(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179109
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】三次元計測装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086366
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 太一
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA51
2F065AA53
2F065FF04
2F065FF44
2F065HH07
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL41
(57)【要約】
【課題】正弦波形に近い輝度変化をする縞パターン画像を投影できる三次元計測装置を提供する。
【解決手段】周期的に輝度が変化する縞パターン画像を投影するプロジェクタと、計測対象物に投影された縞パターン画像を撮影するカメラとを備え、カメラが撮影した画像の輝度値に基づいて、位相シフト法により計測対象物の三次元形状を計測する三次元計測装置であって、プロジェクタは、光源と、光源が発光した光の光路に配置され、光の透過率が1つの方向に周期的に変化する格子が形成された格子パターン素子23とを備え、格子パターン素子23は、透過率変化方向に沿った断面が、透過率が3段階以上に周期的に変化する透過率変化構造になっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に輝度が変化する縞パターン画像を投影するプロジェクタ(20)と、
計測対象物(5)に投影された前記縞パターン画像を撮影するカメラ(30)とを備え、
前記カメラが撮影した画像の輝度値に基づいて、位相シフト法により前記計測対象物の三次元形状を計測する三次元計測装置であって、
前記プロジェクタは、
光源(21)と、
前記光源が発光した光の光路に配置され、光の透過率が1つの方向に周期的に変化する格子が形成された格子パターン素子(23、123、223)とを備え、
前記格子パターン素子は、透過率変化方向に沿った断面が、透過率が3段階以上に周期的に変化する透過率変化構造になっている、三次元計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元計測装置であって、
前記透過率変化構造は、前記断面において厚さが変化する部分が、三角形が周期的に繰り返す形状である、三次元計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の三次元計測装置であって、
前記透過率変化構造は、前記断面において厚さが変化する部分が、台形が周期的に繰り返す形状である、三次元計測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の三次元計測装置であって、
前記透過率変化構造は、前記断面において厚さが変化する部分が、凸部と凹部を一組とし、かつ、前記凸部と凹部の比率が周期的に増減する形状である、三次元計測装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の三次元計測装置であって、
前記プロジェクタは、前記格子パターン素子よりも前記光路の出口側に、前記縞パターン画像をデフォーカスさせる集光レンズ(25)を備える、三次元計測装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の三次元計測装置であって、
前記格子パターン素子は、透明の基板(23a)にクロムまたはクロムを含む合金が積層された構成であり、
前記クロムまたは前記クロムを含む合金の厚さが変化することで透過率が変化する、三次元計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
位相シフト法により物体の三次元形状を計測する三次元計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位相シフト法では、正弦波状に輝度が変化する縞パターン画像を物体に投影することを前提とする。凹凸のある物体に縞パターン画像が投影されると、縞パターンが物体の凹凸に応じて歪むので、縞パターン画像の輝度変化が正弦波からずれる。このことを利用して、物体の三次元形状を計測する。
【0003】
完全に正弦波状に輝度が変化する縞パターン画像を投影することは難しい。そこで、特許文献1では、一方向の輝度変化が矩形状になっている画像を表示素子に生成し、その表示素子を通過した光をレンズによりデフォーカスする。デフォーカスにより、矩形状の輝度変化が正弦波に近づく。ただし、デフォーカスのみでは、輝度は完全には正弦波状に変化しない。そこで、特許文献1では、誤差を演算処理により補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誤差を演算処理により補正するとしても、補正前の輝度変化が正弦波に近いほうが補正は容易であることが多い。また、補正していない状態での誤差が少なければ、必要とされる計測精度によっては、補正しなくてもよい場合も生じる。したがって、誤差が少ない縞パターン画像を投影できる三次元計測装置が望まれる。
