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特開2022-179334構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法
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  • 特開-構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法 図1
  • 特開-構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法 図2
  • 特開-構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法 図3
  • 特開-構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法 図4
  • 特開-構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179334
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20221125BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20221125BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20221125BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20221125BHJP
【FI】
G01N23/04
F02C7/00 D
F01D25/00 X
F01D25/00 L
F02C7/00 C
G01N23/18
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022044037
(22)【出願日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】17/326,778
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・フランク・フェッロ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・クームズ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001KA03
2G001SA11
(57)【要約】
【課題】構成要素イメージングシステム、構成要素イメージング装置、および構成要素イメージング方法を提供すること。
【解決手段】ネガティブスペース(108)を画成する構成要素(102)をイメージングするためのシステム(100)であって、構成要素イメージングアセンブリ(104)、ボーラスインサート(106)、およびイメージングデバイス(114)を備える、システムが提供される。ボーラスインサートは、構成要素が構成要素画像(122)を生成するためにイメージングフィールド(120)内に位置決めされる場合に、構成要素のネガティブスペース内に位置決め可能である。構成要素のネガティブスペース内にボーラスインサートを位置決めするステップ(506)と、構成要素の画像を生成するためにボーラスインサートを有する構成要素をスキャニングするステップ(510)とを含む方法が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガティブスペース(108)を画成する構成要素(102)をイメージングするためのシステム(100)であって、
構成要素イメージングアセンブリ(104)と、
ボーラスインサート(106)と、
イメージングデバイス(114)と
を備え、
前記ボーラスインサート(106)は、前記構成要素(102)が前記構成要素(102)の画像(122)を生成するために前記イメージングデバイス(114)のイメージングフィールド(120)内に位置決めされる場合に、前記構成要素(102)の前記ネガティブスペース(108)内に位置決め可能である、システム(100)。
【請求項2】
前記ネガティブスペース(108)は、空間ジオメトリを有し、前記ボーラスインサート(106)は、前記空間ジオメトリを少なくとも部分的に補完するボーラスジオメトリを有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記構成要素(102)は、ある構成要素材料密度を有する構成要素材料から形成され、前記ボーラスインサート(106)は、あるボーラス材料密度を有するボーラス材料から形成され、前記ボーラス材料密度は、前記構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内である、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記ボーラス材料密度は、前記構成要素材料密度の10パーセント(10%)以内である、請求項3に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記イメージングデバイス(114)は、放射線画像デバイスである、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記放射線画像デバイス(114)は、放射線撮像源(116)および放射線撮像レシーバ(118)を備える、請求項5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記構成要素(102)は、前記放射線撮像源(116)に対して角度をつけられる、請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記構成要素(102)は、垂直方向(V)に対して直角である水平方向(H)に対して角度αにて位置決めされる、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記構成要素(102)は、前記イメージングフィールド(120)内において前記構成要素(102)を位置変更するために、前記垂直方向(V)に沿って延在する軸(A)を中心として回転可能である、請求項8に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記構成要素(102)は、第1の部分(110)において第1の厚さ(t1)を、および前記ネガティブスペース(108)に隣接する第2の部分(112)において第2の厚さ(t2)を有し、前記第2の厚さ(t2)は、前記第1の厚さ(t1)未満であり、前記ボーラスインサート(106)は、前記ネガティブスペース(108)内における前記第2の厚さ(t2)と前記第1の厚さ(t1)との間の差異を充填するためのボーラス厚さ(tb)を有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記構成要素(102)は、ガスタービンエンジン(10)のリングシュラウドであり、前記リングシュラウドは、径方向外方エッジ(134)の周囲に延在し、前記ネガティブスペース(108)を画成するフランジ(124)を有し、前記ネガティブスペース(108)は、環状である、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記ボーラスインサート(106)は、円弧形状を有する、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記構成要素(102)は、セラミック基複合材料(CMC)を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記ボーラスインサート(106)は、アルミニウムから形成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項15】
