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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179268
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ミシン用上糸自動切断装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 65/00 20060101AFI20221125BHJP
   D05B 65/06 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
D05B65/00
D05B65/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120921
(22)【出願日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】202110557970.1
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521324045
【氏名又は名称】中山市偉泰寵物用品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】銀 林
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CE23
3B150FH02
3B150FH17
3B150FH20
3B150JA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】縫製中に自動的に糸を切断できるとともに、切断後に縫製生地に残る糸の端の長さを1mm以下にすることが可能で、人力による二次剪定を必要としないミシン用上糸自動切断装置を提供する。
【解決手段】ガンヘッドが上糸に近づくようにホットエアガンを駆動して、ホットエアガンが一定の温度を有する熱風を噴き出して、上糸を溶断させる。この熱風により上糸を溶断させることで、上糸の根元から直接溶断でき、ツールの噛み合いによる切断の過程において引き起こされる切断誤差を避けるとともに、可動フックが上糸を引っ張る時、それに繋がった下糸が上糸に引っ張られて、糸の端が生地内に引かれるので、表面から下糸の端が見えなくなり、これにより上糸を切断すると同時に下糸の端を取り除く効果も実現して、労力を節約して、縫製の効率を向上できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン用上糸自動切断装置であって、前記ミシンはベース、ベース上に固定されているミシン頭部取付フレーム(4)、前記ミシン頭部取付フレーム(4)に取り付けられているミシン頭部、ミシン頭部の下方に対応するようにベース上に取り付けられている作業台(5)、及び前記作業台(5)の底面に取り付けられている下糸切断装置(6)とを含み、前記ミシン頭部は縫製針針棒(7)を有し、前記下糸切断装置(6)は前記針棒(7)の端部の針先の下方に設置されており、前記ミシン用上糸自動切断装置は糸払い機構(1)、引張機構(2)及び糸切断機構(3)を含み、
前記糸払い機構(1)は糸払いフック(11)、回転軸(12)、連桿(13)及び前記連桿(13)を駆動するための第一エアシリンダ(14)を含み、前記第一エアシリンダ(14)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に固定的に取り付けられているとともに、駆動端が前記連桿(13)の一端と固定的に接続され、前記連桿(13)の他端が前記回転軸(12)の一端と伝動的に接続され、前記回転軸(12)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に回転可能に接続され、前記糸払いフック(11)の平直端は前記回転軸(12)の外側壁に固定的に取り付けられて且つ前記縫製針針棒(7)の一方側に対応し、
前記引張機構(2)は可動フック(21)、位置制限板(22)及び前記可動フック(21)を駆動するための第二エアシリンダ(23)を含み、前記第二エアシリンダ(23)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に固定的に取り付けられているとともに、駆動端が前記可動フック(21)の一端と固定的に接続され、前記位置制限板(22)の一端が前記ミシン頭部に固定されているとともに前記縫製針針棒(7)の一方側に対応し、前記可動フック(21)のフック端部は前記位置制限板の他端と当接されて繋ぎ合わせられることができ、
