(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179177
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ワイヤのガイド装置及びクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 13/10 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B66C13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086471
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】北角 直也
(57)【要約】
【課題】ワイヤの振動を抑制可能なワイヤのガイド装置及びクレーンを提供する。
【解決手段】本発明のワイヤのガイド装置は、起立されるアタッチメントと、上記アタッチメントの先端部に係合される巻き上げ可能なワイヤとを有するクレーンに用いられるワイヤのガイド装置であって、上記アタッチメントに配置され、上記ワイヤをガイドするガイド機構を備え、上記ガイド機構が、上記アタッチメントから離間する方向に上記ワイヤを押圧する押圧部を有し、かつ上記押圧部を上記アタッチメントの長手方向に移動させることが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立されるアタッチメントと、
上記アタッチメントの先端部に係合される巻き上げ可能なワイヤと
を有するクレーンに用いられるワイヤのガイド装置であって、
上記アタッチメントに配置され、上記ワイヤをガイドするガイド機構を備え、
上記ガイド機構が、上記アタッチメントから離間する方向に上記ワイヤを押圧する押圧部を有し、かつ上記押圧部を上記アタッチメントの長手方向に移動させることが可能であるワイヤのガイド装置。
【請求項2】
上記ガイド機構が、
上記アタッチメントに配置され、上記押圧部を上記長手方向に移動可能に支持する支持部をさらに有する請求項1に記載のワイヤのガイド装置。
【請求項3】
上記押圧部が、
上記ワイヤをガイド可能なローラ部と、
上記ローラ部を上記ワイヤに向けて付勢する付勢部と
を有する請求項1又は請求項2に記載のワイヤのガイド装置。
【請求項4】
ブームを有するクレーンに用いられ、
上記ガイド機構が上記ブームに配置される請求項1、請求項2又は請求項3に記載のワイヤのガイド装置。
【請求項5】
ブーム、及びこのブームを起伏させるためのマストを有するクレーンに用いられ、
上記ガイド機構が上記マストに配置される請求項1、請求項2又は請求項3に記載のワイヤのガイド装置。
【請求項6】
起立されるアタッチメントと、
上記アタッチメントの先端部に係合される巻き上げ可能なワイヤと、
上記ワイヤをガイドするワイヤのガイド装置と
を備え、
上記ワイヤのガイド装置が、上記アタッチメントに配置され、上記ワイヤをガイドするガイド機構を含み、
上記ガイド機構が、上記アタッチメントから離間する方向に上記ワイヤを押圧する押圧部を有し、かつ上記押圧部を上記アタッチメントの長手方向に移動させることが可能であるクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤのガイド装置及びクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンとして、ブーム等の起立されるアタッチメントと、このアタッチメントに係合されるワイヤとを備えるものが用いられている。
【0003】
このようなクレーンでは、ワイヤが風に煽られることや、ワイヤの巻取り動作に伴う張力変動等によって異常振動を引き起こすおそれがある。ワイヤが異常振動を引き起こすと、アタッチメントやその周辺の部材に衝突し、これらを損傷させるおそれがある。
【0004】
そこで、起立したブームの側方に沿って延びる巻き上げワイヤの長手方向中間部を押圧支持することにより、上記巻き上げワイヤの固有振動数を変化させ、これによってワイヤの異常振動を抑制することが提案されている(特開2015-93743号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のクレーンでは、アタッチメントをこれとは長さが異なる別のアタッチメントに組み換えると、ワイヤの振動を抑制することができないおそれがある。加えて、伸縮機能を有するアタッチメントを用いる場合にも、アタッチメントの長さを変更すると、ワイヤの振動を抑制することができないおそれがある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、アタッチメントの長さが変更されてもワイヤの振動を抑制することが可能なワイヤのガイド装置及びクレーンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、上記特許文献1に記載されたようなワイヤの押圧支持では、アタッチメントの長手方向における一定の位置でワイヤを押圧していることから、アタッチメントの長さが変更されるとワイヤの振動を抑制することが困難であることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者がさらに鋭意研究したところ、ワイヤを押圧する場所をアタッチメントの長さに応じて長手方向に変更することで、アタッチメントの長さが変更されてもワイヤの振動を抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、起立されるアタッチメントと、上記アタッチメントの先端部に係合される巻き上げ可能なワイヤとを有するクレーンに用いられるワイヤのガイド装置であって、上記アタッチメントに配置され、上記ワイヤをガイドするガイド機構を備え、上記ガイド機構が、上記アタッチメントから離間する方向に上記ワイヤを押圧する押圧部を有し、かつ上記押圧部を上記アタッチメントの長手方向に移動させることが可能であるワイヤのガイド装置である。
【0010】
当該ワイヤのガイド装置は、上記押圧部を上記長手方向に移動させることが可能なガイド機構を備えることで、アタッチメントの長さの変更に応じて上記押圧部の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ワイヤのガイド装置は、アタッチメントの長さが変更されてもワイヤの振動を抑制することができる。
【0011】
上記ガイド機構が、上記アタッチメントに配置され、上記押圧部を上記長手方向に移動可能に支持する支持部をさらに有するとよい。
【0012】
このように上記ガイド機構が上記支持部をさらに有することで、押圧機能と移動機能とを別の部材に担わせることができるため、より詳細かつ確実にワイヤの振動を抑制することができる。
【0013】
上記押圧部が、上記ワイヤをガイド可能なローラ部と、上記ローラ部を上記ワイヤに向けて付勢する付勢部とを有するとよい。
【0014】
このように上記押圧部が上記ローラ部と付勢部とを有することで、上記ローラ部によって滑らかに、すなわち摩擦を低減した状態でワイヤをガイドしつつ、上記付勢部によってワイヤを押圧することができるため、より確実にワイヤの振動を抑制することができる。
【0015】
