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特開2022-179140曲線生成装置および曲線生成用プログラム
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  • 特開-曲線生成装置および曲線生成用プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179140
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】曲線生成装置および曲線生成用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/30 20060101AFI20221125BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20221125BHJP
【FI】
G06T17/30
G06F30/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086419
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】591030237
【氏名又は名称】BIPROGY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】土江 庄一
【テーマコード(参考)】
5B080
5B146
【Fターム(参考)】
5B080AA01
5B080AA07
5B080AA18
5B080CA00
5B080FA00
5B080GA00
5B146EA13
5B146EA15
(57)【要約】
【課題】部分的には曲率単調である一方で全体的には曲率単調であるとは限らない意匠デザインに好適な曲線を、全体の曲率変化が滑らかな曲線として容易に生成できるようにする。
【解決手段】曲線形状を示す測定データ等の入力曲線データをもとに、所定の条件を満たす放物型曲率曲線を生成する曲線生成部3を備え、所定の条件として、曲率関数が弧長パラメータの2次式で与えられるという第1条件を用いることにより、曲線生成部3により生成される曲線が、曲率関数が弧長パラメータに沿って単調増加または単調減少する以外に、単調増加から単調減少へ、または単調減少から単調増加へと転じる極値を持つことを可能とし、全域にわたって曲率単調とは限らない意匠デザインに好適な曲線を、全体の曲率変化が滑らかな曲線として、多くの試行錯誤を要することなく容易に生成することができるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線形状を示す測定データ等の入力データから、全体として曲率変化が滑らかな曲線を生成する曲線生成装置であって、
上記入力データをもとに、所定の条件を満たす上記放物型曲率曲線を生成する曲線生成部を備え、
上記所定の条件は、曲率関数が弧長パラメータの2次式で与えられるという第1条件を含むことを特徴とする曲線生成装置。
【請求項2】
上記所定の条件は、上記曲線生成部により生成される上記放物型曲率曲線と上記入力データで示される曲線との偏差を最小化するという第2条件を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の曲線生成装置。
【請求項3】
上記所定の条件は、上記曲線生成部により生成される上記放物型曲率曲線の捩率の大きさを最小化するという第3条件を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の曲線生成装置。
【請求項4】
曲線形状を示す測定データ等の入力データから、全体として曲率変化が滑らかな曲線を生成するための曲線生成用プログラムであって、
上記入力データをもとに、所定の条件を満たす上記放物型曲率曲線を生成する曲線生成手段としてコンピュータを機能させ、上記所定の条件として、曲率関数が弧長パラメータの2次式で与えられるという第1条件を用いることを特徴とする曲線生成用プログラム。
【請求項5】
上記所定の条件として、上記曲線生成手段により生成される上記放物型曲率曲線と上記入力データで示される曲線との偏差を最小化するという第2条件を更に用いることを特徴とする請求項4に記載の曲線生成用プログラム。
【請求項6】
