(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179267
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ゴム紐リングの製造方法及びゴム紐リング
(51)【国際特許分類】
D04D 9/00 20060101AFI20221125BHJP
D04C 1/06 20060101ALI20221125BHJP
A45D 8/36 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
D04D9/00
D04C1/06 Z
A45D8/36 B
A45D8/36 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116267
(22)【出願日】2021-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2021085707
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521220345
【氏名又は名称】株式会社エルブ ドゥ プロヴァンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】兼松 稔
【テーマコード(参考)】
4L046
4L049
【Fターム(参考)】
4L046AA01
4L046AA24
4L046BA06
4L046BB00
4L049AA13
4L049AB13
4L049BA06
4L049BA16
4L049BA22
4L049CA00
4L049DA00
4L049EA00
(57)【要約】
【課題】 ゴム紐リング13の接合部周面に形成されているゴム芯2と組紐3の一体化部分4,4すなわち硬化部分の寸法を非常に短くして、手触りの良いゴム紐リングを提供することを目的とする。
【解決手段】 ゴム紐1の切断前に、ゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯2と組紐3を一体化させた一体化部分4とし、それぞれの一体化部分を、その一体化部分の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片8を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム芯とその外皮となる組紐で構成されるゴム紐を所定の長さごとに切断し、切断されたゴム紐片の両端同士を接合することによってリング状に形成するゴム紐リングの製造方法において、
ゴム紐の切断前に、ゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分とし、それぞれの一体化部分を、その一体化部分の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とすることを特徴とするゴム紐リングの製造方法。
【請求項2】
一体化工程は、加熱により組紐を収縮させ又は溶融させてゴム芯と組紐を一体化させる工程である請求項1記載のゴム紐リングの製造方法。
【請求項3】
一体化工程は、組紐に接着剤を含浸させることにより、ゴム芯と組紐とを接着すると共に組紐を硬化させゴム芯と組紐を一体化させる工程である請求項1記載のゴム紐リングの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の製造方法で製造されたゴム紐リング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にヘアーバンド等に使用されるゴム紐リングの製造方法及びゴム紐リングに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム紐を切断してゴム紐片とし、その端部同士を接合してゴム紐リングを形成するときに、ゴム紐を切断する前に、ゴム紐の切断領域部分を加熱したり、切断領域部分の組紐に接着剤を含浸させたりすることにより、ゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分を形成し、切断による組紐のほつれを抑制することは公知技術である。このように、ゴム紐に一体化部分を形成して切断することは、切断時の組紐のほつれを抑制する効果を有するが、反面、一体化部分はその部分が硬化されるのでゴム紐のような柔軟性がなく、使用者に違和感を起こさせるのである。したがって、一体化部分の寸法を少しでも短くした方が手触りが良く好ましいのである。
【0003】
加熱によりゴム紐に一体化部分を形成する場合、ゴム紐を加熱するヒータ装置は、筒状とした挿通路の周囲にヒータを配置して形成されており、ゴム紐の長手方向に所定間隔で複数のヒータを配置し、ゴム紐を、ヒータ部の配置間隔ごとに断続的に送給して、ゴム紐を部分的に加熱する。また、ヒータ装置では、挿通路の周囲に配置したヒータにより挿通路内を所定温度としている。したがって、挿通路内を所定温度にすることによる加熱であるから、一体化部分を非常に短い寸法で限定的に加熱することには向いていない。
