(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179169
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】エスカレータ
(51)【国際特許分類】
B66B 29/08 20060101AFI20221125BHJP
B66B 23/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B66B29/08 Z
B66B23/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086459
(22)【出願日】2021-05-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【弁理士】
【氏名又は名称】森 優
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】田平 尚己
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321CD14
3F321DA05
3F321GA35
3F321HA00
(57)【要約】
【課題】乗客の感覚に依拠せず、乗り込んだ乗客の前後の間隔が空くよう乗客を誘導することが可能なエスカレータを提供する。
【解決手段】無端状に連結され循環走行する複数の踏段12を有し、乗り口に進入した乗客が、コム58から繰り出され水平に走行する踏段12に移乗することにより利用されるエスカレータ10において、前記進入方向におけるコム58手前の前記乗り口に設置され、踏段12の水平走行速度よりも遅い搬送速度で前記乗客を搬送する無端搬送体である搬送ベルト76を含み、当該乗客を踏段12への移乗位置へと搬送するコンベア装置60設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結され循環走行する複数の踏段を有し、乗り口に進入した乗客が、コムから繰り出され水平に走行する踏段に移乗することにより利用されるエスカレータであって、
前記進入方向における前記コム手前の前記乗り口に設置され、前記踏段の水平走行速度よりも遅い搬送速度で前記乗客を搬送する無端搬送体を含み、当該乗客を前記踏段への移乗位置に向かって搬送するコンベア装置を備えたことを特徴とするエスカレータ。
【請求項2】
前記搬送速度が前記水平走行速度の少なくとも半分以下であることを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ。
【請求項3】
前記無端搬送体の搬送面には、前記乗客の立ち位置を示す複数個のマークが前記進入方向に所定間隔を空けて施されており、当該マークの各々が循環走行することを特徴とする請求項1または2に記載のエスカレータ。
【請求項4】
前記所定間隔は、前記マークの中心間間隔が、隣接する踏段の走行方向における中心間間隔とほぼ同じになる間隔であり、
前記搬送速度をVp、前記水平走行速度をVsとすると、前記Vpが、
Vp=Vs×{1/(N+1)}
の速さに設定されている(Nは、1、2、または3のいずれかの値)ことを特徴とする請求項3に記載のエスカレータ。
【請求項5】
前記循環走行する前記マークが当該マーク位置に立って搬送される乗客の前記無端搬送体からの降り位置に来るタイミングと、前記コムから繰り出された前記踏段が前記移乗位置に来るタイミングとの同期を計る同期制御手段を有することを特徴とする請求項3または4に記載のエスカレータ。
【請求項6】
前記乗客が前記無端搬送体上を歩行していることを検知する歩行検出手段と、
前記歩行検出手段が前記乗客の前記無端搬送体上の歩行を検出すると、前記無端搬送体上を歩かないよう報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のエスカレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータに関し、特に、踏段で搬送される乗客の前後の間隔が密にならないように、乗り口で乗客を誘導する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータは、乗り口に進入した乗客が、コム(くし板)から繰り出される踏段に乗り移る(移乗する)ことにより利用される。
【0003】
ところで、近年広まった感染症の対策として、あらゆる場面で、いわゆる「三密」(密集、密接、密閉)を避けた行動をすることが求められている。エスカレータを利用する場合も例外ではなく、前後に間隔を空けて踏段に移乗することで密接を回避することが推奨されている。
【0004】
上記密接を回避する目的とは異なるものの、乗客に、前後の間隔を空けるよう誘導し得るエスカレータが特許文献1に開示されている。特許文献1に記載のエスカレータ(以下、「従来のエスカレータ」と称する。)は、ステップ(踏段)上面の踏板にマーク中心を有するステップと、踏板にマーク境界を有するステップとを備え、複数枚の前記踏板によって一つのマークを表示させて、マーク中心を有する踏板を持つステップに乗客を誘導して搭乗させる構成とされている(特許文献1の請求項1)。すなわち、従来のエスカレータは、乗客が傾斜型乗客コンベア(エスカレータ)に乗り込む際に、乗客の足を乗せる部分を誘導することができるように、ステップ上面の踏板に複数枚で一つの模様となるマークを表示した構成を有している(特許文献1の段落[0017])。
