(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179302
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】プログラム、方法、射出装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
B05B 12/12 20060101AFI20221125BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20221125BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20221125BHJP
【FI】
B05B12/12
B05B17/00
B05B12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208890
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2021086141の分割
【原出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【テーマコード(参考)】
4D074
4F035
【Fターム(参考)】
4D074AA09
4D074BB02
4D074CC04
4D074CC09
4D074CC34
4D074CC55
4D074FF01
4D074FF04
4D074FF08
4D074FF09
4F035AA01
4F035BA03
4F035BA22
4F035BB02
4F035BB04
4F035BB07
4F035BB32
4F035BC02
(57)【要約】
【課題】物体を所望の位置へ射出させること。
【解決手段】 プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムである。プログラムは、プロセッサに、物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択するステップと、選択した穴から物体が射出されるように、物体を送出する送出手段を制御するステップとを実行させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択するステップと、
前記選択した穴から前記物体が射出されるように、前記物体を送出する送出手段を制御するステップと
を実行させるプログラム。
【請求項2】
画像を解析することで前記目標を抽出するステップを、前記プロセッサに実行させ、
前記選択するステップにおいて、前記抽出した目標の位置に基づき、前記ノズル装置の穴を選択する請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記ノズル装置の周囲の画像を撮影手段に撮影させるステップを、前記プロセッサに実行させ、
前記抽出するステップにおいて、前記撮影した画像を解析することで前記目標を抽出する請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
前記撮影手段は全方位を撮影可能であり、
前記撮影させるステップにおいて、前記撮影手段に、連続したフレームで画像を撮影させる請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
前記ノズル装置を移動させる駆動手段を制御するステップを、前記プロセッサに実行させる請求項1乃至4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
前記送出手段を制御するステップにおいて、前記ノズル装置が移動している際に前記送出手段を制御する請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記送出手段は、前記物体を保持するタンクと前記複数の穴とをそれぞれ接続する管に取り付けられ、
前記送出手段を制御するステップにおいて、前記選択した穴と対応する送出手段を制御する請求項1乃至6のいずれかに記載のプログラム。
【請求項8】
前記送出手段は、前記物体を保持するタンクから送出された物体を保持する第2タンクと前記複数の穴とをそれぞれ接続する管に取り付けられ、
前記送出手段を制御するステップにおいて、前記選択した穴と対応する送出手段を制御する請求項1乃至6のいずれかに記載のプログラム。
【請求項9】
前記送出手段を制御するステップにおいて、前記選択した穴から前記物体が射出されるように、前記送出手段と前記穴とをそれぞれ接続する管に取り付けられるバルブのうち、前記選択した穴と対応するバルブを開状態とし、前記送出手段を制御する請求項1乃至6のいずれかに記載のプログラム。
【請求項10】
前記送出手段を制御するステップにおいて、前記目標の位置に応じて、前記送出手段が前記物体を送出する強度を変化させる請求項1乃至9のいずれかに記載のプログラム。
【請求項11】
前記送出手段を制御するステップにおいて、複数の目標に対して前記穴をそれぞれ選択した場合、前記選択した複数の穴から前記物体が略同時に射出されるように、前記送出手段を制御する請求項1乃至10のいずれかに記載のプログラム。
【請求項12】
前記送出手段を制御するステップにおいて、前記目標の数が所定数を超える場合、前記物体を射出する順序を設定し、設定した順序に応じて前記送出手段を制御する請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記送出手段を制御するステップにおいて、単一の目標に対して複数の前記穴を選択した場合、前記選択した複数の穴から前記物体が略同時に射出されるように、前記送出手段を制御する請求項1乃至10のいずれかに記載のプログラム。
【請求項14】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータが実行する方法であって、前記プロセッサが、
物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択するステップと、
前記選択した穴から前記物体が射出されるように、前記物体を送出する送出手段を制御するステップと
を実行する方法。
【請求項15】
略球状に形成され、物体を射出する複数の穴を有するノズル装置と、
前記穴へ前記物体を送出する送出手段と、
