(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179212
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20221125BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20221125BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20221125BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20221125BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20221125BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221125BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20221125BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L29/78 658H
H01L29/78 657D
H01L29/78 655F
H01L29/78 655G
H01L29/78 652Q
H01L29/78 657A
H01L29/78 657F
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/91 C
H01L29/91 J
H01L29/91 F
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
H01L29/78 652R
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086533
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪内 源宜
【テーマコード(参考)】
5F048
【Fターム(参考)】
5F048AC10
5F048BA11
5F048BA15
5F048BB09
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC12
5F048BD06
5F048BF02
5F048BF03
5F048BF07
(57)【要約】
【課題】半導体装置では、トランジスタ部のダイオード部と隣接する境界領域において、閾値電圧が低下するという問題がある。
【解決手段】半導体装置は、活性領域および外周領域を有する半導体基板を備え、活性領域はトランジスタ部およびダイオード部を有し、外周領域は電流センス部を有し、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域が、ダイオード部からトランジスタ部の少なくとも一部にわたって設けられ、電流センス部は、ライフタイム制御領域が設けられていないセンストランジスタ非照射領域と、ライフタイム制御領域が設けられたセンストランジスタ照射領域とを有する。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性領域および外周領域を有する半導体基板を備え、
前記活性領域はトランジスタ部およびダイオード部を有し、
前記外周領域は電流センス部を有し、
ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域が、前記ダイオード部から前記トランジスタ部の少なくとも一部にわたって設けられ、
前記電流センス部は、前記ライフタイム制御領域が設けられていないセンストランジスタ非照射領域と、前記ライフタイム制御領域が設けられたセンストランジスタ照射領域とを有する
半導体装置。
【請求項2】
前記センストランジスタ照射領域と前記センストランジスタ非照射領域との面積比率は、前記トランジスタ部において前記ライフタイム制御領域が設けられた境界領域と非境界領域との面積比率と等しい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板のおもて面の上方に設けられたゲート金属層と、
前記半導体基板のおもて面の上方に設けられたエミッタ電極と、
前記トランジスタ部、前記ダイオード部および前記電流センス部において前記半導体基板のおもて面側に設けられた複数のトレンチ部と
をさらに備え、
前記複数のトレンチ部は、前記ゲート金属層と電気的に接続されたゲートトレンチ部および前記エミッタ電極と電気的に接続されたダミートレンチ部を含み、
前記電流センス部における単位長さあたりの前記ゲートトレンチ部の本数と前記ダミートレンチ部の本数との比率が、前記トランジスタ部における前記比率と等しい
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電流センス部は、前記電流センス部の対向する端部の一方に沿って延伸する第1領域と他端に沿って延伸する第2領域を有し、第1および第2領域は前記センストランジスタ非照射領域または前記センストランジスタ照射領域のいずれか一方である
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電流センス部は、前記センストランジスタ非照射領域と前記センストランジスタ照射領域との間に無効領域をさらに有する
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記無効領域にはエミッタ電位に設定されたトレンチ部が設けられている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記無効領域において前記半導体基板のおもて面側に設けられた複数のトレンチ部の間のメサ部の上面が、前記エミッタ電極と接触していない
請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記トランジスタ部および前記電流センス部は、前記半導体基板のおもて面に設けられた第1導電型のエミッタ領域を有し、
前記無効領域には前記エミッタ領域が設けられていない
請求項5から7の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記無効領域には、第2導電型の分離領域が設けられている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トランジスタ部および前記ダイオード部は、前記半導体基板のおもて面に設けられた第2導電型のベース領域を有し、
前記無効領域は、前記半導体基板のおもて面に設けられた第2導電型のウェル領域を有し、前記ウェル領域のドーピング濃度は、前記ベース領域のドーピング濃度より高い
請求項5から9の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板のおもて面の上方に、前記電流センス部を覆うパッシベーション層をさらに備え、
前記パッシベーション層は、前記センストランジスタ照射領域の上方に位置する開口部を有する
請求項1から10の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記開口部は、端部が前記センストランジスタ照射領域の端部と重なる、または前記センストランジスタ照射領域の全体を覆うように配置される
請求項11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等のトランジスタ部と、ダイオード部とを同一基板に形成した半導体装置において、ヘリウムイオン等の粒子線を半導体基板の所定深さ位置に照射し、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、電流センス部を有する半導体装置が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献1 特開2017-135339号公報
特許文献2 国際公開第2014/013618号
特許文献3 特開2018-67624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような半導体装置では、トランジスタ部のダイオード部と隣接する境界領域において、閾値電圧が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、活性領域および外周領域を有する半導体基板を備え、活性領域はトランジスタ部およびダイオード部を有し、外周領域は電流センス部を有し、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域が、ダイオード部からトランジスタ部の少なくとも一部にわたって設けられ、電流センス部は、ライフタイム制御領域が設けられていないセンストランジスタ非照射領域と、ライフタイム制御領域が設けられたセンストランジスタ照射領域とを有する。
【0005】
センストランジスタ照射領域とセンストランジスタ非照射領域との面積比率は、トランジスタ部においてライフタイム制御領域が設けられた境界領域と非境界領域との面積比率と等しくてよい。
【0006】
半導体装置は、半導体基板のおもて面の上方に設けられたゲート金属層と、半導体基板のおもて面の上方に設けられたエミッタ電極と、トランジスタ部、ダイオード部および電流センス部において半導体基板のおもて面側に設けられた複数のトレンチ部とをさらに備え、複数のトレンチ部は、ゲート金属層と電気的に接続されたゲートトレンチ部およびエミッタ電極と電気的に接続されたダミートレンチ部を含み、電流センス部における単位長さあたりのゲートトレンチ部の本数とダミートレンチ部の本数との比率が、トランジスタ部における比率と等しくてよい。
【0007】
電流センス部は、電流センス部の対向する端部の一方に沿って延伸する第1領域と他端に沿って延伸する第2領域を有し、第1および第2領域はセンストランジスタ非照射領域またはセンストランジスタ照射領域のいずれか一方であってよい。
【0008】
電流センス部は、センストランジスタ非照射領域とセンストランジスタ照射領域との間に無効領域をさらに有してよい。
【0009】
無効領域にはエミッタ電位に設定されたトレンチ部が設けられていてよい。
【0010】
無効領域において半導体基板のおもて面側に設けられた複数のトレンチ部の間のメサ部の上面が、エミッタ電極と接触していなくてよい。
【0011】
トランジスタ部および電流センス部は、半導体基板のおもて面に設けられた第1導電型のエミッタ領域を有し、無効領域にはエミッタ領域が設けられていなくてよい。
