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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179266
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】芳香部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20221125BHJP
   A45D 34/02 20060101ALI20221125BHJP
   A62B 18/02 20060101ALN20221125BHJP
   A41D 13/11 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
A61L9/01 Q
A45D34/02 510Z
A62B18/02 C
A41D13/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115124
(22)【出願日】2021-07-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2021085277
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521470733
【氏名又は名称】株式会社ゼスト・コンサルティング
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】松根 寿
(72)【発明者】
【氏名】芳本 浩司
【テーマコード(参考)】
2E185
4C180
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA16
2E185CC32
4C180AA13
4C180BB15
4C180CA08
4C180EB03X
4C180EB04X
4C180EB05X
4C180EB06X
4C180EB07X
4C180EB08X
4C180EB12X
4C180EC01
4C180GG17
(57)【要約】
【課題】 芳香剤の保管性を向上させるとともに貼着時に芳香剤ができるだけ手に付着しないようにして取り扱いを容易にし衛生上の向上を図る。
【解決手段】 被取付体としてのマスクMに粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体1と、基体1に設けられ粘着剤で形成された粘着層10と、基体1に設けられる液状の芳香剤Fとを備え、芳香剤Fを手で圧潰可能なカプセルC内に封入し、基体1にカプセルCが収容可能な凹所2を形成し、この凹所2にカプセルCを収容して基体1内に付帯させた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付体に粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体と、該基体に設けられ上記粘着剤で形成された粘着層と、上記基体に設けられる液状の芳香剤とを備えた芳香部材において、
上記芳香剤を手で圧潰可能なカプセル内に封入し、該カプセルを上記基体内に付帯させたことを特徴とする芳香部材。
【請求項2】
上記基体に上記カプセルが収容可能な凹所を形成し、該凹所に上記カプセルを収容したことを特徴とする請求項1記載の芳香部材。
【請求項3】
上記基体を、上記粘着層が設けられる一方面と該一方面とは反対側の他方面を有した所定厚さの本体と、該本体の他方面に付着させられる吸液性の可撓性材料で形成されたシート状の被覆体とを備えて構成し、上記本体に上記一方面から他方面に亘って貫通する貫通孔を形成し、上記凹所を、上記貫通孔を上記被覆体で塞ぐことにより形成したことを特徴とする請求項2記載の芳香部材。
【請求項4】
上記被覆体の上記本体の他方面側の裏面に、該他方面に着接する着接剤からなる着接層を付着し、該着接層の上記貫通孔に臨み上記凹所の底面を形成する露出部に、上記カプセルを着接したことを特徴とする請求項3記載の芳香部材。
【請求項5】
上記基体を円盤状に形成し、該基体の厚さをt、外径をa、貫通孔の内径をbとし、上記カプセルを球状に形成し、該カプセルの外径をdとしたとき、2mm≦t≦5mm、10mm≦a≦20mm、2mm≦b≦5mm、2mm≦d≦5mmに設定したことを特徴とする請求項3または4記載の芳香部材。
【請求項6】
上記芳香剤及びカプセルを、食品材料及び/または食品に使用することが許されている食品添加物により形成したことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の芳香部材。
【請求項7】
上記芳香剤及び/またはカプセルを着色したことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の芳香部材。
【請求項8】
上記カプセルを付帯した基体は、上記粘着層が剥離可能な台紙に該粘着層を介して仮着されたことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の芳香部材。
【請求項9】
被取付体に粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体と、該基体に設けられ上記粘着剤で形成された粘着層と、上記基体に設けられる液状の芳香剤とを備えた芳香部材において、
上記基体に上記カプセルが収容可能な凹所を形成し、該凹所に上記カプセルを収容し、上記基体を、上記粘着層が設けられる一方面と該一方面とは反対側の他方面を有した所定厚さの本体と、該本体の他方面に付着させられる吸液性の可撓性材料で形成されたシート状の被覆体とを備えて構成し、上記本体に上記一方面から他方面に亘って貫通する貫通孔を形成し、上記凹所を、上記貫通孔を上記被覆体で塞ぐことにより形成し、
上記被覆体の上記本体の他方面側の裏面に、該他方面に着接する着接剤からなる着接層を付着し、該着接層の上記貫通孔に臨み上記凹所の底面を形成する露出部に、上記カプセルを着接し、
上記カプセルを付帯した基体は、上記粘着層が剥離可能な台紙に該粘着層を介して仮着され、上記台紙に、上記基体の凹所を構成する貫通孔と同じ内径で同軸の開放口を形成したことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の芳香部材。
【請求項10】
上記請求項9記載の芳香部材を製造する芳香部材の製造方法であって、
