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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179281
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】脱落防止機能付き変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/025 20120101AFI20221125BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20221125BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F16H57/025
B25J19/06
F16H1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164594
(22)【出願日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2021085008
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】牧角 知祥
(72)【発明者】
【氏名】牧添 義昭
【テーマコード(参考)】
3C707
3J027
3J063
【Fターム(参考)】
3C707HT25
3C707MS24
3J027FA50
3J027FB32
3J027GC03
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE11
3J063AA27
3J063AB15
3J063AC01
3J063BB31
3J063CA10
3J063CD41
(57)【要約】
【課題】ロボットおよび変速機の設計の自由を確保しつつ、変速機がロボットから脱落することを抑制できる脱落防止機能付き変速機を提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態の脱落防止機能付き減速機100は、ロボットに取り付けられ、回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する減速機1と、減速機1とロボットとを連結する連結部材51,52,53と、を備える。連結部材51,52,53は、ロボットに対する減速機1の位置の変化に関わらず減速機1とロボットとの連結状態を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材に取り付けられ、回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する変速機と、
前記変速機と前記相手部材とを連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記相手部材に対する前記変速機の位置の変化に関わらず前記変速機と前記相手部材との連結状態を維持する
脱落防止機能付き変速機。
【請求項2】
前記連結部材は、紐状である
請求項1に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項3】
前記相手部材に固定されるケースを備え、
前記連結部材は前記ケースと前記相手部材と連結する、
請求項1又は2に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項4】
前記ケースの鍔部に軸方向に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に挿入され、前記ケースと前記相手部材を固定する固定部材を有し、
前記固定部材に前記連結部材が取り付けられている、
請求項3に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項5】
前記連結部材は前記ケースに前記固定部材で固定される第1連結部材を有する、
請求項4に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項6】
前記連結部材は前記ケースの外周面に前記固定部材で固定される第2連結部材を有する、
請求項4又は5に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項7】
前記連結部材は前記貫通孔に巻き付けて固定される第3連結部材を有する、
請求項4に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項8】
前記ケースの前記鍔部の前記貫通孔に連続するように形成され、前記第3連結部材を埋没する溝を有する、
請求項7に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項9】
前記駆動源の回転が入力され軸方向に延びる中空軸を有し、
前記連結部材は前記中空軸を貫通する第4連結部材を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項10】
前記変速機は前記相手部材に複数設けられ、前記連結部材で接続される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項11】
前記変速機は、
前記相手部材に固定されるケースと、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を減速して出力する出力軸と、を備え、
前記クランク軸の回転を減速して前記出力軸に伝達し、前記駆動源の回転に対して前記出力軸を減速回転させる偏心揺動型の減速機である、
請求項1から10のいずれか一項に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項12】
回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する変速機と、
前記変速機と前記変速機を用いた相手部材とを連結する連結部材を備え、
