(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179142
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】照明システム、照明制御方法、及び照明制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20221125BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20221125BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20221125BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20221125BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20221125BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/155
H05B47/18
H05B47/19
H05B47/115
A63B71/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086421
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘康
(72)【発明者】
【氏名】原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】肥山 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】中野 達男
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 要
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 匠
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA07
3K273QA13
3K273QA37
3K273RA05
3K273SA18
3K273SA22
3K273SA39
3K273SA46
3K273SA60
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA21
(57)【要約】
【課題】適切な目標走行速度に従って、コースに沿って配置された複数の照明機器を順に点灯させることができるようにする。
【解決手段】制御装置18によって、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器20を順に点灯させるように制御する。走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器20は、目標走行速度に応じて順に点灯する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器と、
前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御する制御装置と、
を含む照明システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付け、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて調整して、前記走者の目標走行速度を決定する請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記照明機器は、複数の色の照明を点灯することが可能であり、
前記制御装置は、選択された走行速度レベルに対して予め定められた色の照明を点灯させるように制御する請求項1又は2記載の照明システム。
【請求項4】
前記生体情報は、心拍数又は最大酸素摂取量に関する情報を含み、
前記制御装置は、前記生体情報が示す心拍数が上昇するほど、又は前記生体情報が示す最大酸素摂取量が低下するほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定する請求項1~請求項3の何れか1項記載の照明システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記生体情報として、体温、体重、発汗量、血圧、又は血糖値を取得し、取得した前記生体情報を、走行記録として保存する請求項1~請求項4の何れか1項記載の照明システム。
【請求項6】
前記気象情報は、気温、湿度、風速、又は降水量に関する情報を含み、
前記制御装置は、前記気象情報が示す気温が上昇するほど、前記気象情報が示す湿度が高いほど、前記気象情報が示す風速が大きいほど、又は前記気象情報が示す降水量が多いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定する請求項1~請求項5の何れか1項記載の照明システム。
【請求項7】
前記制御装置は、予め用意されたコース情報に基づいて、前記取得した位置情報におけるコースの勾配又は高度を取得し、前記勾配が大きいほど、又は前記高度が高いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定する請求項1~請求項6の何れか1項記載の照明システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記取得した位置情報に基づいて、前記走者の現在の走行速度を算出し、前記決定された目標走行速度と、前記算出された前記走行速度との差分が大きいほど、前記目標走行速度を低くするように調整する請求項1~請求項7の何れか1項記載の照明システム。
【請求項9】
前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を計測するセンサを有する、前記走者が装着するウェアラブル機器と、
前記走者が保持する携帯端末と、
サーバと、を更に含み、
前記携帯端末と前記制御装置と前記サーバとがネットワークを介して接続され、