前記物体を射出させる目標の位置に基づき、前記ノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択し、前記選択した穴から前記物体が射出されるように、前記送出手段を制御する制御部と
を具備する射出装置。
【請求項16】
略球状に形成され、物体を射出する複数の穴を有するノズル装置と、
前記穴へ前記物体を送出する送出手段と、
前記ノズル装置の周囲の画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影された画像を解析することで目標を抽出する解析手段と、
前記抽出された目標の位置に基づき、前記ノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択し、前記選択した穴から前記物体が射出されるように、前記送出手段を制御する制御手段と
を具備するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、射出装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
略球体形状で形成され、複数の噴出口を有するノズルから洗浄水を噴射させることで、死角なく洗浄水を洗浄対象へ到達させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、給水ホースを介して内部に供給された洗浄水は、ポンプで加圧され、供給流路を介し、略球体形状のノズルに流入する。ノズルに流入した洗浄水は、ノズルに設けられている複数の噴出口から放射状に噴射される。ノズルが略球体形状に形成されることで、洗浄水は放射状に噴射されることになり、洗浄対象のすき間にまで入り込むことが可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、洗浄水を死角なく洗浄対象へ到達させることは記載されているが、所望の位置へ到達するように物体を射出させることについては記載されていない。
【0006】
そこで、本開示に目的は、物体を所望の位置へ射出させることが可能なプログラム、方法、射出装置、及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムである。プログラムは、プロセッサに、物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択するステップと、選択した穴から物体が射出されるように、物体を送出する送出手段を制御するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、物体を所望の位置へ射出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図1に示される射出装置を模式的に表す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るシステムに含まれる射出装置の構成を表すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るノズル装置の外観を表す図である。
【
図5】
図4に示すノズル装置の断面を表す図である。
【
図6】本実施形態に係る射出装置が目標へ液体を射出する際の動作を表すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る射出装置が所定の目標へ液体を射出する際の図である。
【
図8】第2タンクがノズル装置内に設けられる場合のノズル装置の断面を表す図である。
【
図9】射出口に接続される管にゲートバルブが取り付けられる場合のノズル装置の断面を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
<概要>
本実施形態に係るシステム1は、射出装置10により、殺虫剤、農薬、栄養剤、又は水等の液体を、液体の振りかけることが必要な対象へ直接到達させるように射出する。例えば、射出装置10は、略球状に形成され、表面に複数の穴を有するノズル装置111を備え、目標の位置に対応したノズル装置111上の穴から液体を射出する。
【0012】
<1 全体構成>
図1は、本実施形態に係るシステム1の全体構成の例を示す図である。
図1に示すように、システム1は、射出装置10と、サーバ20と、端末装置30とを備えている。射出装置10と、サーバ20と、端末装置30とは、無線の通信規格を用い、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、例えば、インターネット、及び/又は通信事業者が提供する通信網等により実現される。
【0013】
図1の例では、1台の端末装置30がシステム1に含まれているが、含まれる端末装置30の数は1台に限定されない。また、
図1の例では、サーバ20が1台のコンピュータにより実現される場合を示しているが、サーバ20は、複数台のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。
【0014】
射出装置10は、液体を、液体の振りかけることが必要な対象へ直接到達させるように射出する装置である。射出装置10は、周囲を撮影しながら移動し、液体を振りかけることが必要な対象を目掛けて液体を射出する。射出装置10は、タイヤを有して地上を移動する移動体でもよいし、プロペラを有して空中を移動するマルチコプター型ドローンでもよいし、固定翼により空中を移動する固定翼ドローンでもよい。
【0015】
図2は、
図1に示される射出装置10を模式的に表す斜視図の例である。
図1、2に示すように、射出装置10は、本体装置11と、ノズル装置111と、ポンプ112と、撮影装置113と、駆動装置114とを備える。ノズル装置111、ポンプ112、撮影装置113、及び駆動装置114は、本体装置11に接続されている。なお、ポンプ112は、本体装置11の内部に設けられていてもよい。
【0016】
本体装置11は、通信IF(Interface)12と、入出力IF13と、タンク14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。通信IF12、入出力IF13、タンク14、メモリ15、ストレージ16、及びプロセッサ19は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
