(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179270
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】非円形のアース線を有するケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/08 20060101AFI20221125BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01B7/08
H01B7/18 C
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128498
(22)【出願日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】63/191,161
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202110760202.6
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521254915
【氏名又は名称】リ、ジェームス チェン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、ジェームス チェン
【テーマコード(参考)】
5G311
5G313
【Fターム(参考)】
5G311CA01
5G311CB02
5G311CC01
5G313AB02
5G313AB10
5G313AC03
5G313AC05
5G313AC11
5G313AD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導線とアース線との密着性が優れ、それらの相対的な位置を維持できる、非円形のアース線を有するケーブルを提供する。
【解決手段】非円形のアース線を有するケーブル1は、内側が互いに接触して2つの導線10、2つのアース線20及び絶縁性被覆テープ30を有する。アース線は、それぞれ導線の接触部の両側に対向して設けられ、少なくとも第1側面21、第2側面22及び第3側面23を有する。各アース線の第1側面及び第2側面は、それぞれ前記導線の外表面に接触しており、導線の外表面の形状に対応する形状を有する。絶縁性被覆テープは、導線の外表面の一部及びアース線の前記第3側面を被覆している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側が互いに接触している2つの導線、2つのアース線、及び絶縁性被覆テープを有し、
前記アース線は、それぞれ前記導線の接触部の両側に対向して設けられ、少なくとも第1側面、第2側面、及び第3側面を有し、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面は、それぞれ前記導線の外表面に接触しており、前記導線の外表面の形状に対応する形状を有し、
前記絶縁性被覆テープは、前記導線の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆している、
ことを特徴とする、
非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項2】
各前記導線の横断面は、円形であり、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面は、弧状面である、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項3】
前記導線の直径が等しく、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面の弧長が等しい、
ことを特徴とする、
請求項2に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項4】
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面の弧長は、各前記導線の周長の1/4~1/12であることを特徴とする、
請求項3に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項5】
各前記アース線の前記第1側面と前記第2側面との間に第1夾角が形成され、
各前記アース線の前記第1側面と前記第3側面との間に第2夾角が形成され、
各前記アース線の前記第2側面と前記第3側面との間に第3夾角が形成され、
前記第1夾角の角度は、前記第2夾角の角度及び前記第3夾角の角度より大きく、
前記第2夾角の角度は、前記第3夾角の角度と等しい、
ことを特徴とする、
請求項3に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項6】
前記絶縁性被覆テープの内表面の形状は、前記導線の外表面の一部と前記アース線の前記第3側面とを組み合わせた形状に対応することを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項7】
各前記導線の横断面は、円形であり、