構成要素(102)により画成されたネガティブスペース(108)内にボーラスインサート(106)を位置決めするステップ(506)と、
前記構成要素(102)の画像(122)を生成するために前記ボーラスインサート(106)を有する前記構成要素(102)をスキャニングするステップ(510)と
を含む、方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究
本発明は、米国陸軍の認可を受けた問合せ番号W58RGZ-19-C-0003の下で政府支援によりなされたものである。米国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【0002】
本主題は、一般に、構成要素イメージングに関し、より詳細には、イメージスキャンを利用した構成要素の内部イメージングに関する。
【背景技術】
【0003】
例えばエーロフォイル、シュラウド等のガスタービンエンジン構成要素などの構成要素を内部イメージングまたは放射線透過試験することにより、材料の相対密度を示す画像データを有するスキャン画像が結果として得られる。構成要素スキャン画像に示される材料密度のばらつきは、欠陥の特定、内部通路または内部空洞の計測等の一助となり得る。構成要素の一部のジオメトリ特徴部は、画像データ中にアーチファクトをもたらす場合があり、これらのアーチファクトは、構成要素中に実際には存在しない密度のばらつきが存在しているかのように見せてしまうため、構成要素が1つもしくは複数の欠陥を有するといった誤った結論を結果として導き出させる恐れがあり、または内部構成要素特徴部のサイズおよび/もしくは位置を不正確に示す可能性がある。放射線イメージングの場合に、これらのアーチファクトは、x線ビーム内における散乱、ビームハードニング、および/または部分容積効果ならびにx線ビームと構成要素との間の相互作用によって引き起こされ得る。したがって、画像アーチファクト効果を低減させる改良されたイメージング装置およびイメージング方法が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様および利点が、以下の記述において部分的に示され、またはその記述から明確になり得、または本開示の主題の実施を介して認識され得る。
【0005】
本主題の一実施形態では、構成要素をイメージングするためのシステムが提供される。構成要素は、ネガティブスペースを画成し、システムは、構成要素イメージングアセンブリと、ボーラスインサートと、イメージングデバイスとを備える。ボーラスインサートは、構成要素が構成要素の画像を生成するためにイメージングデバイスのイメージングフィールド内に位置決めされる場合に、構成要素のネガティブスペース内に位置決め可能である。
【0006】
本主題の別の実施形態では、方法が提供される。この方法は、構成要素により画成されたネガティブスペース内にボーラスインサートを位置決めするステップと、構成要素の画像を生成するためにボーラスインサートを有する構成要素をスキャニングするステップとを含む。
【0007】
本主題のさらなる実施形態では、構成要素イメージングアセンブリが提供される。この構成要素イメージングアセンブリは、第1の厚さを有する第1の部分および第2の厚さを有する第2の部分を備える構成要素を備える。第1の厚さは、第2の厚さよりも大きい。さらに、構成要素イメージングアセンブリは、第2の部分に隣接して位置決めされたボーラスインサートを備える。ボーラスインサートは、第1の厚さと第2の厚さとの差異と実質的に同様であるボーラス厚さを有する。ボーラスインサートは、構成要素の構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内のボーラス材料密度を有する。
【0008】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の対象の実施形態を示し、以下の詳細な説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
当業者を対象とするベストモードを含む本開示の十全かつ実施可能な開示を、添付の図を参照しつつ、本明細書に示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本主題の様々な実施形態によるガスタービンエンジンの概略断面図である。
図2】本主題の一実施形態による、図1のガスタービンエンジンの構成要素などの構成要素と構成要素イメージングアセンブリとを含むシステムの概略図である。
図3】ボーラスインサートを用いずに取得された構成要素の画像である。
図4】本主題の一実施形態による、ボーラスインサートを用いて取得された構成要素の画像である。
図5】本主題の一実施形態による、構成要素画像を生成するための方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の1つまたは複数の例が、添付の図面に示される。この詳細な説明は、図中の特徴を示すために数字および文字による指示符号を用いる。これらの図および説明における同様または類似の指示符号は、本開示の同様または類似のパーツを示すために使用されている。
【0012】
本明細書において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から識別するために互換的に使用され得るものであり、それぞれの構成要素の位置または重要性を示唆するようには意図されない。
【0013】
「前方」および「後方」という用語は、ガスタービンエンジンまたは車両の内部における相対位置を示すものであり、ガスタービンエンジンまたは車両の通常動作姿勢を基準とする。例えば、ガスタービンエンジンに関して、前方は、エンジン吸気口により近い位置を示し、後方は、エンジン噴出口または排気口により近い位置を示す。
【0014】
「上流」および「下流」という用語は、流体通路内の流体流に関する相対方向を示す。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向を示し、「下流」は、流体が流れていく方向を示す。
【0015】
「結合された」、「固定された」、および「装着された」等の用語は、本明細書において別様のことが指定されない限り、直接的な結合、固定、または装着と、1つまたは複数の中間構成要素もしくは中間特徴部を介した間接的な結合、固定、装着との両方を示す。
【0016】
単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、別様のことが文脈により明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲の全体にわたり使用されるような近似的表現は、その関連する基本機能に変化を及ぼすことなく許容的に変化し得る任意の定量表現を修飾するために使用される。したがって、「約」、「およそ」、および「実質的に」などの用語により修飾された数値は、明示された厳密な数値に限定されない。少なくともいくつかの例では、近似的表現は、数値を測定するための計器の精度に、あるいは構成要素および/またはシステムを作製または製造するための方法もしくは機械の精度に相当し得る。近似的表現は、個々の数値、数値範囲、および/または数的範囲を規定する端点のいずれかにおいて+/-1、2、4、10、15、または20パーセントの許容範囲内であることを示し得る。
【0018】