通信IF12は、射出装置10が外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0018】
入出力IF13は、ノズル装置111、ポンプ112、撮影装置113、又は駆動装置114へ指示を出力するためのインタフェースである。また、入出力IF13は、ノズル装置111、ポンプ112、撮影装置113、又は駆動装置114から出力される信号を受信するためのインタフェースである。
【0019】
タンク14は、液体を貯留するためのタンクである。タンク14とポンプ112とは、例えば、配管により接続されている。タンク14に貯留される液体は、ポンプ112により吸引される。
【0020】
メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ16は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)等である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0021】
ノズル装置111は、略球体形状に形成されている。ノズル装置111は、球体表面に複数の射出口を有する。ノズル装置111については後に詳細に説明する。
【0022】
ポンプ112は、配管により、ノズル装置111と、タンク14と接続している。ポンプ112は、プロセッサ19からの制御に従い、タンク14から液体を吸引する。ポンプ112は、吸引した液体をノズル装置111へ所定の圧力で送出し、ノズル装置111の所定の射出口から射出させる。
【0023】
撮影装置113は、受光素子により光を受光し、撮影信号として出力するためのデバイスである。撮影装置113は、例えば、超広角レンズ、魚眼レンズ、又は広角レンズを有し、広い画角で周囲を撮影する。また、撮影装置113は、例えば、通常のレンズを有し、首を振りながら周囲を撮影してもよい。射出装置10には、所定の原理で駆動するジンバルが搭載されていてもよく、射出装置10の移動が撮影に影響を与えることを低減させるようにしている。撮影装置113は、例えば、プロセッサ19からの制御に従い、撮影を実施する。
【0024】
駆動装置114は、本体装置11を移動させるためのデバイスである。駆動装置114は、陸上を移動させるためのデバイス、例えば、タイヤ、又はクローラー等である。また、駆動装置114は、空中を移動させるためのデバイス、例えば、プロペラ、又は翼等であってもよい。駆動装置114は、プロセッサ19からの制御に従い、射出装置10を、所定の経路、かつ、所定の速さで移動させる。
【0025】
サーバ20は、射出装置10を制御するための情報を管理する。また、サーバ20は、射出装置10で取得される情報を管理する。サーバ20は、例えば、ネットワーク80に接続されたコンピュータにより実現される。サーバ20は、例えば、メモリと、ストレージと、プロセッサとを備える。メモリは、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM等の揮発性のメモリにより実現される。ストレージは、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD等の不揮発性のメモリにより実現される。プロセッサは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0026】
端末装置30は、ユーザが使用する端末である。ユーザは、端末装置30を操作し、例えば、射出装置10を操作するための情報をサーバ20へ入力する。また、ユーザは、端末装置30を操作し、例えば、射出装置10を操作する。端末装置30は、例えば、スマートフォン、又はタブレット端末等の携行性を備えた端末により実現される。また、端末装置30は、ラップトップPC(Personal Computer)、ヘッドマウントディスプレイ等により実現されてもよい。
【0027】
<1.1 射出装置の構成>
図3は、本実施形態に係るシステム1に含まれる射出装置10の構成例を表すブロック図である。
図3に示すように、射出装置10は、本体装置11と、ノズル装置111と、ポンプ112と、撮影装置113と、駆動装置114とを備える。
図3に示す本体装置11は、通信部121と、アンテナ122と、入力部131と、出力部132と、タンク14と、位置情報センサ150と、モーションセンサ160と、記憶部180と、制御部190とを備える。本体装置11は、
図3では特に図示していない機能及び構成、例えば、電力を保持するためのバッテリ、バッテリから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路等も有している。本体装置11に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0028】
アンテナ122は、射出装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ122は、空間を伝搬する電波を受信する。
【0029】
通信部121は、アンテナ122に対応しており、射出装置10が他の装置と通信するための処理を行う。通信部121は、制御部190で生成された信号に、変調処理、及び周波数変換等の送信処理を施し、外部(例えば、サーバ20)へ送信する。通信部121は、外部から受信した信号に、復調処理、及び周波数変換等の受信処理を施し、制御部190へ出力する。
【0030】
入力部131は、ノズル装置111と、ポンプ112と、撮影装置113と、駆動装置114とから出力される情報を受け付ける。入力部131は、ノズル装置111と、ポンプ112と、撮影装置113と、駆動装置114とから受け付けた情報を、所定の形式に変換し、制御部190へ出力する。
【0031】
出力部132は、ノズル装置111と、ポンプ112と、撮影装置113と、駆動装置114とへ制御部190からの制御信号を出力する。
【0032】
位置情報センサ150は、射出装置10の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。位置情報センサ150は、基地局からの電波の強さから射出装置10の位置を検出してもよい。
【0033】