台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記被覆シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成し、最後に、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れることを特徴とする芳香部材の製造方法。
【請求項11】
上記請求項9記載の芳香部材を製造する芳香部材の製造方法であって、
台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れ、該カプセルを被覆シートの着接層を構成する着接剤に着接させ、その後、上記被覆シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、最後に、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成することを特徴とする芳香部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近年新型コロナウイルスの流行により使用頻度が大幅に増しているマスクをはじめハンカチ,ティッシュペーパや衣料等の種々の被取付体に貼着されて香りを付与する芳香部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の芳香部材としては、例えば、再公表特許2015-159344号公報(特許文献1)に掲載され、被取付体としてのマスクに貼着されるものが知られている。この芳香部材は、不織布や紙等の通気性で吸液性の材料で円盤状に形成された基体と、この基体の一方面に付設された粘着層とを備えている。基体には、例えば、ユーカリ、ローズマリー、ラベンダーその他のハーブの香りを発する液状の芳香剤が含浸されている。この芳香部材を使用するときは、マスクの例えば内側面に粘着層を押し当てて基体を貼着する。これにより、基体から芳香剤が気化してマスク内に芳香成分が発散し、呼吸時にこの芳香成分が鼻腔内に吸い込まれるので、香りを楽しむことができるとともに、マスク装着の不快感を解消することができ、快適にマスクを使用することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許2015-159344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の芳香部材にあっては、吸液性の基体に液状の芳香剤が含浸されているので、マスクに貼着する前に大気中に露出していると芳香成分が発散してしまう。そのため、マスクに貼着する前に芳香成分が発散してしまうとその効果が低減しあるいはなくなってしまうので、貼着して使用する前には、例えば、非通気性の例えば樹脂製の袋やケースに収納しておく等する必要がある。このため、貼着する前の保管が煩雑になっているという問題があった。また、芳香部材をマスクに貼着する際は、基体を手で持ってこれを貼着するので、基体に含浸した芳香剤が手に付着してしまい、それだけ、取り扱いが煩雑で、衛生上も好ましくないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、芳香剤の保管性を向上させるとともに貼着時に芳香剤ができるだけ手に付着しないようにして取り扱いを容易にし衛生上の向上を図った芳香部材を提供することを目的とする。また、この芳香部材を効率よく製造する芳香部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の芳香部材は、被取付体に粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体と、該基体に設けられ上記粘着剤で形成された粘着層と、上記基体に設けられる液状の芳香剤とを備えた芳香部材において、
上記芳香剤を手で圧潰可能なカプセル内に封入し、該カプセルを上記基体内に付帯させた構成としている。
尚、カプセル内には芳香剤の他に、保湿剤や抗菌剤など他の有用成分を混合して封入して差支えない。
【0007】
この芳香部材は、例えば、粘着層が容易に剥離できる台紙に粘着層を仮着しておくことができる。そして、この状態で保管しておくことができる。また、持ち運びもすることができる。この場合、液状の芳香剤はカプセル内に封入されているので、芳香剤が染み出すことがなく、そのため、芳香剤の保管性が向上し、取り扱いも容易にすることができる。
【0008】
この芳香部材を使用するときは、例えば被取付体としてのマスクに用いるときで説明すると、マスクの例えば裏面側に粘着層を押し当てて粘着剤を介して貼着する。この場合、芳香剤はカプセルに封入されているので、手に付着して汚すことがなく、それだけ、取り扱いを容易にすることができる。この状態で、基体を介してカプセルを圧潰する。これにより、カプセル内部から芳香剤が流出し、基体及び/またはマスクに滲みこんでいく。この場合、基体を介してカプセルが圧潰するので、基体の外に滲み出るまでは多少時間がかかることから、流出する芳香剤が手に付着して汚す事態が防止され、それだけ取り扱いを容易にすることができるとともに、清潔を保持でき衛生上の向上も図ることができる。
【0009】
それから、マスクを顔に装着すると、滲み出した芳香剤が気化してマスク内に芳香成分が発散し、呼吸時にこの芳香成分が鼻腔内に吸い込まれるので、香りを楽しむことができるとともに、マスク装着の不快感を解消することができ、快適にマスクを使用することができるようになる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記基体に上記カプセルが収容可能な凹所を形成し、該凹所に上記カプセルを収容した構成としている。基体が繊維質の場合、この繊維の中にカプセルを入れこむことができるが、繊維内に入れる作業は容易ではなく、製造効率を損ねるが、カプセルは凹所に収容するので、容易に基体内に付帯させることができ、それだけ、製造効率を向上させることができる。
【0011】
また、必要に応じ、上記基体を、上記粘着層が設けられる一方面と該一方面とは反対側の他方面を有した所定厚さの本体と、該本体の他方面に付着させられる吸液性の可撓性材料で形成されたシート状の被覆体とを備えて構成し、上記本体に上記一方面から他方面に亘って貫通する貫通孔を形成し、上記凹所を、上記貫通孔を上記被覆体で塞ぐことにより形成した構成としている。
【0012】