各前記アース線の前記第3側面は、弧状面であり、その表面全体が前記絶縁性被覆テープの内表面に接触しており、
前記絶縁性被覆テープの横断面は、楕円形である、
ことを特徴とする、
請求項6に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項8】
各前記アース線の前記第1側面と前記第2側面との間に第1丸角が形成され、
各前記アース線の前記第1側面と前記第3側面との間に第2丸角が形成され、
各前記アース線の前記第2側面と前記第3側面との間に第3丸角が形成されている、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項9】
前記第1丸角、前記第2丸角、及び前記第3丸角の角度が等しいことを特徴とする、
請求項8に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項10】
各前記アース線の前記第1側面と前記第2側面との間に第1丸角が形成されており、
各前記アース線の前記第3側面は、第4側面、第4丸角、及び第5側面を有し、
各前記アース線の前記第1側面と前記第4側面との間に第2丸角が形成され、
各前記アース線の前記第2側面と前記第5側面との間に第3丸角が形成されている、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項11】
各前記アース線の前記第1側面及び前記第5側面は、対向するように位置されており、対称な形状を有し、
各前記アース線の前記第2側面及び前記第4側面は、対向するように位置されており、対称な形状を有し、
各前記アース線の前記第1丸角及び前記第4丸角は、対角となり、その角度が等しく、
各前記アース線の前記第2丸角及び前記第3丸角は、対角となり、その角度が等しい、
ことを特徴とする、
請求項10に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項12】
各前記アース線は、シース及び導体を有し、
前記シースは、前記第1側面及び前記第2側面を有し、その前記第1側面及び前記第2側面以外の一側には溝が設けられており、
前記導体は、前記溝に嵌められており、前記シースの一側において前記シースから突出しており、
前記導体の突出した一側及び前記シースの一側によって前記第3側面が定義される、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項13】
前記溝の内表面の横断面は、弧状面であり、
前記導体の横断面は、円形である、
ことを特徴とする、
請求項12に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項14】
前記シースの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニルであることを特徴とする、
請求項12に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項15】
各前記アース線は、導体であることを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項16】
各前記導線は、導体、及び前記導体の外表面を被覆している絶縁層を有し、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面は、それぞれ前記絶縁層の外表面に接触しており、前記絶縁層の外表面の形状に対応する形状を有し、
前記絶縁性被覆テープは、前記絶縁層の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆している、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項17】
前記絶縁性被覆テープは、少なくとも内層及び外層を有し、
前記内層は、前記導線の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆しており、
前記外層は、前記内層の外表面を被覆している、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【請求項18】
前記内層の材質は、アルミホイルマイラーであり、
前記外層の材質は、ポリエチレンテレフタレートである、
ことを特徴とする、
請求項17に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルであり、特に非円形のアース線を有するケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のケーブル100の断面図である。
