(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179196
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】洗浄ノズルおよび局部洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
E03D9/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086496
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美翔
(72)【発明者】
【氏名】上原 一人
(72)【発明者】
【氏名】薬袋 賢一
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038JA05
2D038JA09
2D038JF00
(57)【要約】
【課題】洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、直進流と旋回流とを混合させた洗浄水を適切に吐出する。
【解決手段】人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐出口を有し、洗浄水の流路が軸方向に沿って形成された筒状の洗浄ノズルは、吐出口の中心軸と同軸に連通する断面円形状の所定空間を流路に対して区画する底壁および側壁を有する隔壁部を備え、隔壁部は、流路を流通した洗浄水が所定空間内を軸方向に沿って流通するように下方から所定空間内に洗浄水を導入する第1導入口が底壁に形成されると共に、流路を流通した洗浄水が所定空間内を内周面に沿って流通するように側方から所定空間内に洗浄水を導入する第2導入口が側壁に形成されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐出口を有し、洗浄水の流路が軸方向に沿って形成された筒状の洗浄ノズルであって、
前記吐出口の中心軸と同軸に連通する断面円形状の所定空間を前記流路に対して区画する底壁および側壁を有する隔壁部を備え、
前記隔壁部は、前記流路を流通した洗浄水が前記所定空間内を軸方向に沿って流通するように下方から前記所定空間内に洗浄水を導入する第1導入口が前記底壁に形成されると共に、前記流路を流通した洗浄水が前記所定空間内を内周面に沿って流通するように側方から前記所定空間内に洗浄水を導入する第2導入口が前記側壁に形成されている
洗浄ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄ノズルであって、
前記隔壁部は、前記第1導入口の開口面積が前記第2導入口の開口面積よりも大きくなるように形成されている
洗浄ノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄ノズルであって、
前記隔壁部は、前記所定空間を円筒状に区画し、前記第1導入口が前記吐出口と同軸に洗浄水を導入するように前記底壁に1つ形成されると共に、前記第2導入口が前記内周面の接線方向に洗浄水を導入するように前記側壁に1つ形成されている
洗浄ノズル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の洗浄ノズルであって、
前記吐出口として、2つの吐出口が形成され、
前記流路として、前記2つの吐出口の一方に洗浄水を供給する給水管としての第1流路と、前記第1流路の外周面と前記洗浄ノズルの内周面との間に洗浄水を流通させて前記2つの吐出口の他方に洗浄水を供給する第2流路との2つの流路が設けられ、
前記隔壁部は、前記所定空間を前記第2流路に対して区画し、前記第2流路を流通した洗浄水を前記第1導入口および前記第2導入口から前記所定空間内に導入する
洗浄ノズル。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の洗浄ノズルを備える局部洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルおよび局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の局部洗浄装置としては、洗浄ノズルから人体局部に向けて、洗浄水の水流が直線状の直進流と、水流が旋回状(螺旋状)の旋回流とを吐出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、洗浄ノズル内に、直進流用の洗浄水の流路と、旋回流用の洗浄水の流路とが設けられており、両流路を流れた洗浄水を合流部で合流させてから吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、洗浄ノズルの軸方向に延びる2つの流路を設けるため、各流路を構成するための部材や隔壁を洗浄ノズルの軸方向の全長に亘って配置する必要がある。このため、洗浄ノズルの外径が大きくなるだけでなく、コストの増加を招いてしまう。