前記変速機は、
前記相手部材に固定されるケースと、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を減速して出力する出力軸を備え、
前記クランク軸の回転を減速して前記出力軸に伝達し、前記駆動源の回転に対して前記出力軸を減速回転させる偏心揺動型の減速機である脱落防止機能付き変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱落防止機能付き変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業用ロボットに設けられた変速機(減速機)をロボットから脱落しないように保持する脱落防止装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の脱落防止装置は、変速機のケースのホールドフランジに突起部を設け、ロボット側のプレートに凹部を設けることで、変速機の脱落を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-138094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ロボット(相手部材)側のプレートの凹部や変速機のケースが破損した場合に、変速機がロボットから脱落するおそれがあり、人との距離が近い、人と協働するロボットでは確実な対策が必要となる。
【0005】
本発明は、変速機が相手部材から脱落することを抑制できる脱落防止機能付き変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る脱落防止機能付き変速機は、相手部材に取り付けられ、回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する変速機と、前記変速機と前記相手部材とを連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記相手部材に対する前記変速機の位置の変化に関わらず前記変速機と前記相手部材との連結状態を維持する。
【0007】
上記構成によれば、例えば減速機に不具合が生じ、相手部材に対する減速機の位置が変化した(ずれた)場合でも、連結部材によって相手部材と減速機との連結状態を維持できる。このため、変速機が相手部材から脱落することを抑制できる。
また、上述の従来技術のように、変速機のホールドフランジに突起部を設けるなど、変速機の脱落防止用に専用設計する必要がない。つまり、変速機そのものに追加の加工を施さなくても連結部材を用いて変速機と相手部材とを連結することができる。このため、変速機の設計の自由度を確保することができ、脱落防止機能付き変速機の汎用性を高めることができる。
【0008】
上記構成で、前記連結部材は、紐状でもよい。
【0009】
上記構成で、前記相手部材に固定されるケースを備え、前記連結部材は前記ケースと前記相手部材と連結してもよい。
【0010】
上記構成で、前記ケースの鍔部に軸方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔に挿入され、前記ケースと前記相手部材を固定する固定部材を有し、前記固定部材に前記連結部材が取り付けられてもよい。
【0011】
上記構成で、前記連結部材は前記ケースに前記固定部材で固定される第1連結部材を有してもよい。
【0012】
上記構成で、前記連結部材は前記ケースの外周面に前記固定部材で固定される第2連結部材を有してもよい。
【0013】
上記構成で、前記連結部材は前記貫通孔に巻き付けて固定される第3連結部材を有してもよい。
【0014】
上記構成で、前記ケースの前記鍔部の前記貫通孔に連続するように形成され、前記第3連結部材を埋没する溝を有してもよい。
【0015】
上記構成で、前記駆動源の回転が入力され軸方向に延びる中空軸を有し、前記連結部材は前記中空軸を貫通する第4連結部材を有してもよい。
【0016】
上記構成で、前記変速機は前記相手部材に複数設けられ、前記連結部材で接続されてもよい。
【0017】
上記構成で、前記変速機は、前記相手部材に固定されるケースと、前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を減速して出力する出力軸と、を備え、前記クランク軸の回転を減速して前記出力軸に伝達し、前記駆動源の回転に対して前記出力軸を減速回転させる偏心揺動型の減速機でもよい。
【0018】
本発明の他の態様に係る脱落防止機能付き変速機は、回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する変速機と、前記変速機と前記変速機を用いた相手部材とを連結する連結部材を備え、前記変速機は、前記相手部材に固定されるケースと、前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を減速して出力する出力軸を備え、前記クランク軸の回転を減速して前記出力軸に伝達し、前記駆動源の回転に対して前記出力軸を減速回転させる偏心揺動型の減速機である。
【0019】
上記構成によれば、変速機が相手部材から脱落することを抑制できる。
また、上述の従来技術のように、変速機のホールドフランジに突起部を設けるなど、変速機の脱落防止用に専用設計する必要がない。つまり、変速機そのものに追加の加工を施さなくても連結部材を用いて変速機と相手部材とを連結することができる。このため、変速機の設計の自由度を確保することができ、脱落防止機能付き変速機の汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、変速機が相手部材から脱落することを抑制できる脱落防止機能付き変速機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態における脱落防止機能付き変速機の一例を示す斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】第1実施形態における脱落防止機能付き変速機の断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】第2実施形態における脱落防止機能付き変速機の一例を示す斜視図である。