前記制御装置は、前記ウェアラブル機器のセンサによって計測された前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報を、前記携帯端末及び前記サーバを介して取得する請求項1~請求項8の何れか1項記載の照明システム。
【請求項10】
前記携帯端末が、前記走者による操作を受け付けて、前記走者が走行を開始することを示す走行開始情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバが、前記走行開始情報を受信すると、前記制御装置へ前記走行開始情報を送信し、
前記制御装置は、前記走行開始情報を受信すると、前記複数の照明機器を順に点灯させることを開始するように制御する請求項9記載の照明システム。
【請求項11】
走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器と、制御装置とを含む照明システムにおける照明制御方法であって、
前記制御装置が、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御する
照明制御方法。
【請求項12】
走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器を制御するための照明制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御する
ことを実行させるための照明制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システム、照明制御方法、及び照明制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、陸上トラックに照明器具を埋め込んで、点滅させてペースメーカとするスピード競技用ペースメーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このスピード競技用ペースメーカ装置は、競技コースの全長に沿って配設される多数の表示器からなる表示装置と、競技の進行向きにおいて予め設定された速さで各表示器を順次駆動する制御装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて、走者の目標走行速度を決定することが記載されていないため、適切な目標走行速度に従って複数の照明機器を順に点灯させるように制御することができない。
【0005】
本発明は、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って配置された複数の照明機器を順に点灯させることができる照明システム、照明制御方法、及び照明制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明システムは、走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器と、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御する制御装置と、を含んで構成されている。
【0007】
本発明の照明システムによれば、制御装置によって、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御する。走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器は、目標走行速度に応じて順に点灯する。
【0008】
前記制御装置は、前記走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付け、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて調整して、前記走者の目標走行速度を決定することができる。
【0009】
前記照明機器は、複数の色の照明を点灯することが可能であり、前記制御装置は、選択された走行速度レベルに対して予め定められた色の照明を点灯させるように制御することができる。
【0010】
前記生体情報は、心拍数又は最大酸素摂取量に関する情報を含み、前記制御装置は、前記生体情報が示す心拍数が上昇するほど、又は前記生体情報が示す最大酸素摂取量が低下するほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定することができる。
【0011】
前記制御装置は、前記生体情報として、体温、体重、発汗量、血圧、又は血糖値を取得し、取得した前記生体情報を、走行記録として保存することができる。
【0012】
前記気象情報は、気温、湿度、風速、又は降水量に関する情報を含み、前記制御装置は、前記気象情報が示す気温が上昇するほど、前記気象情報が示す湿度が高いほど、前記気象情報が示す風速が大きいほど、又は前記気象情報が示す降水量が多いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定することができる。
【0013】
前記制御装置は、予め用意されたコース情報に基づいて、前記取得した位置情報におけるコースの勾配又は高度を取得し、前記勾配が大きいほど、又は前記高度が高いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定することができる。
【0014】
前記制御装置は、前記取得した位置情報に基づいて、前記走者の現在の走行速度を算出し、前記決定された目標走行速度と、前記算出された前記走行速度との差分が大きいほど、前記目標走行速度を低くするように調整することができる。
【0015】
上記発明の照明システムは、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を計測するセンサを有する、前記走者が装着するウェアラブル機器と、前記走者が保持する携帯端末と、サーバと、を更に含み、前記携帯端末と前記制御装置と前記サーバとがネットワークを介して接続され、前記制御装置は、前記ウェアラブル機器のセンサによって計測された前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報を、前記携帯端末及び前記サーバを介して取得することができる。
【0016】