当該ワイヤのガイド装置は、ブームを有するクレーンに用いられ、上記ガイド機構が上記ブームに配置されてもよい。
【0016】
このように上記ブームに上記ガイド機構が配置されることで、ワイヤの振動に起因するブーム及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0017】
当該ワイヤのガイド装置は、ブーム、及びこのブームを起伏させるためのマストを有するクレーンに用いられ、上記ガイド機構が上記マストに配置されてもよい。
【0018】
このように上記マストに上記ガイド機構が配置されることで、ワイヤの振動に起因するマストの周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0019】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、起立されるアタッチメントと、上記アタッチメントの先端部に係合される巻き上げ可能なワイヤと、上記ワイヤをガイドするワイヤのガイド装置とを備え、上記ワイヤのガイド装置が、上記アタッチメントに配置され、上記ワイヤをガイドするガイド機構を含み、上記ガイド機構が、上記アタッチメントから離間する方向に上記ワイヤを押圧する押圧部を有し、かつ上記押圧部を上記アタッチメントの長手方向に移動させることが可能であるクレーンである。
【0020】
当該クレーンは、上記ガイド装置を備えるため、上述の通り、ワイヤの振動を抑制することができる。
【0021】
ここで、「アタッチメント」とは、クレーンに取り付けられて起立される長尺部材であって、ワイヤが係合されるものを意味する。「アタッチメント」には、ブーム、ブームを起立させるためのマスト等が含まれる。ワイヤが「アタッチメントの先端部に係合される」とは、ワイヤがアタッチメントの先端部に懸架又は固定されることを意味する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、ワイヤの振動を抑制可能なワイヤのガイド装置及びクレーンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤのガイド装置を備えるクレーンを示す模式的側面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のワイヤのガイド装置によってワイヤがガイドされる状態を示す模式的側面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のワイヤのガイド装置の押圧部を示す模式的斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係るワイヤのガイド装置によってワイヤがガイドされる状態を示す模式的側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3実施形態に係るワイヤのガイド装置によってワイヤがガイドされる状態を示す模式的側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態に係るワイヤのガイド装置を備える他のクレーンを示す模式的側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係るワイヤのガイド装置を備える他のクレーンを示す模式的側面図である。
【
図8】
図8は、他の態様に係る押圧部を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るワイヤのガイド装置(以下、単に「ガイド装置」ともいう)及びそれを備えるクレーンについて図面を参照しつつ説明する。
【0025】
[第1実施形態]
〔クレーン〕
図1に示すように、当該クレーン1は、起立される第1アタッチメント4と、第1アタッチメント4の先端部に係合(ここでは懸架)される巻き上げ可能な第1ワイヤ5と、第1アタッチメント4に配置され、第1ワイヤ5をガイドするガイド装置60とを備える。本実施形態では第1アタッチメント4がブームであり、第1ワイヤ5が吊り荷用ワイヤであり、第1ワイヤ5がガイド装置60によってガイドされる。
【0026】
図1に示すように、当該クレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2上に水平回転可能に搭載される上部旋回体3と、第1アタッチメント4を起伏させるためのガントリ11と、第1アタッチメント4に係合(ここでは固定)される第2ワイヤ12とをさらに備える。本実施形態では、第2ワイヤ12が第1アタッチメント起伏用ワイヤである。
【0027】
<下部走行体>
下部走行体2は、走行装置として一対のクローラ(履帯)を有する。
【0028】
<上部旋回体>
上部旋回体3は、第1アタッチメント4の取り付け部に隣接する操縦者用キャビンや、吊り荷用のフック16を昇降させるための第1ワイヤ5用の第1ウインチ7、第1アタッチメント4を起伏させるための第2ワイヤ12用の第2ウインチ13等が設けられる。
【0029】
<第1アタッチメント>
第1アタッチメント4は、上部旋回体3に起伏可能に取り付けられる。具体的には、第1アタッチメント4は、上部旋回体3に前後に揺動可能に取り付けられる。より具体的には第1アタッチメント4の基端部が上記旋回体3に回転可能に取り付けられ、第1アタッチメント4が第1回転軸周りに回転する。第1アタッチメント4は、先端部に第1ワイヤ5をガイドする第1シーブ8及び第2シーブ9を有する。
図1に示す態様では、第1アタッチメント4は、4つの主桁を有する四角筒状のラチス構造を有する。第1アタッチメント4は、着脱可能な1又は複数の中間部分を有し、これら中間部分を着脱することで伸縮されるように構成される。ガイド装置60は、例えば
図1に示すように第1アタッチメント4の上記中間部分以外の部分、すなわち着脱可能ではない部分に取り付けられてもよいし、その他、例えば後述する
図7に示すように上記中間部分に取り付けられてもよい。
【0030】
<第1ワイヤ>
第1ワイヤ5は、第1ウインチ7から繰り出され、後述するガントリ11に配置される第3シーブ10、ガイド装置60、第1アタッチメント4の先端部の第1シーブ8及び第2シーブ9に懸架され、第2シーブ9から垂下される。第1ワイヤ5の先端には吊り荷用のフック6が取り付けられ、フック6には吊り荷14が吊り下げられる。第1ウインチ7が第1ワイヤ5を巻き上げ及び巻き下げることにより、フック6が吊り荷14と共に昇降する。なお、クレーン1は、上述した吊り荷用ワイヤである第1ワイヤ5を主巻き用ワイヤとして備え、この主巻用ワイヤの他に副巻き用ワイヤを、副巻き用ワイヤ用のウインチ、副巻き用のワイヤ、副巻き用のシーブ等と共にさらに備えてもよい。
【0031】
<ガントリ>
ガントリ11は、第1アタッチメント4の後方に配置されるガントリコンプレッション部材11aと、このガントリコンプレッション部材11aの後方に配置されるガントリテンション部材11bとを有する。ガントリコンプレッション部材11a及びガントリテンション部材11bの各下端部は上部旋回体3に取り付けられ、各上端部は互いに連結される。これら上端部に第2ワイヤ12が懸架される。ガントリ11には、上述したように第1ワイヤ5をガイドする第3シーブ10が取り付けられる。なお、第3シーブ10は、上部旋回体3に取り付けられてもよい。
【0032】
<第2ワイヤ>
