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特開2022-179143飛行制御システム、飛行制御方法、及び飛行制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179143
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】飛行制御システム、飛行制御方法、及び飛行制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20221125BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221125BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20221125BHJP
   B64D 47/02 20060101ALI20221125BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20221125BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20221125BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20221125BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20221125BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20221125BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A63B71/06 T
B64C39/02
B64D47/08
B64D47/02
B64C27/08
B64C13/18 Z
A63B71/06 K
G08G5/00 A
G08G1/005
G05D1/10
G08C17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086422
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肥山 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘康
(72)【発明者】
【氏名】原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】古川 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】中野 達男
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 要
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 匠
【テーマコード(参考)】
2F073
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA31
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CC15
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE11
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG11
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG08
5H181AA21
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF32
5H181MB11
5H301AA06
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG09
5H301GG16
5H301QQ08
5H301QQ09
(57)【要約】
【課題】適切な目標走行速度に従って、コースに沿って飛行体を飛行させることができるようにする。
【解決手段】制御装置18によって、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体20を飛行させるように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体と、
走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御する制御装置と、
を含む飛行制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付け、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて調整して、前記走者の目標走行速度を決定する請求項1記載の飛行制御システム。
【請求項3】
前記飛行体は、照明部を備え、
前記制御装置は、前記走者の前方に対して光を照射するように前記飛行体の前記照明部を制御する請求項1又は2記載の飛行制御システム。
【請求項4】
前記飛行体は、撮影部を備え、
前記制御装置は、前記走者を撮影するように前記飛行体の前記撮影部を制御する請求項1~請求項3の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項5】
前記飛行体は、音声出力部を備え、
前記制御装置は、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて音声出力メッセージを選択し、前記選択された音声出力メッセージを出力するように前記飛行体の前記音声出力部を制御する請求項1~請求項4の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項6】
前記生体情報は、心拍数又は最大酸素摂取量に関する情報を含み、