前記糸切断機構(3)はスライドテーブルエアシリンダ(31)、ホットエアガン(32)及び前記ホットエアガン(32)に熱エネルギーを供給するホットエアマシン(33)を含み、前記スライドテーブルエアシリンダ(31)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に固定され、前記ホットエアガン(32)は前記スライドテーブルエアシリンダ(31)の駆動端に固定されている
ことを特徴とするミシン用上糸自動切断装置。
【請求項2】
前記連桿(13)と回転軸(12)とはクランクにより接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項3】
前記引張機構(2)はさらに、位置制限溝付き部材(24)を含み、前記位置制限溝付き部材(24)は前記ミシン頭部に固定され、前記位置制限板(22)は前記位置制限溝付き部材(24)の溝内の下部に固定され、前記可動フック(21)は前記位置制限溝付き部材(24)内でスライドするとともに、前記可動フック(21)のフック端部は移動可能に前記位置制限板(22)の他端に当接できる
ことを特徴とする請求項1に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項4】
前記スライドテーブルエアシリンダ(31)は、エアシリンダを全体として接続して固定するための外フレーム(311)、前記外フレーム(311)に固定的に穿設されてエアシリンダを駆動するための気動ガイドロッド組立体、及び前記気動ガイドロッド組立体上に嵌設されてエアシリンダの移動を完成させるための移動ブロック(312)を含み、前記外フレーム(311)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に固定され、前記ホットエアガン(32)は前記移動ブロック(312)に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項5】
前記糸切断機構(3)はさらにスライドテーブルエアシリンダ取付板(34)を含み、前記スライドテーブルエアシリンダ取付板(34)がミシン頭部取付フレームに固定されているとともに、前記外フレーム(311)の位置と角度を調整するための調整孔が設けられており、ピンを前記調整孔に通すことで前記外フレーム(311)をスライドテーブルエアシリンダ取付板(34)に固定している
ことを特徴とする請求項4に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項6】
前記糸切断機構(3)はさらに固定ブロック(35)を含み、前記固定ブロック(35)は前記移動ブロック(312)上に固定的に取り付けられ、前記ホットエアガン(32)は前記移動ブロック(312)のスライド方向に沿って前記固定ブロック(35)内に穿設され、前記固定ブロック(35)には前記ホットエアガン(32)を固定するためのねじ(351)が設置されている
ことを特徴とする請求項5に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項7】
前記糸切断機構(3)はさらにホース(36)を含み、前記ホース(36)の両端は前記ホットエアガン(32)と前記ホットエアマシン(33)に連通している
ことを特徴とする請求項6に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項8】
前記下糸切断装置(6)は固定刃(61)、固定刃と噛み合える移動刃(62)及び移動刃の運動を駆動する駆動装置を含み、前記固定刃(61)は前記作業台(5)の底面に固定的に取り付けられ、前記移動刃(62)は前記作業台(5)の底面に回転可能に取り付けられ、前記駆動装置は前記移動刃(62)と接続されている
ことを特徴とする請求項7に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項9】
前記位置制限板(22)には、前記可動フック(21)と当接されて繋ぎ合わせられる一端には当接凹溝が設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【請求項10】