第2ワイヤ12は、第2ウインチ13から繰り出され、上記のように互いに連結されるガントリコンプレッション部材11aの上端部及びガントリテンション部材11bの上端部に懸架され、第1アタッチメント4の先端部に固定される。第2ウインチ13が第2ワイヤ12を巻き上げ及び巻き下げることにより、第1アタッチメント4が起伏する。
【0033】
<ガイド装置>
図2及び
図3に示すように、ガイド装置60は、起立される第1アタッチメント4に配置され、第1アタッチメント4の先端部に係合(懸架)される第1ワイヤ5をガイドするガイド機構61を含む。ガイド機構61は、第1アタッチメント4から離間する方向に第1ワイヤ5を押圧する押圧部62を有し、かつ押圧部62を第1アタッチメント4の長手方向に移動させることが可能である。ガイド機構61は、第1アタッチメント4に配置され、押圧部62を上記長手方向に移動可能に支持する支持部67をさらに有する。ガイド装置60は、例えば第1アタッチメント4における第1ワイヤ5と対向する側の上記長手方向の所定位置に取り付けられる。この所定位置は、第1アタッチメント4の伸縮長さ等に応じて適宜決定される。
【0034】
(支持部)
支持部67は、押圧部62(ここではその土台部63)を移動可能に支持する一対のレール部68を有する。一対のレール部68は、上記アタッチメント4の幅方向に互いに間隔を空け、かつ上記長手方向に沿うように、第1アタッチメント4の第1ワイヤ5と対向する側に取り付けられる。一対のレール部68は、互いに平行に配置される。なお、
図2では、一対のレール部68のうち、一方のレール部68のみを示す。一対のレール部68には、それぞれ、複数の第2係合孔68aが長手方向に互いに間隔を空けて、かつ上記長手方向に沿うように形成される。一対のレール部68は、押圧部62(ここではその土台部63)が脱落することなく移動可能に係合されるような公知の形状に形成される。一対のレール部68の上記長手方向長さ及び複数の第2係合孔68aの間隔は、第1アタッチメント4の伸縮長さ、第1ワイヤ5の振動の抑制の程度等に応じて適宜設定される。
【0035】
(押圧部)
図3に示すように、押圧部62は、第1ワイヤ5をガイド可能なローラ部65と、ローラ部65を第1ワイヤ5に向けて付勢する付勢部66とを有する。押圧部62は、さらに、ローラ部65を回転可能に保持する保持部64と、この保持部6が回転可能に連結され、かつ支持部67に上記長手方向に移動可能に支持される土台部63とを備える。
【0036】
ローラ部65は、第1ワイヤ5と接触する周面を有する。ローラ部65は、保持部64の先端部に回転可能に保持される。第1ワイヤ5が巻き上げ及び巻き下げられる際、この第1ワイヤ5の巻き上げ及び巻下げに伴ってローラ部65が回転しながらその周面で第1ワイヤ5をガイドする。ローラ部材65としては、公知のローラ部材が挙げられる。
【0037】
保持部64は、ローラ部65を回転可能に保持する先端部と、土台部63に回転可能に支持される基端部とを有する。保持部64は、その先端部がローラ部65を回転可能に保持することができ、その基端部が土台部63に回転可能に連結されるように構成されればよく、その形状等は特に限定されない。例えば
図3に示す態様では、保持部64は、上記幅方向に互いに間隔を空けて配置される一対のフレーム部と、この一対のフレーム部間に配置され、上記一対のフレーム部を繋ぐ接続部とを有する。上記一対のフレーム部の先端部にローラ部65の両端部が回転可能に取り付けられる。上記一対のフレーム部の基端部が土台部63の両側面部における上記長手方向一端部に回転可能に取り付けられる。
【0038】
土台部63は、支持部67の一対のレール部68に移動可能に係合される両側面部を有する。土台部63の形状は、支持部67に移動可能に支持(ここではその一対のレール部68に移動可能に係合)されることができ、かつ上記長手方向一端部が保持部64に回転可能に連結されるように構成されればよく、その形状等は特に限定されない。例えば
図3に示す態様では、土台部63は、底面部と、この底面部における上記幅方向両端部からそれぞれ第1アタッチメント4から離れる方向に垂直に突出する両側面部とを有する。この両側面部の上記長手方向一端部(
図3の右奥側端部)に、保持部64の上記一対のフレームがそれぞれ回転可能に連結される。上記両側面部の上記長手方向中央部には、それぞれ第1係合孔63aが形成される。これら第1係合孔63aは、支持部67の一対のレール部68の各複数の第2係合孔68aのうちの任意の1つとそれぞれ重なることができるように形成される。
【0039】
付勢部66は、ローラ部65を第1ワイヤ5に向けて付勢することができるように構成されればよく、その種類、形状等は特に限定されない。例えば付勢部66は、コイルばね等によって形成される。
図3に示す態様では、付勢部66を形成するコイルバネが上記幅方向に沿って土台部63上に配置され、上記コイルバネの両端部が上記幅方向に垂直な方向における互いに反対の側に突出している(引き出されている)。上記両端部のうち一端部が土台部63の上記底面部に固定され、他端部が保持部64の上記接続部に固定される。このように付勢部66が固定されることで、土台部63に対して保持部64がローラ部65と共に土台部63から離れる方向(
図3の時計回り)に回転するように付勢される。付勢部66の付勢力に抗して保持部64を土台部63に近づくよう(
図3の反時計回り)に回転させ、この状態でローラ部65に第1ワイヤ5を懸架することで、ローラ部65が第1ワイヤ5を土台部63から離間する方向に押圧することができる。第1ワイヤ5に対する押圧部62の押圧力は、付勢部66の種類、例えばコイルバネの種類を変更すること等によって調整することができる。
【0040】
各レール部68の複数の第2係合孔68aの任意の1つと、土台部63aの各側面部の第1係合孔63aとが重ね合わせられた状態で、これらの孔にそれぞれビス69が取り付けられることで、例えば
図2に示すように、上記長手方向における押圧部62の位置が決定される。各ビス69が取り外され、
図2に実線矢印で示すように、上記位置から土台部63が上記長手方向に移動され、各レール部68の上記とは異なる第2係合孔68aと、土台部63の各側面部の第1係合孔63aとが重ね合わされた状態で、これらの孔にそれぞれビス69が取り付けられることで、上記長手方向における押圧部62の位置が変更される。このように、支持部67に対して押圧部62が上記長手方向に移動可能に支持される。
【0041】
上記のように、押圧部62が、第1ワイヤ5を土台部63から離間する方向、すなわち第1アタッチメント4から離間する方向に押圧可能であり、かつ、第1アタッチメント4に配置される支持部67に対して上記長手方向に移動可能である。すなわち、ガイド機構61が、第1アタッチメント4から離間する方向に第1ワイヤ5を押圧可能な押圧部62を有し、かつ押圧部62を上記長手方向に移動させることが可能である。
【0042】
[利点]
当該ガイド装置60は、押圧部62を上記長手方向に移動させることが可能なガイド機構61を備えることで、第1アタッチメント4の長さに応じて押圧部62の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ガイド装置60は、第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0043】