図1に示すように、従来のケーブル100は、2つの導線110、アース線120、及び絶縁性被覆テープ130を有する。各導線110は、導体111及び絶縁層112を有する。絶縁層112は、導体111の外表面を被覆している。アース線120は、導体である。絶縁性被覆テープ130は、内層131及び外層132を有する。内層131は、前記絶縁層112の外表面及びアース線120の外表面を被覆している。外層132は、内層131の外表面を被覆している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記導線110及びアース線120は、その横断面が共に円形であるため、互いに点接触のように接触し、接触面積が小さく、密着性も悪くなってしまう。そのため、絶縁性被覆テープ130を前記導線の外表面及びアース線の外表面を被覆している時に、その被覆張力が直接に前記導線110及びアース線120に押圧し、前記導線110及びアース線120が確実に結合できず、緩み、回り、変形などの傾向がありがちであるため、それらの相対的な位置を維持できない可能性がある。よって、従来のケーブル100は、下記問題点を有する。1.信号の熱損失が高く、高周波信号伝送が不安定になる。2.全体的な構造強度不足。3.ケーブル100の可撓性及び曲げ性、並びに導線110の同心度等の機械的性質が低下。4.2つの導体111の間のギャップが不安定であるため、インピーダンスの変動が大きくなり、不安定になる。5.放熱効果が低い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主な目的は、導線とアース線との密着性が優れ、それらの相対的な位置を維持できる、非円形のアース線を有するケーブルを提供する。
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明の非円形のアース線を有するケーブルは、内側が互いに接触している2つの導線、2つのアース線、及び絶縁性被覆テープを有する。前記アース線は、それぞれ前記導線の接触部の両側に対向して設けられ、少なくとも第1側面、第2側面、及び第3側面を有する。各アース線の第1側面及び第2側面は、それぞれ前記導線の外表面に接触しており、前記導線の外表面に対応する形状を有する。絶縁性被覆テープは、前記導線の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆している。
【0006】
他の実施例において、各導線の横断面は、円形であり、各アース線の第1側面及び第2側面は、弧状面である。
【0007】
他の実施例において、前記導線の直径が等しく、各アース線の第1側面及び第2側面の弧長が等しい。
【0008】
他の実施例において、各アース線の第1側面及び第2側面の弧長は、各導線の周長の1/4~1/12である。
【0009】
他の実施例において、各アース線の第1側面と第2側面との間に第1夾角が形成され、各アース線の第1側面と第3側面との間に第2夾角が形成され、各アース線の第2側面と第3側面との間に第3夾角が形成され、第1夾角の角度は、第2夾角の角度及び第3夾角の角度より大きく、第2夾角の角度は、第3夾角の角度と等しい。
【0010】
他の実施例において、絶縁性被覆テープの内表面の形状は、前記導線の外表面の一部と前記アース線の前記第3側面とを組み合わせた形状に対応する。
【0011】
他の実施例において、各導線の横断面は、円形であり、各アース線の第3側面は、弧状面であり、その表面全体が絶縁性被覆テープの内表面に接触している。絶縁性被覆テープの横断面は、楕円形である。
【0012】
他の実施例において、各アース線の第1側面と第2側面との間に第1丸角が形成され、各アース線の第1側面と第3側面との間に第2丸角が形成され、各アース線の第2側面と第3側面との間に第3丸角が形成されている。
【0013】
他の実施例において、第1丸角、第2丸角、及び第3丸角の角度が等しい。
【0014】
他の実施例において、各アース線の第1側面と第2側面との間に第1丸角が形成されており、各アース線の第3側面は、第4側面、第4丸角、及び第5側面を有し、各アース線の第1側面と第4側面との間に第2丸角が形成され、各アース線の第2側面と第5側面との間に第3丸角が形成されている。
【0015】
他の実施例において、各アース線の第1側面及び第5側面は、対向するように位置されており、対称な形状を有し、各アース線の第2側面及び第4側面は、対向するように位置されており、対称な形状を有し、各アース線の第1丸角及び第4丸角は、対角となり、その角度が等しく、各アース線の第2丸角及び第3丸角は、対角となり、その角度が等しい。
【0016】
他の実施例において、各アース線は、シース及び導体を有し、シースは、第1側面及び第2側面を有し、その前記第1側面及び前記第2側面以外の一側には溝を設けられており、導体は、溝に嵌められており、シースの一側において前記シースから突出しており、導体の突出した一側及びシースの一側により第3側面が定義される。
【0017】
他の実施例において、溝の内表面の横断面は、弧状面であり、導体の横断面は、円形である。
【0018】
他の実施例において、シースの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニルである。
【0019】
他の実施例において、各導線は、導体、及び導体の外表面を被覆している絶縁層を有し、各アース線の第1側面及び第2側面は、それぞれ前記絶縁層の外表面に接触しており、前記絶縁層の外表面の形状に対応する形状を有し、絶縁性被覆テープは、前記絶縁層の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆している。
【0020】
