箇所については様々なバリエーションが適用される。また第1給電バスバ301と第2給電バスバ302と絶縁部600が一体成形されていてもよい。
【0102】
<第3空隙>
上記したように3つの絶縁部600が3つのスイッチ体351と3つのコンデンサケース730の間に設けられている。3つの絶縁部600がy方向に離間して並んでいる。図7に示すように3つの絶縁部600のうちのy方向で隣合う2つの間に第3空隙530が区画されている。より具体的に言えば、y方向で隣合う2つのうちの一方の第2絶縁端部630とy方向で隣合う2つのうちの他方の第1絶縁端部620との間に第3空隙530が区画されている。
【0103】
図7に示すように第3空隙530のスイッチ体351側の開口のy方向の幅が、第3空隙530のコンデンサケース730側の開口のy方向の幅よりも大きくなっている。
【0104】
<空隙と風の流れ>
空隙と風の流れを説明するために、第3空隙530のうちの第1コンデンサ311と第1スイッチ体321の間の絶縁部600と、第2コンデンサ312と第2スイッチ体331の間の絶縁部600の間の第3空隙530を第31空隙531と示す。
【0105】
第2コンデンサ312と第2スイッチ体331の間の絶縁部600と、第3コンデンサ313と第3スイッチ体341の間の絶縁部600の間の第3空隙530を第32空隙532と示す。
【0106】
図7に示すように第11空隙511と第31空隙531と第21空隙521がx方向に沿って並んでいる。第11空隙511と第31空隙531と第21空隙521によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第1流通経路541が構成されている。
【0107】
第12空隙512と第32空隙532と第22空隙522がx方向に沿って並んでいる。第12空隙512と第32空隙532と第22空隙522によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第2流通経路542が構成されている。
【0108】
また第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730と第2壁部722の間に第13空隙が構成されている。第1スイッチ体321と第2壁部722の間に第23空隙が構成されている。第1コンデンサ311の収納されたコンデンサケース730と第1スイッチ体321の間の絶縁部600と第2壁部722の間に第33空隙が区画されている。
【0109】
第13空隙と第33空隙と第23空隙がx方向に沿って並んでいる。第13空隙と第33空隙と第23空隙によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第3流通経路543が構成されている。
【0110】
同様に第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730と第4壁部724の間に第14空隙が構成されている。第3スイッチ体341と第4壁部724の間に第24空隙が構成されている。第3コンデンサ313の収納されたコンデンサケース730と第3スイッチ体341の間の絶縁部600と第4壁部724の間に第34空隙が区画されている。
【0111】
第14空隙と第34空隙と第24空隙がx方向に沿って並んでいる。第14空隙と第34空隙と第24空隙によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第4流通経路544が構成されている。
【0112】
第1流通経路541に流れる風により、U相スイッチモジュール320およびV相スイッチモジュール330のハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382それぞれが空気に放熱可能になっている。
【0113】
第2流通経路542に流れる風により、V相スイッチモジュール330およびW相スイッチモジュール340のハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382それぞれが空気に放熱可能になっている。
【0114】
第3流通経路543に流れる風により、U相スイッチモジュール320のハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382が空気に放熱可能になっている。
【0115】
第4流通経路544に流れる風により、W相スイッチモジュール340のハイサイドスイッチ381とローサイドスイッチ382が空気に放熱可能になっている。
【0116】
<作用効果>
これまでに説明したように第11空隙511と第21空隙521がx方向に沿って並んでいる。第11空隙511と第21空隙521によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第1流通経路541の一部が構成されている。
【0117】
第1スイッチ体321の第4壁部724側の基部361に連結されたフィン362と、第2スイッチ体331の第2壁部722側の基部361に連結されたフィン362それぞれに、第1流通経路541に流れる風が同等に当たりやすくなっている。
【0118】
そのために、U相スイッチモジュール320の備えるスイッチの空気への放熱量とV相スイッチモジュール330の備えるスイッチの空気への放熱量に差が生じにくくなっている。
【0119】
同様に第12空隙512と第22空隙522がx方向に沿って並んでいる。第12空隙512と第22空隙522によって第1通風孔723aから第2通風孔721aに向かって風の流れる第2流通経路542の一部が構成されている。
【0120】
第2スイッチ体331の第4壁部724側の基部361に連結されたフィン362と、第3スイッチ体341の第2壁部722側の基部361に連結されたフィン362それぞれに、第2流通経路542に流れる風が同等に当たりやすくなっている。
【0121】
そのために、V相スイッチモジュール330の備えるスイッチの空気への放熱量とW相スイッチモジュール340の備えるスイッチの空気への放熱量に差が生じにくくなっている。なお、基部361にフィン362が連結されていなくとも同様の効果を奏することが可能になっている。
【0122】