本実施形態では、ガイド機構61が支持部67をさらに有することで、押圧機能と移動機能とを別の部材に担わせることができるため、より詳細かつ確実に第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0044】
本実施形態では、押圧部62が、ローラ部65と、付勢部66とを有することで、ローラ部65によって滑らかに、すなわち摩擦を低減した状態で第1ワイヤ5をガイドしつつ、付勢部66によって第1ワイヤ5を押圧することができるため、より確実にワイヤの振動を抑制することができる。
【0045】
本実施形態では、支持部67が一対のレール部68を有することで、押圧部62をより確実に上記長手方向に移動させることができる。加えて、本実施形態では、押圧部62が第1係合孔63aを有し、支持部67の一対のレール部68がそれぞれ複数の第2係合孔68aを有し、ガイド機構61がビス69をさらに有し、各第1係合孔63aと、各複数の第2係合孔68aのうち任意の1つの第2係合孔68aとが重ね合わされ、重ね合わされた係合孔にそれぞれビス69が取り付けられるように構成されている。これにより、本実施形態では、上記長手方向における位置変更後の押圧部62をより確実に支持部67に固定することができる。
【0046】
本実施形態では、ガイド機構61が第1アタッチメント4としてのブームに配置されることで、第1ワイヤ5の振動に起因するブーム及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0047】
当該クレーン1は、当該ガイド装置60を備えるため、上記の通り、第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0048】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と同様のクレーン1の第1アタッチメント4に、第1ガイド5をガイドする当該ガイド装置として上記第1実施形態の当該ガイド装置以外の他の実施形態に係る当該ガイド装置が備えられる。それ以外は上記第1実施形態と同様であるため、以下、第1実施形態と異なる構成について、
図4を参照しつつ説明する。また、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
<ガイド装置>
図4に示すように、本実施形態のガイド装置70は、起立される第1アタッチメント4に配置され、第1アタッチメント4の先端部に係合(懸架)される第1ワイヤ5をガイドするガイド機構71を含む。ガイド機構71は、第1アタッチメント4から離間する方向に第1ワイヤ5を押圧する押圧部72を有し、かつ押圧部72を第1アタッチメント4の長手方向に移動させることが可能である。ガイド機構71は、第1アタッチメント4に配置され、押圧部72を上記長手方向に移動可能に支持する支持部77をさらに有する。上記第1実施形態と同様に、ガイド装置70は、例えば第1アタッチメント4における第1ワイヤ5と対向する側の上記長手方向の所定位置に取り付けられる。この所定位置は、第1アタッチメント4の伸縮長さ等に応じて決定される。
【0050】
(支持部)
支持部77は、押圧部72(ここではその土台部73)を移動可能に支持する一対のレール部78と、上記長手方向に互いに間隔を空けて第1アタッチメント4に配置される第1プーリ79b及び第2プーリ79cと、第1プーリ79b及び第2プーリ79cに懸架され、両端部が土台部73の上記長手方向両端部にそれぞれ固定されるロープ79aとを有する。
【0051】
一対のレール部78は、上記第1実施形態の一対のレール部68と同様に、上記幅方向に互いに間隔を空けて、かつ上記長手方向に沿うように第1アタッチメント4の第1ワイヤ5と対向する側に取り付けられる。例えば一対のレール部78としては、第2係合孔68aを有しないこと以外は第1実施形態の一対のレール部68と同様のものを用いることができる。なお、
図4では、一対のレール部78のうち、一方のレール部78のみを示す。
【0052】
第1プーリ79b及び第2プーリ79cは、上記長手方向に互いに間隔を空けて、かつ上記長手方向に沿うように第1アタッチメント4に取り付けられる。これら第1プーリ79b及び第2プーリ79cにはロープ79aが懸架される。第1プーリ79b及び第2プーリ79cは、土台部73を移動させるために十分な張力をロープ79aに付与することができるような間隔で配置される。第1プーリ79b及び第2プーリ79cのうち、例えば第1プーリ79bは、不図示の駆動装置によって回転駆動される駆動プーリであり、第2プーリ79cは、第1プーリ79bの回転駆動によるロープ79aの回動に伴って回転する従動プーリである。
【0053】
ロープ79aは、第1プーリ79b及び第2プーリ79cに懸架され、ロープ79aの両端部は、土台部73の上記長手方向両端部にそれぞれ固定される。これによって、ロープ79aは、平面視で上記長手方向に沿うように配置され、
図4に示すような側面視で土台部73を介して環状に形成される。
【0054】
(押圧部)
押圧部72は、土台部73が支持部77に移動可能に支持される構成が異なること以外は、第1実施形態と同じ構成を有する。具体的には、押圧部72は、上記第1実施形態と同様のローラ部65と、上記第1実施形態と同様の保持部64と、この保持部64の基端部が回転可能に連結され、かつ支持部77に上記長手方向に移動可能に支持される土台部73と、上記第1実施形態と同様の付勢部66(
図4では不図示)とを備える。
【0055】
押圧部72における土台部73の上記長手方向一端部(
図4の右側端部)には、上記第1実施形態と同様にして、保持部64が回転可能に連結される。例えば土台部73としては、第1係合孔63aを有しないこと以外は第1実施形態の土台部63と同様のものを用いることができる。土台部73上には、上記第1実施形態と同様の付勢部66が配置され、上記第1実施形態と同様に、付勢部66の一端部が土台部73に固定され、他端部が保持部64に固定される。土台部73の両側面部は、支持部77の一対のレール部78にそれぞれ移動可能に係合される。土台部73の上記長手方向両端部には、ロープ79aの両端部が固定され、このロープ79aの移動に伴って土台部73が移動するように構成される。
【0056】
上記駆動装置によって第1プーリ79b及びこれに伴って第2プーリ79cが一方向(例えば
図4の時計回り)及び逆方向(例えば
図4の反時計回り)に回転することで、
図4に実線矢印で示すように、ロープ79aが土台部73と共に回動する。この回動により、押圧部72(ここでは保持部64及びローラ部65と共に土台部73)が上記長手方向に移動する。第1プーリ79aの回転量によって、上記長手方向における押圧部73の位置が決定される。このように、支持部77に対して押圧部72が上記長手方向に移動可能に支持される。
【0057】
上記のように、押圧部72が、第1ワイヤ5を土台部73から離間する方向、すなわち第1アタッチメント4から離間する方向に押圧可能であり、かつ、第1アタッチメント4に配置される支持部77に対して上記長手方向に移動可能である。すなわち、ガイド機構71が、第1アタッチメント4から離間する方向に第1ワイヤ5を押圧可能な押圧部72を有し、かつ押圧部72を上記長手方向に移動させることが可能である。
【0058】
[利点]