前記携帯端末が、前記走者による操作を受け付けて、前記走者が走行を開始することを示す走行開始情報を前記サーバへ送信し、前記サーバが、前記走行開始情報を受信すると、前記制御装置へ前記走行開始情報を送信し、前記制御装置は、前記走行開始情報を受信すると、前記複数の照明機器を順に点灯させることを開始するように制御することができる。
【0017】
本発明の照明制御方法は、走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器と、制御装置とを含む照明システムにおける照明制御方法であって、前記制御装置が、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御する。
【0018】
本発明の照明制御プログラムは、走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器を制御するための照明制御プログラムであって、コンピュータに、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度に応じて、前記複数の照明機器を順に点灯させるように制御することを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る照明システム、照明制御方法、及び照明制御プログラムによれば、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って配置された複数の照明機器を順に点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る照明システムの構成を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る照明システムのウェアラブル機器の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る照明システムの携帯端末の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る照明システムのサーバの構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る照明システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る照明システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ウェアラブル機器を装着した走者の目標走行速度に従って照明機器の点灯を制御する照明システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0022】
<照明システム10の構成>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る照明システム10は、走者が装着しているウェアラブル機器12と、ウェアラブル機器12を装着した走者が携帯する携帯端末14と、サーバ16と、制御装置18と、走者が走行するコースに沿って配置された複数の照明機器20とを備えている。
【0023】
携帯端末14、サーバ16、及び制御装置18は、インターネットなどのネットワーク24を介して接続されている。また、ウェアラブル機器12と携帯端末14とはBluetooth(登録商標)などの無線通信で接続されている。複数の照明機器20と制御装置18は、有線又は無線通信で接続されている。
【0024】
例えば、複数の照明機器20は、
図2に示すように、スタジアム内の走行コースとなるコンコースの天井部分に所定間隔で設置されている。
【0025】
照明機器20は、複数の色の照明を点灯することが可能であり、例えば、橙、黄色、赤の照明を点灯することが可能である。
【0026】
<ウェアラブル機器12の構成>
ウェアラブル機器12は、ウェアラブル機器本体12Aと、走者の腕に装着される長尺帯状の装着部12Bとを備えている。
【0027】
ウェアラブル機器本体12Aは、
図3に示すように、通信部30、測位部32、及び生体センサ部34を備えている。
【0028】
測位部32は、GPSセンサを用いて現在位置を測定し、測定された現在位置を表す位置情報を通信部30に出力する。
【0029】
生体センサ部34は、走者の生体情報を検出し、通信部30に出力する。例えば、心拍数、最大酸素摂取量、発汗量、血圧、及び血糖値を、生体情報として検出する。
【0030】
通信部30は、測位部32から位置情報が入力され、生体センサ部34から生体情報が入力されると、位置情報及び生体情報を含むセンサ情報を、無線通信を介して携帯端末14へ送信する。
【0031】
<携帯端末14の構成>
携帯端末14は、例えば、スマートフォンであり、
図4に示すように、通信部40、速度レベル受付部42、センサ情報取得部44、走行開始受付部46、及び表示部48を備えている。
【0032】
通信部40は、ウェアラブル機器12との間で、無線通信で信号の送受信を行う。また、通信部40は、ネットワーク24を介したデータの送受信を行う。
【0033】
速度レベル受付部42は、走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付ける。例えば、表示部48に、複数種類の走行速度レベルとして、ジョギングレベル(6km/h)、ランニングレベル(10km/h)、及び箱根駅伝レベル(20km/h)を表示し、何れか一つの選択を受け付ける。速度レベル受付部42は、選択された走行速度レベルを、通信部40に出力し、通信部40により、サーバ16へ送信する。
【0034】
センサ情報取得部44は、ウェアラブル機器12から受信したセンサ情報を取得する。センサ情報取得部44は、走者から予め設定された、当該走者の体温及び体重を取得する。センサ情報取得部44は、当該走者の体温及び体重を含めたセンサ情報を通信部40に出力し、通信部40により、サーバ16へ送信する。
【0035】
走行開始受付部46は、走者による走行開始を指示する操作を受け付けて、走者が走行を開始することを示す走行開始情報を、通信部40に出力し、通信部40により、サーバ16へ送信する。
【0036】
例えば、表示部48に、走行開始を指示するためのボタンを表示し、当該ボタンの押下操作を受け付ける。
