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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179117
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ノズルユニット及び造型機
(51)【国際特許分類】
   B22C 15/24 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B22C15/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086378
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 寛之
(72)【発明者】
【氏名】金藤 公一
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094AA22
4E094AA44
(57)【要約】
【課題】容易かつ適切に枠内に砂を供給できるノズルユニット及び造型機を提供する。
【解決手段】
ノズルユニットは、砂タンクから枠内に砂を供給するノズルユニットであって、砂が流通可能な流路を内部に画成し、砂タンクの砂排出口に固定され、枠に近接及び離間する方向に移動可能であって枠に接続可能なノズル口を有するノズルと、ノズル口を移動させる駆動部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂タンクから枠内に砂を供給するノズルユニットであって、
砂が流通可能な流路を内部に画成し、前記砂タンクの砂排出口に固定され、前記枠に近接及び離間する方向に移動可能かつ前記枠に接続可能なノズル口を有するノズルと、
前記ノズル口を移動させる駆動装置と、
を備える、ノズルユニット。
【請求項2】
前記ノズルは、
前記砂タンクに固定される末端部材と、
前記ノズル口が形成された先端部材と、
前記末端部材と前記先端部材との間に配置される伸縮可能な弾性部材と、
を有し、
前記末端部材、前記先端部材及び前記弾性部材は前記流路を画成する、請求項1に記載のノズルユニット。
【請求項3】
前記ノズルは、第1枠体及び第2枠体を有し、
前記弾性部材は、前記第1枠体及び前記第2枠体を収容可能な空間を内部に画成し、
前記弾性部材の内部に収容された前記第1枠体は前記末端部材に連結され、前記弾性部材の内部に収容された前記第2枠体は前記先端部材に連結される、
請求項2に記載のノズルユニット。
【請求項4】
前記末端部材は、前記流路を画成する内側面の高さが外側面より高い、請求項2又は3に記載のノズルユニット。
【請求項5】
前記先端部材は、前記流路を画成する内側面の高さが外側面より高い、請求項2~4の何れか一項に記載のノズルユニット。
【請求項6】
前記先端部材の移動方向に沿って延在し、前記先端部材を案内するガイド部材をさらに備え、
前記駆動装置は前記先端部材を前記ガイド部材に沿って移動させる、請求項2~5の何れか一項に記載のノズルユニット。
【請求項7】
前記末端部材は前記砂タンクに着脱可能に固定される、請求項2~6の何れか一項に記載のノズルユニット。
【請求項8】
前記駆動装置はアクチュエータである、請求項1~7の何れか一項に記載のノズルユニット。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のノズルユニットを有する造型機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ノズルユニット及び造型機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、砂を造型機の枠内に充填する砂タンクを開示する。この砂タンクは、マッチプレートを挟持した枠の上方において、内部に砂を保持して昇降可能に設けられている。枠の上面には枠内外の空間を連通する枠ノズルが設けられ、枠ノズルの上端面にはライナが設けられている。砂タンクには、一対のタンクノズルが設けられている。砂タンクから枠に砂を供給する場合、砂タンクを枠に向けて下降させて、タンクノズルの先端面を枠ノズルのライナの上端面に圧接保持させることで、砂タンクと枠とがタンクノズル、ライナ及び枠ノズルを介して連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-239347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のタンクノズルと枠ノズルとの圧接保持は、例えば、砂タンクを昇降させるシリンダによって実現する。圧接保持が不十分である場合、砂漏れが発生して造型不良となるおそれがある。このため、シリンダは、タンクノズルを枠ノズルに十分な力で押さえつける必要がある。しかしながら、押さえつける力を増大させた場合、枠及び枠を支持する部材に大きな負荷がかかり、枠を適切な位置に支持できないという別な課題が生じるおそれがある。このため、砂漏れ防止と枠の安定支持とを実現する適切な力を発揮するように、シリンダを制御する必要がある。ところで、砂タンクは砂の排出及び補給によって重量が大きく変化する。このため、砂漏れ防止と枠の安定支持とを実現する適切な力を発揮するように、シリンダの出力を細かく制御することは困難である。本開示は、砂タンクと枠とを適切に接続できるノズルユニット及び造型機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るノズルユニットは、砂タンクから枠内に砂を供給するノズルユニットであって、砂が流通可能な流路を内部に画成し、砂タンクの砂排出口に固定され、枠に近接及び離間する方向に移動可能かつ枠に接続可能なノズル口を有するノズルと、ノズル口を移動させる駆動装置と、を備える。