図6】第2実施形態における脱落防止機能付き変速機の断面斜視図である。
図7図5のVI-VI線に沿う断面図である。
図8】第3実施形態における脱落防止機能付き変速機を用いたロボットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る脱落防止機能付き変速機について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下で説明する実施形態では、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明では、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る脱落防止機能付き減速機100の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。図1には、ロボットRは図示されてないが、図2には、図示されている。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る脱落防止機能付き減速機100は、回転力を発生させる駆動源の回転を減速して出力する減速機1と、減速機1と減速機1を用いたロボットR(図2)とを連結する連結部材50と、を備える。
【0024】
[ロボット(相手部材)]
ロボットRは、産業用ロボットであることが好ましく、協調(協働)ロボットであることがさらに好ましい。協調(協働)ロボットとは、ファクトリーオートメーション(FA)などの分野で「作業員と協働するロボット」のことをいう。
また、ロボットRとして、変速機を複数有する多関節ロボットを用いることができる。
【0025】
[減速機]
減速機1は、回動可能に連結される一対のアームの連結部分(ロボットRの関節部分)に設けられる。減速機1は、駆動源としてのモータ(不図示)から入力されるモータトルクを減速して出力する。
なお、減速機1は以下に述べる構成だけでなく、回転力を発生させる駆動源の回転を変速できるものであればよい。例えば、減速機1に代わって回転力を発生させる駆動源の回転を増速して出力する増速機でもよい。
【0026】
減速機1は、後述する入力軸8が中実のいわゆる中実変速機である。減速機1は、ケース30と、減速機構部40と、を備えている。ケース30は、本体部32と、鍔部34と、を備えている。鍔部34は、本体部32から径方向の外側に張り出した形状を有する。第1実施形態の説明では、本体部32の軸線O1に沿う方向を単に軸方向といい、軸方向から見て軸線O1に交差する方向を径方向といい、軸線O1回りに周回する方向を周方向という。また、減速機1に駆動源が接続される側を入力側といい、減速機1の出力を受けるアーム等の機構部が接続される側を出力側という。駆動源は第1の部材の一例であり、アーム等の機構部が第2の部材の一例であり、減速機1は、第1の部材と第2の部材との間で所定の回転数比で回転数を変換して駆動力を伝達する。
【0027】
本体部32は、軸線O1に沿って筒状に形成される。第1筒部の一例である本体部32における軸方向O1の入力側は開口している。本体部32の開口部には、減速機構部40が回転可能に収容される。本体部32における出力側には鍔部34が一体に形成される。減速機1の入力側には、複数(例えば3つ)の伝達歯車40Aと入力歯車40Bとが露出している。
【0028】
鍔部34は、ケース30の外周に設けられ、軸方向で貫通する貫通孔105を有する。貫通孔105は、周方向に任意の間隔で設けられた第1貫通孔105Aと、周方向で隣り合う各第1貫通孔105Aの間に設けられた第2貫通孔105Bとを有する。第1貫通孔105Aは、減速機1と、ロボットRと、を締結させるボルト等の締結部材(不図示)が貫通する締結孔である。第2貫通孔105Bは、図示しない雌ネジ部が形成されており、後述の固定部材106がねじ込まれる。
【0029】
鍔部34には、ロボットRと重なり合う面34Aに、第2貫通孔105Bに連続する溝107が形成されている。溝107は、第2貫通孔105Bの出力側端部から径方向外側に向けて、かつ径方向に沿って形成されている。
【0030】
また、鍔部34は、この鍔部34の外周面に形成された外周面108を有する。外周面108の周方向中央には、図示しない雌ネジ部が形成されている。この雌ネジ部には、後述する固定部材106がねじ込まれる。
【0031】
[固定部材]
固定部材106は、外周面108の雌ネジ部にねじ込まれる他、鍔部34の第2貫通孔105Bにねじ込まれる。
固定部材106は、入力側に突出する頭部106Aと、頭部106Aよりも径の小さい軸部106B(図6)と、を有する。固定部材106の軸部106Bが、鍔部34の第2貫通孔105Bにねじ込まれている。第2貫通孔105Bにねじ込まれる固定部材106を利用して、連結部材50を固定する(詳細は後で述べる)。
【0032】
図3は、実施形態に係る脱落防止機能付き減速機100の構成を示す断面図であり、図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。
減速機1は、入力歯車40Bに対応する入力軸8を回転させることによってクランク軸10Aを回転させ、クランク軸10Aの偏心部10a,10bに連動して揺動歯車14,16を揺動回転させることにより、入力回転から減速した出力回転を得るように構成されている。
【0033】
図3および図4に示すように、減速機1は、本体部32(第1筒部)に対応する外筒2と、第2筒部の一例であるキャリア部4(出力軸)と、入力軸8と、複数(例えば3つ)のクランク軸10Aと、第1揺動歯車14と、第2揺動歯車16と、複数(例えば3つ)の伝達歯車20と、を備えている。伝達歯車20は、図1の伝達歯車40Aに対応する。
【0034】