本章ならびに本明細書および特許請求の範囲の全体において、文脈または表現により別様のことが示されない限り、範囲限度値同士は、範囲が特定されその範囲内に含まれるあらゆる下位範囲を包含するように、組み合わされ相互に置換される。例えば、本明細書において開示されるすべての範囲は、それらの端点を含み、これらの端点は、相互に自由に組合せ可能である。
【0019】
概して、本主題は、構成要素イメージングを改善するためのシステムおよび方法を提供する。例えば、本明細書において説明されるようなシステムは、ネガティブスペースを画定する構成要素とネガティブスペース内に位置決めされたボーラスインサートとを備える構成要素イメージングアセンブリを備える。このシステムは、イメージングデバイスをさらに備え、構成要素は、構成要素の画像を生成するためにイメージングデバイスのイメージングフィールド内に位置決めされる。構成要素ジオメトリを正規化または調整するためにネガティブスペースを少なくとも部分的に補完するように形状設定され得る、および構成要素密度に近似した密度を有し得るボーラスインサートは、例えばすべての図像またはすべてのキャプチャされた投影に関してビーム経路の距離を正規化することなどによって、散乱、ビームハードニング、および/または部分容積効果により引き起こされた画像アーチファクトを低減または解消するのを補助する。さらに、本明細書において説明されるシステムおよび方法は、構成要素ジオメトリが不規則な場合でも、安定した信号対雑音比、コントラスト、および分解能を有する画像データを生成することが可能である。
【0020】
次に図面を参照すると(同一の数字はすべての図面にわたり同一の要素を示す)、図1は、本開示の一実施形態による、ガスタービンエンジンの概略断面図である。図1の実施形態について、ガスタービンエンジンは、高バイパスターボファンジェットエンジンであり、本明細書では「ターボファンエンジン10」と呼ぶ。図1に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(参照のために提示された長手方向中心線12に対して平行に延在する)および径方向Rを規定する。概して、ターボファンエンジン10は、ファンセクション14と、ファンセクション14の下流に配設されたコアタービンエンジン16とを備える。
【0021】
図示するコアタービンエンジン16は、環状入口20を画定する実質的にチューブ状の外方ケーシング18を概して備える。外方ケーシング18は、ブースタもしくは低圧(LP)圧縮機22および高圧(HP)圧縮機24を備える圧縮機セクションと、燃焼セクション26と、高圧(HP)タービン28および低圧(LP)タービン30を備えるタービンセクションと、ジェット噴出口セクション32とを直流関係において覆う。高圧(HP)シャフトまたはスプール34が、HP圧縮機24に対してHPタービン28を駆動的に連結する。低圧(LP)シャフトまたはスプール36が、LP圧縮機22に対してLPタービン30を駆動的に連結する。
【0022】
図示する実施形態に関して、ファンセクション14は、ディスク42に対して離間状態で結合された複数のファンブレード40を有するファン38を備える。図示するように、ファンブレード40は、略径方向Rに沿ってディスク42から外方に延在する。ファンブレード40およびディスク42は、LPシャフトまたはスプール36により長手方向軸(長手方向中心線12として図示)を中心として共に回転可能である。いくつかの実施形態では、複数の歯車を有するパワーギヤボックスが、LPシャフトまたはスプール36の回転速度をより効率的な回転ファン速度へと減速するために備えられ得る。
【0023】
図1の実施形態をさらに参照すると、ディスク42は、複数のファンブレード40を通過する空気流を助長するように空気力学的に輪郭設定された回転可能前方ナセル48によって覆われる。さらに、ファンセクション14は、ファン38および/またはコアタービンエンジン16の少なくとも一部分を周方向に囲む環状ファンケーシングまたは外方ナセル50を備える。ナセル50は、複数の周方向に離間された排気口案内翼52によりコアタービンエンジン16に対して支持されるように構成され得る点を理解されたい。さらに、ナセル50の下流セクション54が、コアタービンエンジン16の外方部分を覆って延在することにより、この下流セクション54と外方部分との間にバイパス空気流通路56を画成し得る。
【0024】
ターボファンエンジン10の動作の最中に、空気ボリューム58が、ナセル50および/またはファンセクション14の関連する吸気口60を通りターボファンエンジン10に進入する。空気ボリューム58が、ファンブレード40を通過すると、矢印62により示されるような空気58の第1の部分が、バイパス空気流通路56内へと送られ、矢印64により示されるような空気58の第2の部分が、LP圧縮機22内へと送られる。第1の空気部分62と第2の空気部分64との比率は、バイパス比として一般的に知られる。次いで、第2の空気部分64の圧力は、高圧(HP)圧縮機24を通り燃焼セクション26内へ送られることにより上昇し、この燃焼セクション26において燃料と混合され燃焼されて、燃焼ガス66を発生させる。
【0025】
燃焼ガス66は、HPタービン28を通り送られ、このHPタービン28において、燃焼ガス66から熱エネルギーおよび/または運動エネルギーの一部分が、外方ケーシング18に対して結合されたHPタービン静翼68とHPシャフトまたはスプール34に対して結合されたHPタービン動翼70との一連の翼段を介して抽出され、したがってHPシャフトまたはスプール34が回転され、それによりHP圧縮機24の動作が支援される。次いで、燃焼ガス66は、LPタービン30を通り送られ、そこで熱エネルギーおよび運動エネルギーの第2の部分が、外方ケーシング18に対して結合されたLPタービン静翼72とLPシャフトまたはスプール36に対して結合されたLPタービン動翼74との一連の翼段を介して燃焼ガス66から抽出され、したがってLPシャフトまたはスプール36が回転され、それによりLP圧縮機22の動作および/またはファン38の回転が支援される。
【0026】
その後、燃焼ガス66は、コアタービンエンジン16のジェット噴出口セクション32を通り送られて推進力を生成する。同時に、第1の空気部分62の圧力は、第1の空気部分62がバイパス空気流通路56を通り送られるときに大幅に上昇し、その後この第1の空気部分62は、ターボファンエンジン10のファン噴出口セクション76から排出されて、これもまた推進力を生成する。HPタービン28、LPタービン30、およびジェット噴出口セクション32は、コアタービンエンジン16を通り燃焼ガス66を送るための高温ガス経路78を少なくとも部分的に画成する。
【0027】
図2へ進むと、本主題の様々な実施形態によるシステム100が図示される。本明細書において説明されるように、システム100は、例えばファンブレード40、タービン静翼68、72、タービン動翼70、74、タービンシュラウド等のターボファンエンジン10の構成要素などの構成要素102をイメージングするために使用される。このシステムは、ボーラスインサート106を使用して構成要素102をイメージングするための構成要素イメージングアセンブリ104を備える。さらに具体的には、構成要素102は、構成要素102の少なくとも一部分が構成要素102の他の部分よりも薄くなるような、例えば溝、リップ、フランジ、または通路等のネガティブスペース108を画定する。すなわち、第1の部分110が、第1の厚さtを有し(図3図4)、第2の部分112が、異なる第2の厚さtを有し(図3図4)、第1の厚さtは、第2の厚さtよりも大きく、または第2の厚さtは、第1の厚さtよりも小さい。ボーラスインサート106は、構成要素イメージングアセンブリ104が均一な断面厚さを実質的に有するように、第2の部分112の厚さを増大させるためにネガティブスペース108内に位置決めされる。少なくともいくつかの実施形態では、ボーラスインサート106は、ボーラスインサート106がネガティブスペース108を実質的に充填することにより、第2の部分112の厚さを増大させることによってこの第2の部分112の厚さを第1の部分110の厚さと実質的に同等にするように、第2の厚さtと第1の厚さtとの間の差異と実質的に同様のボーラス厚さt図4)を有する。