上記所定の条件として、上記曲線生成手段により生成される上記放物型曲率曲線の捩率の大きさを最小化するという第3条件を更に用いることを特徴とする請求項4または5に記載の曲線生成用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲線生成装置および曲線生成用プログラムに関し、特に、意匠デザイン分野で求められる曲率変化の滑らかな曲線を生成するための曲線生成装置および曲線生成用プログラムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般の製品設計では、CAD(Computer Aided Design)により、製品の形状データが製作される。その方法の1つとして、リバースエンジニアリング技術を活用し、モデルとなる物体の測定データからその曲線/曲面の形状を再構築する方法が注目されている。例えば、自動車メーカでは、デザイナのアイデアをクレイモデルで具現化し、その測定データからCADデータが製作されている。
【0003】
測定データからCADで曲線を再構築する場合、(i)生成する曲線は指定されたトレランス以内で測定データを十分に近似できていること、(ii)生成する曲線はその曲率変化が滑らかであること、の2点が要求される。特に、(ii)において、曲率単調性の条件の取り扱いが重要となる。事実、特徴線またはキャラクタ線と呼ばれる意匠デザイン上の重要な曲線は、部分的に曲率単調であっても全域にわたって曲率単調とは限らない。そこで、1本の曲線を複数のセグメントに分割し、分割したセグメントごとに曲率単調性の条件を満足するように曲線を生成する方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の曲線生成装置では、接続すべき曲線セグメントの両端点のうち接続すべき端点を頂点とし、この端点を通る接線方向をx軸とする放物線を端点に表示する。そして、放物線の形状を決めるパラメータの制御により、端点に対して接線連続する曲線を放物線の一部分から生成する。
【0005】
しかしながら、この方法で放物線を決定するには、始点位置、終点位置、接線方向への伸縮および法線方向への伸縮の4つのパラメータが必要で、さらに、曲線セグメント間を曲率連続にするには、セグメント間で曲率半径が連続となるように放物線のパラメータを適切に調整する必要がある。つまり、全体として曲率変化が滑らかな曲線を生成するためには、複数のパラメータの調整が必要となるが、それには試行錯誤を伴うため、所望の曲線は容易には得られない。
【0006】
特許文献2に記載のCADシステムでは、入力で与えられた曲線データを複数のセグメントに分割し、各セグメントの曲率半径または曲率のべき乗が該セグメントの弧長パラメータの1次式で表されるように、分割されたセグメント毎に美的曲線を生成する。さらに、隣接するセグメントが曲率連続になるようするため、接続点での互いのセグメント端における曲率値の差が所定の閾値以下になるように、各セグメントを変形する。
【0007】
特許文献2の記載によれば、分割した個々のセグメントに対して、それぞれの曲率半径または曲率のべき乗に関する条件を満たすように美的曲線を生成できる。しかしながら、個々の当該曲線を生成した後、セグメント間の曲率連続を実現させようと接続部分を強引に調整する結果、最終的に生成される曲線は、美的曲線ではなくなってしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-76470号公報
【特許文献2】特許第5177771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、部分的には曲率単調である一方で全体的には曲率単調とは限らない意匠デザインに好適な曲線を、曲率変化が滑らかな曲線として容易に生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では、曲線形状を示す測定データ等の入力データから、曲線全体の曲率変化が滑らかであって、所定の条件を満たす放物型曲率曲線を生成する。本発明では、所定の条件として、曲率関数が弧長パラメータの2次式で与えられるという第1条件を用いる。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、所定の条件を満たすように生成される曲線は、曲率関数が弧長パラメータに沿って単調増加または単調減少する以外に、単調増加から単調減少へ、または単調減少から単調増加へと転じる極値を持つことも可能となる。これにより、部分的には曲率単調である一方で全体的には曲率単調とは限らない意匠デザインに好適な曲線を生成する際に、曲率単調性の条件を満足するように生成した個々のセグメント曲線どうしを接続するといった操作が不要で、全体としての曲率変化が滑らかな曲線を、多くの試行錯誤を要することなく曲線形状を示す測定データ等の入力データから容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による曲線生成装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】意匠デザインの現場で製作された、全域にわたって曲率単調ではない曲線の例を示す図である。