これまでに説明したようにコンデンサ310の収納されたコンデンサケース730のx方向の投影領域にスイッチ体351の一部が含まれている。そのために流通経路の一部を構成する第2空隙520を流れる風によってスイッチモジュール350の備えるスイッチの熱が空気に放熱されやすくなっている。さらに電気機器800のy方向の体格の増大が抑制されやすくなっている。
【0123】
これまでに説明したように3つの絶縁部600のうちのy方向で隣合う2つのうちの一方の第2絶縁端部630と、3つの絶縁部600のうちのy方向で隣合う2つのうちの他方の第1絶縁端部620との間に第3空隙530が区画されている。
【0124】
第3空隙530によって第1空隙510から第2空隙520に流れる風の流通経路の一部が構成されている。そのために第1空隙510から第2空隙520に流れる風の損失が抑制されやすくなっている。
【0125】
これまでに説明したように第3空隙530のスイッチ体351側の開口のy方向の幅が、第3空隙530のコンデンサケース730側の開口のy方向の幅よりも大きくなっている。そのために第1空隙510から第3空隙530に風が流れやすくなっている。
【0126】
さらに絶縁部600のx方向の投影領域にスイッチ体351の備える基部361のすべてが含まれている。そのために第3空隙530を通った風の一部が基部361によって堰き止められて第2空隙520に流れにくくなることが抑制されやすくなっている。またこれによって電気機器800のy方向の体格が抑制されやすくなっている。
【0127】
これまでに説明したように第1中継部301cの一部が第31空隙531と第32空隙532を通っている。第2中継部302cの一部が第31空隙531と第32空隙532を通っている。そのために第1中継部301cと第2中継部302cそれぞれの備える熱が空気に放熱されやすくなっている。
【0128】
(第1の変形例)
第1実施形態では第1コンデンサ311~第3コンデンサ313それぞれが3つのコンデンサケース730に1つずつ収納される形態について説明した。しかしながら図9に示すように第1コンデンサ311~第3コンデンサ313が1つのコンデンサケース730に設けられていても良い。
【0129】
その場合、コンデンサケース730の収納空間に第1コンデンサ311~第3コンデンサ313、第2接続部301bの一部、および、第4接続部302b一部が収納されている。第1コンデンサ311~第3コンデンサ313、第2接続部301b、および、第4接続部302bがコンデンサケース730に注入された封止樹脂733によってコンデンサケース730に固定されている。
【0130】
コンデンサケース730にはx方向に開口する2つの開口部730aが形成されている。開口部730aは開口部730aをx方向周りの周方向に沿う面によって区画されている。開口部730aをx方向周りの周方向に沿う面によって第1空隙510が区画されている。
【0131】
2つの開口部730aのうちの1つが第1コンデンサ311と第2コンデンサ312の間に設けられている。第1コンデンサ311と第2コンデンサ312の間に設けられた開口部730aによって区画された第1空隙510が第11空隙511に相当する。
【0132】
2つの開口部730aのうちの残りの1つが第2コンデンサ312と第3コンデンサ313の間に設けられている。第2コンデンサ312と第3コンデンサ313の間に開口部730aによって区画された第1空隙510が第12空隙512に相当する。
【0133】
第1コンデンサ311~第3コンデンサ313が1つのコンデンサケース730に設けられていた場合においても、第11空隙511と第31空隙531と第21空隙521によって第1流通経路541が構成されている。
【0134】
第1コンデンサ311~第3コンデンサ313が1つのコンデンサケース730に設けられていた場合においても、第12空隙512と第32空隙532と第22空隙522によって第2流通経路542が構成されている。
【0135】
なお、図示しないが、コンデンサ310の個数と開口部730aの個数が対応していなくても良い。例えばコンデンサ310の数が3個で、開口部730aの数が1個であってもよい。
【0136】
(第2の変形例)
第1実施形態では第1コンデンサ311~第3コンデンサ313それぞれが第1給電バスバ301と第2給電バスバ302を介してU相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340それぞれに接続される形態について説明した。
【0137】
しかしながら図10に示すように第3給電バスバ303と第4給電バスバ304を介して第1コンデンサ311~第3コンデンサ313それぞれがU相スイッチモジュール320~W相スイッチモジュール340それぞれに電気的に接続されていてもよい。
【0138】
その場合、図10図12に示すように第1中継部301cが3つに分離されている。第3給電バスバ303が3つの第1中継部301cそれぞれに接続される第31端子303aと第32端子303bと第33端子303cを有する。第4給電バスバ304が3つの第1中継部301cそれぞれに接続される第41端子304aと第42端子304bと第43端子304cを有する。
【0139】
第31端子303aが第1コンデンサ311とU相スイッチモジュール320に接続される第1給電バスバ301に電気的に接続されている。第32端子303bが第2コンデンサ312とV相スイッチモジュール330に接続される第1給電バスバ301に電気的に接続されている。第33端子303cが第3コンデンサ313とW相スイッチモジュール340に接続される第1給電バスバ301に電気的に接続されている。
【0140】
第41端子304aが第1コンデンサ311とU相スイッチモジュール320に接続される第2給電バスバ302に電気的に接続されている。第42端子304bが第2コンデンサ312とV相スイッチモジュール330に接続される第2給電バスバ302に電気的に接続されている。第43端子304cが第3コンデンサ313とW相スイッチモジュール340に接続される第2給電バスバ302に電気的に接続されている。
【0141】
この場合、図11図12に示すように第1コンデンサ311とU相スイッチモジュール320の間の絶縁部600に第1中継部301c、第2中継部302c、第31端子303a~第43端子304c各々が被覆されている。
【0142】