これにより、凹所を形成するときは、予め貫通孔を形成した本体の他方面に被覆体を着接するだけで凹所を形成できるので、製造を容易にすることができる。即ち、一般に、凹所は底面があるので基体に凹所を凹設する加工は容易ではないが、この構成によれば、凹所を容易に形成できる。また、被覆体は吸液性の可撓性材料で形成されているので、この被覆体にも芳香剤を滲み込ませることができ、芳香成分の発散性を確保することができる。
【0013】
この場合、上記被覆体の上記本体の他方面側の裏面に、該他方面に着接する着接剤からなる着接層を付着し、該着接層の上記貫通孔に臨み上記凹所の底面を形成する露出部に、上記カプセルを着接した構成としている。これにより、凹所に挿入されたカプセルが着接層の露出部に着接するので、保持が確実になり、芳香部材を被取付体に貼着する際に、カプセルが凹所から飛び出して落下してしまう事態を防止することができ、この点でも取り扱い性を向上させることができる。
【0014】
また、貫通孔の内径よりもカプセルの外径をわずかに大きく形成することも有効である。この場合には、カプセルが貫通孔に弾接して保持されるので、これによっても保持を確実にすることができる。しかしながら、貫通孔の内径よりもカプセルの外径をわずかに小さくして挿入する方が挿入し易く、製造上はこの方が効率が良い。そのため、カプセルを凹所に挿通後に、このカプセルを着接層に着接して保持する構成は極めて有用になる。
【0015】
更に、必要に応じ、上記基体を円盤状に形成し、該基体の厚さをt、外径をa、貫通孔の内径をbとし、上記カプセルを球状に形成し、該カプセルの外径をdとしたとき、2mm≦t≦5mm、10mm≦a≦20mm、2mm≦b≦5mm、2mm≦d≦5mmに設定したことが有効である。この寸法範囲において、取り扱いをより一層容易にすることができる。
【0016】
更にまた、必要に応じ、上記芳香剤及びカプセルを、食品材料及び/または食品に使用することが許されている食品添加物により形成している。カプセルを誤って食しても、無害であり、安全が図られる。また、地面に落ちても腐食して自然に帰るので環境上も好ましい。
【0017】
また、必要に応じ、上記芳香剤を着色した構成としている。この場合、カプセルを透明若しくは半透明に形成すると良い。これにより、カプセルを潰して芳香剤が流出すると、芳香剤が着色されているので流出したことを目視で確実に知ることができる。
【0018】
更に、必要に応じ、上記カプセルを付帯した基体は、上記粘着層が剥離可能な台紙に該粘着層を介して仮着された構成としている。保管や持ち運びが容易になり、利便性を向上させることができる。
【0019】
より具体的には、被取付体に粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体と、該基体に設けられ上記粘着剤で形成された粘着層と、上記基体に設けられる液状の芳香剤とを備えた芳香部材において、
上記基体に上記カプセルが収容可能な凹所を形成し、該凹所に上記カプセルを収容し、上記基体を、上記粘着層が設けられる一方面と該一方面とは反対側の他方面を有した所定厚さの本体と、該本体の他方面に付着させられる吸液性の可撓性材料で形成されたシート状の被覆体とを備えて構成し、上記本体に上記一方面から他方面に亘って貫通する貫通孔を形成し、上記凹所を、上記貫通孔を上記被覆体で塞ぐことにより形成し、
上記被覆体の上記本体の他方面側の裏面に、該他方面に着接する着接剤からなる着接層を付着し、該着接層の上記貫通孔に臨み上記凹所の底面を形成する露出部に、上記カプセルを着接し、
上記カプセルを付帯した基体は、上記粘着層が剥離可能な台紙に該粘着層を介して仮着され、上記台紙に、上記基体の凹所を構成する貫通孔と同じ内径で同軸の開放口を形成した構成としている。
これにより、台紙に開放口を形成したので、カプセルをこの開放口から凹所内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所に挿入されたカプセルは、着接層の露出部に着接するので、保持が確実になり、カプセルが凹所から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。
【0020】
そして、この芳香部材を製造する本発明の芳香部材の製造方法は、台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記被覆シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成し、最後に、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れる構成としている。
【0021】
これにより、台紙に開放口を形成したので、カプセルをこの開放口から凹所内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所に挿入されたカプセルは、着接層の露出部に着接するので、保持が確実になり、カプセルが凹所から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。このようにして製造された芳香部材の作用,効果は上記と同様である。
【0022】
そしてまた、この芳香部材を製造する本発明の別の芳香部材の製造方法は、台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れ、該カプセルを被覆シートの着接層を構成する着接剤に着接させ、その後、上記被覆シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、最後に、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成する構成としている。
【0023】