【0028】
図2図4は、2つのみの構成要素厚さtおよびtによりネガティブスペース108が画成された構成要素102を示すが、本開示は、3つ以上の厚さにより画成されたネガティブスペース108を有する構成要素102に対しても該当し得る点が理解されよう。例えば、ネガティブスペース108は、湾曲状表面等により画定されてもよく、この場合に、構成要素102と構成要素表面に隣接して位置決めされたボーラスインサート106とのそれぞれが複数の厚さを有するように、構成要素102の厚さは、ある長さに沿ってある箇所から別の箇所にかけて変化する。しかし、ボーラスインサート106が隣接して位置決めされる複数の構成要素の厚さの中の任意の2つの構成要素厚さt、tに関して、ボーラスインサート106は、ボーラスインサート106が、第1の厚さtと第2の厚さtを有する構成要素表面に沿った箇所同士の間において構成要素表面により画成されるネガティブスペース108を実質的に充填するように、これら2つの構成要素厚さt、tの間の差異と実質的に同様となり得る厚さtを有することが理解されよう。
【0029】
また、システム100は、イメージングデバイス114を備える。例えば、イメージングデバイス114は、例えばデジタルラジオグラフィ(DR)マシン、フィルムラジオグラフィマシン、またはコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ等の放射線画像デバイスである。いくつかの実施形態では、放射線イメージングデバイス114は、放射線撮像源116と、例えば検出器またはフィルムなどの放射線撮像レシーバ118とを備える。構成要素102は、構成要素102の画像122(図3図4)を生成するためにイメージングデバイス114のイメージングフィールド120内に位置決めされる。画像122は、構成要素102の内部を描画したものであるが、これは、例えば内部の通路または空洞部等の内部特徴部の位置またはその付近における計測を補助し得る、および/または例えばクラック、亀裂、意図されていない穴もしくはアパーチャ、および/または構成要素材料中の他のタイプの脆弱スポットなどの、構成要素材料中の欠陥の特定を補助し得る。
【0030】
ネガティブスペース108内に配設されたボーラスインサート106は、構成要素102を形成する材料中における開口、亀裂、間隙、アパーチャ等の存在を偽性示唆し得る画像アーチファクトを低減または解消するのを補助する。さらに具体的には、例えば図2に示すリング形状構成要素102のエッジの周囲に画定されたフランジ124などの、構成要素102のいくつかのジオメトリ特徴部は、構成要素102中に密度のばらつきが存在するように見えるが(このような密度のばらつきは、例えば欠陥など、構成要素102中の開口、亀裂等を一般的には示唆する)実際にはそのような密度のばらつきが存在しないアーチファクトを画像データ中に生じさせる恐れがある。フランジ124は、ネガティブスペース108を画成し、ネガティブスペース108内に位置決めされたボーラスインサート106は、構成要素102が均一なジオメトリまたは厚さを有するようにイメージングデバイス114には見えるように、構成要素ジオメトリを「調整」するまたはフランジ124の領域において構成要素102の厚さを増大させることにより、ネガティブスペース108の効果を低減または解消する。これにより、構成要素ジオメトリおよび構成要素厚さが均一になることによって、構成要素材料中の開口、間隙、亀裂等と混同され得るイメージングデバイスからの信号の低下または変化(例えばイメージングデバイス114がCTスキャナである場合にはCT信号の低下)として理解されてしまうことのある画像アーチファクトが緩和される。
【0031】
したがって、ボーラスインサート106は、ネガティブスペース108を少なくとも部分的に補完する形状またはジオメトリと、構成要素102の密度に近似する密度とを有する。ネガティブスペース108は、構成要素102により画成される空間ジオメトリと呼び得るジオメトリを有する。ボーラスインサート106は、空間ジオメトリを少なくとも部分的に補完するボーラスジオメトリを有する。少なくともいくつかの実施形態では、ボーラスインサート106のボーラスジオメトリは、ボーラスインサート106が、例えばネガティブスペース108が存在しない場合の構成要素材料に極めて近似するように、ネガティブスペース108内において構成要素102に対して緊密に合致するようなジオメトリである。例えば、図2に示すように、構成要素102のフランジ124は、ネガティブスペース108が環状またはリング形状を有するように、環状またはリング形状を有し得る。かかる実施形態では、例えばイメージングデバイス114にとってはネガティブスペース108が存在するようには見えなくなるようになど、ボーラスインサート106は、ネガティブスペース108を充填するような補完的な環状形状またはリング形状を有する。ボーラスインサート106は、ボーラスインサート106と構成要素102との間の間隙を最小限に抑えるまたは解消するように寸法設定および形状設定され得る。したがって、図示する実施形態の場合には、ボーラスインサート106は、フランジ124により画成されたネガティブスペース108を最小限に抑えるまたは解消するように形状設定およびサイズ設定される。ボーラスインサート106は、ある特定のネガティブスペース108に対して形状合致するように形状設定されてもよい点が、したがって1つまたは複数のボーラスインサート106が、単一の構成要素102に対して製造されてもよく、および/または、例えば各ボーラスインサート106がそれぞれのネガティブスペース108のジオメトリに合致するなど、様々なボーラスインサート106が、様々な構成要素102に対して製造されてもよい点が理解されよう。さらに、ボーラスインサート106は、構成要素102およびネガティブスペース108に対してのみ形状設定される必要はない点が理解されよう。例えば、ボーラスインサート106は、例えば構成要素102を通過するビーム経路を最適化するために放射線撮像源116からのビーム経路をなど、ビーム経路を補完するように形状設定され得る。
【0032】
さらに、構成要素102は、ある構成要素材料密度を有する構成要素材料から形成される。同様に、ボーラスインサート106は、ボーラス材料密度を有するボーラス材料から形成される。ボーラスインサート106の利点を最大限に引き出すために、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度に可能な限り近いものであるべきであり、すなわち、ボーラス材料は、構成要素材料の密度公差の範囲内であるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内であり、すなわちボーラス材料密度は、構成要素材料密度の±15%である。より具体的には、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の10パーセント(10%)以内であり、すなわちボーラス材料密度は、構成要素材料密度の±10%である。さらには、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の5パーセント(5%)以内であり、すなわちボーラス材料密度は、構成要素材料密度の±5%である。ボーラス密度を構成要素密度と実質的に近いものにするまたは同等にすることは、経路長(例えばDRイメージングの場合)または投影(CTイメージングの場合)の等化を補助するため、これにより例えば画像アーチファクトが低減されることなどによって画像品質が改善される。例えば、ボーラスインサート106が使用される構成要素102ごとに構成要素材料およびその構成要素材料密度が異なる場合などに、ボーラス材料密度がボーラスインサート106ごとに異なり得るように、ボーラス材料およびボーラス材料密度は、ボーラスインサート106のジオメトリと同様に、特定の構成要素102およびその構成要素材料密度と合致されてもよい点が理解されよう。