【0012】
無効領域には、第2導電型の分離領域が設けられていてよい。
【0013】
トランジスタ部およびダイオード部は、半導体基板のおもて面に設けられた第2導電型のベース領域を有し、無効領域は、半導体基板のおもて面に設けられた第2導電型のウェル領域を有し、ウェル領域のドーピング濃度は、ベース領域のドーピング濃度より高くてよい。
【0014】
半導体基板のおもて面の上方に、電流センス部を覆うパッシベーション層をさらに備え、パッシベーション層は、センストランジスタ照射領域の上方に位置する開口部を有してよい。
【0015】
開口部は、端部がセンストランジスタ照射領域の端部と重なる、またはセンストランジスタ照射領域の全体を覆うように配置されてよい。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】半導体装置100の上面の一例を示す図である。
【
図3A】電流センス部210の近傍を拡大した上面図である。
【
図4A】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4B】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4C】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4D】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4E】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4G】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図5A】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図6A】電流センス部210の近傍を拡大した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」または「おもて」、他方の側を「下」または「裏」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面をおもて面、他方の面を裏面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
【0020】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸およびZ軸に平行な方向を意味する。
【0021】
本明細書では、半導体基板のおもて面および裏面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板のおもて面および裏面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板のおもて面および裏面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
【0022】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0023】
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタの何れかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
【0024】
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をND、アクセプタ濃度をNAとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はND-NAとなる。
【0025】
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。
【0026】
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。
【0027】
本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の濃度を指す。化学濃度は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア濃度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア濃度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア濃度を、アクセプタ濃度としてもよい。
【0028】
また、ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。
【0029】
SR法により計測されるキャリア濃度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。
【0030】
CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。
【0031】
図1は、半導体装置100の上面の一例を示す図である。
図1においては、各部材を半導体基板10のおもて面に投影した位置を示している。
図1においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
【0032】
半導体装置100は、半導体基板10を備えている。半導体基板10は、上面視において端辺102を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10のおもて面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺102を有する。
図1においては、X軸およびY軸は、何れかの端辺102と平行である。またZ軸は、半導体基板10のおもて面と垂直である。
【0033】
半導体基板10は、活性領域160、外周領域180およびエッジ終端領域190を有する。活性領域160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10のおもて面と裏面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性領域160の上方にはエミッタ電極が設けられているが、
図1では省略している。
【0034】
活性領域160には、IGBT等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70と、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80の少なくとも一方が設けられている。
図1の例では、トランジスタ部70およびダイオード部80は、半導体基板10のおもて面における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、交互にストライプ状に配置されている。他の例では、活性領域160には、トランジスタ部70内にダイオード部80が格子状に配置されていてもよい。
【0035】
図1においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。本明細書では、上面視において配列方向と垂直な方向を延伸方向(
図1ではY軸方向)と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。
【0036】
トランジスタ部70のX軸方向における幅は、ダイオード部80のX軸方向における幅より大きい。また、トランジスタ部70のX軸方向における幅は、ダイオード部80のX軸方向における幅と同じ幅であってもよい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
【0037】
ダイオード部80は、半導体基板10の裏面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の裏面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲートランナーまでY軸方向に延長した延長領域も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域の下面には、コレクタ領域が設けられている。
【0038】
トランジスタ部70は、半導体基板10の裏面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10のおもて面側に、N型のエミッタ領域、P型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
【0039】
半導体装置100は、ゲートトレンチ部の導電部をゲートパッドと電気的に接続するゲートランナー48を備える。ゲートランナー48は、上面視において活性領域160と半導体基板10の端辺102との間に配置されている。本例のゲートランナー48は、上面視において活性領域160を囲んでいる。上面視においてゲートランナー48に囲まれた領域を活性領域160、ゲートランナー48から端辺102側を外周領域180としてもよい。
【0040】
ゲートランナー48は、半導体基板10の上方に配置されている。本例のゲートランナー48は、不純物がドープされたポリシリコン等で形成されてよい。ゲートランナー48は、ゲートトレンチ部の内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート導電部と電気的に接続する。
【0041】
外周領域180は、活性領域160を囲む。外周領域180は、半導体基板10の上方に設けられた1つ以上のパッドを有してよい。一例として、半導体装置100は、アノードパッド、カソードパッドおよび電流検出パッド等のパッドを有する。各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
【0042】
外周領域180は、電流センス部210を有する。電流センス部210は、トランジスタ部70に流れる電流を検出する。外周領域180は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである温度センス部をさらに有してもよい。電流センス部210の上方には電流センスエミッタ電極53が設けられているが、
図1では省略している。
【0043】
本例のエッジ終端領域190は、外周領域180と端辺102との間に配置されている。エッジ終端領域190は、半導体基板10のおもて面側の電界集中を緩和する。