【0037】
表示部48は、例えば、タッチパネルディスプレイからなり、走行速度レベルを選択するための選択画面や、走行開始を指示するためのボタンを含む走行開始指示画面を表示する。
【0038】
<サーバ16の構成>
サーバ16は、CPU、ROM、RAM、及びHDDを備えたコンピュータで構成されている。
【0039】
サーバ16は、機能的には次に示すように構成されている。
図5に示すように、サーバ16は、通信部50、速度レベル取得部52、センサ情報取得部54、及び走行開始情報取得部56を備えている。
【0040】
通信部50は、ネットワーク24を介したデータの送受信を行う。
【0041】
速度レベル取得部52は、携帯端末14から受信した、選択された走行速度レベルを取得し、通信部50に出力し、通信部50により、制御装置18へ送信する。
【0042】
センサ情報取得部54は、携帯端末14から受信したセンサ情報を取得し、通信部50に出力し、通信部50により、制御装置18へ送信する。
【0043】
走行開始情報取得部56は、携帯端末14から受信した走行開始情報を取得し、通信部50に出力し、通信部50により、制御装置18へ送信する。
【0044】
<制御装置18の構成>
制御装置18は、CPU、ROM、RAM、及びHDDを備えたコンピュータで構成されている。
【0045】
制御装置18は、機能的には次に示すように構成されている。
図6に示すように、制御装置18は、通信部60、選択受付部62、取得部64、走行速度決定部66、走行速度調整部68、及び点灯制御部70を備えている。
【0046】
通信部60は、ネットワーク24を介したデータの送受信を行う。
【0047】
選択受付部62は、サーバ16から受信した、選択された走行速度レベルを取得する。
【0048】
取得部64は、サーバ16から受信したセンサ情報から、走者の生体情報及び位置情報を取得する。
【0049】
取得部64は、気象情報サイトから、走者の現在位置を含むエリアに対応する気象情報を取得する。気象情報として、例えば、気温、湿度、風速、及び降水量に関する情報を含む。
【0050】
取得部64は、走者の生体情報から、体温、体重、発汗量、血圧、及び血糖値を取得し、走行記録として保存する。
【0051】
走行速度決定部66は、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、走者の目標走行速度として決定する。
【0052】
走行速度調整部68は、走行速度決定部66により決定された目標走行速度を、走者の生体情報、位置情報、及び気象情報に基づいて調整する。
【0053】
具体的には、走行速度調整部68は、生体情報が示す心拍数が上昇するほど、又は生体情報が示す最大酸素摂取量が低下するほど、走者の目標走行速度が低くなるように調整する。
【0054】
また、走行速度調整部68は、気象情報が示す気温が上昇するほど、気象情報が示す湿度が高いほど、気象情報が示す風速が大きいほど、又は気象情報が示す降水量が多いほど、走者の目標走行速度が低くなるように調整する。
【0055】
また、走行速度調整部68は、予め用意された、コースの各位置の勾配及び高度を含むコース情報に基づいて、取得した位置情報におけるコースの勾配又は高度を取得し、勾配が大きいほど、又は高度が高いほど、走者の目標走行速度が低くなるように調整する。
【0056】
また、走行速度調整部68は、取得した位置情報の時系列変化に基づいて、走者の現在の走行速度を算出し、決定された目標走行速度から、算出された走行速度を減算した差分が大きいほど、目標走行速度を低くするように調整する。
【0057】
点灯制御部70は、サーバ16から走行開始情報を受信すると、複数の照明機器20を順に点灯させることを開始するように制御する。このとき、目標走行速度に応じて、予め定められた走行開始地点に近い照明機器20から順に点灯させるように制御する。また、点灯制御部70は、選択された走行速度レベルに対して予め定められた色の照明を点灯させるように照明機器20を制御する。
【0058】
例えば、ジョギングレベルが選択された場合に、各照明機器20を順に点灯させる際に、橙色の照明で点灯させる。また、ランニングレベルが選択された場合に、各照明機器20を順に点灯させる際に、黄色の照明で点灯させる。また、箱根駅伝レベルが選択された場合に、各照明機器20を順に点灯させる際に、赤色の照明で点灯させる。
【0059】
また、点灯制御部70は、目標走行速度が調整された場合には、調整された目標走行速度に応じて、各照明機器20を順に点灯させるように制御する。
【0060】
<照明システム10の作用>
次に、本発明の実施の形態に係る照明システム10の作用について説明する。
【0061】
図7は、照明システムのウェアラブル機器12、携帯端末14、サーバ16、及び制御装置18が行う処理を説明するシーケンス図である。
【0062】
まず、走者が腕にウェアラブル機器12を装着して、走行開始地点まで移動する。そして、走行開始地点に表示されている2次元コード(例えばQRコード(登録商標))を、走者が携帯している携帯端末14で読み込むと、
図7の処理が開始される。
【0063】
ステップS100において、携帯端末14の表示部48に、走行速度レベルを選択するための選択画面を表示する。そして、速度レベル受付部42が、走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付け、選択された走行速度レベルを、通信部40に出力し、通信部40により、サーバ16へ送信する。
【0064】
ステップS102において、サーバ16の速度レベル取得部52が、携帯端末14から受信した、選択された走行速度レベルを取得し、通信部50に出力し、通信部50により、制御装置18へ送信する。
【0065】
ステップS104において、制御装置18の選択受付部62が、サーバ16から受信した、選択された走行速度レベルを取得する。走行速度決定部66が、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、走者の目標走行速度として決定する。
【0066】