【0033】
図2に示すように、構成要素102は、放射線撮像源116および放射線撮像レシーバ118(例えば検出器またはフィルム)に対して角度をつけられる。図2の実施形態では、構成要素102は、放射線撮像源116に最も近い構成要素102の近位端部126が、放射線撮像レシーバ118に最も近い構成要素102の遠位端部128に比べて高い位置に位置するように、放射線撮像源116に対して上方へと角度をつけられる。他の実施形態では、構成要素102は、放射線撮像源116に対して下方にまたは他の方向に角度をつけられてもよい。図示する構成要素102は、水平方向Hに対して角度αをなしており、すなわち角度αは、水平方向Hからこの水平方向Hに対面する構成要素102の表面130までの計測角度である。水平方向Hは垂直方向Vに対して直角をなすことが理解されよう。
【0034】
放射線撮像源116および/または放射線撮像レシーバ118に対する構成要素102の角度αは、最適な画像品質を確保するために例えばボーラスインサート106の構成または設計などに基づき最適化され得る。より具体的には、ボーラスインサート106の構成を所与とした場合に、構成要素102の角度αは、画像ノイズを、ならびに他の場合であれば放射線撮像源116からのビームと構成要素102との間の相互作用による結果として生じ得るような散乱、ビームハードニング、および/または部分容積効果を最小限に抑えるように選択され得る。いくつかの実施形態では、角度αは、水平方向Hに対して約0°~約90°の範囲内であってもよい。本明細書において説明されるように、ボーラスインサート106は、相対画像測定基準の空間的非定常性を解消するために構成要素102のより薄い領域を厚くする形状を有するが、この形状は、ボーラスインサート106を有する構成要素102がスキャナまたはイメージングデバイス114の放射線撮像源116および放射線撮像レシーバ118に対して載置される角度αを考慮したものである。
【0035】
さらに、構成要素102は、連続画像を目的として構成要素102の位置を変更するために、回転方向を示す矢印132により示唆されるように、垂直方向Vに沿って延在する軸Aを中心として回転され得る。すなわち、構成要素102の位置は、例えば構成要素102の近位端部126が位置ごとに異なり、構成要素102の各部分が放射線撮像源116に対してそれぞれ異なる位置に位置するように、イメージングデバイス114によりキャプチャされる画像ごとに変更され得る。構成要素102は、構成要素102の完全な360°画像を生成するように回転され得る。さらに、構成要素102は、手動または自動により回転されてもよく、例えば構成要素102は、1人または複数人のオペレータが画像キャプチャごとに構成要素102を手動で位置変更するように支持されてもよい、または構成要素102は、自動マシンが画像キャプチャごとに構成要素102を位置変更するように支持されてもよい点が理解されよう。本明細書において説明されるように、ボーラスインサート106は、ネガティブスペース108全体内に延在してもよく、またはネガティブスペース108の一部分のみの中に延在してもよい。ボーラスインサート106がネガティブスペース108の一部分のみの中に延在する実施形態では、ボーラスインサート106は、他の場合であればネガティブスペース108により引き起こされ得るようなデータアーチファクトを緩和または解消するのを補助するために、ボーラスインサート106が常に構成要素102の近位端部126の位置またはその付近にてネガティブスペース108内に位置するように、構成要素102が位置変更または回転されるのに伴って位置変更され得る。
【0036】
先述のように、図2に示す実施形態などのいくつかの実施形態では、構成要素102は、環状またはリング形状を有し、構成要素材料から形成される。例えば、構成要素102は、セラミック基複合材料(CMC)から形成されたターボファンエンジン10のリングシュラウドであってもよい。様々な実施形態において、CMC材料としては、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素、シリカ、炭素、またはアルミナマトリックス材料、およびそれらの組合せが含まれ得る。例えばサファイアおよび炭化ケイ素などのモノフィラメント(例えばTextronのSCS-6)を含む酸化安定性補強繊維、ならびに炭化ケイ素を含む粗糸およびヤーン(例えばNippon CarbonのNICALON(登録商標)、Ube IndustriesのTYRANNO(登録商標)、およびDow CorningのSYLRAMIC(登録商標))、アルミノケイ酸塩を含む粗糸およびヤーン(例えば3MのNextel 440およびNextel 480)、およびチョップドウイスカおよび短繊維を含む粗糸およびヤーン(例えば3MのNextel 440およびSAFFIL(登録商標))を含む酸化安定性補強繊維、ならびに任意にセラミック粒子(例えばSi酸化物、Al酸化物、Zr酸化物、Y酸化物、およびそれらの組合せ)および無機フィラー(例えばパイロフィライト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カイヤナイト、およびモンモリロナイト)を含むこれらの酸化安定性補強繊維などの、セラミック繊維が、このマトリックス内に埋設され得る。例えば、いくつかの実施形態では、セラミック耐火性材料コーティングを備え得る繊維束が、一方向強化テープなどの強化テープとして形成される。複数のこれらのテープが、プレフォーム構成要素を形成するために一体にレイアップされ得る(例えばパイルとして)。これらの繊維束は、プレフォームの形成前にまたはプレフォームの形成後に、スラリ組成物で含浸され得る。次いで、プレフォームは、プレフォーム中に高いチャー残留をもたらすための硬化または燃焼などの熱処理と、その後のケイ素での溶融含浸などの化学処理とを受けることにより、所望の化学組成を有するCMC材料から形成された構成要素を実現し得る。他の実施形態では、CMC材料は、例えばテープとしてではなく炭素繊維布などとして形成されてもよい。
【0037】
先述のように、ボーラスインサート106は、構成要素102により画成されたネガティブスペース108を補完するように形状設定される。図2に示す実施形態では、ネガティブスペース108は、リング形状を有して、構成要素102の径方向外方エッジ134の周囲に延在する。したがって、いくつかの実施形態では、ボーラスインサート106は、径方向外方エッジ134全体にわたり周囲に延在する、すなわち図2に示すネガティブスペース108に対応する構成要素102の周縁部の周りに延在するボーラス材料リングであってもよい。他の実施形態では、ボーラスインサート106は、ボーラス材料円弧状部であってもよく、すなわち図2に示すような構成要素102の径方向外方エッジ134の一部分の周囲に延在するボーラス材料の部分リングであってもよく、この場合には、ボーラスインサート106は、ネガティブスペース108のすべてを充填するわけではない(ネガティブスペース108に対応しない)。さらに具体的には、円弧形状ボーラスインサート106は、その円弧が環状ネガティブスペース108の全360°未満にわたり延在するような角距離を有する円弧にわたって延在する。
【0038】