これによっても、台紙に開放口を形成したので、カプセルをこの開放口から凹所内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所に挿入されたカプセルは、着接層の露出部に着接するので、保持が確実になり、カプセルが凹所から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。このようにして製造された芳香部材の作用,効果は上記と同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、芳香剤の保管性を向上させるとともに貼着時に芳香剤ができるだけ手に付着しないようにして取り扱いを容易にし衛生上の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る芳香部材を被取付体としてのマスクに対する装着状態とともに示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る芳香部材を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る芳香部材を台紙に仮着した状態で示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る芳香部材を台紙に仮着した状態で示し、(a)は表側から見た斜視図、(b)は裏側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る芳香部材を被取付体としてのマスクに装着した状態を示し、(a)はマスクに貼着した状態を示す断面図、(b)はカプセルを圧潰した状態を模式的に示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る芳香部材を被取付体としてのマスクに装着した状態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法を示し、(a)は本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着する工程を示し、(b)は被覆体シートを着接剤を介して剥離シート仮着する工程を示し、(c)は台紙に開放口を抜き形成する工程(S1)及び本体シートに被覆シートを着接する工程(S2)を示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法を示し、本体シートに被覆シートを着接した後の工程(S3~S5)を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法を示し、本体シートに被覆シートを着接した後の別の工程(S6~S9)を示す図である。
図10】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する方法の一例に係り、その工程(S11~S14)を示す図である。
図11】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する方法の一例において、工程(S21,S22)を示す図である。
図12】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する方法の一例において、工程(S31~S34)を示す図である。
図13】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する別の方法に係り、その工程(S41~S45)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る芳香部材について詳細に説明する。図1乃至図9には、実施の形態に係る芳香部材Sを示している。この芳香部材Sは、近年新型コロナウイルスの流行により使用頻度が大幅に増しているマスクMをはじめハンカチ,ティッシュペーパや衣料等の種々の被取付体に貼着されるものである。
【0027】
この芳香部材Sの基本的構成は、被取付体に粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体1と、基体1に設けられ粘着剤で形成された粘着層10と、基体1に設けられる液状の芳香剤Fとを備えて構成されている。
【0028】
詳しくは、芳香剤Fは、手で圧潰可能なカプセルC内に封入されており、基体1内に付帯させられる。芳香剤F及びカプセルCは、食品材料及び/または食品に使用することが許されている食品添加物により形成されている。カプセルCを構成する膜材料としては、動物性素材,植物性素材,合成高分子,無機化合物等が用いられ、例えば、ゼラチン,カラギーナン等の海藻由来の素材,バレイショ,タピオカやトウモロコシ由来のデンプン等周知のものが挙げられる。実施の形態では、海藻由来の素材を用いている。
【0029】
カプセルCは透明若しくは半透明に形成されている。カプセル化は、周知の不溶化反応法,相分離法,界面重合法等の周知の方法によって実施される。カプセルCは球形に形成され、カプセルCの外径をdとしたとき、2mm≦d≦5mmに設定されている。実施の形態では、d=3.5mmにしている。
【0030】
芳香剤Fは、天然香料あるいは合成香料を含有している液状のものであり、天然香料としては、例えば種々のアロマオイル(精油)があり、例えば、レモン,ライム,オレンジ,グレープフルーツ,ローズマリー,ペパーミント,スペアミント,ハッカ,バニラ,マンダリン,カモミール,ラベンダー,ローズ,ユーカリ,マートル,ティートリー,エンジュ等を挙げることができる。また、合成香料としては、例えば、エステル類,アルコール類,アルデヒド類,ケトン類,フェノール類,エーテル類,テルペン類等を挙げることができる。これらに限定されるものではない。
【0031】
また、芳香剤F及び/またはカプセルCは着色されている。実施の形態では、芳香剤Fが着色されている。色素剤としては、食用赤色2号,食用赤色3号,食用赤色102号,食用赤色104号,食用黄色4号,食用黄色5号,食用緑色3号,食用青色1号,食用青色2号,三二酸化鉄,銅クロロフィル,二酸化チタン,アナトー,オレンジ色素,カラメル,ベニバナ,ウコン,サフラン,食紅等を挙げることができる。
【0032】
実施の形態では、芳香剤Fは、例えば、香料としてスペアミントフレーバーを用い、これを、中鎖脂肪酸,増粘多糖類,グリセリン,食用青色1号と混合し、青色に着色した。尚、カプセルC内には芳香剤Fの他に、保湿剤や抗菌剤など他の有用成分を混合して封入して差支えない。
【0033】
基体1は円盤状に形成されている。この基体1にはカプセルCが収容可能な凹所2が形成されており、この凹所2にカプセルCが収容されている。詳しくは、基体1は、粘着層10が設けられる一方面と一方面とは反対側の他方面を有した所定厚さの本体3と、本体3の他方面に付着させられる吸液性の可撓性材料で形成された被覆体4とを備えて構成されている。本体3には、一方面から他方面に亘って貫通する貫通孔5が形成されており、凹所2は、貫通孔5を被覆体4で塞ぐことにより形成されている。
【0034】
被覆体4の本体3の他方面側の裏面には、他方面に着接する着接剤からなる着接層6が付着され、この着接層6の貫通孔5に臨み凹所2の底面7を形成する露出部8に、カプセルCが着接されている。
【0035】
