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特開2022-179239積層型論理回路を用いた3次元型ロジックLSI
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179239
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】積層型論理回路を用いた3次元型ロジックLSI
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20221125BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20221125BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L27/088 E
H01L27/088 H
H01L21/88 J
H01L21/82 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021107117
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】511252615
【氏名又は名称】渡辺 重佳
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 重佳
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F064
【Fターム(参考)】
5F033MM30
5F048AA01
5F048AB03
5F048AC01
5F048BD07
5F048BF12
5F048CB02
5F048CB03
5F048CB04
5F048CB07
5F064AA13
5F064BB02
5F064BB05
5F064BB09
5F064CC09
5F064DD05
5F064DD19
5F064EE27
(57)【要約】
【課題】平面パターン上に形成した従来の平面型トランジスタを用いた大規模ロジックLSIでは、低コスト化と高速化を両立させる手段は現状では存在しない。
【解決手段】従来の3次元型ロジックLSIに用いられていた平面型トランジスタの代わりに、大容量積層型NANDメモリに使用されている多段積層縦型トランジスタ構造を用いた積層型SGTを直列に接続して形成されるNAND回路を用いてロジックLSIを実現する。これにより大規模ロジックLSIを3次元化するために分割した時のチップ面積が従来型より縮小できるため、従来型では不可能だった、抵コスト化が実現できる。更に上記チップ面積の縮小により、従来型以上の高速化が合わせて実現できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル情報が入力するトランジスタを直列に接続して実現した論理回路積層接続構造を有し、前記論理回路積層接続構造によりディジタル動作のNAND回路を構成し、前記NAND回路が同一平面上に複数個集積されたロジックLSIを縦方向に複数個積層することを特徴とする3次元型ロジックLSI。
【請求項2】
前記請求項1記載の3次元型ロジックLSIにおいて、前記トランジスタを直列に接続して実現した前記論理回路積層接続構造は、半導体基板に対して垂直方向に出力信号を伝達し、製造時に前記トランジスタのゲート電極及び層間絶縁膜を直列に接続した回数積層して形成後、前記半導体基板まで達する一括したエッチング技術で隣接トランジスタ間分離、トランジスタ形成を行うことを特徴とする3次元型ロジックLSI。
【請求項3】
前記請求項1ないし2記載の3次元型ロジックLSIにおいて、前記3次元型ロジックLSI内に3入力以上のNAND回路が複数個集積されていることを特徴とする3次元型ロジックLSI。
【請求項4】
前記請求項1ないし2記載ないし3項記載の3次元型ロジックLSIにおいて、前記3次元型ロジックLSI内に自身のゲート遅延時間より長い配線遅延時間のNAND回路を複数個集積されていることを特徴とする3次元型ロジックLSI。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
積層構型論理回路を用いた3次元型ロジックLSIに関する。
【背景技術】
【0002】
LSIは過去ムーアの法則にしたがって平面型トランジスタの微細化が進み、大容量化、低コスト化、高速化、低消費電力化が着実に進められてきた。その結果ロジックLSIの代表であるMPU(Micro Processor Unit)では10億個以上の平面型トランジスタを用いたGHz動作が実現され、メモリLSIの中で最も大容量化が進んだ平面型トランジスタを用いたNAND型フラッシュメモリでは64Gbitまで大容量化が進められている(文献1)。
【0003】