外筒2は、減速機1の外面を構成するものであり、略円筒形状を有している。外筒2の内周面には、多数のピン溝2bが形成されている。各ピン溝2bは、外筒2の軸方向に延びるように配置され、軸方向に直交する断面で半円形の断面形状を有している。これらのピン溝2bは、外筒2の内周面に周方向に等間隔で並んでいる。
【0035】
外筒2は、多数の内歯ピン3を有している。各内歯ピン3は、ピン溝2bにそれぞれ取り付けられている。具体的に、各内歯ピン3は、対応するピン溝2bにそれぞれ嵌め込まれており、外筒2の軸方向に延びる姿勢で配置されている。これにより、多数の内歯ピン3は、外筒2の周方向に沿って等間隔で並んでいる。これらの内歯ピン3には、第1揺動歯車14の第1外歯14aおよび第2揺動歯車16の第2外歯16aが噛み合う。
【0036】
キャリア部4は、外筒2と同軸上に配置された状態でその外筒2内に収容されている。キャリア部4は、外筒2(ケース30)に対して同じ軸回りに相対回転する。具体的に、キャリア部4は、外筒2の径方向内側に配置されており、この状態で、軸方向に互いに離間して設けられた一対の主軸受6によって外筒2に対して相対回転可能に支持されている。
【0037】
キャリア部4は、基板部4aと複数(例えば3つ)のシャフト部4cと、を有する基部と、端板部4bと、を備えている。
【0038】
入力軸8は、駆動モータ(不図示)の駆動力が入力される入力部として機能する。入力軸8は、端板部4bの貫通孔4f及び基板部4aの貫通孔4dに挿入されている。入力軸8は、その軸心が外筒2及びキャリア部4の軸心と一致するように配置されており、軸回りに回転する。入力軸8の先端部の外周面には入力ギア8aが設けられている。
【0039】
3つのクランク軸10Aは、外筒2内で入力軸8の周囲に等間隔で配置されている(図4参照)。各クランク軸10Aは、一対のクランク軸受12a,12bによりキャリア部4に対して軸回りに回転可能に支持されている(図3参照)。
【0040】
各クランク軸10Aは、軸本体12cと、この軸本体12cに一体的に形成された偏心部10a,10bと、を有する。
【0041】
クランク軸10Aの一端部、すなわち、基板部4aの取付孔4e内に取り付けられる部分の軸方向外側の部位には、伝達歯車20が取り付けられる被嵌合部10cが設けられている。なお、実施形態の減速機1は、図3の例に限定されず、クランク軸10Aを軸方向に逆に配置し、被嵌合部10cを、端板部4bの取付孔4gの軸方向外側に配置してもよい。
【0042】
第1揺動歯車14は、外筒2内の前記閉空間に配設されているとともに各クランク軸10Aの第1偏心部10aに第1ころ軸受18aを介して取り付けられている。第1揺動歯車14は、各クランク軸10Aが回転して第1偏心部10aが偏心回転すると、この偏心回転に連動して内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転する。
【0043】
第2揺動歯車16は、外筒2内の前記閉空間に配設されているとともに各クランク軸10Aの第2偏心部10bに第2ころ軸受18bを介して取り付けられている。第1揺動歯車14と第2揺動歯車16は、第1偏心部10aと第2偏心部10bの配置に対応して軸方向に並んで設けられている。第2揺動歯車16は、各クランク軸10Aが回転して第2偏心部10bが偏心回転すると、この偏心回転に連動して内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転する。
【0044】
各伝達歯車20は、入力ギア8aの回転を対応するクランク軸10Aに伝達するものである。各伝達歯車20は、対応するクランク軸10Aの軸本体12cにおける一端部に設けられた被嵌合部10cにそれぞれ外嵌されている。各伝達歯車20は、クランク軸10Aの回転軸と同じ軸回りにこのクランク軸10Aと一体的に回転する。各伝達歯車20は、入力ギア8aと噛み合う外歯20aを有している。
【0045】
[連結部材]
図1および図2に示すように、上述の減速機1とロボットRとを連結する連結部材50は、減速機1のうちのケース30とロボットRとを連結する。連結部材50は、紐状の部材である。連結部材50は、鋼線や、防錆対応のためのステンレスワイヤ等であることが好ましい。
【0046】
しかしながらこれに限られるものではなく、連結部材50は紐状の部材であればよい。紐状とは、一方向に長い、または/かつ湾曲変形する、または/かつ湾曲するように弾性変形する、または/かつ一方向に沿って伸縮変形(撓み変形)するものを含む。
例えば、鋼線やステンレスワイヤや樹脂、電導線、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ビニロン(クレモナ)、綿、麻等に代わってチェーン、ゴム紐、コイルばね等でもよい。ゴム紐の場合、自由長に対して300%以下の伸び率である事が望ましい。コイルばねの場合、自由長に対して150%以下の伸び率であることが望ましい。これは、例えば連結部材50によって減速機1を吊った際に連結部材50(ゴム紐やコイルばね)が自由長から殆ど伸びることなく、湾曲変形するからである。
【0047】
減速機1が軽量であれば、連結部材50は、非金属の素材でもよい。例えば、樹脂によって連結部材50を形成してもよい。連結部材50の長さは、ケース30とロボットRとを連結できる長さであればよい。連結部材50の太さは、減速機1の重量に合わせて設定することができる。
【0048】
連結部材50は、固定部材106に固定されている第1連結部材51と、固定部材106に固定されている第2連結部材52と、第2貫通孔105Bに巻き付けて固定されている第3連結部材53と、を有する。連結部材50は、第1連結部材51、第2連結部材52、および第3連結部材53のうちのいずれか1つ、または2つ以上を組み合わせることができる。また、連結部材50として、第1連結部材51、第2連結部材52、および第3連結部材53のうちのいずれか1種類を複数設けることができる。
【0049】