【0044】
エッジ終端領域190は、ガードリング92を有してよい。ガードリング92は、半導体基板10のおもて面と接するP型の領域である。なお、本例のエッジ終端領域190は複数のガードリング92を有するが、
図1では省略して1つのガードリング92のみが示されている。複数のガードリング92を設けることで、活性領域160の上面側における空乏層を外側に伸ばすことができ、半導体装置100の耐圧を向上できる。エッジ終端領域190は、外周領域180を囲んで環状に設けられたフィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを更に備えていてもよい。
【0045】
なお、半導体基板10の上方には、パッシベーション層230が設けられているが、
図1では省略している。パッシベーション層230は、ポリイミド等で形成され、半導体基板10のおもて面側の全体を覆う保護膜である。パッシベーション層230は、外周領域180に設けられたパッドおよびワイヤ等に対応する位置に開口部を有してよい。
【0046】
図2Aは、
図1の領域Aを拡大した上面図である。半導体装置100は、IGBT等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70と、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80とを有する半導体基板を備える。
【0047】
本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面側の内部に設けられたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、それぞれがトレンチ部の一例である。
【0048】
また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面の上方に設けられたゲート金属層50およびエミッタ電極52を備える。ゲート金属層50およびエミッタ電極52は、互いに分離して設けられる。ゲート金属層50とエミッタ電極52とは、電気的に絶縁される。
【0049】
エミッタ電極52およびゲート金属層50と、半導体基板10のおもて面との間には層間絶縁膜が設けられるが、
図2Aでは省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール49、54および56が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。
図2Aにおいては、それぞれのコンタクトホールに斜線のハッチングを付している。
【0050】
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に設けられる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54によって、半導体基板10のおもて面におけるエミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15と電気的に接続する。
【0051】
また、エミッタ電極52は、コンタクトホール56によってダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52とダミー導電部との間には、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料で形成された接続部25が設けられてよい。接続部25は、層間絶縁膜およびダミートレンチ部30のダミー絶縁膜等の絶縁膜を介して半導体基板のおもて面に設けられる。
【0052】
ゲート金属層50は、コンタクトホール49によってゲートランナー48と電気的に接続する。ゲートランナー48は、不純物がドープされたポリシリコン等で形成されてよい。ゲートランナー48は、半導体基板10のおもて面において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部に接続する。ゲートランナー48は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部およびエミッタ電極52には電気的に接続しない。
【0053】
ゲートランナー48とエミッタ電極52とは層間絶縁膜および酸化膜などの絶縁物により電気的に分離される。本例のゲートランナー48は、コンタクトホール49の下方から、ゲートトレンチ部40の先端部まで設けられる。ゲートトレンチ部40の先端部においてゲート導電部は半導体基板のおもて面に露出しており、ゲートランナー48と接続する。
【0054】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む導電性材料で形成される。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム-シリコン合金で形成される。各電極は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。
【0055】
各電極は、コンタクトホール内においてタングステン等で形成されたプラグを有してもよい。プラグは、半導体基板10に接する側にバリアメタルを有し、バリアメタルに接するようにタングステンを埋め込み、タングステン上にアルミニウム等で形成されてよい。
【0056】
なおプラグは、コンタクト領域15またはベース領域14に接するコンタクトホールに設けられる。また、プラグのコンタクトホールの下にはP++型のプラグ領域を形成し、コンタクト領域15よりドーピング濃度が高い。これは、バリアメタルとコンタクト領域15との接触抵抗を改善することができる。また、プラグ領域の深さは約0.1μm以下であり、コンタクト領域15の深さと比べて10%以下と小さい領域を持つ。
【0057】
プラグ領域が接触抵抗を改善することにより、トランジスタ部70の動作において、ラッチアップ耐量が向上する。一方、ダイオード部80の動作においては、導通損失、スイッチング損失の上昇を抑制することができる。
【0058】
ウェル領域11は、ゲートランナー48から外周領域180と重なって延伸し、上面視で環状に設けられている。ウェル領域11は、ゲートランナー48の内側の活性領域160にも、所定の幅で延伸し、上面視で環状に設けられている。本例のウェル領域11は、コンタクトホール54のY軸方向の端部よりもゲートランナー48側に離れた範囲に設けられている。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。ウェル領域11のドーピング濃度は、コンタクト領域15のドーピング濃度と同じであってよく、またはこれより低くてもよい。ゲートランナー48は、ウェル領域11と電気的に絶縁される。
【0059】
本例のベース領域14はP-型であり、ウェル領域11はP+型である。また、ウェル領域11は、半導体基板のおもて面から、ベース領域14の下端よりも深い位置まで形成されている。ベース領域14は、トランジスタ部70およびダイオード部80において、ウェル領域11に接して設けられている。ウェル領域11は、エミッタ電極52と電気的に接続されている。
【0060】
トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれは、配列方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、配列方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、配列方向に沿って設けられている。
【0061】
本例のゲートトレンチ部40は、配列方向と垂直な延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分41(延伸方向に沿って直線状であるトレンチの部分)と、2つの延伸部分41を接続する接続部分43を有してよい。
【0062】
接続部分43の少なくとも一部は、上面視において曲線状に設けられてよい。2つの延伸部分41のY軸方向における端部同士を接続部分43がゲートランナー48と接続することで、ゲートトレンチ部40へのゲート電極として機能する。一方、接続部分43を曲線状にすることにより延伸部分41で完結するよりも、端部における電界集中を緩和できる。
【0063】
トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30はゲートトレンチ部40のそれぞれの延伸部分41の間に設けられる。
図2Aの例では、それぞれの延伸部分41の間に2本のダミートレンチ部30が設けられているが、1本のダミートレンチ部30が設けられてもよく、2本より多くのダミートレンチ部30が設けられてもよい。
【0064】
またそれぞれの延伸部分41の間には、ダミートレンチ部30が設けられなくてもよく、ゲートトレンチ部40が設けられてもよい。このような構造により、エミッタ領域12からの電子電流を増大することができるため、オン電圧が低減する。
【0065】
ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する直線形状を有してよく、ゲートトレンチ部40と同様に、延伸部分31と接続部分33とを有していてもよい。
図2Aに示した半導体装置100は、接続部分33を有するダミートレンチ部30のみが配列されているが、他の例においては、半導体装置100は、接続部分33を有さない直線形状のダミートレンチ部30を含んでもよい。
【0066】
ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域11に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向(Z軸方向正側)の底部は、ウェル領域11に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
【0067】
配列方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の深さ位置は、半導体基板のおもて面からトレンチ部の下端までである。
【0068】
本例のメサ部は、X軸方向において隣接するトレンチ部に挟まれ、半導体基板10のおもて面においてトレンチに沿って延伸方向(Y軸方向)に延伸して設けられている。
図2Bで後述するように、本例では、トランジスタ部70にはメサ部60が設けられ、ダイオード部80にはメサ部61が設けられている。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部60およびメサ部61のそれぞれを指している。