さらにコントローラー、第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブを含み、前記コントローラーは前記第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブと電気的に接続され、前記第一電磁バルブは前記第一エアシリンダ(14)と電気的に接続され、前記第二電磁バルブは前記第二エアシリンダ(23)と電気的に接続され、前記第三電磁バルブは前記スライドテーブルエアシリンダ(31)と電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載のミシン用上糸自動切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縫製技術の分野に関し、より具体的には、ミシン用上糸自動切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市場に出回っているミシンは糸自動切断機能を実現できるが、ツール間の噛み合いにより挟み切るとともに、センサーでツールの噛み合う時間を制御することで、糸切断後に、縫製生地に残る糸の端の長さをコントロールする。通常では、糸切断後に残る糸の端の長さは5mm以上であり、ツールの噛み合い不良が発生した場合又はセンサーの装着位置が不適切である場合、糸切断後に縫製生地の表面に残る糸の端をより長くしてしまう。糸の端を取り除くために、人力で糸の二次切断を行う必要があり、作業時間を増やすだけではなく、大量の労力を無駄にしてしまう。
【0003】
従って、如何にして効果のより良いミシンを提供することで、人力による二次作業を必要としないように、糸切断後の縫製生地に残る糸の端の長さをより短くできるかが、当業者にとって早急に解決したい問題となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、縫製中に自動的に糸を切断できるとともに、切断後に縫製生地に残る糸の端の長さを1mm以下にすることが可能なミシンを提供することにより、人力による二次剪定を必要としないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は以下のような技術案を採用する。
【0006】
ミシン用上糸自動切断装置によれば、ミシンはベース、ベース上に固定されているミシン頭部取付フレーム、ミシン頭部取付フレームに取り付けられているミシン頭部、ミシン頭部の下方に対応するようにベース上に取り付けられている作業台、及び作業台の底面に取り付けられている下糸切断装置とを含み、ミシン頭部は縫製針針棒を有し、下糸切断装置は針棒の端部の針先の下方に設置されており、糸払い機構、引張機構及び糸切断機構を含み、
糸払い機構は糸払いフック、回転軸、連桿及び連桿を駆動するための第一エアシリンダを含み、第一エアシリンダはミシン頭部取付フレームに固定的に取り付けられているとともに、駆動端が連桿の一端と固定的に接続され、連桿の他端が回転軸の一端と伝動的に接続され、回転軸はミシン頭部取付フレームに回転可能に接続され、糸払いフックの平直端は回転軸の外側壁に固定的に取り付けられて且つ縫製針針棒の一方側に対応し、
引張機構は可動フック、位置制限板及び可動フックを駆動するための第二エアシリンダを含み、第二エアシリンダはミシン頭部取付フレームに固定的に取り付けられているとともに、駆動端が可動フックの一端と固定的に接続され、位置制限板の一端がミシン頭部に固定されているとともに縫製針針棒の一方側に対応し、可動フックのフック端部は位置制限板の他端と当接されて繋ぎ合わせられることができ、
糸切断機構はスライドテーブルエアシリンダ、ホットエアガン及びホットエアガンに熱エネルギーを供給するホットエアマシンを含み、スライドテーブルエアシリンダはミシン頭部取付フレームに固定され、ホットエアガンはスライドテーブルエアシリンダの駆動端に固定されている。
【0007】
上記技術より分かるように、従来の技術と比べて、本発明の開示内容は、ミシン用上糸自動切断装置を提案し、縫製作業が終わった時、下糸切断装置が先ず下糸を切断して、それから上糸を切断する。先ず、第一エアシリンダにより連桿の直線運動を駆動し、連桿により回転軸の回転を駆動し、回転軸に取り付けられている糸払いフックが上糸を引っ掛けて一定の位置まで引き戻す。そして、第二エアシリンダにより上糸を引っ張るように可動フックを駆動して、且つフック端部は位置制限板に当接されて繋ぎ合わせられ、上糸の位置を固定させる。最後に、スライドテーブルエアシリンダがスライドして、ガンヘッドが上糸に近づくようにホットエアガンを駆動して、ホットエアガンが一定の温度を有する熱風を噴き出して、上糸を溶断させる。熱風により上糸を溶断させることで、上糸の根元から直接溶断でき、伝統的なツールの噛み合いによる切断の過程において引き起こされる切断誤差を避けるとともに、可動フックが上糸を引っ張る時、それに繋がった下糸が上糸に引っ張られて、糸の端が生地内に引かれるので、表面から下糸の端が見えなくなり、これにより上糸を切断すると同時に下糸の端を取り除く効果も実現して、労力を節約して、縫製の効率を向上させた。本発明のミシン用の自動糸切断装置の構造が簡単で、操作が柔軟であり、縫製生地の表面に残る糸の端を取り除き、糸の塊、鳥の巣をある程度予防して、きれい且つ整った縫製にして、縫製の縫い目をさらに最適化した。