モーションセンサ160は、加速度センサ、角速度センサ等を含み、射出装置10の動きを検知する。例えば、モーションセンサ160は、所定のルートを移動中の射出装置10の加速度を検知する。また、モーションセンサ160は、射出装置10の回転、及び向きの変化を検知する。
【0034】
記憶部180は、例えば、メモリ15、及びストレージ16等により実現され、射出装置10が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。具体的には、記憶部180は、例えば、ルートデータ181、及び学習済みモデル182を記憶する。
【0035】
ルートデータ181は、射出装置10が移動するルートに関するデータである。射出装置10が屋外を移動する場合には、ルートデータ181は、屋外の所定の地点に関する情報、例えば、座標情報であってもよい。また、射出装置10が屋内を移動する場合には、ルートデータ181は、移動するルートを表す線に関する情報であってもよい。ルートデータ181は、例えば、サーバ20からダウンロードされる。また、ユーザが端末装置30から、ルートデータ181を射出装置10へ記憶させてもよい。
【0036】
学習済みモデル182は、モデル学習プログラムに従い、機械学習モデルに機械学習を行わせることで生成されるモデルである。学習済みモデル182は、例えば、入力されるデータに基づき、所定の推論を実施する、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る学習済みモデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよい。
【0037】
例えば、学習済みモデル182が順伝播型の多層化ネットワークを用いて生成される場合、パラメータ付き合成関数は、例えば、重み行列を用いた各層間の線形関係、各層における活性化関数を用いた非線形関係(又は線形関係)、及びバイアスの組み合わせとして定義される。重み付行列、及びバイアスは、多層化ネットワークのパラメータと呼ばれる。パラメータ付き合成関数は、パラメータをどのように選ぶかで、関数としての形を変える。多層化ネットワークでは、構成するパラメータを適切に設定することで、出力層から好ましい結果を出力することが可能な関数を定義することができる。
【0038】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)を用いてもよい。
【0039】
学習済みモデル182は、画像が入力されると、画像に含まれる、液体を射出させる目標を出力するように学習されたモデルである。本実施形態では、学習済みモデル182は、例えば、以下の状態の物体を、目標と判断するように学習されている。
・水分が足りない乾燥した状態の物体
・所定の害虫が発生している状態の物体
・所定の症状(例えば、病気の症状)が発生している状態の物体
・栄養の足りない状態の物体
【0040】
射出装置10は、液体を複数の方向へ同時に射出することが可能であるが、目標の数によっては、一度に液体を到達できないこともあり得る。学習済みモデル182は、所定数以上の目標が画像内に含まれる場合、所定の規則に応じて液体を射出する目標の順序を設定するように学習されてもよい。所定の規則は、例えば、以下である。
・症状に応じた順序(例えば、症状が重い目標から先に液体を射出する)
・射出装置10からの距離に応じた順序(例えば、射出装置10から遠い目標から先に液体を射出する)
・移動方向に応じた順序(例えば、所定のルートへの移動の際に離れる目標から先に液体を射出する)
【0041】
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、射出装置10の動作を制御する。具体的には、例えば、制御部190は、操作受付部191、送受信部192、画像解析部193、駆動制御部194、及び射出制御部195としての機能を発揮する。
【0042】
操作受付部191は、通信部121を介して入力されるユーザの操作を受け付けるための処理を行う。
【0043】
送受信部192は、本体装置11が、ノズル装置111、ポンプ112、撮影装置113、及び駆動装置114等と、データを送受信するための処理を行う。
【0044】
画像解析部193は、撮影装置113によって撮影された画像を解析することで、画像から、液体を射出させる目標を抽出する。例えば、画像解析部193は、記憶部180に記憶されている学習済みモデル182を利用し、撮影装置113によって撮影された画像を解析する。具体的には、例えば、画像解析部193は、学習済みモデル182に画像を入力し、画像における目標を出力させる。
【0045】
駆動制御部194は、記憶部180に記憶されているルートデータ181を利用し、駆動装置114を制御する。
【0046】
射出制御部195は、画像解析部193により出力された目標に対して液体を到達させるように、ノズル装置111、又はポンプ112を制御する。具体的には、例えば、射出制御部195は、自装置を基準とした極座標系において目標の位置を把握する。
【0047】
例えば、射出制御部195は、射出装置10の向き、撮影装置113の撮影方向、及び画像における目標の位置等から、射出装置10に対する目標の方位角を取得する。また、射出制御部195は、撮影装置113の撮影方向、及び画像における目標の位置等から、目標の仰角を取得する。また、射出制御部195は、撮影装置113の倍率、画像内の目標の大きさ等から、目標までの距離を取得する。
【0048】
射出制御部195は、目標の位置を直交座標系で把握してもよい。射出制御部195は、例えば、目標について、自装置を原点としたx座標、y座標、z座標を取得する。
【0049】
射出制御部195は、射出装置10の移動を考慮しつつ、把握した位置へ液体を到達させるように、ノズル装置111、又はポンプ112を制御する。
【0050】
<1.2 ノズル装置の構成>
図4は、本実施形態に係るノズル装置111の外観を表す模式図である。
図5は、
図4に示すノズル装置111の断面を表す模式図である。
【0051】
図4に示すように、ノズル装置111は、略球体形状をしており、表面には複数の射出口1111が形成されている。
図5に示すように、射出口1111のそれぞれには、タンク14と接続する管1112が接続されている。
【0052】