さらに、先述のように、ボーラスインサート106は、構成要素102を形成する構成要素材料と密度において同様であるボーラス材料から形成される。構成要素材料がCMC材料である実施形態では、ボーラス材料は、例えばアルミニウムなどであってもよく、このアルミニウムは、典型的なCMC材料の密度と近似するまたは同等の密度を有する。したがって、図2に示すような少なくともいくつかの実施形態では、ボーラスインサート106は、アルミニウムから形成された円弧形状インサートであってもよい。さらに図2の実施形態に示されるように、円弧形状ボーラスインサート106が上に位置決めされた構成要素102の近位端部126は、放射線撮像源116と放射線撮像レシーバ118との間に位置決めされる場合に、水平方向Hに対して約30°の角度αにおかれる。さらに、上述のように、構成要素102は、画像キャプチャごとに位置変更されてもよく、円弧形状ボーラスインサート106は、ボーラスインサート106が常に構成要素102の近位端部126に位置決めされるように、構成要素102が垂直方向Vの周囲で回転されるのに伴い移動される。
【0039】
次に図3および図4を参照すると、本明細書において説明されるようなCMCリングシュラウド構成要素102のイメージングにおけるアルミニウムボーラスインサート106の効果は、CTイメージングを利用して取得されたCMCリングシュラウドの2つの画像122を比較することにより確認することができる。図3は、ボーラスインサート106を伴わないCMCリングシュラウド構成要素102の画像122を示し、図4は、ボーラスインサート106を伴うCMCリングシュラウド構成要素102の画像122を示す。各画像中の矢印136により示される領域を特に比較すると、ボーラスインサート106を用いてキャプチャされたCT画像は、ネガティブスペース108を画成するフランジ124の領域内の画像アーチファクトを大幅に低減させることが理解されよう。すなわち、構成要素102の厚さ(すなわちフランジ124の厚さ)が構成要素102の他の部分の厚さ未満となるネガティブスペース108の領域において、図3の画像(ボーラスインサート106を用いない)では画像アーチファクトが存在するが、図4の画像(ボーラスインサート106を用いる)ではほぼ存在しない。したがって、ボーラスインサート106は、散乱、ビームハードニング、および/または部分容積効果により引き起こされる画像アーチファクトを低減させるのを補助し、いくつかの例では完全に解消し得ることが分かる。先述のように、画像アーチファクトの低減により、例えば構成要素欠陥の偽性特定の防止、構成要素特徴部の計測の改善等によって、検出および/または計測を目的とした構成要素検査が改善され得る。
【0040】
CMC材料から形成されたリングシュラウド構成要素102およびアルミニウムから形成された円弧形状ボーラスインサート106は、例として提示されるものにすぎない点が理解されよう。すなわち、構成要素102は、基本的に任意の材料から形成されたおよびリング形状に限定されないネガティブスペース108を有する任意の構成要素、デバイス、または物体であってもよい。いくつかの例として、構成要素102は、ターボファンエンジン10の金属圧縮機もしくはタービンブレードであってもよく、または構成要素102は、ガスタービンエンジンの一部ではない、ガスタービンエンジンと共に使用されない、もしくはガスタービンエンジンとは他の意味で無関係である非金属物体であってもよく、例えば構成要素102は、いくつか例を挙げるならば自動車構成要素、家庭用電気機器、医用デバイスもしくは医用インプラント等であってもよい。本明細書において説明されるように、ボーラスインサート106は、構成要素102のネガティブスペースを少なくとも部分的に補完するジオメトリを有し、したがって円弧形状またはリング形状に限定されない。さらに、ボーラスインサート106は、構成要素102の密度と実質的に同様の密度を有し、したがって実質的に同様の密度を有する任意の適切な材料であってもよい(例えば金属材料、非金属材料等)。当然ながら、選択されるボーラス材料の密度が構成要素材料の密度と実質的に同様である限り、コスト、入手のしやすさ、機械加工性等の因子が、ボーラス材料の選択においてさらに考慮されてもよい。
【0041】
次に図5を参照すると、本開示の一実施形態による一方法の流れ図が提示される。図示する方法500は、構成要素材料から形成された構成要素102内に位置決めされることとなるボーラスインサート106のためのボーラス材料を選択すること(502)を含む。ボーラス材料は、ボーラス密度が構成要素密度と実質的に近いまたは均等になるように、例えば構成要素材料の密度の約5%、10%、または15%以内など、構成要素材料の密度公差の範囲内のボーラス密度を有する。さらに、方法500は、構成要素102により画成されたネガティブスペース108に対して形状合致するようにボーラスインサート106を形状設定すること(504)を含む。本明細書において説明されるように、ボーラスインサート106を形状設定することは、ボーラス材料がネガティブスペース108の形状を補完する形状を有するようにボーラス材料を形成、機械加工、または他の様式で形状設定することを含み得る。また、方法500は、構成要素102のネガティブスペース108内にボーラスインサート106を位置決めすること(506)と、放射線撮像源116と放射線撮像レシーバ118との間にボーラスインサート106を有する構成要素102を配設すること(508)とを含む。本明細書において説明されるように、放射線撮像源116および放射線撮像レシーバ118を備えるイメージングデバイス114は、デジタルラジオグラフィ(DR)デバイス、フィルムラジオグラフィデバイス、またはコンピュータ断層撮影(CT)デバイス等であってもよく、ボーラスインサート106を有する構成要素102は、本明細書において説明されるように放射線撮像源116および放射線撮像レシーバ118に対して角度をつけられてもよい。
【0042】
さらに図5を参照すると、方法500は、構成要素102の画像を生成するためにボーラスインサート106を有する構成要素102をスキャニングすること(510)をさらに含む。図4では、かかる画像の一例が示され、フランジ124の領域内における構成要素102の厚さを構成要素102の他の部分の厚さと均等にするためにボーラスインサート106がフランジ124に隣接して位置決めされた、リングシュラウド構成要素102の断面を示す。いくつかの実施形態では、構成要素102をスキャニングすることが、ボーラスインサート106を有する構成要素102に放射線撮像源116からx線ビームを送ることを含む。他の実施形態では、異なるイメージング技術を利用した異なるイメージングデバイス114が使用されてもよい。
【0043】
したがって、本明細書において説明されるように、本主題は、構成要素イメージングまたは構成要素スキャン画像において画像アーチファクト効果を低減させるためのシステムおよび技術を提供する。さらに具体的には、ボーラスまたはボーラスインサートが、構成要素ジオメトリまたは構成要素厚さにおけるばらつき効果を調整および低減させるために使用される。ボーラスインサートは、不規則なジオメトリを有する任意の材料から形成された多様な構成要素向けに提供され得る。ボーラスインサートが構成要素と同一または同様の密度を有するように製造されることにより、イメージング源(例えばx線)は、ボーラスインサートおよび構成要素の両方との間において同様に相互作用する。さらに重要な点として、例えば構成要素およびボーラスを通過するx線経路長の組合せが正規化されるように、ボーラスインサートが構成要素の表面に対して合致するように製造され、ボーラスインサート厚さが最適化されることにより、構成要素のジオメトリに起因して発生するアーチファクトが低減される。さらに、構成要素の薄い領域と比較した場合の厚い領域におけるコントラスト、ノイズ、および分解能などの、他の場合であれば空間的非定常性を有する画像品質測定基準もまた正規化され、その結果としてより直観的な放射線撮像データが得られる。したがって、取得される構成要素データは、人間であるオペレータまたはコンピュータ支援評価ソフトウェアによるさらなる容易な評価が可能となる。