基体1の本体3は、例えば、不織布,スポンジ,フェルト等の通気性及び可撓性を有する吸液性の材質により構成されている。基体1の被覆体4も、例えば、不織布,スポンジ,フェルト等の通気性及び可撓性を有する吸液性の材質により構成されている。実施の形態では、本体3は、フェルト(ウールとレーヨンの混合)で形成され、被覆体4は不織布で構成されている。これに限定されるものではない。
【0036】
円盤状の基体1において、その厚さをt、外径をa、貫通孔5の内径をbとしたとき、2mm≦t≦5mm、10mm≦a≦20mm、2mm≦b≦5mmに設定されている。実施の形態では、t=13mm、a=15mm、b=4mmに設定されている。
【0037】
また、粘着層10の粘着剤、着接層6の着接剤は、例えば、ポリエステル系粘着剤,ラテックス系粘着剤,アクリル系粘着剤等、周知のものを用いることができる。粘着剤は被取付体に対する充分な貼着強度が得られるように、また、着接剤は、本体3に対する被覆体4の着接が充分に行われるように適宜の材料のものが選択されている。粘着層10及び着接層6の厚さは1mm以下である。
【0038】
また、図3及び図4に示すように、芳香部材Sは、その粘着層10が剥離可能な台紙20に、粘着層10を介して仮着されている。台紙20には、基体1の凹所2を構成する貫通孔5と同じ内径で同軸の開放口21が形成されている。図4の例では、複数の芳香部材Sが行列状に矩形の台紙20に仮着されているものを示し、これに対応して台紙20には行列状に開放口21が形成されている。
【0039】
次に、この実施の形態に係る芳香部材Sを製造する製造方法について説明する。図7及び図8に示すように、予め、台紙20と、基体1の本体3を形成するためのシート状の本体シート30と、被覆体4を形成するための被覆体シート31とを用意する。図7(a)に示すように、本体シート30は、粘着剤10を介して台紙20に仮着しておく。図7(b)に示すように、被覆シート31は着接層6を構成する着接剤を介して剥離シート32に仮着しておく。そして、図7(c)に示すように、台紙20及び本体シート30に対して、ポンチ(図示せず)により貫通孔5及び開放口21を行列状に複数打ち抜き形成する(S1)。勿論、粘着剤10にも貫通孔5及び開放口21に対応した穴があけられる。
【0040】
次に、被覆シート31を着接剤(着接層6)とともに剥離シート32から引き剥して、本体シート30の台紙20とは反対側の面に着接する(S2)。これにより、凹所2が形成される。尚、この例では、被覆シート31は着接層6を構成する着接剤(着接層6)を介して剥離シート32に仮着しておいたものを引き剥がして用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、本体シート30の台紙20とは反対側の面に着接剤(着接層6)を塗布し、この塗布した着接剤(着接層6)に被覆シート31を着接するようにしても良く、適宜変更して差支えない。
【0041】
次に、図8に示すように、被覆シート31,着接剤(着接層6),本体シート30及び粘着剤10に対して被覆シート31側からポンチ(図示せず)により基体1の外周面を台紙20を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、台紙20上に基体1を形成する(S3)。最後に、台紙20に開けられた開放口21から凹所2にカプセルCを入れる(S4,S5)。これにより、台紙20に開放口21を形成したので、カプセルCをこの開放口21から凹所2内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所2に挿入されたカプセルCは、着接層6の露出部8(凹所2の底面7)に着接するので、保持が確実になり、逆さまにしても(S5の下の図)、カプセルCが凹所2から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。
【0042】
図9には、本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法において、本体シート30に被覆シート31を着接した後の別の工程を示す。これは、先に、台紙20に開けられた開放口21から凹所2にカプセルCを入れる(S6,S7)。それから、反転させて被覆シート31を上にし(S8)、この状態で、被覆シート31,着接剤(着接層6),本体シート30及び粘着剤10に対して被覆シート31側からポンチ(図示せず)により基体1の外周面を台紙20を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、台紙20上に基体1を形成する(S9)。これによっても、台紙20に開放口21を形成したので、カプセルCをこの開放口21から凹所2内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所2に挿入されたカプセルCは、着接層6の露出部8(凹所2の底面7)に着接するので、保持が確実になり、逆さまにしても、カプセルCが凹所2から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。
【0043】
ところで、上記実施の形態において、芳香部材Sを仮着した台紙20には開放口21が形成されるが、台紙20に開放口21を設けなくても良い(図12の(S34),図13の(S45)に示す)。台紙20に開放口21を設けないようにして芳香部材Sを製造するときは、例えば、以下のようになる。図10乃至図12に示すように、予め、台紙20と、基体1の本体3を形成するシート状の本体シート30と、被覆体4を形成する被覆体シート31とを用意する。被覆シート31は着接層6を構成する着接剤を介して剥離シート32に仮着されている。そして、例えば、図10に示すように、本体シート30に貫通孔5を行列状に形成し(S11,S12)、この本体シート30を円盤状の形に切断型で切断し、円盤状の本体3を成形する(S13)。次に、本体3を、その一方面側に粘着層10を形成する粘着剤を塗布して台紙20に仮着する(S14)。
【0044】
一方、図11に示すように、剥離シート32に着接剤6を介して仮着された被覆シート31において、剥離シート32を残して円盤状の形に切断型で切断し、円盤状の被覆体4を成形する(S21,S22)。
【0045】
それから、図12に示すように、台紙20に粘着層10を介して仮着された本体3の貫通孔5にカプセルCを入れる(S31,S32)。次に、剥離シート32に着接剤6を介して仮着された円盤状の被覆体4を着接剤6とともに引き剥がし(S33)、基体1の他方面側に着接する(S34)。これにより、底面7を有した凹所2が形成される。一般に、凹所2は底面7があるので基体1に凹所2を凹設する加工は容易ではないが、この構成によれば、凹所2を容易に形成できる。