【0005】
本発明は、洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、直進流と旋回流とを混合させた洗浄水を適切に吐出することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の洗浄ノズルは、
人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐出口を有し、洗浄水の流路が軸方向に沿って形成された筒状の洗浄ノズルであって、
前記吐出口の中心軸と同軸に連通する断面円形状の所定空間を前記流路に対して区画する底壁および側壁を有する隔壁部を備え、
前記隔壁部は、前記流路を流通した洗浄水が前記所定空間内を軸方向に沿って流通するように下方から前記所定空間内に洗浄水を導入する第1導入口が前記底壁に形成されると共に、前記流路を流通した洗浄水が前記所定空間内を内周面に沿って流通するように側方から前記所定空間内に洗浄水を導入する第2導入口が前記側壁に形成されている
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の洗浄ノズルでは、吐出口と同軸に連通する断面円形状の所定空間を区画する隔壁部が、流路を流通した洗浄水が所定空間内を軸方向に沿って流通するように下方から導入する第1導入口が底壁に形成され、流路を流通した洗浄水が所定空間内を内周面に沿って流通するように側方から導入する第2導入口が側壁に形成されている。このため、流路を流通し隔壁部で分流された洗浄水が、底壁の第1導入口から導入されて所定空間内を軸方向に沿って直線状に流通し、側壁の第2導入口から導入されて所定空間内を内周面に沿って旋回状(螺旋状)に流通するから、直進流と旋回流とを混合させた洗浄水を吐出口から吐出することができる。これにより、直進流用の流路と旋回流用の流路の2つの流路を洗浄ノズルの軸方向に沿って別々に設ける必要がなく、2つの流路分のスペースを確保したり部材を設けたりしなくてよいから、洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えることができる。また、第1導入口と第2導入口との開口面積比の設計により所望の洗浄感を実現することが可能となる。したがって、簡易な構成で直進流と旋回流とを混合させた洗浄水を適切に吐出することができる。
【0009】
本発明の洗浄ノズルにおいて、前記隔壁部は、前記第1導入口の開口面積が前記第2導入口の開口面積よりも大きくなるように形成されているものとしてもよい。こうすれば、直進流と旋回流とを混合させたマイルドな洗浄感としつつ、直進流の比率を高めて洗浄感が損なわれるのを防止することができる。
【0010】
本発明の洗浄ノズルにおいて、前記隔壁部は、前記所定空間を円筒状に区画し、前記第1導入口が前記吐出口と同軸に洗浄水を導入するように前記底壁に1つ形成されると共に、前記第2導入口が前記内周面の接線方向に洗浄水を導入するように前記側壁に1つ形成されているものとしてもよい。こうすれば、直進流の直進性を高めつつ旋回流の旋回性を高めた構成を、より簡易な構成で実現することができる。
【0011】
本発明の洗浄ノズルにおいて、前記吐出口として、2つの吐出口が形成され、前記流路として、前記2つの吐出口の一方に洗浄水を供給する給水管としての第1流路と、前記第1流路の外周面と前記洗浄ノズルの内周面との間に洗浄水を流通させて前記2つの吐出口の他方に洗浄水を供給する第2流路との2つの流路が設けられ、前記隔壁部は、前記所定空間を前記第2流路に対して区画し、前記第2流路を流通した洗浄水を前記第1導入口および前記第2導入口から前記所定空間内に導入するものとしてもよい。こうすれば、第1流路と第2流路との2つの流路を洗浄ノズル内に設ける場合でも、第2流路をさらに直進流用と旋回流用とに分ける必要がないから、ノズルの大径化とコストの増加をより確実に抑えることができる。
【0012】
本発明の局部洗浄装置は、上述したいずれかの洗浄ノズルを備えるから、本発明の洗浄ノズルが奏する効果、即ち洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、直進流と旋回流とを混合させた洗浄水を適切に吐出する効果を奏するものとなる。このため、局部洗浄装置の大型化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】局部洗浄装置を含む洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。
【