【0006】
このノズルユニットでは、ノズルが砂タンクに固定され、ノズル口は、駆動装置により枠に近接及び離間する方向に移動する。ノズル口が枠に近接する方向に移動することでノズル口が枠に接続し、砂タンク内の空間と枠内の空間とはノズルの流路を介して連通する。このように、ノズルユニットは、重量が変動する砂タンクを移動させることなく、砂タンクと枠とを接続できる。これにより、ノズルユニットは、砂タンクの重量変動が砂タンクと枠との接続動作に影響を与えることを回避できる。このため、ノズル口を移動させるための制御が容易となり、駆動装置は、ノズル口を容易に移動させられる。よって、このノズルユニットは、砂タンクと枠とを適切に接続できる。
【0007】
一実施形態においては、ノズルは、砂タンクに固定される末端部材と、ノズル口が形成された先端部材と、末端部材と先端部材との間に配置される伸縮可能な弾性部材と、を有し、末端部材、先端部材及び弾性部材は流路を画成してもよい。駆動装置がノズル口を枠に近接する方向に移動させる場合、末端部材と先端部材との間で弾性部材が伸長することで、砂が流通可能な流路を画成しつつ先端部材のノズル口を枠に接続させることができる。よって、ノズルユニットは、弾性部材により砂の漏出を抑制しつつ、先端部材のノズル口を適切に移動させることができる。
【0008】
一実施形態においては、ノズルは、第1枠体及び第2枠体を有し、弾性部材は、第1枠体及び第2枠体を収容可能な空間を内部に画成し、弾性部材の内部に収容された第1枠体は末端部材に連結され、弾性部材の内部に収容された第2枠体は先端部材に連結されてもよい。この場合、第1枠体により弾性部材と末端部材とを連結させることができ、第2枠体により弾性部材と先端部材とを連結させることができる。
【0009】
一実施形態においては、末端部材は、流路を画成する内側面の高さが外側面より高くてもよい。駆動装置により先端部材のノズル口が枠から離間する方向に移動した場合、弾性部材は高さ方向において押圧され縮長する。末端部材と弾性部材との境界において、末端部材の内側面の高さが外側面の高さより高いため、縮長した弾性部材の流路側への膨張を抑制できる。よって、ノズルユニットは、砂が流通可能な流路に弾性部材が膨張する等、弾性部材の過度な変形を抑制できるので、弾性部材の損耗を抑制できる。
【0010】
一実施形態においては、先端部材は、流路を画成する内側面の高さが外側面より高くてもよい。駆動装置により先端部材のノズル口が枠から離間する方向に移動した場合、弾性部材は高さ方向において押圧され縮長する。先端部材と弾性部材との境界において、先端部材の内側面の高さが外側面の高さより高いため、縮長した弾性部材の流路側への膨張を抑制できる。よって、ノズルユニットは、砂が流通可能な流路に弾性部材が膨張する等、弾性部材の過度な変形を抑制できるので、弾性部材の損耗を抑制できる。
【0011】
一実施形態においては、先端部材の移動方向に沿って延在し、先端部材を案内するガイド部材をさらに備え、駆動装置は先端部材をガイド部材に沿って移動させてもよい。この場合、先端部材がガイド部材によって案内されることで、例えば、先端部材の傾きの発生が抑えられ、先端部材の各部位における移動方向への移動度合いのばらつきが小さくなる。これにより、先端部材のノズル口が枠と接続するときに先端部材と枠との間に隙間が生じにくくなり、砂の漏出を抑制できる。よって、ノズルユニットは、先端部材を適切に枠に接続させることができる。
【0012】
一実施形態においては、末端部材は砂タンクに着脱可能に固定されてもよい。この場合、砂タンクに対してノズルを着脱可能に設置できる。このため、既存の砂タンクに対して容易に設置できるとともに、メンテナンス時に砂タンクから容易に取り外すことができる。よって、このノズルユニットは、砂タンクと枠とを適切に接続できる構成を導入でき、メンテナンス性を向上させることができる。
【0013】
一実施形態においては、駆動装置は、アクチュエータであってもよい。
【0014】
本開示の他の側面に係る造型機は、ノズルユニットを有する。この造型機は、上述したノズルユニットと同様に、砂タンクと枠とを適切に接続できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係るノズルユニットによれば、砂タンクと枠とを適切に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るノズルユニットを有する造型機の一例を示す側面図である。
図2】鋳枠ユニットが回動された状態における造型機の一例を示す側面図である。
図3】鋳枠ユニットが回動された状態における造型機の一部を拡大した側面図である。
図4】砂タンク及びノズルユニットの一例を示す背面図である。
図5図3に示されるV-V線で示された位置から見たノズルユニットの一例を示す底面図である。
図6図3に示されるノズルの断面図である。
図7図3に示されるノズルの弾性部材が伸長した状態の側面図である。
図8】実施形態に係る造型機の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0018】