【0005】
そして、『複数枚に一枚だけがマーク中心となるような表示方法とすると、多くの乗客がマーク中心を目指して足を乗せることが期待できるため、複数枚に一枚の特定のステップのみに乗客が集中することになり、結果的に傾斜型乗客コンベア全体の混雑を軽減する効果を期待できる。』とされている(特許文献1の段落[0018])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の上記『複数枚の踏段によって一つのマークを表示させる』構成とした場合、平面視(特許文献1の
図2)ではともかく、実際、エスカレータに乗り込む乗客は、複数枚の踏段が階段状を成した状態で視認することとなるため、一つのマークと認識するかどうかは、人それぞれの感覚に頼ることとなる。
【0008】
また、一つのマークと認識できたとしても、そのマークの中心に乗り込むか、マークの境界に乗り込むかは、これも人それぞれの感覚によるものと考えられる。よって、従来のエスカレータでは、多くの乗客がマーク中心を目指して足を乗せることはあまり期待できないため、傾斜型乗客コンベア(エスカレータ)全体の混雑を軽減する効果も限られたものとなるように思われる。
【0009】
本発明は、上記した課題に鑑み、乗客の感覚に依拠せず、乗客の前後の間隔が空くよう乗客を誘導することが可能なエスカレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明に係るエスカレータは、無端状に連結され循環走行する複数の踏段を有し、乗り口に進入した乗客が、コムから繰り出され水平に走行する踏段に移乗することにより利用されるエスカレータであって、前記進入方向における前記コム手前の前記乗り口に設置され、前記踏段の水平走行速度よりも遅い搬送速度で前記乗客を搬送する無端搬送体を含み、当該乗客を前記踏段への移乗位置に向かって搬送するコンベア装置を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記搬送速度が前記水平走行速度の少なくとも半分以下であることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記無端搬送体の搬送面には、前記乗客の立ち位置を示す複数個のマークが前記進入方向に所定間隔を空けて施されており、当該マークの各々が循環走行することを特徴とする。
【0013】
この場合に、前記所定間隔は、前記マークの中心間間隔が、隣接する踏段の走行方向における中心間間隔とほぼ同じになる間隔であり、前記搬送速度をVp、前記水平走行速度をVsとすると、前記Vpが、Vp=Vs×{1/(N+1)}の速さに設定されている(Nは、1、2、または3のいずれかの値)ことを特徴とする。
【0014】
また、前記循環走行する前記マークが当該マーク位置に立って搬送される乗客の前記無端搬送体からの降り位置に来るタイミングと、前記コムから繰り出された前記踏段が前記移乗位置に来るタイミングとの同期を計る同期制御手段を有することを特徴とする。
【0015】
さらに、前記乗客が前記無端搬送体上を歩行していることを検知する歩行検出手段と、前記歩行検出手段が前記乗客の前記無端搬送体上の歩行を検出すると、前記無端搬送体上を歩かないよう報知する報知手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成を有する本発明に係るエスカレータによれば、乗り口に進入した乗客が、上記踏段の水平走行速度よりも遅い搬送速度で前記踏段への移乗位置に向かって搬送されて、当該踏段に移乗することとなる。
【0017】
これにより、乗り口において、従来、前後にあまり間隔を空けず列を成した乗客が踏段の水平走行速度とほぼ等しい速度で乗り口を歩行して、踏段に次々に移乗して踏段上における間隔を空けずに乗客が搬送される状態を可能な限り防止できる。すなわち、本発明によれば、乗客は上記搬送装置に乗るだけなので乗客の感覚に依拠することなく、可能な限り、踏段へ移乗した乗客の前後の間隔が空くよう乗客を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係るエスカレータの概略構成を示す平面図である。
【
図2】(a)は、上記エスカレータにおける各種内部機構が現れるよう、一部を切断して表した側面図であり、(b)は、踏段の拡大図である。
【
図3】
図2(a)に示すエスカレータの下部機械室およびその周辺を拡大した側面断面図である。
【
図4】上記エスカレータが備える制御装置の概略構成を示す図である。
【
図5】実施形態2に係るエスカレータの乗り口およびその近傍を拡大した平面図である。
【
図6】(a)は、実施形態3に係るエスカレータの下部機械室およびその周辺を拡大した側面断面図であり、(b)は同エスカレータの踏段の拡大図である。
【
図7】実施形態3に係るエスカレータの乗り口およびその近傍を拡大した、一部切欠き平面図である。
【