【0046】
この場合、凹所2(貫通孔5)にカプセルCが挿入されることになり、カプセルCは着接層6の露出部8に着接し、台紙20に行列状に仮着された複数の芳香部材Sが製造される。この際、本体シート30が繊維質の場合、この繊維の中にカプセルCを入れこむことができるものの、繊維内に入れる作業は容易ではなく、製造効率を損ねるが、カプセルCは凹所2に収容するので、容易に基体1内に付帯させることができ、それだけ、製造効率を向上させることができる。
【0047】
図13には、実施の形態に係る芳香部材Sの別の製造方法を示す。これは、予め、台紙20と、基体1の本体3を形成するシート状の本体シート30と、被覆体4を形成する被覆体シート31とを用意し、例えば、台紙20に粘着層10を形成する粘着剤を介して本体シート30の一方面側を仮着し(S41)、次に、台紙20を残して貫通孔5を形成する(S42)。この状態で、貫通孔5にカプセルCを入れる(S43)。
【0048】
それから、本体シート30の他方面側に被覆体シート31を着接層6を形成する着接剤を介して着接する(S44)。これにより、底面7を有した凹所2が形成される。一般に、凹所2は底面7があるので基体1に凹所2を凹設する加工は容易ではないが、この構成によれば、凹所2を容易に形成できる。これにより、貫通孔5に挿入されたカプセルCが着接層6の露出部8に着接する。
【0049】
そして、最後に、本体シート30及び被覆体シート31を円盤状の形に切断型で切断し、円盤状の基体1を成形する。不要部分は取り除く(S45)。これにより、台紙20に行列状に仮着された複数の芳香部材Sが製造される。この場合、本体シート30が繊維質の場合、この繊維の中にカプセルCを入れこむことができるが、繊維内に入れる作業は容易ではなく、製造効率を損ねるが、カプセルCは凹所2に収容するので、容易に基体1内に付帯させることができ、それだけ、製造効率を向上させることができる。
【0050】
従って、この実施の形態に係る芳香部材Sによれば、図3及び図4に示すように、非使用時においては、粘着層10が容易に剥離できる台紙20に粘着層10を仮着しておくので、保管が容易であり、また、持ち運びも容易になる。この場合、液状の芳香剤FはカプセルC内に封入されているので、芳香剤Fが染み出すことがなく、そのため、芳香剤Fの保管性が向上し、取り扱いも容易にすることができる。また、台紙20には開放口21が形成されており、カプセルCが露出しているが、カプセルCは、凹所2内にあって着接層6の露出部8に着接しているので、保持が確実になり、持ち運びの際に、カプセルCが開放口21から飛び出して落下してしまう事態を防止することができ、この点でも取り扱い性を向上させることができる。
【0051】
この芳香部材Sを使用するときは、例えば被取付体としてのマスクMに用いるときで説明すると、図1図5(a)及び図6に示すように、台紙20から芳香部材Sを剥がして取り、マスクMの例えば裏面側に粘着層10を押し当てて粘着剤を介して貼着する。この場合、芳香剤FはカプセルCに封入されているので、手に付着して汚すことがなく、それだけ、取り扱いを容易にすることができる。また、カプセルCは、凹所2に挿入されて着接層6の露出部8に着接しているので、保持が確実になり、芳香部材SをマスクMに貼着する際に、カプセルCが凹所2から飛び出して落下してしまう事態を防止することができ、この点でも取り扱い性を向上させることができる。
【0052】
この状態で、図5(b)に示すように、基体1を介してカプセルCを圧潰する。これにより、カプセルC内部から芳香剤Fが流出し、基体1及び/またはマスクMに滲みこんでいく。この場合、基体1を介してカプセルCが圧潰するので、基体1の外に滲み出るまでは多少時間がかかることから、流出する芳香剤Fが手に付着して汚す事態が防止され、それだけ取り扱いを容易にすることができるとともに、清潔を保持でき衛生上の向上も図ることができる。また、芳香剤Fは着色されているので、カプセルCを潰して芳香剤Fが流出すると、芳香剤Fが着色されているので流出したことを目視で確実に知ることができる。
【0053】
それから、マスクMを顔に装着すると、滲み出した芳香剤Fが気化してマスクM内に芳香成分が発散し、呼吸時にこの芳香成分が鼻腔内に吸い込まれるので、香りを楽しむことができるとともに、マスク装着の不快感を解消することができ、快適にマスクMを使用することができるようになる。この場合、被覆体4は吸液性の可撓性材料で形成されているので、この被覆体4にも芳香剤Fを滲み込ませることができ、芳香成分の発散性を確保することができる。
【0054】
また、芳香剤F及びカプセルCは、食品材料及び/または食品に使用することが許されている食品添加物により形成されているので、カプセルCを誤って食しても、無害であり、安全が図られる。また、地面に落ちても腐食して自然に帰るので環境上も好ましい。
【0055】
尚、上記実施の形態において、基体1の材質,形状や大きさは上述したものに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。また、カプセルC内に封入する芳香剤Fも適宜に変更して差支えない。更に、上記実施の形態では、芳香剤Fを青色に着色したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、別の色に着色してよく、適宜変更して差支えない。更にまた、製造方法においても上述した方法に限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。また、上記実施の形態では、本芳香部材をマスクMに貼着する場合で説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ハンカチ,スカーフ,ティッシュペーパや衣料等の種々の被取付体に貼着して用いて良いことは勿論である。本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
S 芳香部材
M マスク(被取付体)
F 芳香剤
C カプセル
1 基体
2 凹所
3 本体
4 被覆体
5 貫通孔
6 着接層
7 底面
8 露出部
10 粘着層
20 台紙
21 開放口
30 本体シート
31 被覆体シート
32 剥離シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付体に粘着剤を介して貼着され吸液性の可撓性材料で形成されたチップ状の基体と、該基体に設けられ上記粘着剤で形成された粘着層と、上記基体に設けられる液状の芳香剤とを備えた芳香部材において、