他の実施例において、絶縁性被覆テープは、少なくとも内層及び外層を有し、内層は、前記導線の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆しており、外層は、内層の外表面を被覆している。
【0021】
他の実施例において、内層の材質は、アルミホイルマイラーであり、外層の材質は、ポリエチレンテレフタレートである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各アース線の横断面が非円形であるため、前記導線及び前記アース線は、互いに面接触により接触し、その接触面の形状が対応しているため、接触面積が大きくなり、優れた密着性を得ることが可能である。これにより、本発明のケーブルは、高周波信号伝送のインピーダンスの変動が小さく、伝送安定性、構造的可撓性及び曲げ性等の機械的特性が顕著に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明のケーブルの実施例1の断面図である。
【
図3】本発明のケーブルの実施例2の断面図である。
【
図4】本発明のケーブルの実施例3の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面及び符号を開示しながら本発明の実施形態を詳しく説明する。
【0025】
図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明のケーブル1の実施例1の断面図である。本発明の非円形のアース線を有するケーブル1は、内側が互いに接触している2つの導線10、2つのアース線20、及び絶縁性被覆テープ30を有する。前記アース線20は、それぞれ前記導線10の対向両側に設けられ、少なくとも第1側面21、第2側面22、及び第3側面23を有する。各アース線20の第1側面21及び第2側面22は、それぞれ前記導線10の外表面に接触し、前記導線10の外表面の形状に対応する形状を有する。絶縁性被覆テープ30は、前記導線10の外表面の一部及び前記アース線20の前記第3側面23を被覆している。
【0026】
具体的に、各導線10は、導体11及び絶縁層12を有する。絶縁層12は、導体11の外表面を被覆している。各アース線20の第1側面21は、それぞれ前記絶縁層12の外表面に接触する。各アース線20の第1側面21及び第2側面22の形状は、それぞれ前記絶縁層12の外表面の形状に対応する。絶縁層12は、良好な絶縁性を提供する。好ましくは、絶縁層12の材料は、ポリテトラフルオロエチレンであるが、それらに限定されておらず、他の絶縁材料であってもよい。各アース線20は、導体である。絶縁性被覆テープ30は、少なくとも内層31及び外層32を有する。内層31は、前記導線10の前記絶縁層12の外表面の一部及び前記アース線20の前記第3側面23を被覆している。外層32は、内層31の外表面を被覆している。好ましくは、内層31の材質は、アルミホイルマイラー(Al-Mylar)であり、外層32の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。しかしながら、内層31及び外層32の材質は、それらに限定されておらず、他の絶縁材料であってもよい。
【0027】
上記構造配置により、各アース線20の横断面が非円形であり、前記導線10及び前記アース線20は、互いに面接触により接触し、接触面の形状が対応しているため、接触面積が大きくなり、優れた密着性を得る。そのため、絶縁性被覆テープ30を前記導線10の外表面及び前記アース線20の前記第3側面23を被覆している時にその被覆張力が直接に前記導線10及び前記アース線20に押圧しても、前記導線10及び前記アース線20が確実に結合されているため、緩み、回り、変形などの傾向がなく、それらの相対的な位置を維持できる。よって、本発明のケーブル1は、下記効果を有する。
1.信号の熱損失が低く、高周波信号伝送の安定性が高い。
2.全体的な構造強度が高い。
3.構造的に信頼性の高い機械的性質を有する(例えば、ケーブル1が優れた可撓性及び曲げ性を有し、導線10が優れた同心度を有する)。
4.2つの導体11の間のギャップが相対的に安定であり、インピーダンスの変動が小さく、優れたインピーダンスの安定性を有する。
【0028】
実施例1において、各導線10の横断面は、円形である。各アース線20の第1側面21及び第2側面22は、弧状面である。具体的に、各アース線20の第1側面21及び第2側面22は、内側に凹む弧状面であり、各導線10の外表面の形状に対応する。よって、前記導線10及び前記アース線20は、前記弧状面を接触面とし、接触面積が大きくなり、優れた密着性を得る。
【0029】
好ましくは、前記導線10の直径が等しく、各アース線20の第1側面21及び第2側面22の弧長が等しい。
【0030】
好ましくは、各アース線20の第1側面21及び第2側面22の弧長は、各導線10の周長の1/4である。言い換えると、各アース線20の第1側面21は、1つの前記導線10の外表面の1/4の面積に接触する。各アース線20の第2側面22は、もう1つの前記導線10の外表面の1/4の面積に接触する。そのため、前記導線10の外表面は、実質的にその半分の面積が前記アース線20の前記第1側面21及び前記第2側面22に接触し、接触面積が最大となり、密着性及び放熱効果が高く、信号の熱損失が低く、高周波信号伝送の安定性が高いという効果を達成できる。