【0006】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、正弦波形に近い輝度変化をする縞パターン画像を投影できる三次元計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的態様との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
上記目的を達成するための1つの開示は、
周期的に輝度が変化する縞パターン画像を投影するプロジェクタ(20)と、
計測対象物(5)に投影された縞パターン画像を撮影するカメラ(30)とを備え、
カメラが撮影した画像の輝度値に基づいて、位相シフト法により計測対象物の三次元形状を計測する三次元計測装置であって、
プロジェクタは、
光源(21)と、
光源が発光した光の光路に配置され、光の透過率が1つの方向に周期的に変化する格子が形成された格子パターン素子(23、123、223)とを備え、
格子パターン素子は、透過率変化方向に沿った断面が、透過率が3段階以上に周期的に変化する透過率変化構造になっている、三次元計測装置である。
【0009】
この三次元計測装置が備えるプロジェクタは、格子パターン素子を備える。光源が発光した光が格子パターン素子を通過することで、格子パターンに応じたパターンの光になる。
【0010】
格子パターン素子は、透過率変化方向に沿った断面が、透過率が3段階以上に周期的に変化する透過率変化構造になっている。特許文献1に開示されているように、表示素子に輝度変化が矩形に変化する画像を生成する場合、表示素子における光の透過率は2段階のみである。これに対して、この三次元計測装置が備える格子パターン素子は、光の透過率が3段階以上に周期的に変化する。したがって、正弦波形に近い輝度変化をする縞パターン画像を投影できる。
【0011】
上記透過率変化構造は、たとえば、断面において厚さが変化する部分を、三角形が周期的に繰り返す形状とすることができる。
【0012】
また、透過率変化構造は、断面において厚さが変化する部分を、台形が周期的に繰り返す形状であってもよい。
【0013】
また、透過率変化構造は、断面において厚さが変化する部分が、凸部と凹部を一組とし、かつ、凸部と凹部の比率が周期的に増減する形状であってもよい。
【0014】
プロジェクタは、格子パターン素子よりも光路の出口側に、縞パターン画像をデフォーカスさせる集光レンズ(25)を備えることが好ましい。これにより、計測対象物に投影される縞パターン画像の輝度変化を、より正弦波形状の変化に近づけることができる。
【0015】
クロムまたはクロムを含む合金は、厚さに応じて光の透過率が変化する。そこで、格子パターン素子は、透明の基板(23a)にクロムまたはクロムを含む合金が積層された構成であり、クロムまたはクロムを含む合金の厚さが変化することで透過率が変化する構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の三次元計測装置1の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の三次元計測装置1の構成を示す図である。三次元計測装置1は、制御装置10と、プロジェクタ20と、カメラ30とを備えている。三次元計測装置1は、作業台2の上に置かれた計測対象物5の三次元形状を位相シフト法により計測する。作業台2の上面は平面であり、作業台2の任意の位置に計測対象物5が位置する。三次元計測装置1は、たとえば、ロボットにピッキング、組付け作業、製品検査等を行わせる際のロボットの目として利用する。
【0018】
制御装置10は、コンピュータを備えたものとすることができる。制御装置10は、プロジェクタ20を制御して、プロジェクタ20に縞パターン画像を投影させる。また、制御装置10は、プロジェクタ20から縞パターン画像が計測対象物5に投影された状態で、カメラ30が撮影した画像を表す画像データを取得する。そして、その画像データをもとに位相シフト法により、計測対象物5の三次元形状を計測する。
【0019】
プロジェクタ20は、縞パターン画像を投影する。
図2に、プロジェクタ20が備える光学系を示す。プロジェクタ20は、3つの光源21R、21G、21Bと、3つのコンデンサレンズ22と、3つの格子パターン素子23と、2つの波長分離ミラー24a、24bと、集光レンズ25を備えている。
【0020】
光源21Rは赤色光を発光し、光源21Gは緑色光を発光し、光源21Bは青色光を発光する。これら光源21R、21G、21Bには、発光LEDを用いることができる。3つの光源21R、21G、21Bを区別しない場合には光源21と記載する。
【0021】
コンデンサレンズ22は、対応する光源21が発光した光を平行光にするレンズである。コンデンサレンズ22は、その光軸が、対応する光源21を通るように配置されている。
【0022】
3つの格子パターン素子23は、コンデンサレンズ22を通過した平行光が通過する位置に配置されている。3つの格子パターン素子23は、互いに同一形状である。格子パターン素子23は、1つの方向に透過率変化構造が周期的に繰り返す構造である。格子パターン素子23の詳細構造は後述する。
【0023】
波長分離ミラー24aは、光源21Gが発光した緑色光が鏡面に入射し、光源21Rが発光した赤色光が背面に入射する。波長分離ミラー24aは、背面に入射した赤色光は透過させ、鏡面に入射した緑色光は反射する。波長分離ミラー24aにより、赤色光と緑色光は、進行方向が互いに揃えられる。