第2コンデンサ312とV相スイッチモジュール330の間の絶縁部600に第1中継部301c、第2中継部302c、第32端子303b、第33端子303c、第42端子304b、および、第43端子304c各々が被覆されている。
【0143】
第3コンデンサ313とW相スイッチモジュール340の間の絶縁部600に第1中継部301c、第2中継部302c、第33端子303c、および、第43端子304c各々が被覆されている。
【0144】
なお、3つの第1中継部301cおよび3つの第2中継部302cそれぞれが絶縁部600に被覆されなくとも、y方向に隣合う2つの間で第3空隙530の一部が区画されている。
【0145】
また図13に示すように第1流通経路541~第4流通経路544それぞれに第1中継部301cおよび第2中継部302cそれぞれの一部が設けられていてもよい。
【0146】
(第3の変形例)
第1実施形態では3つの絶縁部600が3つのコンデンサ310と3つのスイッチモジュール350の間に設けられる形態を説明した。しかしながら図14に示すように3つのコンデンサ310と3つのスイッチモジュール350の間に1つの絶縁部600が設けられていてもよい。
【0147】
その場合においても第1空隙510と第3空隙530と第2空隙520がx方向に沿って並んでいる。第1空隙510と第3空隙530と第2空隙520が流通経路の一部を構成している。
【0148】
具体的に言えば第11空隙511と第3空隙530の一部と第21空隙521がx方向に沿って並んでいる。第11空隙511と第3空隙530の一部と第21空隙521によって第1流通経路541が構成されている。第12空隙512と第3空隙530の一部と第22空隙522がx方向に沿って並んでいる。第12空隙512と第3空隙530の一部と第22空隙522によって第2流通経路542が構成されている。
【0149】
(第4の変形例)
第1実施形態ではU相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれがx方向に沿って延びる形態を説明した。しかしながら図15に示すようにU相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれの一部がy方向に屈曲していてもよい。
【0150】
そしてU相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれの屈曲した部位が、流通経路の一部に設けられていても良い。言い換えればU相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれの屈曲した部位が、第2空隙520とx方向で並んでいても良い。
【0151】
その場合、U相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれの熱が流通経路に流れる風によって放熱されやすくなっている。なお、U相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれの一部がy方向に屈曲していなくてもよい。U相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれの一部が流通経路の一部に設けられていればよい。
【0152】
(第5の変形例)
第1実施形態ではU相出力バスバ410~W相出力バスバ430それぞれのy方向とz方向それぞれに沿う平面で切断した断面積が、延長方向に延びるどの位置においても等しい場合について説明した。以下、説明を簡便とするためにy方向とz方向それぞれに沿う平面で切断した断面積を単に断面積と示す。
【0153】
しかしながら図16に示すように出力バスバ440の電流センサ441の設置部位よりもスイッチモジュール350側の部位の断面積が、出力バスバ440の電流センサ441の設置部位よりもモータ400側の断面積よりも小さくなっていても良い。その場合、スイッチモジュール350から電流センサ441に熱が伝熱されにくくなっている。
【0154】
(第6の変形例)
また図17に示すように出力バスバ440の電流センサ441の設置部位よりもモータ400側の断面積が、出力バスバ440の電流センサ441の設置部位よりもスイッチモジュール350側の部位の断面積が小さくなっていても良い。この形態は電流センサ441の発熱量がスイッチモジュール350の発熱量よりも大きいことが明確である場合において適用される。その場合において電流センサ441の熱をスイッチモジュール350に逃がしやすくなっている。
【0155】
(第7の変形例)
第1実施形態では第1空隙510のすべてが第2空隙520のx方向の投影領域のすべてに含まれる形態について説明した。しかしながら図18に示すように第2空隙520のすべてが第1空隙510のx方向の投影領域のすべてに含まれていても良い。その場合、流通経路の一部を区画する第2空隙520を流れる風の流速が上昇しやすくなっている。そのためにスイッチモジュール350の熱が空気に放熱されやすくなっている。
【0156】
(第8の変形例)
第1実施形態ではスイッチモジュール350のy方向の両側にヒートシンク360が設けられる形態について説明した。図示しないがスイッチモジュール350のy方向の一方側にヒートシンク360が設けられていても良い。
【0157】
(その他の変形例)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範ちゅうや思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0158】
301…第1給電バスバ、302…第2給電バスバ、311…第1コンデンサ、312…第2コンデンサ、313…第3コンデンサ、320…U相スイッチモジュール、330…V相スイッチモジュール、340…W相スイッチモジュール、361…基板部、410…U相出力バスバ、411…第1電流センサ、420…V相出力バスバ、421…第2電流センサ、430…W相出力バスバ、431…第3電流センサ、510…第1空隙、520…第2空隙、530…第3空隙、
600…絶縁部、610…絶縁主部、620…第1絶縁端部、630…第2絶縁端部、700…ケース、720…壁部、730…コンデンサケース、730a…開口部、731…第1側部、732…第2側部、733…封止樹脂
図1
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