【0069】
それぞれのメサ部には、ベース領域14が設けられる。それぞれのメサ部には、上面視においてベース領域14に挟まれた領域に、第1導電型のエミッタ領域12および第2導電型のコンタクト領域15の少なくとも一方が設けられてよい。本例のエミッタ領域12はN+型であり、コンタクト領域15はP+型である。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、深さ方向において、ベース領域14と半導体基板10のおもて面との間に設けられてよい。
【0070】
トランジスタ部70のメサ部は、半導体基板10のおもて面に露出したエミッタ領域12を有する。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40に接して設けられている。ゲートトレンチ部40に接するメサ部には、半導体基板10のおもて面に露出したコンタクト領域15が設けられている。
【0071】
メサ部におけるコンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。一例として、メサ部のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って交互に配置されている。
【0072】
他の例においては、メサ部のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿ってストライプ状に設けられていてもよい。例えばトレンチ部に接する領域にエミッタ領域12が設けられ、エミッタ領域12に挟まれた領域にコンタクト領域15が設けられる。
【0073】
ダイオード部80のメサ部には、エミッタ領域12が設けられていない。ダイオード部80のメサ部の上面には、ベース領域14が設けられてよい。ベース領域14は、ダイオード部80のメサ部全体に配置されてよい。
【0074】
それぞれのメサ部の上方には、コンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール54は、その延伸方向(Y軸方向)においてベース領域14に挟まれた領域に配置されている。本例のコンタクトホール54は、コンタクト領域15、ベース領域14およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。コンタクトホール54は、メサ部の配列方向(X軸方向)における中央に配置されてよい。
【0075】
ダイオード部80において、半導体基板の裏面と隣接する領域には、N+型のカソード領域82が設けられる。半導体基板の裏面において、カソード領域82が設けられていない領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。
図2Aにおいては、カソード領域82およびコレクタ領域22の境界を点線で示している。
【0076】
カソード領域82は、Y軸方向においてウェル領域11から離れて配置されている。これにより、比較的にドーピング濃度が高く、且つ、深い位置まで形成されているP型の領域(ウェル領域11)と、カソード領域82との距離を確保することにより、ウェル領域11からのホール注入を抑制できるため、逆回復損失を低減できる。本例のカソード領域82のY軸方向における端部は、コンタクトホール54のY軸方向における端部よりも、ウェル領域11から離れて配置されている。他の例では、カソード領域82のY軸方向における端部は、ウェル領域11とコンタクトホール54との間に配置されていてもよい。
【0077】
図2Bは、
図2Aのa-a'断面を示す図である。a-a'断面は、コンタクト領域15、ベース領域14、並びにゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30を通るXZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。
【0078】
層間絶縁膜38は、半導体基板10のおもて面21に設けられている。層間絶縁膜38は、ボロンまたはリン等の不純物が添加されたシリケートガラス等の絶縁膜である。層間絶縁膜38はおもて面21に接していてよく、層間絶縁膜38とおもて面21との間に酸化膜等の他の膜が設けられていてもよい。層間絶縁膜38には、
図2Aにおいて説明したコンタクトホール54が設けられている。
【0079】
エミッタ電極52は、半導体基板10のおもて面21および層間絶縁膜38の上面に設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38のコンタクトホール54によって、おもて面21と電気的に接続する。コンタクトホール54の内部には、バリアメタル膜を介してタングステン(W)等のプラグ(不図示)を埋め込んでもよい。また、コンタクトホール54の開口されている半導体基板10の表面層には、プラグ領域17が設けられていてよい。プラグ領域17は、P型である。プラグ領域17のドーピング濃度は、コンタクト領域15のドーピング濃度よりも高い。
【0080】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、金属を含む材料またはそれらの積層膜で形成される。
【0081】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10はシリコン基板である。
【0082】
半導体基板10は、第1導電型のドリフト領域18を有する。本例のドリフト領域18は、N-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が設けられずに残存した領域であってよい。
【0083】
ドリフト領域18の上方には、Z軸方向に一つ以上の蓄積領域16が設けられてよい。蓄積領域16は、ドリフト領域18と同じドーパントが、ドリフト領域18よりも高濃度に蓄積した領域である。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。
【0084】
本例の蓄積領域16は、N型である。蓄積領域16は、トランジスタ部70のみに設けられていてもよく、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方に設けられていてもよい。蓄積領域16を設けることで、キャリアの注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減できる。
【0085】
トランジスタ部70において、ベース領域14の上方には、おもて面21に接してエミッタ領域12が設けられる。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。エミッタ領域12のドーパントは、一例としてヒ素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)等である。
【0086】
ダイオード部80には、おもて面21に露出したベース領域14が設けられる。ダイオード部80のベース領域14は、アノードとして動作する。
【0087】
ドリフト領域18の下方には、第1導電型のバッファ領域20が設けられてよい。本例のバッファ領域20は、N型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、コレクタ領域22およびカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0088】
トランジスタ部70において、バッファ領域20の下方にはコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22は、裏面23においてカソード領域82と接して設けられていてよい。
【0089】
ダイオード部80において、バッファ領域20の下方にはカソード領域82が設けられる。カソード領域82は、トランジスタ部70のコレクタ領域22と同じ深さに設けられてよい。ダイオード部80は、トランジスタ部70がターンオフする時に、逆方向に導通する還流電流を流す還流ダイオード(FWD)として機能してよい。
【0090】
半導体基板10には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられる。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、おもて面21からベース領域14および蓄積領域16を貫通して、ドリフト領域18に到達するように設けられる。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
【0091】
ゲートトレンチ部40は、おもて面21に設けられたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、酸化膜または窒化膜で形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側を埋め込むように設けられる。ゲート導電部44の上面は、おもて面21と同じXY平面内にあってよい。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、不純物がドープされたポリシリコン等で形成される。
【0092】
ゲート導電部44は、深さ方向においてベース領域14よりも長く設けられてよい。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0093】
ダミートレンチ部30は、XZ断面においてゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー絶縁膜32は、酸化膜または窒化膜で形成してよい。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部においてダミー絶縁膜32よりも内側を埋め込むように設けられる。ダミー導電部34の上面は、おもて面21と同じXY平面内にあってよい。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。
【0094】
本例のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われている。なお、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の底部は、下側に凸の曲面状(断面においては曲線状)であってよい。
【0095】