図10】マイルド洗浄用の洗浄水を吐出する様子の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は、局部洗浄装置を含む洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。洗浄便座装置10は、
図1に示すように、便器1の上面に取り付けられ、便座装置本体12と、便座装置本体12に対して開閉可能に支持された便座14および便蓋16と、使用者による各種操作が可能な操作パネル18とを備える。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向および上下方向は、
図1に示した通りとする。
【0016】
便座装置本体12は、給水管(水道配管)に接続された洗浄水の給水路、止水弁、熱交換ユニット、洗浄水の流量や供給先を切り替える切替バルブ、洗浄水を吐出する洗浄ノズルを有するノズルユニットなどを含む局部洗浄装置を備え、これらは樹脂製のハウジング内に収容されている。熱交換ユニットは、例えば1200W程度の定格出力を有するセラミックヒータ等を内蔵し、洗浄水を瞬間的に加温可能となっている。また、切替バルブは、例えばステッピングモータにより駆動するロータリディスクバルブとして構成されており、給水口を介して供給された洗浄水の流量を調整しながら供給先を切り替え可能となっている。ノズルユニットは、洗浄ノズルとして、おしり洗浄用のおしり洗浄ノズル20とビデ洗浄用のビデ洗浄ノズルとを備え、各洗浄ノズルをそれぞれ収容位置と洗浄位置との間で前後方向に進退移動させるように構成されている。
【0017】
操作パネル18には、図示しないが、洗浄強さの強いおしり洗浄であるパワフル洗浄を指示するパワフル洗浄スイッチや洗浄強さの弱いおしり洗浄であるマイルド洗浄を指示するマイルド洗浄スイッチ、ビデ洗浄を指示するビデ洗浄スイッチ、洗浄の強さを調整するための洗浄強さ調整スイッチ、洗浄位置を前後に調整するための洗浄位置調整スイッチ、洗浄の停止を指示する停止スイッチなどが設けられている。
【0018】
以下、おしり洗浄ノズル20の構成を説明する。
図2は、おしり洗浄ノズル20の構成図であり、
図3は、
図2のA-A断面図であり、
図4は、おしり洗浄ノズル20の斜視図であり、
図5は、おしり洗浄ノズル20の分解斜視図である。また、
図6は、ヘッド部31の構成図であり、
図7は、
図6のB-B断面図であり、
図8は、
図6のC-C断面図であり、
図9は、
図7のD-D断面図である。
【0019】
本実施形態のおしり洗浄ノズル20は、パワフル洗浄とマイルド洗浄とを行うように構成された筒状部材であり、先端側にパワフル洗浄用の吐出口23とマイルド洗浄用の吐出口25とが形成されると共に、内部にパワフル洗浄用流路22とマイルド洗浄用流路24とが軸方向に延びるように設けられている。また、おしり洗浄ノズル20は、筒状の本体部30と、本体部30に同軸に取り付けられる筒状のヘッド部31と、ヘッド部31の先端(前端)に嵌め込まれる先端部材32とを組み合わせた構成となっている。なお、パワフル洗浄用の吐出口23は、先端部材32に形成され、マイルド洗浄用の吐出口25は、ヘッド部31に形成されている。また、ヘッド部31の先端側には、吐出口23を露出させるように切り欠かれた切欠部31aが形成されている。
【0020】
おしり洗浄ノズル20には、本体部30の中心孔およびヘッド部31の中心孔31b(
図6参照)を貫通するように軸方向に延在する樹脂製や金属製などの給水管34が内部に設けられている。この給水管34は、先端部材32まで到達し吐出口23に洗浄水を供給するパワフル洗浄用流路22を構成する。また、おしり洗浄ノズル20は、給水管34の外周面とおしり洗浄ノズル20の内周面(本体部30の内周面およびヘッド部31の内周面27)との間の断面円環状の空間を、マイルド洗浄用流路24として形成する。また、おしり洗浄ノズル20は、本体部30の後端に2つの接続口33aを有する給水接続部33が設けられている。給水接続部33の各接続口33aには、一端が切替バルブに接続された図示しない供給ホースの他端がそれぞれ接続されている。一方の接続口33aは、パワフル洗浄用流路22(給水管34)に連通し、供給ホースから供給された洗浄水をパワフル洗浄用流路22に供給する。また、他方の接続口33aは、マイルド洗浄用流路24に連通し、供給ホースから供給された洗浄水をマイルド洗浄用流路24に供給する。
【0021】
おしり洗浄ノズル20のヘッド部31内には、吐出口25の中心軸と同軸に連通する円筒状空間(所定空間)39を、マイルド洗浄用流路24に対して区画する隔壁部35が設けられている。隔壁部35は、マイルド洗浄用流路24の流路端に位置し、底壁36および側壁37を有する。上述したように、マイルド洗浄用流路24は、円環状の流路(空間)として形成されている。このため、側壁37は、その円環状の一部に略円弧状に延在する壁となり、マイルド洗浄用流路24の流路端の一部を形成する。