射出口1111とタンク14とを接続する管1112には、それぞれマイクロポンプ1121が接続されている。マイクロポンプ1121は、制御部190からの制御に従い、タンク14から液体を吸引する。マイクロポンプ1121は、吸引した液体を所定の圧力でノズル装置111へ送出し、管1112により接続される射出口1111から射出させる。
【0053】
管1112に取り付けられるマイクロポンプ1121は、1つに限定されない。管1112に複数のマイクロポンプ1121が直列に取り付けられていてもよい。これにより、液体をより遠方まで飛ばすことが可能となる。
【0054】
射出口1111のいずれかは、液体を遠くまで飛ばすことが可能な形状に加工されていてもよい。また、射出口1111のいずれかは、液体を所定の方向へ飛ばすことが可能な形状に加工されていてもよい。
【0055】
<2.動作>
射出装置10が目標へ液体を射出する際の射出装置10の動作について説明する。
【0056】
図6は、本実施形態に係る射出装置10が目標へ液体を射出する際の動作を表すフローチャートである。
図6の説明において、射出装置10は、地上における所定のルートを、所定の速度で移動しているとする。移動速度は、一定であってもよいし、所定のエリア等において、可変であってもよい。また、一時的に停止してもよい。
【0057】
所定のルートを走行する射出装置10において、撮影装置113は、制御部190(撮影制御部、図示せず)からの制御に基づき、所定のフレームレートで画像を撮影する。つまり、制御部190は、撮影装置113に画像を撮影させる。撮影装置113は、連続して画像を撮影してもよいし、予め設定されたエリアにおいて画像を撮影してもよい。また、撮影装置113は、射出装置10が停止している間に画像を撮影してもよい。撮影装置113は、制御部190からの制御に基づき、画像の倍率を変化させてもよい。
【0058】
ステップS11において、制御部190は、送受信部192により、撮影装置113により撮影された画像データを受け付ける。
【0059】
ステップS12において、制御部190は、画像解析部193により、画像データを解析する。具体的には、画像解析部193は、記憶部180に記憶されている学習済みモデル182に、撮影装置113によって撮影された画像を入力する。学習済みモデル182は、画像に含まれる目標を出力する。
【0060】
具体的には、例えば、射出装置10が水を射出する装置である場合において、水分が足りない乾燥した状態の物体を含む画像が、画像解析部193により、学習済みモデル182に入力されたとする。学習済みモデル182は、水分が足りない乾燥した状態の物体を、水の目標として出力する。
【0061】
また、例えば、射出装置10が殺虫剤を射出する装置である場合において、所定の害虫を含む画像、又は所定の害虫の発生が疑われる状態の物体を含む画像が、画像解析部193により、学習済みモデル182に入力されたとする。学習済みモデル182は、所定の害虫を含む画像、又は所定の害虫の発生が疑われる状態の物体を含む画像を、殺虫剤の目標として出力する。
【0062】
また、例えば、射出装置10が農薬を含む水を射出する装置である場合において、所定の症状(例えば、病気の症状)が発生している状態の物体を含む画像が、画像解析部193により、学習済みモデル182に入力されたとする。学習済みモデル182は、所定の症状が発生している状態の物体を含む画像を、農薬を含む水の目標として出力する。
【0063】
また、例えば、射出装置10が栄養剤を射出する装置である場合において、栄養の足りない状態の物体を含む画像が、画像解析部193により、学習済みモデル182に入力されたとする。学習済みモデル182は、栄養の足りない状態の物体を含む画像を、栄養剤の目標として出力する。
【0064】
ステップS13において、制御部190は、目標が出力されたか否かを判断する。制御部190は、目標が出力された場合、処理をステップS14へ進め、出力されない場合、処理を終了させる。
【0065】
ステップS14において、制御部190は、射出制御部195により、目標の位置を把握する。具体的には、例えば、射出制御部195は、自装置の位置、自装置が向いている方向、撮影装置113の撮影方向、画像内の目標の位置、及び画像内の目標の大きさ等に基づき、画像解析により抽出された目標の位置を、極座標系、又は直交座標系の座標として取得する。
【0066】
ステップS15において、制御部190は、射出制御部195により、ノズル装置111又はポンプ112を制御する。具体的には、射出制御部195は、目標の位置へ所定の放物線で液体を到達させることが可能な射出口1111と、当該射出口1111へ液体を送出するマイクロポンプ1121の強さとを決定する。液体を送出するマイクロポンプ1121の強さとは、例えば、圧力、又は排出量等である。液体を送出するマイクロポンプ1121の強さは、射出する物体の特性に応じて予め設定されていてもよい。射出する物体の特性とは、例えば、物体の空気抵抗等である。射出制御部195は、決定した圧力で液体を送出するようにマイクロポンプ1121を制御する。
【0067】
マイクロポンプ1121は、制御部190の制御に応じ、タンク14から液体を吸引し、吸引した液体を決定された圧力でノズル装置111へ送出する。これにより、決定した射出口1111から所定量の液体が目標へ射出される。
【0068】
図7は、本実施形態に係る射出装置10から所定の目標へ、液体が射出される際の模式図を表す。
図7において、撮影装置113は、周囲の広い範囲(全方位)を撮影可能なカメラ、例えば、360度カメラである。360度カメラにより撮影された画像は、そのまま画像解析されてもよいし、例えば、正距円筒図法を用いて補正された後に画像解析されてもよい。
【0069】
図7において、制御部190は、画像解析部193により、撮影装置113により撮影された画像1131を解析する。画像解析部193は、例えば、画像1131を解析し、目標1132-1,1132-2を出力する。
【0070】
制御部190は、ノズル装置111から、略同時に目標1132-1,1132-2へ向けて液体が射出されるように、2つのマイクロポンプ1121を駆動させる。マイクロポンプ1121により送出された液体は、ノズル装置111の射出口1111から、目標1132-1,1132-2へ射出される。
【0071】