【0031】
好ましくは、各アース線20の第1側面21と第2側面22との間に第1夾角θ1が形成されている。各アース線20の第1側面21と第3側面23との間に第2夾角θ2が形成されている。各アース線20の第2側面22と第3側面23との間に第3夾角θ3が形成されている。第1夾角θ1の角度は、第2夾角θ2の角度及び第3夾角θ3の角度より大きい。第2夾角θ2の角度は、第3夾角θ3の角度と等しい。それにより、各アース線20の横断面は、両側が内側に凹む三角形のような非円形になり、前記導線10及び絶縁性被覆テープ30で形成した空間の形状に類似する。絶縁性被覆テープ30を前記導線10の外表面及び前記アース線20の前記第3側面23を被覆している前に、前記導線10と絶縁性被覆テープ30との間の空間がほとんど前記アース線20によって埋められるため、前記導線10及び前記アース線20が確実に結合されている。そのため、絶縁性被覆テープ30を前記導線10の外表面及び前記アース線20の前記第3側面23を被覆している時にその被覆張力が直接に前記導線10及び前記アース線20に押圧しても、前記導線10及び前記アース線20が確実に結合されているため、それらの相対的な位置を維持できる。なお、各アース線20の横断面が対称になるため、本発明のケーブル1の全体的な形状が対称になる。よって、本発明のケーブル1は、高周波信号伝送の安定性及び全体的な構造強度が高く、構造的に信頼性の高い機械的性質を有する。
【0032】
実施例1において、絶縁性被覆テープ30の内表面の形状は、前記導線10の外表面と各アース線20の第3側面23とを組み合わせた形状に対応する。具体的に、前記絶縁性被覆テープ30の内表面は、内層31の内表面である。上記構造配置によって、前記導線10及び前記アース線20は、面接触で絶縁性被覆テープ30に接触し、接触面の形状が互いに対応しているため、接触面積が大きくなり、優れた密着性を得る。重要なのは、絶縁性被覆テープ30を前記導線10の外表面及び前記アース線20の前記第3側面23を被覆している時にその被覆張力が直接に前記導線10及び前記アース線20に押圧しても、前記導線10、前記アース線20、及び絶縁性被覆テープ30が依然として確実に結合されている。
【0033】
好ましくは、各導線10は、円形である。各アース線20の第3側面23は、弧状面であり、その表面全体が絶縁性被覆テープ30の内表面に接触する。絶縁性被覆テープ30は、楕円形である。言い換えると、各アース線20の第3側面23は、外側に突出する弧状面であり、絶縁性被覆テープ30の内表面の形状に対応する。それにより、前記導線10、前記アース線20及び絶縁性被覆テープ30は、弧状面を接触面とし、接触面積が最大となり、密着性及び放熱効果が高く、信号の熱損失が低く、高周波信号伝送の安定性が高い。
【0034】
次に、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明のケーブル1Aの実施例2の断面図である。実施例2及び実施例1は、下記相違点がある。
1.各アース線20Aの第1側面21及び第2側面22の弧長は、各導線10の周長の1/6である。
2.各アース線20Aの第1側面21と第2側面22との間に第1丸角24が形成されている。各アース線20Aの第1側面21と第3側面23との間に第2丸角25が形成されている。各アース線20Aの第2側面22と第3側面23との間に第3丸角26が形成されている。第1丸角24、第2丸角25、及び第3丸角26の角度が等しい。
3.各アース線20Aは、シース201及び導体202を有する。シース201は、第1側面21、第2側面22、第1丸角24、第2丸角25、及び第3丸角26を有する。
4.シース201の第1側面21及び第2側面22以外の一側には溝2011が設けられている。導体202は、溝2011に嵌められており、シース201の一側においてシース201から突出している。導体202の突出した一側及びシース201の一側により第3側面23が定義される。
5.溝2011の内表面の横断面は、弧状面である。導体202の横断面は、円形である。
6.シース201の材質は、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、又はポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)である。
【0035】
実施例2において、シース201を利用して導体202の体積を減少できる。また、シース201の重量が導体202の重量より低いため、実施例2のケーブル1Aの重量は、実施例1のケーブル1の重量より軽く、端末の重量低減に有利である。
【0036】
なお、導体202の形状は、一般的な導体と同じである。即ち、導体202は、市販される一般的な導体である。そのため、シース201を製造して導体202と組み立つことで、容易に実施例2のアース線20Aを製造できる。よって、生産性に有利である。
【0037】