【0024】
波長分離ミラー24bは、光源21Bが発光した青色光が鏡面に入射し、赤色光と緑色光が背面に入射する。波長分離ミラー24bは、背面に入射した赤色光と緑色光は透過させ、鏡面に入射した青色光は反射する。波長分離ミラー24bにより、赤色光、緑色光、青色光は、進行方向が互いに揃えられる。波長分離ミラー24bを経た赤色光、緑色光、青色光は、集光レンズ25を通過して、プロジェクタ20の外部へ照射される。
【0025】
集光レンズ25は、格子パターン素子23よりも光路の出口側に配置される。集光レンズ25は、赤色光、緑色光、青色光のそれぞれの焦点が、作業台2の表面に付近になるように集光する。ただし、集光レンズ25は、赤色光、緑色光、青色光を少しデフォーカスさせるように位置が設定されている。作業台2に投影される光を正弦波に近づけるためである。なお、集光レンズ25の位置を、作業者が調整できるようになっていてもよい。
【0026】
〔格子パターン素子23の詳細構成〕
図3に格子パターン素子23の平面図を示す。本実施形態の格子パターン素子23は、平面視で正方形である。ただし、正方形は一例であり、格子パターン素子23の平面形状は種々に変更可能である。
【0027】
図4は、格子パターン素子23を
図3のIV-IV線を通り、格子パターン素子23に対して垂直な断面で切断した断面図である。格子パターン素子23は、無色透明の平らな基板23aに格子層23bが積層された構造である。基板23aにはガラスを用いることができる。
【0028】
格子層23bは平面視において直線である直線部23cが、その直線に直交する方向に連続して(換言すれば複数)、配置されている構造である。格子層23bは、直線に直交する方向の光の透過率が変化する透過率変化構造になっている。
【0029】
透過率変化構造を詳しく説明する。本実施形態の格子層23bは、断面が三角形の直線部23cが一定間隔で連続して配置されている構造である。直線部23cの断面が三角形であるので、格子層23bは、直線部23cの直線に直交する方向に厚さが変化する。複数の直線部23cは、互いに底辺が接する間隔で配置されている。なお、底辺は格子層23bに接している面である。
【0030】
格子層23bの材料はクロムである。クロムは、光透過性を持つ金属である。クロムは一例であり、厚さに応じて透過率が変化する材料であれば、クロム以外の材料により格子層23bが形成されていてもよい。たとえば、クロムを含む合金であるインコーネルにより格子層23bが形成されていてもよい。上記構造になっている格子パターン素子23は、たとえば、エッチングにより形成することができる。
【0031】
各直線部23cが繰り返す周期、換言すれば、複数の直線部23cにおいて、頂点間など、同じ点間の距離は、三次元形状の算出に用いる三角関数の周期を規定する。この周期は、任意に設定可能である。直線部23cの繰り返し周期はたとえば数十μmとすることができる。
【0032】
図5は、本実施形態の格子パターン素子23の透過率を示す図である。
図5において、x1、x2、x3、x4は、それぞれ
図4におけるx1、x2、x3、x4を意味する。x1、x3は、クロムの厚さが最も薄い位置である。そのため、透過率は最高値になっている。x2、x4は、クロムの厚さが最も厚い位置である。そのため、透過率は最低値になっている。
図4と
図5の比較から分かるように、格子パターン素子23は、直線部23cの厚さに応じて透過率が三角波形状に変化する。よって、各格子パターン素子23を通過した光は一方向に輝度が三角波形状に変化する縞パターン画像になる。
【0033】
図5には、比較例として、破線により矩形波も示している。矩形波は、直線部23cの断面を長方形とした場合の透過率の変化である。透過率が変化する方向であるx軸方向の透過率の変化が三角形状である本実施形態は、透過率の変化が矩形波形状である比較例よりも、透過率の変化が正弦波形状に近い。このことは、集光レンズ25によりデフォーカスされる前の光の輝度変化が、正弦波形状に近いことを意味する。
【0034】
集光レンズ25によりデフォーカスするとしても、デフォーカスする前の輝度変化が正弦波形状に近い方が、デフォーカス後の輝度変化を正弦波に近づけることが容易である。したがって、本実施形態によれば、正弦波により近い輝度変化の縞パターン画像を投影することが容易である。その結果、位相シフト法による三次元形状の計測精度を高めやすい。
【0035】
説明を
図1に戻す。カメラ30は、カラー画像を撮影可能なデジタルカメラであり、フォトダイオードなどの光検出素子(すなわち画素)を受光面に縦横に多数備えている。光検出素子の光到来方向にはRGBカラーフィルタが設けられている。RGBカラーフィルタは、赤と緑と青のいずれかのカラーフィルタが各光検出素子の光到来方向に配置されたものである。この構成により、カメラ30は、赤、緑、青の3色の色別に画像を取得できる。
【0036】
制御装置10は、カメラ30が検出した画像を示すデータを取得する。そして、そのデータをもとに位相シフトにより計測対象物5の三次元形状を算出する。制御装置10は、計測対象物5の三次元形状を算出する際に、プロジェクタ20が投影した縞パターン画像の輝度変化に含まれている位相誤差および輝度誤差を補正してもよい。位相誤差および輝度誤差は、プロジェクタ20が投影する縞パターン画像における輝度変化波形の形状と、理想的な正弦波形状との違いである。