図3】第1条件に関する関数を説明するための図である。
図4】定義域の内外に極値を持つ放物型曲率曲線を説明するための図である。
図5】2段階の処理で放物型曲率曲線を生成する際の曲率ベクトルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による曲線生成装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の曲線生成装置は、機能構成として、曲線データ入力部1、曲線タイプ指定部2および曲線生成部3を備えて構成されている。
【0014】
これらの機能ブロック1~3は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック1~3は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0015】
本実施形態の曲線生成装置は、以上のような各機能ブロック1~3の機能を用いて、曲線形状を示す測定データ等の入力データから、全体として曲率変化が滑らかな放物型曲率曲線を生成するものである。放物型曲率曲線とは、曲率関数が弧長パラメータの2次式で与えられる曲線のことである。本実施形態の詳細を説明する前に、まず、本実施形態の放物型曲率曲線と対比される従来の一般的な美的曲線について説明する。
【0016】
一般の自由曲線は、複数のセグメントにより表現される。そして、各セグメントは、曲線の曲がり具合を示す(曲線の印象を左右する)定数αによって特徴付けられる。特許文献2に記載の通り、曲率半径のα乗が弧長パラメータの1次式で表された曲線セグメントは、デザインに好適な美的曲線(人が美しいと感じる曲線)とされる。このとき、定数αは当該セグメントの曲率対数分布図における直線の傾きを示している。
【0017】
すなわち、各セグメント曲線に関して、弧長パラメータをs、曲率半径をρとすると、曲率対数分布図の横軸はlogρ、縦軸はlog{ρ(ds/dρ)}となる。曲率対数分布図が直線で与えられることから、以下の(式1)が成り立つ。なお、c1は定数である。この(式1)は美的曲線の基本方程式と呼ばれている。この(式1)は、次の(式2)のように変形できる。以上が一般的な美的曲線の説明である。
【0018】
【数1】
【0019】
上述したように、曲線形状を示す測定データ等の入力データからCADシステムで曲線を再構築する場合、生成する曲線の曲率単調性を適切に取り扱うことが重要である。実際の意匠デザインの現場で製作される曲線は、図2の例に示すように、部分的には曲率単調である一方で、全体的には曲率単調であるとは限らない。なお、図2において、符号20は曲線を示し、符号21は曲率κの大きさ(を適当にスケール倍したもの)を示し、符号22は曲率半径ρ(=1/κ)の1/10の大きさを示している。
【0020】
そこで、本実施形態では、次の(式3a)で示す関数と(式3b)の凸性条件を導入する。この(式3a)において、fα(|κ|)は特許請求の範囲の「曲率関数」に相当する。ここで、(式3a)においてα=1とし、(式3b)の凸性条件として次の2つの場合を考える。1つ目の場合は、(式3b)の不等式が等号の場合、すなわち、d2|κ|/ds2=0である。sで2回積分するとκ=as+b(a,bは定数)が得られる。すなわち、曲率κは弧長パラメータsに対して線形な関係となる。これは、クロソイドまたはオイラースパイラルと呼ばれる曲線が曲率単調性を持っていることを意味する。また、α=-1の場合は対数螺旋、α=-2の場合は円のインボリュート曲線を意味する。これは従来の美的曲線と同義である。次の2つ目の場合は、(式3b)の不等式が成立する特別な状況、すなわち、d2|κ|/ds2=aである。sで2回積分するとκ=as2+bs+c(a,b,cは定数)が得られ、曲率κは弧長パラメータsの2次式(放物線)となる。これは、本実施形態の放物型曲率曲線が成立する状況であることを意味する。
【0021】
【数2】
【0022】