当該ガイド装置70は、押圧部72を上記長手方向に移動させることが可能なガイド機構71を備えることで、第1アタッチメント4の長さに応じて押圧部72の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ガイド装置70は、第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0059】
本実施形態では、ガイド機構71が支持部77をさらに有することで、押圧機能と移動機能とを別の部材に担わせることができるため、より詳細かつ確実に第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0060】
本実施形態では、押圧部72がローラ部65と、付勢部66とを有することで、ローラ部65によって滑らかに、すなわち摩擦を低減した状態で第1ワイヤ5をガイドしつつ、付勢部66によって第1ワイヤ5を押圧することができるため、より確実にワイヤの振動を抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、支持部77が一対のレール部78を有することで、押圧部72をより確実に上記長手方向に移動させることができる。加えて、本実施形態では、支持部77が第1プーリ79b、第2プーリ79c及びロープ79aを有することで、これら第1プーリ79b及び第2プーリ79cの回転と、この回転に伴うロープ79aの回動とで押圧部72を移動可能とすることができる。これにより、本実施形態では、上記長手方向における押圧部72の位置をより詳細に変更することができる。
【0062】
本実施形態では、ガイド機構71が第1アタッチメント4としてのブームに配置されることで、第1ワイヤ5の振動に起因するブーム及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0063】
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と同様のクレーン1の第1アタッチメント4に、第1ガイド5をガイドする当該ガイド装置として上記第1実施形態(及び第2実施形態)の当該ガイド装置以外の他の実施形態に係る当該ガイド装置が備えられる。それ以外は上記第1実施形態と同様であるため、以下、第1実施形態と異なる構成について、
図5を参照しつつ説明する。また、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
<ガイド装置>
図5に示すように、本実施形態のガイド装置80は、起立される第1アタッチメント4に配置され、第1アタッチメント4の先端部に係合(懸架)される第1ワイヤ5をガイドするガイド機構81を含む。ガイド機構81は、第1アタッチメント4から離間する方向に第1ワイヤ5を押圧する押圧部82を有し、かつ押圧部82を第1アタッチメント4の長手方向に移動させることが可能である。ガイド機構81は、第1アタッチメント4に配置され、押圧部82を上記長手方向に移動可能に支持する支持部87をさらに有する。上記第1実施形態と同様に、ガイド装置80は、例えば第1アタッチメント4における第1ワイヤ5と対向する側の上記長手方向の所定位置に取り付けられる。この所定位置は、第1アタッチメント4の伸縮長さ等に応じて決定される。
【0065】
(支持部)
支持部87は、押圧部82(ここではその土台部83)に先端部が固定されるピストン部88と、このピストン部88を突出及び没入させることができるように構成されたシリンダ部89とを有する。
【0066】
ピストン部88は、上記長手方向に沿って配置されている。ピストン部88の先端部(
図5の右側端部)が押圧部82(ここではその土台部83)に固定されている。シリンダ部89は、ピストン部88を収容し、かつピストン部88を上記長手方向に伸長及び縮小(例えばピストン部88をシリンダ部89に対して突出及び没入)させることができるように構成されている。このようなシリンダ部89としては、電磁的、油圧空式等によってピストン部88を突出及び没入させることができるような公知の部材が挙げられる。
【0067】
(押圧部)
押圧部82は、土台部83が支持部87に移動可能に支持される構成が異なること以外は、第1実施形態と同じ構成を有する。具体的には、押圧部82は、上記第1実施形態と同様のローラ部65と、上記第1実施形態と同様の保持部64と、この保持部64の基端部が回転可能に連結され、かつ支持部87に上記長手方向に移動可能に支持される土台部83と、上記第1実施形態と同様の付勢部66(
図5では不図示)とを備える。
【0068】
押圧部82における土台部83の上記長手方向一端部(
図5の右側端部)には、上記第1実施形態と同様にして、保持部64が回転可能に連結される。例えば土台部73としては、第1係合孔63aを有しないこと以外は第1実施形態の土台部63と同様のものを用いることができる。土台部83上には、上記第1実施形態と同様の付勢部66が配置され、上記第1実施形態と同様に、付勢部66の一端部が土台部83に固定され、他端部が保持部64に固定される。土台部83の上記長手方向他端部(
図5の左側端部)は、支持部87におけるピストン部88の先端部に固定(支持)される。このピストン部88の移動(突出及び没入)に伴って土台部83が上記長手方向に移動するように構成される。
【0069】
シリンダ部89に対してピストン部88が突出及び没入することによって、
図5に実線矢印で示すように、ピストン部89と共に土台部83が上記長手方向に移動する。シリンダ部89からのピストン部88の突出量によって上記長手方向における移動量(すなわち、長手方向における押圧部82の位置)が決定される。
【0070】
上記のように、押圧部82が、第1ワイヤ5を土台部83から離間する方向、すなわち第1アタッチメント4から離間する方向に押圧可能であり、かつ、第1アタッチメント4に配置される支持部87に対して上記長手方向に移動可能である。すなわち、ガイド機構81が、第1アタッチメント4から離間する方向に第1ワイヤ5を押圧可能な押圧部82を有し、かつ押圧部82を上記長手方向に移動させることが可能である。
【0071】
[利点]
当該ガイド装置80は、押圧部82を上記長手方向に移動させることが可能なガイド機構81を備えることで、第1アタッチメント4の長さに応じて押圧部82の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ガイド装置80は、第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0072】
本実施形態では、ガイド機構81が支持部87をさらに有することで、押圧機能と移動機能とを別の部材に担わせることができるため、より詳細かつ確実に第1ワイヤ5の振動を抑制することができる。
【0073】
本実施形態では、押圧部82がローラ部65と、付勢部66とを有することで、ローラ部65によって滑らかに、すなわち摩擦を低減した状態で第1ワイヤ5をガイドしつつ、付勢部66によって第1ワイヤ5を押圧することができるため、より確実にワイヤの振動を抑制することができる。
【0074】
本実施形態では、支持部87が、ピストン部88と、シリンダ部89とを有することで、より確実に押圧部72を上記長手方向に移動させることができる。加えて、シリンダ部89に対するピストン部88の突出量に応じて上記長手方向における押圧部82の位置を変更することができるため、押圧部72の位置をより詳細に上記長手方向に変更することができる。