ダイオード部80において、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御領域が、ドリフト領域18に局所的に設けられている。ライフタイムキラーは、例えば、ヘリウムイオン、水素イオン(プロトン、デューテロン)等を注入することで、半導体基板10の所定の深さ位置に形成される結晶欠陥である。ライフタイム制御領域は、ダイオード部80のターンオフ時にベース領域14で発生する正孔とカソード領域82から注入される電子との再結合を促進し、逆回復時のピーク電流を抑制する。
【0096】
ライフタイム制御領域85は、マスクを用いて、半導体基板10のおもて面21又は裏面23からプロトン又はヘリウムを照射することにより形成されてよい。一例として、プロトン又はヘリウムは、ライフタイム制御領域85を形成しない領域をマスクで遮蔽した状態で、マスクの開口部を通して、トランジスタ部70およびダイオード部80に照射される。プロトン又はヘリウムは、マスクで遮蔽された領域には照射されない。
【0097】
図2Bにおいて、ライフタイムキラーの濃度分布のZ軸方向におけるピーク位置が「×」の記号で示される。本例のライフタイム制御領域85のZ軸方向におけるピーク位置は、ウェル領域11の下面のZ軸方向における位置と等しくてもよく、ウェル領域11の下面のZ軸方向における位置よりも下方に設けられてもよい。また、ライフタイム制御領域85は、Z軸方向にライフタイムキラーの濃度分布のピークを複数持つように形成されていてもよい。
【0098】
本例のライフタイム制御領域85は、ダイオード部80からトランジスタ部70の少なくとも一部にわたって連続的に設けられている。トランジスタ部70において、ライフタイム制御領域85が設けられた領域を境界領域75と称する。ダイオード部の導通時には、ダイオード部80のベース領域14のみならず、トランジスタ部70のベース領域14からカソード領域82に向かう正孔電流が発生する。トランジスタ部70が、ライフタイム制御領域85が設けられた境界領域75を有することにより、キャリア消滅を促進し、ターンオフ時の逆回復損失を低減する。
【0099】
ただし、境界領域75のトレンチ部では、ヘリウム又はプロトンが半導体基板10のおもて面21又は裏面23から照射された際にゲート絶縁膜42にダメージが入り、界面準位が変化する。照射されたゲート絶縁膜42にゲート電圧が印加されると、照射されていないゲート絶縁膜42よりも、隣接するベース領域14に反転層が形成されやすい。そのため、境界領域75では、トランジスタ部70の境界領域75以外の領域と比べて閾値電圧が低下する。
【0100】
図3Aは、電流センス部210の近傍を拡大した上面図である。本例の電流センス部210は、ウェル領域11a、11bに囲まれている。電流センス部210を囲むウェル領域11aとウェル領域11aを囲むウェル領域11bとの間には、ドリフト領域18がおもて面21に露出した領域が形成され、ウェル領域11aとウェル領域11bとを分離している。ウェル領域11aは、後述する電流センスエミッタ電極53と同電位に接続され、ウェル領域11bはエミッタ電極52と同電位に接続される。
【0101】
本例では、パッシベーション層230の開口部232が電流センス部210と重なるように設けられている。
図3Aにおいては、パッシベーション層230において開口部232以外の領域に斜線のハッチングを付している。
【0102】
電流センス部210は、エミッタ配置領域216と、エミッタ非配置領域214とを有する。エミッタ配置領域216は、上面視においてエミッタ領域12が周期的に配置された領域である。例えばエミッタ配置領域216には、
図2A等に示したように、エミッタ領域12とコンタクト領域15とがX軸方向に沿って交互に配置されている。エミッタ配置領域216は、電流センス部210の上面視における中央を含む領域であってよい。
【0103】
エミッタ非配置領域214は、エミッタ領域12が設けられていない領域である。エミッタ非配置領域214の上面には、P型の領域が露出していてよい。当該P型の領域は、コンタクト領域15と同一のドーピング濃度を有してよく、ベース領域14と同一のドーピング濃度を有してよく、他のドーピング濃度を有していてもよい。
【0104】
本例の電流センス部210は、トランジスタ部70と同様の構造を有することで、トランジスタ部70に流れる電流を、上面視におけるチャネル面積比に応じた比率で模擬する。上面視における電流センス部210の面積は、トランジスタ部70の面積よりも小さい。電流センス部210の面積は、半導体基板10の上面に配置されたゲートパッド208等の各パッドの面積より小さくてもよい。
【0105】
なお、本明細書において電流センス部210という場合、トランジスタとして動作しないエミッタ非配置領域214を除外したエミッタ配置領域216のみを指すことがある。
【0106】
エミッタ非配置領域214は、上面視においてエミッタ配置領域216を囲んで設けられている。一例として、エミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214の上面視における外形は矩形である。エミッタ非配置領域214は、上面視においてウェル領域11aに囲まれている。さらに、ウェル領域11aは、上面視において、ドリフト領域18を挟んでウェル領域11bに囲まれている。
【0107】
エミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214には、複数のトレンチ部と、各メサ部が配置されている。
図3Aにおいては、一部のトレンチ部を破線で示している。それぞれのトレンチ部は、Y軸方向に延伸して設けられている。複数のトレンチ部は、ゲートトレンチ部40を含む。複数のトレンチ部は、ダミートレンチ部30をさらに含んでよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30と同様の構造を有する。
【0108】
Y軸方向においてエミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214が並んで配置されている場合、トレンチ部は、エミッタ配置領域216、エミッタ非配置領域214およびウェル領域11aに跨って連続して設けられてよい。ゲートトレンチ部40のY軸方向における端部は、ウェル領域11aの内部に設けられてよい。これにより、ゲートトレンチ部40の端部への電界集中を緩和できる。
【0109】
また、ウェル領域11aには、Y軸方向に延伸するトレンチ部が設けられてよい。ウェル領域11a内には、エミッタ領域12は設けられない。
【0110】
図3Aの例では、上面視における開口部232の端部は、エミッタ非配置領域214の外周に沿って配置されている。他の例では、開口部232の端部は、エミッタ非配置領域214の上方に配置されてもよく、エミッタ配置領域216の外周に沿って配置されていてもよい。あるいは、開口部232の端部は、上面視で、エミッタ非配置領域214、ウェル領域11a、11bまたはドリフト領域18を露出させていてもよい。また、電流センス部210のX軸方向端部には、エミッタ非配置領域214が設けられていなくてもよい。
【0111】
図3Bは、
図3Aのa-a'断面を示す図である。a-a'断面は、電流センス部210のエミッタ領域12を通るXZ面である。本例の電流センス部210は、ライフタイム制御領域85が設けられていないセンストランジスタ非照射領域218と、ライフタイム制御領域85が設けられたセンストランジスタ照射領域220とを有する。
【0112】
また、電流センス部210の上方には、電流センスエミッタ電極53が設けられている。電流センスエミッタ電極53は、活性領域160の上方に設けられるエミッタ電極52と電気的に絶縁している。
【0113】
電流センス部210内のトレンチ部、不純物層、電極等は、トランジスタ部70を設けるプロセスと同じプロセスで設けられてよい。電流センス部210において、ライフタイム制御領域85は、活性領域160にライフタイム制御領域85を設けるプロセスと同じプロセスで設けられてよい。
【0114】
なお、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220はいずれも、エミッタ領域12が設けられた領域であり、エミッタ配置領域216に含まれる。
図3Bの例では、エミッタ非配置領域214には、コンタクト領域15がトレンチ部に隣接して設けられている。
【0115】
センストランジスタ照射領域220とセンストランジスタ非照射領域218との面積比率は、トランジスタ部70における境界領域75と境界領域75以外の領域との面積比率と等しい。
【0116】
このように、電流センス部210において、ライフタイム制御領域85が設けられた領域の面積比率をトランジスタ部70に合わせることで、閾値電圧を揃えることができる。
【0117】
本例では、各トレンチ部の配列方向の単位長さに含まれる、ゲートトレンチ部40の本数Gを、ダミートレンチ部30の本数Eで除算した値G/Eを、ゲートエミッタ比率と称する。電流センス部210におけるゲートエミッタ比率は、トランジスタ部70におけるゲートエミッタ比率と等しい。
【0118】
つまり、電流センス部210においては、トランジスタ部70と同じ密度でゲートトレンチ部40が配置されている。電流センス部210のゲートエミッタ比率は、電流センス部210内においてX軸方向に配列された全てのトレンチ部の本数から算出してよい。トランジスタ部70のゲートエミッタ比率も、トランジスタ部70内においてX軸方向に配列された全てのトレンチ部の本数から算出してよい。
【0119】
図3Cは、
図3Aのb-b'断面を示す図である。b-b'断面は、電流センス部210のゲートトレンチ部40を通るY軸方向断面であり、電流センス部210のY軸方向負側、すなわちエッジ終端領域190側の端部近傍を示す。
【0120】
本例の電流センス部210は、ウェル領域11に囲まれている。電流センス部210およびウェル領域11は、おもて面21に露出したドリフト領域18によって分離されている。ウェル領域11の下端(Z軸方向正側の端部)は、ゲートトレンチ部40の下端より下方(Z軸方向正側)に位置する。
【0121】
図3Cには示されていないが、電流センス部210のゲートトレンチ部40のY軸方向正側(活性領域160側)における端部は、ゲートランナー48と重なる位置に設けられてよい。これにより、ゲートトレンチ部40と、ゲートランナー48とを容易に接続できる。
【0122】
本例では、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30はストライプ状を示しているが格子状としてもよい。また、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、ストライプ状および格子状の組み合わせであってもよく、適宜変更可能である。