[造型機の概要]
図1は、実施形態に係るノズルユニットを有する造型機の一例を示す側面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下ではZ方向を上下方向(枠に近接及び離間する方向の一例、及び、先端部材の移動方向の一例)ともいう。図1に示される造型機10は、上鋳型及び下鋳型を造型する造型機である。
【0019】
造型機10は、鋳枠ユニット1、パターン交換機構13、スクイズユニット14、基台51、回動機構60、制御装置70、砂タンク90、及びノズルユニット100を備える。制御装置70を除く造型機10の各構成要素は、例えば、接地面上に設けられた基台51上に設けられる。鋳枠ユニット1は、第1位置11及び第2位置12に移動可能に構成される。第1位置11は、造型機10に設定された作業位置であり、上下枠間への模型(パターン)の配置及び鋳型の抜型などを行う位置である。第2位置12は、造型機10において第1位置11の上方に設定された作業位置であり、上下枠への砂の供給及びスクイズなどを行う位置である。
【0020】
図1に示される鋳枠ユニット1は、第1位置11に位置する。鋳枠ユニット1は、上枠2及び下枠3を備える。上枠2及び下枠3それぞれ(枠の一例)は、上端部及び下端部が開口された箱形状の枠体である。上枠2は、パターン部材7の上面に配置された模型を収容可能な空間をその内部に有する。パターン部材7は、模型が配置可能な板部材である。パターン部材7は、上面及び下面の少なくとも一方に模型が配置される。上枠2の下端は、例えばパターン部材7の上面に当接可能である。上枠2の側壁には、外部から内部の空間まで貫通し、ノズルユニット100の後述するノズル20と接続可能な砂導入口2aが設けられる。
【0021】
下枠3は、パターン部材7の下面に配置された模型を収容可能な空間をその内部に有する。下枠3の上端は、例えばパターン部材7の下面に当接可能である。下枠3の側壁には、外部から内部の空間まで貫通し、ノズルユニット100の後述するノズル20と接続可能な砂導入口3aが設けられる。以下、連結された上枠2及び下枠3を上下枠2,3ともいう。上枠2及び下枠3は、それらの一方又は両方が移動することで互いに近接し、パターン部材7を挟持して連結される。
【0022】
図2は、鋳枠ユニットが回動された状態における造型機の一例を示す側面図である。図2に示されるように、回動機構60は、パターン部材7が挟持された上枠2及び下枠3を含む鋳枠ユニット1を、水平な同一平面(XY平面)上に位置するように回動させる。回動機構60によって回動した鋳枠ユニット1は、第1位置11の上方に設けられた第2位置12に移動し、スクイズユニット14に組み込まれる。スクイズユニット14は、水平方向に延在し、上下方向に開口している枠状の造型支持フレーム53を有する。鋳枠ユニット1は、造型支持フレーム53内に収容される。造型支持フレーム53は、基台51に立設された支柱52により支持される。
【0023】
上スクイズ板5は、スクイズユニット14によって上枠2の内部に進入し、上枠2及びパターン部材7とともに上鋳型が造型される造型空間を画成する。下スクイズ板6は、スクイズユニット14によって下枠3の内部に進入し、下枠3及びパターン部材7とともに下鋳型が造型される造型空間を画成する。パターン部材7は、上スクイズ板5と下スクイズ板6との間に挟まれるように配置される。上スクイズ板5及び下スクイズ板6は、それぞれスクイズユニット14に設けられたスクイズシリンダ(不図示)によりパターン部材7に対して近接又は離間するように移動可能である。
【0024】
第2位置12において、砂導入口2a,3aとそれぞれ対応する後述するノズル20,20とが近接して接続される。これにより、第2位置12において、砂タンク90から上枠2の造型空間及び下枠3の造型空間に砂が充填される。上枠2及び下枠3に充填された砂は、スクイズユニット14によって、例えばX方向に沿って加圧されることで、上枠2内に上鋳型、下枠3内に下鋳型が同時に形成される。
【0025】
その後、鋳枠ユニット1は、回動機構60によって第2位置12から第1位置11に回動する。第1位置11において、上枠2と下枠3とを離間させて上枠2と下枠3との間からパターン部材7を抜き出した後、上枠2と下枠3とを枠合わせする。上下枠2,3から、枠合わせされた状態の上鋳型及び下鋳型(上下鋳型)が抜き出され、装置外へ搬出される。このように、造型機10は、無鋳枠の上鋳型及び下鋳型を造型する。
【0026】
[砂タンク及びノズルユニットの概要]
図3は、鋳枠ユニットが回動された状態における造型機の一部を拡大した側面図である。図4は、砂タンク及びノズルユニットの一例を示す背面図である。図3及び図4に示されるように、砂タンク90及びノズル20は、回動された上下枠2,3の上方に位置する。砂タンク90は、上下枠2,3に供給する砂を貯留する。
【0027】
造型機10は、砂タンク90を支持するフレームとして第1フレーム54及び複数の第2フレーム55を有する。砂タンク90を支持する第1フレーム54は、水平方向に延在し、砂タンク90を支持する。第1フレーム54は、例えば枠体である。第1フレーム54は、砂タンク90を囲むように配置され、砂タンク90を固定する。複数の第2フレーム55は、造型支持フレーム53に立設され、第1フレーム54を支持する。図示の例においては、造型支持フレーム53に対して4つの第2フレーム55が立設している。第1フレーム54は、その四隅を4つの第2フレーム55により支持される。砂タンク90は、第1フレーム54、第2フレーム55、造型支持フレーム53、支柱52、及び基台51を介して造型機10の接地面に対して固定される。