ステップS106において、携帯端末14の表示部48に、走行開始を指示するためのボタンを含む走行開始指示画面を表示する。そして、走行開始受付部46が、走者による走行開始を指示する操作を受け付けて、走者が走行を開始することを示す走行開始情報を、通信部40に出力し、通信部40により、サーバ16へ送信する。
【0067】
ステップS108において、サーバ16の走行開始情報取得部56が、携帯端末14から受信した走行開始情報を取得し、通信部50に出力し、通信部50により、制御装置18へ送信する。
【0068】
ステップS110において、制御装置18の点灯制御部70が、サーバ16から走行開始情報を受信すると、複数の照明機器20を順に点灯させることを開始するように制御する。このとき、目標走行速度に応じて、予め定められた走行開始地点に近い照明機器20から順に点灯させるように制御する。また、点灯制御部70は、選択された走行速度レベルに対して予め定められた色の照明を点灯させるように照明機器20を制御する。
【0069】
ステップS112において、ウェアラブル機器12の測位部32が、GPSセンサを用いて現在位置を測定し、測定された現在位置を表す位置情報を通信部30に出力する。生体センサ部34が、走者の生体情報を検出し、通信部30に出力する。そして、通信部30が、位置情報及び生体情報を含むセンサ情報を、無線通信を介して携帯端末14へ送信する。
【0070】
ステップS114において、携帯端末14のセンサ情報取得部44が、ウェアラブル機器12から受信したセンサ情報を取得する。センサ情報取得部44が、走者から予め設定された、当該走者の体温及び体重を取得する。センサ情報取得部44が、当該走者の体温及び体重を含めたセンサ情報を通信部40に出力し、通信部40により、サーバ16へ送信する。
【0071】
ステップS116において、サーバ16のセンサ情報取得部54が、携帯端末14から受信したセンサ情報を取得し、通信部50に出力し、通信部50により、制御装置18へ送信する。
【0072】
ステップS118において、制御装置18の取得部64が、サーバ16から受信したセンサ情報から、走者の生体情報及び位置情報を取得する。取得部64が、気象情報サイトから、走者の現在位置を含むエリアに対応する気象情報を取得する。取得部64が、走者の生体情報から、体温、体重、発汗量、血圧、及び血糖値を取得し、走行記録として保存する。
【0073】
ステップS120において、制御装置18の走行速度調整部68が、走行速度決定部66により決定された目標走行速度を、走者の生体情報、位置情報、及び気象情報に基づいて調整する。これにより、点灯制御部70が、調整された目標走行速度に応じて、各照明機器20を順に点灯させるように制御する。
【0074】
そして、上記ステップS112~S120の処理を繰り返す。
【0075】
走者は、コースに沿って設けられた各照明機器20の明滅を追いかけるように走ることで、設定した走行速度レベルでのトレーニングが可能となると共に、適切に調整された目標走行速度で走行することができる。
【0076】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る照明システムによれば、制御装置によって、走者の生体情報、位置情報、及び気象情報を取得し、生体情報、位置情報、及び気象情報に基づいて、走者の目標走行速度を決定し、目標走行速度に応じて、複数の照明機器を順に点灯させるように制御する。走者が走るコースに沿って配置された複数の照明機器は、目標走行速度に応じて順に点灯する。これにより、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って配置された複数の照明機器を順に点灯させることができる。
【0077】
走者にとって自分の走行速度レベルに応じたペースで走ることが大切である。特にランニング初心者はペースを維持して走ることが難しいため、無理なペース設定により挫折してしまったり、走りすぎることで怪我にもつながってしまう恐れがある。そこで、本実施の形態では、指定したペースに合わせて複数の照明機器の点灯を制御することにより、簡易に走者に対してペースを意識させることができる。初心者はもちろん、上級者までがランニングを楽しめる環境を提供することができ、運動意識向上の促進および新たなコミュニティの活性化が可能となる。
【0078】
また、気温が高い日は普段より目標走行速度を落とす、気温が低い日は普段より目標走行速度を上げる等調整を行うことができる。さらに、向かい風の風速が大きい時や足元の悪い雨天時には目標走行速度を下げるなどの調整を行うことができる。
【0079】
また、心拍数が増加したり最大酸素摂取量が低下し始めたら目標走行速度を下げるように調整を行うことができる。
【0080】
なお、上記の実施の形態では、走行速度レベルに応じて照明の色を変える場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、走者の好みで各照明機器の照明の色を選択してもよい。これにより、他の走者と比べ自分自身の目標走行速度を識別することができる。
【0081】
また、走行速度レベルを1つ選択する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、走行速度レベルが変化するように設定してもよい。例えば、走行開始から5分経過するまで、ジョギングレベル(6km/h)とし、5分から10分経過するまで、ランニングレベル(10km/h)とし、10分から15分経過するまで、箱根駅伝レベル(20km/h)としてもよい。
【0082】
また、ウェアラブル機器が、腕に装着するタイプである場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、腕以外の部位に装着するタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 照明システム
12 ウェアラブル機器
14 携帯端末
16 サーバ
18 制御装置
20 照明機器
24 ネットワーク
32 測位部
34 生体センサ部
40 通信部
42 速度レベル受付部
44 センサ情報取得部
46 走行開始受付部
48 表示部
50 通信部
52 速度レベル取得部
54 センサ情報取得部
56 走行開始情報取得部
60 通信部
62 選択受付部
64 取得部
66 走行速度決定部
68 走行速度調整部
70 点灯制御部