前記制御装置は、前記生体情報が示す心拍数が上昇するほど、又は前記生体情報が示す最大酸素摂取量が低下するほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定する請求項1~請求項5の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記生体情報として、体温、体重、発汗量、血圧、又は血糖値を取得し、取得した前記生体情報を、走行記録として保存する請求項1~請求項6の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項8】
前記気象情報は、気温、湿度、風速、又は降水量に関する情報を含み、
前記制御装置は、前記気象情報が示す気温が上昇するほど、前記気象情報が示す湿度が高いほど、前記気象情報が示す風速が大きいほど、又は前記気象情報が示す降水量が多いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定する請求項1~請求項7の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項9】
前記制御装置は、予め用意された地図情報に基づいて、前記取得した位置情報におけるコースの勾配又は高度を取得し、前記勾配が大きいほど、又は前記高度が高いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定する請求項1~請求項8の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記取得した位置情報に基づいて、前記走者の現在の走行速度を算出し、前記決定された目標走行速度と、前記算出された前記走行速度との差分が大きいほど、前記目標走行速度を低くするように調整する請求項1~請求項9の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項11】
前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を計測するセンサを有する、前記走者が装着するウェアラブル機器と、
前記走者が保持する携帯端末と、
サーバと、を更に含み、
前記携帯端末と前記制御装置と前記サーバとがネットワークを介して接続され、
前記制御装置は、前記ウェアラブル機器のセンサによって計測された前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報を、前記携帯端末及び前記サーバを介して取得する請求項1~請求項10の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項12】
前記携帯端末が、前記走者による操作を受け付けて、前記走者が走行を開始することを示す走行開始情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバが、前記走行開始情報を受信すると、前記制御装置へ前記走行開始情報を送信し、
前記制御装置は、前記走行開始情報を受信すると、前記飛行体が飛行開始するように制御する請求項11記載の飛行制御システム。
【請求項13】
前記飛行体が、4基以上の回転翼、及び自機の位置を認識し指定された飛行ルートに沿って自動飛行するように前記回転翼を制御する飛行制御部を含む請求項1~請求項12の何れか1項記載の飛行制御システム。
【請求項14】
飛行体と、制御装置とを含む飛行制御システムにおける飛行制御方法であって、
前記制御装置が、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御する
飛行制御方法。
【請求項15】
飛行体を移動させるように制御するための飛行制御プログラムであって、
コンピュータに、
走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御する
ことを実行させるための飛行制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行制御システム、飛行制御方法、及び飛行制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドローンをペースメーカーにして走る技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この技術では、長距離種目において、自動航行するドローンを追う形でペース走を行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】山崎淳平、「陸上競技指導におけるドローンの活用方法についての検討」、陸上競技研究紀要 Vol.15,98-105,2019年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて、走者の目標走行速度を決定することが記載されていないため、適切な目標走行速度に従って飛行体を飛行させるように制御することができない。
【0005】
本発明は、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って飛行体を飛行させることができる飛行制御システム、飛行制御方法、及び飛行制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飛行制御システムは、飛行体と、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御する制御装置と、を含んで構成されている。
【0007】
本発明の飛行制御システムによれば、制御装置が、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御する。これにより、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って飛行体を飛行させることができる。
【0008】
前記制御装置は、前記走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付け、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて調整して、前記走者の目標走行速度を決定することができる。