【0028】
砂タンク90は、本体91、及びホッパ92,92を有する。本体91は、内部に砂を貯留可能な空間を有する。本体91の形状は、箱状であってもよいし、円筒状であってもよい。本体91には圧縮空気が供給される。本体91には、外部の貯留タンク(不図示)から配管を通じて砂が適宜供給される。
【0029】
ホッパ92,92は、本体91に貯留されている砂を上下枠2,3にそれぞれ供給する。ホッパ92,92は、本体91の下端に接続され、X方向において二股に分岐する各部位である。ホッパ92,92の内部の空間は、本体91の内部の空間と連続する。ホッパ92は、例えば、Y方向に沿って延在する。ホッパ92は、例えば、その内部が上下方向に貫通する角錐台状を呈する。ホッパ92の断面は、下方に向かうに従って小さくなる。
【0030】
ホッパ92の下端には、上下方向に貫通して砂が流通可能な砂排出口92b(図6参照)が形成される。砂排出口92bの周囲には、フランジ92aが設けられる。フランジ92aは、水平方向外側に向けて突出する。フランジ92aは、砂排出口92bに連通するノズル20が取り付けられる箇所である。ノズル20は、ねじ止めによってホッパ92の下端に着脱可能に固定される。
【0031】
ノズル20は、砂が流通可能な流路を内部に画成し、砂が充填される枠の砂導入口に対応して設けられる。図3に示される例においては、上下枠2,3の砂導入口2a,3aに対応して2つのノズル20,20が設けられる。図5は、図3に示されるV-V線で示された位置から見たノズルの一例を示す底面図である。図5に示されるように、ノズル20は、ノズル20の内部の流路の出口となるノズル口23gを有する。ノズル口23gの形状は、砂が充填される枠の砂導入口と同一であり、図5の例においては矩形である。
【0032】
図3図5に示されるように、造型機10のノズルユニット100は、上述したノズル20、及びノズル20のノズル口23gを移動させる駆動装置30を備える。ノズル20は、後述するように、上下方向に伸縮可能である。ノズル20の先端は、駆動装置30によって発生された力が伝達されるように、駆動装置30に接続される。これにより、ノズル20の先端には、上下方向の力が加えられ、ノズル20のノズル口23gは、砂が充填される枠に近接及び離間する方向に移動する。図示の例においては、ノズルユニット100は、連動する2つの駆動装置30,30を有する。
【0033】
駆動装置30,30は、砂タンク90を支持する第1フレーム54に固定される。具体的には、駆動装置30のロッド32がノズル20,20に向けて延びるように駆動装置30の姿勢が調整され、シリンダ本体31が砂タンク90を支持する第1フレーム54に固定される。駆動装置30,30は、砂タンク90を挟むように配置される。駆動装置30,30は、例えば砂タンク90のホッパ92,92によって形成された二股の付け根部分に面するように配置される。
【0034】
駆動装置30,30のロッド32,32は、ホッパ92,92によって形成された二股の間の空間に配置された第1連結フレーム29bに接続され、第1連結フレーム29bを上下方向に移動させる。第1連結フレーム29bには、下方に延びる第2連結フレーム29a,29aが設けられる。第2連結フレーム29a,29aは、ノズル20,20の先端に接続された第3連結フレーム28,28に連結される(図5参照)。駆動装置30,30が駆動することにより、連結フレーム29(第1連結フレーム29b及び第2連結フレーム29a)が上下方向に移動し、第3連結フレーム28,28を介してノズル20,20の先端に上下方向の力が加えられる。このように、駆動装置30,30は、ノズル20,20のノズル口23gの位置を移動させることができる。駆動装置30は、一例としてアクチュエータである。アクチュエータは、油圧シリンダであってもよいし、エアシリンダであってもよいし、電動シリンダであってもよい。
【0035】
ホッパ92,92の下端に取り付けられたノズル20,20は、それぞれ上枠2の直上、及び下枠3の直上に配置される。ノズル20,20が上下枠2,3に近接する方向に伸長することにより、ノズル口23g,23gは、上下枠2,3に近接する方向に移動し、上枠2の砂導入口2a及び下枠3の砂導入口3aに接続する。
【0036】
[ノズルの詳細]
上下枠2,3に対応するノズル20,20は、同一構成であるため、以下では下枠3に対応するノズル20の構成を説明し、上枠2に対応するノズル20の説明は省略する。図6は、図3に示されるノズルの断面図である。図6に示されるように、ノズル20は、砂タンク90の砂排出口92bに対応して設けられる。ノズル20は、砂が流通可能な流路を内部に画成する。ノズル20の末端は、砂タンク90の砂排出口92bに固定され、砂排出口92bからノズル20の内部に砂が供給される。ノズル20は、先端にノズル口23gを有し、ノズル口23gから砂が下枠3へと供給される。
【0037】