以上のように、本実施形態では、射出装置10は、制御部190により、物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置111に設けられた複数の穴1111のうち、少なくとも1つの穴1111を選択する。そして、制御部190は、選択した穴1111から物体が射出されるように、物体を送出するポンプ112を制御するようにしている。これにより、目標の位置に適した穴1111から物体が射出される。
【0072】
したがって、本実施形態に係る射出装置10によれば、物体を射出する必要のある目標に対し、ピンポイントで物体を射出することができる。このため、必要な領域のみに効率的に物体を到達させることが可能となるため、不要な領域にまで物体を撒くことが抑えられ、物体の使用量の節約することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、制御部190は、画像解析部193により、画像を解析することで目標を抽出する。そして、制御部190は、射出制御部195により、抽出した目標の位置に基づき、ノズル装置111の穴1111を選択するようにしている。これにより、射出装置10で、画像から目標を抽出することが可能となるため、画像を取得して目標へ物体を射出する動作を迅速に実施することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態では、制御部190は、ノズル装置111の周囲の画像を撮影装置113に撮影させる。そして、制御部190は、画像解析部193により、撮影した画像を解析することで目標を抽出するようにしている。これにより、射出装置10の周囲の画像から目標を抽出し、抽出した目標へ物体を射出することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、撮影装置113は、全方位を撮影可能となっている。制御部190は、撮影装置113に、連続したフレームで画像を撮影させるようにしている。これにより、射出装置10は、全方位について、連続的に撮影される動画から目標を抽出することが可能となる。このため、物理的な死角、及び時間的な死角が減少するため、目標をより的確に抽出することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態では、制御部190は、駆動制御部194により、ノズル装置111を移動させる駆動装置114を制御する。これにより、射出装置10は、自走しながら目標へ物体を射出することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では、制御部190は、射出制御部195により、ノズル装置111が移動している際にポンプ112を制御する。これにより、射出装置10は、停止せずに物体を射出することが可能となるため、予め設定されたルートを回りつつ、効率的に目標へ物体を射出することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、マイクロポンプ1121は、物体を保持するタンク14と複数の穴1111とをそれぞれ接続する管1112に取り付けられる。制御部190は、射出制御部195により、選択した穴1111と対応するマイクロポンプ1121を制御するようにしている。これにより、射出装置10は、任意の穴1111から、物体を射出することが可能となる。
【0079】
また、上記実施形態では、制御部190は、射出制御部195により、目標の位置に応じて、ポンプ112が物体を送出する強度を変化させるようにしている。これにより、射出装置10は、任意の距離へ物体を射出することが可能となる。
【0080】
また、上記実施形態では、制御部190は、射出制御部195により、複数の目標に対して穴1111をそれぞれ選択した場合、選択した複数の穴1111から物体が略同時に射出されるように、ポンプ112を制御するようにしている。これにより、複数の目標に対してそれぞれ物体が射出されるため、射出装置10は、より効率的に物体を射出することが可能となる。
【0081】
また、上記実施形態では、制御部190は、射出制御部195により、目標の数が所定数を超える場合、物体を射出する順序を設定し、設定した順序に応じてポンプ112を制御するようにしている。これにより、射出装置10は、目標の数が多い場合であっても正確に目標へ物体を到達させることが可能となる。
【0082】
(その他の実施形態)
ノズル装置111の構成は、
図5に記載した、射出口1111とタンク14とを繋ぐ管1112毎にマイクロポンプ1121が設けられる構成に限定されない。例えば、射出装置10は、第2タンクを有し、射出口1111と第2タンクとを繋ぐ管毎にマイクロポンプが設けられていてもよい。
【0083】
図8は、第2タンク1113がノズル装置111内に設けられる場合のノズル装置111の断面を表す模式図である。
図8に示すように、ノズル装置111内には、第2タンク1113が設けられている。第2タンク1113は、ポンプ112により送出される液体を、第2タンク1113に貯留する。
【0084】
射出口1111のそれぞれには、第2タンク1113と接続する管1112が接続されている。射出口1111とタンク14とを接続する管1112には、それぞれマイクロポンプ1114が接続されている。マイクロポンプ1114は、制御部190からの制御に従い、第2タンク1113から液体を吸引する。マイクロポンプ1114は、吸引した液体を所定の圧力で送出し、管1112により接続される射出口1111から射出させる。
【0085】
マイクロポンプ1114と制御部190とは、有線で接続されていても無線で接続されていてもよい。例えば、無線で接続される場合、ノズル装置111に、制御部190と通信する通信機が取り付けられており、マイクロポンプ1114と通信機とが優先で接続されていてもよい。
【0086】
管1112に取り付けられるマイクロポンプ1114は、1つに限定されない。管1112に複数のマイクロポンプ1114が直列に取り付けられていてもよい。これにより、液体をより遠方まで飛ばすことが可能となる。
【0087】
射出口1111のいずれかは、液体を遠くまで飛ばすことが可能な形状に加工されていてもよい。また、射出口1111のいずれかは、液体を所定の方向へ飛ばすことが可能な形状に加工されていてもよい。
【0088】
制御部190は、所定のタイミングでポンプ112を制御し、第2タンク1113に液体を供給する。所定のタイミングとは、例えば、以下である。