上記芳香剤を手で圧潰可能なカプセル内に封入し、該カプセルを上記基体内に付帯させた芳香部材であって、
上記基体に上記カプセルが収容可能な凹所を形成し、該凹所に上記カプセルを収容し、上記基体を、上記粘着層が設けられる一方面と該一方面とは反対側の他方面を有した所定厚さの本体と、該本体の他方面に付着させられる吸液性の可撓性材料で形成されたシート状の被覆体とを備えて構成し、上記本体に上記一方面から他方面に亘って貫通する貫通孔を形成し、上記凹所を、上記貫通孔を上記被覆体で塞ぐことにより形成し、
上記被覆体の上記本体の他方面側の裏面に、該他方面に着接する着接剤からなる着接層を付着し、該着接層の上記貫通孔に臨み上記凹所の底面を形成する露出部に、上記カプセルを着接し、
上記カプセルを付帯した基体は、上記粘着層が剥離可能な台紙に該粘着層を介して仮着され、上記台紙に、上記基体の凹所を構成する貫通孔と同じ内径で同軸の開放口を形成したことを特徴とする芳香部材。
【請求項2】
上記基体を円盤状に形成し、該基体の厚さをt、外径をa、貫通孔の内径をbとし、上記カプセルを球状に形成し、該カプセルの外径をdとしたとき、2mm≦t≦5mm、10mm≦a≦20mm、2mm≦b≦5mm、2mm≦d≦5mmに設定したことを特徴とする請求項1記載の芳香部材。
【請求項3】
上記芳香剤及びカプセルを、食品材料及び/または食品に使用することが許されている食品添加物により形成したことを特徴とする請求項1または2記載の芳香部材。
【請求項4】
上記芳香剤及び/またはカプセルを着色したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の芳香部材。
【請求項5】
上記請求項1乃至4何れかに記載の芳香部材を製造する芳香部材の製造方法であって、
台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆体シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記被覆体シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆体シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成し、最後に、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れることを特徴とする芳香部材の製造方法。
【請求項6】
上記請求項1乃至4何れかに記載の芳香部材を製造する芳香部材の製造方法であって、
台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆体シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れ、該カプセルを被覆体シートの着接層を構成する着接剤に着接させ、その後、上記被覆体シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆体シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、最後に、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成することを特徴とする芳香部材の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
そして、この芳香部材を製造する本発明の芳香部材の製造方法は、台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆体シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記被覆体シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆体シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成し、最後に、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れる構成としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
そしてまた、この芳香部材を製造する本発明の別の芳香部材の製造方法は、台紙と、上記基体の本体を形成するためのシート状の本体シートと、上記被覆体を形成するための被覆体シートとを用意し、上記本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着し、該台紙及び本体シートに、ポンチにより上記貫通孔及び開放口を行列状に複数打ち抜き形成し、次に、上記被覆体シートを着接層を構成する着接剤を介して上記本体シートに着接し、それから、上記台紙に開けられた開放口から凹所に上記カプセルを入れ、該カプセルを被覆体シートの着接層を構成する着接剤に着接させ、その後、上記被覆体シート,着接剤,本体シート及び粘着剤に対して被覆体シート側からポンチにより基体の外周面を上記台紙を残して行列状に切断形成し、最後に、不要部分を除去して、上記台紙上に基体を形成する構成としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る芳香部材を被取付体としてのマスクに対する装着状態とともに示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る芳香部材を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る芳香部材を台紙に仮着した状態で示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る芳香部材を台紙に仮着した状態で示し、(a)は表側から見た斜視図、(b)は裏側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る芳香部材を被取付体としてのマスクに装着した状態を示し、(a)はマスクに貼着した状態を示す断面図、(b)はカプセルを圧潰した状態を模式的に示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る芳香部材を被取付体としてのマスクに装着した状態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法を示し、(a)は本体シートを粘着剤を介して台紙に仮着する工程を示し、(b)は被覆体シートを着接剤を介して剥離シート仮着する工程を示し、(c)は台紙に開放口を抜き形成する工程(S1)及び本体シートに被覆体シートを着接する工程(S2)を示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法を示し、本体シートに被覆体シートを着接した後の工程(S3~S5)を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法を示し、本体シートに被覆体シートを着接した後の別の工程(S6~S9)を示す図である。