【0008】
上記技術案の採用による有益効果としては、連桿と回転軸とはクランクにより接続されていることである。
【0009】
上記技術案の採用による有益効果としては、クランクによる接続構造は簡単、柔軟且つ便利であることである。
【0010】
本発明によれば、さらに、引張機構はさらに、位置制限溝付き部材を含み、位置制限溝付き部材はミシン頭部に固定され、位置制限板は位置制限溝付き部材の溝内の下部に固定され、可動フックは位置制限溝付き部材内でスライドするとともに、可動フックのフック端部は移動可能に位置制限板の他端に当接できる。
【0011】
上記技術案の採用による有益効果としては、可動フックのスライド方向にズレが発生しないのを保証できることである。
【0012】
本発明によれば、さらに、スライドテーブルエアシリンダは、エアシリンダを全体として接続して固定するための外フレーム、外フレームに固定的に穿設されてエアシリンダを駆動するための気動ガイドロッド組立体、及び気動ガイドロッド組立体上に嵌設されてエアシリンダの移動を完成させるための移動ブロックを含み、外フレームはミシン頭部取付フレームに固定され、ホットエアガンは移動ブロックに固定されている。
【0013】
上記技術案の採用による有益効果としては、ホットエアガンはスライドテーブルエアシリンダ上の移動ブロックとともに往復運動できることである。
【0014】
本発明によれば、さらに、糸切断機構はさらにスライドテーブルエアシリンダ取付板を含み、スライドテーブルエアシリンダ取付板がミシン頭部取付フレームに固定されているとともに、外フレームの位置と角度を調整するための調整孔が設けられており、ピンを調整孔に通すことで外フレームをスライドテーブルエアシリンダ取付板に固定している。
【0015】
上記技術案の採用による有益効果としては、ピンをスライドテーブルエアシリンダ取付板上の調整孔に通すことで、スライドテーブルエアシリンダの位置と角度を調整することができ、位置調整により、それに固定されたホットエアガンの作用位置がスライドテーブルエアシリンダのスライド行程内にあることを保証でき、角度調整により、それに固定されたホットエアガンの送風角度を調整しやすくして、上糸をより有効に溶断させることができることである。
【0016】
本発明によれば、さらに、糸切断機構はさらに固定ブロックを含み、固定ブロックは移動ブロック上に固定的に取り付けられ、ホットエアガンは移動ブロックのスライド方向に沿って固定ブロック内に穿設され、固定ブロックにはホットエアガンを固定するためのねじが設置されている。
【0017】
上記技術案の採用による有益効果としては、ねじによりホットエアガンの移動ブロックのスライド方向における延出量を調整でき、ホットエアガンのガンヘッド位置及び上糸との作用距離をより良く確定できることである。
【0018】
本発明によれば、さらに、糸切断機構はさらにホースを含み、ホースの両端はホットエアガンとホットエアマシンに連通している。
【0019】
上記技術案の採用による有益効果としては、ホースの位置配置が便利で、ミシンの運転に影響しないことである。
【0020】
本発明によれば、さらに、下糸切断装置は固定刃、固定刃と噛み合える移動刃及び移動刃の運動を駆動する駆動装置を含み、固定刃は作業台の底面に固定的に取り付けられ、移動刃は作業台の底面に回転可能に取り付けられ、駆動装置は移動刃と接続されている。
【0021】
上記技術案の採用による有益効果としては、固定刃と移動刃の噛み合いを利用して下糸を切断できることである。
【0022】
本発明によれば、さらに、位置制限板には、可動フックと当接されて繋ぎ合わせられる一端には当接凹溝が設けられている。
【0023】
上記技術案の採用による有益効果としては、可動フックが上糸を引っ張って位置制限板と繋ぎ合わせられた時、上糸が当接凹溝内に係着されて、上糸がスライドして引っ張れないのを防止できることである。
【0024】
本発明によれば、さらにコントローラー、第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブを含み、コントローラーは第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブと電気的に接続され、第一電磁バルブは第一エアシリンダと電気的に接続され、第二電磁バルブは第二エアシリンダと電気的に接続され、第三電磁バルブはスライドテーブルエアシリンダと電気的に接続されている。