【0009】
前記飛行体は、照明部を備え、前記制御装置は、前記走者の前方に対して光を照射するように前記飛行体の前記照明部を制御することができる。
【0010】
前記飛行体は、撮影部を備え、前記制御装置は、前記走者を撮影するように前記飛行体の前記撮影部を制御することができる。
【0011】
前記飛行体は、音声出力部を備え、前記制御装置は、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて音声出力メッセージを選択し、前記選択された音声出力メッセージを出力するように前記飛行体の前記音声出力部を制御することができる。
【0012】
前記生体情報は、心拍数又は最大酸素摂取量に関する情報を含み、前記制御装置は、前記生体情報が示す心拍数が上昇するほど、又は前記生体情報が示す最大酸素摂取量が低下するほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定することができる。
【0013】
前記制御装置は、前記生体情報として、体温、体重、発汗量、血圧、又は血糖値を取得し、取得した前記生体情報を、走行記録として保存することができる。
【0014】
前記気象情報は、気温、湿度、風速、又は降水量に関する情報を含み、前記制御装置は、前記気象情報が示す気温が上昇するほど、前記気象情報が示す湿度が高いほど、前記気象情報が示す風速が大きいほど、又は前記気象情報が示す降水量が多いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定することができる。
【0015】
前記制御装置は、予め用意された地図情報に基づいて、前記取得した位置情報におけるコースの勾配又は高度を取得し、前記勾配が大きいほど、又は前記高度が高いほど、前記走者の目標走行速度が低くなるように決定することができる。
【0016】
前記制御装置は、前記取得した位置情報に基づいて、前記走者の現在の走行速度を算出し、前記決定された目標走行速度と、前記算出された前記走行速度との差分が大きいほど、前記目標走行速度を低くするように調整することができる。
【0017】
上記発明の飛行制御システムは、前記走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を計測するセンサを有する、前記走者が装着するウェアラブル機器と、前記走者が保持する携帯端末と、サーバと、を更に含み、前記携帯端末と前記制御装置と前記サーバとがネットワークを介して接続され、前記制御装置は、前記ウェアラブル機器のセンサによって計測された前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報を、前記携帯端末及び前記サーバを介して取得することができる。
【0018】
前記携帯端末が、前記走者による操作を受け付けて、前記走者が走行を開始することを示す走行開始情報を前記サーバへ送信し、前記サーバが、前記走行開始情報を受信すると、前記制御装置へ前記走行開始情報を送信し、前記制御装置は、前記走行開始情報を受信すると、前記飛行体が飛行開始するように制御することができる。
【0019】
前記飛行体が、4基以上の回転翼、及び自機の位置を認識し指定された飛行ルートに沿って自動飛行するように前記回転翼を制御する飛行制御部を含むことができる。
【0020】
本発明の飛行制御方法は、飛行体と、制御装置とを含む飛行制御システムにおける飛行制御方法であって、前記制御装置が、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御する。
【0021】
本発明の飛行制御プログラムは、飛行体を移動させるように制御するための飛行制御プログラムであって、コンピュータに、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報を取得し、前記生体情報、前記位置情報、又は前記気象情報に基づいて、前記走者の目標走行速度を決定し、前記目標走行速度で、前記走者が走るコースに沿って前記飛行体を飛行させるように制御することを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る飛行制御システム、飛行制御方法、及び飛行制御プログラムによれば、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って飛行体を飛行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムの飛行体の構成を示す側面図である。
図3】飛行体の撮影部による撮影及び照明器具による照明の例を示す図である。
図4】飛行体の飛行制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムのウェアラブル機器の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムの携帯端末の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムのサーバの構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施の形態に係る飛行制御システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ウェアラブル機器を装着した走者の目標走行速度に従って飛行体を飛行させるように制御する飛行制御システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0025】
<飛行制御システム10の構成>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る飛行制御システム10は、走者が装着しているウェアラブル機器12と、ウェアラブル機器12を装着した走者が携帯する携帯端末14と、サーバ16と、制御装置18と、走者が走行するコースに沿って飛行する飛行体20とを備えている。
【0026】