LSIでは過去ムーアの法則に従い着実に平面型トランジスタ数が18カ月(1世代)で2倍に増加し、現在数十億個の平面型トランジスタが集積されている。平面型トランジスタの面積が大きいとそのLSIは非常に大きくなり動作性能と製造コスト的に現実的なLSIは実現できない。
【0004】
この問題を解決するため、過去平面トランジスタの寸法を1世代で長さ方向に0.7倍に縮小するスケーリング則を用いてきた。スケーリング則によると平面型トランジスタは縦、横、高さ方向に同じ割合(0.7倍)に縮小すると小型化されるだけでなく、高速化、低消費電力化も併せて実現できる特徴がある。すなわちLSIでは過去半世紀近くムーアの法則とスケーリング法則を指導原理としてLSIの高集積化(1平方ミリ程度の小さなLSIの面積に平面型トランジスタ数を増やすこと)、高速化、低消費電力を実現してきた。
【0005】
しかしながらこの平面型トランジスタの微細化もショートチャネル効果等のため近年限界に近付いている。
この問題を解決するため、ショートチャネル効果に強い3次元型トランジスタが開発された。その代表例がSGT(Surrounding Gate Transistor)である(文献2)。
【0006】
SGT等の導入によりショートチャネル効果は低減できるが、ロジックLSIの高速化に必要なトランジスタの遅延時間の低減にしか寄与しない問題がある。トランジスタの遅延時間以上に重要な配線の遅延時間を低減するため過去平面型トランジスタを用いて作成したロジックLSIを縦方向に積層する方式である(以下平面型の積層方式と略す。特許名称の平面型トランジスタによる論理回路を用いた3次元型ロジックLSIが正式な名称。図4、文献3)。
【0007】
大きなチップ面積の平面型トランジスタによるロジックLSIを縦横方向に分割し、それを縦方向に積層し、必要な配線をTSVを用いて上下で接続する。これにより1層の時のロジックLSIの長い配線は、横方向で短く分断され、縦方向はTSVで接続できる。このため配線の遅延時間を大幅に縮小することが出来る。これによりトランジスタの遅延時間のみならず配線の遅延時間も縮小できるため、大きなチップサイズのロジックLSIの高速化が可能になった。
【0008】
しかしながらこの平面型の積層方式では高速化は実現できるが低コスト化は実現できない。なぜなら大きなチップ面積のロジックLSIを縦横方向に分割後積層しているため低コスト化できる要因が無いためである。逆に大きなチップの分割、縦方向への積層、TSVによる縦方向の配線の接続でコストが高くなってしまう問題すら発生する。
【0009】
つまりロジックLSIでは、高速化のみならず、低コスト化も実現できる方式は現在まで提案されていない。ムーアの法則の限界後も継続してロジックLSIの低コスト化と高速化を両立できる手段は現在まで存在しない。
【0010】
〔文献1〕M.Sako et al,”A Low-Power 64Gb MLC NAND-Flash Memory in 15nm CMOS Technology”,ISSCC Dig.Tech.Papers,2015.
〔文献2〕H.Takato et al.,”Impact of SGT for ultra‐high density LSIs”,IEEE Trans.Electron Devices,vol.38,pp.573‐578,1991.
〔文献3〕渡辺重佳,”三次元積層型論理回路によるシステムLSI設計技術”,Vol.102,No.1,pp.74-78,2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ムーアの法則の限界後も継続してロジックLSIの低コスト化と高速化を両立できる手段は現在は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記平面型の積層方式のロジックLSIにおいて用いられていた平面型トランジスタの代わりに、大容量積層型NANDメモリに使用されている製造技術(文献4,5、特許文献1)を用いて積層型SGTを直列に接続した方式を使用することにより実現した。
【0013】
〔文献4〕H.Tanaka et al.,:“Bit Cost scalable Technology with Punch and Plug Process for Ultra High Density Flash Memory”,Symp.on VLSI Technology,2007.
〔文献5〕R.Katsumata et al.,“Pipe-shaped BiCS flash memory with 16 stacked layers and multi-level-cell operation for ultra high density storage devices”,Symp .on VLSI Technology,pp.136-137,2009.