【0044】
ボーラスインサートの使用により、欠陥検出または計測を目的とした検査が改善され、これにより例えば構成要素欠陥の正確な特定などによって構成要素品質が改善され得る。本明細書において説明されるように、構成要素イメージングのためのボーラスインサートは、画像評価を改善し、その結果として画像評価を行うオペレータによる問合せおよび判断の必要性を低下させ、またゲージ反復性およびゲージ再現性を改善し得る。さらに、構成要素内のボーラスインサートは、構成要素が画像アーチファクトを緩和するための追加スキャンを必要としないことにより、スキャン時間を改善し得る。したがって、ボーラスインサートは、サイクル時間および検査コストを改善し得る。さらに、構成要素イメージングにおいて構成要素と共にボーラスインサートを使用することにより、有孔度検出および/または不連続示唆検出が改善され得る。追加的にはまたは代替的には、ボーラスインサートは、高度な放射線診断およびCT/DR内部計測を可能にし得る。
【0045】
したがって、構成要素上に最適に製造されたボーラスインサートを配置することにより、構成要素の不規則なジオメトリとの間におけるイメージング源(例えばx線ビーム)の相互作用が最適化されることが可能となり、画像アーチファクト効果が解消されることが可能となり、これにより構成要素欠陥検出、計測、および評価のための検査を改善することが可能となる。さらに具体的には、構成要素上にボーラスインサートを用いることにより、安定した信号が、イメージングレシーバまたは検出器(例えばx線検出器)においてキャプチャされる。この安定した信号は、イメージングされる構成要素材料の相対密度をより厳密に近似化した画像データを結果としてもたらす。この技術を用いることにより、散乱、ビームハードニング、および/または部分容積効果により引き起こされる画像アーチファクトが低減または解消され得る。さらに、この技術は、他の場合であればこれらの問題を示しデータの解釈を困難にし得るような不規則な構成要素ジオメトリ内において、安定した信号対雑音比、コントラスト、および分解能を有する画像データを生成することができる。さらに、本明細書において説明される対象の他の利点が、当業者には理解されよう。
【0046】
本開示のさらなる態様は、以下の項の主題により提供される。
【0047】
1.ネガティブスペースを画成する構成要素をイメージングするためのシステムであって、構成要素イメージングアセンブリと、ボーラスインサートと、イメージングデバイスとを備え、ボーラスインサートは、構成要素が構成要素の画像を生成するためにイメージングデバイスのイメージングフィールド内に位置決めされる場合に、構成要素のネガティブスペース内に位置決め可能である、システム。
【0048】
2.任意の既出の項のシステムであって、ネガティブスペースは、空間ジオメトリを有し、ボーラスインサートは、空間ジオメトリを少なくとも部分的に補完するボーラスジオメトリを有する、システム。
【0049】
3.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、ある構成要素材料密度を有する構成要素材料から形成され、ボーラスインサートは、あるボーラス材料密度を有するボーラス材料から形成され、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内である、システム。
【0050】
4.任意の既出の項のシステムであって、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の10パーセント(10%)以内である、システム。
【0051】
5.任意の既出の項のシステムであって、イメージングデバイスは、放射線画像デバイスである、システム。
【0052】
6.任意の既出の項のシステムであって、放射線画像デバイスは、放射線撮像源および放射線撮像レシーバを備える、システム。
【0053】
7.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、放射線撮像源に対して角度をつけられる、システム。
【0054】
8.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、垂直方向に対して直角である水平方向に対して角度αにて位置決めされる、システム。
【0055】
9.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、イメージングフィールド内において構成要素を位置変更するために、垂直方向に沿って延在する軸を中心として回転可能である、システム。
【0056】
10.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、第1の部分において第1の厚さを、およびネガティブスペースに隣接する第2の部分において第2の厚さを有し、第2の厚さは、第1の厚さ未満であり、ボーラスインサートは、ネガティブスペース内における第2の厚さと第1の厚さとの間の差異を充填するためのボーラス厚さを有する、システム。
【0057】
11.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、ガスタービンエンジンのリングシュラウドであり、リングシュラウドは、径方向外方エッジの周囲に延在し、ネガティブスペースを画成するフランジを有し、ネガティブスペースは、環状である、システム。
【0058】
12.任意の既出の項のシステムであって、ボーラスインサートは、円弧形状を有する、システム。
【0059】
13.任意の既出の項のシステムであって、構成要素は、セラミック基複合材料(CMC)を含む、システム。
【0060】
14.任意の既出の項のシステムであって、ボーラスインサートは、アルミニウムから形成される、システム。
【0061】
15.構成要素により画成されたネガティブスペース内にボーラスインサートを位置決めするステップと、構成要素の画像を生成するためにボーラスインサートを有する構成要素をスキャニングするステップとを含む、方法。
【0062】
16.任意の既出の項の方法であって、ボーラスインサートを有する構成要素を放射線撮像源と放射線撮像レシーバとの間に配設するステップをさらに含む、方法。
【0063】
17.任意の既出の項の方法であって、構成要素をスキャニングするステップは、放射線撮像源から構成要素にx線ビームを送るステップを含む、方法。
【0064】
18.任意の既出の項の方法であって、構成要素のネガティブスペースに対して形状合致するようにボーラスインサートを形状設定するステップをさらに含む、方法。
【0065】
19.任意の既出の項の方法であって、ボーラスインサートのためのボーラス材料を選択するステップをさらに含む、方法。
【0066】
20.任意の既出の項の方法であって、ボーラス材料は、構成要素を形成する構成要素材料の構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内であるボーラス材料密度を有する、方法。
【0067】
21.任意の既出の項の方法であって、構成要素をスキャニングするステップは、構成要素をイメージングするためにデジタルラジオグラフィイメージングデバイスを使用するステップを含む、方法。
【0068】
22.任意の既出の項の方法であって、構成要素をスキャニングするステップは、構成要素をイメージングするためにフィルムラジオグラフィイメージングデバイスを使用するステップを含む、方法。