ノズル20は、より詳細には、末端部材21、弾性部材22、及び先端部材23を有する。末端部材21、弾性部材22、及び先端部材23は、それらの中央において上下方向に貫通する流路21a,22a,23aが画成された矩形の枠体である。末端部材21及び先端部材23は、例えば、それぞれ4つの直方体状の部材が連結して構成されている。流路21a,22a,23aは、例えば、上面視において矩形状を呈する。末端部材21及び先端部材23は、一例として金属で形成される。弾性部材22は、伸縮可能な材料で形成される。伸縮可能な材料は、例えば樹脂であり、樹脂の一例はゴムである。弾性部材22は、耐摩耗性を有してもよい。先端部材23には、流路21a,22a,23aの出口となるノズル口23gが形成される。
【0038】
ノズル20の末端部材21は、ホッパ92の下端に設けられたフランジ92aと接合可能な上面を有し、流路21aと砂タンク90の砂排出口92bとが連通するように、ホッパ92のフランジ92aに固定される。ノズル20の末端部材21の外縁であるフランジ部分には複数の開口21eが形成されており、末端部材21の各開口21eを挿通したねじ24が、ホッパ92のフランジ92aの各ねじ穴92cに螺合される。これにより、ノズル20の末端部材21とホッパ92のフランジ92aとがねじ止めされ、ノズル20が砂タンク90の砂排出口92bに着脱可能に固定される。
【0039】
ノズル20の末端部材21には弾性部材22が固定される。ノズル20の末端部材21には、水平方向において開口21eより内側に、ねじ25が挿通可能な複数の開口21fが形成される。弾性部材22の内部に画成された空間22hには、ねじ穴が形成された第1枠体22fが埋め込まれている。空間22hは、第1枠体22fの形状及び後述する第2枠体22gの形状に沿って形成されており、例えば、矩形枠状の空間である。第1枠体22fは、例えば、4つの直方体状の部材が連結して構成され、矩形状を呈する。弾性部材22は、第1枠体22fのねじ穴と連通するように上方に向かって開口した穴部を有する。弾性部材22内において、当該穴部は、空間22hと連通する。開口21fに挿通されたねじ25が弾性部材22に設けられた当該穴部に挿通され、第1枠体22fのねじ穴に螺合することで、弾性部材22の内部の空間22hに収容された第1枠体22fは末端部材21に連結される。これにより、ノズル20の末端部材21と弾性部材22とが着脱可能に固定される。
【0040】
ノズル20の弾性部材22には先端部材23が固定される。ノズル20の先端部材23には、ねじ26が挿通可能な複数の開口23eが形成される。弾性部材22の内部に画成された空間22hには、ねじ穴が形成された第2枠体22gが埋め込まれている。第2枠体22gは、例えば、4つの直方体状の部材が連結して構成され、矩形状を呈する。弾性部材22は、第2枠体22gのねじ穴と連通するように下方に向かって開口した穴部を有する。弾性部材22内において、当該穴部は、空間22hと連通する。開口23eに挿通されたねじ26が弾性部材22に設けられた当該穴部に挿通され、第2枠体22gのねじ穴に螺合することで、弾性部材22の内部の空間22hに収容された第2枠体22gは先端部材23に連結される。これにより、ノズル20の弾性部材22と先端部材23とが着脱可能に固定される(図5及び図6参照)。
【0041】
末端部材21、弾性部材22及び先端部材23が互いに固定されることで、流路21a,22a,23aが上下方向に連続した一つの流路を構成し、流路の出口がノズル口23gとなる。先端部材23には、上述した第3連結フレーム28,28が接続され、駆動装置30によって上下方向の力が伝達される。
【0042】
先端部材23の下端部分23fは、例えば弾性体で構成される。弾性体の一例は、ウレタンである。先端部材23が下端部分23fを備えることによって、ノズル20の先端部材23と下枠3とが面接触することができる。また、ノズル20と下枠3とが接触した状態で、ノズル20の先端をさらに下枠3に押しつけることができるので、押圧力が調整可能となる。
【0043】
図7は、図3に示されるノズルの弾性部材が伸長した状態の側面図である。図7に示されるように、駆動装置30によりノズル20の先端部材23に下方向の力が印加された場合、ノズル20の弾性部材22は下方向に伸長する。弾性部材22の内部に画成された空間22h内に埋め込まれた第1枠体22fと第2枠体22gとの間には、隙間22eが形成される。ノズル20の先端部材23は下方に移動し、先端部材23に形成されたノズル口23gは、下枠3の砂導入口3aに接合され、砂タンク90の砂排出口92bと下枠3の砂導入口3aとが連通する。
【0044】
ノズル20は、弾性部材22が収縮する際に流路内側に張り出すことを回避する構造を有してもよい。末端部材21には、流路21aに面する突出部21dが形成される。突出部21dは、弾性部材22に向けて突出する。これにより、ノズル20の末端部材21は、上下方向において、内側面21bの高さが外側面21cより高くなり、弾性部材22は、収縮するときに流路内側に張り出しにくくなる。同様に、先端部材23には、流路23aに面する突出部23dが形成される。突出部23dは、弾性部材22に向けて突出する。これにより、ノズル20の先端部材23は、上下方向において、内側面23bの高さが外側面23cより高くなり、弾性部材22は、収縮するときに流路内側に張り出しにくくなる。これにより、弾性部材22の過度な変形を抑制でき、弾性部材22が流路に向けて張り出して砂によって摩耗されることを抑制できる。なお、上下方向において、内側面21b,23bの高さが外側面21c,23cの高さより高ければ末端部材21及び先端部材23の形状は限定されない。例えば、末端部材21及び先端部材23は、それぞれ外側面21c,23cから内側面21b,23bに向かうに従って上下方向における高さが低くなるようにテーパー状に形成されてもよい。