携帯端末14、サーバ16、及び制御装置18は、インターネットなどのネットワーク24を介して接続されている。また、ウェアラブル機器12と携帯端末14とはBluetooth(登録商標)などの無線通信で接続されている。飛行体20と制御装置18は、無線通信で接続されている。
【0027】
図2に示すように、飛行体20は、飛行本体部21、アーム22、及び4基の回転翼23を備えている。飛行本体部21は、平面視で飛行体20の中央部に設けられており、飛行本体部21には、不図示の通信アンテナ、バッテリ、照明器具25、及び撮影部26等が搭載されている。
【0028】
アーム22は、4本設けられ、平面視で飛行本体部21から外側に放射状に突出されている。アーム22の各々の先端には、回転翼23が取り付けられている。アーム22は中空とされており、内部に回転翼23を作動させるモータや、制御用、動力用の配線等が収納されている。
【0029】
飛行本体部21の下面側には、照明器具25及び撮影部26が搭載されている。照明器具25は、走行コースの路面を照らすように、下向きに発光する(図3参照)。これにより、夜間において、走者の安全性の確保に貢献することができると共に、飛行体20自身の視認性を高めることができる。撮影部26は、走者の画像を取り込み可能なように設置されている(図3参照)。撮影部26に、赤外線カメラを用いてもよい。これにより、夜間でも撮影することができる。
【0030】
飛行本体部21には、図4に示す飛行制御装置30が搭載されている。飛行制御装置30は、CPU、ROM、RAM、通信アンテナで送受信する信号の入出力用のポート等を含んで構成されており、飛行体20を制御するための各種処理プログラムや、データ等が記憶されている。
【0031】
飛行制御装置30は、自機の位置を認識し指定された飛行ルートに沿って自動飛行するように回転翼23を制御する。飛行制御装置30は、機能的には次に示すように構成されている。図4に示すように、飛行制御装置30は、通信部32と、自律姿勢制御部34と、位置計測部36と、制御部38とを備えている。
【0032】
通信部32は、無線通信により制御装置18との間で信号の送受信を行う。
【0033】
自律姿勢制御部34は、4基の回転翼23によってホバーリングを行うように制御する。
【0034】
位置計測部36は、飛行体20に設けられているGPSセンサ(図示省略)を用いて、飛行体20の現在位置を計測する。
【0035】
制御部38は、位置計測部36によって計測された現在位置に基づいて、飛行ルートとして予め登録された走行コースに沿って自動飛行するように自律姿勢制御部34を制御する。
【0036】
また、制御部38は、指令に応じて、照明器具25及び撮影部26を制御する。
【0037】
<ウェアラブル機器12の構成>
ウェアラブル機器12は、ウェアラブル機器本体12Aと、走者の腕に装着される長尺帯状の装着部12Bとを備えている。
【0038】
ウェアラブル機器本体12Aは、図5に示すように、通信部40、測位部42、及び生体センサ部44を備えている。
【0039】
測位部42は、GPSセンサを用いて現在位置を測定し、測定された現在位置を表す位置情報を通信部40に出力する。
【0040】
生体センサ部44は、走者の生体情報を検出し、通信部40に出力する。例えば、心拍数、最大酸素摂取量、発汗量、血圧、及び血糖値を、生体情報として検出する。
【0041】
通信部40は、測位部42から位置情報が入力され、生体センサ部44から生体情報が入力されると、位置情報及び生体情報を含むセンサ情報を、無線通信を介して携帯端末14へ送信する。
【0042】
<携帯端末14の構成>
携帯端末14は、例えば、スマートフォンであり、図6に示すように、通信部50、速度レベル受付部52、センサ情報取得部54、走行開始受付部56、及び表示部58を備えている。
【0043】
通信部50は、ウェアラブル機器12との間で、無線通信で信号の送受信を行う。また、通信部50は、ネットワーク24を介したデータの送受信を行う。
【0044】
速度レベル受付部52は、走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付ける。例えば、表示部58に、複数種類の走行速度レベルとして、ジョギングレベル(6km/h)、ランニングレベル(10km/h)、及び箱根駅伝レベル(20km/h)を表示し、何れか一つの選択を受け付ける。速度レベル受付部52は、選択された走行速度レベルを、通信部50に出力し、通信部50により、サーバ16へ送信する。
【0045】
センサ情報取得部54は、ウェアラブル機器12から受信したセンサ情報を取得する。センサ情報取得部54は、走者から予め設定された、当該走者の体温及び体重を取得する。センサ情報取得部54は、当該走者の体温及び体重を含めたセンサ情報を通信部50に出力し、通信部50により、サーバ16へ送信する。
【0046】
走行開始受付部56は、走者による走行開始を指示する操作を受け付けて、走者が走行を開始することを示す走行開始情報を、通信部50に出力し、通信部50により、サーバ16へ送信する。
【0047】
例えば、表示部58に、走行開始を指示するためのボタンを表示し、当該ボタンの押下操作を受け付ける。
【0048】
表示部58は、例えば、タッチパネルディスプレイからなり、走行速度レベルを選択するための選択画面や、走行開始を指示するためのボタンを含む走行開始指示画面を表示する。
【0049】
<サーバ16の構成>
サーバ16は、CPU、ROM、RAM、及びHDDを備えたコンピュータで構成されている。
【0050】
サーバ16は、機能的には次に示すように構成されている。図7に示すように、サーバ16は、通信部60、速度レベル取得部62、センサ情報取得部64、及び走行開始情報取得部66を備えている。
【0051】
通信部60は、ネットワーク24を介したデータの送受信を行う。
【0052】
速度レベル取得部62は、携帯端末14から受信した、選択された走行速度レベルを取得し、通信部60に出力し、通信部60により、制御装置18へ送信する。
【0053】
センサ情報取得部64は、携帯端末14から受信したセンサ情報を取得し、通信部60に出力し、通信部60により、制御装置18へ送信する。
【0054】