【0004】
また、組紐への接着剤の含浸によって一体化部分を形成する場合は、接着剤が組紐に沁み込んでゴム芯まで到達して一体化部分が形成されるのであるから、接着剤はそれを可能とする浸透性を有している。したがって、その浸透性によって、接着剤は組紐の横方向すなわちゴム紐の長さ方向にも沁み込んでいくから、一体化部分を非常に短い寸法とすることには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-2397号公報
【特許文献2】特開平8-308628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ゴム紐リングの接合部周面に形成されているゴム芯と組紐の一体化部分すなわち硬化部分の寸法を非常に短くして、手触りの良いゴム紐リングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ゴム芯とその外皮となる組紐で構成されるゴム紐を所定の長さごとに切断し、切断されたゴム紐片の両端同士を接合することによってリング状に形成するゴム紐リングの製造方法において、ゴム紐の切断前に、ゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分とし、それぞれの一体化部分を、その一体化部分の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とする構成である。
【0008】
請求項2記載の発明は、一体化工程が、加熱により組紐を収縮させ又は溶融させてゴム芯と組紐を一体化させる工程である構成である。
【0009】
請求項3記載の発明は、一体化工程が、組紐に接着剤を含浸させることにより、ゴム芯と組紐とを接着すると共に組紐を硬化させゴム芯と組紐を一体化させる工程である構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ゴム芯とその外皮となる組紐で構成されるゴム紐を所定の長さごとに切断し、切断されたゴム紐片の両端同士を接合することによってリング状に形成するゴム紐リングの製造方法であって、ゴム紐の切断前に、ゴム紐を切断してゴム紐片とする際のゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分とし、それぞれの一体化部分を、その一体化部分の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とする構成である。したがって、一体化部分を、一体化部分の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片を形成するので、一体化部分の中央の1箇所で切断する場合に比べて、切断されたゴム紐片の両方の端部の一体化部分の寸法を短くすることができる。これにより、両方の端部を接合してゴム紐リングとした場合にも、接合部周面における一体化部分の寸法は1箇所の切断によってゴム紐片を形成したときよりも短くすることができ、手触りの良いゴム紐リングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ゴム紐に一体化部分を形成した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、ゴム紐1の切断前に、一体化工程によりゴム芯2と組紐3を一体化させた一体化部分4を形成した状態を示す断面図であって、この一体化部分4が、ゴム紐1を切断してゴム紐片とする際のゴム紐1の切断領域部分となる。
【0013】
一体化部分4を形成する一体化工程は、加熱によりゴム芯2と組紐3を一体化させる工程である。加熱は、加熱装置の挿通路の長手方向に所定間隔で複数のヒータを配置し、挿通路内のゴム紐1をそれらのヒータによって部分的に加熱することにより行われる。加熱温度は、例えば組紐3がナイロン製であるときは約130℃で加熱すると、ナイロンが溶融せず、組紐3が収縮してゴム芯2の周面に圧接して一体化される。また、ナイロンが溶融する高温で加熱したときは、組紐3が溶融してゴム芯2と一体化する。本発明における加熱はそのいずれでもよい。
【0014】
さらに、一体化部分4を形成する一体化工程として、組紐3に接着剤を含浸させることにより、ゴム芯2と組紐3とを接着すると共に組紐3を硬化させゴム芯2と組紐3を一体化させる方法であってもよい。なお、この接着剤による一体化工程も前述した加熱による一体化工程も公知の技術が使用される。
【0015】
図2は、一体化部分4を形成したゴム紐1を、一体化部分4の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片を形成するときの説明図である。符号5は一体化部分4の中心線であり、その中心線5を挟んで離間した2つの切断線6,6が示されている。一体化部分4は、これらの切断線6,6の位置で2つの刃7,7により切断される。そして、
図3及び
図4に示すように、切断されたゴム紐片8の両端部を接着剤9によって接合して、ゴム紐リング13が製造される。
【0016】