第1連結部材51は、第1連結部材51の端部に設けられた円環状の第1円環部51Aと、第1円環部51Aに端部が締結固定された第1連結基部51Bと、を有する。第1円環部51Aは、固定部材106によって鍔部34に固定されている。具体的に、第2貫通孔105Bに第1円環部51Aの輪を重ねた状態で、鍔部34とは反対側から、第2貫通孔105Bに固定部材106の軸部106Bをねじ込むことで、固定部材106に第1連結部材51を固定している。なお、第1連結部材51は、第1貫通孔105Aを利用して、ロボットRと、減速機1とを固定する固定部材106とともに固定されてもよい。
【0050】
第2連結部材52は、第2連結部材52の端部に設けられた円環状の第2円環部52Aと、第2円環部52Aに端部が締結固定された第2連結基部52Bと、を有する。第2円環部52Aは、固定部材106によって外周面108に固定されている。具体的に、外周面108に設けられた締結孔(不図示)に第2円環部52Aの輪を重ねた状態で、外周面108とは反対側から、締結孔に固定部材106の第2軸部をねじ込むことで、固定部材106に第2連結部材52を固定している。
【0051】
第3連結部材53は、固定部材106がねじ込まれていない第2貫通孔105Bを利用して固定されている。具体的に、第3連結部材53は、第2貫通孔105Bを貫通する第3連結基部53Aと、第3連結基部53Aの端部から鍔部34の径方向外側に延びる接続部53Bと、接続部53Bから第3連結基部53Aに沿う方向に延びる第1折り返し部53Cと、第1折り返し部53Cの端部から径方向内側に延びる第2折り返し部53Dと、第3連結部材53の端部と第3連結基部53Aとをかしめ固定する接合管53Eと、を有する。なお、第3連結部材53は折り返されて輪を形成した状態でも良い。
【0052】
接続部53Bは、溝107に埋没されている。第1折り返し部53Cは、鍔部34の外周面よりも径方向外側に位置している。
第3連結部材53の端末部は、第2貫通孔105Bに通した後、第3連結基部53Aと纏めて接合管53Eに通される。この後、接合管53Eをかしめて塑性変形させる。これにより、第3連結部材53の端部がかしめ固定される。本実施形態では、第3連結部材53の端部は、接合管53Eによりかしめ固定されているが、折り返されて輪を形成した状態で、結び目等により固定されていてもよい。
【0053】
連結部材50の他端部は、ロボットRに固定されている。ロボットRに連結部材50の一端部を固定する構成は特に限定されないが、上述の連結部材50の一端部と、減速機1(ケース30)とを連結する構成を採用してもよい。
【0054】
[作用効果]
以下、第1実施形態の作用効果について説明する。
上述の脱落防止機能付き減速機100は、減速機1と、減速機1と減速機1を用いたロボットR(図2)とを連結する連結部材50と、を備える。このため、減速機1の一部が破損しても、減速機1がロボットRから脱落することを抑制できる。すなわち、例えば減速機1の一部が破損して、ロボットRに対する減速機1の位置が変化した(ずれた)場合でも、連結部材50によってロボットRと減速機1との連結状態を維持できる。このため、減速機1がロボットRから脱落することを抑制できる。
【0055】
また、上述の従来技術のように、減速機1のホールドフランジに突起部を設けるなど、変速機の脱落防止用に専用設計する必要がない。つまり、減速機1そのものに追加の加工を施さなくても連結部材50を用いて減速機1とロボットRとを連結することができる。このため、減速機1の設計の自由度を確保することができ、脱落防止機能付き減速機100の汎用性を高めることができる。
【0056】
脱落防止機能付き減速機100では、連結部材50が紐状である。このため、減速機1およびロボットRに対する連結部材50の取り付けを簡単かつ自在に行うことができる。
【0057】
減速機1は、ロボットRに固定されるケース30と、ケース30に回転自在に設けられたクランク軸10Aと、を備えている。連結部材50は、ケース30とロボットRとを連結する。このため、減速機1をロボットRに取り付ける際に、ついでに、減速機1のケース30およびロボットRに対して、連結部材50を取り付けることができるため、作業効率が向上する。
【0058】
脱落防止機能付き減速機100では、ケース30の外周部に設けられ、軸方向で貫通する第2貫通孔105Bと、第2貫通孔105Bに挿入され、ケース30に固定される固定部材106と、を有している。固定部材106に第1連結部材51が取り付けられている。このため、ケース30の外周部に位置する固定部材106に連結部材50が取り付けられているため、減速機1のキャリア部4(出力軸)に干渉することなく、連結部材50を取り付けることができる。
【0059】
上述の実施形態によれば、固定部材106を利用して第1連結部材51の固定ができるので、第1連結部材51の固定を容易に行うことができる。
また、貫通孔105を有する減速機1に対して、固定部材106の後付けが可能なので、減速機1の専用設計が不要となる。
第1貫通孔105A以外に、別途、第2貫通孔105Bを設けて、第2貫通孔105Bに固定部材106を固定することで、より安全性が確保できる。
【0060】
連結部材50は、固定部材106に固定されている第1連結部材51を有する。第1連結部材51は、固定部材106で固定されているため、ロボットRから減速機1が脱落することを抑制できる。作業者は、ケース30の片側(一端側および他端側のいずれか一方)から固定部材106にアクセスすることができるので、第1連結部材51の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0061】
連結部材50は、貫通孔に巻き付けて固定されている第3連結部材53を有する。このため、減速機1がロボットRから脱落することをより確実に抑制できる。
【0062】
また、ケース30の外周部に第2貫通孔105Bに連続するように形成され、第3連結部材53を埋没する溝107を有する。すなわち、ケース30の外周部は、第2貫通孔105Bに連続するように形成された溝107に対して、第3連結部材53が埋没されている。このため、ロボットRに減速機1を取り付けた際に、第3連結部材53がロボットRに干渉せず、美的外観を確保することができる。また、第3連結部材53が溝107に埋没されていることで、第3連結部材53の摩耗を抑制することができるため、減速機1の脱落を長期に亘って抑制できる。