・第2タンク1113に水位センサが取り付けられており、第2タンク1113内の液体が所定の水位に達したタイミング
・所定の周期
・所定の地点に到達したタイミング
・所定回数液体を射出したタイミング
【0089】
図8に示すノズル装置111を備える場合、射出装置10は、以下のように動作して目標へ液体を射出する。
【0090】
制御部190は、
図6に示すステップS11~S14の処理を実施する。
【0091】
ステップS15において、制御部190は、射出制御部195により、ノズル装置111又はポンプ112を制御する。具体的には、射出制御部195は、目標の位置へ所定の放物線で液体を到達させることが可能な射出口1111と、当該射出口1111へ液体を送出するマイクロポンプ1114の圧力とを決定する。射出制御部195は、決定した圧力で液体を送出するようにマイクロポンプ1114を制御する。
【0092】
マイクロポンプ1114は、制御部190の制御に応じ、第2タンク1113から液体を吸引し、吸引した液体を決定された圧力でノズル装置111へ送出する。これにより、決定した射出口1111から所定量の液体が目標へ射出される。
【0093】
以上のように、マイクロポンプ1114は、物体を保持するタンク14から送出された物体を保持する第2タンク1113と複数の穴1111とをそれぞれ接続する管1112に取り付けられる。そして、制御部190は、射出制御部195により、選択した穴1111と対応するマイクロポンプ1114を制御するようにしている。これにより、射出装置10は、任意の穴1111から、物体を射出することが可能となる。
【0094】
また、ノズル装置111の構成は、
図5及び
図8に記載するように、マイクロポンプ1121,1114が設けられる構成に限定されない。例えば、射出装置10は、射出口に接続される管にゲートバルブが取り付けられてもよい。
【0095】
図9は、射出口1111に接続される管1112にゲートバルブ1115が取り付けられる場合のノズル装置111の断面を表す模式図である。
図9に示すように、射出口1111に接続される管1112のそれぞれにはゲートバルブ1115が取り付けられている。
【0096】
ゲートバルブ1115は、制御部190からの制御に従い、開状態又は閉状態となる。ゲートバルブ1115は、開状態である場合、ポンプ112により送出される液体を射出口1111へ流す。ゲートバルブ1115は、閉状態である場合、ポンプ112により送出される液体を遮断する。
【0097】
ゲートバルブ1115と制御部190とは、有線で接続されていても無線で接続されていてもよい。例えば、無線で接続される場合、ノズル装置111に、制御部190と通信する通信機が取り付けられており、ゲートバルブ1115と通信機とが優先で接続されていてもよい。
【0098】
射出口1111のいずれかは、液体を遠くまで飛ばすことが可能な形状に加工されていてもよい。また、射出口1111のいずれかは、液体を所定の方向へ飛ばすことが可能な形状に加工されていてもよい。
【0099】
図9に示すノズル装置111を備える場合、射出装置10は、以下のように動作して目標へ液体を射出する。初期状態として、ノズル装置111に取り付けられているゲートバルブ1115はすべて閉状態となっている。
【0100】
制御部190は、
図6に示すステップS11~S14の処理を実施する。
【0101】
ステップS15において、制御部190は、射出制御部195により、ノズル装置111又はポンプ112を制御する。具体的には、射出制御部195は、目標の位置へ所定の放物線で液体を到達させることが可能な射出口1111と、当該射出口1111と対応するゲートバルブ1115と、ポンプ112の圧力とを決定する。射出制御部195は、決定したゲートバルブ1115が開状態となるように制御し、決定した圧力で液体を送出するようにポンプ112を制御する。
【0102】
ポンプ112は、制御部190の制御に応じ、タンク14から液体を吸引し、吸引した液体を決定された圧力でノズル装置111へ送出する。送出された液体は、開状態となったゲートバルブ1115を通過し、開状態となっているゲートバルブ1115と対応する射出口1111から射出される。
【0103】
以上のように、制御部190は、射出制御部195により、選択した穴1111から物体が射出されるように、ポンプ112と穴1111とをそれぞれ接続する管1112に取り付けられるバルブ1115のうち、選択した穴1111と対応するバルブ1115を開状態とし、ポンプ112を制御するようにしている。これにより、射出装置10は、任意の穴1111から、物体を射出することが可能となる。
【0104】
上記実施形態では、射出装置10が物体としての液体を射出する場合を例に説明したが、射出装置10が射出するものは液体に限定されない。射出装置10は、種等の粒状の固体を物体として、所望の複数の位置へ到達させるように射出してもよい。このとき、送出機としてのポンプ112、マイクロポンプ1121,1114は、個体を射出口1111から射出可能な機構に代替される。例えば、送出機として、送風機、又は打出機等の機構が利用され得る。
【0105】
また、学習済みモデル182は、例えば、圃場において、所定の条件を満たす領域を目標と判断するように学習されている。所定の条件とは、例えば、以下である。
・所定の色をしている
・所定の場所に存在している(例えば、ルートデータ181に場所が登録されている)
【0106】
また、上記実施形態では、制御部190がポンプ112、マイクロポンプ1121,1114の圧力を制御する場合を説明したが、制御部190は、ポンプ112、マイクロポンプ1121,1114の圧力を制御しなくてもよい。制御部190は、ノズル装置111の射出口1111を選択することで物体を任意の方向へ射出してもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、1つの目標に対し、1つの射出口から物体を射出する場合を説明した。しかしながら、1つの目標に対し、複数の射出口から物体を射出してもよい。例えば、制御部190は、画像解析部193から出力された目標に対し、2つ以上の射出口1111を決定し、決定した射出口1111と対応するポンプに液体を送出させる。これにより、より多くの量の物体を短時間で目標へ到達させることが可能となる。
【0108】