【0045】
ノズルユニット100は、駆動装置30,30によるノズル口23gを正確に移動させるために、ガイド部材を備えてもよい。図4に示されるように、末端部材21のフランジ部分にはガイド用開口21g,21gが設けられる。先端部材23,23に接続される第3連結フレーム28,28の上面には、ガイド用開口21g,21gに対応する位置に、ガイド部材40,40が立設される。ガイド部材40,40は、ガイド用開口21g,21gに挿通され、先端部材23,23の傾きを規制する。なお、図5に示されるように、本実施形態におけるガイド部材40の本数は4本である。4本のガイド部材40は、例えば、X方向における第3連結フレーム28,28の両端部に1つずつ設けられる。各ガイド部材40は、第3連結フレーム28の上面から上方に延在する。弾性部材22が最も縮長した場合であっても、各ガイド部材40の上端が砂タンク90のホッパ92に当接しないように各ガイド部材40は延在する。
【0046】
駆動装置30,30は、先端部材23,23をガイド部材40,40に沿って移動させる。先端部材23,23が移動する際、各ガイド部材40が上下方向に貫通した各ガイド用開口21gを形成する末端部材21,21の内側面に当接することで、先端部材23,23の傾動及び水平方向への移動が規制される。各ガイド部材40が、先端部材23,23は末端部材21,21及び各ガイド部材40によって上下方向に案内される。
【0047】
[制御装置]
図1及び図2に示されるように、制御装置70は、例えば、第1位置11のX軸負方向に配置される。制御装置70は、一例としてPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、ハードディスクなどの補助記憶装置などを含む通常のコンピュータシステムとして構成されてもよい。制御装置70は、例えば、作業者が操作可能な操作盤が設けられる。制御装置70は、上枠2及び下枠3の移動、パターン部材7の搬送、鋳枠ユニット1の回動、下スクイズ板6及び上スクイズ板5によるスクイズ、供給タンクによる砂の供給、ノズルユニット100の移動等の造型機10の各構成の動きを制御する。
【0048】
[造型機の動作]
図8は、実施形態に係る造型機の動作の一例を示すフローチャートである。図8に示される造型機の動作は、作業者の指示に基づいて制御装置70によって開始される。図8に示される動作は、造型機10が下枠3を上方に案内し、パターン部材7を介して上枠2と下枠3とを連結させた後に開始される。
【0049】
最初に、第1退避処理(S11)として、駆動装置30,30は、ノズル20,20の先端を上方に退避させる。これにより、後述の第1回転処理(S13)において鋳枠ユニット1がノズル20,20の先端に接触することが回避される。具体的には、後述の第1回転処理(S13)における回動軸62から鋳枠ユニット1の外縁までを半径とする回転円内に、ノズル20,20の先端部材23,23が位置しないように、先端部材23,23を上方に退避させる。駆動装置30,30は、ロッド32,32を縮長させ、ガイド部材40,40に沿った上方向の力をノズル20の先端部材23,23に印加する。これにより、ノズル20の弾性部材22,22は縮長し、ノズル20の先端部材23,23が上方に移動する。
【0050】
続いて、第1回転処理(S13)として、回動機構60は、鋳枠ユニット1を第1位置11から第2位置12に位置するように回転させる。これにより、鋳枠ユニット1が第2位置12に位置し、スクイズユニット14に組み込まれる。
【0051】
続いて、画成処理(S15)として、上枠2内に上スクイズ板5が進入して上鋳型用の造型空間が画成されるとともに、下枠3に下スクイズ板6が進入して下鋳型用の造型空間が画成される。
【0052】
続いて、移動処理(S17)として、駆動装置30,30は、ノズル20,20の先端を下方に移動させ、上下枠2,3の砂導入口2a,3aに接合させる。駆動装置30,30は、ロッド32,32を伸長させ、ノズル20,20の先端部材23,23に下方向の力を印加する。これにより、ノズル20,20の弾性部材22,22は下方向に伸長し、ノズル20,20の先端部材23,23が下方に移動する。先端部材23,23に形成されたノズル口23g,23gは、上下枠2,3の砂導入口2a,3aに接合され、砂タンク90の砂排出口92b,92bと上下枠2,3の砂導入口2a,3aとが連通する。
【0053】
続いて、供給処理(S19)として、砂タンク90は、上枠2及び下枠3に砂を供給する。砂タンク90の本体91は、ホッパ92の内部の空間と、ノズル20の流路21a,22a,23aと、砂導入口2a,3aの内部の空間とを通じて、砂を上下枠2,3の内部の造型空間に供給する。これにより、砂タンク90は、上枠2の内部及び下枠3の内部に砂を充填する。
【0054】
続いて、スクイズ処理(S21)として、スクイズシリンダ(不図示)は、上スクイズ板5及び下スクイズ板6をパターン部材7に向かってそれぞれ押圧させ、上枠2の内部及び下枠3の内部に収容された砂をスクイズし、それぞれ上鋳型及び下鋳型を造型する。造型後、下枠3から下スクイズ板6が搬出され、スクイズユニット14の組み込みが解除される。
【0055】
続いて、第2退避処理(S23)として、駆動装置30,30は、第1退避処理(S11)と同様に、ノズル20,20の先端を上方に退避させる。これにより、ノズル20と上下枠2,3との接合が解除される。第2退避処理(S23)が完了した場合にノズルユニット100を用いた造型機の動作が完了する。