ロボットRにケース30を固定する際にロボットRとケース30とで第3連結部材53を挟んで圧し潰すことがない。このため、第3連結部材53の損傷を防止できる。
【0063】
連結部材50は、ケース30の外周面108に固定されている第3連結部材を有する。このため、側面視における外観から、脱落防止機能付き減速機100を確認できる。
【0064】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る脱落防止機能付き減速機200について、図面に基づいて説明する。
図5は、第2実施形態に係る脱落防止機能付き減速機200の斜視図である。図6は、第2実施形態に係る脱落防止機能付き減速機200の断面斜視図である。図6は、図5とは異なる方向から脱落防止機能付き減速機200を示す。図7は、図5のVI-VI線に沿う断面図である。図6に示す断面と、図7に示す断面とは異なる断面を示している。また、説明の都合上、図7に示す入力軸208と、中空軸203の他端(クランク軸外歯234)は、図6では省略している。
【0065】
上述した第1実施形態と、第2実施形態との相違点は、主に減速機構部240に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0066】
図5に示すように、本第2実施形態に係る脱落防止機能付き減速機200は、回転力を発生させる駆動源の回転を減速して出力する減速機201と、減速機201と減速機201を用いたロボットR(図2参照)とを連結する連結部材50と、を備える。
【0067】
本第2実施形態では、連結部材50は、上述の第1連結部材51、第2連結部材52および第3連結部材53に加えて、減速機201の中空部を貫通する第4連結部材54を有する。
【0068】
[減速機]
減速機201は、例えば回動可能に連結される一対のアームの連結部分(ロボットRの関節部分)に設けられる。減速機201は、駆動源としてのモータ(不図示)から入力されるモータトルクを減速して出力する。
なお、減速機201は以下に述べる構成だけでなく、回転力を発生させる駆動源の回転を変速できるものであればよい。例えば、減速機201に代わって回転力を発生させる駆動源の回転を増速して出力する増速機でもよい。
【0069】
減速機201は、後述する中空軸203が中空のいわゆる中空変速機である。減速機201は、ケース30と、減速機構部240と、を備えている。ケース30は、本体部232と、鍔部34と、を備えている。第2実施形態の説明では、減速機201に駆動源が接続される側を入力側といい、減速機201の出力を受けるアーム等の機構部が接続される側を出力側という。具体的に、図3に示す第1実施形態の入力側は、図3の左側に位置し、図7に示す第2実施形態の入力側は、図7の右側に位置する。
【0070】
中空軸203は、基板部4aの貫通孔251a及び端板部4bの貫通孔252aに挿入されている。中空軸203は、軸受部としてのクランク軸受263,264によってキャリア部4に対して軸回りに相対回転可能に支持されている。すなわち、クランク軸受263,264は、中空軸203の周りに配置され、キャリア部4に対して中空軸203を相対回転可能に支持する。
【0071】
本第2実施形態では、中空軸203の一端から所定長さだけ軸方向内側の部分は、クランク軸受263によって基板部4aに支持されており、中空軸203の他端から所定長さだけ軸方向内側の部分は、クランク軸受264によって端板部4bに支持されている。中空軸203の他端は、ケース30から突出しており、径方向外側に拡径している。中空軸203の他端部の外周面には、クランク軸外歯234が設けられている。
【0072】
なお、中空軸203は、偏心部230を有してもよいし、有さなくともよい。本実施形態では、偏心部230は、第1偏心部230Aと第2偏心部230Bとを含むが、これに限定されない。
【0073】
中空軸203は、その軸方向の少なくとも一方の端部側に開口する中空部233を有する。本実施形態では、中空部233は、中空軸203を軸方向の全域にわたって貫通するように設けられており、軸方向の両方に開口している。
【0074】
[第4連結部材]
図5図7に示すように、第4連結部材54は、中空部233を軸方向に貫通している。第4連結部材54は、上述した連結部材50と同様の構成を有する。第4連結部材54の両端部は、図示されていないが、折り返されて輪を形成した状態で、かしめ固定されて、輪をロボットRの鉤部(不図示)等に引っ掛けてもよい。
【0075】
次に、減速機201の動作について説明する。まず、例えば図略のモータの駆動によって入力軸208が回転する。この入力軸208の回転は、中空軸203に伝達される。中空軸203の外周面に設けられたクランク軸外歯234の歯数は、入力軸208の外歯209の歯数よりも多いので、中空軸203は、入力軸208の回転から減速された回転数で回転する。
【0076】
そして、中空軸203が回転するのに伴って中空軸203の第1偏心部230A及び第2偏心部230Bが偏心回転する。これにより、第1偏心部230Aの偏心回転に連動して第1揺動歯車部材241が内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転するとともに、第2偏心部230Bの偏心回転に連動して第2揺動歯車部材242が内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転する。
【0077】
第1揺動歯車部材241及び第2揺動歯車部材242の揺動回転は、トルク伝達ピン210を通じてキャリア部4に伝達される。すなわち、トルク伝達ピン210は、貫通孔に挿入されているので、中空軸203の回転に伴って各揺動歯車部材が外筒2の内歯ピン3に噛み合いながら回動すると、トルク伝達ピン210の位置も外筒2の軸回りに移動する。これにより、キャリア部4全体が前記入力回転から減速された回転数で外筒2に対して相対回転する。このとき、第4連結部材54は、減速機201の動作に干渉することなく、ロボットRやケース30に固定されている。
【0078】