〔特許文献1〕特開2009-4517、田中啓安、青地英明、勝又竜太、鬼頭傑、福住嘉晃、木頭大、佐藤充、松岡泰之“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法”
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、平面型トランジスタの代わりに、大容量積層型NANDメモリに使用されている製造技術を用いて積層型SGTを直列に接続した方式を使用することにより従来例の高速化のみならず、低コスト化を両立することが初めて可能になる。
【0015】
後述するように、本発明によるチップ面積の縮小の結果、従来例より高速性能を確保しつつ、製造コストを従来例の半分に低減できる効果がある。
〔発明を実施するための最良の形態〕
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る積層型論理回路によるロジックLSIの第一実施形態について説明する。
[第1実施形態]
(第1実施形態の構成)
【0017】
以下本発明の1実施形態を説明する。図1に新たに提案した積層型論理回路による3次元型ロジックLSI(100)の構成を示す。
前記平面型の積層方式のロジックLSIにおいて用いられていた平面型トランジスタの代わりに、大容量積層型NANDメモリに使用されている製造技術を用いて積層型SGTを直列に接続した方式(積層型SGTの直列接続方式のロジックLSI(文献6)と略す)を使用することにより実現される。
【0018】
〔文献6〕
S.Watanabe,”平面型トランジスタの微細化限界を克服する3D積層型SGT論理回路を用いたロジックLSIの設計指針,”電子情報通信学会論文誌C,Vol.J103-C、No.11、pp.483-484、2020、早期公開日2020年9月1日。
【0019】
新たに提案した積層型論理回路によるロジックLSI(100)の構成を図1に示す。100は4層に積層された(複数層なら何層でも良い)前記積層型SGTの直列接続方式のロジックLSI(101,102,103,104)を縦方向にTSV(105)で接続した方式で形成されている。
【0020】
前記積層型SGTの直列接続方式のロジックLSI(201,202,203,204)の詳細を図2に示す。前記積層型SGTの直列接続方式のロジックLSI(101,102,103,104)はK段のNAND回路(211、221)で構成されている。K段の回路のゲートには信号201、202、203が入力される。
NAND回路の負荷部分はパターン面積が縮小化できる特徴があるダイナミック回路を用いている。負荷トランジスタのゲートにはプリチャージ信号208が入力される。
【0021】
K段のNAND回路のドライバ部(209)のパターン面積はK段のNAND回路のドライバ部と負荷部分(208がゲート入力されるトランジスタで構成)のパターン面積はいずれもSGT(204)の規格化したパターン面積をBとするとBFになる。本提案でSGTを用いているのは、平面型トランジスタ同程度の電流駆動能力とSファクタを持っており、容易に積層化出来るためである。本論文ではB=4を仮定する。
【0022】
その結果1個のNAND回路のパターン面積は第1実施形態の導入により従来の平面型と比較して2BF/(KAF)=2/Kに縮小できる。その結果第1実施形態のチップ面積は(2/K)0.5▲*▼(2/K)0.5=2/Kに縮小できる。図2で前記ロジックLSIの横の長さは222、縦の長さは223で示す。そのため第1実施形態により平面型トランジスタによる従来例を用いた従来例と比較して低コストが実現できる。
【0023】
通常の平面型トランジスタを用いたロジックLSIではK=4が多用されるため、その場合前記積層型SGTの直列接続方式のロジックLSI(101,102,103,104)のパターン面積は平面型の積層方式のロジックLSI(401,402,403,404)のパターン面積の2/K=2/4=半分に低減できる。通常ロジックLSIの製造コストはチップ面積に比例するので、第1の実施形態によりその製造コストは従来の平面型の積層方式のロジックLSIの半分に低減することが出来る。
【0024】
〔0025〕に示すように第1の実施形態の導入により、ロジックLSIの動作速度は従来の平面型の積層方式のロジックLSIより高速化できる。
【0025】
前記K段のNAND回路(211)の遅延時間はSGTと平面型の電流駆動能力が同じであると仮定するといずれもC(K)で表される。通常ロジック回路の遅延時間は上記ゲート遅延と配線遅延の和で表される。両者の比を平面型で1:Lだと仮定する。配線長はチップ面積の平方根に比例するので、提案方式の配線長は平面型の(2/K)0.5に縮小できる。配線の寄生容量、寄生抵抗共に配線長に比例するので第1の実施例の配線遅延は平面型の(2/K)0.5▲*▼(2/K)0.5=2/Kに縮小できる。その結果K段のNAND回路の総遅延時間は平面型ではC(K)▲*▼(1+L)なのに対し、提案型ではC(K)▲*▼(1+L▲*▼(2/K))に縮小出来る。
【0027】
(第2実施形態の構成)