図8】上段および下段に実施形態3に係るエスカレータの有する光電センサからの検出信号を、中段に上段の検出信号が分周された分周後の検出信号(分周信号)をそれぞれ示した図である。
【
図9】(a)は、実施形態3に係るエスカレータが備える制御装置の概略構成を、(b)は、当該制御装置の有する位相同期制御部の機能ブロック図をそれぞれ示している。
【
図10】コンベア装置の搬送ベルトに施されたマークの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るエスカレータを実施形態に基づき、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るエスカレータ10の概略構成を示す平面図であり、
図2(a)は、エスカレータ10の各種内部機構が現れるよう、一部を切断して表した側面図である。
図2(b)は、エスカレータ10の構成要素である踏段12の拡大図である。
【0020】
エスカレータ10は、建築物の階上USと階下DSに掛け渡されていて、乗客を乗り口側から降り口側へと搬送する。エスカレータ10は、無端状に連結されて循環走行する無端搬送体である複数の踏段12を有する。なお、
図2(a)において、エスカレータ10上部における踏段12の図示は省略している。
【0021】
踏段12の走行路および上下の乗降口を含む通路PWの両側には、当該通路PWに沿って一対の欄干14が立設されている。欄干14の各々には、その上部に案内され踏段12の走行と同期して移動する移動手摺16がそれぞれ設けられている。
【0022】
次に、踏段12の駆動機構について、
図2を参照しながら説明する。エスカレータ10は、上部機械室18に設置された駆動装置20を有する。
【0023】
駆動装置20は正転および逆転運転が可能なモータ22を有する。モータ22の動力は、減速機を介して出力軸(いずれも不図示)に伝達される。そして、当該出力軸に軸支された駆動スプロケット24が回転駆動される。駆動装置20は、また、駆動スプロケット24よりも大きなピッチ円を有する従動スプロケット26を有し、従動スプロケット26はシャフト28に軸支されて、回転自在に設けられている。駆動スプロケット24と従動スプロケット26には、無端チェーンであるローラチェーン30が巻掛けられている。シャフト28には、同軸上に主踏段スプロケット32が固定されている。
【0024】
一方、下部機械室34には、シャフト36に軸支された従踏段スプロケット38が設けられている。主踏段スプロケット32と従踏段スプロケット38間には、踏段チェーン40が巻き掛けられている。踏段チェーン40には、環状に連結された無端搬送体である複数の踏段12が取り付けられている。踏段チェーン40は、主踏段スプロケット32と従踏段スプロケット38の間においては、後述する第1ガイドレール(不図示)によって案内されている。
【0025】
上記の構成からなるエスカレータ10において、モータ22が起動されると、その回転動力が、前記減速機(不図示)、前記出力軸(不図示)を介して伝達され、駆動スプロケット24が回転駆動される。駆動スプロケット24が回転されると、駆動スプロケット24と従動スプロケット26に巻掛けられているローラチェーン30が周回走行して、駆動スプロケット24からの回転動力が従動スプロケット26に伝達される。
【0026】
従動スプロケット26が回転されると、従動スプロケット26と同軸上(シャフト28上)に設けられた主踏段スプロケット32が回転される。これにより、主踏段スプロケット32と従踏段スプロケット38に巻掛けられた踏段チェーン40が前記第1ガイドレール(不図示)に案内されて周回走行し、これに伴って、環状に連結された複数の踏段12が、
図2(a)に示すような経路をとって循環走行される。
【0027】
踏段12は、
図2(b)に示すように、主枠となるフレーム42に、長方形をした踏板44とライザ46を取り付けた構成を有している。踏段12は、踏板44の前記長方形の長辺(踏段12の走行方向の端縁)が踏段12の走行方向と直交している。フレーム42には、また、ステップ軸48とステップ軸50が軸支されている。
【0028】
ステップ軸48は、踏段チェーン40に取り付けられている。ステップ軸48の両端部には、駆動ローラ52がそれぞれ回転自在に設けられていて(図には、一方の駆動ローラ52のみが現れている)、一対の駆動ローラ52の各々が、それぞれに対応して敷設された第1ガイドレール(不図示)に案内される。
【0029】
ステップ軸50は、ステップ軸48よりも短く、その両端部には従動ローラ54がそれぞれ回転自在に設けられている(図には、一方の従動ローラ54のみが現れている)。一対の従動ローラ54の各々は、それぞれに対応して敷設された第2ガイドレール(不図示)に案内される。
【0030】
上記構成を有するエスカレータ10は、モータ22の回転方向を正転と逆転とに切り換えることで、昇り用としても降り用としても用いられるのであるが、本例では、エスカレータ10を昇り用として使用する場合、すなわち、階下DS側が乗り口となる場合を例に説明する。
【0031】