また、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニル等の材料を利用する場合、シース201は、第1側面21及び第2側面22に凹む弧状面を容易に形成し、さらに溝2011を容易に形成できる。
【0038】
また、実施例1と比べて、実施例2のアース線20Aの導体202の横断面が円形であるため、全体的な形状が円筒形になり、コロナ放電への干渉を減少できる。
【0039】
また、実施例2は、実施例1と比べて、アース線20Aの導体202と絶縁性被覆テープ30の内表面との接触面積がより小さく、密着性及び放熱効果がやや低く、信号の熱損失がやや高く、高周波信号伝送の安定性がやや低いとしても、一般的なアース線より優れる。
【0040】
次に、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明のケーブル1Bの実施例3の断面図である。実施例3及び実施例1は、下記相違点がある。
1.各アース線20Bの第1側面21及び第2側面22の弧長は、各導線10の周長の1/12である。
2.各アース線20Bの第1側面21と第2側面22との間に第1丸角24が形成されている。各アース線20Bの第3側面23は、第4側面231、第4丸角232、及び第5側面233を有する。各アース線20Bの第1側面21と第4側面231との間に第2丸角25が形成されている。各アース線20Bの第2側面22と第5側面233との間に第3丸角26が形成されている。
3.各アース線20Bの第1側面21及び第5側面233は、対向するように位置されており、対称な形状を有する。各アース線20Bの第2側面22及び第4側面231は、対向するように位置されており、対称な形状を有する。各アース線20Bの第1丸角24及び第4丸角232は、対角となり、その角度が等しい。各アース線20Bの第2丸角25及び第3丸角26は、対角となり、その角度が等しい。
【0041】
それによって、実施例3のアース線20Bの横断面は、4つの側面が凹んでおり、4つの丸角が非常に丸い菱形のような非円形である対称形状となる。よって、実施例3のアース線20Bは、容易に加工及び製造できる。
【0042】
なお、実施例1と比べて、実施例3のアース線20Bの4つの丸角によって、コロナ放電への干渉を減少できる。
【0043】
また、実施例3は、実施例1及び実施例2と比べて、アース線20Bと絶縁性被覆テープ30の内表面との接触面積がより小さく、密着性及び放熱効果が低く、信号の熱損失が高く、高周波信号伝送の安定性が低いとしても、一般的なアース線より優れる。
【0044】
上記内容は、あくまで本発明の実施例に過ぎない。当業者が上記内容及び請求の範囲に基づいてなされた変更は、いずれも本発明に含むことである。
【0045】
(付記)
(付記1)
内側が互いに接触している2つの導線、2つのアース線、及び絶縁性被覆テープを有し、
前記アース線は、それぞれ前記導線の接触部の両側に対向して設けられ、少なくとも第1側面、第2側面、及び第3側面を有し、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面は、それぞれ前記導線の外表面に接触しており、前記導線の外表面の形状に対応する形状を有し、
前記絶縁性被覆テープは、前記導線の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆している、
ことを特徴とする、
非円形のアース線を有するケーブル。
【0046】
(付記2)
各前記導線の横断面は、円形であり、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面は、弧状面である、
ことを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0047】
(付記3)
前記導線の直径が等しく、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面の弧長が等しい、
ことを特徴とする、
付記2に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0048】
(付記4)
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面の弧長は、各前記導線の周長の1/4~1/12であることを特徴とする、
付記3に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0049】
(付記5)
各前記アース線の前記第1側面と前記第2側面との間に第1夾角が形成され、
各前記アース線の前記第1側面と前記第3側面との間に第2夾角が形成され、
各前記アース線の前記第2側面と前記第3側面との間に第3夾角が形成され、
前記第1夾角の角度は、前記第2夾角の角度及び前記第3夾角の角度より大きく、
前記第2夾角の角度は、前記第3夾角の角度と等しい、
ことを特徴とする、
付記3に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0050】
(付記6)
前記絶縁性被覆テープの内表面の形状は、前記導線の外表面の一部と前記アース線の前記第3側面とを組み合わせた形状に対応することを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0051】