【0123】
図4A~
図4Eは、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の例を説明するための図である。
図4A~
図4Eにおいては、パッシベーション層230の開口部232の端部が、上面視で、電流センス部210のエミッタ非配置領域214の端部に沿って配置されている。本例において、電流センス部210の端部とは、エミッタ配置領域216の端部を指す。
図4A~
図4Eにおいては、パッシベーション層230において開口部232以外の領域に斜線のハッチングを付している。
【0124】
なお、
図4A~
図4Eに示すパッシベーション層230の開口部232の端部は、上面視で、電流センス部210のエミッタ非配置領域214の端部に沿って配置されていなくてもよい。パッシベーション層230の開口部232は、上面視で、エミッタ配置領域216、ウェル領域11a、11bまたはドリフト領域18を露出させていてもよい。
【0125】
図4A~
図4Eでは、エミッタ配置領域216の外周にエミッタ非配置領域214が設けられている。パッシベーション層230の開口部232の端部は、上面視で、電流センス部210のエミッタ配置領域216の端部に沿って配置されてもよい。
【0126】
エミッタ配置領域216は、X軸方向に延伸する対向する一対の端部216Xと、Y軸方向に延伸する対向する一対の端部216Yとを有する。
図4Aの例では、電流センス部210は、端部216Yの一方に沿って延伸するセンストランジスタ非照射領域218と、端部216Yの他方に沿って延伸するセンストランジスタ非照射領域218と、これらのセンストランジスタ非照射領域218の間においてY軸方向に延伸するセンストランジスタ照射領域220とを有する。
【0127】
図4Bの例では、電流センス部210は、端部216Xの一方に沿って延伸するセンストランジスタ非照射領域218と、端部216Xの他方に沿って延伸するセンストランジスタ非照射領域218と、これらのセンストランジスタ非照射領域218の間においてX軸方向に延伸するセンストランジスタ照射領域220とを有する。
【0128】
このように、センストランジスタ照射領域220を、センストランジスタ非照射領域218の間においてX軸またはY軸方向に延伸して配置することにより、照射時に用いるレジストマスクの開口部の位置がX軸またはY軸方向にずれてセンストランジスタ照射領域220の位置がずれた場合であっても、電流センス部210においてセンストランジスタ照射領域220が占有する面積は変化しない。よって、電流センス部210において、ライフタイム制御領域85が設けられた領域の面積比率を容易にトランジスタ部70に合わせることができる。
【0129】
図4Cの例では、電流センス部210は、端部216Yの一方に沿って延伸するセンストランジスタ照射領域220と、端部216Yの他方に沿って延伸するセンストランジスタ照射領域220と、これらのセンストランジスタ照射領域220の間においてY軸方向に延伸するセンストランジスタ非照射領域218とを有する。
【0130】
つまり、
図4Cは、
図4Aの例において、センストランジスタ非照射領域218とセンストランジスタ照射領域220とが入れ替えられた例を示す。同様に、
図4Bの例において、センストランジスタ非照射領域218とセンストランジスタ照射領域220とを入れ替えてもよい。このような場合でも、電流センス部210において、ライフタイム制御領域85が設けられた領域の面積比率を容易にトランジスタ部70に合わせることができる。
【0131】
図4Dの例では、電流センス部210は、端部216X、216Yに沿って配置されたセンストランジスタ非照射領域218と、センストランジスタ非照射領域218に囲まれたセンストランジスタ照射領域220とを有する。
【0132】
このように、センストランジスタ照射領域220を、センストランジスタ非照射領域218に囲まれるように配置することにより、照射時に用いるレジストマスクの開口部の位置がX軸またはY軸方向にずれてセンストランジスタ照射領域220の位置がずれた場合であっても、電流センス部210においてセンストランジスタ照射領域220が占有する面積は変化しない。よって、電流センス部210において、ライフタイム制御領域85が設けられた領域の面積比率を容易にトランジスタ部70に合わせることができる。
【0133】
図4A~4Dに示す例では、照射時に用いるレジストマスクの開口部の位置がX軸またはY軸方向にずれた場合であっても、エミッタ非配置領域214によって照射領域のずれを吸収することができる。
【0134】
図4Eの例では、電流センス部210は、センストランジスタ非照射領域218とセンストランジスタ照射領域220との間に無効領域222をさらに有する。
【0135】
無効領域222は、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220を設ける領域の間に設けられる領域である。無効領域222は、照射時に用いるレジストマスクの開口部の位置がずれてセンストランジスタ照射領域220の位置がずれた場合に、閾値電圧の変化に与える影響を低減する。
【0136】
無効領域222には、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220と同様に、半導体基板10のおもて面21側に複数のトレンチ部が設けられている。無効領域222に設けられたトレンチ部は、電流センスエミッタ電極53と電気的に接続されていてよい。
【0137】
あるいは、無効領域222に設けられた複数のトレンチ部の間のメサ部の上面は、前記電流センスエミッタ電極53と接触していなくてよい。すなわち、無効領域222におけるメサ部の上面は、層間絶縁膜38で覆われていてよい。
【0138】
あるいは、無効領域222には、エミッタ領域12が設けられていなくてよい。例えば、無効領域222は、半導体基板10のおもて面21に設けられたウェル領域11aを有する。無効領域222にはチャネルが形成されないので、ライフタイム制御領域85が形成されても閾値電圧の低下に影響しない。
【0139】
なお、
図4Eの例では、センストランジスタ非照射領域218、センストランジスタ照射領域220および無効領域222はいずれもY軸方向に延伸して設けられているが、これに限られない。無効領域222は、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220を分離するように設けられていればよい。
【0140】
また、
図4Eの例では、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220がそれぞれの端部216Yに沿って延伸して設けられているが、これに限られない。センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220は、
図4A~
図4Dに示したように配置されてもよい。
【0141】
図4Fは、
図4Eのa-a'断面の一例を示す図である。
図4Fでは、無効領域222にはエミッタ領域12が設けられておらず、トレンチ部は電流センスエミッタ電極53と電気的に接続されている。
【0142】
ここで、照射時に用いるレジストマスクの開口部の位置がX軸方向負側にずれた場合、ライフタイム制御領域85は無効領域222にも形成される。ただし、無効領域222にはチャネルが形成されないので、無効領域222に形成されたライフタイム制御領域85は閾値に影響を与えない。つまり、無効領域222はトランジスタとして動作しないので、ライフタイム制御領域85が無効領域222に形成されたとしても、センストランジスタ照射領域220の無効領域222側の端部の位置(
図4FではX軸方向位置)は変化しない。
【0143】
図4F-1は、
図4Eのa-a'断面の一例を示す図である。
図4F―1では、無効領域222の層間絶縁膜38には、コンタクトホール54が形成されていない。無効領域222のトレンチ部は、ダミートレンチ部30であってよく、トレンチ部は電流センスエミッタ電極53と電気的に接続されてよい。また、無効領域222には、エミッタ領域12およびプラグ領域17が設けられていなくてもよい。
【0144】
図4F-2は、
図4Eのa-a'断面の一例を示す図である。
図4F-2の例は、無効領域222に蓄積領域16が設けられていない点が
図4F-1の例と異なる。
図4F-3は、
図4Eのa-a'断面の一例を示す図である。
図4F-3の例は、無効領域222にベース領域14が設けられていない点が
図4F-2の例と異なる。
図4F-1、
図4F-2、
図4F-3の例によれば、
図4Fの例と同様の効果を得ることができる。
【0145】
図4F-4は、
図4Eのa-a'断面の一例を示す図である。
図4F-4の例では、無効領域222において、半導体基板10のおもて面21側に分離領域93が設けられる。
図4F-4のX軸方向において、分離領域93のセンストランジスタ非照射領域218側にはコンタクトホール54およびダミートレンチ部30aが設けられてよい。コンタクトホール54で露出した分離領域93の表面層には、プラグ領域17が設けられる。なお、無効領域222のコンタクトホール54およびプラグ領域17は設けなくてもよい。
【0146】
また、
図4F-4のX軸方向において、分離領域93のセンストランジスタ照射領域220側にもコンタクトホール54およびダミートレンチ部30bが設けられてよい。ダミートレンチ部30aとダミートレンチ部30bとの間にはトレンチ部は設けられていなくてもよい。
【0147】
分離領域93は、P型である。分離領域93のドーピング濃度は、コンタクト領域15のドーピング濃度と同じでも良く、プラグ領域17のドーピング濃度と同じでもよく、ウェル領域11のドーピング濃度と同じでもよい。また、分離領域93は、ウェル領域11aと電気的に接続されてよい。分離領域93の下面はトレンチ部の下端より浅くても良く、同じでも良く、深くても良く、また、ウェル領域11の下面と同じ深さ方向位置であってもよい。
図4F-4の例では、
図4Fの例と同様の効果を得ることができる。
【0148】
図4Gは、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
図4Gに示すセンストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置は、
図4Eの例と同じである。