エスカレータ10の乗り口には、コム(くし板)56およびコム56に隣接するフロアプレート58が設けられている。循環走行する複数の踏段12は、コム56から次々と水平方向に繰り出される。エスカレータ10は、乗り口に進入した乗客が、コム56から繰り出され、水平に走行する踏段12に乗り移る(移乗する)ことにより利用される。
【0032】
フロアプレート58には、乗り口において乗客を所定の速度で搬送し、踏板12へと誘導するコンベア式搬送装置60(以下、「コンベア装置60」と言う)が設置されている。なお、降り口にも、コム(くし板)62およびコム62に隣接してフロアプレート64が設けられており、フロアプレート64には、階上US側が乗り口となる場合に使用されるコンベア式搬送装置66(以下、「コンベア装置66」と言う)が設置されている。
【0033】
コンベア装置60とコンベア装置66は、基本的に同じものである。コンベア装置は、乗り口側となるものが使用され、降り口側となるものは使用されないため、本例では、コンベア装置60を代表に説明し、コンベア装置66については必要に応じ言及するに止める。
【0034】
図3に、コンベア装置60が設置された乗り口およびその近傍を拡大した側面断面図を示す。ここで、コンベア装置60の説明に際し、
図1において、左右方向(踏段12の走行方向)を横方向、上下方向(踏段12の走行方向と直交する方向)を縦方向とする。
【0035】
図3に示すように、コンベア装置60は、従動ローラ68、テンションローラ70、72、および横方向に間隔を空けて列設された複数本のサポートローラ74を有する。これらローラの各々は、その軸心が縦方向に平行になるよう設けられている。
【0036】
従動ローラ68、テンションローラ70、72、およびサポートローラ74には、
図3に示すように、無端搬送体である搬送ベルト76が巻き掛けられている。搬送ベルト76はゴム製である。テンションローラ70とテンションローラ72は、相対的に近づく向きに搬送ベルト76を引っ張っていて、搬送ベルト76が弛まないよう、搬送ベルト76に張力を与えている。
【0037】
コンベア装置60は、また、搬送ベルト76の駆動源としてモータ78を有している。モータ78の出力軸80には駆動ローラ82が軸支されている。従動ローラ68に同軸上に設けられた入力軸84と駆動ローラ82との間には、駆動ベルト86が張架されている。
【0038】
上記の構成を有するコンベア装置60によれば、モータ78を正転させて、出力軸80ひいては駆動ローラ82を矢印Aの向きに回転させれば、駆動ローラ82に巻き掛けられた駆動ベルト86が矢印の向きに走行する。これに伴い、駆動ベルト86が巻き掛けられた入力軸84ひいては従動ローラ68が矢印Bの向きに回転する。そして、従動ローラ68に巻き掛けられた搬送ベルト76が矢印の向きに走行することとなる。
【0039】
走行する搬送ベルト76の搬送面76aに乗客が乗ると、搬送ベルト76は、当該乗客をコム56に向かって、ひいては、踏段12への移乗位置に向かって搬送する。なお、フロアプレート58には、方形の窓が開設されており、コンベア装置60は前記窓から搬送面76aが露出するよう、下部機械室34に設置されている。搬送面76aとフロアプレート58の上面とは面一(つらいち)になっている。
【0040】
また、コンベア装置60は、搬送面76aに乗って搬送された乗客が搬送ベルト76から降りる位置とコム56から繰り出される踏段12に移乗する位置との間の距離が平均的な歩幅(例えば、70cm)程度となるような位置に設置されている。すなわち、搬送ベルト76から踏段12へ、一歩で移乗できるように、搬送ベルト76の位置が決められている。
【0041】
もう一方のコンベア装置66も、コンベア装置60と同様、搬送ベルト88と搬送ベルト88の駆動源であるモータ90とを有し、フロアプレート64に開設された窓から搬送ベルト88の搬送面88aが露出するように、上部機械室18に設置されている。また、搬送ベルト88と踏段12との位置関係も、コンベア装置60と同様である。
【0042】
モータ78、90の回転を制御して、搬送ベルト76、88の走行速度、すなわち、搬送ベルト76、88による乗客の搬送速度を制御する搬送制御部92、94を含む制御装置96が上部機械室(
図2(a))に設置されている。
図4に、制御装置96の概略構成を示す。
【0043】
制御装置96は、CPU98を中心として、これにROM100、RAM102、運転制御部104、および搬送制御部92、94が接続された構成を有している。
【0044】
運転制御部104は、CPU98の指示に従い、モータ22の回転速度を制御することにより、踏段の走行速度制御、すなわち運転速度制御を行う。
【0045】
搬送制御部92、94は、CPU98の指示に従い、上述した通り、モータ78、90の回転速度を制御することにより、搬送ベルト76、88の走行速度、すなわち、搬送ベルト76、88による乗客の搬送速度をそれぞれ制御する
【0046】
ROM100は、CPU98が実行するプログラムを格納している。RAM102は、CPU98が前記プログラムを実行する際のワークエリアとなる。
【0047】
続いて、搬送制御部92によって制御される搬送ベルト76の搬送速度について説明する。前記搬送速度は、コム56から繰り出され水平方向に走行する踏段12の水平走行速度との関係で規定される。本件発明で課題としているのは、乗り口が混雑している中において、乗客が踏段12に間を空けずに次々に乗り込み、踏段12による搬送中の乗客に「密」の状態が発生する点にある。