本実施形態は、連結部材50は、第1連結部材51、第2連結部材52および第3連結部材53を有するため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
[作用効果]
上述の脱落防止機能付き減速機200では、減速機201は、駆動源の回転が入力され軸方向に延びる中空軸203を有し、連結部材50は、中空軸203を貫通する第4連結部材54を有する。上記実施形態では、連結部材50は、中空軸203の中空部233を貫通する第4連結部材を有することで、ロボットRからの減速機201の脱落を抑制できる。また、第4連結部材は、中空部を貫通しているため、変速機のケースが破損した場合であっても、ロボットRからの減速機201の脱落を抑制できる。
中空軸203の中空部233は、例えば駆動源に接続する配線等を引き回すために用いられるが、これのついでに中空軸203を利用して第4連結部材54を取り付けることができる。このため、減速機201に第4連結部材54を取り付けるための追加の加工が必要ない。
【0080】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係る脱落防止機能付き減速機300について、図面に基づいて説明する。
図8は、第3実施形態における脱落防止機能付き減速機300を用いたロボットR1の概略図である。
【0081】
脱落防止機能付き減速機300は、ロボットR1に複数設けられた複数の変速機(第1変速機308、第2変速機314、および第3変速機320)を有している。これら変速機308,314,320に、連結部材50が設けられている。
ここで、脱落防止機能付き減速機300は、ロボットR1の一部とする。したがって、例えば連結部材50で複数の変速機が接続されている場合であっても、連結部材50は、変速機と変速機を用いたロボットR1とを連結するという構成を満たす。
【0082】
ロボットR1は、設置面に接する固定ベース302と、固定ベース302から上方に延びる回転ヘッド304と、回転ヘッド304に回転自在に組み付けられている複数のアーム(第1アーム310、および第2アーム316)と、アームの先端に設けられたエンドエフェクタEと、複数の変速機(第1変速機308、第2変速機314、および第3変速機320)と、を備える。複数の変速機308,314,320を介し、回転ヘッド304に第1アーム310が回転自在に連結され、第1アーム310に第2アーム316が回転自在に連結されている。変速機308,314,320は、上述した減速機1および減速機201のうちのいずれか一方を用いることができ、減速機1と減速機201とを自由に組み合わせて用いてもよい。以下、詳細に説明する。
【0083】
固定ベース302上には、回転ヘッド304がS軸の回りに回転自在に組み付けられ、駆動源としての第1サーボモータ306及び第1変速機308を介してS軸を中心として回転する。回転ヘッド304の上部には、第1アーム310がL軸の回りに前後揺動自在に組み付けられ、駆動源としての第2サーボモータ312及び第2変速機314を介してL軸を中心として前後に揺動する。第1アーム310の上部には、第2アーム316がU軸の回りに上下揺動自在に組み付けられ、駆動源としての第3サーボモータ318及び第3変速機320を介してU軸を中心として上下に揺動する。以上の構成で、エンドエフェクタEを3次元的に駆動することができる。
【0084】
脱落防止機能付き減速機300は、複数の変速機を接続する連結部材50は、上述した第1連結部材51、第2連結部材52と、第3連結部材53と、第4連結部材54とを自由に組み合わせることができる。例えば、第1変速機308は、第1連結部材51で固定され、第2変速機314は、第4連結部材54で固定することができる。連結部材50によって接続される複数の変速機の組み合わせは、適宜選択することができる。
【0085】
なお、固定ベース302に設けている第1変速機308や回転ヘッド304に設けられている第2変速機314と、第3変速機320とを締結すれば、ロボットR1の第2アーム316が基台(固定ベース302や回転ヘッド含む)に連結され、第2アーム316の脱落を防止することもできる。
【0086】
[作用効果]
上述の脱落防止機能付き減速機300では、変速機は、ロボットR1に複数設けられ、複数の変速機(第1変速機308、第2変速機314、および第3変速機320)は、連結部材50で接続される。複数の変速機が連結部材50で接続されていることにより、第1変速機308、第2変速機314、および第3変速機320がロボットR1から脱落することを抑制しつつ、変速機同士でもお互いに脱落することを抑制できる。
【0087】
なお、上述の実施形態では、固定部材106として、頭部106Aと、頭部106Aよりも径の小さい軸部106Bと、を有するねじを用いた場合ついて説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ロボットR,R1に脱落防止機能付き減速機100,200,300を固定できるものであればよい。例えば、固定部材106として、ねじに代わってビス等を採用してもよい。
【0088】
上述の第1実施形態では、減速機1は、入力歯車40Bに対応する入力軸8を回転させることによってクランク軸10Aを回転させ、クランク軸10Aの偏心部10a,10bに連動して揺動歯車14,16を揺動回転させることにより、入力回転から減速した出力回転を得るように構成されている場合について説明した。上述の第2実施形態では、減速機201は、本体部232(第1筒部)に対応する外筒2と、軸方向に中空構造を有する中空軸203と、キャリア部4と、第1揺動歯車14と、第2揺動歯車16と、入力軸208と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機1,201は、ケース30内に設けられたクランク軸10Aや中空軸203の各偏心部230A,230Bの回転を減速してキャリア部4に伝達し、駆動源の回転に対してキャリア部4を減速回転させる偏心揺動型の減速機であればよい。
【0089】