【0037】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0038】
図6に、第2実施形態の格子パターン素子123を示す。格子パターン素子123は、格子パターン素子23に代えて用いるものである。格子パターン素子123は、格子層123bが備える直線部123cの断面形状が台形である。互いに隣接する直線部123cにおいて、下底間のx軸方向の距離は、直線部123cの断面形状における上底のx軸方向の距離と同じである。この第2実施形態のように、格子層123bの断面形状は、台形であってもよい。
【0039】
この格子パターン素子123を用いる場合にも、格子パターン素子123を通過した光の輝度変化を示す波形が、矩形波よりも正弦波に近くなる。よって、位相シフト法による三次元形状の計測精度を高めやすい。
【0040】
<第3実施形態>
図7に、第3実施形態の格子パターン素子223を示す。格子パターン素子223は、格子パターン素子23に代えて用いるものである。格子パターン素子223は、格子層223bが備える複数の直線部223cの断面形状が矩形である。図示の便宜上、
図7においては、一部の直線部223cにのみ符号を付している。
【0041】
複数の直線部223cは、幅方向長さが段階的に変化する。第3実施形態の格子パターン素子223は、断面がPWM信号波形を示すように、それぞれの直線部223cの幅方向長さが定まっている。
【0042】
図8を用いて直線部223cの幅方向長さを説明する。
図8においてT
PWMは、格子パターン素子223を通過することにより生じる光をPWM信号と見た場合の1周期である。この周期は、格子層223bにおいて、1つの直線部223cの幅方向長さと、この直線部223cと、隣接する直線部223cとの間の長さの合計長さに相当する。
【0043】
第3実施形態において、1つの正弦波周期を分割する数を区間数Nとする。各直線部223cの幅方向長さをτとする。各直線部223cの幅方向長さτnは、次の式1により算出できる。式1において、nは区間番号であり、μnは各区間nにおける平均値である。
【0044】
(式1) τn=μn×TPWM
PWM信号周期TPWMは、三次元形状計測において規定している正弦波の周期Tsinを用いて式2により示される。
【0045】
(式2) TPWM=Tsin/N
直線部223cは、基板23aから突き出している凸部と見ることができ、直線部223cと隣接する直線部223cとの間は、その凸部に対して凹部と見ることができる。したがって、格子パターン素子223において、格子層223bは、凸部と凹部を一組とし、かつ、凸部と凹部の比率が周期的に増減する形状であると言える。
【0046】
図8に示すように、各区間nにおいて、直線部223cの幅方向長さが示す割合が大きいほど透過率が低下する。なお、
図8では、透過率は正規化して示している。
図8に示すように、透過率の平均値μ
nの変化は、正弦波状に変化する。したがって、この格子パターン素子223を用いる場合にも、格子パターン素子223を通過した光の輝度変化を示す波形が、矩形波よりも正弦波に近くなる。
【0047】
〔比較例との対比〕
図9に、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態で説明した格子パターン素子23、123、223を用いた場合の輝度誤差を、比較例と対比して示している。
図9において、矩形波が比較例であり、各直線部の断面が矩形である格子パターン素子を意味する。三角波は、第1実施形態を意味し、台形波は第2実施形態を意味し、PWM信号波は第3実施形態を意味する。
【0048】
図9に示されるように、第1、第2、第3実施形態いずれも、比較例よりも輝度誤差が低減できていることが分かる。
図10には、位相誤差の標準偏差σを示している。
図10に示されるように、第1、第2、第3実施形態いずれも、比較例よりも、位相誤差の標準偏差σが小さくなっていることが分かる。
【0049】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0050】
<変形例1>
格子パターン素子の断面形状は、実施形態に示したものに限られない。たとえば、断面において厚さが変化する分の形状が階段形状でもよい。また、各実施形態における直線部23c、123c、223cの側面形状あるいは上面形状が、曲面になっていてもよい。また、実施形態の格子パターン素子23、123、223は、いずれも、透過率が4段階以上に変化する。しかし、透過率は3段階以上に変化すればよい。
【0051】
<変形例2>
実施形態では、3色の光源21R、21G、21Bを備えていた。しかし、光源21は1色のみでもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:三次元計測装置 2:作業台 5:計測対象物 10:制御装置 20:プロジェクタ 21:光源 22:コンデンサレンズ 23:格子パターン素子 23a:基板 23b:格子層 23c:直線部 24a:波長分離ミラー 24b:波長分離ミラー 25:集光レンズ 30:カメラ 123:格子パターン素子 123b:格子層 123c:直線部 223:格子パターン素子 223b:格子層 223c:直線部