【0048】
乗客が踏段12に間を空けずに次々に乗り込む状態と言うのは、乗り口において、前後にあまり間隔を空けず列を成した乗客が踏段12の水平走行速度とほぼ等しい速度で乗り口を歩行(移動)して、踏段12に乗り込む状態である(以下、この状態を「連続乗車状態」と称する)。
【0049】
上記の乗り込み状態を回避するため、搬送速度を踏段12の水平走行速度よりも遅い速度に設定している。すなわち、乗り口において、踏段12の水平走行速度よりも遅い搬送速度(移動速度)で乗客を搬送する(移動させる)こととした。
【0050】
このようにすることで、ある乗客(第1の乗客)が搬送ベルト76から踏段12に移乗した後、次の乗客(第2の乗客)が搬送ベルトから踏段12に移乗するまでの時間間隔が連続乗車状態の場合よりも長くなる。その結果、第2の乗客は、第1の乗客が移乗した踏段12に隣接する次の踏段12に移乗することができなくなるため、第1の乗客から少なくとも1段飛ばしで踏段12に移乗することとなり、連続乗車状態の場合よりも搬送される乗客の前後の間隔が広くなる。
【0051】
混雑時に、乗り口において乗客は、走行方向に隣接する踏段12に連続して乗ったとした場合の間隔P(人の中心間間隔)を空け、列をなして歩行することが観察される(間隔Pについては、
図1参照)。このため、確実に1段以上飛ばして、乗客が踏段12に移乗するよう誘導するには、搬送速度は踏段12の水平走行速度の少なくとも半分(1/2)以下であることが好ましい。
【0052】
また、2段以上飛ばして、乗客が踏段12に移乗するよう誘導するには、搬送速度は踏段12の水平走行速度の少なくとも1/3以下であることが好ましい。
【0053】
すなわち、N段以上飛ばして、乗客が踏段12に移乗するよう誘導するには、搬送速度は踏段12の水平走行速度の少なくとも1/(N+1)以下に設定される(Nは1以上の整数)。
<実施形態2>
実施形態1では、混雑時に、乗り口において乗客は、進行方向に隣接する踏段12に連続して乗ったとした場合の間隔P(人の中心間間隔)を空け(
図1)、列をなして歩行することが観察されるとの前提の下、搬送速度を設定した。
【0054】
実施形態2では、搬送速度(移動速度)に加え、搬送ベルト上(乗り口)における乗客の前後の間隔も規定することとした。
図5に、実施形態2に係るエスカレータ200の乗り口およびその近傍を拡大した平面図を示す。
【0055】
実施形態2のエスカレータ200は、実施形態1のエスカレータ10とは、コンベア装置の搬送ベルトの構成が異なる以外は、基本的に同じ構成を有している。よって、エスカレータ200において、エスカレータ10と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明については適宜言及するに止める。
【0056】
図5に示すように、コンベア装置202の有する無端搬送体である搬送ベルト204の搬送面204aには、靴底をかたどったマークM1が複数個、施されている。複数個のマークM1は、2列を成し、搬送面204aの1周に亘り、その周方向に等間隔で施されている。搬送ベルト204の搬送面204aにマークM1が施されている以外、エスカレータ200は、エスカレータ10と同じ構成である。エスカレータ200において、階上に設置されたコンベア装置を構成する搬送ベルトの搬送面にもマークM1が同様に施されているのであるが、その図示および説明については省略する。
【0057】
マークM1は、乗客の立ち位置示す目印である。すなわち、乗り口に進入した乗客は、マークM1上に立った状態で、コンベア装置202により、踏段12への移乗位置へ搬送される。
【0058】
各列におけるマークM1の前記周方向(乗り口における乗客の進入方向と一致)における中心間間隔Dpは、隣接する踏段12の走行方向における中心間間隔Dsとほぼ等しく設定している(Dp≒Ds)。
【0059】
ここで、コンベア装置202による乗客の搬送速度をVp、踏段12の水平走行速度をVsとする。実施形態1でも説明した通り、搬送速度Vpは、
Vp=Vs×{1/(N+1)}
の速さに設定される(Nは、1以上の整数)。
【0060】
すなわち、マークM1上に立って搬送される乗客を、(i)N=1に設定した場合は、1段飛ばしで、(ii)N=2に設定した場合は、2段飛ばしで、(iii)N=3に設定したときは、3段飛ばしで、(iv)N=4に設定したときは、4段飛ばしで、(v)N=5に設定したときは、5段飛ばしで、…、それぞれ、踏段12に移乗するよう誘導することができる。
【0061】
ここで、搬送される乗客の前後の間隔を、踏段の数で表すものとして「N」を「間隔段数」と称することとする。
【0062】
しかしながら、踏段12で搬送される乗客の間隔を広く取れば取るほど、混雑時におけるエスカレータ200の運行効率の低下を招くことになるし、感染対策上も過剰な対応になると思われる(感染対策上、乗客間の間隔は、概ね3段程度空ければよいとされている。)。そこで、運行効率と感染対策のバランスを勘案すると、間隔段数Nは、1、2、または3のいずれか一の値に設定することが好ましい。すなわち、当該バランス内で、運行効率寄りに重点を置く場合は、N=1に設定し、感染対策寄りに重点を置く場合は、N=3に設定することが好ましい。