走行開始情報取得部66は、携帯端末14から受信した走行開始情報を取得し、通信部60に出力し、通信部60により、制御装置18へ送信する。
【0055】
<制御装置18の構成>
制御装置18は、CPU、ROM、RAM、及びHDDを備えたコンピュータで構成されている。
【0056】
制御装置18は、機能的には次に示すように構成されている。図8に示すように、制御装置18は、通信部70、選択受付部72、取得部74、走行速度決定部76、走行速度調整部78、及び飛行制御部80を備えている。
【0057】
通信部70は、ネットワーク24を介したデータの送受信を行う。
【0058】
選択受付部72は、サーバ16から受信した、選択された走行速度レベルを取得する。
【0059】
取得部74は、サーバ16から受信したセンサ情報から、走者の生体情報及び位置情報を取得する。
【0060】
取得部74は、気象情報サイトから、走者の現在位置を含むエリアに対応する気象情報を取得する。気象情報として、例えば、気温、湿度、風速、及び降水量に関する情報を含む。
【0061】
取得部74は、走者の生体情報から、体温、体重、発汗量、血圧、及び血糖値を取得し、走行記録として保存する。
【0062】
走行速度決定部76は、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、走者の目標走行速度として決定する。
【0063】
走行速度調整部78は、走行速度決定部76により決定された目標走行速度を、走者の生体情報、位置情報、及び気象情報に基づいて調整する。
【0064】
具体的には、走行速度調整部78は、生体情報が示す心拍数が上昇するほど、又は生体情報が示す最大酸素摂取量が低下するほど、走者の目標走行速度が低くなるように調整する。
【0065】
また、走行速度調整部78は、気象情報が示す気温が上昇するほど、気象情報が示す湿度が高いほど、気象情報が示す風速が大きいほど、又は気象情報が示す降水量が多いほど、走者の目標走行速度が低くなるように調整する。
【0066】
また、走行速度調整部78は、予め用意された、コースの各位置の勾配及び高度を含むコース情報に基づいて、取得した位置情報におけるコースの勾配又は高度を取得し、勾配が大きいほど、又は高度が高いほど、走者の目標走行速度が低くなるように調整する。
【0067】
また、走行速度調整部78は、取得した位置情報の時系列変化に基づいて、走者の現在の走行速度を算出し、決定された目標走行速度から、算出された走行速度を減算した差分が大きいほど、目標走行速度を低くするように調整する。
【0068】
飛行制御部80は、サーバ16から走行開始情報を受信すると、飛行体20を走行コースに沿って飛行させることを開始するように制御する。このとき、決定された目標走行速度で、予め定められた走行開始地点から走行コースに沿って飛行体20を飛行させるように制御する。また、飛行制御部80は、飛行体20の撮影部26により走者を撮影させるように飛行体20を制御する。飛行制御部80は、飛行体20から受信した、撮影部26により撮影した映像データをメモリ(図示省略)に格納する。また、飛行制御部80は、走行環境の明るさが足りない場合(例えば、日中以外の時間帯である場合)には、飛行体20の照明器具25により走者の前方に光を照射させるように飛行体20を制御する。
【0069】
また、飛行制御部80は、目標走行速度が調整された場合には、調整された目標走行速度で、走行コースに沿って飛行体20を飛行させるように制御する。
【0070】
<飛行制御システム10の作用>
次に、本発明の実施の形態に係る飛行制御システム10の作用について説明する。
【0071】
図9は、飛行制御システムのウェアラブル機器12、携帯端末14、サーバ16、及び制御装置18が行う処理を説明するシーケンス図である。
【0072】
まず、走者が腕にウェアラブル機器12を装着して、走行開始地点まで移動する。そして、走行開始地点に飛行体20を配置する。また、走行開始地点に表示されている2次元コード(例えばQRコード(登録商標))を、走者が携帯している携帯端末14で読み込むと、図9の処理が開始される。
【0073】
ステップS100において、携帯端末14の表示部58に、走行速度レベルを選択するための選択画面を表示する。そして、速度レベル受付部52が、走者による、複数種類の走行速度レベルのうちの何れか一つの選択を受け付け、選択された走行速度レベルを、通信部50に出力し、通信部50により、サーバ16へ送信する。
【0074】
ステップS102において、サーバ16の速度レベル取得部62が、携帯端末14から受信した、選択された走行速度レベルを取得し、通信部60に出力し、通信部60により、制御装置18へ送信する。
【0075】
ステップS104において、制御装置18の選択受付部72が、サーバ16から受信した、選択された走行速度レベルを取得する。走行速度決定部76が、選択された走行速度レベルに対応する走行速度を、走者の目標走行速度として決定する。
【0076】
ステップS106において、携帯端末14の表示部58に、走行開始を指示するためのボタンを含む走行開始指示画面を表示する。そして、走行開始受付部56が、走者による走行開始を指示する操作を受け付けて、走者が走行を開始することを示す走行開始情報を、通信部50に出力し、通信部50により、サーバ16へ送信する。
【0077】
ステップS108において、サーバ16の走行開始情報取得部66が、携帯端末14から受信した走行開始情報を取得し、通信部60に出力し、通信部60により、制御装置18へ送信する。
【0078】
ステップS110において、制御装置18の飛行制御部80が、サーバ16から走行開始情報を受信すると、走行開始地点から走行コースに沿って飛行体20を飛行させることを開始するように制御する。このとき、走行コースに沿って目標走行速度で飛行体20を飛行させるように制御する。また、飛行制御部80は、飛行体20の撮影部26により走者を撮影させるように飛行体20を制御する。また、飛行制御部80は、走行環境の明るさが足りない場合(例えば、日中以外の時間帯である場合)には、飛行体20の照明器具25により走者の前方に光を照射させるように飛行体20を制御する。
【0079】