図3に第2の実施形態の積層型論理回路によるロジックLSI(320)の構成を示す。ロジックLSIはK段のNAND回路(301,302,303)をN個縦方向に積層して構成されている。NAND回路の負荷部分は第1の実施形態同様パターン面積が縮小化できる特徴があるダイナミック回路を用いている。負荷トランジスタのゲートにはプリチャージ信号208が入力される。
【0028】
1個のNAND回路のパターン面積は提案方式の導入により従来の平面型と比較して2BF/(KANF)=2/Kに縮小できる。その結果第2実施形態のチップ面積は(2/KN)0.5▲*▼(2/KN)0.5=2/(NK)に縮小できる。チップ面積の縮小効果は第1の実施形態のN倍になっている。図2で前記ロジックLSIの横の長さは322、縦の長さは323で示す。つまりN=2の場合には、第2実施形態により、第2実施形態より製造コストは更に第1実施形態の半分に縮小できる。
〔実施形態の効果〕
【0029】
第1実施形態により平面型トランジスタによるロジックLSIを用いた従来例と比較して製造コストを半分に低減できる。更に第2実施形態により平面型トランジスタによるロジックLSIを用いた従来例と比較して製造コストを4分の1に低減できる。
【0030】
第1実施形態では従来の平面型の積層方式のロジックLSIと比較して低コスト化されるのみならず、配線遅延時間の削減により高速化も可能になる。例えば従来の平面型の積層方式のロジックLSIを用いると、1辺1センチメートル、シリコン基板の厚さ4ミクロンの場合、ロジックLSIの遅延時間が短辺、長辺である各辺を14等分して14*14=196層積層した時に最小になる。
【0031】
それに対し第1実施形態ではチップ面積が従来の平面型の積層方式のロジックLSIの半分に縮小できるため、ロジックLSIの遅延時間が各辺を12等分して12*124=144層積層した時に最小になり、その値は、従来の平面型の積層方式のロジックLSIと比較して数パーセント高速化される特徴がある。
〔他の実施例〕
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明はロジックLSIに限らずメモリLSI等現在商品化されているディジタル論理で動作する全てのLSIに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明にかかわる積層型論理回路による3次元型ロジックLSIの第1実施形態を実現した図である。
図2】第1実施形態の101,102,103,104部分の詳細図
図3】本発明にかかわる積層型論理回路による3次元型ロジックLSIの第2実施形態を実現した図である。
図4】従来の平面型トランジスタを用いた3次元型ロジックLSIの図である。
【符号の説明】
【0036】
100・・・積層型論理回路による3次元型ロジックLSI、101-104・・・積層型SGTによる直列接続方式のロジックLSI,105・・・101-104を縦方向に接続するTSV,
201・・・NANDへの第一の入力信号、202・・・NANDへの第2の入力信号、203・・・NANDへの第Kの入力信号、204・・・SGT、205・・・接地、206・・・NAND回路の出力信号、207・・・電源電圧VDD、208・・・プリチャージ信号、209・・・K段のNAND回路のドライバー部、210・・・K段のNAND回路のドライバー部、211・・・K段のNAND回路の構造、221・・・K段のNAND回路の構造、220・・・第一の実施例のK段のNAND回路によるロジックLSI、222・・・第一の実施例のK段のNAND回路によるロジックLSIの横の長さ、223・・・第一の実施例のK段のNAND回路によるロジックLSIの縦の長さ、
301・・・K段のNAND回路1、302・・・K段のNAND回路2、303・・・K段のNAND回路N、304・・・SGT、305・・・接地、306・・第二の実施例のNANDの出力、307・・・電源電圧VDD、308・・・プリチャージ信号、309・・・N段直列接続されたK段のNAND回路、310・・N段直列接続されたK段のNAND回路、311・・・N段直列接続されたK段のNAND回路の構造、321・・・・N段直列接続されたK段のNAND回路の構造、320・・・第2の実施例のN段直列接続されたK段のNAND回路によるロジックLSI、322・・・第2の実施例のN段直列接続されたK段のNAND回路によるロジックLSIの横の長さ、323・・・第2の実施例のN段直列接続されたK段のNAND回路によるロジックLSIの縦の長さ、
400・・・平面型トランジスタを用いた論理回路による3次元型ロジックLSI、401-404・・・平面型トランジスタを用いた論理回路によるロジックLSI,405・・・401-404を縦方向に接続するTSV,
420・・・分割前の平面型トランジスタによる平面型ロジックLSI、421・・・分割後の平面型トランジスタによる平面型ロジックLSI、422・・・分割前の平面型トランジスタによる平面型ロジックLSIの短辺方向の長さ、423・・・分割前の平面型トランジスタによる平面型ロジックLSIの長辺方向の長さ、424・・・分割後4個の平面型トランジスタによる平面型ロジックLSIを縦方向に積層し、3次元型ロジックLSIを形成する
図1
図2
図3
図4