【0063】
実施形態1でも説明したが、Vp<Vsであれば、乗客を1段飛ばしで踏段12に移乗させるような誘導になるが、搬送速度VpをN=1に設定すると、すなわち、Vp=Vs/2とすると、一層確実に、乗客を1段飛ばしで踏段12に移乗するよう誘導することができるのである。
【0064】
以上、実施形態2によれば、実施形態1と比較して、乗り口における乗客の前後の間隔も誘導するようにしたため、実施形態1よりも、一層確実に、踏段で搬送される乗客の混雑を緩和することができる。
【0065】
なお、実施形態2では、乗り口における乗客の間隔Dpを踏段12の中心間間隔Dsとほぼ等しく設定しているが、乗り口における1列の人数は3~4人程度であり、かつ乗り口を通過する時間も短時間であることから、感染対策上は問題にならないと考えられる。
【0066】
<実施形態3>
実施形態3では、実施形態2に対し、周回走行する搬送ベルト204の搬送面204aのマークM1の各々が、乗客の搬送ベルト204からの降り位置に来るタイミングと、コム56から繰り出された踏段12が乗客の移乗位置に来るタイミングとの同期が計られる工夫がなされている。
【0067】
図6(a)に、実施形態3に係るエスカレータ300の下部機械室およびその周辺を拡大した側面断面図を、
図6(b)にエスカレータ300の踏段の拡大図を、
図7に、エスカレータ300の乗り口およびその近傍を拡大した、一部切欠き平面図を、それぞれ示す。
【0068】
実施形態3のエスカレータ300は、実施形態2のエスカレータ200とは、コンベア装置の搬送速度制御に関わる構成が異なる以外は、基本的に同じ構成を有している。よって、エスカレータ300において、エスカレータ200と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明については適宜言及するに止める。
【0069】
コンベア装置302において、搬送ベルト204の内周面204bには、周方向に等間隔Dpで、複数枚の反射シール306が貼付されている(間隔Dpは
図5を参照)。これにより反射面が複数個所に形成されている。なお、当該反射面の各々は、反射シール306に限らず、金属材料の蒸着によって形成しても構わない。
【0070】
反射シール306の各々は、搬送面204aに施されたマークM1の各々に対応させて貼付されている。すなわち、反射シール306の各々は、搬送ベルト204の周方向におけるマークM1各々の中心位置と合致する位置に貼付されている(換言すれば、反射シール306の各々は、搬送ベルト204の幅方向、マークM1各々の真横に貼付されている。)。
【0071】
搬送ベルト204の内周側には、反射シール306を検出する反射形の光電センサ308が設けられている。光電センサ308は、周回走行するマークM1が搬送ベルト204からの乗客の降り位置に在ることを検出する位置に設置されている。
【0072】
また、踏段12各々のライザ46の側面には、反射板310が貼付されている。循環走行する踏段12の側方には、反射板310を検出する反射形の光電センサ312が設けられている。光電センサ312は、循環走行する踏段12が、コム56から繰り出され、乗客が搬送ベルト76から移乗する位置に在ることを検出する位置に設置されている。
【0073】
複数の反射シール306のいずれかが、光電センサ308の検出位置を通過するときに光電センサ308から出力される検出信号、および、複数の反射板310のいずれかが、光電センサ312の検出位置を通過するときに光電センサ312から出力される検出信号について、
図8を参照しながら説明する。
【0074】
図8の上段は、光電センサ312からの検出信号を、下段は光電センサ308からの検出信号をそれぞれ示している。中段に示す信号については後述する。
【0075】
光電センサ312が反射板310を検出すると検出信号は、OFF信号からON信号に切り換わり、検出されなくなるとON信号からOFF信号に切り換わる(
図8上段)。また、光電センサ308が反射シール306を検出すると検出信号は、OFF信号からON信号に切り換わり、検出されなくなるとON信号からOFF信号に切り換わる(
図8下段)。ここで、光電センサ308、312からの検出信号がONからOFFに切り換わるところを「オンエッジ」、OFFからONに切り換わるところを「オフエッジ」と称することとする。
【0076】
上記検出信号に基いて、コンベア装置302における搬送ベルト204の搬送速度(モータ78の回転数)等を制御する位相同期制御部318を含む制御装置314が上部機械室(不図示)に設置されている。
図9(a)に制御装置314の概略構成を、
図9(b)に位相同期制御部318の機能ブロック図を、それぞれ示す。なお、
図9において、階上側に設置されているコンベア装置(不図示)の制御に関わる構成の図示は省略している。
【0077】
位相同期制御部318は、間隔段数受付部320、記憶部322、分周部324、位相比較部326、および速度制御部328を含む。
【0078】