【0025】
上記技術案の採用による有益効果としては、コントローラーは、第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブを制御することで、さらに第一エアシリンダ、第二エアシリンダ及びスライドテーブルエアシリンダの運動を制御して、糸払い機構、引張機構、糸切断機構の緊密な連携を保証して、上糸の切断を完成させることができることである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の構造模式図である。
図2】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の構造模式図である。
図3】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の糸払い機構の構造模式図である。
図4】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の引張機構の構造模式図である。
図5】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の可動フック、位置制限板の構造模式図である。
図6】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の糸切断機構の構造模式図である。
図7】本発明が提案するミシン用上糸自動切断装置の下糸切断装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施例における添付図面と組み合わせ、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本発明の全ての実施例ではなく、一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得られる全ての他の実施例は、本発明の保護の範囲に属す。
【0028】
本発明の実施例では、ミシン用上糸自動切断装置を開示する。図面を参照し、ミシンはベース、ベース上に固定されているミシン頭部取付フレーム4、ミシン頭部の下方に対応するようにベース上に取り付けられている作業台5、及び作業台5の底面に取り付けられている下糸切断装置6とを含み、ミシン頭部は縫製針針棒7を有し、下糸切断装置6は針棒7の端部の針先の下方に設置されており、糸払い機構1、引張機構2及び糸切断機構3を含み、
図3を参照し、糸払い機構1は糸払いフック11、回転軸12、連桿13及び連桿13を駆動するための第一エアシリンダ14を含み、第一エアシリンダ14は連桿13を直線運動するように駆動し、連桿13が回転軸12の回転を駆動し、回転軸12に取り付けられた糸払いフック11は上糸を引っ掛けて一定の位置まで引き戻すことができ、
図4、5を参照し、引張機構2は可動フック21、位置制限板22及び可動フック21を駆動するための第二エアシリンダ23を含み、第二エアシリンダ23は、上糸を引っ張るように、可動フック21を駆動して、且つフック端部と位置制限板22とは当接されて繋ぎ合わせられることにより、上糸の位置を固定させる。可動フック21により上糸を引っ張る時、それに接続されている下糸が上糸から引かれることにより、糸の端が生地内に引かれて、下糸の端が表面から見えなくなり、位置制限板22により可動フック21を制限する機能を果たしており、
図6を参照し、糸切断機構3はスライドテーブルエアシリンダ31、ホットエアガン32及びホットエアガン32に熱エネルギーを供給するホットエアマシン33を含み、スライドテーブルエアシリンダ31の駆動端がスライドすることにより、その上に取り付けられたホットエアガン32のガンヘッドを上糸に近づくように駆動して、ホットエアガン32から一定の温度を有する熱風を噴き出して、上糸を溶断させる。
【0029】
好ましくは、ホットエアガン32をレーザー、プラズマ高周波電気アーク、超音波、ヒートカッター、振動カッター、フレームカッターなどに換えてもよい。
【0030】
本発明の一実施例によれば、連桿13と回転軸12とはクランクにより接続されており、クランクによる接続構造は簡単、柔軟且つ便利である。
【0031】
本発明の一実施例によれば、引張機構2はさらに、位置制限溝付き部材24を含み、位置制限溝付き部材24はミシン頭部に固定され、位置制限板22は位置制限溝付き部材24の溝内の下部に固定され、可動フック21は位置制限溝付き部材24内でスライドするとともに、可動フック21のフック端部は移動可能に前記位置制限板22の他端に当接できることにより、可動フック21のスライド方向にズレが発生しないのを保証できる。