【0056】
なお、第2退避処理(S23)の後、第2回転処理として、回動機構60は、鋳枠ユニット1を第2位置12から第1位置11に向けて回転させてもよい。このとき、第2退避処理(S23)により先端部材23,23が上方に退避しているため、鋳枠ユニット1は、ノズルユニット100に当接することなく適切に第1位置11に向けて回転できる。造型機10のその後の動作は省略する。
【0057】
[実施形態のまとめ]
この造型機10及びノズルユニット100では、末端部材21,21が砂タンク90に固定され、先端部材23,23は、駆動装置30,30により末端部材21,21に対して上下方向(枠に近接及び離間する方向の一例)に移動する。ノズル口23g、23gが上下枠2,3に近接及び接触することで、先端部材23,23のノズル口23g,23gは上下枠2,3の砂導入口2a,3aに接続することができ、砂タンク90内の空間と上下枠2,3内の空間とはノズル20,20の流路(流路21a,22a,23a)を介して連通する。よって、このノズルユニット100は、重量が変動する砂タンク90を上下方向に移動させることなく、砂タンク90から適切に枠内に砂を供給できる。重量変動のない(少ない)先端部材23,23は、重量変動のある砂タンク90よりも細やかに正確に制御可能である。すなわち、ノズル口23g,23gを移動させるための制御が容易となり、駆動装置30,30は、ノズル口23g,23gを容易に移動させられる。したがって、ノズルユニット100は、砂漏れ防止と枠の安定支持とを実現する適切な押圧力でノズル20を上下枠2,3に接続し、適切に枠内に砂を供給できる。
【0058】
また、ノズルユニット100は、先端部材23,23を移動させるだけの力を出力する駆動装置30,30を備えればよく、砂タンク90を移動可能な大型の駆動装置を備える必要はない。よって、この造型機10及びノズルユニット100は、駆動装置の大型化を抑制し、イニシャルコスト等を含む製造コストを低減できる。
【0059】
また、造型機10における回動機構60により鋳枠ユニット1が回動する場合であっても、ノズルユニット100は、第1退避処理(S11)及び第2退避処理(S23)によりノズル20の先端部材23を上方に退避させることができる。よって、造型機10及びノズルユニット100は、上下枠2,3等の鋳枠ユニット1の構成が先端部材23に接触することを抑制できる。
【0060】
また、ノズル20は、末端部材21と先端部材23との間に配置される伸縮可能な弾性部材22を有することで、砂が流通可能な流路21a,22a,23aを画成しつつ先端部材23のノズル口23gを上枠2(下枠3)に接続させることができる。よって、この造型機10及びノズルユニット100は、弾性部材22により砂の漏出を抑制しつつ、先端部材23のノズル口23gを適切に移動させることができる。
【0061】
ノズル20は、第1枠体22f及び第2枠体22gを有し、弾性部材22は、第1枠体22f及び第2枠体22gを収容可能な空間22hを内部に画成し、弾性部材22の内部に収容された第1枠体22fは末端部材21に連結され、弾性部材22の内部に収容された第2枠体22gは先端部材23に連結される。これにより、第1枠体22fにより弾性部材22と末端部材21とを連結させることができ、第2枠体22gにより弾性部材22と先端部材23とを連結させることができる。
【0062】
また、ノズル20において、末端部材21の内側面21bの高さが外側面21cの高さより高いため、収縮した弾性部材22が流路へ張り出すことを抑制できる。同様に、ノズル20において、先端部材23の内側面23bの高さが外側面23cの高さより高いため、収縮した弾性部材22が流路へ張り出すことを抑制できる。よって、この造型機10及びノズルユニット100は、砂が流通可能な流路22aに弾性部材22が膨張する等、弾性部材22の過度な変形を抑制できるので、弾性部材22の損耗を抑制できる。
【0063】
また、ノズルユニット100は、先端部材23,23を複数のガイド部材40によって案内させることで、先端部材23,23の傾きの発生を抑えつつ、先端部材23,23の各部位における上下方向への移動度合いのばらつきを小さくできる。これにより、先端部材23,23が上下枠2,3の砂導入口2a,3aと接続するときに先端部材23,23と上下枠2,3の砂導入口2a,3aとの間に隙間が生じにくくなり、砂の漏出を抑制できる。よって、この造型機10及びノズルユニット100は、先端部材23,23を適切に上下枠2,3の砂導入口2a,3aに接続させることができる。
【0064】
また、ノズル20が砂タンク90のホッパ92,92に対して着脱可能に固定されため、既存の砂タンクに対してノズルユニット100を容易に設置でき、メンテナンス時に砂タンクからノズルユニット100を容易に取り外すことができる。よって、ノズルユニット100は、砂タンク90に対して容易に上下枠2,3内に砂を供給できる構成を導入でき、交換又は修理等のメンテナンス性を向上させることができる。さらに、ノズル20の末端部材21と、弾性部材22と、先端部材23とは互いに着脱可能に連結しているので、交換又は修理等のメンテナンス性を向上させることができる。
【0065】
[変形例]