ステップS112において、ウェアラブル機器12の測位部42が、GPSセンサを用いて現在位置を測定し、測定された現在位置を表す位置情報を通信部40に出力する。生体センサ部44が、走者の生体情報を検出し、通信部40に出力する。そして、通信部40が、位置情報及び生体情報を含むセンサ情報を、無線通信を介して携帯端末14へ送信する。
【0080】
ステップS114において、携帯端末14のセンサ情報取得部54が、ウェアラブル機器12から受信したセンサ情報を取得する。センサ情報取得部54が、走者から予め設定された、当該走者の体温及び体重を取得する。センサ情報取得部54が、当該走者の体温及び体重を含めたセンサ情報を通信部50に出力し、通信部50により、サーバ16へ送信する。
【0081】
ステップS116において、サーバ16のセンサ情報取得部64が、携帯端末14から受信したセンサ情報を取得し、通信部60に出力し、通信部60により、制御装置18へ送信する。
【0082】
ステップS118において、制御装置18の取得部74が、サーバ16から受信したセンサ情報から、走者の生体情報及び位置情報を取得する。取得部74が、気象情報サイトから、走者の現在位置を含むエリアに対応する気象情報を取得する。取得部74が、走者の生体情報から、体温、体重、発汗量、血圧、及び血糖値を取得し、走行記録として保存する。
【0083】
ステップS120において、制御装置18の走行速度調整部78が、走行速度決定部76により決定された目標走行速度を、走者の生体情報、位置情報、及び気象情報に基づいて調整する。これにより、飛行制御部80が、調整された目標走行速度で走行コースに沿って飛行体20を飛行させるように制御する。
【0084】
そして、上記ステップS112~S120の処理を繰り返す。
【0085】
走者は、走行コースに沿って飛行する飛行体20を追いかけるように走ることで、設定した走行速度レベルでのトレーニングが可能となると共に、適切に調整された目標走行速度で走行することができる。
【0086】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る飛行制御システムによれば、制御装置によって、走者の生体情報、位置情報、及び気象情報を取得し、生体情報、位置情報、及び気象情報に基づいて、走者の目標走行速度を決定し、目標走行速度に応じて、走者が走るコースに沿って飛行体を飛行させるように制御する。これにより、適切な目標走行速度に従って、コースに沿って飛行体を飛行させることができる。
【0087】
走者にとって自分の走行速度レベルに応じたペースで走ることが大切である。特にランニング初心者はペースを維持して走ることが難しいため、無理なペース設定により挫折してしまったり、走りすぎることで怪我にもつながってしまう恐れがある。そこで、本実施の形態では、飛行体に走行コースの情報を予め登録し、走者の希望するペースに合わせて飛行体を飛行させ、さらには、走者の生体情報等(心拍数、体温など)を取得することで、リアルタイムで走者に必要な情報をフィードバックすることが可能となり、効率的なトレーニングメニューの作成や熱中症対策にも繋がる。
【0088】
また、気温が高い日は普段より目標走行速度を落とす、気温が低い日は普段より目標走行速度を上げる等調整を行うことができる。さらに、向かい風の風速が大きい時や足元の悪い雨天時には目標走行速度を下げるなどの調整を行うことができる。
【0089】
また、心拍数が増加したり最大酸素摂取量が低下し始めたら目標走行速度を下げるように調整を行うことができる。
【0090】
なお、上記の実施の形態において、飛行体の撮影部により撮影した走者の映像データから、カメラでランニングフォームを解析してもよい。飛行体の撮影部により撮影した走者の映像データから、障害物を検知して、衝突回避のための飛行制御を行うようにしてもよい。
【0091】
また、飛行体は、音声出力部を備え、制御装置は、走者の生体情報、位置情報、又は気象情報に基づいて音声出力メッセージを選択し、選択された音声出力メッセージを出力するように飛行体の音声出力部を制御するようにしてもよい。例えば、生体情報が示す心拍数が上昇した場合、又は生体情報が示す最大酸素摂取量が低下した場合に、「もう少しゆっくり走ろう」という音声出力メッセージを選択し、当該音声出力メッセージを出力するように音声出力部を制御してもよい。また、音声出力部は、走者が装着したBluetooth(登録商標)イヤホンを通じて、音声出力するようにしてもよい。
【0092】
また、上述したランニングフォームの解析結果を示す音声出力メッセージを出力するようにしてもよい。これにより、ランニングのコーチングが可能となる。
【0093】
また、飛行体の照明器具を点滅させるようにし、その点滅の間隔を制御することにより、走者のペースの上げ下げを指示するメッセージを報知するようにしてもよい。
【0094】
また、走行速度レベルを1つ選択する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、走行速度レベルが変化するように設定してもよい。例えば、走行開始から5分経過するまで、ジョギングレベル(6km/h)とし、5分から10分経過するまで、ランニングレベル(10km/h)とし、10分から15分経過するまで、箱根駅伝レベル(20km/h)としてもよい。
【0095】
また、ウェアラブル機器が、腕に装着するタイプである場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、腕以外の部位に装着するタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 飛行制御システム
12 ウェアラブル機器
14 携帯端末
16 サーバ
18 制御装置
20 飛行体
24 ネットワーク
25 照明器具
26 撮影部
30 飛行制御装置
42 測位部
44 生体センサ部
52 速度レベル受付部
54 センサ情報取得部
56 走行開始受付部
58 表示部
62 速度レベル取得部
64 センサ情報取得部
66 走行開始情報取得部
76 走行速度決定部
78 走行速度調整部
80 飛行制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9