【0032】
本発明の一実施例によれば、スライドテーブルエアシリンダ31は、エアシリンダを全体として接続して固定するための外フレーム311、外フレーム311に固定的に穿設されてエアシリンダを駆動するための気動ガイドロッド組立体、及び気動ガイドロッド組立体上に嵌設されてエアシリンダの移動を完成させるための移動ブロック312を含み、外フレーム311はミシン頭部取付フレーム4に固定され、ホットエアガン32は移動ブロック312に固定され、移動ブロック312は往復運動を行う。
【0033】
本発明の一実施例によれば、糸切断機構3はさらにスライドテーブルエアシリンダ取付板34を含み、スライドテーブルエアシリンダ取付板34がミシン頭部取付フレーム4に固定されているとともに、は外フレーム311の位置と角度を調整するための調整孔が設けられており、ピンを調整孔に通すことで外フレーム311をスライドテーブルエアシリンダ取付板34に固定し、ピンをスライドテーブルエアシリンダ取付板上の調整孔に通すことで、スライドテーブルエアシリンダ31の位置と角度を調整することができ、スライドテーブルエアシリンダ31の位置調整により、それに固定されたホットエアガン32の作用位置がスライドテーブルエアシリンダ31のスライド行程内にあることを保証でき、角度調整により、それに固定されたホットエアガン32の送風角度を調整しやすくして、上糸をより有効に溶断させることができる。
【0034】
好ましくは、糸切断機構3はさらに固定ブロック35を含み、固定ブロック35は移動ブロック312上に固定的に取り付けられ、ホットエアガン32は移動ブロック312のスライド方向に沿って固定ブロック35内に穿設され、固定ブロック35にはホットエアガン32を固定するためのねじ351が設置されている。ねじ351によりホットエアガン32の移動ブロック312のスライド方向における延出量を調整でき、ホットエアガン32のガンヘッド位置及び上糸との作用距離をより良く確定できる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、糸切断機構3はさらにホース36を含み、ホース36の両端はホットエアガン32とホットエアマシン33に連通し、ホースの位置配置が便利で、ミシンの運転に影響しない。
【0036】
本発明の一実施例によれば、図7を参照し、下糸切断装置6は固定刃61、固定刃と噛み合える移動刃62及び移動刃の運動を駆動する駆動装置を含み、固定刃61は作業台5の底面に固定的に取り付けられ、移動刃62は作業台5の底面に回転可能に取り付けられ、駆動装置は移動刃62と接続されて、固定刃61と移動刃62との噛み合いを利用して、下糸を切断できる。
【0037】
本発明のいくつかの実施例によれば、位置制限板22には、可動フック21と当接されて繋ぎ合わせられる一端には当接凹溝が設けられ、可動フック21が上糸を引っ張って位置制限板22と繋ぎ合わせられた時、上糸は当接凹溝内に係着されて、上糸がスライドして引っ張れないことを防止できる。
【0038】
本発明のいくつかの実施例によれば、さらにコントローラー、第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブを含み、コントローラーにより第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブの電気接続を制御し、第一電磁バルブにより第一エアシリンダ14を制御し、第二電磁バルブにより第二エアシリンダ23を制御し、第三電磁バルブによりスライドテーブルエアシリンダ31を制御することにより、糸払い機構1、引張機構2、糸切断機構3の緊密な連携を保証して、上糸の切断を完成させる。
【0039】
コントローラーは二通りの制御方式を有してもよい:
方式一:PLC(プログラマブルロジックコントローラ)による制御。ミシン押え、立ち上げ信号及び下糸切断装置の駆動信号は続々とリレーを通してPLCに伝送され、PLCは信号を受信し、既定プログラムで第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブを順番通りに運転するように制御することで、第一エアシリンダ14、第二エアシリンダ23及びスライドテーブルエアシリンダ31を往復運動するように駆動して、上糸の切断を完成させる。
【0040】
方式二:PCB(印刷回路基板)による制御。PCBを正しく設置し、特定の時間で往復運動を行うように第一エアシリンダ14、第二エアシリンダ23、スライドテーブルエアシリンダ31を駆動するように、第一電磁バルブ、第二電磁バルブ及び第三電磁バルブを直接制御することで、上糸の切断を完成させる。
【0041】
本発明のミシン用上糸自動切断装置の原理は以下になる:
縫製作業が終わった時、下糸切断装置の移動刃が駆動し、固定刃と噛み合って下糸を切断して、そして上糸の切断に移る。先ず、第一エアシリンダにより連桿の直線運動を駆動し、連桿により回転軸の回転を駆動し、回転軸に取り付けられている糸払いフックが上糸を引っ掛けて一定の位置まで引き戻す。そして、第二エアシリンダにより上糸を引っ張るように可動フックを駆動して、フック端部は位置制限板に当接されて繋ぎ合わせられ、上糸の位置を固定させる。最後に、スライドテーブルエアシリンダ移動ブロックがスライドして、ガンヘッドが上糸に近づくようにホットエアガンを駆動して、ホットエアガンが一定の温度を有する熱風を噴き出して、上糸を溶断させる。熱風により上糸を溶断させることで、上糸の根元から直接溶断でき、伝統的なツールの噛み合いによる切断の過程において引き起こされる切断誤差を避けるとともに、可動フックが上糸を引っ張る時、それに繋がった下糸が上糸に引っ張られて、糸の端が生地内に引かれるので、表面から下糸の端が見えなくなり、これにより上糸を切断すると同時に下糸の端を取り除く効果も実現した。
【0042】
本発明のミシン用上糸自動切断装置によれば、糸切断後に縫製生地に残る糸の端の長さLが比較的安定し、Lの範囲は1mm以下に抑えられ、人力による二次剪定を行う必要がない。
【0043】
【表1】
【0044】
本発明のミシン用上糸自動切断装置は、各種型番のコンピューターミシン、平ベッドミシン、平ベッド上下送りミシンなどの縫製機器に広く応用できる。
【0045】
本明細書における各実施例は漸進的な方式で説明され、各実施例については他の実施例との相違点を重点的に説明され、各実施例間の同様や類似の部分については互いに参照するといい。実施例に開示される装置については、それが実施例に開示される方法と対応するので、簡単に説明されており、関連する部分は、方法の部分の説明と参照するといい。
【0046】
開示された実施例に対する上記説明は、当業者を、本発明を実現或いは利用できるようにする。これらの実施例に対するさまざまな変更は当業者にとって明らかであり、本文で定義された一般的原理は、本発明の精神或いは範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現できる。従って、本発明は、本文で示されたこれらの実施例に制限されることなく、本文で開示した原理と新規特徴に一致する最も広い範囲に合致する。
【符号の説明】
【0047】
1、糸払い機構、11、糸払いフック、12、回転軸、13、連桿、14、第一エアシリンダ;
2、引張機構、21、可動フック、22、位置制限板、23、第二エアシリンダ、24、位置制限溝付き部材;
3、糸切断機構、31、スライドテーブルエアシリンダ、311、外フレーム、312、移動ブロック、32、ホットエアガン、33、ホットエアマシン、34、スライドテーブルエアシリンダ取付板、35、固定ブロック、351、ねじ、36、ホース;
4、ミシン頭部取付フレーム;
5、作業台;
6、下糸切断装置、61、固定刃、62、移動刃;
7、針棒。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ミシン用上糸自動切断装置であって、前記ミシンはベース、ベース上に固定されている
ミシン頭部取付フレーム(4)、前記ミシン頭部取付フレーム(4)に取り付けられてい
るミシン頭部、ミシン頭部の下方に対応するようにベース上に取り付けられている作業台
(5)、及び前記作業台(5)の底面に取り付けられている下糸切断装置(6)とを含み
、前記ミシン頭部は縫製針針棒(7)を有し、前記下糸切断装置(6)は前記針棒(7)
の端部の針先の下方に設置されており、前記ミシン用上糸自動切断装置は糸払い機構(1
)、引張機構(2)及び糸切断機構(3)を含み、
前記糸払い機構(1)は糸払いフック(11)、回転軸(12)、連桿(13)及び前
記連桿(13)を駆動するための第一エアシリンダ(14)を含み、前記第一エアシリン
ダ(14)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に固定的に取り付けられているとともに
、駆動端が前記連桿(13)の一端と固定的に接続され、前記連桿(13)の他端が前記
回転軸(12)の一端と伝動的に接続され、前記回転軸(12)は前記ミシン頭部取付フ
レーム(4)に回転可能に接続され、前記糸払いフック(11)の端は前記回転軸(
12)に外嵌した回動部材に固定的に取り付けられて且つ前記縫製針針棒(7)の一方側に対応し、
前記引張機構(2)は可動フック(21)、位置制限板(22)及び前記可動フック(
21)を駆動するための第二エアシリンダ(23)を含み、前記第二エアシリンダ(23