【0075】
本実施形態では、ガイド機構81が第1アタッチメント4としてのブームに配置されることで、第1ワイヤ5の振動に起因するブーム及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0076】
[第4実施形態]
本実施形態は、当該ガイド装置が、第1アタッチメント4に懸架される吊り荷用ワイヤとしての第1ワイヤ5ではなく、第2ワイヤ12をガイドする点で、第1実施形態の構成と異なる。それ以外は上記第1実施形態と同様であるため、以下、第1実施形態と異なる構成について、
図6を参照しつつ説明する。また、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0077】
<クレーン>
図6に示すように、本実施形態のクレーン100では、上記第1実施形態と同様のガイド装置60が吊り荷用ワイヤとしての第1ワイヤ5ではなく、第1アタッチメント4を起伏させるための第1アタッチメント起伏用ワイヤとしての第2ワイヤ12をガイドすること以外は、第1実施形態のクレーン1と同様の構成を有する。
【0078】
具体的には、クレーン100では、第1ワイヤ5における第1シーブ8と第2シーブ9との間にはガイド装置60が配置されていない。よって、第1ウインチ7から繰り出された第1ワイヤ5は、第1シーブ8及び第2シーブ9に懸架されて、フック6に繋がる。
【0079】
一方、クレーン100では、第2ウインチ13から繰り出された第2ワイヤ12は、ガントリ11に懸架され、第1アタッチメント4に配置されたガイド装置60によってガイドされて、第1アタッチメント4の先端部に係合(固定)される。
【0080】
<ガイド装置>
本実施形態では、第1実施形態と同様のガイド装置60が第1アタッチメント4の第2ワイヤ12と対向する側に配置される。具体的には、ガイド装置60が第1アタッチメント4の第2ワイヤ12側における第1ワイヤ5をガイドせず、第2ワイヤ12をガイドする位置に配置される。ガイド装置60は、第1実施形態と同様のガイド機構61を備える。すなわち、ガイド機構61は、第1実施形態と同様の押圧部62、支持部67、及びビス69を有する。このガイド機構61は、第2ワイヤ12をガイドする。
【0081】
このようにガイド装置60が第2ワイヤ12をガイドすることにより、上述した第1実施形態と同様、押圧部62が、第2ワイヤ12を土台部63から離間する方向、すなわち第1アタッチメント4から離間する方向に押圧可能であり、かつ、第1アタッチメント4に配置される支持部67に対して上記長手方向に移動可能である(
図2及び
図3参照)。すなわち、ガイド機構61が、第1アタッチメント4から離間する方向に第2ワイヤ12を押圧可能な押圧部62を有し、かつ押圧部62を上記長手方向に移動させることが可能である。
【0082】
[利点]
当該ガイド装置60は、押圧部62を上記長手方向に移動させることが可能なガイド機構61を備えることで、第1アタッチメント4の長さに応じて押圧部62の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ガイド装置60は、第2ワイヤ12の振動を抑制することができる。
【0083】
本実施形態では、ガイド機構61が第1アタッチメント4としてのブームに配置されることで、第1ワイヤ5の振動に起因するブーム及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0084】
当該クレーン100は、当該ガイド装置60を備えるため、上記の通り、第2ワイヤ12の振動を抑制することができる。
【0085】
[第5実施形態]
本実施形態では、当該クレーンとして、第1アタッチメントに加えて第2アタッチメントをさらに有するものを用い、第1アタッチメント及び第2アタッチメントに上記第1実施形態と同様のガイド装置がそれぞれ配置される点で、第1実施形態と異なる。それ以外は上記第1実施形態と同様であるため、以下、第1実施形態と異なる構成について、
図7を参照しつつ説明する。また、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0086】
図7に示すように、当該クレーン200は、起立される第1アタッチメント24と、第1アタッチメント24の先端部に係合(ここでは懸架)される巻き上げ可能な第3ワイヤ25と、起立される第2アタッチメント30と、第2アタッチメント30の先端部に係合(ここでは懸架)される巻き上げ可能な第4ワイヤ38と、第1アタッチメント24及び第2アタッチメント30にそれぞれ配置され、第3ワイヤ25及び第4ワイヤ38をそれぞれガイドする複数(ここでは2)のガイド装置60とを備える。本実施形態では第1アタッチメント24がブームであり、第2アタッチメント30がマスト(より詳細には主マスト)である。第3ワイヤ25が吊り荷用ワイヤであり、第4ワイヤ38が第1アタッチメント起伏用ワイヤである。
【0087】
当該クレーン200は、第4ワイヤ38を第1アタッチメント24に固定するための第1スプレッダ35、第2スプレッダ36、及び一対のガイライン37をさらに備える。
【0088】
当該クレーン200は、第2アタッチメント30を補助する補助部材34と、第2アタッチメント30を起伏させるための一対のマストガイリンク40、第1ブロックシーブ43、第2ブロックシーブ44及び第5ワイヤ42と、ウエイト調整機構51とをさらに備える。
【0089】
<下部走行体>
下部走行体22は、走行装置として一対のクローラ(履帯)を有する。
【0090】
<上部旋回体>
上部旋回体23は、第1アタッチメント24の取り付け部に隣接する操縦者用キャビンや、吊り荷用のフック48を昇降させるための第3ワイヤ25用の第3ウインチ46、第2アタッチメント30を起伏させるための第5ワイヤ42用の第5ウインチ45等が設けられる。上部旋回体3には、第3ウインチ46、第5ウインチ45、及び後述する第4ウインチ39の駆動源である油圧モータ、減速機(不図示)等がさらに設けられる。上部旋回体3には、第1アタッチメント24を伸縮させるための油圧モータ等がさらに設けられる。
【0091】
<第1アタッチメント>
第1アタッチメント24は、上部旋回体3に起伏可能に取り付けられる。具体的には、第1アタッチメント24は、上部旋回体3に前後に揺動可能に取り付けられる。より具体的には第1アタッチメント24の基端部が上記旋回体3に回転可能に取り付けられ、第1アタッチメント24が第1回転軸周りに回転する。第1アタッチメント24の基端部側は、一対の第1バックストップ28を有する。この一対の第1バックストップ28は、第1アタッチメント24が所定の起立姿勢まで回転した時点で上部旋回体23の第1受け部に当接し、強風等で第1アタッチメント24が後方に転倒することを抑制する。第1アタッチメント24は、先端部に第3ワイヤ25をガイドする第4シーブ26及び第5シーブ27を有する。
図7に示す態様の第1アタッチメント24は、着脱可能な1又は複数の中間部分を有し、これら中間部分を着脱することで伸縮されるように構成される。例えば
図7の態様では、ガイド装置60は、第1アタッチメント24の上記中間部分、すなわち着脱可能な部分に取り付けられる。
【0092】
<第3ワイヤ>