切断は、刃7,7を下降および上昇させることが可能なカッター装置(図示せず。)により行われる。刃7,7は対向した状態でカッター装置に取り付けられており、カッター装置により一体的に下降し上昇する。刃7,7の刃先10,10の高さは同じとなるように取り付けられているが、両方の刃先10,10の高さが異なっていてもよい。また、刃7,7を一体的でなく、それぞれ独自に移動させてもよい。
【0017】
刃7,7は共に片刃であって、刃先傾斜面12,12は対向する刃側に形成されている。これにより、切断されたゴム紐片8の切り口をきれいに仕上げることができる。なお、刃7,7は片刃に限定されるものではなく両刃であってもよい。刃7,7の刃先10,10の間隔は約2mmである。したがって、ゴム紐1の一体化部分4の寸法を約3mmにして、一体化部分4の中央を挟んで対称の切断位置で刃7,7により一体化部分4を切断すると、切断されたゴム紐片8のそれぞれの端部における一体化部分11,11の寸法を約0.5mmの非常に短い寸法とすることができる。また、ゴム紐1の一体化部分4の寸法を約2mmとしたときは、刃7,7の刃先10,10の間隔を約1mmとすることにより、同様に、切断されたゴム紐片8のそれぞれの端部における一体化部分11の寸法を約0.5mmの非常に短い寸法とすることができる。このようにして、本発明では、ゴム紐リング13において硬くなっている一体化部分4,4の寸法を非常に短くすることができ、ソフトで手触りの良いゴム紐リング13を提供することができるのである。
【符号の説明】
【0018】
1 ゴム紐、 2 ゴム芯、 3 組紐、 4 一体化部分、 5 中心線、 6 切断線、 7 刃、 8 ゴム紐片、 9 接着剤、 10 刃先、 11 ゴム紐片の端部における一体化部分、 12 刃先傾斜面、 13 ゴム紐リング
【手続補正書】
【提出日】2021-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1記載の発明は、ゴム芯とその外皮となる組紐で構成されるゴム紐を所定の長さごとに切断し、切断されたゴム紐片の両端同士を接合することによってリング状に形成するゴム紐リングの製造方法において、ゴム紐の切断前に、ゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分とし、その一体化部分の切断は、1つの一体化部分ごとに、間隔を開けた2つの刃によって行い、その2つの刃で、1つの一体化部分の中央を挟んで間隔を開けたその一体化部分の2箇所で切断することによりゴム紐片を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とする構成である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、ゴム芯とその外皮となる組紐で構成されるゴム紐を所定の長さごとに切断し、切断されたゴム紐片の両端同士を接合することによってリング状に形成するゴム紐リングの製造方法であって、ゴム紐の切断前に、ゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分とし、その一体化部分の切断は、1つの一体化部分ごとに、間隔を開けた2つの刃によって行い、その2つの刃で、1つの一体化部分の中央を挟んで間隔を開けたその一体化部分の2箇所で切断することによりゴム紐片を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とする構成である。したがって、一体化部分を、一体化部分の中央を挟んで間隔を開けた2箇所で切断することによりゴム紐片を形成するので、一体化部分の中央の1箇所で切断する場合に比べて、切断されたゴム紐片の両方の端部の一体化部分の寸法を短くすることができる。これにより、両方の端部を接合してゴム紐リングとした場合にも、接合部周面における一体化部分の寸法は1箇所の切断によってゴム紐片を形成したときよりも短くすることができ、手触りの良いゴム紐リングを提供することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム芯とその外皮となる組紐で構成されるゴム紐を所定の長さごとに切断し、切断されたゴム紐片の両端同士を接合することによってリング状に形成するゴム紐リングの製造方法において、ゴム紐の切断前に、ゴム紐の切断領域部分を、一体化工程によりゴム芯と組紐を一体化させた一体化部分とし、その一体化部分の切断は、1つの一体化部分ごとに、間隔を開けた2つの刃によって行い、その2つの刃で、1つの一体化部分の中央を挟んで間隔を開けたその一体化部分の2箇所で切断することによりゴム紐片を形成し、そのゴム紐片の両端同士を接合してリング状とすることを特徴とするゴム紐リングの製造方法。
【請求項2】
一体化工程は、加熱により組紐を収縮させ又は溶融させてゴム芯と組紐を一体化させる工程である請求項1記載のゴム紐リングの製造方法。
【請求項3】
一体化工程は、組紐に接着剤を含浸させることにより、ゴム芯と組紐とを接着すると共に組紐を硬化させゴム芯と組紐を一体化させる工程である請求項1記載のゴム紐リングの製造方法。