なお、上述した実施形態は本開示に係る造型機及びノズルユニットの一例を示すものである。本開示に係る造型機及びノズルユニットは、実施形態に係る造型機及びノズルユニット100に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る造型機10及びノズルユニット100を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。例えば、造型機10及びノズルユニット100は、単一のノズル20及び単一の駆動装置30のみを備える構成であってもよい。造型機10及びノズルユニット100が備えるノズル20の個数及び駆動装置30の個数は、砂タンク90のホッパ92又は上下枠2,3の砂導入口2a,3aの個数に合わせて適宜設定される。
【0066】
例えば、上述した実施形態における造型機の動作は、第1退避処理(S11)、移動処理(S17)及び第2退避処理(S23)を含めばよく、他の処理の一部又は全部は含まなくてもよい。造型機の動作は、砂タンク90にノズルユニット100を取り付ける処理を含んでもよい。当該処理は、末端部材21,弾性部材22及び先端部材23を組み合わせてノズル20を組み立てる処理を含んでもよい。
【0067】
造型機10は、回動機構60を有さず、上下方向の一方又は双方からスクイズ力を加える構成であってもよい。この場合、上下枠2,3の砂導入口2a,3aは側方に向かって開口しているため、ホッパ92,92の先端を上下枠2,3に対して側方からアプローチできるように屈曲させればよい。なお、ホッパ92,92を屈曲させる代わりにノズル20を屈曲させてもよい。
【0068】
また、造型機10は、鋳型造型後に抜枠をなす無枠式造型機(抜枠造型機)に限定されず、枠付造型機、即ち鋳型造型後に抜枠をなさずに鋳枠内に鋳型を残したまま鋳造ラインへ送り出す造型機であってもよい。
【0069】
ノズル20は、弾性部材22を有さなくてもよい。この場合、末端部材21と先端部材23とは蛇腹などで接続され得る。
【0070】
末端部材21の外側面21cの高さは、内側面21bの高さ以上であってもよく、先端部材23の外側面23cの高さは、内側面23bの高さ以上であってもよい。この場合、弾性部材22の外側面22cの高さは内側面22bの高さ以下であってもよい。
【0071】
ノズル20の末端部材21と、砂タンク90のホッパ92とは、着脱可能に固定されていなくてもよい。例えば、末端部材21とホッパ92とは互いに移動不能に固着していてもよい。ノズル20の末端部材21と、弾性部材22と、先端部材23とは互いに着脱可能に固定されていなくてもよい。駆動装置30はシリンダでなくてもよい。このとき、駆動装置30はエアライド(空気ばね)でもよく、モータ機構であってもよい。
【0072】
上記実施形態では、弾性部材22は1つの部材として記載しているが、弾性部材22は、2以上の部材に分解及び組み立て可能に形成されていてもよい。弾性部材22は、例えば、空間22hを画成する部分をそれぞれ有する上下2つの部材に分解可能であってもよい。これにより、第1枠体22f及び第2枠体22gの空間22h内への収容が容易となる。第1枠体22f及び第2枠体22gの形状は、矩形状でなくてもよい。空間22hは、第1枠体22f及び第2枠体22gの形状に沿って弾性部材22の内部に画成されればよい。
【0073】
ノズルユニット100は、複数のガイド部材40を備えなくてもよく、1つのガイド部材40を備えてもよい。このとき、先端部材23,23は、第3連結フレーム28,28により連結しているため、1つのガイド部材40により先端部材23,23の双方が案内され、先端部材23,23の傾きの発生が抑えられ、先端部材23,23の各部位における上下方向への移動度合いのばらつきが小さくなる。ノズルユニット100が2つのガイド部材40を備える場合、各ガイド部材40は、先端部材23,23の対角の位置に設けられてもよい。この場合、先端部材23,23のいずれもが各ガイド部材40により案内され、先端部材23,23の双方の傾きの発生が抑えられ、先端部材23,23の各部位における上下方向への移動度合いのばらつきが小さくなる。ガイド部材40の本数は、例えば3本であってもよく、5本以上あってもよい。なお、ノズルユニット100は、ガイド部材40を備えなくてもよい。
【0074】
複数のガイド部材40のうち少なくとも1つは、第3連結フレーム28から上方に延在していなくてもよい。この場合、各ガイド部材40は、例えば、連結フレーム29から下方に延在していてもよい。下方に延在するガイド部材40に対応するガイド用開口21gは、末端部材21に設けられず、先端部材23に設けられてもよい。このとき、ガイド部材40は、最長で、先端部材23の下面が第1退避処理(S11)及び第2退避処理(S23)において退避する位置まで下方に延在する。移動処理(S17)において先端部材23が上下枠2,3の砂導入口2a,3aに接合する位置にあるとき、例えば、ガイド部材40の下端は、先端部材23のガイド用開口21g内に位置する。これにより、先端部材23,23の移動の際にガイド部材40がガイド用開口21gを通り続けるため、ガイド部材40は適切に先端部材23,23を案内できる。
【符号の説明】
【0075】
2…上枠、2a,3a…砂導入口、3…下枠、10…造型機、20…ノズル、21…末端部材、21a,22a,23a…流路、22…弾性部材、23…先端部材、23g…ノズル口、30…駆動装置、40…ガイド部材、90…砂タンク、92b…砂排出口、100…ノズルユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8