間隔段数受付部320は、外部装置(不図示)から間隔段数「N」を受け付ける。なお、外部装置には、例えば、制御装置314に接続したパソコン(不図示)などが用いられる。間隔段数受付部320は、受け付けた「N」から(N+1)を演算し、当該演算結果を分周比xとして記憶部322に記憶させる。すなわち、x=N+1である。
【0079】
記憶部322は、分周比「x」を記憶する。以下、一例として、N=1、x=2として説明する。なお、既述した通り、間隔段数Nは、1、2、または3の何れか一の値に設定することが好ましい。
【0080】
分周部324は、記憶部322に記憶されている分周比x、を参照し、光電センサ312から出力される信号(
図8上段)を分周比x(本例では、x=2)で分周する。分周後の検出信号(以下、「分周信号」と称する)を
図8中段に示す。分周部324は、分周信号を位相比較部326へ出力する。
【0081】
位相比較部326は、分周部324から入力される分周信号と光電センサ308から入力される検出信号との位相差ΔPに比例した誤差信号(不図示)を速度制御部328に出力する。
【0082】
速度制御部328は、位相比較部326から入力される誤差信号が低減されるよう速度指令信号を搬送制御部316へ出力する。
【0083】
搬送制御部316は、速度制御部328から入力される速度指令信号に従い、モータ78の回転速度を制御することにより搬送ベルト204の走行速度を制御する。なお、上述した、分周部324、位相比較部326、速度制御部328で行われる制御は、一般的な位相同期制御(PLL制御)によるものである。
【0084】
上記位相同期制御により、分周信号と光電センサ308からの検出信号との位相差ΔPが解消または低減された形で、搬送ベルト204が走行されることとなる。これにより、光電センサ312の検出領域を反射板310が通過するタイミング、すなわち、踏段12が移乗位置に来るタイミングと、光電センサ308の検出領域を反射シール306が通過するタイミング、すなわち、マークM1が搬送ベルト204からの降り位置に来るタイミングの同期が図られることとなる。本例の場合は、コム56から繰り出される踏段12が2段毎に移乗位置に来るタイミングに、マークM1が降り位置に来るタイミングが合うこととなる。
【0085】
このため、マークM1上に立って搬送された乗客は、1段置きに踏段12に移乗することとなり、その結果、エスカレータ300で搬送される乗客の前後には、踏段1段分の間隔が空くことになる。しかも、周回走行する搬送ベルト204の搬送面204aのマークM1の各々が、乗客の降り位置に来るときに、コム56から繰り出される踏段12が乗客の移乗位置まで繰り出されるため、乗客が搬送ベルト204から踏段12へ移乗するタイミングを計り易くなる。
【0086】
<実施形態4>
上述した通り、実施形態1~3のコンベア装置60、66、202、302によれば、乗客が前後に適度に間隔を空けて踏段12に移乗することとなるが、それには、搬送ベルト76、88、204上を乗客が歩かず、立ったまま搬送速度で搬送されることが前提となる。
【0087】
しかしながら、コンベア装置を設けている目的等が理解されていない等、搬送ベルト上を歩行する乗客が出現することが想定される。そこで、実施形態4では、実施形態1~3に対し、さらに、搬送ベルト上を乗客が歩行していることを検知する歩行検知手段(不図示)を設け、当該歩行検知手段により搬送ベルト上を乗客が歩行していることが認められると、「搬送ベルト上は歩かないで下さい」といった旨の注意を音声で報知したり、ブザーで報知したりする報知手段を設けることとした。
【0088】
コンベア上を乗客が歩行していることを検知する歩行検知手段は、例えば、特開2020-097457号公報や特開2015-113211号公報等に記載されている公知の技術を用いることができる。
【0089】
また、報知手段としては、乗り口およびその近傍で乗客がアナウンスを聞き取れる位置にスピーカ(不図示)を設置し、当該スピーカを制御装置96、314に接続して、音声の出力制御を行う構成とすることや、同位置にブザーを設置して、警報を鳴らす構成とすることができる。
【0090】
以上、本発明に係るエスカレータを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下の形態としても構わない。
【0091】
(1)実施形態2、3において、マークM1は、靴底かたどったマークしたが(
図5、
図7)、これに限らず、例えば、足の裏をかたどったマークとしても、コム56、62の方向を指す矢印をかたどったマークとしても構わない。
【0092】
(2)上記実施形態でコンベア装置は、乗り口側のもののみを用いることとしたが、降り口側のコンベア装置も用いることとしても構わない。そして、降り口側に設置されたコンベア装置は、搬送ベルト上の乗客が降り口のコムから遠ざかる向きに搬送されるよう搬送ベルトを走行させる。降り口側に設置されたコンベア装置の搬送速度を踏段の走行速度と同等か少し速めに設定する。このようにすることで、踏段から降りた乗客が素早く移動されることとなり、降り口およびその近傍における混雑を緩和することができる。
【0093】
この場合、実施形態2、3では、靴底をかたどったマークM1に対し逆向きに搬送ベルトに乗ることとなり違和感を覚えてしまう。そこで、マークM1は、