)は前記ミシン頭部取付フレーム(4)に固定的に取り付けられているとともに、駆動端
が前記可動フック(21)の一端と固定的に接続され、前記位置制限板(22)の一端が
前記ミシン頭部に固定されているとともに前記縫製針針棒(7)の一方側に対応し、前記
可動フック(21)のフック端部は前記位置制限板の他端と当接されて繋ぎ合わせられる
ことができ、
前記糸切断機構(3)はスライドテーブルエアシリンダ(31)、ホットエアガン(3
2)及び前記ホットエアガン(32)に熱エネルギーを供給するホットエアマシン(33
)を含み、前記スライドテーブルエアシリンダ(31)は前記ミシン頭部取付フレーム(
4)に固定され、前記ホットエアガン(32)は前記スライドテーブルエアシリンダ(3
1)の駆動端に固定されている
ことを特徴とするミシン用上糸自動切断装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
ミシン用上糸自動切断装置によれば、ミシンはベース、ベース上に固定されているミシ
ン頭部取付フレーム、ミシン頭部取付フレームに取り付けられているミシン頭部、ミシン
頭部の下方に対応するようにベース上に取り付けられている作業台、及び作業台の底面に
取り付けられている下糸切断装置とを含み、ミシン頭部は縫製針針棒を有し、下糸切断装
置は針棒の端部の針先の下方に設置されており、糸払い機構、引張機構及び糸切断機構を
含み、
糸払い機構は糸払いフック、回転軸、連桿及び連桿を駆動するための第一エアシリンダ
を含み、第一エアシリンダはミシン頭部取付フレームに固定的に取り付けられているとと
もに、駆動端が連桿の一端と固定的に接続され、連桿の他端が回転軸の一端と伝動的に接
続され、回転軸はミシン頭部取付フレームに回転可能に接続され、糸払いフックの端は前記回転軸に外嵌した回動部材に固定的に取り付けられて且つ縫製針針棒の一方側に対応し、
引張機構は可動フック、位置制限板及び可動フックを駆動するための第二エアシリンダ
を含み、第二エアシリンダはミシン頭部取付フレームに固定的に取り付けられているとと
もに、駆動端が可動フックの一端と固定的に接続され、位置制限板の一端がミシン頭部に
固定されているとともに縫製針針棒の一方側に対応し、可動フックのフック端部は位置制
限板の他端と当接されて繋ぎ合わせられることができ、
糸切断機構はスライドテーブルエアシリンダ、ホットエアガン及びホットエアガンに熱
エネルギーを供給するホットエアマシンを含み、スライドテーブルエアシリンダはミシン
頭部取付フレームに固定され、ホットエアガンはスライドテーブルエアシリンダの駆動端
に固定されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明の実施例では、ミシン用上糸自動切断装置を開示する。図面を参照し、ミシンは
ベース、ベース上に固定されているミシン頭部取付フレーム4、ミシン頭部の下方に対応
するようにベース上に取り付けられている作業台5、及び作業台5の底面に取り付けられ
ている下糸切断装置6とを含み、ミシン頭部は縫製針針棒7を有し、下糸切断装置6は針
棒7の端部の針先の下方に設置されており、糸払い機構1、引張機構2及び糸切断機構3
を含み、
図3を参照し、糸払い機構1は糸払いフック11、回転軸12、連桿13及び連桿13
を駆動するための第一エアシリンダ14を含み、第一エアシリンダ14は連桿13を直線
運動するように駆動し、連桿13が回転軸12の回転を駆動し、回転軸12に外嵌された回動部材を介して回転軸12に取り付けられた糸払いフック11は上糸を引っ掛けて一定の位置まで引き戻すことができ、
図4、5を参照し、引張機構2は可動フック21、位置制限板22及び可動フック21
を駆動するための第二エアシリンダ23を含み、第二エアシリンダ23は、上糸を引っ張
るように、可動フック21を駆動して、且つフック端部と位置制限板22とは当接されて
繋ぎ合わせられることにより、上糸の位置を固定させる。可動フック21により上糸を引
っ張る時、それに接続されている下糸が上糸から引かれることにより、糸の端が生地内に
引かれて、下糸の端が表面から見えなくなり、位置制限板22により可動フック21を制
限する機能を果たしており、
図6を参照し、糸切断機構3はスライドテーブルエアシリンダ31、ホットエアガン3
2及びホットエアガン32に熱エネルギーを供給するホットエアマシン33を含み、スラ
イドテーブルエアシリンダ31の駆動端がスライドすることにより、その上に取り付けら
れたホットエアガン32のガンヘッドを上糸に近づくように駆動して、ホットエアガン3
2から一定の温度を有する熱風を噴き出して、上糸を溶断させる。