なお、上述の実施形態では、相手部材はロボットとしたが、これに限られない。相手部材は、工作機械等の装置やAGV等の無人搬送車、輸送用機器等で脱落を防止すべきものであればよい。
【0090】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0091】
1、201…減速機、4…キャリア部(出力軸)、10A…クランク軸、30…ケース、50…連結部材、51…第1連結部材、52…第2連結部材、53…第3連結部材、54…第4連結部材、100、200、300…脱落防止機能付き減速機(脱落防止機能付き変速機)、106…固定部材、107…溝、203…中空軸、233…中空部、O1…軸方向、R、R1…ロボット(相手部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材に取り付けられ、回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する変速機と、
前記変速機と前記相手部材とを連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記相手部材に対する前記変速機の位置の変化に関わらず前記変速機と前記相手部材との連結状態を維持する
脱落防止機能付き変速機。
【請求項2】
前記連結部材は、紐状である
請求項1に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項3】
前記相手部材に固定されるケースを備え、
前記連結部材は前記ケースと前記相手部材と連結する、
請求項1又は2に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項4】
前記ケースの鍔部に軸方向に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に挿入又はねじ込まれる固定部材を有し、
前記固定部材に前記連結部材が取り付けられている、
請求項3に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項5】
前記連結部材は前記ケースに前記固定部材で固定される第1連結部材を有する、
請求項4に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項6】
前記連結部材は前記ケースの外周面に前記固定部材で固定される第2連結部材を有する、
請求項4又は5に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項7】
前記連結部材は前記貫通孔に巻き付けて固定される第3連結部材を有する、
請求項4に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項8】
前記ケースの前記鍔部の前記貫通孔に連続するように形成され、前記第3連結部材を埋没する溝を有する、
請求項7に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項9】
前記駆動源の回転が入力され軸方向に延びる中空軸を有し、
前記連結部材は前記中空軸を貫通する第4連結部材を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項10】
前記変速機は前記相手部材に複数設けられ、前記連結部材で接続される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項11】
前記変速機は、
前記相手部材に固定されるケースと、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を減速して出力する出力軸と、を備え、
前記クランク軸の回転を減速して前記出力軸に伝達し、前記駆動源の回転に対して前記出力軸を減速回転させる偏心揺動型の減速機である、
請求項1から10のいずれか一項に記載の脱落防止機能付き変速機。
【請求項12】
回転力を発生させる駆動源の回転を変速して出力する変速機と、
前記変速機と前記変速機を用いた相手部材とを連結する連結部材を備え、
前記変速機は、
前記相手部材に固定されるケースと、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、
前記ケース内に設けられ前記駆動源の回転を減速して出力する出力軸を備え、
前記クランク軸の回転を減速して前記出力軸に伝達し、前記駆動源の回転に対して前記出力軸を減速回転させる偏心揺動型の減速機である脱落防止機能付き変速機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記構成で、前記ケースの鍔部に軸方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔に挿入又はねじ込まれる固定部材を有し、前記固定部材に前記連結部材が取り付けられてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本体部32は、軸線O1に沿って筒状に形成される。第1筒部の一例である本体部32における軸線O1方向の入力側は開口している。本体部32の開口部には、減速機構部40が回転可能に収容される。本体部32における出力側には鍔部34が一体に形成される。減速機1の入力側には、複数(例えば3つ)の伝達歯車40Aと入力歯車40Bとが露出している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
連結部材50の他端部は、ロボットRに固定されている。ロボットRに連結部材50の端部を固定する構成は特に限定されないが、上述の連結部材50の一端部と、減速機1(ケース30)とを連結する構成を採用してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
連結部材50は、ケース30の外周面108に固定されている第連結部材52を有する。このため、側面視における外観から、脱落防止機能付き減速機100を確認できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7