第3ワイヤ25は、第3ウインチ46から繰り出され、後述する第2アタッチメント30に配置される第6シーブ47、ガイド装置60、第1アタッチメント24の先端部の第4シーブ26及び第5シーブ27に懸架され、第5シーブ27から垂下される。第3ワイヤ25の先端には吊り荷用のフック48が取り付けられ、フック48には吊り荷49が吊り下げられる。第3ウインチ46が第3ワイヤ25を巻き上げ及び巻き下げることにより、フック48が吊り荷49と共に昇降する。なお、クレーン200は、上述した吊り荷用ワイヤである第3ワイヤ25を主巻き用ワイヤとして備え、この主巻用ワイヤの他に副巻き用ワイヤを、副巻き用ワイヤ用のウインチ、副巻き用のワイヤ、副巻き用のシーブ等と共にさらに備えてもよい。
【0093】
<第2アタッチメント>
第2アタッチメント30は、上記のように、第1アタッチメント24を起伏させるためのマストであり、より具体的には主マストである。第2アタッチメント30は、上部旋回体3における第1アタッチメント24の後方に、第1アタッチメント24と同方向(前後)に揺動可能に取り付けられる。具体的には、第2アタッチメント30の基端部が上記旋回体3に回転可能に取り付けられ、第2アタッチメント30が第2回転軸周りに回転する。この第2回転軸は、第1アタッチメント24の第1回転軸と平行である。第2アタッチメント30の基端部側は、一対の第2バックストップ32を有する。この一対の第2バックストップ32は、第2アタッチメント30が所定の起立姿勢まで回転した時点で上部旋回体23の第2受け部に当接し、強風等で第2アタッチメント30が後方に転倒することを抑制する。第2アタッチメント30は、先端部に第1アタッチメント起伏用の第7シーブ31を有する。
【0094】
第2アタッチメント30の基端部側には第4ウインチ39が取り付けられる。第2アタッチメント30の基端部には第6シーブ47が取り付けられる。なお、第4ウインチ39は上部旋回体23に取り付けられてもよい。第6シーブ47は、上部旋回体3又は第1アタッチメント24に取り付けられてもよい。
図7に示す態様の第2アタッチメント30は、着脱可能な1又は複数の中間部分を有し、これら中間部分を着脱することで伸縮されるように構成される。例えば
図7に示す態様では、ガイド装置60は、第2アタッチメント30の上記中間部分、すなわち着脱可能な部分に取り付けられる。
【0095】
<補助部材>
補助部材34は、副マストである。補助部材34は、第2アタッチメント30の後方かつ下方にて上部旋回体23に回転可能に取り付けられる。補助部材34は、第2アタッチメント30の起伏方向(回転方向)と同方向に回転可能である。具体的には、補助部材34の基端部が上部旋回体23に回転可能に取り付けられ、補助部材34が第3回転軸周りに回転する。この第3回転軸は、第2アタッチメント30の第2回転軸と平行であり、かつこの第2回転軸と略同じ位置に配置される。
【0096】
<第1スプレッダ、第2スプレッダ、第2ワイヤ、及び一対のガイリンク>
第1スプレッダ35は、第2アタッチメント30の先端部における第7シーブ31の前方に取り付けられる。スプレッダ35は、複数列のシーブを有するシーブブロックを有する。第2スプレッダ36は、第1スプレッダ35の前方に、第2スプレッダ36と間隔を空けて配置される。第2スプレッダ36は、複数列のシーブを有するシーブブロックを有する。
【0097】
第4ワイヤ38は、第4ウインチ39から繰り出され、ガイド装置60に懸架され、第2アタッチメント30の先端部の第7シーブ31に懸架され、第1スプレッダ35及び第2スプレッダ36の間に複数回架け回される。第1スプレッダ35及び第2スプレッダ36に架け回された第4ワイヤ38の先端部は、第2アタッチメント30の先端部に固定される。
【0098】
一対のガイライン37の後端部は、第2スプレッダ36に接続され、一対のガイライン37の前端部は、第1アタッチメント24の先端部に固定される。一対のガイライン37は、ガイリンク、ガイロープ、ガイワイヤ等を含む。上記のように第2アタッチメント30の先端部の第7シーブ31に懸架され、第1スプレッダ35及び第2スプレッダ36に巻き回された第2ワイヤ38は、一対のガイライン37を介して第1アタッチメント24に固定される。
【0099】
第4ウインチ39が第4ワイヤ38を巻き上げ及び巻き下げることにより、第1スプレッダ35と第2スプレッダ36との間の距離が変化する。この距離の変化によって、一対のガイリンク37を介して第1アタッチメント24が第2アタッチメント30に対して相対的に回転し、起伏する。
【0100】
<一対のマストガイリンク、第1シーブブロック、第2シーブブロック、及び第5ワイヤ>
一対のマストガイリンク40の上端部は第2アタッチメント30の先端部に固定され、下端部は補助部材34の先端部に固定される。これにより、第2アタッチメント30の回転と補助部材34の回転とが連携される。
【0101】
第1シーブブロック43は、上部旋回体23の後端部に取り付けられ、複数列のシーブを有する。第2シーブブロック44は、補助部材34の先端部に取り付けられ、複数列のシーブを有する。
【0102】
第5ワイヤ42は、第5ウインチ45から繰り出され、第1シーブブロック43と第2シーブブロック44との間に複数回架け回される。
【0103】
このように、第5ワイヤ42は、一対のマストガイリンク40を介して第2アタッチメント30の先端部と上部旋回体23とに接続される。
【0104】
第5ウインチ45が第5ワイヤ42を巻き上げ及び巻き下げすることにより、第1シーブブロック43と第2シーブブロック44との間の距離が変化する。この距離の変化により、上部旋回体23に対して補助部材34が回転し、この回転に伴って第2アタッチメント30が起伏する。なお、第2アタッチメント30の起伏及び補助部材34の回転は、主にクレーン200の組立分解時に行われ、クレーン200の使用時には起立された第2アタッチメント30の位置、及び回転された補助部材34の位置(地面に対する角度)は略固定される。
【0105】
一対のウエイト調整機構51は、クレーン200のバランスを保持するためのものである。各ウエイト調整機構51は、第2アタッチメント30の先端部から垂下されたウエイトシリンダ52、ウエイトガイリンク53、及びパレットウエイト54等を有する。
【0106】
(ガイド装置)
本実施形態では、第1実施形態と同様の2つのガイド装置60がそれぞれ第1アタッチメント24の第3ワイヤ25と対向する側、及び第2アタッチメント30の第4ワイヤ38と対向する側に配置される。各ガイド装置60は、第1実施形態と同様のガイド機構61をそれぞれ備える。すなわち、各ガイド機構61は、第1実施形態と同様の押圧部62、支持部67、及びビス69を有する。これらガイド機構61は、それぞれ、第3ワイヤ25及び第4ワイヤ38をガイドする。
【0107】
このように第1アタッチメント24に配置されるガイド装置60が第3ワイヤ25をガイドすることにより、上述した第1実施形態と同様、押圧部62が、第3ワイヤ25を土台部63から離間する方向、すなわち第1アタッチメント24から離間する方向に押圧可能であり、かつ、第1アタッチメント24に配置される支持部67に対して上記長手方向に移動可能である(
図2及び
図3参照)。すなわち、第1アタッチメント24に配置されるガイド機構61が、第1アタッチメント24から離間する方向に第3ワイヤ25を押圧する押圧部62を有し、かつ押圧部62を上記長手方向に移動させることが可能である。