図10(a)、
図10(b)に示す変形例に係るエスカレータように、搬送ベルト204の走行方向に対し方向性を有しないマークM2とすることが好ましい。
図10(a)は、当該変形例に係るエスカレータの階下DS側の乗降口およびその周辺を示す平面図であり、
図10(b)は、階上US側の乗降口およびその周辺を示す平面図である。
【0094】
(3)また、上記実施形態、変形例の例では、複数個のマークM1、M2は2列の構成としたが、これに限らず
図10(c)に示すように1列としても構わない(
図10(c)は、マークM2の場合を例示)。1列とする場合は、踏段12の走行方向と直交する方向の中央位置にマーク表示M1、M2を並べることとする。乗客が2列で乗り口に並ぶ場合は、マークM1、M2を挟んだ両側に位置に立って搬送されることとなる。
【0095】
(4)上記実施形態では、エスカレータの乗り口で乗客を水平方向に搬送するコンベア装置をゴムベルトからなる無端搬送体を循環走行させるベルト式「動く歩道」形のものとしたが、これに限らず、コンベア装置は、環状に連結された複数のパレットからなる無端搬送体を循環走行させ、乗客を水平方向に搬送するパレット式「動く歩道」形のものとしても構わない。
【0096】
コンベア装置を上記パレット式「動く歩道」形とする場合は、従来の一般的なパレット式動く歩道の全長(搬送距離)を極端に短縮した形(例えば、一時に搬送に供されるパレットが4台程度の構成)のものとする。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係るエスカレータは、例えば、踏段上の乗客の前後に適度な間隔を確保する必要があるエスカレータに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
10、200、300 エスカレータ
12 踏段
56、62 コム
60、66、202、302 コンベア装置
76、88、204 搬送ベルト
【手続補正書】
【提出日】2022-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結され循環走行する複数の踏段を有し、乗り口に進入した乗客が、コムから繰り出され水平に走行する踏段に移乗することにより利用されるエスカレータであって、
前記進入方向における前記コム手前の前記乗り口に設置され、前記踏段の水平走行速度よりも遅い搬送速度で前記乗客を搬送する無端搬送体を含み、当該乗客を前記踏段への移乗位置に向かって搬送するコンベア装置を備え、
前記無端搬送体の搬送面には、前記乗客の立ち位置を示す複数個のマークが前記進入方向に所定間隔を空けて施されており、当該マークの各々が循環走行し、
前記所定間隔は、前記マークの中心間間隔が、隣接する踏段の走行方向における中心間間隔とほぼ同じになる間隔であり、
前記搬送速度をVp、前記水平走行速度をVsとすると、前記Vpが、
Vp=Vs×{1/(N+1)}
の速さに設定されている(Nは、1、2、または3のいずれかの値)ことを特徴とするエスカレータ。
【請求項2】
前記循環走行する前記マークが当該マーク位置に立って搬送される乗客の前記無端搬送体からの降り位置に来るタイミングと、前記コムから繰り出された前記踏段が前記移乗位置に来るタイミングとの同期を計る同期制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ。
【請求項3】
前記搬送速度が前記水平走行速度の少なくとも半分以下であることを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ。
【請求項4】
前記循環走行する前記マークが当該マーク位置に立って搬送される乗客の前記無端搬送体からの降り位置に来るタイミングと、前記コムから繰り出された前記踏段が前記移乗位置に来るタイミングとの同期を計る同期制御手段を有することを特徴とする請求項3に記載のエスカレータ。
【請求項5】
無端状に連結され循環走行する複数の踏段を有し、乗り口に進入した乗客が、コムから繰り出され水平に走行する踏段に移乗することにより利用されるエスカレータであって、
前記進入方向における前記コム手前の前記乗り口に設置され、前記踏段の水平走行速度よりも遅い搬送速度で前記乗客を搬送する無端搬送体を含み、当該乗客を前記踏段への移乗位置に向かって搬送するコンベア装置を備え、
前記無端搬送体の搬送面には、前記乗客の立ち位置を示す複数個のマークが前記進入方向に所定間隔を空けて施されており、当該マークの各々が循環走行し、
前記循環走行する前記マークが当該マーク位置に立って搬送される乗客の前記無端搬送体からの降り位置に来るタイミングと、前記コムから繰り出された前記踏段が前記移乗位置に来るタイミングとの同期を計る同期制御手段を有することを特徴とするエスカレータ。
【請求項6】
前記乗客が前記無端搬送体上を歩行していることを検知する歩行検出手段と、
前記歩行検出手段が前記乗客の前記無端搬送体上の歩行を検出すると、前記無端搬送体上を歩かないよう報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のエスカレータ。