【0022】
隔壁部35には、下方から円筒状空間39内に洗浄水を導入する円形状の下方導入口36aが底壁36に形成されており、側方から円筒状空間39内に洗浄水を導入する矩形状の側方導入口37aが側壁37に形成されている。下方導入口36aは、円筒状空間39の軸方向に沿って底壁36を貫通するように1つ形成されており、本実施形態では円筒状空間39(吐出口25)の中心軸と同軸に形成されている。また、側方導入口37aは、円筒状空間39の内周面の接線方向に沿って側壁37を貫通するように1つ形成されており、接線方向に沿って側方から洗浄水を導入する。本実施形態では、下方導入口36aの開口面積が、側方導入口37aの開口面積よりも大きくなるように形成されている。例えば、下方導入口36aと側方導入口37aの開口面積の面積比が5:3となるように形成されている。なお、この面積比は一例であり、これに限られるものではない。また、下方導入口36aが矩形状などの他の形状であってもよいし、側方導入口37aが円形状などの他の形状であってもよい。
【0023】
次に、こうして構成された洗浄便座装置10の動作、特に、おしり洗浄ノズル20でマイルド洗浄を行う場合について説明する。
図10は、マイルド洗浄用の洗浄水を吐出する様子の一例を示す説明図である。
【0024】
図示するように、マイルド洗浄用流路24を流通した洗浄水は、流路端の隔壁部35で分流され、底壁36の下方導入口36aから円筒状空間39内に導入されると共に、側壁37の側方導入口37aから円筒状空間39内に導入される。上述したように、下方導入口36aは、円筒状空間39(吐出口25)の中心軸と同軸に下方から洗浄水を導入する。このため、下方導入口36aから導入された洗浄水は、円筒状空間39内を軸方向に沿って直進状に流通する直進流となる。また、側方導入口37aは、円筒状空間39内に接線方向に沿って側方から洗浄水を導入する。このため、側方導入口37aから導入された洗浄水は、円筒状空間39の内周面に沿って螺旋状に流通する旋回流となる。そして、これらの直進流と旋回流とが混ざり合った混合流が、吐出口25から人体局部に向けて吐出される。このため、直進流によるピンポイントの洗浄と旋回流によるマイルドな洗浄とによる洗浄感を使用者に与えることができる。なお、マイルド洗浄用流路24を流れた洗浄水が隔壁部35で一旦分流されてから、円筒状空間39内で再び合流するため、円筒状空間39を合流室(合流空間)ともいう。
【0025】
また、本実施形態では、下方導入口36aと側方導入口37aの面積比(流量比)が5:3であり、直進流の流量を旋回流の流量よりも多くするから、直進流と旋回流とを混合させたマイルドな洗浄感としつつ、直進流の比率を高めて洗浄感が損なわれるのを防止することができる。また、旋回流の流量を、マイルド洗浄用流路24を流通する流量(全体流量)の3/8程度として全体流量の1/3を確保する(1/3~1/2の範囲内とする)ことで、よりマイルドな洗浄感を与えることができる。このため、マイルド洗浄が行われる際の使用者の満足感を高めることができる。
【0026】
以上説明した洗浄便座装置10のおしり洗浄ノズル20は、マイルド洗浄用流路24を流通した洗浄水を隔壁部35で分流させて、底壁36の下方導入口36aと側壁37の側方導入口37aからそれぞれ円筒状空間39内に導入させる。そして、下方導入口36aから導入された洗浄水を直進流とし、側方導入口37aから導入された洗浄水を旋回流として、これらの混合流を吐出口25から吐出する。これにより、直進流用の流路と、旋回流用の流路とを、おしり洗浄ノズル20の軸方向に沿って別々に設ける必要がないから、おしり洗浄ノズル20の大径化とコストの増加を抑えることができる。このため、局部洗浄装置の大型化も防止することができる。
【0027】
また、下方導入口36aの開口面積を側方導入口37aよりも大きくするから、直進流と旋回流とを混合させたマイルドな洗浄感としつつ、直進流の比率を高めて洗浄感が損なわれるのを防止することができる。
【0028】
また、円筒状空間39(吐出口25)の中心軸と同軸に洗浄水を導入する下方導入口36aが底壁36に1つ形成され、円筒状空間39の接線方向に洗浄水を導入する側方導入口37aが側壁37に1つ形成されているから、直進流の直進性を高めつつ旋回流の旋回性を高めた構成を、より簡易な構成で実現することができる。
【0029】
また、おしり洗浄ノズル20は、パワフル洗浄用流路22とマイルド洗浄用流路24との2つの流路が設けられているが、マイルド洗浄用流路24を直進流用と旋回流用とに分ける必要がないから、3つの流路を設ける必要がない。このため、おしり洗浄ノズル20がパワフル洗浄とマイルド洗浄を行う構成としても、大径化とコストの増加を抑えることができる。