【0069】
23.任意の既出の項の方法であって、構成要素をスキャニングするステップは、構成要素をイメージングするためにコンピュータ断層撮影イメージングデバイスを使用するステップを含む、方法。
【0070】
24.第1の厚さを有する第1の部分および第2の厚さを有する第2の部分を備える構成要素であって、第1の厚さが第2の厚さよりも大きい、構成要素と、第2の部分に隣接して位置決めされたボーラスインサートであって、第1の厚さと第2の厚さとの差異と実質的に同様であるボーラス厚さを有する、ボーラスインサートとを備え、ボーラスインサートが、構成要素の構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内のボーラス材料密度を有する、構成要素イメージングアセンブリ。
【0071】
この本発明の詳細な説明は、ベストモードを含む好ましい実施形態を開示するために、ならびにさらには任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む、本主題の実施を当業者にとって可能にするために、例を用いる。本明細書において開示される対象の特許範囲は、請求項の範囲により定義され、当業者に想起される他の例を含み得る。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言から相違のない構造的要素を含む場合には、または特許請求の範囲の文言から実質的な相違のない均等な構造的要素を含む場合には、請求項の範囲内に含まれるように意図される。
【0072】
本開示のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
【0073】
1.ネガティブスペースを画成する構成要素をイメージングするためのシステムであって、構成要素イメージングアセンブリと、ボーラスインサートと、イメージングデバイスとを備え、ボーラスインサートは、構成要素が構成要素の画像を生成するためにイメージングデバイスのイメージングフィールド内に位置決めされる場合に、構成要素のネガティブスペース内に位置決め可能である、システム。
【0074】
2.ネガティブスペースは、空間ジオメトリを有し、ボーラスインサートは、空間ジオメトリを少なくとも部分的に補完するボーラスジオメトリを有する、任意の前項に記載のシステム。
【0075】
3.構成要素は、ある構成要素材料密度を有する構成要素材料から形成され、ボーラスインサートは、あるボーラス材料密度を有するボーラス材料から形成され、ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内である、任意の前項に記載のシステム。
【0076】
4.ボーラス材料密度は、構成要素材料密度の10パーセント(10%)以内である、任意の前項に記載のシステム。
【0077】
5.イメージングデバイスは、放射線画像デバイスである、任意の前項に記載のシステム。
【0078】
6.放射線画像デバイスは、放射線撮像源および放射線撮像レシーバを備える、任意の前項に記載のシステム。
【0079】
7.構成要素は、放射線撮像源に対して角度をつけられる、任意の前項に記載のシステム。
【0080】
8.構成要素は、垂直方向に対して直角である水平方向に対して角度αにて位置決めされる、任意の前項に記載のシステム。
【0081】
9.構成要素は、イメージングフィールド内において構成要素を位置変更するために、垂直方向に沿って延在する軸を中心として回転可能である、任意の前項に記載のシステム。
【0082】
10.構成要素は、第1の部分において第1の厚さを、およびネガティブスペースに隣接する第2の部分において第2の厚さを有し、第2の厚さは、第1の厚さ未満であり、ボーラスインサートは、ネガティブスペース内における第2の厚さと第1の厚さとの間の差異を充填するためのボーラス厚さを有する、任意の前項に記載のシステム。
【0083】
11.構成要素は、ガスタービンエンジンのリングシュラウドであり、リングシュラウドは、径方向外方エッジの周囲に延在し、ネガティブスペースを画成するフランジを有し、ネガティブスペースは、環状である、任意の前項に記載のシステム。
【0084】
12.ボーラスインサートは、円弧形状を有する、任意の前項に記載のシステム。
【0085】
13.構成要素は、セラミック基複合材料(CMC)を含む、任意の前項に記載のシステム。
【0086】
14.ボーラスインサートは、アルミニウムから形成される、任意の前項に記載のシステム。
【0087】
15.構成要素により画成されたネガティブスペース内にボーラスインサートを位置決めするステップと、構成要素の画像を生成するためにボーラスインサートを有する構成要素をスキャニングするステップとを含む、方法。
【0088】
16.ボーラスインサートを有する構成要素を放射線撮像源と放射線撮像レシーバとの間に配設するステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0089】
17.構成要素をスキャニングするステップは、放射線撮像源から構成要素にx線ビームを送るステップを含む、任意の前項に記載の方法。
【0090】
18.構成要素のネガティブスペースに対して形状合致するようにボーラスインサートを形状設定するステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0091】
19.構成要素を形成する構成要素材料の構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内であるボーラス材料密度を有するボーラスインサートのためのボーラス材料を選択するステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0092】
20.第1の厚さを有する第1の部分および第2の厚さを有する第2の部分を含む構成要素であって、第1の厚さが第2の厚さよりも大きい、構成要素と、第2の部分に隣接して位置決めされたボーラスインサートであって、第1の厚さと第2の厚さとの差異と実質的に同様であるボーラス厚さを有する、ボーラスインサートとを備え、ボーラスインサートが、構成要素の構成要素材料密度の15パーセント(15%)以内のボーラス材料密度を有する、構成要素イメージングアセンブリ。
【符号の説明】
【0093】
10 ターボファンエンジン
12 長手方向軸、長手方向中心線
14 ファンセクション
16 コアタービンエンジン
18 外方ケーシング
20 環状入口
22 低圧LP圧縮機
24 高圧HP圧縮機
26 燃焼セクション
28 高圧HPタービン
30 低圧LPタービン
32 ジェット噴出口セクション
34 スプール
36 スプール
38 ファン
40 ファンブレード
42 ディスク
48 回転可能前方ナセル
50 外方ナセル
52 排気口案内翼
54 下流セクション
56 バイパス空気流通路
58 空気ボリューム、空気
60 吸気口
62 第1の空気部分
64 第2の空気部分
66 燃焼ガス
68 HPタービン静翼
70 HPタービン動翼
72 LPタービン静翼
74 LPタービン動翼
76 ファン噴出口セクション
78 高温ガス経路
100 システム
102 構成要素
104 構成要素イメージングアセンブリ
106 ボーラスインサート
108 ネガティブスペース
110 第1の部分
112 第2の部分
114 イメージングデバイス
116 放射線撮像源
118 放射線撮像レシーバ
120 イメージングフィールド
122 画像
124 フランジ
126 近位端部
128 遠位端部
130 表面
132 回転方向
134 径方向外方エッジ
t1 第1の厚さ
t2 第2の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】