また、上記実施形態では、射出装置10で画像解析を行う場合を例に説明したが、画像解析はサーバ20で実施されてもよい。このとき、射出装置10は、撮影装置113で撮影された画像データをサーバ20へ送信する。
【0109】
サーバ20は、サーバ20に記憶される学習済みモデルを利用し、射出装置10から送信される画像を解析する。サーバ20は、学習済みモデルから出力される目標を、射出装置10へ送信する。
【0110】
射出装置10は、射出制御部195により、サーバ20から送信された目標に対して液体を到達させるように、ノズル装置111、又はポンプ112を制御する。
【0111】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0112】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
プロセッサ19と、メモリ15とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサ19に、物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置111に設けられた複数の穴1111のうち、少なくとも1つの穴を選択するステップ(ステップS15)と、選択した穴から物体が射出されるように、物体を送出する送出手段112を制御するステップ(ステップS15)とを実行させるプログラム。
(付記2)
画像を解析することで目標を抽出するステップ(ステップS12)を、プロセッサに実行させ、選択するステップにおいて、抽出した目標の位置に基づき、ノズル装置の穴を選択する(付記1)に記載のプログラム。
(付記3)
ノズル装置の周囲の画像を撮影手段113に撮影させるステップを、プロセッサに実行させ、抽出するステップにおいて、撮影した画像を解析することで目標を抽出する(付記2)に記載のプログラム。
(付記4)
撮影手段は全方位を撮影可能であり、撮影させるステップにおいて、撮影手段に、連続したフレームで画像を撮影させる(付記3)に記載のプログラム。
(付記5)
ノズル装置を移動させる駆動手段114を制御するステップを、プロセッサに実行させる(付記1)乃至(付記4)のいずれかに記載のプログラム。
(付記6)
送出手段を制御するステップにおいて、ノズル装置が移動している際に送出手段を制御する(付記5)に記載のプログラム。
(付記7)
送出手段は、物体を保持するタンク14と複数の穴とをそれぞれ接続する管1112に取り付けられ、送出手段1121を制御するステップにおいて、選択した穴1111と対応する送出手段1121を制御する(付記1)乃至(付記6)のいずれかに記載のプログラム。
(付記8)
送出手段は、物体を保持するタンク14から送出された物体を保持する第2タンク1113と複数の穴1111とをそれぞれ接続する管1112に取り付けられ、送出手段1114を制御するステップにおいて、選択した穴1111と対応する送出手段1114を制御する(付記1)乃至(付記6)のいずれかに記載のプログラム。
(付記9)
送出手段112を制御するステップにおいて、選択した穴1111から物体が射出されるように、送出手段112と穴1111とをそれぞれ接続する管1112に取り付けられるバルブ1115のうち、選択した穴1111と対応するバルブ1115を開状態とし、送出手段112を制御する(付記1)乃至(付記6)のいずれかに記載のプログラム。
(付記10)
送出手段を制御するステップにおいて、目標の位置に応じて、送出手段が物体を送出する強度を変化させる(付記1)乃至(付記9)のいずれかに記載のプログラム。
(付記11)
送出手段を制御するステップにおいて、複数の目標に対して穴をそれぞれ選択した場合、選択した複数の穴から物体が略同時に射出されるように、送出手段を制御する(付記1)1乃至(付記10)のいずれかに記載のプログラム。
(付記12)
送出手段を制御するステップにおいて、目標の数が所定数を超える場合、物体を射出する順序を設定し、設定した順序に応じて送出手段を制御する(付記11)に記載のプログラム。
(付記13)
送出手段を制御するステップにおいて、単一の目標に対して複数の穴を選択した場合、選択した複数の穴から物体が略同時に射出されるように、送出手段を制御する(付記1)乃至(付記10)のいずれかに記載のプログラム。
(付記14)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータが実行する方法であって、プロセッサが、物体を射出させる目標の位置に基づき、略球状のノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択するステップと、選択した穴から物体が射出されるように、物体を送出する送出手段を制御するステップとを実行する方法。
(付記15)
略球状に形成され、物体を射出する複数の穴を有するノズル装置と、穴へ物体を送出する送出手段と、物体を射出させる目標の位置に基づき、ノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択し、選択した穴から物体が射出されるように、送出手段を制御する制御部とを具備する射出装置。
(付記16)
略球状に形成され、物体を射出する複数の穴を有するノズル装置と、穴へ物体を送出する送出手段と、ノズル装置の周囲の画像を撮影する撮影手段と、撮影された画像を解析することで目標を抽出する解析手段と、抽出された目標の位置に基づき、ノズル装置に設けられた複数の穴のうち、少なくとも1つの穴を選択し、選択した穴から物体が射出されるように、送出手段を制御する制御手段とを具備するシステム。
【符号の説明】
【0113】
1…システム
10…射出装置
11…本体装置
111…ノズル装置
1111…射出口
1112…管
1113…第2タンク
1114…マイクロポンプ
1115…ゲートバルブ
112…ポンプ
1121…マイクロポンプ
113…撮影装置
114…駆動装置
121…通信部
122…アンテナ
131…入力部
132…出力部
12…通信IF
13…入出力IF
14…タンク
15…メモリ
150…位置情報センサ
16…ストレージ
160…モーションセンサ
180…記憶部
181…ルートデータ
182…学習済みモデル
19…プロセッサ
190…制御部
191…操作受付部
192…送受信部
193…画像解析部
194…駆動制御部
195…射出制御部
20…サーバ
30…端末装置
80…ネットワーク