【0108】
加えて、第2アタッチメント30に配置されたガイド装置60が第4ワイヤ38をガイドすることにより、上述した第1実施形態と同様、押圧部62が、第4ワイヤ38を土台部63から離間する方向、すなわち第2アタッチメント30から離間する方向に押圧可能であり、かつ、第2アタッチメント30に配置される支持部67に対して上記長手方向に移動可能である(
図2及び
図3参照)。すなわち、第2アタッチメント30に配置されるガイド機構61が、第2アタッチメント30から離間する方向に第4ワイヤ38を押圧する押圧部62を有し、かつ押圧部62を上記長手方向に移動させることが可能である。
【0109】
[利点]
第1アタッチメント24に配置される当該ガイド装置60は、押圧部62を第1アタッチメント24の長手方向に移動させることが可能なガイド機構61を備えることで、第1アタッチメント24の長さに応じて押圧部62の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ガイド装置60は、第3ワイヤ25の振動を抑制することができる。
【0110】
第2アタッチメント30に配置される当該ガイド装置60は、押圧部62を第2アタッチメント30の長手方向に移動させることが可能なガイド機構61を備えることで、第2アタッチメント30の長さに応じて押圧部62の位置を上記長手方向に変更することができる。よって、当該ガイド装置60は、第4ワイヤ38の振動を抑制することができる。
【0111】
本実施形態では、ガイド機構61が第1アタッチメント24としてのブームに配置されることで、第3ワイヤ25の振動に起因するブーム及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0112】
本実施形態では、ガイド機構61が第2アタッチメント30としてのマストに配置されることで、第4ワイヤ38の振動に起因するマスト及びその周辺の部材の損傷を抑制することができる。
【0113】
当該クレーン200は、当該ガイド装置60を備えるため、上記の通り、第3ワイヤ25及び第4ワイヤ38の振動を抑制することができる。
【0114】
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第4実施形態及び第5実施形態のクレーンにおいて、上記第2実施形態及び上記第3実施形態のガイド装置を採用してもよい。
【0115】
例えば、上記第5実施形態のクレーンにおいて、第1アタッチメントとしてのブーム及び第2アタッチメントとしてのマストのうち、ブームのみにガイド装置が配置されてもよく、マストのみにガイド装置が配置されてもよい。
【0116】
例えば、当該ガイド装置は、アタッチメントに配置され、このアタッチメントに係合されるワイヤを上記アタッチメントから離間する方向に押圧する押圧部を有し、かつ上記押圧部を上記アタッチメントの長手方向に移動させることが可能なガイド装置であればよく、上記実施形態に示すガイド装置以外のガイド装置を採用することもできる。
【0117】
例えば、上記第1実施形態から第5実施形態に示す押圧部の他、
図8に示すような押圧部92を採用することもできる。
図8に示す態様では、押圧部92は、上記第1実施形態と同様のローラ部65と、このローラ部65を先端部が回転可能に保持する保持部94と、この保持部94を突出及び没入可能に収容する有底筒状の収容部93と、収容部93内におけるこの収容部93の底壁と保持部94との間に配置される付勢部96とを有する。保持部94としては、例えばアタッチメントの長手方向に沿って配置されるピストンが挙げられる。保持部94は、収容部93に擦動可能に係合されて収容される。付勢部96は、例えばコイルバネである。このコイルバネがアタッチメント長手方向に沿って配置され、上記コイルバネの一端部(
図8の下端部)が収容部93の底壁に固定され、他端部(
図8の上端部)が保持部94の上記長手方向一端部(
図8の下端部)に固定される。付勢部96の付勢力に抗して保持部94を収容部93に没入させ、この状態でローラ部65にワイヤを懸架させることで、付勢部96の付勢力により、保持部94と共にローラ部65がワイヤをアタッチメントから離間する方向(
図8の上方)に押圧する。ワイヤに対する押圧部92の押圧力は、付勢部96の種類、例えばコイルバネの種類を変更すること等によって調整することができる。
【0118】
例えば、第1、第4及び第5実施形態のクレーンにおいて、上述したように吊り荷用のワイヤを主巻ワイヤとし、この主巻ワイヤに加えて、さらにブームに係合される補巻きワイヤを備えてもよい。この場合、補巻きワイヤが当該ガイド装置によってガイドされてもよい。
【0119】
例えば、クレーンが複数のアタッチメントを備える場合、複数のアタッチメントに同じ態様の当該ガイド装置を適用しても、複数のアタッチメントに互いに異なる態様の当該ガイド装置を適用してもよい。
【0120】
例えば、上記実施形態以外の他のアタッチメント及びこのアタッチメントに係合するワイヤを備えるクレーンにおいては、上記他のアタッチメントにガイド装置が配置され、このガイド装置によって上記ワイヤがガイドされてもよい。
【0121】
例えばアタッチメントに配置される当該ガイド装置によってガイドされるワイヤは、上記アタッチメントに直接係合されても、ガイライン等の他の部材を介して係合されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明のガイド装置及びクレーンを用いることで、ワイヤの振動を抑制することができるため、クレーンを用いて作業する際、その作業が安全となる。
【符号の説明】
【0123】
1、100、200 クレーン
2、22 下部走行体
3、23 上部旋回体
4、24 第1アタッチメント(ブーム)
5 第1ワイヤ(吊り荷用ワイヤ)
6、48 フック
7 第1ウインチ
8 第1シーブ
9 第2シーブ
10 第3シーブ
11 ガントリ
11a ガントリコンプレッション部材
11b ガントリテンション部材
12 第2ワイヤ(第1アタッチメント起伏用ワイヤ)
13 第2ウインチ
14、49 吊り荷
25 第3ワイヤ(吊り荷用ワイヤ)
26 第4シーブ
27 第5シーブ
28 第1バックストップ
30 第2アタッチメント(マスト)
31 第7シーブ
32 第2バックストップ
34 補助部材
35 第1スプレッダ
36 第2スプレッダ
37 一対のガイライン
38 第4ワイヤ(第1アタッチメント起伏用ワイヤ)
39 第4ウインチ
40 一対のマストガイリンク
42 第5ワイヤ(第2アタッチメント起伏用ワイヤ)
43 第1シーブブロック
44 第2シーブブロック
45 第5ウインチ
46 第3ウインチ
47 第6シーブ
51 ウエイト調整機構
52 ウエイトシリンダ
53 ウエイトガイリンク
54 パレットウエイト
60、70、80 ワイヤのガイド装置
61、71、81 ガイド機構
62、72、82、92 押圧部
63、73、83 土台部
63a 第1係合孔
64、94 保持部
65 ローラ部
66、96 付勢部
67、77、87 支持部
68、78 レール部
68a 第2係合孔
69 ビス
79a ロープ
79b 第1プーリ
79c 第2プーリ
88 ピストン部
89 シリンダ部
93 収容部