図4Gでは、パッシベーション層230の開口部232の端部が、X軸方向においてセンストランジスタ照射領域220の外周に設けられるエミッタ非配置領域214の端部と重なるように配置される。また、パッシベーション層230の開口部232の端部は、Y軸方向において、センストランジスタ照射領域220の外周に設けられるエミッタ非配置領域214の端部と重なるように配置されている。さらに、開口部232の端部は、無効領域222とセンストランジスタ照射領域220との境界と重なるように配置されている。
【0149】
図4Hは、
図4Gのa-a'断面を示す図である。
図4Hに示すように、パッシベーション層230の開口部232の端部およびセンストランジスタ照射領域220の端部は、同じ位置(
図4HではX軸方向位置)にある。つまり、パッシベーション層230の開口部232およびレジストマスクの開口部は、上面視で重なるように配置されている。
【0150】
ここで、レジストマスクの開口部の位置が、パッシベーション層230の開口部232に対してX軸方向負側にずれた場合、レジストマスクの開口部を通して照射されたヘリウムまたはプロトンの一部は、パッシベーション層230を通過する。パッシベーション層230を通過したヘリウムまたはプロトンは、開口部232を通過した場合と比べて飛程が低下するので、パッシベーション層230の下方では、開口部232の下方と比べて半導体基板10のおもて面21に近い位置にライフタイム制御領域85が形成される。
図4Gでは、パッシベーション層230の下方は無効領域222であるため、上述したように、ライフタイム制御領域85が形成されても閾値電圧の変化に影響しない。
【0151】
あるいは、パッシベーション層230の開口部232は、センストランジスタ照射領域220の全体を覆うように配置されてもよい。この場合、センストランジスタ照射領域220に加えて開口部232の下方には無効領域222の一部が位置する。上述したように、無効領域222にライフタイム制御領域85が形成されても、閾値電圧の変化に影響しない。
【0152】
本例では、無効領域222にはエミッタ領域12が設けられておらず、トレンチ部は電流センスエミッタ電極53と電気的に接続されている例を示したが、
図4F-1~
図4F-4に示す例でも同じ効果を得ることができる。
【0153】
図5Aは、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。本例ではセンストランジスタ非照射領域218とセンストランジスタ照射領域220との間には、無効領域222が設けられる。センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の最外周には、別々のエミッタ非配置領域214を備える。
【0154】
図5Aの例は、センストランジスタ非照射領域218とセンストランジスタ照射領域220が、無効領域222を挟んで個々に設けられる点が
図3Aの例と異なる。
パッシベーション層230の開口部232の端部が、上面視で、センストランジスタ照射領域220のエミッタ非配置領域214の端部に沿って配置されている。パッシベーション層230の開口部232は、センストランジスタ照射領域220の全体を覆うように配置されてもよい。
【0155】
図5Bは、
図5Aのc-c'断面を示す図である。
図5Bに示すようにセンストランジスタ非照射領域218の外周にはウェル領域11cが設けられ、センストランジスタ照射領域220の外周にはウェル領域11dが設けられる。隣り合うウェル領域11cとウェル領域11dとの間には、ウェル領域11bが設けられる。ウェル領域11b、ウェル領域11c、およびウェル領域11dは、ドリフト領域18によって分離される。
【0156】
なお、パッシベーション層230の開口部232の端部およびセンストランジスタ照射領域220の端部は、同じ位置(
図5BではX軸方向位置)にある。つまり、パッシベーション層230の開口部232および照射時に用いるレジストマスクの開口部は、上面視で重なるように配置されている。
【0157】
センストランジスタ非照射領域218の外周に設けられるウェル領域11cは、ダミートレンチ部30aを備える。センストランジスタ非照射領域218の外周に設けられるウェル領域11cの上面には、層間絶縁膜38が設けられている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54が設けられ、コンタクトホール54の開口されているウェル領域11cの表面層にはプラグ領域17が設けられてよい。ウェル領域11cは、センストランジスタ非照射領域218側にコンタクトホール54を備え、ウェル領域11b側にダミートレンチ部30aを備えてよい。
【0158】
センストランジスタ照射領域220の外周に設けられるウェル領域11dには、ダミートレンチ部30bを備える。センストランジスタ照射領域220の外周に設けられるウェル領域11dの上面には、層間絶縁膜38が設けられている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54が設けられ、コンタクトホール54の開口されているウェル領域11dの表面層にはプラグ領域17が設けられてよい。ウェル領域11dは、センストランジスタ照射領域220側にコンタクトホール54を備え、ウェル領域11b側にダミートレンチ部30bを備えてよい。
【0159】
無効領域222には、ウェル領域11b、ウェル領域11c、およびウェル領域11dが設けられる。また、無効領域222には、ウェル領域11b、11c、11dを分離するドリフト領域18を備える。
【0160】
図5Cは、
図5Aのd-d'断面を示す図である。d-d'断面は、センストランジスタ非照射領域218のゲートトレンチ部40を通るY軸方向断面であり、センストランジスタ非照射領域218のY軸方向負側、すなわちエッジ終端領域190側の端部近傍を示す。
【0161】
本例のセンストランジスタ非照射領域218は、ウェル領域11cに囲まれている。センストランジスタ非照射領域218およびウェル領域11cは、おもて面21に露出したドリフト領域18によって分離されている。ウェル領域11cの下端(Z軸方向正側の端部)は、ゲートトレンチ部40の下端より下方(Z軸方向正側)に位置する。
【0162】
図5Cには示されていないが、ダミートレンチ部30においても同様な断面形状である。また、センストランジスタ照射領域220も同様な断面を有する。センストランジスタ照射領域220は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30がウェル領域11dに囲まれ、ゲートトレンチ部40おとびダミートレンチ部30の下部にライフタイム制御領域85が設けられることが
図5Cと異なる。
【0163】
なお、
図5Cのゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、ストライプ状を示しているが格子状としてもよい。また、ストライプ状と格子状の組み合わせをであってもよく、適宜変更可能である。本例でも
図4Eと同様の効果を得ることができる。
【0164】
図6Aは、電流センス部210の近傍を拡大した上面図である。本例の電流センス部210は、ダミートレンチ部30cが配列された領域とダミートレンチ部30dが配列された領域に囲まれている。ダミートレンチ部30cが配列された領域とダミートレンチ部30dが配列された領域との間には、ドリフト領域18がおもて面21に露出した領域が形成されている。ダミートレンチ部30cは電流センスエミッタ電極53と同電位に接続され、ダミートレンチ部30dはエミッタ電極52と同電位に接続される。
【0165】
本例では、パッシベーション層230の開口部232が電流センス部210と重なるように設けられている。また、本例では、電流センス部210が、ダミートレンチ部30cおよびダミートレンチ部30dが配列された領域によって活性領域160と分離されている点が
図3Aと異なる。
【0166】
図6Aにおいては、パッシベーション層230において開口部232以外の領域に斜線のハッチングを付している。なお、
図6Aに示すパッシベーション層230の開口部232の端部は、上面視で、電流センス部210のエミッタ非配置領域214の端部に沿って配置される。パッシベーション層230の開口部232は、上面視で、エミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214を露出させている。
【0167】
エミッタ非配置領域214は、ダミートレンチ部30cが配列された領域で囲まれ、ダミートレンチ部30cが配列された領域は、ドリフト領域18がおもて面21に露出した領域を挟んで、ダミートレンチ部30dが配列された領域で囲まれる。
【0168】
電流センス部210は、エミッタ配置領域216と、エミッタ非配置領域214とを有する。エミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214については、
図3Aに示す電流センス部210、エミッタ配置領域216、およびエミッタ非配置領域214と同じであるため、説明を省略する。
【0169】
エミッタ非配置領域214は、上面視において、エミッタ配置領域216を囲んで設けられている。一例として、エミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214の上面視における外形は矩形である。エミッタ非配置領域214は、上面視において、ダミートレンチ部30cが配列された領域およびダミートレンチ部30dが配列された領域に囲まれている。
【0170】
エミッタ配置領域216およびエミッタ非配置領域214には、複数のトレンチ部と、各メサ部が配置されている。
図6Aにおいては、一部のトレンチ部を破線で示している。それぞれのトレンチ部は、Y軸方向に延伸して設けられている。複数のトレンチ部は、ゲートトレンチ部40を含む。複数のトレンチ部は、ダミートレンチ部30をさらに含んでよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、トランジスタ部70に設けられたゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30と同様の構造を有する。
【0171】
図6Aの電流センス部210に設けられるゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、ストライプ状である。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の端部は、ドリフト領域18内に設けられる。