図10】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する方法の一例に係り、その工程(S11~S14)を示す図である。
図11】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する方法の一例において、工程(S21,S22)を示す図である。
図12】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する方法の一例において、工程(S31~S34)を示す図である。
図13】本発明の実施の形態に係る芳香部材を開放口を設けない台紙に仮着して製造する別の方法に係り、その工程(S41~S45)を示す図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
次に、この実施の形態に係る芳香部材Sを製造する製造方法について説明する。図7及び図8に示すように、予め、台紙20と、基体1の本体3を形成するためのシート状の本体シート30と、被覆体4を形成するための被覆体シート31とを用意する。図7(a)に示すように、本体シート30は、粘着剤10を介して台紙20に仮着しておく。図7(b)に示すように、被覆体シート31は着接層6を構成する着接剤を介して剥離シート32に仮着しておく。そして、図7(c)に示すように、台紙20及び本体シート30に対して、ポンチ(図示せず)により貫通孔5及び開放口21を行列状に複数打ち抜き形成する(S1)。勿論、粘着剤10にも貫通孔5及び開放口21に対応した穴があけられる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
次に、被覆体シート31を着接剤(着接層6)とともに剥離シート32から引き剥して、本体シート30の台紙20とは反対側の面に着接する(S2)。これにより、凹所2が形成される。尚、この例では、被覆体シート31は着接層6を構成する着接剤(着接層6)を介して剥離シート32に仮着しておいたものを引き剥がして用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、本体シート30の台紙20とは反対側の面に着接剤(着接層6)を塗布し、この塗布した着接剤(着接層6)に被覆体シート31を着接するようにしても良く、適宜変更して差支えない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
次に、図8に示すように、被覆体シート31,着接剤(着接層6),本体シート30及び粘着剤10に対して被覆体シート31側からポンチ(図示せず)により基体1の外周面を台紙20を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、台紙20上に基体1を形成する(S3)。最後に、台紙20に開けられた開放口21から凹所2にカプセルCを入れる(S4,S5)。これにより、台紙20に開放口21を形成したので、カプセルCをこの開放口21から凹所2内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所2に挿入されたカプセルCは、着接層6の露出部8(凹所2の底面7)に着接するので、保持が確実になり、逆さまにしても(S5の下の図)、カプセルCが凹所2から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
図9には、本発明の実施の形態に係る芳香部材の製造方法において、本体シート30に被覆体シート31を着接した後の別の工程を示す。これは、先に、台紙20に開けられた開放口21から凹所2にカプセルCを入れる(S6,S7)。それから、反転させて被覆体シート31を上にし(S8)、この状態で、被覆体シート31,着接剤(着接層6),本体シート30及び粘着剤10に対して被覆体シート31側からポンチ(図示せず)により基体1の外周面を台紙20を残して行列状に切断形成し、その後、不要部分を除去して、台紙20上に基体1を形成する(S9)。これによっても、台紙20に開放口21を形成したので、カプセルCをこの開放口21から凹所2内に入れることができ、そのため、製造効率を向上させることができる。また、凹所2に挿入されたカプセルCは、着接層6の露出部8(凹所2の底面7)に着接するので、保持が確実になり、逆さまにしても、カプセルCが凹所2から飛び出して落下してしまう事態を防止することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
ところで、上記実施の形態において、芳香部材Sを仮着した台紙20には開放口21が形成されるが、台紙20に開放口21を設けなくても良い(図12の(S34),図13の(S45)に示す)。台紙20に開放口21を設けないようにして芳香部材Sを製造するときは、例えば、以下のようになる。図10乃至図12に示すように、予め、台紙20と、基体1の本体3を形成するシート状の本体シート30と、被覆体4を形成する被覆体シート31とを用意する。被覆体シート31は着接層6を構成する着接剤を介して剥離シート32に仮着されている。そして、例えば、図10に示すように、本体シート30に貫通孔5を行列状に形成し(S11,S12)、この本体シート30を円盤状の形に切断型で切断し、円盤状の本体3を成形する(S13)。次に、本体3を、その一方面側に粘着層10を形成する粘着剤を塗布して台紙20に仮着する(S14)。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
一方、図11に示すように、剥離シート32に着接剤6を介して仮着された被覆体シート31において、剥離シート32を残して円盤状の形に切断型で切断し、円盤状の被覆体4を成形する(S21,S22)。