【0030】
また、おしり洗浄ノズル20は、下方導入口36aと側方導入口37aの開口面積比の設計変更により、直進流と旋回流の流量比を変えて洗浄感を変化させることができる。
【0031】
上述した実施形態では、下方導入口36aと側方導入口37aとが1つずつ形成されたが、これに限られず、いずれか一方または両方が複数形成されてもよい。このようにする場合、複数の導入口の合計の開口面積を比べて、下方導入口が側方導入口よりも大きくなるように形成されていればよい。また、下方導入口36aは、円筒状空間39の中心軸と同軸に1つだけ形成されるものに限られず、吐出口25の軸方向に沿うように(直進流の生成を促すように)洗浄水を導入するものが1つまたは複数形成されればよい。また、側方導入口37aは、円筒状空間39の内周面の接線方向に洗浄水を導入するように1つだけ形成されるものに限られず、円筒状空間39の内周面に沿うように(旋回流の生成を促すように)洗浄水を導入するものが1つまたは複数形成されればよい。
【0032】
実施形態では、下方導入口36aの開口面積を側方導入口37aよりも大きくしたが、これに限られず、下方導入口36aと側方導入口37aの開口面積を略同じとしてもよい。あるいは、側方導入口37aの開口面積を下方導入口36aよりも大きくしてもよい。なお、下方導入口36aと側方導入口37aの開口面積比が異なる複数種類のヘッド部31を本体部30に対して着脱可能としておき、使用者の好みの洗浄感に応じて選択したヘッド部31を本体部30に取り付けて使用させるようにしてもよい。
【0033】
実施形態では、隔壁部35が円筒状空間39を区画したが、これに限られず、断面円形状の空間を区画すればよい。例えば、下方から上方に向かうにつれて内径が大きくなる逆円錐状の空間を区画してもよい。
【0034】
実施形態では、パワフル洗浄用流路22をおしり洗浄ノズル20の中心に設け、マイルド洗浄用流路24を断面円環状の流路としたが、これに限られず、マイルド洗浄用流路24はパワフル洗浄用流路22(給水管34)の外周面とおしり洗浄ノズル20の内周面27との間に洗浄水を流通させるものであればよい。あるいは、マイルド洗浄用流路24をおしり洗浄ノズル20の中心に設け、パワフル洗浄用流路22を断面円環状の流路としてもよい。
【0035】
実施形態では、1つのおしり洗浄ノズル20がパワフル洗浄とマイルド洗浄とを行うものを例示したが、これに限られず、パワフル洗浄を行う洗浄ノズルとマイルド洗浄を行う洗浄ノズルとを別々に設けてもよい。そのようにする場合、マイルド洗浄を行う洗浄ノズルに本発明を適用すればよい。なお、狙いの洗浄感に応じて、下方導入口36aと側方導入口37aの開口面積比を変更し、例えば直進流の比率をより高くするなどの設計変更が可能であるから、マイルド洗浄だけでなく、パワフル洗浄に本発明を適用してもよい。また、おしり洗浄に限られず、ビデ洗浄に本発明を適用してもよい。
【0036】
本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本実施形態では、吐出口25が「吐出口」に相当し、マイルド洗浄用流路24が「流路」に相当し、おしり洗浄ノズル20が「洗浄ノズル」に相当し、隔壁部35が「隔壁部」に相当し、下方導入口36aが「第1導入口」に相当し、底壁36が「底壁」に相当し、側方導入口37aが「第2導入口」に相当し、側壁37が「側壁」に相当する。また、吐出口23が「吐出口」に相当し、パワフル洗浄用流路22が「第1流路」に相当し、マイルド洗浄用流路24が「第2流路」に相当する。
【0037】
なお、本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、本実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、本実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0038】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、局部洗浄装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 便器、10 洗浄便座装置、12 便座装置本体、14 便座、16 便蓋、18 操作パネル、20 おしり洗浄ノズル、22 パワフル洗浄用流路、23 吐出口、24 マイルド洗浄用流路、25 吐出口、27 内周面、30 本体部、31 ヘッド部、31a 切欠部、31b 中心孔、32 先端部材、33 給水接続部、33a 接続口、34 給水管、35 隔壁部、36 底壁、36a 下方導入口、37 側壁、37a 側方導入口、39 円筒状空間(所定空間,合流室)。