【0172】
また、電流センス部210の外周のドリフト領域18には、格子状のダミートレンチ部30cおよびダミートレンチ部30dが設けられる。ダミートレンチ部30cとダミートレンチ部30dとの間には、所定の間隔が設けられる。これにより、ゲートトレンチ部40の端部への電界集中を緩和できる。
【0173】
図6Bは、
図6Aのe-e'断面を示す図である。e-e'断面は、電流センス部210のエミッタ領域12を通るXZ面である。本例の電流センス部210は、ライフタイム制御領域85が設けられていないセンストランジスタ非照射領域218と、ライフタイム制御領域85が設けられたセンストランジスタ照射領域220とを有する。
【0174】
また、電流センス部210の上方には、電流センスエミッタ電極53が設けられる。電流センスエミッタ電極53は、活性領域160の上方に設けられるエミッタ電極52と電気的に絶縁している。
【0175】
電流センス部210内のトレンチ部、不純物層、電極等は、トランジスタ部70を設けるプロセスと同じプロセスで設けられてよい。電流センス部210において、ライフタイム制御領域85は、活性領域160にライフタイム制御領域85を設けるプロセスと同じプロセスで設けられてよい。
【0176】
なお、センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220はいずれも、エミッタ領域12が設けられた領域であり、エミッタ配置領域216に含まれる。
図6Bの例では、
図3Bの例と同様に、エミッタ非配置領域214には、コンタクト領域15がトレンチ部に隣接して設けられている。
【0177】
センストランジスタ照射領域220とセンストランジスタ非照射領域218との面積比率は、トランジスタ部70における境界領域75と境界領域75以外の領域との面積比率と等しい。
【0178】
このように、電流センス部210において、ライフタイム制御領域85が設けられた領域の面積比率をトランジスタ部70に合わせることで、閾値電圧を揃えることができる。なお、ゲートエミッタ比率は、
図3A~
図3Cの例と同じであるため説明は省略する。
【0179】
X軸方向において、電流センス部210の外周のドリフト領域18には、エミッタ非配置領域214に隣接するダミートレンチ部30cと、ダミートレンチ部30cから所定の間隔をあけてダミートレンチ部30dとが格子状に設けられる。
【0180】
ダミートレンチ部30cの上面の層間絶縁膜38には、コンタクトホール57が設けられる。ダミートレンチ部30cは、層間絶縁膜38の上面に設けられた電流センスエミッタ電極53と電気的に接続する。
【0181】
また、ダミートレンチ部30dの上面の層間絶縁膜38には、コンタクトホール58が設けられる。ダミートレンチ部30dは、層間絶縁膜38の上面に設けられたエミッタ電極52と電気的に接続する。
【0182】
電流センスエミッタ電極53およびエミッタ電極52はパッシベーション層230に覆われている。パッシベーション層230には、所定の箇所に開口部が設けられる。電流センスエミッタ電極53は、エミッタ電極52と電気的に絶縁される。
【0183】
なお、コンタクトホール57およびコンタクトホール58には、タングステン等で形成されたプラグが設けられてもよい。プラグは、半導体基板10側にバリアメタルを有し、バリアメタルに接するようにタングステンを埋め込んでもよい。
【0184】
図6Cは、
図6Aのf-f'断面を示す図である。f-f'断面は、電流センス部210のゲートトレンチ部40を通るY軸方向断面であり、電流センス部210のY軸方向負側、すなわちエッジ終端領域190側の端部近傍を示す。ダミートレンチ部30cおよびダミートレンチ部30dは、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34をそれぞれ備える。コンタクトホール57は、ダミートレンチ部30cのダミー導電部34上に設けられる。コンタクトホール58は、ダミートレンチ部30dのダミー導電部34上に設けられる。
【0185】
本例の電流センス部210は、ドリフト領域18およびダミートレンチ部30dに囲まれている。電流センス部210およびダミートレンチ部30cは、おもて面21に露出したドリフト領域18によって活性領域160から分離されている。
【0186】
Y軸方向において、電流センス部210の外周のドリフト領域18には、エミッタ非配置領域214に隣接するダミートレンチ部30cとダミートレンチ部30cから所定の間隔をあけてダミートレンチ部30dが格子状に設けられる。
【0187】
図6Cには示されていないが、電流センス部210のゲートトレンチ部40のY軸方向正側(活性領域160側)における端部は、ゲートランナー48と重なる位置に設けられてよい。これにより、ゲートトレンチ部40と、ゲートランナー48とを容易に接続できる。
【0188】
このように、電流センス部210がセンストランジスタ照射領域220を有することにより、トランジスタ部70と閾値電圧を揃えることができる。
【0189】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0190】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0191】
10・・・半導体基板、11,11a,11b、11c、11d・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・プラグ領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、30,30a,30b,30c、30d・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・延伸部分、42・・・ゲート絶縁膜、43・・・接続部分、44・・・ゲート導電部、48・・・ゲートランナー、49・・・コンタクトホール、50・・・ゲート金属層、52・・・エミッタ電極、53・・・電流センスエミッタ電極、54・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、57・・・コンタクトホール、58・・・コンタクトホール、60・・・メサ部、61・・・メサ部、70・・・トランジスタ部、75・・・境界領域、80・・・ダイオード部、82・・・カソード領域、85・・・ライフタイム制御領域、92・・・ガードリング、93・・・分離領域、100・・・半導体装置、102・・・端辺、160・・・活性領域、180・・・外周領域、190・・・エッジ終端領域、210・・・電流センス部、214・・・エミッタ非配置領域、216・・・エミッタ配置領域、216a・・・端部、216b・・・端部、218・・・センストランジスタ非照射領域、220・・・センストランジスタ照射領域、222・・・無効領域、230・・・パッシベーション層、232・・・開口部
【手続補正書】
【提出日】2022-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
【
図1】半導体装置100の上面の一例を示す図である。
【
図3A】電流センス部210の近傍を拡大した上面図である。
【
図4A】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4B】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4C】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4D】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4E】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図4G】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図5A】センストランジスタ非照射領域218およびセンストランジスタ照射領域220の配置の一例を説明するための図である。
【
図6A】電流センス部210の近傍を拡大した上面図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域11に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向(Z軸方向負側)の底部は、ウェル領域11に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
電流センス部210は、エミッタ配置領域216と、エミッタ非配置領域214とを有する。エミッタ配置領域216は、上面視においてエミッタ領域12が周期的に配置された領域である。例えばエミッタ配置領域216には、
図2A等に示したように、エミッタ領域12とコンタクト領域15とが
Y軸方向に沿って交互に配置されている。エミッタ配置領域216は、電流センス部210の上面視における中央を含む領域であってよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
本例の電流センス部210は、ウェル領域11に囲まれている。電流センス部210およびウェル領域11は、おもて面21に露出したドリフト領域18によって分離されている。ウェル領域11の下端(Z軸方向負側の端部)は、ゲートトレンチ部40の下端より下方(Z軸方向負側)に位置する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
図5Aの例は、センストランジスタ非照射領域218とセンストランジスタ照射領域220が、無効領域222を挟んで個々に設けられる点が図
4Aの例と異なる。
パッシベーション層230の開口部232の端部が、上面視で、センストランジスタ照射領域220のエミッタ非配置領域214の端部に沿って配置されている。パッシベーション層230の開口部232は、センストランジスタ照射領域220の全体を覆うように配置されてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
本例のセンストランジスタ非照射領域218は、ウェル領域11cに囲まれている。センストランジスタ非照射領域218およびウェル領域11cは、おもて面21に露出したドリフト領域18によって分離されている。ウェル領域11cの下端(Z軸方向負側の端部)は、ゲートトレンチ部40の下端より下方(Z軸方向負側)に位置する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】