(付記7)
各前記導線の横断面は、円形であり、
各前記アース線の前記第3側面は、弧状面であり、その表面全体が前記絶縁性被覆テープの内表面に接触しており、
前記絶縁性被覆テープの横断面は、楕円形である、
ことを特徴とする、
付記6に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0052】
(付記8)
各前記アース線の前記第1側面と前記第2側面との間に第1丸角が形成され、
各前記アース線の前記第1側面と前記第3側面との間に第2丸角が形成され、
各前記アース線の前記第2側面と前記第3側面との間に第3丸角が形成されている、
ことを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0053】
(付記9)
前記第1丸角、前記第2丸角、及び前記第3丸角の角度が等しいことを特徴とする、
付記8に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0054】
(付記10)
各前記アース線の前記第1側面と前記第2側面との間に第1丸角が形成されており、
各前記アース線の前記第3側面は、第4側面、第4丸角、及び第5側面を有し、
各前記アース線の前記第1側面と前記第4側面との間に第2丸角が形成され、
各前記アース線の前記第2側面と前記第5側面との間に第3丸角が形成されている、
ことを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0055】
(付記11)
各前記アース線の前記第1側面及び前記第5側面は、対向するように位置されており、対称な形状を有し、
各前記アース線の前記第2側面及び前記第4側面は、対向するように位置されており、対称な形状を有し、
各前記アース線の前記第1丸角及び前記第4丸角は、対角となり、その角度が等しく、
各前記アース線の前記第2丸角及び前記第3丸角は、対角となり、その角度が等しい、
ことを特徴とする、
付記10に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0056】
(付記12)
各前記アース線は、シース及び導体を有し、
前記シースは、前記第1側面及び前記第2側面を有し、その前記第1側面及び前記第2側面以外の一側には溝が設けられており、
前記導体は、前記溝に嵌められており、前記シースの一側において前記シースから突出しており、
前記導体の突出した一側及び前記シースの一側によって前記第3側面が定義される、
ことを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0057】
(付記13)
前記溝の内表面の横断面は、弧状面であり、
前記導体の横断面は、円形である、
ことを特徴とする、
付記12に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0058】
(付記14)
前記シースの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又はポリ塩化ビニルであることを特徴とする、
付記12に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0059】
(付記15)
各前記アース線は、導体であることを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0060】
(付記16)
各前記導線は、導体、及び前記導体の外表面を被覆している絶縁層を有し、
各前記アース線の前記第1側面及び前記第2側面は、それぞれ前記絶縁層の外表面に接触しており、前記絶縁層の外表面の形状に対応する形状を有し、
前記絶縁性被覆テープは、前記絶縁層の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆している、
ことを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0061】
(付記17)
前記絶縁性被覆テープは、少なくとも内層及び外層を有し、
前記内層は、前記導線の外表面の一部及び前記アース線の前記第3側面を被覆しており、
前記外層は、前記内層の外表面を被覆している、
ことを特徴とする、
付記1に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【0062】
(付記18)
前記内層の材質は、アルミホイルマイラーであり、
前記外層の材質は、ポリエチレンテレフタレートである、
ことを特徴とする、
付記17に記載の非円形のアース線を有するケーブル。
【符号の説明】
【0063】
1、1A、1B、100 ケーブル
10、110 導線
11、111 導体
12、112 絶縁層
20、20A、20B、120 アース線
201 シース
2011 溝
202 導体
21 第1側面
22 第2側面
23 第3側面
231 第4側面
232 第4丸角
233 第5側面
24 第1丸角
25 第2丸角
26 第3丸角
30、130 絶縁性被覆テープ
31、131 内層
32、132 外層
θ1 第1夾角
θ2 第2夾角
θ3 第3夾角