以下の説明において、曲率関数fα(|κ|)と弧長パラメータsのそれぞれをグラフの縦軸と横軸にして、両者の関係を示したグラフを「曲率グラフ」という。図1に示す本実施形態の曲線生成装置は、この曲率グラフが放物線を表すような放物型曲率曲線Cを、曲線形状を示す測定データ等の入力データ(以下、これを入力曲線Cあるいは曲線データCという)から生成するものである。以下、図1の各機能ブロック1~3について説明する。
【0023】
曲線データ入力部1では、ユーザによる操作またはバッチ処理型のプログラムの実行により、曲線データCを入力する。曲線データCは、ポリラインやBスプライン曲線等の代表的なパラメトリック曲線で表されるものである。ポリラインは、点列を線形補間して得られる折れ線であり、曲線データCとして点列を与えることと同義である。曲線データCの典型例としては、測定データ(ポリゴンデータ)の特徴線上でサンプリングされた点列から作成されたポリラインが挙げられる。また、サンプリングは、必ずしも等間隔で行われるとは限らず、測定データのトリム部分では、サンプリングされるデータが存在しないため、曲線データCを構成する点列は不等間隔にもなり得るし、測定データのノイズの影響を受けている場合もある。曲線データCが表しているところの曲線形状は、2Dの平面曲線のこともあるし、3Dの空間曲線のこともある。
【0024】
曲線タイプ指定部2は、ユーザによる操作に従って、生成したい放物型曲率曲線Cのタイプを指定する。タイプの指定は、定数αの値を入力することによって行う。
【0025】
曲線生成部3は、曲線データ入力部1により入力された曲線データ(入力曲線)Cを曲線長で除算することによって正規化した後、入力曲線Cから放物型曲率曲線Cを再構築する。このとき、曲線生成部3は、所定の条件を満たす放物型曲率曲線Cを生成する。ここで用いる所定の条件は、曲率関数fα(|κ|)が弧長パラメータsの2次式で与えられるという第1条件を含む。すなわち、曲線生成部3は、fα(|κ|)=as2+bs+c(a,b,cは定数)を満たす放物型曲率曲線Cを生成する。曲線生成部3は、正規化された空間で生成された放物型曲率曲線Cを元のスケールに復元して出力する。
【0026】
また、所定の条件は、曲線生成部3により生成される放物型曲率曲線Cと入力曲線Cとの偏差を最小化するという第2条件を更に含む。例えば、曲線生成部3は、次の(式4)に示す目的関数Jを最小化する曲線C(s)の制御点を求めることにより、第1条件および第2条件を満たす放物型曲率曲線Cを生成する。この(式4)において、右辺の第1項が第2条件を示し、第2項が第1条件を示している。ε,εは重み係数である。
【0027】
【数3】
【0028】
以下に、この(式4)について詳細に説明する。第1条件に関する(式4)の右辺の第2項は、曲率関数fα(|κ|)が弧長パラメータsの2次式で与えられるということを、次の(式5)に示す関数Φ(C(s))により評価する。関数Φは、生成される曲線C(s)の曲率グラフと、2次式で表される放物線との偏差を算出する関数である。第1条件は、この偏差を最小化するものである。
【0029】
【数4】
【0030】
図3は、この関数Φ(C(s))を説明するための図である。ここで、fα(|κ|)は、曲線C(s)上に設定されたn番目の評価点における曲率関数の値であり、図3に示された〇印がその値に相当する。Nは評価点の総数を示す。as2+bs+cは、N個の曲率関数値fα(|κ|)を最小二乗法によって近似した2次式である。pは任意の定数である。
【0031】
関数Φ(C(s))=0の場合、曲線C(s)の曲率グラフ、すなわち、曲率関数fα(|κ|)対弧長パラメータsは放物線を示す。なお、2次の係数aが正値なら曲率グラフは下凸となり、負値なら上凸となる。
【0032】
また、第2条件に関する(式4)の右辺の第1項において、Qは、正規化された入力曲線C上で出来るだけ等間隔に設定されたn番目の評価点の座標値である。また、C(s)は、Qからの最近点として曲線C(s)上に設定されたn番目の座標値である。
【0033】
曲線生成部3は、上記の(式4)に示す目的関数Jを最小化する曲線C(s)を求めることにより、第1条件および第2条件をほぼ満足する放物型曲率曲線C(s)を生成する。これにより、曲線形状を示す測定データ等の入力データを十分に近似できていて、かつ、曲率変化が全域にわたって滑らかで、曲率関数が放物線としての極値を持つことも可能な放物型曲率曲線を、それぞれ曲率単調性の条件を満足するように整形した複数のセグメント曲線どうしを接続するといった操作を行うことなく簡単に生成することができる。ここで、図4(a)に示すように、曲線の定義域内(0≦s≦1)に曲率の極値を持つ放物型曲率曲線、または図4(b)に示すように、曲線の定義域外に極値を持つ放物型曲率曲線の何れも生成することが可能である。
【0034】
<変形例1>
3Dの空間曲線を生成する場合、所定の条件は、曲線生成部3により生成される放物型曲率曲線の捩率の大きさを最小化するという第3条件を更に含んでもよい。一例として、曲線生成部3は、次の(式6)に示す目的関数Jを最小化する曲線C(s)の制御点を求めることにより、第1条件~第3条件を満たす放物型曲率曲線Cを生成する。この(式6)において、右辺の第1項が上記(式4)の右辺の第1条件および第2条件を示し、第2項が第3条件を示している。εは重み係数である。
【0035】
【数5】
【0036】
第3条件に関する(式6)の右辺の第2項は、生成される曲線C(s)の捩率の大きさを最小化するということを、次の(式7)に示す関数Ψ(C(s))により評価する。この(式7)において、τ(s)は、曲線C(s)上に設定されたn番目の評価点における捩率の値である。また、bs+cは、N個の捩率τ(s)の値を最小二乗法によって近似した1次式である。
【0037】
【数6】
【0038】
曲線生成部3は、上記(式6)に示す目的関数Jを最小化する曲線C(s)を求めることにより、第1条件、第2条件および第3条件をほぼ満足する放物型曲率曲線C(s)を生成する。これにより、曲線形状を示す測定データ等の入力データを十分に近似できていて、かつ、曲率変化が全域にわたって滑らかで、曲率関数が放物線としての極値を持つことも可能で、さらに、捩れの小さい放物型曲率曲線を簡単に生成することができる。
【0039】
<変形例2>
測定データのノイズへのロバスト性を確保するために、低次のパラメトリック曲線を使用することにより、2段階の処理で放物型曲率曲線Cを生成することもできる。例えば、第1段階では、入力曲線Cに2次の複合ベジエ曲線をフィッティングする。第2段階では、2次の複合ベジエ曲線を3次の曲率連続なBスプライン曲線に変換する。
【0040】
第1段階において、曲線生成部3は、次の(式8)に示す目的関数Jを最小化する2次の複合ベジエ曲線を求める。この(式8)において、右辺の第1項のJは上記(式4)の第1条件および第2条件を示している。εは重み係数である。また、κL m,κR mは、図5に示すように、隣接するベジエセグメントのm番目の接合点での左右のセグメントの端点における曲率ベクトルを示す。
【0041】
【数7】
【0042】
第2段階において、曲線生成部3は、第1段階において求めた2次の複合ベジエ曲線を3次の曲率連続なBスプライン曲線に強制変換し、これにより得られた曲線を初期曲線として、上記(式6)に示す目的関数Jを最小化する曲線C(s)を求めることにより、第1条件、第2条件および第3条件をほぼ満足する放物型曲率曲線C(s)を生成する。
【0043】
<その他の変形例>
なお、上記実施形態では、第1条件を評価する関数Φ(C(s))を示す(式5)におけるas2+bs+cの2次式の係数は、N個の評価点における曲率関数の値fα(|κ|)から最小二乗法によって求めているが、本発明はこれに限定されない。例えば、2次式の係数a,b,cの値をユーザが任意に指定できるようにしてもよい。そうすることにより、例えば、図4(a)のように曲線の定義域内に極値を持たせるか、図4(b)のように曲線の定義域外に極値を持たせるかをユーザが意図的に決定(あるいは制御)できる。
【0044】
また、上記実施形態では、曲線タイプ指定部2により、生成したい放物型曲率曲線のタイプを指定する構成について説明したが、タイプを指定可能とすることを必須とするものではない。例えば、あらかじめ決められたタイプの放物型曲率曲線を生成するようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、曲線形状を示す測定データ等の入力曲線データから放物型曲率曲線を再構築する例について説明した通り、入力データはクレイモデル等の測定データに起因されるものに限定されない。例えば、第1条件を満たさないBスプライン曲線を入力データとして、第1条件を満足するBスプライン曲線を生成することにも本発明の方法を利用することが可能である。
【0046】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 曲線データ入力部
2 曲線タイプ指定部
3 曲線生成部
図1
図2
図3
図4
図5